JP5550388B2 - エンジンの排気マニホールド構造とその組付方法 - Google Patents
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即ち、エンジンの排気マニホールドは内部を通過する排気ガスの熱によって膨張するため、各気筒間の排気マニホールドは金属ベローズ等で連結して、排気マニホールドの熱膨張による各気筒間の変形(排気マニホールドの軸線方向)を吸収している。
ところが、V型エンジンのシリンダヘッドの排気マニホールド取付面は傾斜しており、特に大きなエンジンでは分割された各排気マニホールドの重量が重いので、シリンダヘッドと排気管、排気管と金属ベローズとの位置決め作業の際、排気管が傾斜面から滑り落ちないようにそれらの部材を支持しながら行う必要があり多大の工数を要していた。
図5に示すように、シリンダヘッド010の側面に形成された排気マニホールド取付面010aに取付けられる上流側フランジ部04と、該上流側フランジ部04に対して略直行して接続されると共に、下流側の排気系部品が取付けられる下流側フランジ部05とからなるフランジ部材02と、各気筒毎に対応してそれぞれ設けられ、上流端が上流側フランジ部04に接合される一方、下流端又は各下流端部を集合させた集合部が下流側フランジ部05に接合される複数の分岐管03とから構成された排気マニホールド01が開示されている。
従って、大きな出力のエンジンではシリンダヘッド010の側面に排気マニホールド01を取付ける際、排気マニホールド01の重量が大きく、位置決め作業の工数が多大となると共に、排気マニホールド01の熱膨張による変形を吸収する構造になっておらず、排気マニホールド01に高い応力が発生し、耐久性に問題が発生する可能性がある。
前記排気コネクタを前記各シリンダヘッドの前記排気コネクタ取付面毎に、前記排気管との前記接合フランジ面が上側平面になるように位置決めして、第一ガスケットを介して、前記各シリンダヘッドに締結部材にて固定する第一工程と、前記排気コネクタの前記接合フランジ面に前記分割された排気管を載置して、前記排気コネクタと前記排気管との位置決めをして、第二ガスケットを介して前記排気コネクタ毎に前記排気管を締結部材にて固定する第二工程と、前記分割された排気管と前記分割された各排気管との間に前記蛇腹管を介装して、前記各排気管端部と前記蛇腹管端部との接合面外周部を覆うクランプ部材にて固定する第三工程とを有することを特徴とする。
更に、排気コネクタの水平なフランジ面に排気管を載置して位置合せを行い、排気コネクタと排気管との組付け後に、各排気管の間に蛇腹管を組みこむ構造としたので、排気コネクタ及び複数の排気管夫々の製造誤差、及び組付け誤差等の集積誤差を蛇腹管にて容易に吸収すると共に、排気管の軸線方向の熱変形を容易に吸収でき、排気管系統に高応力が発生するのを防止できる。
但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
1は内部をピストン15が摺動するシリンダ17を保持するシリンダブロックがクランク軸16を中心として左右へ対称に傾斜し、片側に6気筒備えた12気筒の多気筒V型エンジンである。
以後、左右に傾斜したシリンダブロックは右側へ傾斜した部分を右側バンク18、左側へ傾斜した部分を左側バンク19と称す。
シリンダブロックの各バンク18,19の上側傾斜面にはシリダヘッド11が取付けられており、シリダヘッド11の排気系下流側上端部の面はシリダブロックの上面と平行な面を有する傾斜面になっている。
ロッカカバー12内にはピストン15の行程に連動して回転するカム軸121によって駆動されるプッシュロッド122がロッカアーム123を揺動している。ピストン15が排気行程になった時に、ロッカアーム123が揺動して、排気バルブ124を押付け、燃焼室14内の排気ガスが排気ポート13側へ排出される。
排気コネクタ2はシリンダヘッド11に設けられた排気ポート13の配設位置の傾斜面に沿った平面状の傾斜フランジ22と、該傾斜フランジ22の上面から上方へ円弧状に形成され、内部を流れる排気ガスが滑らかに流れる形状にした筒部26と、該円弧状の筒部26の上端部を後述する分割された各排気管31,32が載置可能にするために上面を水平面状に形成した接合フランジ24とで構成されている。
排気マニホールド5は左側バンク19(図1参照)の上部に左上流側排気系38と、左下流側排気系39とを備えた左側集合排気管3と、右側バンク18(図1参照)の上部に右上流側排気系48と、右下流側排気系49とを備えている右側集合排気管4とで構成されている。
図2及び図3に示すように、左側集合排気管3は各シリンダヘッド11に第一ガスケット21を介して締結された排気コネクタ2と、排気コネクタ2の接合フランジ面24に第二ガスケット25(図3参照)を介して左側の各排気管31,32(以後、各排気管と呼称した場合は各排気管の代表符号として、「各排気管31,32」と記載する。)が締結部材(図示省略)にて締結される。
左側集合排気管3の左下流側排気系39は各シリンダヘッド11の排気ポート13毎に合わせて取付けられた排気コネクタ2と、各排気コネクタ2と結合する左バンク19の排気系上流側から左側第四排気管34と、左側第五排気管35と、左側第六排気管36と各排気管31,32の間に介装される金属製の蛇腹管6とで構成されている。
左側第六排気管36の排気系上流側は二又形状に形成され、二又形状の一方は左側第六排気管36としての機能を有して左側バンク19の左下流側排気系39を形成している。
他方は左上流側排気系38の左側バイパス管37の排気系下流端と蛇腹管6を介して連結されて、左上流側排気系38と左下流側排気系39の排気ガスが合流する構造になっている。
右側集合排気管4の右上流側排気系48は各シリンダヘッド11の排気ポート13毎に合わせて取付けられた排気コネクタ2と、各排気コネクタ2と結合する右側バンク18の排気系上流側から右側第一排気管41と、右側第二排気管42と、右側第三排気管43と右側バイパス管47と、夫々の排気管の間に介装される蛇腹管6とで構成されている。
右側集合排気管4の右下流側排気系49は各シリンダヘッド11の排気ポート13毎に合わせて取付けられた排気コネクタ2と、各排気コネクタ2と結合する右側バンク18の排気系上流側から右側第四排気管44と、右側第五排気管45と、右側第六排気管46と夫々の排気管の間に介装される蛇腹管6とで構成されている。
右側第六排気管46の排気系上流側は二又形状に形成され、二又形状の一方は右側第六排気管46としての機能を有して左側バンク19の右下流側排気系49を形成している。
他方は右上流側排気系48の右側バイパス管37の排気系下流端と蛇腹管6を介して連結されて、右上流側排気系48と右下流側排気系49の排気ガスが合流する構造になっている。
尚、等間隔に振分けた間隔寸法Qは左側側バンクの振分間隔寸法と同じになっている。
左側第一排気管31の排気系下流側開口端部313の外周部は蛇腹管6との接合面側が平面で、排気系上流側へ縮径したテーパ状のテーパ部が形成されている。
また、下流側開口端部313の排気ガスが通過する開口部周縁には蛇腹管6との接合面の密閉性向上と、位置決め用のためインロー嵌合する凹部314が形成されている。
左側第一排気管31は右側第四排気管44と同一形状をしており、左側第四排気管34及び右側第一排気管41とはクランク軸16の軸線Lに対して対称形状に形成されている。
上述のテーパ部は、後述するクリップバンド7によって、左側第一排気管31のフランジ部313の凹部と、蛇腹管6のフランジ部63の凸条部64とをインロー嵌合させ、フランジ部313外周部のテーパ部と、蛇腹管6のフランジ部63外周部のテーパ部とを、クリップバンド7の断面が台形状の内周面に沿って挟みこみ締結部材にて締結することにより、台形状の傾斜面によりフランジ部63とフランジ部313とを排気管の軸線方向に当接させるためのテーパ部構造となっている。
また、排気筒322は集合筒部321の軸線Rが前記振分けた間隔寸法Qの位置になるように形成されている。
集合筒部321の排気系上流側端部324には蛇腹管6との接合面が平面状に形成され、内周部に蛇腹管6の凹部65とインロー嵌合する凸条部326が形成されている。
上流側開口端部324の外周部は排気系下流側に縮径したテーパ状のテーパ部が形成されている。
また、左側第二排気管32の排気系下流側開口端部323は左側第一排気管31の排気系下流側開口端部313と同じ形状に形成されている。
理由は〔0029〕で記載と同じなので省略する。
尚、以下の排気管の共通化または、対称形状についても同じ理由なので、理由記載は省略する。
右側バイパス管47は左側バイパス管37と同一形状に形成されている。
また、集合筒部361の排気系上流側開口端部は左側第二排気管32の排気系上流側端部324と同じ形状に形成されている。
尚、右側第六排気管46は左側第六排気管36とクランク軸Lに対して対称形状に形成されている。
また、右上流側排気系48は右側第一排気管(C)41+蛇腹管6+右側第二排気管(D)42+蛇腹管6+右側第三排気管(D)43+蛇腹管6+右側バイパス管(E)47+蛇腹管6によって構成されている。
また、左下流側排気系39は左側第四排気管(C)34+蛇腹管6+左側第五排気管(D)35+蛇腹管6+左側第六排気管(F)36によって構成されている。
更に、右下流側排気系49は右側第四排気管(A)44+蛇腹管6+左側第五排気管(B)45+蛇腹管6+左側第六排気管(G)46によって構成されている。
尚、( )内のアルファベット記号は分割された排気管の形状を表している。(図2参照)
図4に示すクリップバンド7は半円弧状の両端部711に締結用のボルト712をヒンジ結合した第一バンド部71と、第一バンド部71と対向した半円弧状の両端部721に締結用のボルト712が貫通する貫通孔を有する第二バンド部72とで構成されている。
バンド部は図4の(ロ)に示すように断面が台形状に形成されている。
排気コネクタ2の傾斜フランジ22を各気筒のシリンダヘッド11の排気ポート13に対向させ、各排気管31,32との接合フランジ面24が上側平面になるように位置決めして、第一ガスケットを介して、傾斜フランジ22を各シリンダヘッド毎に締結部材(図示省略)にて全気筒(本実施形態では12気筒)に締結する第一工程と、排気コネクタ2の上向き水平面の接合フランジ面24に分割された左側第一排気管31を載置して、方向性等の位置決めをして、排気コネクタ2の接合フランジ面24と左側第一排気管31のフランジ部312とを第二ガスケット25を介して排気コネクタ2毎に締結する第二工程と、(各排気管31,32の排気コネクタ2への取付け順序については、特に規定する必要がなく、周囲の状況により変えることは自由である。)
尚、他の部分の排気コネクタ2と各排気管31,32との結合は同様に行うので、結合方法の説明は省略する。
また、各排気管31,32と排気コネクタ2との取付け順序については、特に規定する必要がないので、周囲の状況により変えることは自由である。
従って、図2に記載の各排気管31,32に付した排気管形状の種類を表すアルファベットから判断できるように、左側第一排気管31及び、左側第二排気管32は右側第四排気管44及び右側第五排気管45と同じ形状の排気管とすることができる。
更に、右側の第一排気管41及び、右側第二排気管42は左側第四排気管34及び左側第五排気管35と同じ形状の排気管とすることができる。
また、左側第二排気管32と左側第三排気管33とが同一、右側第二排気管42と右側第三排気管43とが同一形状となっており、部品の共通化ができ、コスト低減が可能となっている。
排気マニホールドには複数の排気管間に蛇腹管を介装した構成としたので、内部を通過する排気ガス熱による排気管の軸線方向の熱変形を吸収するので、各排気管31,32に発生する応力を吸収できる効果を有している。
尚、本実施形態では排気マニホールドについて説明したが、マニホールド取付面が傾斜面を有する重量の大きい吸気管に使用しても、同様の効果を得られる。
2 排気コネクタ
3 左側集合排気管
4 右側集合排気管
5 排気マニホールド
6 蛇腹管
7 クリップバンド
11 シリンダヘッド
16 クランク軸
18 右側バンク
19 左側バンク
21 第一ガスケット
24 接合フランジ面
25 第二ガスケット
31 左側第一排気管
32 左側第二排気管
33 左側第三排気管
34 左側第四排気管
35 左側第五排気管
36 左側第六排気管
37 左側バイパス管
38 左上流側排気系
39 左下流側排気系
41 右側第一排気管
42 右側第二排気管
43 右側第三排気管
44 右側第四排気管
45 右側第五排気管
46 右側第六排気管
47 右側バイパス管
48 右上流側排気系
49 右下流側排気系
L クランク軸中心
M 左側ポート中心
N 右側ポート中心
Claims (4)
- 複数の気筒を有するV型エンジンの排気系に配置されるシリンダヘッドと、該シリンダベッドに設けられ燃焼室内の排ガスが排出される排気ポートと、該排気ポートの前記排気系下流側に配設され、前記各気筒からの排気ガスを集合して前記排気系下流側へ排出するバンク毎の集合排気管と、前記シリンダヘッドと前記集合排気管との間に介装され、前記各気筒毎の前記排気ポートに接続するように装着され排気ガスを前記集合排気管に導く排気コネクタとを備え、
さらに、シリンダヘッドの各バンクの上端面は右側のバンクは右側に傾斜し、左側のバンクは左側に傾斜して前記エンジンのクランク軸に対し左右対称に形成されるとともに、シリンダブロックの上面と平行な傾斜面に形成され、
該シリンダヘッドの上端面の前記傾斜面に前記排気ポートに接続する前記排気コネクタが締結され、
前記排気コネクタは前記シリンダヘッドの前記排気ポートの配設位置の傾斜面に沿った傾斜フランジを有し、前記シリンダヘッドに装着された前記排気コネクタは前記集合排気管との接合面が上側を向いた水平面となる接合フランジ面を有し、該接合フランジ面に前記集合排気管を載置した状態で前記集合排気管を前記接合フランジ面に締結できるように構成されたことを特徴とする排気マニホールド構造。 - 前記集合排気管は前記各排気コネクタと結合する複数に分割された排気管と、該複数の排気管の間には内部を排気ガスが通過すると共に、前記複数の排気管の軸線方向の熱変形を吸収する蛇腹管が介装されたことを特徴とする請求項1記載の排気マニホールド構造。
- 前記V型エンジンは前記クランク軸を中心にして夫々複数の気筒を有する右側バンクと左側バンクとを有し、前記左側及び右側バンクには夫々左側集合排気管及び、右側集合排気管が配設され、前記左側集合排気管は排気系上流側の複数の気筒から排出される排気ガスを集合する前記複数の排気管を有する左上流側排気系及び、排気系下流側の複数の気筒から排出される排気ガスを集合する前記複数の排気管を有する左下流側排気系を有し、前記右側集合排気管は排気系上流側の複数の気筒から排出される排気ガスを集合する前記複数の排気管を有する右上流側排気系及び、排気系下流側の複数の気筒から排出される排気ガスを集合する前記複数の排気管を有する右下流側排気系とから構成され、前記左上流側排気系と前記左下流側排気系及び、前記右上流側排気系と前記右下流側排気系夫々の軸線は前記左右夫々のバンクのシリンダヘッドに配設された上記排気コネクタの接合フランジ面の中心を連ねた排気コネクタ中心線に対して前記エンジンの幅方向に等間隔で振分けた構造とすることにより、前記左側又は、右側集合排気管の少なくとも何れか一方の前記排気系の上流側に配設された前記複数の排気管と、前記右側又は、左側集合排気管の少なくとも何れか他方の前記排気系の下流側に配設された前記複数の排気管とを共通化したことを特徴とする請求項2記載の排気マニホールド構造。
- 前記請求項2に記載の排気マニホールド構造からなる排気マニホールドを組み立てる排気マニホールド組立方法において、
前記排気コネクタを前記各シリンダヘッドの排気コネクタ取付面毎に、前記排気管との前記接合フランジ面が上側平面になるように位置決めして、第一ガスケットを介して、前記各シリンダヘッドに締結部材にて固定する第一工程と、
前記排気コネクタの前記接合フランジ面に前記分割された排気管を載置して、前記排気コネクタと前記排気管との位置決めをして、第二ガスケットを介して前記排気コネクタ毎に前記排気管を締結部材にて固定する第二工程と、
前記分割された排気管と前記分割された各排気管との間に前記蛇腹管を介装して、前記各排気管端部と前記蛇腹管端部との接合面外周部を覆うクランプ部材にて固定する第三工程と、
を有することを特徴とする排気マニホールド組立方法。
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