JPH0686852U - 鋳片支持冷却装置用冷却水供給ノズル - Google Patents

鋳片支持冷却装置用冷却水供給ノズル

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JPH0686852U
JPH0686852U JP2995993U JP2995993U JPH0686852U JP H0686852 U JPH0686852 U JP H0686852U JP 2995993 U JP2995993 U JP 2995993U JP 2995993 U JP2995993 U JP 2995993U JP H0686852 U JPH0686852 U JP H0686852U
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water supply
cooling
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滋 斉藤
敬治 中島
敏彦 村上
徹 内村
孝志 浅里
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Nippon Steel Corp
Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コーナ縦割れの原因となるコーナ部過冷やコ
ーナ部の不均一冷却を防止する。 【構成】 鋳片保持のためのガイドロール1と冷却水供
給ノズルを一体構造となしたヘッダー部3を、油圧シリ
ンダ4で連続鋳造鋳片8に対して押し当てるように構成
された鋳片支持冷却装置に設置する冷却水供給ノズルで
あって、ノズル9の中央部に適数の縦型スリット9bを
開設するとともに、これら縦型スリット9bの上下にこ
れらを挟むように横型スリット9cを開設した構成とす
る。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、連続鋳造設備における鋳片支持冷却装置に取り付けるための冷却水 供給ノズルに関するものであり、特に凝固シェルの薄い高速鋳造時に使用し、コ ーナ縦割れの原因となるコーナ部過冷やコーナ部の不均一冷却の防止、及び鋳片 支持冷却装置を鋳型直下で使用する際に安全上問題となる鋳型内への冷却水吹き 込みを防止するための、鋳片支持冷却装置からの冷却水吹き上げを防止すること を目的とする鋳片支持冷却装置用冷却水供給ノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
連続鋳造において、生産量増加のために鋳造速度の高速化が要求されている。 しかし、鋳造速度の高速化にしたがって鋳型内で生成される凝固シェルは薄くな る。その結果、鋳型直下において凝固シェルの強度不足による鋳片バルジング、 さらには凝固シェル強度の弱い部分が内部の静鉄圧によって破断し、溶鋼が洩れ 出るブレークアウトが発生し易くなる。そこで、上記事情を鑑みた本考案者らは 、先に鋳片バルジングや溶鋼洩れによるブレークアウトを防止するため、鋳型直 下で鋳片を保持し、かつ、凝固シェルの強度を増加させる装置として、鋳片支持 冷却装置を特願平4−209795号で提案した。
【0003】 この特願平4−209795号で提案した鋳片支持冷却装置は、図19に示す ように、鋳片保持のためのガイドロール1と冷却水供給ノズル2が一体構造とな ったヘッダー部3と、このヘッダー部3を鋳片に押し当てる油圧シリンダ4とで 構成されたものであり、冷却水供給ノズル2は鋳造条件によって適宜変更できる 構造となっている。
【0004】 そして、この鋳片支持冷却装置において、より高い冷却効果を有するノズルと して、鋳片に直接冷却水を噴射する、図20に示すような、縦方向に例えば3本 のスリット5aを平行に配置した縦スリット型ノズル5と、図21に示すような 、横方向に例えば3本のスリット6aを平行に配置した横スリット型ノズル6を 提案した。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、この鋳片支持冷却装置を鋳型直下に配置して鋳片の短辺冷却に使用 する高速鋳造試験を行ったところ、通常のガイドロールによる鋳片保持と比較し て鋳片バルジング量の低減は確認できたが、鋳片のコーナ部に若干のコーナ縦割 れが発生したり、また鋳片支持冷却装置からの冷却水の吹き上げによると考えら れるブレークアウトが発生する傾向がみられた。
【0006】 本考案は上記したような本考案者らが先に提案した鋳片支持冷却装置に設置し 、コーナ部の過冷や不均一冷却によるコーナ縦割れの発生や鋳片支持冷却装置か らの冷却水の吹き上げによるブレークアウトの発生を防止できる鋳片支持冷却装 置用冷却水供給ノズルを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案者らは、上記した問題に対処するため、先ず、鋳片のコーナ部に若干の コーナ縦割れが発生する原因を冷間実験によって調査したところ、縦スリット型 ノズル5では、図22(a)に示すように、冷却水7がコーナ部に回り込む現象 がみられた〔図22(a)におけるハッチング部分〕。通常、ガイドロール1と 冷却水供給ノズル2の間には冷却水7を流すために1〔mm〕のギャップを設け ているが、上記した現象は鋳片8(冷間実験ではアクリル樹脂板)〜ガイドロー ル1間のギャップが大きくなるにしたがって顕著となる。これは、縦スリット型 ノズル5では、図23に示すように、横スリット型ノズル6に比べて冷却水の排 出角度・範囲が広いため、冷却水7の流速が小さくなっているが、鋳片8とガイ ドロール1のギャップにより流速がさらに小さくなるために冷却水7がコーナ部 に回り込み易くなったためと考えられる。従って、凝固シェルの凹凸によってさ らに冷却水7の回り込みが顕著になり、コーナ部が過冷になってコーナ縦割れが 発生し易くなると考えられる。
【0008】 一方、横スリット型ノズル6では、図22(b)に示すように、縦スリット型 ノズル5のように冷却水7のコーナ部への回り込みは発生しないが、図23(a ・b)に示すように、スリットエッジ部からコーナ部にかけて冷却水7が供給さ れない領域が発生する。これは供給する冷却水7を増加させても若干範囲が狭く なる程度で消失しない。そしてこの冷却水のむらによってコーナ部が鋳造方向に 不均一な冷却となり、コーナ部近傍の冷却バランスが崩れコーナ縦割れが発生し 易くなると考えられる。
【0009】 従って、コーナ縦割れを防止するためには、コーナ部の過冷を減少させて鋳片 鋳造方向の冷却を均一にすればよいことが判明した。第1の本考案鋳片支持冷却 装置用冷却水供給ノズルは以上の実験による知見に基づいてなされたものであり 、ノズルの中央部に適数の縦型スリットを開設するとともに、これら縦型スリッ トの上下にこれらを挟むように横型スリットを開設したことを要旨としている。
【0010】 次に、鋳片支持冷却装置からの冷却水の吹き上げ状況を調査するために冷間実 験を実施した。今回、冷却水の吹き上げ状況を評価するために、冷却水吹き上 げ高さ、冷却水飛散角度をそれぞれ図24・25に示すように定義した。ここ で、冷却水吹き上げ高さの基準線は鋳片8(冷間実験ではアクリル樹脂板)と第 1ガイドロール1(一番上方に位置するガイドロール)の接触箇所(第1ガイド ロールの中央)とし、鋳片相当部分上方に吹き上がった冷却水の高さを冷却水吹 き上げ高さとした。また、冷却水飛散角度は、鋳片と第1ガイドロール1の接触 位置に相当する基準線と冷却水飛散方向の上限がなす角度とした。
【0011】 図21に示す横スリット型ノズル6では、冷却水7が鋳片支持冷却装置の直上 に鋳片短辺に沿って吹き上がることが確認できた。この現象も、上記した冷却水 7がコーナ部に回り込む現象と同様、鋳片8〜ガイドロール1間のギャップが大 きくなるにしたがって冷却水吹き上げ量の増加が顕著となる。横スリット型ノズ ル6では、図26に示すように、冷却水7はスリット6aの上下方向に逃げ、通 常は他のスリット6aからの冷却水7と干渉、もしくはガイドロール1が抵抗と なって左右に排出されるが、ガイドロール1と鋳片間にギャップが発生すること によって、ガイドロール1による抵抗がなくなり、直上に吹き上がるものと考え られる。
【0012】 また、縦スリット型ノズル5では鋳片8〜ガイドロール1間のギャップにかか わらず、鋳片支持冷却装置直上への吹き上げはなかったものの、冷却水供給量の 増加にともない、大きな冷却水飛散角度をもって斜め上方へ飛散することが判っ た。縦スリット型ノズル5では、図27に示すように、冷却水はスリット5aの 左右方向に逃げるため、鋳片8とガイドロール1間のギャップには関係せず、冷 却水供給量の増加が影響する。冷却水飛散角度が小さい場合には、鋳型内への冷 却水吹き込みは起こらないが、飛散角度が大きい場合には、鋳型内への冷却水吹 き込みが懸念される。
【0013】 なお、第1の本考案冷却水供給ノズル9の場合にも鋳片8とガイドロール1間 にギャップが発生した場合には、横スリット型ノズル6に近い傾向で冷却水の吹 き上げは見られるものの、図28に示すように、横スリット型ノズル6に比べ中 央部に配置した縦型スリット9bからノズル上部へ流れる冷却水は少量であるの で、縦型スリット9bからノズル上部へ流れる冷却水の干渉は弱く、上方への流 れの圧力は横スリット型ノズル6と比較して弱くなり、冷却水の吹き上げ高さは 低くなると考えられる。
【0014】 したがって、鋳片支持冷却装置から鋳型内への冷却水吹き込みを防止するため には、鋳片支持冷却装置から直上への冷却水吹き上げをなくし、冷却水飛散角度 を低く抑える必要があることが判明した。第2の本考案鋳片支持冷却装置用冷却 水供給ノズルは以上の実験による知見に基づいてなされたものであり、第1の本 考案ノズルにおける縦型スリット及び横型スリットに代えて、適数のハの字型ス リットを開設したことを要旨としているのである。
【0015】 なお、前記した各ノズルともに冷却水供給量を低く抑えることにより冷却水吹 き上げは低くできるが、冷却水供給量の減少による冷却水吹き上げ防止は冷却能 の低下を招くので好ましくない。
【0016】
【作用】
第1の本考案の鋳片支持冷却装置用冷却水供給ノズルは、ノズルの中央部に適 数の縦型スリットを開設するとともに、これら縦型スリットの上下にこれらを挟 むように横型スリットを開設しているので、図4・5(e)(f)に示すように 、冷却水の排出方向や範囲を横スリット型ノズル並に抑制しつつ、縦スリット型 ノズルのように均一な冷却が可能となる。
【0017】 表1に各ノズルの対応を示したが、この表1より明らかなように、縦スリット 型ノズルや横スリット型ノズルにおける問題点が、本考案ノズルでは解決されて いることがわかる。
【0018】
【表1】
【0019】 また、第2の本考案の鋳片支持冷却装置用冷却水供給ノズルは、第1の本考案 ノズルにおける縦型スリット及び横型スリットに代えて、適数のハの字型スリッ トを開設しているので、図16に示すように、冷却水吹き上げ高さを可及的に低 くできて、かつ、冷却水飛散角度を低く抑えることが可能となる。
【0020】 表2に各ノズルの対応を示したが、この表2より明らかなように、各ノズルに おける問題点が、第2の本考案ノズルでは解決されていることがわかる。
【0021】
【表2】
【0022】
【実施例】
以下、第1の本考案の鋳片支持冷却装置用冷却水供給ノズルを図1に示す1実 施例に基づいて説明し、併せてこの第1の本考案ノズルの効果を確認するために 行った実験結果に言及する。
【0023】 図1において、9は第1の本考案の冷却水供給ノズルであり、ノズル本体9a の前面中央部に例えば3つの縦型スリット9bを開設するとともに、これら3つ の縦型スリット9bの上下にこれらを挟むように横型スリット9cを開設し、こ れらスリット9b・9cへは冷却水の供給通路9dを介して、ノズル本体9aの 裏面側から冷却水が供給できるようになっている。
【0024】 上記した構成の第1の本考案の冷却水供給ノズル9を、図19に示す鋳片支持 冷却装置に設置して、冷間実験を行った。この冷間実験には、比較のため、図2 0に示す構造の縦スリット型ノズル5と、図21に示す構造の横スリット型ノズ ル6を設置した場合についても行った。この冷間実験の条件を表3に示す。
【0025】
【表3】
【0026】 鋳片支持冷却装置は、100〔mm〕厚さの鋳片の短辺側を保持するためにそ の幅を92〔mm〕とし、また、冷却水供給ノズルのサイズは、幅60〔mm〕 、高さ105〔mm〕である。冷却水供給ノズル5とガイドロール1間には冷却 水を排出するために1〔mm〕のギャップを設けた。冷却水は表2のようにノズ ル1個当たり40,60,80,100〔l/分〕の条件で供給した。
【0027】 実験の配置を図3に示す。疑似鋳片8’には100〔mm〕幅のアクリル樹脂 板を使用した。鋳片支持冷却装置のガイドロール1を疑似鋳片8’に押し当て、 疑似鋳片8’を通して冷却水供給ノズル5から噴出した冷却水の排水状態(排 水パターン,排水角度,排水領域)と、実験装置の上方から見た冷却水の排水 状態を観察した。
【0028】 先ず、疑似鋳片8’を通して冷却水供給ノズル5から噴出した冷却水の排水状 態を観察した結果を図4・5に示す。このうち、図4は冷却水供給ノズル5への 冷却水供給量が40〔l/分〕の場合、図5は同じく100〔l/分〕の場合の 結果であり、それぞれ(a)は縦スリット型ノズル5の場合における排水パター ン、及び排出方向を示す正面図、(b)は(a)図の側面図、(c)は横スリッ ト型ノズル6の場合における(a)図と同様の図、(d)は(c)図の側面図、 (e)は第1の本考案ノズル9の場合における(a)図と同様の図、(f)は( e)図の側面図を示す。
【0029】 冷却水の排水パターンを観察した場合、横スリット型ノズル6では、図4・5 (c)に示すように、ノズル6のエッジ部から疑似鋳片8’のコーナ部にかけて 冷却水7が供給されない領域(冷却むら)が発生する。これはノズル6への供給 量が多くなった場合も、冷却むらの領域は若干減少するものの、消失しない。ま た、この冷却むらは、疑似鋳片8’とガイドロール1間のギャップの変化によっ ては変化しない。この冷却むらは鋳造方向の冷却を不均一にし、コーナ部の冷却 バランスをくずし、コーナ縦割れ発生の原因となっていると考えられる。 一方、他のノズル5・9では、図4・5(a)(e)に示すように、冷却むら は発生せず、均一に冷却されている。
【0030】 次に、冷却水の排水方向、及び領域について観察した場合、横スリット型ノズ ル6及び本考案ノズル9では、ほぼ真横に排水されている〔図4・5(c)(e )〕。これに対して、縦スリット型ノズル5では排出方向に上下方向の角度を持 ち、ノズル5の斜め上方向から斜め下方向に均一に排水される〔図4・5(a) 〕。この状態を鋳片支持冷却装置の側面から見ると、鋳片支持冷却装置と疑似鋳 片8’のギャップから排出される冷却水7の排出領域は、第1の本考案ノズル9 と横スリット型ノズル6ではほぼ等しいが〔図4・5(d)(f)〕、縦スリッ ト型ノズル5ではこの範囲が非常に大きくなっている〔図4・5(b)〕。疑似 鋳片8’とガイドロール1間にギャップがない場合に、鋳片支持冷却装置の側面 にて疑似鋳片8’のギャップから排出する冷却水の流速を測定した。その結果を 図6に示すが、第1の本考案ノズルは横スリット型ノズルとほぼ同等の流速が確 保できているのが判る。それに対して、縦スリット型ノズルでは流速が非常に遅 くなっている。縦スリット型ノズルにおいて、流速が遅いのは非常におおきな排 水範囲であることが影響していると考えられる。
【0031】 次に、実験装置の上方から見た冷却水の排水状態の観察スケッチを図7・8に 示す。図7は疑似鋳片8’とガイドロール1間にギャップがない場合、図8は疑 似鋳片8’とガイドロール1間に0.8〔mm〕のギャップを設けた場合のもの で、それぞれ(a)は縦スリット型ノズル5、(b)は横スリット型ノズル6、 (c)は本考案ノズル9を示す。
【0032】 図7・8に示すように、縦スリット型ノズル5では、冷却水7は疑似鋳片8’ の短辺面と平行に排出されずに、やや長辺よりに排出され、また、冷却水7がコ ーナ部を回り込んで長辺面に流れ出る現象が見られた。この冷却水7の回り込み 現象は、疑似鋳片8’とガイドロール1間にギャップがない場合〔図7〕でも、 ギャップがある場合〔図8〕でも発生するが、ギャップがある場合にはさらにこ の傾向が強くなり、冷却水7のコーナ部への回り込みは多くなった。また、ノズ ル5に供給する冷却水量を増やしても、先の冷却水流速とノズル供給水量の関係 から、縦スリット型ノズル5では冷却水流速が顕著に変化しないのでその傾向は 変わらない。この縦スリット型ノズル5における冷却水7の回り込み傾向は、鋳 片支持冷却装置と疑似鋳片8’のギャップから排出する冷却水7の流速が非常に 小さくなっていることが原因と考えられ、この冷却水7の回り込みによってコー ナ部が過冷となり、コーナ縦割れの発生する原因となと考えられる。
【0033】 これに対して、他の2つのノズル6・9では、冷却水は疑似鋳片8’の短辺面 と平行に排出され、縦スリット型ノズル5で問題となったコーナ部への冷却水7 の回り込みは見られなかった。疑似鋳片8’とガイドロール1間にギャップが発 生した場合でもこの傾向は変わらず、コーナ部への回り込みは見られない。
【0034】 次に、鋳片支持冷却装置に各タイプのノズル5・6・9を取り付け、溶鋼によ る鋳造実験を実施した際の結果について説明する。 この際、鋳片支持冷却装置は、図9に示すように、鋳型直下における鋳片8の 短辺冷却用として使用した。鋳造条件を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】 図10に、各ノズル5・6・9におけるコーナ縦割れ状況(指数)を鋳造速度 ごとに示した。本考案ノズル9では、縦スリット型ノズル5及び横スリット型ノ ズル6と比較してコーナ縦割れが減少しているのが判る。これは、冷却水排出速 度の増加によりコーナ部への冷却水の巻き込みがなくなったために、コーナ部の 過冷が防止できたことと、冷却むらのない排水パターンにより鋳片8全体にわた って均一冷却が可能になったためと考えられる。
【0037】 次に、第2の本考案の鋳片支持冷却装置用冷却水供給ノズルを図2に示す1実 施例に基づいて説明し、併せてこの第2の本考案ノズルの効果を確認するために 行った実験結果に言及する。
【0038】 図2において、10は第2の本考案の冷却水供給ノズルであり、ノズル本体1 0aの前面に例えば3つのハの字型スリット10bを開設し、このハの字型スリ ット10bへは冷却水の供給通路10cを介して、ノズル本体10aの裏面側か ら冷却水が供給できるようになっている。
【0039】 上記した構成の第2の本考案の冷却水供給ノズル10を、図19に示す鋳片支 持冷却装置に設置して、冷間実験を行った。この冷間実験には、比較のため、図 20に示す構造の縦スリット型ノズル5と、図21に示す構造の横スリット型ノ ズル6、及び図1に示す構造の第1の本考案ノズル9を設置した場合についても 行った。この冷間実験の条件は、先の冷間実験の冷却水供給量をノズル1個当た り50,75,95〔l/分〕とした他は、表3と同じである。
【0040】 実験の配置も先の冷間実験と同じであり、鋳片支持冷却装置のガイドロール1 を疑似鋳片8’に押し当て、疑似鋳片8’を通して、冷却水の吹き上げ高さと 、冷却水の飛散角度を観察した。
【0041】 先ず、疑似鋳片8’を通して各ノズル5・6・9・10の冷却水の吹き上げ状 況を観察した結果のスケッチを図11〜図14に示す。これらの図においてそれ ぞれ、(a)図は疑似鋳片8’とガイドロール1間のギャップが0〔mm〕で、 冷却水供給ノズルへの冷却水供給量が50〔l/分〕の場合、(b)図は同じく ギャップが0〔mm〕で冷却水供給量が95〔l/分〕の場合、(c)図は同じ くギャップが0.75〔mm〕で冷却水供給量が50〔l/分〕の場合、(d) 図は同じくギャップが0.75〔mm〕で冷却水供給量が95〔l/分〕の場合 の結果であり、それぞれ図11は横スリット型ノズル6、図12は縦スリット型 ノズル5の場合、図13は第1の本考案ノズル9の場合、図14は第2の本考案 ノズル10の場合である。
【0042】 先ず、冷却水の吹き上げ高さ測定した結果を図15に示すが、横スリット型ノ ズル6では、疑似鋳片8’とガイドロール1間にギャップがない場合には、冷却 水量が増加しても冷却水の吹き上げはない。しかし、疑似鋳片8’とガイドロー ル1間のギャップが0.35〔mm〕、0.75〔mm〕と増加するに従って急 激に吹き上げ高さが増加する。
【0043】 また、縦スリット型ノズル5では、疑似鋳片8’とガイドロール1間のギャッ プがない場合でも冷却水の吹き上げは発生するが、疑似鋳片8’とガイドロール 1間のギャップが増加しても横スリット型ノズル6に比べて冷却水の吹き上げ高 さの変化量はわずかである。
【0044】 また、第1の本考案ノズル9では、横スリット型ノズル6と同様、疑似鋳片8 ’とガイドロール1間のギャップが大きい程冷却水の吹き上げ高さは大きくなる 傾向があるが、吹き上げ高さは横スリット型ノズル6よりも低い。 さらに、これらのノズル5・6・9では共に、冷却水の供給量の増加に伴って 吹き上げ高さは増加する傾向にある。
【0045】 これに対して、第2の本考案ノズル10では、疑似鋳片8’とガイドロール1 間のギャップが増加しても、また、冷却水供給量が増加しても冷却水の吹き上げ は観測されなかった。これは、図16に示すように、スリットをハの字型とする ことで冷却水の吹き出し時の圧力が下方に作用し、上方への冷却水吹き出し圧力 が低下するので、疑似鋳片8’とガイドロール1間のギャップが増加した場合に おいても冷却水の吹き上げが発生しないものと考えられる。
【0046】 次に、冷却水飛散角度の測定結果を図17に示す。 全ノズル共に冷却水供給量の増加に伴って冷却水の飛散角度は増加する傾向に あるが、横スリット型ノズル6と第1の本考案ノズル9は他のノズルに比べて冷 却水の飛散角度は低く、95〔l/分〕の冷却水供給量の場合でも基準線に対し て平行に飛散する。飛散角度は疑似鋳片8’とガイドロール1間のギャップの増 加に伴って減少する。しかし、縦スリット型ノズル5では、冷却水の供給量が少 ない場合でも冷却水飛散角度が大きく、95〔l/分〕の冷却水供給量の場合に は、70〔°〕の角度で冷却水が飛散する。これが原因となって、冷却水が鋳型 内へ吹き込むものと考えられる。
【0047】 これに対して、第2の本考案ノズル10では、横スリット型ノズル6よりも冷 却水の飛散角度は大きいものの、縦スリット型ノズル5に比べて半分以下の飛散 角度となっている。また、冷却水飛散角度は冷却水の供給量が75〔l/分〕以 上の場合にも横ばい傾向にあり、30〔°〕が冷却水飛散角度の限界と考えられ る。すなわち、第2の本考案ノズル10にあっては、冷却水飛散角度が小さいの で鋳型内への冷却水の吹き込みは無視できる。
【0048】 次に、鋳片支持冷却装置に各タイプのノズル5・6・9・10を取り付け、溶 鋼による鋳造実験を実施した際の結果について説明する。 この際、鋳片支持冷却装置は鋳型直下における鋳片8の短辺冷却用として使用 した。鋳造条件は、ノズル1個あたりの冷却水供給量を75〔l/分〕、鋳造速 度を4.0〔m/分〕の一種類とし、また、ノズルは第1段ノズルのみ各タイプ のノズル5・6・9・10を取り付け、第2・3段ノズルは全て縦スリット型ノ ズル5とした他は先の表4に示す条件と同じである。
【0049】 図18に、各ノズル5・6・9・10におけるブレークアウト発生のストラン ド比率を示した。横スリット型ノズル6は鋳型直下の鋳片の凹凸によりガイドロ ール1と鋳片8間にギャップが発生して冷却水を吹き上げ、鋳型内に冷却水を吹 き込んでブレークアウトが発生したものと考えられる。また、縦スリット型ノズ ル5では冷却水の飛散角度が大きいので、冷却水が鋳型内に吹き込み易く、さら に鋳片支持冷却装置からも若干冷却水を吹き上げているために冷却水が鋳型内に 吹き込み、ブレークアウトが発生したと考えられる。但し、縦スリット型ノズル 5は横スリット型ノズル6と比べて直上への吹き上げが少ないので、ブレークア ウトの発生率は若干低くなっている。また、第1の本考案ノズル9では、冷却水 の吹き上げが少ないので、ブレークアウトの発生率は非常に少ない。これに対し て、第2の本考案ノズル10では、他のノズル5・6・9に比べてブレークアウ トが完全に防止できているのが判る。
【0050】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案の冷却水供給ノズルにあっては、冷却水がコーナ 部に回り込むことによって発生するコーナ部の過冷が防止できるとともに、冷却 水むらが防止できるので鋳造方向の均一冷却が達成できる。さらに、第2の本考 案の冷却水供給ノズルにあっては、鋳片支持冷却装置からの冷却水の吹き上げを 、ノズルへの冷却水供給量を減少させることなく防止できるので、鋳型内への冷 却水吹き込みに起因するブレークアウトを防止することができる。
【0051】 なお、本実施例では、鋳片の短辺側に本考案ノズルを配置したものについての み説明したが、長辺側に設置したり、また、両辺に設置してもよいことは言うま でもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の本考案冷却水供給ノズルを示す図であ
り、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は下面図
である。
【図2】第2の本考案冷却水供給ノズルを示す図であ
り、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は下面図
である。
【図3】冷間実験の際の疑似鋳片と鋳片支持冷却装置の
位置関係を示す図であり、(a)は全体斜視図、(b)
は部分正面図、(c)は部分側面図である。
【図4】冷却水供給ノズルへの冷却水供給量が40〔l
/分〕の場合における排水パターン、及び排出方向を示
す図で、(a)は縦スリット型ノズルの場合の正面図、
(b)は(a)図の側面図、(c)は横スリット型ノズ
ルの場合の正面図、(d)は(c)図の側面図、(e)
は第1の本考案ノズルの場合の正面図、(f)は(e)
図の側面図である。
【図5】図4と同様の図であり、冷却水供給ノズルへの
冷却水供給量が100〔l/分〕の場合の結果を示す。
【図6】冷間実験により得た冷却水水膜流速と冷却水供
給量の関係を示す図である。
【図7】疑似鋳片とガイドロール間にギャップがない場
合の実験装置の上方から見た冷却水の排水状態の観察ス
ケッチで、(a)は縦スリット型ノズル、(b)は横ス
リット型ノズル、(c)は第1の本考案ノズルを示す。
【図8】疑似鋳片とガイドロール間に0.8〔mm〕の
ギャップを設けた場合の図7と同様の図である。
【図9】鋳造実験を実施した際における、鋳片と鋳片支
持冷却装置の位置関係を示す図である。
【図10】各ノズルにおけるコーナ縦割れ指数を各鋳造
速度毎に示した図である。
【図11】疑似鋳片を通して横スリット型ノズルの冷却
水の吹き上げ状況を観察した結果のスケッチを示す図で
あり、(a)図は疑似鋳片とガイドロール間のギャップ
が0〔mm〕で、冷却水供給ノズルへの冷却水供給量が
50〔l/分〕の場合、(b)図は同じくギャップが0
〔mm〕で冷却水供給量が95〔l/分〕の場合、
(c)図は同じくギャップが0.75〔mm〕で冷却水
供給量が50〔l/分〕の場合、(d)図は同じくギャ
ップが0.75〔mm〕で冷却水供給量が95〔l/
分〕の場合の結果である。
【図12】縦スリット型ノズルの場合の図11と同様の
図面である。
【図13】第1の本考案ノズルの場合の図11と同様の
図面である。
【図14】第2の本考案ノズルの場合の図11と同様の
図面である。
【図15】冷却水供給量と吹き上げ高さの関係図であ
る。
【図16】第2の本考案ノズルの冷却水吹き上げ防止原
理の説明図である。
【図17】冷却水供給量と冷却水飛散角度との関係を示
す図面である。
【図18】各ノズルを使用して鋳造実験を行った際のブ
レークアウト発生率を示した図面である。
【図19】特願平4−209795号で提案した鋳片支
持冷却装置の説明図であり、(a)は全体斜視図、
(b)は縦断面図である。
【図20】縦スリット型ノズルを示す図であり、(a)
は正面図、(b)は側面図、(c)は下面図である。
【図21】横スリット型ノズルを示す図であり、(a)
は正面図、(b)は側面図、(c)は下面図である。
【図22】冷却水回り込みの説明図で、(a)は縦スリ
ット型ノズル、(b)は横スリット型ノズルを示す。
【図23】冷却むらの説明図で、(a)は横スリット型
ノズルの場合の正面図、(b)は(a)図のa−a断面
図、(c)は縦スリット型ノズルの場合の正面図、
(d)は(c)図のc−c断面図を示す。
【図24】冷却水吹き上げ高さの定義図である。
【図25】冷却水飛散角度の定義図である。
【図26】横スリット型ノズルにおける冷却水排水パタ
ーンを示す図である。
【図27】縦スリット型ノズルにおける冷却水排水パタ
ーンを示す図である。
【図28】第1の本考案ノズルにおける冷却水排水パタ
ーンを示す図である。
【符号の説明】
9 第1の本考案ノズル 9b 縦型スリット 9c 横型スリット 10 第2の本考案ノズル 10b ハの字型スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 村上 敏彦 茨城県鹿島郡鹿島町大字光3番地 住友金 属工業株式会社鹿島製鉄所内 (72)考案者 内村 徹 愛媛県新居浜市惣開町5番2号 住友重機 械工業株式会社新居浜製造所内 (72)考案者 浅里 孝志 愛媛県新居浜市惣開町5番2号 住友重機 械工業株式会社新居浜製造所内

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳片保持のためのガイドロールと冷却水
    供給ノズルを一体構造となしたヘッダー部を、油圧シリ
    ンダで連続鋳造鋳片に対して押し当てるように構成され
    た鋳片支持冷却装置に設置する冷却水供給ノズルであっ
    て、ノズルの中央部に適数の縦型スリットを開設すると
    ともに、これら縦型スリットの上下にこれらを挟むよう
    に横型スリットを開設したことを特徴とする鋳片支持冷
    却装置用冷却水供給ノズル。
  2. 【請求項2】 前記縦型スリット及び横型スリットに代
    えて適数のハの字型スリットを開設したことを特徴とす
    る請求項1記載の鋳片支持冷却装置用冷却水供給ノズ
    ル。
JP2995993U 1993-06-04 1993-06-04 鋳片支持冷却装置用冷却水供給ノズル Pending JPH0686852U (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006349252A (ja) * 2005-06-15 2006-12-28 Tlv Co Ltd 気化冷却装置
JP2006349253A (ja) * 2005-06-15 2006-12-28 Tlv Co Ltd 気化冷却装置

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JP2006349252A (ja) * 2005-06-15 2006-12-28 Tlv Co Ltd 気化冷却装置
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