JP3880683B2 - 窒化ガリウム系半導体発光素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は窒化ガリウム系半導体発光素子及びその製造方法に係り、特に、窒化物半導体よりなる量子井戸構造活性層を備えた窒化ガリウム系発光素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外から緑色の波長領域での発光波長を有する半導体レーザ素子(LD)や発光ダイオード素子(LED)等の半導体材料として、窒化ガリウム系半導体(GaInAlN)が用いられている。これらの発光素子を作製するための基板としては、サファイア基板やGaN基板等が用いられており、これらの基板の上に有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタキシー法(MBE法)等の気相成長法により窒化ガリウム系半導体からなる発光部を形成している。サファイア基板を用いた場合の気相成長法による窒化ガリウム系半導体を形成する際の基板の厚さとしては、例えば特開平5−166923号公報に記載されており、通常300〜500μmの厚さが用いられていた。またGaN基板を用いた場合は、例えば特開平7−94784号公報に記載されており、気相成長法による窒化ガリウム系半導体を形成する際の基板の厚さとしては特にこだわらず、50μm〜500μmを好ましい厚さとして用いられていた。
【0003】
一方最近では、このような窒化ガリウム系半導体による発光素子の活性層として、量子井戸構造が用いられている。例えば青色LDは、Applied Physics Letters,vol.69,No.10,p.1477〜1479に記載されており、その断面図を図7に示す。図7において、101はサファイア基板、102はGaNバッファ層、103はn−GaNコンタクト層、104はn−In0.05Ga0.95N層、105はn−Al0.05Ga0.95Nクラッド層、106はn−GaNガイド層、107はIn0.2Ga0.8N量子井戸層とIn0.05Ga0.95N障壁層とからなる多重量子井戸構造活性層、108はp−Al0.2Ga0.8N層、109はp−GaNガイド層、110はp−Al0.05Ga0.95Nクラッド層、111はp−GaNコンタクト層、112はp側電極、113はn側電極、114はSiO2絶縁膜である。ここで、多重量子井戸構造活性層107は、3nm厚のIn0.2Ga0.8N量子井戸層が5層、6nm厚のIn0.05Ga0.95N障壁層が4層、の合計9層で構成され、量子井戸層と障壁層が交互に形成されている。またこれらの結晶成長時の温度は、GaNバッファ層102が510℃、多重量子井戸構造活性層107が830℃、これら以外の各層は1020℃である。この他、特開平8−316528号公報にも同様に量子井戸構造活性層を有する窒化ガリウム系半導体を用いた青色LDが記載されているが、これらはいずれも結晶成長時における基板の厚さについては特にこだわらずに作成されていた。
【0004】
また青色LEDは、例えば、上記の特開平8−316528号公報に記載されており、その断面図を図8に示す。図8において、121はサファイア基板、122はGaNバッファ層、123はn−GaNコンタクト層、124はn−Al0.3Ga0.7N第2n型クラッド層、125はn −In 0.01 Ga 0.99 N第1n型クラッド層、126は3nm厚のIn0.05Ga0.95N単一量子井戸構造活性層、127はp−In 0.01 Ga 0.99 N第1p型クラッド層、128はp−Al0.3Ga0.7N第2p型クラッド層、129はp−GaNコンタクト層、130はp側電極、131はn側電極である。これらの結晶成長時の温度は、GaNバッファ層122が500℃、単一量子井戸構造活性層126が800℃、これら以外の各層は1050℃である。このような青色LEDにおいても、結晶成長時における基板の厚さについては特にこだわらず作成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、量子井戸構造活性層を用いた従来の青色LD及び青色LED素子には、結晶成長時に用いた基板ウェハーの面内での発光特性の分布が非常に大きいという問題点があった。すなわち青色LDでは発振波長が基板ウェハーの中心部分と周辺部分で大きく異なり、所望の発振波長を得るための歩留まりが大きく低下してしまう。例えば直径2インチのサファイア基板を使用した場合、発振波長は基板ウェハーの中心部と周辺部とで150nmもの違いを生じていた。さらに、従来の青色LDは発振閾値電流値が100mA以上と高く、光ディスク等の情報処理用として実用に供するためには大幅に発振閾値電流値を低減する必要があった。
【0006】
また、青色LEDに関してはすでに実用化されているものの、やはり青色LDと同様に発光波長が基板ウェハーの中心部分と周辺部分で大きく異なり、所望の発光波長を得るための歩留まりが大きく低下してしまうという問題がある。LEDを用いた大型のフルカラーディスプレーのように、同一の発光波長を有するLEDを大量に必要とするような用途の場合、発光波長の面内分布が大きいことにより青色LEDの歩留まりが低下してしまうと、フルカラーディスプレーのコストの増大につながってしまう。このため、歩留まりよく同一の発光波長で作製できる青色LEDの実現が望まれていた。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、上記窒化ガリウム系半導体発光素子における課題を解決して、基板ウェハー面内において均一で良好なレーザ発振特性を有する半導体レーザ素子とその製造方法、及び、基板ウェハー面内で発光波長が均一な発光ダイオード素子とその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る窒化ガリウム系半導体発光素子は、基板上に、窒化物半導体からなるクラッド層及び/又はガイド層に挟まれた、少なくともインジウムとガリウムを含む窒化物半導体からなる量子井戸構造活性層を、気相成長法により形成する製造方法であって、前記基板として、5μm以上40μm以下の厚さを有する窒化ガリウム基板を用いることを特徴とする。
【0009】
このような本発明を見い出すにあたって、本発明者は従来素子における前記課題の原因について詳細に調査を行い、その結果、量子井戸層を形成する際の結晶成長時における基板ウェハーの面内での表面温度の分布により、基板ウェハーの面内での発光特性の分布が生じていることが判明した。すなわち、窒化ガリウム系半導体発光素子において量子井戸層として用いられるInGaN材料は、InGaNが形成される基板表面の温度によってIn組成が大きく変化する。特にInGaNの結晶成長を開始した直後は、基板表面の温度によるIn組成の変化が大きくなっている。従って、層厚が非常に薄い量子井戸層をInGaNで形成する場合は、InGaNの結晶成長を開始した直後の影響が大きくなり、基板表面温度が低下すると急激にIn組成が大きくなってしまうことがわかった。InGaN材料においてはIn組成によって発光波長が変化するため、In組成が大きくなると発光波長は長波長化してしまう。
【0010】
さらに、基板ウェハー面内での表面温度の分布は、結晶成長時の基板の反りによる不均一な熱伝導が影響していることが判明した。窒化ガリウム系半導体の結晶成長では基板ウェハーの温度を500℃〜1100℃に上昇して結晶成長を行っているが、基板の温度を上昇するには基板の底面に接した発熱体からの熱伝導により基板の温度を上昇させている。この場合、基板の厚さが50μm以上である従来の窒化ガリウム系半導体発光素子では、基板が厚いために基板の底面と表面とで温度差が生じ、底面の方が表面よりも温度が高くなる。その結果、基板の底面は表面に比べて熱膨張が大きくなり、図9に示されるように基板ウェハー130が反ってしまい、中心部のみが発熱体131に接して周辺部が発熱体から離れた状態になってしまう。従って、周辺部へは発熱体からの熱が伝わりにくくなり、中心部に比べて周辺部の温度は低くなっている。このためInGaNを結晶成長した際に周辺部ではIn組成が大きくなり、基板ウェハーの面内での発光特性の分布を引き起こしていた。
【0011】
すなわち、青色LDでは発振波長がInGaN量子井戸構造活性層のIn組成で決まるために、基板ウェハーの中心部分と周辺部分でIn組成が異なることによって発振波長が大きく異なり、所望の発振波長を得るための歩留まりが大きく低下してしまっていた。さらに、1個の青色LD素子の共振器構造の内部でもInGaN量子井戸層のIn組成に分布が生じているため、一定の発光波長で得られる光利得が小さくなって、発振閾値電流を増大させていた。一方、青色LEDに関しても青色LDと同様に発光波長が基板ウェハーの中心部分と周辺部分で大きく異なり、所望の発光波長を得るための歩留まりが大きく低下してしまっていた。
【0012】
従って本発明では、気相成長法により、窒化物半導体からなるクラッド層及び/又はガイド層に挟まれた、少なくともインジウムとガリウムを含む窒化物半導体からなる量子井戸構造活性層を形成する際の基板として窒化ガリウム基板を用い、かつその厚さを、5μm以上40μm以下と薄くした。これにより、InGaNを結晶成長する際の基板の底面と表面との温度差が無くなり、結晶成長時における基板ウェハーの反りが抑えられることによって基板ウェハーは底面全体で発熱体と接することになるため、基板ウェハー面内での表面温度の分布が抑えられた。
【0013】
さらに、基板ウェハー面内での表面温度の分布を引き起こす基板の反りは、結晶成長時の基板の厚さだけではなく、基板上に形成した窒化ガリウム系半導体と基板との熱膨張係数の違いにも起因している。すなわち従来例のように、基板上に約1050℃で窒化ガリウム系半導体からなるクラッド層等を形成した後、InGaN量子井戸構造活性層を形成するために基板温度を約800℃に下げる際に、基板とその基板上に形成された窒化ガリウム系半導体との熱膨張係数の違いによって基板が反ってしまい、基板ウェハー面内での表面温度の分布を引き起こしていた。
【0014】
従って本発明によれば、基板として窒化ガリウムを用いることにより、基板上に形成される半導体層と基板との熱膨張係数の違いが小さくなり、熱歪みによるウェハーの反りも抑えられ基板ウェハーの面内での表面温度の分布がさらに改善された。
【0015】
以上の結果、InGaN量子井戸構造活性層からの発光特性の分布が改善され、基板ウェハー面内において発振波長が均一で発振閾値電流値が低い窒化ガリウム系半導体レーザ素子と、基板ウェハー面内で発光波長が均一な窒化ガリウム系発光ダイオード素子が実現できた。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
図1は本発明の第1の実施例に係る窒化ガリウム系半導体レーザ素子を示す断面図であり、図2は図1中のA部を拡大した断面図である。この図において、1はc面を表面として有し厚さが40μm、直径が2インチである半絶縁性GaN基板、2はノンドープGaNバッファ層、3はn−GaNn型コンタクト層、4はn−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層、5はn−GaNガイド層、6は2層のIn0.2Ga0.8N量子井戸層14と1層のIn0.05Ga0.95N障壁層15とからなる多重量子井戸構造活性層、7はAl0.2Ga0.8N蒸発防止層、8はp−GaNガイド層、9はp−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層、10はp−GaNp型コンタクト層、11はp側電極、12はn側電極、13はSiO2絶縁膜である。
【0017】
本実施例において、半絶縁性GaN基板1の厚さを40μmとしたが、5μmから40μmの間であればこの厚さにこだわらない。また基板の表面はa面等の他の面方位であっても構わない。
【0018】
ノンドープGaNバッファ層2は、半絶縁性GaN基板1の表面状態の変質によってその上に形成する窒化ガリウム系半導体発光部の結晶性が低下することを防ぐためのものであるが、半絶縁性GaN基板1の表面状態が良好に保たれていればバッファ層2は無くてもよい。またバッファ層2の材料は、その上に窒化ガリウム系半導体をエピタキシャル成長させることが出来るものであればGaNにこだわらず他の材料、例えばAlNやAlGaN3元混晶等を用いてもよい。
【0019】
n型クラッド層4及びp型クラッド層9は、n−Al0.1Ga0.9N以外のAl組成を持つAlGaN3元混晶でもよい。この場合Al組成を大きくすると活性層とクラッド層とのエネルギーギャップ差及び屈折率差が大きくなり、キャリアや光が活性層に有効に閉じ込められてさらに発振閾値電流の低減及び、温度特性の向上が図れる。またキャリアや光の閉じ込めが保持される程度でAl組成を小さくしていくと、クラッド層におけるキャリアの移動度が大きくなるため、半導体レーザ素子の素子抵抗を小さくできる利点がある。さらにこれらのクラッド層は微量に他の元素を含んだ4元以上の混晶半導体でもよく、n型クラッド層4とp型クラッド層9とで混晶の組成が同一でなくても構わない。
【0020】
ガイド層5と8は、そのエネルギーギャップが、多重量子井戸構造活性層6を構成する量子井戸層のエネルギーギャップとクラッド層4と9のエネルギーギャップの間の値を持つような材料であればGaNにこだわらず他の材料、例えばInGaNやAlGaN等の3元混晶やInGaAlN4元混晶等を用いてもよい。またガイド層全体にわたってドナー又はアクセプターをドーピングする必要はなく、多重量子井戸構造活性層6側の一部のみをノンドープとしてもよく、さらにはガイド層全体をノンドープとしてもよい。この場合、ガイド層に存在するキャリアが少なくなり、自由キャリアによる光の吸収が低減されて、さらに発振閾値電流が低減できるという利点がある。
【0021】
多重量子井戸構造活性層6を構成する2層のIn0.2Ga0.8N量子井戸層14と1層のIn0.05Ga0.95N障壁層15は、必要なレーザ発振波長に応じてその組成を設定すればよく、発振波長を長くしたい場合は量子井戸層14のIn組成を大きくし、短くしたい場合は量子井戸層14のIn組成を小さくする。また量子井戸層14と障壁層15は、InGaN3元混晶に微量に他の元素を含んだ4元以上の混晶半導体でもよい。さらに障壁層15は単にGaNを用いてもよい。
【0022】
次に、図1と図2を参照して上記窒化ガリウム系半導体レーザの作製方法を説明する。以下の説明ではMOCVD法(有機金属気相成長法)を用いた場合を示しているが、GaNをエピタキシャル成長できる成長法であればよく、MBE法(分子線エピタキシャル成長法)やHDVPE(ハイドライド気相成長法)等の他の気相成長法を用いることもできる。
【0023】
まず所定の成長炉内の発熱体上に設置された、c面を表面として有し厚さが40μm、直径が2インチである半絶縁性GaN基板1上に、トリメチルガリウム(TMG)とアンモニア(NH3)を原料に用いて、成長温度600℃でノンドープGaNバッファ層2を35nm成長させる。
【0024】
次に成長温度を1050℃まで上昇させて、TMGとNH3、及びシランガス(SiH4)を原料に用いて、厚さ3μmのSiドープn−GaNn型コンタクト層3を成長する。さらに続けてトリメチルアルミニウム(TMA)を原料に加え、成長温度は1050℃のままで厚さ0.7μmのSiドープn−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層4を成長する。続けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050℃のままで厚さ0.05μmのSiドープn−GaNガイド層5を成長する。
【0025】
次に、成長温度を800℃に下げ、TMGとNH3、及びトリメチルインジウム(TMI)を原料に用いて、In0.2Ga0.8N量子井戸層(厚さ5nm)14、In0.05Ga0.95N障壁層(厚さ5nm)15、In0.2Ga0.8N量子井戸層(厚さ5nm)14を順次成長することにより多重量子井戸構造活性層(トータルの厚さ15nm)6を作成する。さらに続けてTMGとTMAとNH3を原料に用いて、成長温度は800℃のままで厚さ10nmのAl0.2Ga0.8N蒸発防止層7を成長する。
【0026】
次に、再び成長温度を1050℃に上昇して、TMGとNH3、及びシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を原料に用いて、厚さ0.05μmのMgドープp−GaNガイド層8を成長する。さらに続けてTMAを原料に加え、成長温度は1050℃のままで厚さ0.7μmのMgドープp−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層9を成長する。続けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050℃のままで厚さ0.2μmのMgドープp−GaNp型コンタクト層10を成長して、窒化ガリウム系エピタキシャルウエハーを完成する。
【0027】
その後、このウエハーを800℃の窒素ガス雰囲気中でアニールして、Mgドープのp型層を低抵抗化する。
【0028】
さらに通常のフォトリソグラフィーとドライエッチング技術を用いて、200μm幅のストライプ状にp−GaNp型コンタクト層10の最表面から、n−GaNn型コンタクト層3が露出するまでエッチングを行う。次に、上記と同様のフォトリソグラフィーとドライエッチング技術を用いて、残ったp−GaNp型コンタクト層10の最表面に、5μm幅のストライプ状にリッジ構造を形成するようにp−GaNp型コンタクト層10とp−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層9をエッチングする。
【0029】
続いて、リッジの側面とリッジ以外のp型層表面に厚さ200nmのSiO2絶縁膜13を形成する。このSiO2絶縁膜13とp−GaNp型コンタクト層10の表面にニッケルと金からなるp側電極11を形成し、エッチングにより露出したn−GaNn型コンタクト層3の表面にチタンとアルミニウムからなるn側電極12を形成して、窒化ガリウム系LDウエハーを完成する。
【0030】
その後、このウエハーをリッジストライプに垂直な方向に劈開してレーザの共振器端面を形成し、さらに個々のチップに分割する。そして、各チップをステムにマウントし、ワイヤーボンディングにより各電極とリード端子とを接続して、窒化ガリウム系半導体レーザ素子を完成する。
【0031】
以上のようにして作製された青色LD素子は、発振波長430nm、発振閾値電流40mAというレーザ特性が得られた。また、基板ウエハー面内での発振波長の分布は小さくなり、ウェハーの中心部と周辺部とで従来150nmあった発振波長の違いは10nmにまで低減された。このように本発明により、InGaN量子井戸活性層からの発光特性の分布が改善され、基板ウェハー面内において発振波長が均一で発振閾値電流値が低い窒化ガリウム系半導体レーザ素子が実現できた。
【0032】
図3には、窒化ガリウム系半導体レーザ素子において、直径が2インチである半絶縁性GaN基板の厚さによる、ウェハーの中心部と周辺部とでの発振波長の違いの大きさの変化、及び、発振閾値電流値の変化を表すグラフ図が示されている。各半導体レーザの構造は、結晶成長時におけるGaN基板の厚さが異なること以外は本発明の実施例1に係る窒化ガリウム系半導体レーザ素子と同じである。この図からわかるように、結晶成長時におけるGaN基板の厚さが50μmを越えると、発振波長の面内分布が急速に増大し、発振閾値電流値も高くなっている。従って、ウェハー面内において発光波長が均一であり、かつ低い発振閾値電流値を得ることが出来るのは、結晶成長時におけるGaN基板の厚さが少なくとも50μm以下である必要があり、40μmである本発明の実施例1に係る窒化ガリウム系半導体レーザ素子は十分に低い発振閾値電流値であった。また、基板の厚さを5μmより薄くすると基板の機械的強度が低下するため割れやすくなり、基板ウェハーの取り扱い時に破損してしまうことによりコストの増大につながってしまった。
【0033】
なお、本実施例では、多重量子井戸構造活性層6を構成する量子井戸層14の層数を2層としたが、3層以上の多重量子井戸構造でもよく、1層のみの単一量子井戸構造でもよい。さらに、本実施例では、量子井戸層14と障壁層15の層厚をともに5nmとしたが、これらの層厚が同一である必要はなく、異なっていても構わない。また量子井戸層の層厚も本実施例にこだわらない。
【0034】
また本実施例では、多重量子井戸構造活性層6に接するようにAl0.2Ga0.8N蒸発防止層7を形成しているが、これは量子井戸層14が成長温度を上昇している間に蒸発してしまうことを防ぐためである。従って、量子井戸層14を保護するものであれば蒸発防止層7として用いることができ、他のAl組成を有するAlGaN3元混晶やGaNを用いてもよい。また、この蒸発防止層7にMgをドーピングしてもよく、この場合はp−GaNガイド層8やp−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層9から正孔が注入され易くなるという利点がある。さらに、量子井戸層14のIn組成が小さい場合は蒸発防止層7を形成しなくても量子井戸層14は蒸発しないため、特に蒸発防止層7を形成しなくても、本実施例の窒化ガリウム系半導体レーザ素子の特性は損なわれない。
【0035】
本実施例では、リッジストライプ構造を形成して注入電流の狭窄を行っているが、電極ストライプ構造等の他の電流狭窄の手法を用いてもよい。また、本実施例では劈開によりレーザの共振器端面を形成しているが、ドライエッチングにより共振器端面を形成することもできる。
【0036】
さらに本実施例では半絶縁性GaN基板を用いたため、エッチングにより露出したn−GaNn型コンタクト層3の表面にn側電極12を形成しているが、n型導電性を有するGaN基板を用いれば、この基板の裏面にn側電極12を形成してもよい。また、p型とn型の構成を逆にしても構わない。
【0037】
また本実施例の窒化ガリウム系半導体レーザを光ディスクのデータ読み出し用光源として用いたところ、レーザの出射面上の発光部から約60μmだけ離れた所に入射される光ディスクからの戻り光が、GaN基板に入射されなかった。従って、50μmより厚い基板を用いていた従来例では、基板に入射したこの戻り光が半導体レーザの雑音を引き起こし、データの読み出しエラーを生じていたが、本実施例では基板が40μm以下と薄いことにより基板に戻り光が入射ぜず、戻り光による雑音の発生が抑えられて、データの読み出しエラーを生じないという効果も得られた。
【0038】
(実施例2)
図4は本発明の実施例2に係る窒化ガリウム系半導体発光ダイオード素子を示す断面図である。この図において、21はc面を表面として有し厚さが20μm、直径が2インチであるn型GaN基板、22はn−GaNn型コンタクト層、23はn−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層、24はn−GaNガイド層、25はIn0.2Ga0.8N量子井戸層からなる単一量子井戸構造活性層、26はAl0.2Ga0.8N蒸発防止層、27はp−GaNガイド層、28はp−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層、29はp−GaNp型コンタクト層、30はp側電極、31はn側電極である。
【0039】
本実施例において、n型GaN基板21の厚さを20μmとしたが、5μmから40μmの間であればこの厚さにこだわらない。また基板の表面はa面等の他の面方位であっても構わない。
【0040】
n型クラッド層23及びp型クラッド層28は、n−Al0.1Ga0.9N以外のAl組成を持つAlGaN3元混晶や、単にGaNを用いてもよい。この場合Al組成を大きくすると活性層とクラッド層とのエネルギーギャップ差が大きくなり、キャリアが活性層に有効に閉じ込められて温度特性の向上が図れる。またキャリアの閉じ込めが保持される程度でAl組成を小さくしていくと、クラッド層におけるキャリアの移動度が大きくなるため、発光ダイオード素子の素子抵抗を小さくできる利点がある。さらにこれらのクラッド層は微量に他の元素を含んだ4元以上の混晶半導体でもよく、n型クラッド層23とp型クラッド層28とで混晶の組成が同一でなくても構わない。
【0041】
ガイド層24と27は、そのエネルギーギャップが、単一量子井戸構造活性層25を構成する量子井戸層のエネルギーギャップとクラッド層23と28のエネルギーギャップの間の値を持つような材料であればGaNにこだわらず他の材料、例えばInGaN・AlGaN3元混晶やInGaAlN4元混晶等を用いてもよい。またガイド層全体にわたってドナー又はアクセプターをドーピングする必要はなく、単一量子井戸構造活性層25側の一部のみをノンドープとしてもよく、さらにはガイド層全体をノンドープとしてもよい。この場合、ガイド層に存在するキャリアが少なくなり、自由キャリアによる光の吸収が低減されて、さらに光出力が向上するという利点がある。また、ガイド層24と27には、n型クラッド層23とp型クラッド層28からそれぞれ電子と正孔を単一量子井戸構造活性層25へ注入しやすくするという利点があるが、特にガイド層24と27を設けなくてもLED素子特性が大きく悪化することはないので、ガイド層24と27はなくても構わない。
【0042】
単一量子井戸構造活性層25を構成するIn0.2Ga0.8N量子井戸層は、必要な発光波長に応じてその組成を設定すればよく、発光波長を長くしたい場合は量子井戸層25のIn組成を大きくし、短くしたい場合は量子井戸層25のIn組成を小さくする。また量子井戸層25は、InGaN3元混晶に微量に他の元素を含んだ4元以上の混晶半導体でもよい。
【0043】
次に、図4を参照して上記窒化ガリウム系半導体発光ダイオードの作製方法を説明する。以下の説明ではMOCVD法(有機金属気相成長法)を用いた場合を示しているが、GaNをエピタキシャル成長できる成長法であればよく、MBE法(分子線エピタキシャル成長法)やHDVPE(ハイドライド気相成長法)等の他の気相成長法を用いることもできる。
【0044】
まず所定の成長炉内の発熱体上に設置された、c面を表面として有し厚さが20μm、直径が2インチであるn型GaN基板21上に、TMGとNH3、及びSiH4を原料に用いて、成長温度を1050℃として、厚さ3μmのSiドープn−GaNn型コンタクト層22を成長する。さらに続けてTMAを原料に加え、成長温度は1050℃のままで厚さ0.3μmのSiドープn−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層23を成長する。続けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050℃のままで厚さ0.05μmのSiドープn−GaNガイド層24を成長する。
【0045】
次に、成長温度を800℃に下げ、TMGとNH3、及びTMIを原料に用いて、厚さ3nmのIn0.2Ga0.8N量子井戸層からなる単一量子井戸構造活性層25を作成する。さらに続けてTMGとTMAとNH3を原料に用いて、成長温度は800℃のままで厚さ10nmのAl0.2Ga0.8N蒸発防止層26を成長する。
【0046】
次に、再び成長温度を1050℃に上昇して、TMGとNH3、及びCp2Mgを原料に用いて、厚さ0.05μmのMgドープp−GaNガイド層27を成長する。さらに続けてTMAを原料に加え、成長温度は1050℃のままで厚さ0.3μmのMgドープp−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層28を成長する。続けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050℃のままで厚さ0.2μmのMgドープp−GaNp型コンタクト層29を成長して、窒化ガリウム系エピタキシャルウエハーを完成する。
【0047】
その後、このウエハーを800℃の窒素ガス雰囲気中でアニールして、Mgドープのp型層を低抵抗化する。
【0048】
続いて、p−GaNp型コンタクト層29の表面にニッケルと金からなるp側電極30を形成し、n型GaN基板21の裏面にチタンとアルミニウムからなるn側電極31を形成して、窒化ガリウム系LEDウエハーを完成する。
【0049】
その後、このウエハーを個々のチップに分割する。そして、各チップをステムにマウントしてn側電極31とステムとを接続し、ワイヤーボンディングによりp側電極30とリード端子とを接続して、窒化ガリウム系半導体発光ダイオード素子を完成する。
【0050】
以上のようにして作製された青色LED素子は、順方向電流20mAで、発光波長430nm・光出力4mWという発光特性が得られた。また、実施例1と同様に、基板ウエハー面内での発光波長の分布は小さくなり、ウェハーの中心部と周辺部とで従来150nmあった発光波長の違いは3nmにまで低減された。このように本発明により、InGaN量子井戸活性層からの発光特性の分布が改善され、基板ウェハー面内において均一な発光波長を有する窒化ガリウム系半導体発光ダイオード素子が実現できた。
【0051】
なお、本実施例では、単一量子井戸構造活性層25を構成するIn0.2Ga0.8N量子井戸層の層数を1とし層厚を3nmとしたが、2層以上の多重量子井戸構造活性層でもよく、量子井戸層の層厚も本実施例にこだわらない。
【0052】
また本実施例では、単一量子井戸構造活性層25に接するようにAl0.2Ga0.8N蒸発防止層26を形成しているが、これは量子井戸層25が成長温度を上昇している間に蒸発してしまうことを防ぐためである。従って、量子井戸層25を保護するものであれば蒸発防止層26として用いることができ、他のAl組成を有するAlGaN3元混晶やGaNを用いてもよい。また、この蒸発防止層26にMgをドーピングしてもよく、この場合はp−GaNガイド層27やp−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層28から正孔が注入され易くなるという利点がある。さらに、量子井戸層25のIn組成が小さい場合は蒸発防止層26を形成しなくても量子井戸層25は蒸発しないため、特に蒸発防止層26を形成しなくても、本実施例の窒化ガリウム系半導体発光ダイオード素子の特性は損なわれない。
【0053】
さらに本実施例ではn型GaN基板を用いたことにより、実施例1のようなn−GaNn型コンタクト層を露出するためのドライエッチング工程を必要としないため、青色LEDの製造におけるコストの低減が図れる。なお、p型とn型の構成を逆にしても構わない。また、半絶縁性GaN基板を用いた場合は、従来と同様の製造プロセスで作製できるが、結晶成長時の基板の厚さを5μm以上40μm以下とすれば、実施例2と同様の本発明の効果が得られる。
【0054】
(実施例3)
図5は本発明の実施例3に係る窒化ガリウム系半導体レーザ素子を示す断面図であり、図6は図5中のB部を拡大した断面図である。この図において、41はc面を表面として有し厚さが8μm、直径が2インチであるn型GaN基板、42はn−GaNバッファ層、43はn−GaN層、44はn−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層、45はn−GaNガイド層、46は3層のIn0.2Ga0.8N量子井戸層54と2層のIn0.05Ga0.95N障壁層55とからなる多重量子井戸構造活性層、47はAl0.2Ga0.8N蒸発防止層、48はp−GaNガイド層、49はp−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層、50はp−GaNp型コンタクト層、51はp側電極、52はn側電極、53はSiO2絶縁膜である。
【0055】
本実施例において、n型GaN基板41の厚さを8μmとしたが、5μmから40μmの間であればこの厚さにこだわらない。また基板の表面はa面等の他の面方位であっても構わない。
【0056】
n−GaNバッファ層42は、n型GaN基板41の表面状態の変質によってその上に形成する窒化ガリウム系半導体発光部の結晶性が低下することを防ぐためのものであるが、n型GaN基板41の表面状態が良好に保たれていればバッファ層42は無くてもよい。またバッファ層42の材料は、その上に窒化ガリウム系半導体をエピタキシャル成長させることが出来るものであればGaNにこだわらず他の材料、例えばAlNやAlGaN3元混晶等を用いてもよいが、ヘテロ接合による電位障壁を低減する点から、GaNを用いることが好ましい。さらに、n型クラッド層44及びp型クラッド層49、ガイド層45と48は、第1の実施例と同様に、本実施例にこだわらず他の組成や他の材料を用いても構わない。
【0057】
次に、図5と図6を参照して上記窒化ガリウム系半導体レーザの作製方法を説明する。以下の説明ではMOCVD法(有機金属気相成長法)を用いた場合を示しているが、GaNをエピタキシャル成長できる成長法であればよく、MBE法(分子線エピタキシャル成長法)やHDVPE(ハイドライド気相成長法)等の他の気相成長法を用いることもできる。
【0058】
まず所定の成長炉内の発熱体上に設置された、c面を表面として有し厚さが8μm、直径が2インチであるn型GaN基板41上に、TMGとNH3を原料に用いて、成長温度600℃でn−GaNバッファ層42を35nm成長させる。
【0059】
次に成長温度を1050℃まで上昇させて、TMGとNH3、及びSiH4を原料に用いて、厚さ1μmのSiドープn−GaN層43を成長する。さらに続けてTMAを原料に加え、成長温度は1050℃のままで厚さ0.7μmのSiドープn−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層44を成長する。続けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050℃のままで厚さ0.05μmのSiドープn−GaNガイド層45を成長する。
【0060】
次に、成長温度を800℃に下げ、TMGとNH3、及びTMIを原料に用いて、In0.2Ga0.8N量子井戸層(厚さ4nm)54とIn0.05Ga0.95N障壁層(厚さ3nm)55を交互に2層ずつ成長し、最後にIn0.2Ga0.8N量子井戸層(厚さ4nm)54を1層成長することにより多重量子井戸構造活性層(トータルの厚さ18nm)46を作成する。さらに続けてTMGとTMAとNH3を原料に用いて、成長温度は800℃のままで厚さ10nmのAl0.2Ga0.8N蒸発防止層47を成長する。
【0061】
次に、再び成長温度を1050℃に上昇して、TMGとNH3、及びCp2Mgを原料に用いて、厚さ0.05μmのMgドープp−GaNガイド層48を成長する。さらに続けてTMAを原料に加え、成長温度は1050℃のままで厚さ0.7μmのMgドープp−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層49を成長する。続けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050℃のままで厚さ0.2μmのMgドープp−GaNp型コンタクト層50を成長して、窒化ガリウム系エピタキシャルウエハーを完成する。
【0062】
その後、このウエハーを800℃の窒素ガス雰囲気中でアニールして、Mgドープのp型層を低抵抗化する。さらに通常のフォトリソグラフィーとドライエッチング技術を用いて、p−GaNp型コンタクト層50の最表面に、5μm幅のストライプ状にリッジ構造を形成するようにp−GaNp型コンタクト層50とp−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層49をエッチングする。
【0063】
続いて、リッジの側面とリッジ以外のp型層表面に厚さ200nmのSiO2絶縁膜53を形成する。このSiO2絶縁膜53とp−GaNp型コンタクト層50の表面にニッケルと金からなるp側電極51を形成し、n型GaN基板41の裏面にチタンとアルミニウムからなるn側電極52を形成して、窒化ガリウム系LDウエハーを完成する。
【0064】
その後、このウエハーをリッジストライプに垂直な方向に劈開してレーザの共振器端面を形成し、さらに個々のチップに分割する。そして、各チップをステムにマウントしてn側電極52とステムとを接続し、ワイヤーボンディングによりp側電極51とリード端子とを接続して、窒化ガリウム系半導体レーザ素子を完成する。
【0065】
以上のようにして作製された青色LD素子は、発振波長430nm、発振閾値電流40mAというレーザ特性が得られた。また、基板ウエハー面内での発振波長の分布は小さくなり、ウェハーの中心部と周辺部とで従来150nmあった発振波長の違いは5nmにまで低減された。このように本実施例においてもInGaN量子井戸活性層からの発光特性の分布が改善され、基板ウェハー面内において発振波長が均一で発振閾値電流値が低い窒化ガリウム系半導体レーザ素子が実現できた。
【0066】
また本実施例ではn型GaN基板の厚さを8μmと薄くしたことにより、レーザ共振器の反射端面を劈開によって作製する際に、劈開が行いやすくなるという効果も生じた。この結果、素子作製の歩留まりが向上しコストの低減が図れた。さらにn型GaN基板を用いて基板の裏面にn側電極を形成したことによりワイヤーボンドの工程が1回で済み、素子作製工程が簡略化できた。
【0067】
なお本実施例ではn型GaN基板を用いたが、p型導電性を有するGaN基板を用いてp型とn型の構成を本実施例と逆にしても構わない。さらに、本実施例では、多重量子井戸構造活性層46を構成する量子井戸層54の層数を3層としたが、2層や4層以上の多重量子井戸構造でもよく、1層のみの単一量子井戸構造でもよい。また量子井戸層や障壁層の層厚も本実施例にこだわらず、他の膜厚を用いることもできる。
【0068】
【発明の効果】
上述したように本発明による窒化ガリウム系半導体発光素子においては、気相成長法により、窒化物半導体からなるクラッド層及び/又はガイド層に挟まれた、少なくともインジウムとガリウムを含む窒化物半導体からなる量子井戸構造活性層を形成する際の基板として窒化ガリウム基板を用い、かつその厚さを、5μm以上40μm以下と薄くしたので、InGaNを結晶成長する際の基板の底面と表面との温度差が無くなり、基結晶成長時における基板ウェハーの反りが抑えられることによって基板ウェハーは底面全体で発熱体と接することになるため、基板ウェハー面内での表面温度の分布が抑えられた。
【0069】
さらに、上記のごとく基板として窒化ガリウムを用いるので、基板上に形成される半導体層と基板との熱膨張係数の違いが小さくなり、熱歪みによるウェハーの反りも抑えられ基板ウェハーの面内での表面温度の分布がさらに改善された。
【0070】
その結果、InGaN量子井戸活性層からの発光特性の分布が改善され、基板ウェハー面内において発振波長が均一で発振閾値電流値が低い窒化ガリウム系半導体レーザ素子と、基板ウェハー面内で発光波長が均一な窒化ガリウム系発光ダイオード素子が実現できた。
【0071】
また本実施例の窒化ガリウム系半導体レーザを光ディスクのデータ読み出し用光源として用いたところ、基板の厚さが40μm以下と薄いことにより基板に戻り光が入射ぜず、戻り光による雑音の発生が抑えられて、データの読み出しエラーが低減できた。さらには、基板の厚さが薄いことによりレーザ共振器の反射端面を劈開により作製する際に、歩留まりよく劈開を行うことができ、コストが低減できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る半導体レーザ素子のA部を拡大した断面図である。
【図3】窒化ガリウム系半導体レーザ素子において、ウェハーの中心部と周辺部とでの発振波長の違いの大きさのGaN基板の厚さ依存性、及び、発振閾値電流値のGaN基板の厚さ依存性を表すグラフ図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係る半導体発光ダイオード素子を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施例に係る半導体レーザ素子のB部を拡大した断面図である。
【図7】窒化ガリウム系半導体を用いた従来の青色LDの断面図である。
【図8】窒化ガリウム系半導体を用いた従来の青色LEDの断面図である。
【図9】発熱体上に設置された従来の基板ウェハーの温度を上昇したときの、基板の反りを示す図である。
【符号の説明】
1 半絶縁性GaN基板
2 ノンドープGaNバッファ層
3 n−GaNn型コンタクト層
4 n−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層
5 n−GaNガイド層
6 多重量子井戸構造活性層
7 Al0.2Ga0.8N蒸発防止層
8 p−GaNガイド層
9 p−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層
10 p−GaNp型コンタクト層
12 n側電極
13 SiO2絶縁膜
14 In0.2Ga0.8N量子井戸層
15 In0.05Ga0.95N障壁層
Claims (1)
- 基板上に、窒化物半導体からなるクラッド層及び/又はガイド層に挟まれた、少なくともインジウムとガリウムを含む窒化物半導体からなる量子井戸構造活性層を、気相成長法により形成する製造方法であって、
前記基板として、5μm以上40μm以下の厚さを有する窒化ガリウム基板を用いる、
ことを特徴とする窒化ガリウム系半導体発光素子の製造方法。
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