JPH0685350B2 - 高周波加熱装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は電子レンジ等のいわゆる誘導加熱を行う為の高
周波加熱装置の改良に関し、さらに詳しく言えば、イン
バータにより高周波加電力を発生し、昇圧トランスにて
昇圧してマグネトロンを駆動するように構成した高周波
加熱装置の改良に関する。

従来の技術 このような方式の高周波加熱装置は、その電源トランス
の小型化、軽量化、あるいは低コスト化の為に様々な構
成のものが提案されている。

第４図は、従来の高周波加熱装置の回路図である。図に
おいて、商用電源１の電力はダイオードブリツジ２によ
り整流され、単方向電源３が形成されている。４はイン
ダクク、５はコンデンサであってインバータの高周波ス
イッチング動作に対するフィルタの役割を果すものであ
る。インバータは共振コンデンサ６、昇圧トランス７、
トランジスタ８、ダイオード９、および駆動回路10より
構成されている。トランジスタ８は駆動回路10より供給
されるベース電流によって所定の周期とデューティ（即
ち、オンオフ時間比）でスイッチング動作する。この結
果、昇圧トランス７の出力側には高周波高圧電力が生じ
る。この高周波高圧電力はコンデンサ11およびダイオー
ド12により整流されマグネトロン13のアノード・カソー
ド間に供給され、一方カソードヒータには昇圧トランス
７から高周波低電力が供給される。従ってマグネトロン
13は発振して誘電加熱が可能となるものである。このよ
うな構成に於て、昇圧トランス７のコア断面積は供給さ
れる電力の周波数が高い程小さくなるので、例えばイン
バータを20KHz〜100KHz程度の周波数で動作させると商
用電源周波数のままで昇圧する場合に比べて昇圧トラン
スの重量、サイズを数分の一から十数分の一にでき、電
源部の低コスト化が可能であるという特長を有するもの
である。コンデンサ14,15,16およびインダクタンス17,1
8はマグネトロン13の不要輻射のフィルタを構成してい
る。

第５図には従来例の高周波加熱装置の断面図を示す。第
４図と対応する要素は同一符号を附している。第５図に
おいてマグネトロン13から発生されるマイクロ波はオー
ブン19内に供給される。冷却ファン20はマグネトロン13
を冷却すると共に昇圧トランス７をも冷却する構成とな
っている。マグネトロン13、高圧コンデンサ11、ダイオ
ード12、昇圧トランス７、駆動回路10、および整流回路
21等は電源で結ながれており、接地電位はオーブン本体
22と同電位となっている。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、このような従来の高周波加熱装置は次の
ような欠点があった。

昇圧トランスを小型にするため、電源周波数を高周波に
変換したため、インバータ電源部23より商用電源１への
端子雑音が発生し、他の機器へ雑音妨害を与える。ま
た、マグネトロンの不要輻射により通信系への悪影響を
与えるという問題があった。また、昇圧トランスは小型
化されたにもかかわらず、インバータ部、整流回路部等
の部品がふえたため、全体としてコンパクトな高周波加
熱装置とならず、配線の手間がかかり、さらには配線が
アンテナとなりノイズが発生しやすかった。また、冷却
面でも回路部品の冷却と昇圧トランス、マグネトロンと
バラバラの部品を効率よく冷却させる構成が面倒である
という問題も有していた。加えて、マグネトロンから発
生する不要輻射電界により駆動回路が誤動作をするとい
う問題があった。

問題点を解決するための手段 本発明はこのような従来の高周波加熱装置の欠点を解決
するためになされたものであり、以下に述べる手段によ
り構成された高周波加熱装置である。

即ち、商用電源を単方向電源に変換する整流手段と、前
記単方向電源の出力を変換するインバータと前記インバ
ータの出力を昇圧する昇圧トランスと、前記昇圧トラン
スにより付勢されるマグネトロンと、前記インバータの
スイッチング素子の駆動回路を備え、前記整流手段と前
記インバータと前記昇圧トランスと前記駆動回路と前記
マグネトロンの高圧端子を実質的に同一電位のケース内
に収納し、前記マグネトロンと前記ケースを一体にした
構成とし、前記マグネトロンの高圧端子と前記昇圧トラ
ンスの間にマイクロ波遮蔽手段を設けた構成としている
ものである。

作用 本発明は上記構成により以下にのべる作用を有するもの
である。

即ち、本発明の高周波加熱装置は整流手段とインバータ
と昇圧トランスと駆動回路とマグネトロンの高圧端子を
実質的に同一電位のケース内に収納し、マグネトロンと
前記ケースを一体にした構成としたので、これまでバラ
バラであった部品がコンパクトにまとまり、面倒な組立
て配線の少ない構成とすることができる。さらに配線が
少ないために、配線がアンテナの役割をして発生する電
磁輻射ノイズを減少することができる。また、マグネト
ロンの高圧端子と昇圧トランスの間にマイクロ波遮蔽手
段を設けたために、マグネトロンから発生する不要輻射
による電磁ノイズが駆動回路に影響を与えて起こる誤動
作を防止できると共に全体を一体化したために、輻射ノ
イズが、テレビ、ラジオ等の通信系や機器に与える悪影
響を防止できる。

実施例 以下、本発明の高周波加熱装置の一実施例について図面
とともに説明する。

第２図は本発明の高周波加熱装置の回路図であり、第４
図と相当する構成要素のものは同符号を付し説明を省略
する。

第２図において、商用電源１の電力は単方向電源（全波
整流様電源）３に送られインバータ23に供給される。イ
ンバータ23は半導体スイッチ８等より成り、昇圧トラン
ス７を付勢してマグネトロン13に高圧電力を供給するも
のである。

トランジスタ８、トランスの一次巻線24、共振コンデン
サ６、およびマグネトロン13に流れる電流は、それぞれ
第３図（ａ），（ｂ），（ｃ），および（ｄ）のように
なり、マグネトロン13のアノード電圧VAKは同図（ｅ）
のようになる。これは昇圧トランス７の一次巻線と二次
巻線の極性が図のようになっていること、および昇圧ト
ランス７がリーケージ型トランスとなっていること、さ
らに高圧コンデンサ16がマグネトロン13に並列接続され
ていることによるものである。第２図のコンデンサ25a,
25b,25c,25d,チョークコイル26a,26bは電源フィルタ部2
7を構成しており、インバータ23から商用電源への端子
雑音の発生の防止、および配線を通しての不要輻射の防
止を目的としている。

第１図は、本発明の実施例の高周波加熱装置の断面図を
示している。第４図と相対する構成要素のものは同符号
を付している。第１図において、マグネトロン13と一体
となったケース28の内部に昇圧トランス７、駆動回路1
0、整流回路29、マグネトロンの高圧端子30が収納され
ており、ケース28の電位は接地レベルとなっている。こ
のように一体化することで配線が少なくコンパクトな高
周波加熱装置を実現すると供に、電磁波ノイズの漏洩を
防止する構成となっている。ケース28の壁面には冷却用
のパンチング穴31,32があいており、電源コード引き出
し部にはノイズフィルタ27が設けられて、電源コードを
通じて発生する雑音の防止を行っている。マグネトロン
の高圧端子部30にはインダクタンス17,18とコンデンサ1
4,15,16からなるノイズフィルタを設けて、電磁波によ
る回路の誤動作を防止している。マグネトロン17,昇圧
トランス７等の発熱部品は冷却ファン20で冷却する構成
となっている。インダクタンス17、18とコンデンサ14、
15、16は、マグネトロン13の発生する高周波を遮断する
ローパスフィルタとして働く。高周波を遮断することで
インバータ23のスイッチング動作の耐ノイズ性能を向上
させ、装置の安定した動作を図っている。このようにし
てコンパクトで、電磁波ノイズによる悪影響の少ない高
周波加熱装置を構成している。また、電磁波のノイズ防
止には電波吸収材等を使用して発生を押さえる手段を用
いてもよい。

発明の効果 以上に述べたように本発明によれば以下のような効果を
得ることができる。

（１）マグネトロンと昇圧トランス等の主要部品を一体
化した構成としたので、コンパクトな高周波加熱装置を
提供できる。

（２）発熱部品が一体化されているので、冷却構成が容
易になり、冷却効率のよい高周波加熱装置を提供でき
る。

（３）一体化したケースで電磁波洩漏防止を行うので、
漏洩防止効果が大きく、ノイズの出にくい高周波加熱装
置を提供できる。

（４）一体化することにより配線が少なくてすむので組
立て配線が容易になると共に電線がアンテナとなって発
生するノイズが減少するので安価で信頼性の高い高周波
加熱装置を提供できる。

（５）マグネトロンと昇圧トランスの間にマイクロ波遮
蔽手段を設けるので、ノイズによる回路誤動作が少な
く、信頼性の高い高周波加熱装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における高周波加熱装置の断
面図、第２図は同装置の回路図、第３図は同回路の各部
の電流・電圧波形図、第４図は従来例の高周波加熱装置
の回路図、第５図は同装置の断面図である。 １……商用電源、３……単方向電源、７……昇圧トラン
ス、８……スイッチング素子（トランジスタ）、10……
駆動回路、23……インバータ、27……ノイズフィルタ、
28……ケース、30……高圧端子。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 楠木 慈 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−56803（ＪＰ，Ａ) 特公 昭58−56239（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】商用電源を単方向電源に変換する整流手段
   と、前記単方向電源の出力を変換するインバータと前記
   インバータの出力を昇圧する昇圧トランスと、前記昇圧
   トランスにより付勢されるマグネトロンと、前記インバ
   ータのスイッチング素子の駆動回路を備え、前記整流手
   段と前記インバータと前記昇圧トランスと前記駆動回路
   と前記マグネトロンの高圧端子を実質的に同一電位のケ
   ース内に収納し、前記マグネトロンと前記ケースを一体
   にした構成とし、前記マグネトロンの高圧端子と前記昇
   圧トランスの間にマイクロ波遮蔽手段を設け、前記マイ
   クロ波遮蔽手段は、前記マグネトロンの高圧端子に直列
   に設けたインダクタンスと前記マグネトロンの高圧端子
   と前記ケースとの間に設けたコンデンサからなる高周波
   加熱装置。
2. 【請求項２】商用電源と整流手段との間にノイズフィル
   タを設けた特許請求の範囲第１項記載の高周波加熱装
   置。