JP3790980B2 - 吸気マニホールド - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、吸気マニホールドに関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、図10の側面図で、また図11の平面図で示すように、シリンダヘッド51の上面にはロッカーカバー52が接合されており、また、吸気マニホールドMは、スロットルチャンバー取付フランジ54を有するサージタンク53と、吸気ブランチ管55で構成されて、吸気ブランチ管55のシリンダヘッド取付フランジ55aがシリンダヘッド51に接続されたものとなっており、また、ロッカーカバー52とサージタンク53間にはブローバイ配管56が配管されたものとなっている。
従来では、サージタンク53にスロットルチャンバーが取り付けられることにより、質量が大となり、運転中の振動を抑えるためにサポート57,58が設けられており、このサポート57及び58は、別部品としてサージタンク53とシリンダヘッド51間、あるいはサージタンク53とシリンダヘッド取付フランジ55a間にボルト59で締結されていた。しかし、このような構造では、サポート57,58が別体であり、構成部材が多くなり、ボルト59で取り付ける手間が掛かり、また、サポート57,58の締結位置の位置ズレが生ずると、サポート57,58或いは吸気マニホールドMに取付け時の応力が掛かるため、高い加工精度と、ボルト59の取付方向の規制が生じ、高価なものとなってしまうという問題点があった。
【0003】
そのような問題を解決するために、図13に示すように、サポート58を、サージタンク53及びシリンダヘッド取付フランジ55aに、S1及びS2で示す接合個所において、金属の場合には溶接あるいはロー付けで接合するとか、樹脂の場合には振動溶着などで接合したものが実施または考案されており、また、図14に示すように、サポート58を、サージタンク53とシリンダヘッド取付フランジ55aに鋳造あるいは樹脂の射出成形などで一体化する考案も成されている。
しかし、このような構造では、吸気ブランチ管55と共にサポート58もシリンダヘッド取付フランジ55aに取り付けられるものであるため、サージタンク53の部分の振動を低減するためには、サポート58の剛性及び取付剛性を高くする必要があり、サポート58の形状が複雑となり、質量が増大してしまうという問題点があった。
【0004】
また、従来では、エンジン運転中のブローバイガスを燃焼室へ導入するため、サージタンク53とロッカーカバー54を連通させるブローバイ配管56を外部配管として設置する必要があり、しかも図15の拡大図で示すように、ホース56a,コネクター56b,クリップ56c等の部品が必要となり、ブローバイ配管56の接続部からのオイル漏れとかリークなどの問題が発生し、信頼性が劣ってしまうという問題点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、サポートを必要とせずサージタンク部の振動を低減することができ、しかも、ブローバイ通路を安価に形成させることのできる吸気マニホールドを提供せんことを目的とし、その第1の要旨は、サージタンクと、該サージタンクに一端側が接続され他端側がシリンダヘッドに接続される吸気ブランチ管で構成される吸気マニホールドにおいて、前記サージタンクは、上サージタンクと下サージタンクに2分割されるとともに、該上サージタンクが前記シリンダヘッドに接合されるロッカーカバーと一体形成され、前記上サージタンクと前記ロッカーカバーが一体化された内部には、前記サージタンクとロッカーカバーとを直通するブローバイ通路が一体形成されていることである。
また、第2の要旨は、前記上サージタンクの下サージタンクに対する接合面と、前記ロッカーカバーのシリンダヘッドに対する接合面が平行に形成されていることである。
また、第3の要旨は、前記吸気ブランチ管が、金属パイプあるいは樹脂で形成されていることである。
【0006】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1の側面図で、また図2の平面図で示す第1実施例においては、シリンダヘッド1の上面側のフランジ部1aに対し、その上面にロッカーカバー2のフランジ部2aがボルト7で締め付け固定されて、接合面P1でシリンダヘッド1にロッカーカバー2が接合されており、このロッカーカバー2には、貫通部K,Kを介在させて側面側へ一体状に3本の連結部3,3,3が突出され、この各連結部3の外側にサージタンク上部4が一体化されたものとなっており、ロッカーカバー2と連結部3とサージタンク上部4は、鋳造あるいは樹脂で一体形成して製造されたもので、その連結部3内部に、ロッカーカバー2とサージタンク上部4を連通させるブローバイ通路9が一体形成されたものとなっている。
【0007】
サージタンク上部4の下面にはフランジ部4aが形成されており、分割されたサージタンク下部6の上面のフランジ部6aと、このサージタンク上部4のフランジ部4aがシールガスケットなどを介在させてボルト7で締め付けて、接合面P2で接合されたものとなっており、この接合面P2は前記接合面P1と平行をなす面に形成されている。また、サージタンク下部6には、パイプ状の吸気ブランチ管8の上端が接続されており、吸気ブランチ管8の下端のシリンダヘッド取付フランジ8aが、ボルトによりシリンダヘッド1に取り付けられたものとなっている。
【0008】
なお、前記ブローバイ通路9の部分の拡大断面図を図3に示し説明すると、ブローバイ通路9の端部にはPCVバルブ10が取り付けられ、または図4に示すように、ブローバイ通路9の一端側にオリフィス11を形成しても良く、このPCVバルブ10とかオリフィス11によりブローバイガスの流量調整機能をもたせることができる。
【0009】
なお、本例では、サージタンク上部4とロッカーカバー2を一体形成したものであるため、振動を抑えるための従来のような別体のサポート57,58が不要となり、部品点数を低減させ、組み付けコスト等も削減することができるものとなる。
また、ロッカーカバー2とサージタンク上部4を一体形成しても、その取り付けのための接合面P1,P2が、例えば図9に示すように平行でないと、僅かな位置ズレで片側が浮き上がり、面圧が均一とならず、シール不良の原因となるため、接合面P1,P2には高い精度の加工と、図9に示すように位置決めピン15などの位置決め部材が必要となるものであったが、本例では、接合面P1,P2は平行に形成されており、取付ボルト7の位置が多少ズレても、取り付ける時に浮き上がることがなく、一体形成したロッカーカバー2とサージタンク上部4を、良好にシリンダヘッド1及びサージタンク下部6に取り付けることが可能となる。
【0010】
また、サージタンク上部4とロッカーカバー2を一体化したことで、この両者を連通接続する連結部3内にブローバイ通路9を形成することができ、従来のようなコネクター56bとかホース56a等の部品をなくすることができ、また、ブローバイ通路9は内部に形成されているものであるため、オイル漏れとかリークなどの問題もなくなり、安価で信頼性の高い構造を得ることができるものとなり、しかも、ブローバイ通路にPCVバルブとかオリフィスを設けることにより、ブローバイガスの流量調整機構を容易に持たせることができるものとなる。
【0011】
また、本例では、吸気ブランチ管8は金属製パイプあるいは樹脂で形成されて、熱膨脹差による歪みを、この吸気ブランチ管8で良好に吸収し、サージタンク上部4とサージタンク下部6間の接合面P2に力が加わらないようにしており、接合面P2のシール性を確保できるように構成されている。
即ち、ロッカーカバー2の内部は、エンジンオイルが充満し、また冷却水が流れて、エンジンの運転中は高温となるが、吸気マニホールドM側のサージタンク4,6及び吸気ブランチ管8は、外部への放熱に加え、新気が流れるために冷やされることで、ロッカーカバー2と吸気マニホールドM間に大きな温度差が発生し、その結果、熱膨脹差が両者間で大となり、サージタンク上部4とサージタンク下部6間のシール性が不安定となり、接合面P2のズレを確実に防ぐためには接合面P2の剛性を大きくし、また取付ボルト7の径を太く、かつ本数を増やす必要があるが、本例では、吸気ブランチ管8で良好に熱膨脹差を吸収することができるため、フランジ部4a,6aの剛性を差ほど高くしなくても、またボルト7の太さとか本数を差ほど増やさなくても、良好に接合面P2のシール性を確保することができるものとなる。
【0012】
次に、図5に概略図で示すものは第2実施例であり、図5では、サージタンク下部6側に、スロットルチャンバーを取り付けるためのスロットルチャンバー取付フランジ5を一体形成したものであり、サージタンク上部4にはスロットルチャンバー取付フランジ5が存在しないために、ロッカーカバー2とサージタンク上部4を一体形成する型が単純化して成形が容易なものとなる。
【0013】
また、図6の概略図で示すものは第3実施例であり、図6では、サージタンク上部4にブランチ管上部8bを一体形成したものであり、ブランチ管上部8bの下面の接合面P2に、サージタンク下部6と吸気ブランチ管8の上端を接合することができるものである。
【0014】
さらに図7の側面図で、また図8の平面図で示す第4実施例においては、サージタンク上部4の上面側にスロットルチャンバー取付フランジ5を一体形成したものであり、このスロットルチャンバー取付フランジ5にスロットルチャンバー12を取り付けて、スロットルチャンバー12を連結部3に固定ボルト13で強固に固定することができ、この連結部3をスロットルチャンバー12のステーとして使用することができるものとなる。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、サージタンクと、該サージタンクに一端側が接続され他端側がシリンダヘッドに接続される吸気ブランチ管で構成される吸気マニホールドにおいて、前記サージタンクは、上サージタンクと下サージタンクに2分割されるとともに、該上サージタンクが前記シリンダヘッドに接合されるロッカーカバーと一体形成され、前記上サージタンクと前記ロッカーカバーが一体化された内部には、前記サージタンクとロッカーカバーとを直通 するブローバイ通路が一体形成されていることにより、従来のようなサージタンクの振動を抑えるためのサポート部材が不要となり、部品点数を減少させ、かつ組み付けが容易となり、コストを低減させることができるものとなる。
また、内部にブローバイ通路が一体形成されているため、従来のようなホースとかコネクター等の部品が不要となり、しかもブローバイ通路からのオイル漏れとかリークなどの問題もなくなり、安価で信頼性の高い構造を得ることができるものとなる。
【0016】
また、前記上サージタンクの下サージタンクに対する接合面と、前記ロッカーカバーのシリンダヘッドに対する接合面が平行に形成されていることにより、良好な取付精度が確保でき、接合面にはそれほど高い加工精度を必要とせず、また位置決めピンも不要となり、製作が容易で安価に形成することができるものとなる。
【0017】
また、前記吸気ブランチ管が、金属パイプあるいは樹脂で形成されていることにより、ロッカーカバー側とサージタンク側の熱膨脹差による歪みを良好に吸気ブランチ管で吸収することができ、サージタンクの接合面のシール性を確実なものとすることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の側面構成図である。
【図2】 図1の平面構成図である。
【図3】 ブローバイ通路の部分の断面図である。
【図4】 オリフィスを設けた場合のブローバイ通路の断面図である。
【図5】 第2実施例の側面構成図である。
【図6】 第3実施例の側面構成図である。
【図7】 第4実施例の側面構成図である。
【図8】 図7の平面構成図である。
【図9】 接合面が平行でない場合に、位置決めピン等が必要となる説明構成図である。
【図10】 従来のサポートを用いて補強をした構造の側面構成図である。
【図11】 図10の平面構成図である。
【図12】 従来のブローバイ配管の部分の拡大側面図である。
【図13】 従来の溶接またはロー付けによるサポートを備えた側面構成図である。
【図14】 さらに異なる従来のサポートを形成した側面構成図である。
【図15】 従来のブローバイ配管の断面構成図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド
1a フランジ部
2 ロッカーカバー
2a フランジ部
3 連結部
4 サージタンク上部
4a フランジ部
5 スロットルチャンバー取付フランジ
6 サージタンク下部
6a フランジ部
7 ボルト
8 吸気ブランチ管
8a シリンダヘッド取付フランジ
9 ブローバイ通路
10 PCVバルブ
11 オリフィス
12 スロットルチャンバー
13 スロットルチャンバー固定ボルト
P1,P2 接合面
Claims (3)
- サージタンクと、該サージタンクに一端側が接続され他端側がシリンダヘッドに接続される吸気ブランチ管で構成される吸気マニホールドにおいて、
前記サージタンクは、上サージタンクと下サージタンクに2分割されるとともに、該上サージタンクが前記シリンダヘッドに接合されるロッカーカバーと一体形成され、
前記上サージタンクと前記ロッカーカバーが一体化された内部には、前記サージタンクとロッカーカバーとを直通するブローバイ通路が一体形成されていることを特徴とする吸気マニホールド。 - 前記上サージタンクの下サージタンクに対する接合面と、前記ロッカーカバーのシリンダヘッドに対する接合面が平行に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸気マニホールド。
- 前記吸気ブランチ管が、金属パイプあるいは樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸気マニホールド。
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