JPH0685386A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

半導体レーザ素子

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JPH0685386A
JPH0685386A JP23394992A JP23394992A JPH0685386A JP H0685386 A JPH0685386 A JP H0685386A JP 23394992 A JP23394992 A JP 23394992A JP 23394992 A JP23394992 A JP 23394992A JP H0685386 A JPH0685386 A JP H0685386A
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JP
Japan
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quantum well
semiconductor laser
layer
laser device
film
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Application number
JP23394992A
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English (en)
Inventor
Akihiro Matsumoto
晃広 松本
Tadashi Takeoka
忠士 竹岡
Kazuaki Sasaki
和明 佐々木
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 戻り光量が増大してもそれによって誘起され
る雑音を抑制し、高出力動作下においても優れた信頼性
を有する半導体レーザ素子を提供する。 【構成】 基板上に量子井戸層と、量子井戸層に隣接す
るバリア層とを有する活性層が設けられた半導体レーザ
素子である。一対の光出射端面の一方の端面上には反射
率が20%以上の絶縁膜が設けられ、他方の端面上には
反射率が60%以上の絶縁膜が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高出力動作が可能であ
り、低雑音特性を有する半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】高出力動作を有する半導体レーザ素子
は、例えば書換え可能な光ディスク装置の光源として幅
広く利用されている。このような半導体レーザ素子を光
ディスクの光源として用いる場合には、出射されたレー
ザ光は、一部がディスク面等で反射されて戻り光とな
り、この戻り光が素子内部の光と結合して雑音を誘起し
て信号再生時に読取エラーが起こるという問題がある。
特に高出力動作を有する半導体レーザ素子は、光取り出
し効率を上げるために光出射端面の反射率を10%程度
以下に低下させているので、戻り光が半導体レーザ素子
の共振器内部に戻って、さらに雑音が増大してしまう。
【0003】このような戻り光が誘起する雑音を低減す
るために、例えば半導体レーザ素子の駆動電流に高周波
重畳電流を印加して多重縦モード発振を起こすことが行
われている。多重縦モード発振を起こすと、時間的なコ
ヒーレンスが低下するので、戻り光の影響が少なくな
り、雑音が低下する。
【0004】また、半導体レーザ素子の光出射端面の反
射率を高くして、戻り光がレーザ共振器内部に入射する
光量を少なくし、かつ時間的なコヒーレンスを高くし
て、戻り光による雑音を低下させる試みが松井などによ
り行われている(APPLIED OPTICS Vol.23, No.22 (198
4))。この方法は、液晶成長(LPE)法により作製し
たDH(Double Hetero)構造の活性層を有するVSI
S(V-channeled Substrate Inner Stripe)レーザの光出
射端面に反射率75%の高反射膜を形成するものであ
り、これによると、戻り光のレーザ共振器内部への入射
量が低下し、かつ非発振モードが抑制されて縦モードが
安定化するため、戻り光による雑音が低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記第1の方
法、すなわち半導体レーザ素子に高周波重量電流を印加
する方法では、通常の半導体レーザ駆動回路に加えて、
高周波回路を印加するための回路を外付けする必要があ
る。また、一般に高周波回路は通常の電子回路に比べて
取扱いが複雑であり、このような回路を組み込んだ場
合、装置外部への高周波の不要輻射等を抑制するために
シールドが必要であり、高周波重畳を用いないシステム
に比べて小型化、低コスト化には不利になる。
【0006】上記第2の方法、すなわち半導体レーザ素
子の端面反射率を高くする方法では、ある一定の戻り光
量までは誘起される雑音を減少させることは可能である
が、その量を越えて戻り光量が増大すると急激に雑音が
増大する。上記文献によれば、戻り光量が0.5%以上
になると雑音の増大が生じることがわかっている。光デ
ィスクからの戻り光量は1%以上であることが多いの
で、この方法では雑音が充分に抑制されない。
【0007】本発明は、上記従来の問題点を解決するも
のであり、その目的とするところは、戻り光量が増大し
てもそれによって誘起される雑音を抑制して優れた低雑
音特性を示し、しかも高出力動作でも優れた信頼性を有
する半導体レーザ素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体レーザ素
子は、基板上に活性層が設けられ、その活性層が単数ま
たは複数の量子井戸層と、量子井戸層に隣接するバリア
層とを有する半導体レーザ素子において、一対の光出射
端面の一方の端面上に反射率が20%以上の絶縁膜が設
けられ、他方の端面上に反射率が60%以上の絶縁膜が
設けられ、そのことにより上記目的が達成される。
【0009】好適な実施態様としては、上記活性層は、
上記量子井戸層が前記基板との間に格子不整合がある歪
み量子井戸構造からなる。
【0010】好適な実施態様としては、上記量子井戸層
はアンドープで、上記バリア層は不純物がドープされて
いる。
【0011】好適な実施態様としては、上記光出射端面
の少なくとも一方の端面上に上記活性層よりも大きい禁
制帯幅を有する半導体窓層が形成されている。
【0012】
【作用】本発明の半導体レーザ素子は、量子井戸型の活
性層を有し、また一対の光出射端面のうち一方の端面に
は反射率20%以上の絶縁膜を有し、他方の端面には反
射率が60%以上の絶縁膜を有する。
【0013】光出射端面の反射率が20%以上であるこ
とはすなわち、半導体レーザ素子から出射されたレーザ
光が、光ディスクなどで反射された戻り光と結合するこ
とを防止し、これによって誘起される雑音を低減する。
さらに、両端面に形成された絶縁膜の反射率が大きいの
で、端面劣化が抑制される。
【0014】また、量子井戸構造の活性層を有する半導
体レーザ素子は、活性層が100オングストローム以下
の薄層であるので、量子サイズによってキャリアの分布
が最低の量子準位に集中した形になる。従って、発振モ
ードに利得が集中してその強度が増大し、非発振モード
が大幅に抑制される。この場合、戻り光が増大しても非
発振モードが増大することはないので、これに起因した
雑音が発生しにくくなる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0016】(実施例1)図1は本発明の実施例1の半
導体レーザ素子の製造工程を示す図である。図2は、図
1のA−A'線に沿った断面図であり、図3は、図1の
量子井戸構造の構成例を示す。このような半導体レーザ
素子は以下のように作製された。
【0017】まず、p型GaAs基板100上に、分子
線エピタキシー(MBE)法により、n型GaAsバッ
ファ層101、n型Al0.5Ga0.5Asクラッド層10
2、量子井戸構造103、p型Al0.5Ga0.5Asクラ
ッド層104、n型GaAs電流阻止層105を順次成
長させる。次いで化学エッチングにより、n型GaAs
電流阻止層105を貫きp型Al0.5Ga0.5Asクラッ
ド層104に達するストライプ溝106を形成した後、
MBE法によりストライプ溝106を埋め込むように、
p型Al0.5Ga0.5Asクラッド層107、p型GaA
sコンタクト層108を順次成長させる。本発明実施例
においては量子井戸構造103は、図3に示すような多
重量子井戸(MQW)構造であり、3層のAl0.1Ga
0.9As量子井戸層109と、Al0.35Ga0.65Asバ
リア層110と、Al0.35Ga0.65Asガイド層111
とから構成されている。なお、Al0.1Ga0.9As量子
井戸層109の層厚は70オングストロームである。
【0018】このようにして得られたウエハを劈開する
ことにより、光出射端面112、113を形成する。こ
こで、共振器長は250μmである。そして、これらの
端面上に、有機金属気相成長法(MOCVD法)によ
り、アンドープのAl0.5Ga0 .5As半導体窓層11
4、115を成長させる。
【0019】さらに、真空蒸着法により、これら端面の
半導体窓層114の表面には、Al23誘電体膜(厚さ
120nm)と、Si膜(厚さ60nm)と、Al23誘電
体膜(厚さ240nm)とをこの順に積層した3層からな
る絶縁膜116を形成し、他方、その反対側の半導体窓
層115の表面には、レーザからの光取り出し効率を上
げるために、Al23誘電体膜(厚さ120nm)と、S
i膜(厚さ60nm)と、Al23誘電体膜(厚さ120n
m)と、Si膜(厚さ60nm)と、Al23誘電体膜
(厚さ240nm)とをこの順に積層した5層からなる絶
縁膜117を形成する。なお、絶縁膜116側は、反射
率が50%となるようにし、絶縁膜117側の反射率は
95%とした。次いで、n型電極を基板100側に、p
型電極をp型コンタクト層108側に形成した。
【0020】このようにして得られた半導体レーザ素子
は、反射率が50%である絶縁膜116側の端面を光出
射側として、ヒートシンクにマウントし、駆動電流を印
加したところ、波長780nmのレーザ光を出射した。そ
して、この半導体レーザ素子の非発振モードの抑制効
果、相対雑音強度等について調べた。
【0021】まず、非発振モードの抑制効果を定量的に
調べるために、非発振モードの非発振モードに対する強
度比(モード比)を調べた。図4は、レーザの光出力と
モード比との関係を示す。実線は、本実施例で得られた
半導体レーザ素子に関するデータであり、破線は、比較
のために作製した、ダブルへテロ(DH)構造を有し、
端面反射率が50%である、従来の半導体レーザ素子に
関するデータである。それによると、本実施例の半導体
レーザ素子のモード比は、従来の半導体レーザ素子より
も全体的に高くなっており、光出力3mWの場合では、
本実施例の半導体レーザ素子の方が従来に比べてモード
比が10dB高くなっている。すなわち、本実施例の半
導体レーザ素子は、非発振抑制効果が優れていることが
わかる。これは、活性層が100オングストローム以下
の薄層である本実施例の量子井戸レーザでは、量子サイ
ズ効果により、キャリアの状態密度が階段状の分布を形
成するため、キャリアの分布が最低の量子準位に集中し
て、レーザの利得スペクトルが狭くなるからである。
【0022】図5にレーザ発振前の利得スペクトルを、
本実施例の半導体レーザ素子と従来のDHレーザとにつ
いて示す。横軸に示した波長の目盛りは、レーザの縦モ
ードを示している。レーザ発振が起こると複雑な複数の
縦モードの内から1つの縦モードが選択されて、それが
発振モードとなる。発振モードは利得を得て強度が増大
するが、それ以外のモードは非発振モードになって、強
度はそれほど大きくならない。本実施例の量子井戸レー
ザでは、スペクトル強度の半値幅がDHレーザの約1/
2〜1/3になっている。すなわち、本実施例の量子井
戸レーザの場合、利得スペクトルが狭いので、発振モー
ドに集中して利得が与えられる。これにより、上述の量
子井戸レーザの非発振モードを抑制する効果が優れる理
由が明らかとなる。
【0023】次に、本実施例で得られた半導体レーザ素
子の戻り光量に対する出力光の相対雑音強度の特性を図
6に示す。実線は、本実施例で得られた半導体レーザ素
子に関するデータであり、破線は、比較のために作製し
た、ダブルへテロ(DH)構造を有し、端面反射率が5
0%である、従来の半導体に関するデータである。測定
条件は、光出力3mW、中心周波数1MHz、バンド幅
30kHz、光路長60mmとした。それによると、本
実施例の半導体レーザ素子では、戻り光量を1%から1
0%まで増大しても、雑音強度の上昇は見られない。光
ディスク装置では、相対強度が−130dB/Hz以下
であることが要求されるが、本実施例のはこの条件を満
足する。これに対して、従来のDHレーザにおいては、
戻り光量1%付近から雑音強度が増大し、1%以上では
相対強度が−130dB/Hz以下となり、仕様を満た
さなくなる。
【0024】この理由は、上述した非発振モードの抑制
効果が高いことに基づく。すなわち、戻り光量が増大す
ると、レーザの光出射端面と外部の光反射部とが外部共
振器を構成するために、複雑な非発振モードが発振し、
これらがモード競合して雑音の原因となるが、本実施例
の量子井戸レーザでは非発振モードの抑制効果が高いた
め、それに起因した雑音が発生しにくくなるためであ
る。
【0025】さらに、半導体レーザ素子の端面反射率を
変化させた場合の出射光の相対雑音強度の最大値の変化
を図7に示す。従来のDHレーザでは、反射率を75%
まで高くしても、雑音強度は−130dB/Hz以上と
なっている。これに対し、本実施例の量子井戸レーザで
は、反射率20%の時に雑音強度が−130dB/Hz
であり、反射率をこれよりも大きくしていくと、雑音強
度は−130dB/Hzから徐々に低下している。
【0026】なお、本実施例の半導体レーザ素子は、雰
囲気温度60℃、光出力50mVの駆動条件では、1
0,000時間以上にわたって安定に動作し、きわめて
良好な信頼性を示した。この理由は、本実施例の半導体
レーザ素子が量子井戸構造であり、またその端面が高い
反射率を有しているために、閾値電流が低減するという
ことと、端面が窓構造になっているので、端面劣化が抑
制されるということが挙げられる。さらに、端面に窓構
造を設けない場合においても、信頼性は少し劣るが、6
0℃、50mVの駆動条件下で3,000時間以上安定
に走行する結果が得られている。
【0027】(実施例2)図8は、本実施例の半導体レ
ーザ素子の構造を示す図である。このような半導体レー
ザ素子は以下のようにして作製された。
【0028】まず、n型GaAs基板200上に、MO
CVD法により、n型Al0.5Ga0 .5Asクラッド層2
01、量子井戸構造202、p型Al0.5Ga0.5Asク
ラッド層203を順次成長させる。次いで化学エッチン
グにより、ストライプ状のSiO2膜をマスクにして、
ストライプ状のリッジ部204を形成する。再度MOC
VD法により、SiO2膜の他に選択的にn型GaAs
電流阻止層205を成長させ、SiO2膜を除去した
後、n型GaAs層206を全面に成長させる。本実施
例においても量子井戸構造202は、多重量井戸(MQ
W)構造である。次いで、ドライエッチングにより形成
した一対の光出射端面の少なくとも一方の端面に、量子
井戸層よりも禁制帯幅の大きいAl0.5Ga0.5As半導
体窓層を形成し、また他方の端面には反射率70%の多
層の絶縁膜を形成する。このようにして得られた半導体
レーザ素子はヒートシンクにマウントされる。本実施例
の半導体レーザ素子においても、実施例1の半導体レー
ザ素子と同様に、低雑音特性を有する高出力動作が可能
な半導体レーザ素子が実現できる。
【0029】なお、半導体レーザ素子の量子井戸構造
は、上述のようにMQW構造について示したが、その他
の量子井戸構造についても適用し得る。図9に量子井戸
構造の変形例を示す。これは、GRIN−SCH−SQ
W(Graded Index-Separate Confinement Heterostructu
re-Single Quantum Well)構造であり、単層のAl0.1
Ga0.9As量子井戸層(層厚100オングストロー
ム)207と、Al混晶比が徐々に変化するバリア層2
08から構成されている。
【0030】(実施例3)本発明の半導体レーザ素子
は、InGaAlP/GaAs系の半導体レーザ素子
や、InGaAsP/InP系の半導体レーザ素子にも
適用できる。その例を本実施例で説明する。
【0031】図10は、本実施例の半導体レーザ素子の
構造を示す図であり、図11は、図10の量子井戸構造
の構成例を示す。このような半導体レーザ素子は以下の
ようにして作製された。
【0032】まず、n型GaAs基板300上に、MO
CVD法により、n型In0.5(Ga0.3Al0.70.5
クラッド層301、量子井戸構造302、p型In0.5
(Ga0.3Al0.70.5Pクラッド層303を順次成長
させる。次いで化学エッチングにより、ストライプ状の
SiO2膜をマスクにして、ストライプ状のリッジ部3
04を形成する。再度MOCVD法により、SiO2
の他に、選択的にn型GaAs電流阻止層305を成長
させ、SiO2を除去した後、n型GaAs層306を
全面的に成長させる。量子井戸構造302は図11に示
すMQW構造であり、4層のIn0.5Ga0.5P量子井戸
層307(層厚100オングストローム)と、In0.5
(Ga0.45Al0.550.5Pバリア層308と、In0.5
(Ga0.45Al0.550.5Pガイド層309とから構成
されている。次いで、化学エッチングにより形成した一
対の光出射端面のうち少なくとも一方の端面に、量子井
戸層よりも禁制帯幅の大きいIn0.5(Ga0.3
0.70.5P半導体窓層を形成し、さらに、一方の端面
には反射率50%の多層の絶縁膜を形成し、また他方の
端面には反射率95%の多層の絶縁膜を形成する。この
ようにして得られた半導体レーザ素子はヒートシンクに
マウントされる。本実施例の半導体レーザ素子において
も、上記実施例の半導体レーザ素子と同様に、低雑音特
性を有する高出力動作が可能な半導体レーザ素子が実現
できる。
【0033】(実施例4)上述の実施例においては、量
子井戸と基板との間の格子整合がとれていて、歪みのな
い量子井戸を有する半導体レーザ素子について説明した
が、本発明の半導体レーザ素子は、量子井戸と基板との
間に格子不整合がある、歪み量子井戸を有する半導体レ
ーザ素子にも本発明は適用できる。その例を図12に示
す。このような半導体レーザ素子は以下のようにして作
製された。
【0034】まず、n型GaAs基板400上に、ガス
ソースMBE法により、n型In0. 5(Ga0.3
0.70.5Pクラッド層401、量子井戸構造402、
p型In0. 5(Ga0.3Al0.70.5Pクラッド層403
を順次成長させる。次いで化学エッチングにより、スト
ライプ状のSiO2膜をマスクにして、ストライプ状の
リッジ部404を形成する。再度ガスソースMBE法に
より、SiO2膜の他に、選択的にn型GaAs電流阻
止層405を成長させ、SiO2膜を除去した後、n型
GaAs層406を全面に成長させる。量子井戸構造4
02は図13に示すMQW構造であり、4層のIn055
Ga0.45P量子井戸層407(層厚100オングストロ
ーム)と、In0.5(Ga0.45Al0.550.5Pバリア層
408と、In0.5(Ga0.45Al0.550.5Pガイド層
409とから構成されている。次いで、劈開法により形
成した一対の光出射端面に、量子井戸層よりも禁制帯幅
の大きいIn0.5(Ga0.3Al0.70.5P半導体窓層を
形成し、一方の端面に反射率60%の多層の絶縁膜を形
成し、また他方の端面には反射率95%の多層の絶縁膜
を形成する。このようにして得られた半導体レーザ素子
はヒートシンクにマウントされる。
【0035】本実施例の半導体レーザ素子における量子
井戸層407は、GaAs基板400と格子不整合があ
り、圧縮歪みを生じる。歪み量子井戸レーザでは、価電
子帯のホールの状態密度が低下し、発振閾値電流が低減
する。それに応じて発振閾値までの伝導帯の電子のキャ
リア密度が高くなり、利得スペクトルが狭くなる。
【0036】図14に発振前の利得スヘ゜クトルを、上記
実施例のような歪みのない量子井戸構造の半導体レーザ
素子と、本実施例の歪み量子井戸構造の半導体レーザ素
子との比較で示す。それによると、歪みのない量子井戸
レーザよりも本実施例の歪み量子井戸レーザの方が、利
得スペクトルさらに狭くなっていることがわかる。ま
た、図15に端面反射率に対する相対雑音強度の最大値
の変化を、歪みのない量子井戸レーザと本実施例の歪み
量子井戸レーザとの比較で示す。それによると、本実施
例の歪み量子井戸レーザは、歪みのない量子井戸レーザ
に比べ、利得スペクトルが狭いゆえに雑音強度が低いこ
とがわかる。本実施例では、InGaAlP/GaAs
系のレーザについて説明したが、それ以外に例えばIn
0.15Ga0. 73Al0.12Asを量子井戸層とするGaAs
系の半導体レーザ素子や、In0.2Ga0.8Asを量子井
戸層とするGaAs系の半導体レーザ素子にも適用可能
である。
【0037】(実施例5)上述の実施例においては、量
子井戸構造を構成する量子井戸層およびそれに隣接する
バリア層はアンドープか、あるいは一様にドープされた
ものであったが、本発明の半導体レーザ素子は、量子井
戸層がアンドープで、バリア層が選択的にドープされた
変調ドープの量子井戸構造にも適用可能である。その例
を図16に示す。このような半導体レーザ素子は以下の
ようにして作製された。
【0038】まず、n型GaAs基板500上に、MO
CVD法により、n型Al0.45Ga0.55Asクラッド層
501、量子井戸構造502、p型Al0.45Ga0.55
sクラッド層503、n型GaAs電流阻止層504を
順次成長させる。ついでn型GaAs電流阻止層504
にストライプ溝505を形成し、液晶成長法によりスト
ライプ溝505を埋め込むように、p型Al0.45Ga
0.55Asクラッド層506、p型コンタクト層507を
再成長させる。量子井戸構造502は図17に示すMQ
W構造であり、3層のアンドープのAl0.1Ga0.9As
量子井戸層508(層厚50オングストローム)と、p
型不純物がドープされたAl0.3Ga0.7Asバリア層5
09と、p型不純物がドープされたAl0.35Ga0.65
sガイド層510とから構成されている。ついで、劈開
法により形成した一対の光出射端面に量子井戸層よりも
禁制帯幅の大きいAl0.3Ga0.7As半導体窓層を形成
した後、一方の端面に反射率60%の多層の絶縁膜を形
成し、また他方の端面には反射率95%の多層の絶縁膜
を形成する。このようにして得られた半導体レーザ素子
はヒートシンクにマウントされる。
【0039】本実施例の半導体レーザ素子の量子井戸構
造は、バリア層に不純物がドープされた変調ドープ構造
である。この構造によると、バリア層にドープされた不
純物によるキャリア密度は量子井戸内に分布し、それに
よって発振に必要なキャリアを低減できるので、発振前
の利得スペクトルが狭くなる。
【0040】図18に発振前の利得スペクトルを、上記
実施例のような量子井戸型の半導体レーザ素子と、本実
施例の変調ドープ量子井戸型半導体レーザ素子とについ
て示す。これによると、本実施例の変調ドープ量子井戸
レーザは、量子井戸レーザよりも利得スペクトルがさら
に狭くなる。また、図19は端面反射率に対する相対雑
音強度の最大値の変化を、量子井戸レーザと本実施例の
変調ドープ量子井戸レーザとの比較で示したものであ
る。それによると、本実施例の変調ドープ量子井戸レー
ザは、量子井戸レーザに比べ、利得スペクトルが狭いゆ
えに雑音強度が低いことがわかる。
【0041】
【発明の効果】本発明の半導体レーザ素子によれば、戻
り光が増大してもそれによって誘起される雑音が抑制さ
れるので、優れた低雑音特性を有し、かつ高出力動作下
でも信頼性に優れた半導体レーザ素子が実現できる。
【0042】量子井戸構造の変形例として、歪み量子井
戸構造や変調ドープ量子井戸構造を有する半導体レーザ
素子も本発明は可能であるが、その場合には、非発振モ
ード抑制効果がより優れるので一層の低雑音化を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体レーザ素子の構
造図である。
【図2】本発明の実施例1に係る半導体レーザ素子の縦
断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る半導体レーザ素子の量
子井戸構造を示す図である。
【図4】従来例と実施例1の半導体レーザ素子の比較に
おける光出力に対するモード比の関係を示す図である。
【図5】従来例と実施例1の半導体レーザ素子の比較に
おけるレーザ発振前の利得スペクトルを示す図である。
【図6】従来例と実施例1の半導体レーザ素子の比較に
おける戻り光量に対する相対雑音強度の関係を示す図で
ある。
【図7】従来例と実施例1の半導体レーザ素子の比較に
おける端面反射率に対する相対雑音強度の最大値を示す
図である。
【図8】本発明の実施例2に係る半導体レーザ素子の縦
断面図である。
【図9】本発明の実施例2に係る半導体レーザ素子の量
子井戸構造を示す図である。
【図10】本発明の実施例3に係る半導体レーザ素子の
縦断面図である。
【図11】本発明の実施例3に係る半導体レーザ素子の
量子井戸構造を示す図である。
【図12】本発明の実施例4に係る半導体レーザ素子の
縦断面図である。
【図13】本発明の実施例4に係る半導体レーザ素子の
量子井戸構造を示す図である。
【図14】歪みのない量子井戸レーザと実施例4の歪み
量子井戸レーザとの比較におけるレーザ発振前の利得ス
ペクトルを示す図である。
【図15】歪みのない量子井戸レーザと実施例4の歪み
量子井戸レーザとの比較における端面反射率に対する相
対雑音強度の最大値を示す図である。
【図16】本発明の実施例5に係る半導体レーザ素子の
縦断面図である。
【図17】本発明の実施例5に係る半導体レーザ素子の
量子井戸構造を示す図である。
【図18】量子井戸レーザと実施例5の変調ドープ量子
井戸レーザとの比較におけるレーザ発振前の利得スペク
トルを示す図である。
【図19】量子井戸レーザと実施例5の変調ドープ量子
井戸レーザとの比較における端面反射率に対する相対雑
音強度の最大値を示す図である。
【符号の説明】
103、203、302、402、502 量子井戸構
造 109、207、307、407、508 量子井戸層 110、208、308、408、509 バリア層 111、309、409、510 ガイド層 116、117 絶縁膜 114、115 半導体窓層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に活性層が設けられ、該活性層が
    単数または複数の量子井戸層と、該量子井戸層に隣接す
    るバリア層とを有する半導体レーザ素子において、 一対の光出射端面の一方の端面上に反射率が20%以上
    の絶縁膜が設けられ、他方の端面上に反射率が60%以
    上の絶縁膜が設けられた半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 前記量子井戸層が前記基板との間に格子
    不整合がある歪み量子井戸構造からなる請求項1に記載
    の半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 前記量子井戸層はアンドープで、前記バ
    リア層は不純物がドープされた請求項1および2のいず
    れか1つに記載の半導体レーザ素子。
  4. 【請求項4】 前記光出射端面の少なくとも一方の端面
    上に前記活性層よりも大きい禁制帯幅を有する半導体窓
    層が形成された請求項1乃至3のいずれか1つに記載の
    半導体レーザ素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4917031A (en) * 1987-12-23 1990-04-17 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Cloth-pattern sensing device for a sewing machine
JPH0897506A (ja) * 1994-09-28 1996-04-12 Sharp Corp 端面成長窓型半導体レーザ素子の製造方法

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