JPH0687625U - 多気筒エンジン用排気マニホールドの結合部 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】エンジンの運転時にも、分岐排気管の上流端開
口に設けた結合フランジ４とエンジン側面のシール面と
が非平行になる事を防止する。 【構成】エンジンの側面に植設したスタッド７とナット
８との螺合により、分岐排気管の上流端に設けた結合フ
ランジ４を、ガスケット１３を介してエンジンに結合固
定する。結合フランジ４の両面とガスケット１３及びワ
ッシャ９の片面との間には、低摩擦層１０、１１を介在
させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案に係る多気筒エンジン用排気マニホールドの結合部は、多気筒エンジ ンの側面に排気マニホールドの上流端を結合固定する為に利用する。

【０００２】

【従来の技術】

複数のシリンダを有する多気筒エンジンから排出される排気を、排気浄化器や 消音器に導く為の排気マニホールドは、例えば図２に示す様に構成されている。 図２に示した排気マニホールド１は、直列４気筒エンジン、或はＶ型８気筒エン ジンに使用されるものであるが、この排気マニホールド１は、４本の分岐排気管 ２、２と、この４本の分岐排気管２、２の下流端部が合流した１本の合流排気管 ３と、上記各分岐排気管２、２の上流側端部開口外周縁に形成された結合フラン ジ４、４と、各結合フランジ４、４に形成された通孔５、５とを備えている。

【０００３】 この様な排気マニホールドをエンジンに組み付ける場合、図３に示す様に、上 記多気筒エンジンの側面と結合フランジ４とを、ガスケット１３を介して突き合 わせると共に、この側面に開口した排気ポート６と上記各分岐排気管２の上流側 端部開口とを整合させた状態で、上記エンジンの側面に植設したスタッド７を上 記各結合フランジ４、４に形成した各通孔５、５に挿通する。そして、各スタッ ド７の先端で、上記各通孔５、５から突き出た部分にナット８を螺合させ、更に 緊締する事により、上記各結合フランジ４、４を上記エンジンの側面に結合固定 する。尚、各ナット８と結合フランジ４、４との間には、それぞれスプリングワ ッシャ１２及びワッシャ９を挟持している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上述の様にして多気筒エンジンの側面に結合固定された排気マニホ ールド１の分岐排気管２、２は、エンジンの運転に伴う温度上昇時に、各結合フ ランジ４、４とエンジン側面のシール面とが非平行となる様に、上記各分岐排気 管２、２が変形する。即ち、締結ボルト間に於いて、結合フランジ４、４とエン ジン側面のシール面との間に、口開き（隙間）が生じる。排気マニホールド１が この様に変形する原因は、次の様に考えられている。

【０００５】 即ち、エンジンの運転と停止との繰り返しに伴う排気マニホールド１の温度変 化により、この排気マニホールド１が膨張と収縮とを繰り返す。これに対し、運 転時にも冷却水により冷却されるエンジンの温度変化並びに膨張、収縮量は、排 気マニホールド程著しくはない。この結果、エンジンの運転と停止との繰り返し に伴って、上記排気マニホールド１の結合フランジ４、４とエンジンの側面とが 、上記分岐排気管２、２の配列方向に変位する傾向となる。

【０００６】 一方、上記結合フランジ４、４のシール面とエンジン側面のシール面との間に 作用する摩擦力は、排気マニホールド１が膨張する場合には大きく、収縮する場 合には小さくなる。これは、高温時の摩擦係数が低温時の摩擦係数よりも大きい 為である。この結果、エンジンの運転に伴う温度上昇時には、前記各分岐排気管 ２、２が、折れ曲がり量が多くなる方向に変形し、この変形に伴って、各分岐排 気管２、２の端部開口外周縁に形成された結合フランジ４、４とエンジン側面の シール面とが非平行になる。この様に各結合フランジ４、４とエンジン側面のシ ール面とが非平行になると、当該部分のシール性が損なわれて、排気が漏洩する 。

【０００７】 本考案の多気筒エンジン用排気マニホールドの結合部は、上述の様な事情に鑑 みて考案されたものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案の多気筒エンジン用排気マニホールドの結合部は、前述した従来の多気 筒エンジン用排気マニホールドの結合部と同様に、側面に複数の排気ポートを、 互いに間隔をあけて開口させた多気筒エンジンと、複数本の分岐排気管、及びこ の複数本の分岐排気管の下流端部が合流した１本の合流排気管、及び上記各分岐 排気管の上流側端部開口外周縁に形成された結合フランジ、及び各結合フランジ に形成された通孔を備えた多気筒エンジン用排気マニホールドと、上記各結合フ ランジと上記多気筒エンジン側面のシール面で上記各排気ポートの周囲部分との 間に挟持されたガスケットとから成る。

【０００９】 そして、上記各排気ポートと上記各分岐排気管の上流側端部開口とを整合させ た状態で、上記エンジンの側面に植設したスタッドを各通孔に挿通し、このスタ ッドの先端部とナットとの螺合緊締に基づき、上記各結合フランジを上記エンジ ンの側面に、上記ガスケットを介して結合固定する。

【００１０】 特に、本考案の多気筒エンジン用排気マニホールドの結合部に於いては、上記 各結合フランジの片面と上記ガスケットとの間、並びに上記各結合フランジの他 面と上記ナットの片面との間に、それぞれ低摩擦層を介在させた事を特徴として いる。

【００１１】

【作用】

上述の様に構成される本考案の多気筒エンジン用排気マニホールドの結合部に よれば、各分岐排気管の上流端に設けた結合フランジが、エンジン側面のシール 面に対しても、スタッドに螺合したナットに対しても、比較的小さな力で滑り変 位する。従って、エンジンの運転に伴う温度上昇時にも、排気マニホールドの変 形に基づいて各結合フランジとエンジン側面のシール面とが非平行になる事がな くなる。

【００１２】

【実施例】

図１は本考案の実施例を示している。多気筒エンジンの側面に開口した排気ポ ート６と、図２に示す様に、複数本の分岐排気管２、２を有する多気筒エンジン 用の排気マニホールド１を構成する各分岐排気管２の上流側端部開口とを整合さ せた状態で、上記エンジンの側面に植設したスタッド７を、上記各分岐排気管２ の上流側端部開口外周縁に形成した結合フランジ４に形成した各通孔５に挿通し ている。そして、各スタッド７の先端で上記各通孔５から突き出た部分に、ナッ ト８を螺合させ更に緊締する事で、上記各結合フランジ４を上記エンジン側面の シール面に結合固定する。上記結合フランジ４とエンジンの側面との間にはガス ケット１３を、各ナット８と結合フランジ４との間にはワッシャ９及びスプリン グワッシャ１２を、それぞれ挟持している。

【００１３】 特に、本考案の多気筒エンジン用排気マニホールドの結合部に於いては、上記 各結合フランジ４の片面と上記ガスケットとの間、並びに上記各結合フランジ４ の他面と上記ナット８の片面により各結合フランジ４の他面に向け抑え付けられ るワッシャ９との間に、それぞれ低摩擦層１０、１１を介在させている。この低 摩擦材層１０、１１としては、例えば二硫化モリブデン、グラファイト等の減摩 剤をコーティング或は塗布したり、或はこれらの減摩剤により造られたシートを 挟持したりする。

【００１４】 上述の様に構成される本考案の多気筒エンジン用排気マニホールドの結合部に よれば、各分岐排気管２の上流端に設けた結合フランジ４が、エンジン側面のシ ール面に対しても、スタッド７に螺合して上記エンジンに対し動く事のないナッ ト８に対しても、比較的小さな力で滑り変位する。従って、エンジンの運転に伴 う温度上昇時にも、排気マニホールド１を構成する各分岐排気管２の変形が少な くなり、上記結合フランジ４とエンジン側面のシール面とが非平行になる事がな くなる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案の多気筒エンジン用排気マニホールドの結合部は、以上に述べた通り構 成され作用するが、各結合フランジとエンジン側面のシール面とが非平行になる 事がなくなる為、エンジンの運転時に、上記結合フランジとエンジン側面のシー ル面との間から排気が漏洩する事を有効に防止出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す、図２の拡大Ａ−Ａ断面
に相当する図。

【図２】多気筒エンジン用排気マニホールドの正面図。

【図３】従来構造を示す、図２の拡大Ａ−Ａ断面に相当
する図。

【符号の説明】

１ 排気マニホールド ２ 分岐排気管 ３ 合流排気管 ４ 結合フランジ ５ 通孔 ６ 排気ポート ７ スタッド ８ ナット ９ ワッシャ １０、１１ 低摩擦層 １２ スプリングワッシャ １３ ガスケット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 側面に複数の排気ポートを、互いに間隔
   をあけて開口させた多気筒エンジンと、複数本の分岐排
   気管、及びこの複数本の分岐排気管の下流端部が合流し
   た１本の合流排気管、及び上記各分岐排気管の上流側端
   部開口外周縁に形成された結合フランジ、及び各結合フ
   ランジに形成された通孔を備えた多気筒エンジン用排気
   マニホールドと、上記各結合フランジと上記多気筒エン
   ジン側面のシール面で上記各排気ポートの周囲部分との
   間に挟持されたガスケットとから成り、上記各排気ポー
   トと上記各分岐排気管の上流側端部開口とを整合させた
   状態で、上記エンジンの側面に植設したスタッドを各通
   孔に挿通し、このスタッドの先端部とナットとの螺合緊
   締に基づき、上記各結合フランジを上記エンジンの側面
   に、上記ガスケットを介して結合固定する多気筒エンジ
   ン用排気マニホールドの結合部に於いて、上記各結合フ
   ランジの片面と上記ガスケットとの間、並びに上記各結
   合フランジの他面と上記ナットの片面との間に、それぞ
   れ低摩擦層を介在させた事を特徴とする多気筒エンジン
   用排気マニホールドの結合部。