JPH06268327A - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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JPH06268327A
JPH06268327A JP5672393A JP5672393A JPH06268327A JP H06268327 A JPH06268327 A JP H06268327A JP 5672393 A JP5672393 A JP 5672393A JP 5672393 A JP5672393 A JP 5672393A JP H06268327 A JPH06268327 A JP H06268327A
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JP
Japan
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light emitting
semiconductor
emitting device
semiconductor light
active layer
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JP5672393A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Tanaka
俊明 田中
Satoshi Kawanaka
敏 川中
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、高出力が得られる半導体レ
ーザ素子を提供することにある。 【構成】 半導体レーザ素子をバー状に劈開した後に、
硫黄が過飽和状態である(NH4)2Sx液にバー状試料を浸
漬する。その後、スパッタコーティングにより、前面に
対して熱伝導率が大きくかつ該引張歪多重量子井戸活性
層よりも熱膨張係数が約半分以下と小さいAlN又はSiN或
いはSiC保護膜を施す。ここで、前面保護膜の膜厚d
は、レーザ発振波長をλとし、該端面保護材料の屈折率
をnとしたとき、d=λ/4nとする。後面保護膜は、膜
厚λ/4nのAl2O3保護膜と膜厚λ/4nのAlN又はSiN或い
はSiC保護膜の組合せにより形成する。 【効果】 本素子の最大光出力は約120mWであり、
端面保護膜のない素子の約30mWに比べて4倍以上の
増大が見られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光情報端末及び光応用
計測用又は光通信の光源に適する半導体発光素子の高出
力化に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体発光素子、例えば半導体レーザの
高出力化は、歪多重量子井戸(MQW)活性層の共振器面に
対して端面保護材料を施すことにより可能であること
が、例えばエレクトロニクス・レタース1992年28
巻860頁(Electron.Lett.,28,860(1992))において述
べられている。
【0003】この技術は、劈開により形成された共振器
端面のうち後方の反射率を端面保護膜により高くし、前
方の反射率を低くすることにより、前方から出射する光
出力を大きく取り出そうとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術のように
端面保護膜を施しても、ダングリングボンドの形成や酸
素の吸着により半導体表面原子に特有な深い準位が生じ
ており、共振器端面近傍の禁制帯幅は実質的には狭くな
っている。従って、内部で発生した光が端面近傍におい
て吸収を受け、外部にその光を取り出すことができなか
った。端面近傍における光吸収は温度上昇を伴うため
に、端面近傍の禁制帯幅がさらに減少して益々光吸収を
強く受ける正帰還が生じて、端面が溶融する劣化に到っ
てしまう。このため従来、高出力化を十分に図ることが
できていなかった。
【0005】本発明の目的は、上記従来技術を含めてこ
れまで考えられていなかった概念に関しており、半導体
表面の禁制帯幅を端面保護膜の応力により増大し、半導
体の表面準位による光吸収を受けることなく光を共振増
幅させることにより、従来技術よりもさらに高出力を得
ることのできる半導体発光素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段を以下に説明する。
【0007】半導体発光素子、例えば半導体レーザ素子
の光を出射する共振器面に対して、端面保護材料の性質
を考慮し引張又は圧縮応力を導入することにより、半導
体表面の禁制帯幅を増大させることができる。
【0008】端面保護材料は、誘電体材料又は半導体材
料とし、該半導体レーザ素子から出射される光を吸収し
ないように、その光のエネルギーに対して透明である誘
電体膜又は禁制帯幅が大きい半導体層を用いる。さら
に、できるだけ温度上昇を抑制するために、熱伝導率の
大きな誘電体膜或いは半導体層とする。この性質を有し
た誘電体材料又は半導体材料のうち、該半導体レーザ素
子の発光領域又は発光活性層を形成する半導体材料に対
して、誘電体では熱膨張係数、半導体では格子定数を対
比させることにより、保護した半導体層に引張又は圧縮
応力を生じさせる。
【0009】この際、半導体レーザ素子の共振器面を劈
開することにより形成される端面には、該発光領域又は
発光活性層を形成する材料よりも熱膨張係数の小さい該
誘電体材料を用いるか、或いは格子定数が大きい該半導
体材料を用いて保護することにより、該発光領域又は発
光活性層に引張応力を導入する。また、半導体レーザ素
子の共振器面が積層された結晶面により形成される場合
には、結晶の積層された最上面と基板側の最下面に対し
て、光導波層や該発光領域又は発光活性層よりも熱膨張
係数の大きい該誘電体材料を用いるか、或いは格子定数
が小さい該半導体材料を用いて保護することにより、光
導波層や該発光領域又は発光活性層に圧縮応力を導入す
る。
【0010】光出射する面が劈開による共振器端面で形
成されるか或いは積層面によるかのどちらの場合におい
ても、該発光領域又は発光活性層における積層方向の(1
00)面に対して、圧縮応力を加えるようにすることによ
り、光出射面近傍における半導体の禁制帯幅を大きくで
きる。
【0011】この半導体発光素子には、レーザ光を出射
する素子だけでなく自然放出光を出射する素子も含まれ
る。
【0012】
【作用】本発明では、半導体発光素子(半導体レーザ)
の端面近傍における禁制帯幅を実質的に増大させるため
に、発光領域或いは発光活性層と端面保護材料の界面に
生ずる応力を利用する。以下、半導体レーザ素子におい
て劈開により作製される共振器端面の性質を例にとって
説明する。
【0013】半導体レーザ素子の共振器端面には、酸素
の吸着やダングリングボンドの形成により表面準位が生
じており、これが半導体表面における禁制帯幅の実質的
な減少につながっている。一方、半導体レーザ素子の活
性層に格子歪として引張歪を導入している場合には、共
振器端面が劈開により作製されたときに、端面近傍の引
張歪は解放されることになる。従って、バンド構造は図
1(a)の引張歪の場合から(b)の無歪の場合に近くなる。
これにより、引張歪活性層では端面近傍の禁制帯幅を劈
開により大きくできる。さらに端面近傍の活性層に圧縮
応力を加える端面保護材料によって図1(c)の圧縮歪の
場合により近付けることが可能となる。
【0014】図2に示した半導体レーザ素子の横横断面
図において、端面保護材料が共振器端面に対して引張応
力を及ぼす場合に、該活性層の面内方向に圧縮応力を加
えることができることになる。その結果、従来半導体レ
ーザの共振器方向において、内部の領域IIに比べて端面
近傍の領域I又はI'では、活性層の禁制帯幅が小さく
なって光吸収を受けていたのに対し、本発明では内部の
領域IIより端面近傍の領域I又はI'の禁制帯幅を増大
し光吸収を抑制できた。この禁制帯幅の増大は、少なく
とも40meV以上あれば光吸収が非常に小さくなり、
60meV以上に設定することにより端面透明化の効果
を持たせることができた。これは、下記誘電体又は半導
体材料の選択により実現される。
【0015】用いる端面保護材料は、レーザ光に対して
透明であるものとし、該活性層を形成する半導体材料よ
りも熱膨張係数が小さい誘電体材料とするか或いは格子
定数が大きい半導体材料とすることにより、上記内容が
達成できる。さらに、端面近傍の温度上昇を抑制するた
めに、できるだけ熱伝導率の高い材料が望ましい。具体
的な例としては、誘電体材料の場合には熱伝導率がよく
熱膨張係数が半導体より半分以下である、AlやB又はGa
の窒化物や酸化物、Siの窒化物や炭化物又はダイヤモン
ドが適しており、半導体材料の場合には禁制帯幅が相対
的に大きいII-VI族の半導体材料を用いるのが適切であ
る。
【0016】本発明の素子を作製する段階において、ま
ず端面保護膜を形成する前に下地となる表面に処理を施
すことが重要である。共振器端面近傍の禁制帯幅を内部
と同様にするには、酸素の吸着やダングリングボンドの
形成等を除去する必要がある。これに対しては、表面を
硫黄処理やセレン処理することにより、表面に吸着した
酸素を硫黄やセレンと置き換え、さらに硫黄やセレンと
結合を形成することによりダングリングボンドを無くす
ことが可能となる。この後、上記端面保護膜を施すこと
により、表面準位に影響されることなく、圧縮応力を端
面近傍の活性層に生じさせて実効的に禁制帯幅を増大で
きる。
【0017】また、図3に示したように半導体レーザが
面発光レーザであり、活性層の上下に光が出射する面が
形成されている場合には、図2に示した場合とは逆に考
えることにより対処できる。即ち、下地となる半導体層
には圧縮応力を加えることができる端面保護膜を施すこ
とにより、光出射面の禁制帯幅を大きくする。この際、
用いる端面保護材料には、レーザ光に対して透明であ
り、かつ光導波層や基板又は活性層より熱膨張係数が大
きい誘電体材料とするか、或いは格子定数が小さい半導
体材料とすることにより、上記内容が達成される。一般
には、面発光レーザでは、レーザ光のエネルギーよりも
光出射面となる光導波層や基板材料の禁制帯幅の方が大
きいので、端面近傍における光吸収はあまり問題とはな
らないが、本発明における内容は光出射面における温度
上昇を抑制する効果がある。
【0018】以下の実施例では、劈開により共振器端面
が形成される図2に関した半導体レーザ素子について詳
細を述べる。
【0019】
【実施例】(実施例1)本発明の一実施例を半導体レー
ザの場合において、図4を用いて説明する。まず、(10
0)面から[011]方向に15.8°オフしたn型GaAs(511)A傾
角基板1を用いて、その上にn型Ga0.51In0.49Pバッフ
ァ層2(d=0.5μm,nD=1×1018cm-3)、n型(AlyG
a1-y)0.51In0.49P光導波層3(d=1.2μm,nD=5×1017cm
-3,y=0.7)、膜厚8〜12nmの引張歪アンドープ(Alx1Ga
1-x1)ZIn1-ZP(x1=0,0.55≦z≦0.70)量子井戸層3層と
膜厚4〜10nmの無歪アンドープ(Alx2Ga1-x2)0.51In0.49P
(x2=0.5)量子障壁層2層及び量子井戸層両側に膜厚20〜
70nmの無歪アンドープ(Alx2Ga1-x2)0.51In0.49P(X2=0.
5)光分離閉じ込め層を設けた引張歪多重量子井戸活性層
4、p型(AlyGa1-y)0.51In0.49P光導波層5(d=1.2μ
m,nA=7〜9×1017cm-3,y=0.7)、p型Ga0.51In0.49Pバ
ッファ層6(d=0.05μm,nA=2×1018cm-3)を成長温度7
50℃において有機金属気相成長法によりエピタキシャ
ル成長した。この後、ホトリソグラフィーによりSiO2
スク(膜厚d=0.2μm,ストライプ幅4〜6μm)を形成
し、ケミカルエッチングにより層5を0.2〜0.4μm
残すところまで層5と層6をエッチング除去してリッジ
ストライプを形成する。次に、SiO2マスクを残したま
ま、n型GaAs電流狭窄兼光吸収層7(d=1.0μm,nD=2×
1018cm-3)を選択成長する。さらに、p型GaAsコンタク
ト層8(d=2〜3μm,nA=5×1018〜1×1019cm-3)を埋め
込み成長した後、p電極9及びn電極10を蒸着する。
さらに、バー状に劈開した後に、硫黄が過飽和状態であ
る(NH4)2Sx液にバー状試料を浸漬してから、分子線エ
ピタキシー(MBE)法により,前面及び後面に対して該
引張歪多重量子井戸構造活性層より相対的に格子定数が
大きく禁制帯幅の大きいZnSe保護膜を臨界膜厚の範囲で
0。14〜0.15μmの膜厚で施す。ここで、該端面保護膜の
膜厚dは、レーザ発振波長をλとし、該端面保護材料の
屈折率をnとしたとき、d=λ/2nとする。その後、ス
クライブして素子の形に切り出す。
【0020】本実施例では、共振器長400μmの素子
において、発振波長は630〜635nmであり、室温
における閾値電流は20〜30mAであった。本素子の
最大光出力は約40mWであり、端面保護膜のない素子
の約30mWに比べて30〜40%の増大が見られた。
従来の端面保護膜であるSiO2を施した場合には、端面保
護膜のないときと同程度の光出力しか得られず、上記高
出力化は得られなかった。これは、本発明の素子によっ
て、高出力化が実現できたことを示す。
【0021】(実施例2)本発明の他実施例を説明す
る。実施例1と全く同様に、電極を蒸着するところまで
行う。さらに、バー状に劈開した後に、硫黄が過飽和状
態である(NH4)2Sx液にバー状試料を浸漬してから、ス
パッタコーティングにより、バー状試料の前面及び後面
に対して熱伝導率が大きくかつ該引張歪多重量子井戸活
性層よりも熱膨張係数が約半分以下と小さいAlN又はSiN
或いはSiC保護膜を施す。ここで、該端面保護膜の膜厚
dは、レーザ発振波長をλとし、該端面保護材料の屈折
率をnとしたとき、d=λ/2nとする。その後、スクラ
イブして素子の形に切り出す。本実施例では、実施例1
とほぼ同様な基本特性が得られた。本素子の最大光出力
は、端面保護膜のない素子に比べて40〜50%の増大
が見られた。
【0022】(実施例3)本発明の他実施例を説明す
る。実施例1と全く同様に、電極を蒸着するところまで
行う。さらに、バー状に劈開した後に、硫黄が過飽和状
態である(NH4)2Sx液にバー状試料を浸漬してから、分
子線エピタキシー(MBE)法により、バー状試料の前面
に対して該引張歪多重量子井戸構造活性層より格子定数
が大きく禁制帯幅の大きいZnSe保護膜を臨界膜厚の範囲
で0。07〜0.08μmの膜厚で施す。ここで、前面保護膜の
膜厚dは、レーザ発振波長をλとし、該端面保護材料の
屈折率をnとしたとき、d=λ/4nとする。これによ
り、前面反射率を10%以下に設定できる。次に、後面
保護膜は膜厚λ/4nのAl2O3保護膜と膜厚λ/4nのAlN又
はSiN或いはSiC保護膜の組合せにより、反射率90%以
上の多周期端面保護膜を形成する。その後、スクライブ
して素子の形に切り出す。
【0023】本実施例では、実施例1の素子とほぼ同様
な閾値電流が得られ、最大光出力は端面保護膜のない素
子に比べて3倍以上に高めることができた。これは、従
来技術の1。5倍以上に相当する。
【0024】(実施例4)本発明の他実施例を説明す
る。実施例1と全く同様に、電極を蒸着するところまで
行う。さらに、バー状に劈開した後に、硫黄が過飽和状
態である(NH4)2Sx液にバー状試料を浸漬してから、ス
パッタコーティングにより、前面に対して熱伝導率が大
きくかつ該引張歪多重量子井戸活性層よりも熱膨張係数
が約半分以下と小さいAlN又はSiN或いはSiC保護膜を施
す。ここで、前面保護膜の膜厚dは、レーザ発振波長を
λとし、該端面保護材料の屈折率をnとしたとき、d=
λ/4nとする。これにより、前面反射率を10%以下に
設定できる。次に、後面保護膜は膜厚λ/4nのAl2O3
護膜と膜厚λ/4nのAlN又はSiN或いはSiC保護膜の組合
せにより、反射率90%以上の多周期端面保護膜を形成
する。その後、スクライブして素子の形に切り出す。
【0025】本実施例では、実施例1の素子とほぼ同様
な閾値電流が得られ、最大光出力は端面保護膜のない素
子に比べて4倍以上に高めることができた。これは、従
来技術の2倍以上に相当する。
【0026】(実施例5)本発明の他実施例を図5によ
り説明する。まず、(100)面から[011]方向に15.8°オフ
したn型GaAs(511)A傾角基板1を用いて、その上にn型
Ga0.51In0.49Pバッファ層2(d=0.5μm,nD=1×1018cm
-3)、n型(AlyGa1-y)0.51In0.49P光導波層3(d=1.6μ
m,nD=5×1017cm-3,y=0.7)、膜厚5〜9nmの圧縮歪アン
ドープ(Alx1Ga1-x1)ZIn1-ZP(x1=0,0.30≦z≦0.45)
量子井戸層2層と膜厚7〜10nmの無歪アンドープ(Alx2G
a1-x2)0.51In0.49P(x2=0.5)量子障壁層1層及び量子井
戸層両側に膜厚5〜30nmの無歪アンドープ(Alx2Ga1-
2)0.51In0.49P(X2=0.5)光分離閉じ込め層を設けた引
張歪多重量子井戸活性層11、p型(AlyGa1-y)0.51In0.
49P光導波層5(d=1.5μm,nA=7〜9×1017cm-3,y=0.
7)、p型Ga0.51In0.49Pバッファ層6(d=0.05μm,nA=2
×1018cm-3)を成長温度750℃において有機金属気相
成長法によりエピタキシャル成長した。この後、ホトリ
ソグラフィーによりSiO2マスク(膜厚d=0.2μm,スト
ライプ幅4〜6μm)を形成し、ケミカルエッチングによ
り層5を0.1〜0.2μm残すところまで層5と層6を
エッチング除去してリッジストライプを形成する。次
に、SiO2マスクを残したまま、n型Ga0.51In0.49P電流
狭窄兼光吸収層12(d=1.0μm,nD=2×1018cm-3)を選
択成長する。さらに、p型GaAsコンタクト層8(d=2〜3
μm,nA=5×1018〜1×1019cm-3)を埋め込み成長した
後、p電極9及びn電極10を蒸着する。さらに、バー
状に劈開した後に、硫黄が過飽和状態である(NH4)2Sx
液にバー状試料を浸漬してから、スパッタコーティング
により、前面に対して熱伝導率が大きくかつ該引張歪多
重量子井戸活性層よりも熱膨張係数が約半分以下と小さ
いAlN又はSiN或いはSiC保護膜を施す。ここで、前面保
護膜の膜厚dは、レーザ発振波長をλとし、該端面保護
材料の屈折率をnとしたとき、d=λ/4nとする。これ
により、前面反射率を10%以下に設定できる。次に、
後面保護膜は膜厚λ/4nのAl2O3保護膜と膜厚λ/4nのA
lN又はSiN或いはSiC保護膜の組合せにより、反射率90
%以上の多周期端面保護膜を形成する。その後、スクラ
イブして素子の形に切り出す。
【0027】本実施例では、共振器長600μmの素子
において室温における閾値電流が20〜30mAであ
り、675〜685nmの発振波長を得た。素子の最大
光出力は端面保護膜のない素子に比べて4倍以上に高め
ることができた。これは、従来技術の2倍以上に相当す
る。
【0028】(実施例6)本発明の他実施例を図6によ
り説明する。まず、(100)面から[011]方向に15.8オフし
たn型GaAs(511)A傾角基板1を用いて、その上にn型Ga
InP光導波層13(d=1.8μm,nD=5×1017cm-3)、n型Ga
0.75In0.25As0.45P0.55光導波層14(d= 0.20μm,nD=
2×1017cm-3)、膜厚6〜10nmの圧縮歪アンドープGaZIn1
-ZAs(0.75≦z≦0.85)量子井戸層2層と膜厚7〜10nmの
無歪アンドープGaAs量子障壁層1層及び量子井戸層両側
に膜厚5〜50nmの無歪アンドープGaAs光分離閉じ込め層
を設けた圧縮歪多重量子井戸活性層15、p型Ga0.75In
0.25As0.45P0.55光導波層16(d=0.05μm,nA=5×1017
cm-3)、p型Ga0.51In0.49P光導波層17(d=0.10μm,n
A=7× 1017cm-3)、p型GaAsエッチング停止兼高屈折率
層(d=5nm,nA=7×1017cm-3)、p型Ga0.51In0.49P光導波
層17(d=1.5μm,nA=9×1017cm-3)を成長温度700
℃において有機金属気相成長法によりエピタキシャル成
長した。この後、ホトリソグラフィーによりSiO2マスク
(膜厚d=0.2μm,ストライプ幅4〜6μm)を形成し、ケ
ミカルエッチングにより層18まで層17をエッチング
除去し、その後層18をさらに除去してリッジストライ
プを形成する。次に、SiO2マスクを残したまま、n型Ga
0.51In0.49P電流狭窄兼光吸収層12(d=1.2μm,nD=2
×1018cm-3)を選択成長する。さらに、p型GaAsコンタ
クト層8(d=2〜3μm,nA=5×101 8〜1×1019 cm-3)を
埋め込み成長した後、p電極9及びn電極10を蒸着す
る。さらに、バー状に劈開した後に、硫黄が過飽和状態
である(NH4)2Sx液にバー状試料を浸漬してから、スパ
ッタコーティングにより、前面に対して熱伝導率が大き
くかつ該引張歪多重量子井戸活性層よりも熱膨張係数が
約半分以下と小さいAlN又はSiN或いはSiC保護膜を施
す。ここで、前面保護膜の膜厚dは、レーザ発振波長を
λとし、該端面保護材料の屈折率をnとしたとき、d=
λ/4nとする。これにより、前面反射率を10%以下に
設定できる。次に、後面保護膜は膜厚λ/4nのAl2O3
護膜と膜厚λ/4nのAlN又はSiN或いはSiC保護膜の組合
せにより、反射率90%以上の多周期端面保護膜を形成
する。その後、スクライブして素子の形に切り出す。
【0029】本実施例では、共振器長600μmの素子
において室温における閾値電流が10〜20mAであ
り、975〜985nmの発振波長を得た。素子の最大
光出力は端面保護膜のない素子に比べて4倍以上に高め
ることができた。これは、従来技術の2倍以上に相当す
る。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、熱伝導率の良好な光出
射面保護材料により導入した応力を利用して、半導体発
光素子又は半導体レーザ素子における共振器端面近傍の
活性層の禁制帯幅を内部に比べて増大させることができ
る。これにより、従来問題になっていた端面近傍の光吸
収を抑制することができ、端面保護膜を施していない場
合に比べて最大光出力を約4倍以上に向上できた。これ
は、従来技術の2倍以上に相当する。本発明の素子によ
って、高出力化が実現できたことを示す。以上の結果、
温度60℃で約2000時間以上の信頼性が確保できる
光出力レベルをこれまでの2倍以上にまで高めることが
達成できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】格子歪による半導体における伝導帯と価電子帯
の変化を示す概略図
【図2】横方向共振器端面上に形成された端面保護膜を
示す図
【図3】垂直方向共振器面上に形成された端面保護膜を
示す図
【図4】本発明の一実施例を示す素子構造断面図
【図5】本発明の他実施例を示す素子構造断面図
【図6】本発明の他実施例を示す素子構造断面図
【符号の説明】
1…n型GaAs(511)A傾角基板、2…n型Ga0.51In0.49P
バッファ層、3…n型(AlyGa1-y)0.51In0.49P光導波
層、4…引張歪GaInP/AlGaInP多重量子井戸構造活性
層、5…p型(AlyGa1-y)0.51In0.49P光導波層、6…p
型Ga0.51In0.49Pバッファ層、7…n型GaAs電流狭窄兼
光吸収層、8…p型GaAsコンタクト層、9…p電極、1
0…n電極、11…圧縮歪GaInP/AlGaInP多重量子井戸
構造活性層、12…n型Ga0.51In0.49P電流狭窄兼光吸
収層、13…n型Ga0.51In0.49P光導波層、14…n型G
aInAsP光導波層、15…圧縮歪GaInAs/GaAs多重量子井
戸構造活性層、16…p型GaInAsP光導波層、17…p
型Ga0.51In0.49P光導波層、18…p型GaAsエッチング
停止兼高屈折率層。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板上に作製された発光領域又は発
    光活性層を有する半導体発光素子において、自然放出光
    或いはレーザ光を出射する面に相当する半導体表面層に
    対して、圧縮又は引張応力を生じさせかつ該自然放出光
    或いはレーザ光を光損失なく透過させる、熱伝導率のよ
    り大きい出射面保護材料を形成することを特徴とする半
    導体発光素子。
  2. 【請求項2】請求項1記載の半導体発光素子において、
    下地となる発光領域又は発光活性層に用いる該光出射面
    保護材料として、熱膨張係数が異なる熱伝導率のより大
    きい該誘電体材料とするか、或いは格子定数が異なる熱
    伝導率のより大きい該半導体材料とすることにより、圧
    縮又は引張応力を導入することを特徴とする半導体発光
    素子。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の半導体発光素子にお
    いて、該発光領域又は発光活性層には格子歪として引張
    歪が導入されており、光出射面には該保護材料が施され
    ていることを特徴とする半導体発光素子。
  4. 【請求項4】請求項1又は2記載の半導体発光素子にお
    いて、該発光領域又は発光活性層には格子歪として圧縮
    歪が導入されているか或いは無歪であるとし、光出射面
    には該保護材料が施されていることを特徴とする半導体
    発光素子。
  5. 【請求項5】請求項1,2,3又は4記載の半導体発光
    素子において、該光出射面保護材料を該自然放出光或い
    はレーザ光に対して透明な誘電体材料とするか、或いは
    該自然放出光又はレーザ光よりもエネルギーが大きい禁
    制帯幅を有する半導体材料とすることを特徴とする半導
    体発光素子。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体
    発光素子において、共振器面を劈開するか又は加工する
    ことにより形成された端面から光が出射する場合におい
    て、発光領域又は発光活性層の端面に対して該発光領域
    又は発光活性層を形成する材料よりも熱膨張係数が小さ
    く熱伝導率のより大きい該誘電体材料を用いるか、或い
    は該発光領域又は発光活性層を形成する材料よりも格子
    定数が大きく熱伝導率のより大きい該半導体材料を用い
    て保護することにより、該発光領域又は発光活性層に引
    張応力を導入することを特徴とする半導体発光素子。
  7. 【請求項7】請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体
    発光素子において、積層された結晶面が共振器面を形成
    しこれより光が出射する場合に、結晶の積層された最上
    面と基板側の最下面に対して、光導波層や該発光領域又
    は発光活性層よりも熱膨張係数が大きく熱伝導率のより
    大きい該誘電体材料を用いるか、或いは光導波層や該発
    光領域又は発光活性層よりも格子定数が小さく熱伝導率
    のより大きい該半導体材料を用いて保護することによ
    り、光導波層や該発光領域又は発光活性層に圧縮応力を
    導入することを特徴とする半導体発光素子。
  8. 【請求項8】請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体
    発光素子において、該光出射面保護材料を施す下地の半
    導体表面には、該端面保護材料を形成する前に硫黄処理
    又はセレン処理を行うことを特徴とする半導体発光素
    子。
  9. 【請求項9】請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体
    発光素子において、該光出射面保護材料を誘電体材料と
    するとき、AlやB或いはGaの窒化物又は酸化物とする
    か、Siの窒化物又は炭化物か或いはダイヤモンドを用い
    ることとし、該光出射面保護材料を半導体材料とすると
    き、禁制帯幅の大きいII-VI族の半導体材料を用いるこ
    とを特徴とする半導体発光素子。
  10. 【請求項10】請求項1乃至9のいずれかに記載の半導
    体発光素子において、該端面保護材料は単層であるか複
    合的な材料を周期的に積層することにより、該端面保護
    材料の反射率を発光活性層の反射率と同じ値に設定する
    か或いは50%以上の高反射率とすることを特徴とする
    半導体発光素子。
  11. 【請求項11】請求項1乃至10のいずれかに記載の半
    導体発光素子において、該端面保護材料は光の出射する
    二方向に対して、全く同じ反射率とするか或いは片方を
    30%以下の低反射率とし他方を70%以上の高反射率
    とすることを特徴とする半導体発光素子。
  12. 【請求項12】請求項1乃至11のいずれかに記載の半
    導体発光素子において、該端面保護材料を複合的な材料
    とし周期的に積層する場合に、少なくとも2種類の材料
    からなり、一方を低屈折率の材料とし他方を高屈折率の
    材料とした組合せにより、10%以下の低反射率から9
    0%以上の高反射率を実現できる端面保護膜を形成する
    ことを特徴とする半導体発光素子。
  13. 【請求項13】請求項1乃至から12のいずれかに記載
    の半導体発光素子において、各々の該端面保護材料の膜
    厚dは,発光中心波長又はレーザ発振波長をλとし、該
    端面保護材料の屈折率をnとしたとき、d=λ/4nで
    表される値の整数倍とすることを特徴とする半導体発光
    素子。
  14. 【請求項14】請求項1乃至13のいずれかに記載の半
    導体発光素子は、半導体基板上に有機金属気相成長(M
    OCVD)法又は分子線エピタキシー(MBE)法によ
    り成長された禁制帯幅の大きな光導波層によってそれよ
    り禁制帯幅の小さい発光活性層を挾んだダブルヘテロ接
    合からなり、該発光活性層に引張歪又は圧縮歪を導入し
    て作製した素子の共振器面に該端面保護材料を具備する
    ことを特徴とする半導体発光素子。
  15. 【請求項15】請求項1乃至14のいずれかに記載の半
    導体発光素子において、該活性層は単一量子井戸層と光
    分離閉じ込め層を設けた単一量子井戸構造とするか、或
    は量子井戸層と量子障壁層を繰り返し設けた多重量子井
    戸構造からなり、少なくとも該量子井戸層には格子歪と
    して引張歪又は圧縮歪を導入することを特徴とする半導
    体発光素子。
  16. 【請求項16】請求項1乃至15のいずれかに記載の半
    導体発光素子において、共振器端面に端面保護材料を設
    けることにより応力を導入し、共振器端面近傍における
    該活性層の禁制帯幅を共振器内部よりも少なくとも40
    meV以上大きく、望ましくは60meV以上とするこ
    とを特徴とする半導体発光素子。
  17. 【請求項17】請求項1乃至16のいずれかに記載の半
    導体発光素子において、用いる該半導体基板は基板面方
    位が(100)面から[011][0-1-1]方向又は[01-1][0-11]方
    向に0°から54.7°の範囲、望ましくは0°より大
    きく(311)面に相当する25.2°以下の傾いた基板面を
    有することを特徴とする半導体発光素子。
  18. 【請求項18】請求項1乃至17のいずれかに記載の半
    導体発光素子において、該活性層上下において、屈折率
    差の異なる少なくとも2種類以上の半導体層により、発
    振波長に対してブラッグ反射を生ずる、周期的な積層構
    造をもつ反射面を設けてあることを特徴とする半導体発
    光素子。
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