JPH0684709A - 固体電解コンデンサの製法 - Google Patents
固体電解コンデンサの製法Info
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- JPH0684709A JPH0684709A JP4235910A JP23591092A JPH0684709A JP H0684709 A JPH0684709 A JP H0684709A JP 4235910 A JP4235910 A JP 4235910A JP 23591092 A JP23591092 A JP 23591092A JP H0684709 A JPH0684709 A JP H0684709A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 固体電解コンデンサの誘電体膜内の結晶や損
傷などの潜在的欠陥を顕在化させて取り除き、エージン
グ処理を省略し、かつ、リーク電流に対する信頼性を向
上する製法を提供する。 【構成】 タンタル焼結体1に五酸化タンタルの誘電体
膜3を形成したのち、300 〜400 ℃で2〜30分間空気加
熱し、その上に二酸化マンガンからなる電解質層6を形
成したのち、さらに300 〜400 ℃で2〜30分間、空気加
熱し、その上にグラファイト層9および銀層12を形成す
る。耐圧試験では電極間に環境温度85〜125 ℃で定格の
2〜3.5 倍のパルス電圧を印加する。
傷などの潜在的欠陥を顕在化させて取り除き、エージン
グ処理を省略し、かつ、リーク電流に対する信頼性を向
上する製法を提供する。 【構成】 タンタル焼結体1に五酸化タンタルの誘電体
膜3を形成したのち、300 〜400 ℃で2〜30分間空気加
熱し、その上に二酸化マンガンからなる電解質層6を形
成したのち、さらに300 〜400 ℃で2〜30分間、空気加
熱し、その上にグラファイト層9および銀層12を形成す
る。耐圧試験では電極間に環境温度85〜125 ℃で定格の
2〜3.5 倍のパルス電圧を印加する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は固定電解コンデンサの製
法に関する。さらに詳しくは、初期不良や潜在不良を顕
在化させ、検査工程に要する時間を短縮する固体電解コ
ンデンサの製法に関する。
法に関する。さらに詳しくは、初期不良や潜在不良を顕
在化させ、検査工程に要する時間を短縮する固体電解コ
ンデンサの製法に関する。
【0002】
【従来の技術】固体電解コンデンサは、従来、つぎのよ
うにして製造される。まずタンタル(Ta)、アルミニ
ウム(Al)、ニオブ(Nb)などの金属の表面に、陽
極酸化などによって誘電体膜となる酸化膜を形成する化
成工程を行う。そして陽極酸化処理ののち、100 〜200
℃で乾燥させている。
うにして製造される。まずタンタル(Ta)、アルミニ
ウム(Al)、ニオブ(Nb)などの金属の表面に、陽
極酸化などによって誘電体膜となる酸化膜を形成する化
成工程を行う。そして陽極酸化処理ののち、100 〜200
℃で乾燥させている。
【0003】さらに、たとえばタンタル固体電解コンデ
ンサのばあい、前記誘電体膜を形成したのち、硝酸マン
ガン水溶液に含浸させ、付着させたのち、水分を蒸発さ
せ、200 〜300 ℃で硝酸マンガンを熱分解することによ
り、電解質となる二酸化マンガン(MnO2 )層を形成
する。そののち、前記酸化膜のクラックなどの損傷を修
復するための再化成処理を行う。このとき、電解質の焼
付によって生じた誘電体膜の傷を修復することを目的と
して、再度陽極酸化を行うことがある。
ンサのばあい、前記誘電体膜を形成したのち、硝酸マン
ガン水溶液に含浸させ、付着させたのち、水分を蒸発さ
せ、200 〜300 ℃で硝酸マンガンを熱分解することによ
り、電解質となる二酸化マンガン(MnO2 )層を形成
する。そののち、前記酸化膜のクラックなどの損傷を修
復するための再化成処理を行う。このとき、電解質の焼
付によって生じた誘電体膜の傷を修復することを目的と
して、再度陽極酸化を行うことがある。
【0004】ついでグラファイトを水、アンモニアなど
に分散させたペースト内に中間製品をディッピングし、
焼成したのち、さらに銀ペースト内にディッピングし、
焼成して一方の電極を形成する。そして出荷前に、電極
間に定格電圧の1.5 〜3.0 倍の電圧を1〜5秒間、1回
だけ加えてリーク電流を検出し、ショートの有無を確認
する耐圧検査を行う。このときの環境温度は常温(25℃
前後)であり、ほとんどのばあい直列保護抵抗を加えず
直接電圧を印加している。
に分散させたペースト内に中間製品をディッピングし、
焼成したのち、さらに銀ペースト内にディッピングし、
焼成して一方の電極を形成する。そして出荷前に、電極
間に定格電圧の1.5 〜3.0 倍の電圧を1〜5秒間、1回
だけ加えてリーク電流を検出し、ショートの有無を確認
する耐圧検査を行う。このときの環境温度は常温(25℃
前後)であり、ほとんどのばあい直列保護抵抗を加えず
直接電圧を印加している。
【0005】さらにそののち、定格電圧の0.7 〜1.5 倍
の電圧を15分〜48時間印加するエージング処理を行う。
このようにエージング時間にバラツキがあるのは、固体
電解コンデンサの種類、定格が多岐にわたるからであ
る。また長時間要するのは、図3の符号Aに示すよう
に、電圧を印加してからコンデンサの母集団の初期不良
を取り除き、不良率をある率以下に下げるためである。
初期不良率の高い集団は、エージングを長時間続けて
も、不良率が基準不良率以下にならないばあい(図3、
B)と、安定時に不良率が高くなるばあい(同図C)が
ある。
の電圧を15分〜48時間印加するエージング処理を行う。
このようにエージング時間にバラツキがあるのは、固体
電解コンデンサの種類、定格が多岐にわたるからであ
る。また長時間要するのは、図3の符号Aに示すよう
に、電圧を印加してからコンデンサの母集団の初期不良
を取り除き、不良率をある率以下に下げるためである。
初期不良率の高い集団は、エージングを長時間続けて
も、不良率が基準不良率以下にならないばあい(図3、
B)と、安定時に不良率が高くなるばあい(同図C)が
ある。
【0006】なおエージング処理の環境温度は常温ない
し125 ℃の範囲で、これも固体電解コンデンサの種類に
応じて設定される。また1kΩ以下の直列保護抵抗を加
えるばあいがある。このエージング処理は、固体電解コ
ンデンサの電気特性の安定化をはかり、同時に前述のよ
うに初期不良および潜在不良のある製品を取り除くため
のものである。
し125 ℃の範囲で、これも固体電解コンデンサの種類に
応じて設定される。また1kΩ以下の直列保護抵抗を加
えるばあいがある。このエージング処理は、固体電解コ
ンデンサの電気特性の安定化をはかり、同時に前述のよ
うに初期不良および潜在不良のある製品を取り除くため
のものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の製法におい
ては、エージングの時間が長く、製造時間およびコスト
が高くなる。またエージング中に電解質による誘電体膜
の修復作用が奏され、本来不良品であるべきものがエー
ジング中に部分的に修復されて良品と判断されるばあい
がある(図3のC)。このものはいずれ早期に潜在的な
欠陥が顕在化する(図3のP)。さらに前記従来のエー
ジング処理では、潜在的な不良品を発見できず、そのま
ま市場へ出回る可能性がある。
ては、エージングの時間が長く、製造時間およびコスト
が高くなる。またエージング中に電解質による誘電体膜
の修復作用が奏され、本来不良品であるべきものがエー
ジング中に部分的に修復されて良品と判断されるばあい
がある(図3のC)。このものはいずれ早期に潜在的な
欠陥が顕在化する(図3のP)。さらに前記従来のエー
ジング処理では、潜在的な不良品を発見できず、そのま
ま市場へ出回る可能性がある。
【0008】本発明はこのような従来の固体電解コンデ
ンサの、検査方法も含めた製造工程を改善し、時間がか
かるエージング処理を短縮化ないし省略すると共に、潜
在的不良品を出荷前に確実に取り除くことを目的として
いる。
ンサの、検査方法も含めた製造工程を改善し、時間がか
かるエージング処理を短縮化ないし省略すると共に、潜
在的不良品を出荷前に確実に取り除くことを目的として
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の固体電解コンデ
ンサの製造法は、(a)コンデンサの電極材料としての
タンタル、アルミニウムまたはニオブの金属材料に誘電
体膜を形成する化成処理工程、(b)形成された誘電体
膜上に電解質層を形成する工程、(c)前記誘電体膜上
の損傷を修復する再化成処理工程、(d)電解質層上に
電極を設ける電極形成工程、および(e)電極間に電圧
を加えてショートの有無を検出する耐圧検査工程を有す
る固体電解コンデンサの製法であって、前記化成処理工
程および(または)再化成処理工程ののちに、300 〜40
0 ℃で加熱することを特徴としている。
ンサの製造法は、(a)コンデンサの電極材料としての
タンタル、アルミニウムまたはニオブの金属材料に誘電
体膜を形成する化成処理工程、(b)形成された誘電体
膜上に電解質層を形成する工程、(c)前記誘電体膜上
の損傷を修復する再化成処理工程、(d)電解質層上に
電極を設ける電極形成工程、および(e)電極間に電圧
を加えてショートの有無を検出する耐圧検査工程を有す
る固体電解コンデンサの製法であって、前記化成処理工
程および(または)再化成処理工程ののちに、300 〜40
0 ℃で加熱することを特徴としている。
【0010】前記耐圧検査時には、85〜125 ℃で加熱し
ながら検査を行うのが好ましく、さらに定格電圧の2〜
3.5 倍の電圧をパルス印加するのが好ましい。
ながら検査を行うのが好ましく、さらに定格電圧の2〜
3.5 倍の電圧をパルス印加するのが好ましい。
【0011】
【作用】たとえば、タンタルの焼結体の表面に誘電体膜
を形成するとき、結晶が生じたり、損傷が生じたりする
ことがあり、その結晶部や損傷部が将来、初期不良や潜
在不良になる。本発明では、化成処理および(または)
再化成処理のあと、誘電体膜に熱ストレスを加え、通常
の耐圧検査では見過される小さい結晶部および損傷部を
より顕著化する。それによりあとの耐圧検査工程で結晶
部や損傷部を発見でき、これらを市場に出回る前に取り
除くことができる。
を形成するとき、結晶が生じたり、損傷が生じたりする
ことがあり、その結晶部や損傷部が将来、初期不良や潜
在不良になる。本発明では、化成処理および(または)
再化成処理のあと、誘電体膜に熱ストレスを加え、通常
の耐圧検査では見過される小さい結晶部および損傷部を
より顕著化する。それによりあとの耐圧検査工程で結晶
部や損傷部を発見でき、これらを市場に出回る前に取り
除くことができる。
【0012】また前述のように潜在的な欠陥を顕在化し
てあらかじめ取り除くので、従来の時間を要するエージ
ング処理を短縮ないし省略しても問題がなく、全体の製
造に要する時間を短縮することができ、コストを低減し
うる。
てあらかじめ取り除くので、従来の時間を要するエージ
ング処理を短縮ないし省略しても問題がなく、全体の製
造に要する時間を短縮することができ、コストを低減し
うる。
【0013】さらに耐圧検査時に85〜125 ℃で加熱しな
がら高電圧を印加すると、半導体の温度特性と同様に不
良部が一層顕著化し、検査精度を高めることができる利
点がある。
がら高電圧を印加すると、半導体の温度特性と同様に不
良部が一層顕著化し、検査精度を高めることができる利
点がある。
【0014】また耐圧検査時に定格電圧の2〜3.5 倍の
電圧を1回当り印加時間を1〜5秒間、休止時間を1〜
5秒間で、3〜10回繰り返すパルス印加をするときは、
従来のような電解質による誘電体膜の修復作用を抑制す
ることができる。そのため不良品を確実に取り除くこと
ができる。
電圧を1回当り印加時間を1〜5秒間、休止時間を1〜
5秒間で、3〜10回繰り返すパルス印加をするときは、
従来のような電解質による誘電体膜の修復作用を抑制す
ることができる。そのため不良品を確実に取り除くこと
ができる。
【0015】
【実施例】つぎに図面を参照しながら本発明の製法を説
明する。図1は本発明の製法の一実施例を示す工程図、
図2は本発明にかかわる耐圧検査時における環境温度と
電流−電圧曲線の関係を示すグラフである。
明する。図1は本発明の製法の一実施例を示す工程図、
図2は本発明にかかわる耐圧検査時における環境温度と
電流−電圧曲線の関係を示すグラフである。
【0016】図1において1はタンタル粉末を直方体状
に成型し、焼結させたタンタル焼結体である(図1
(a))。焼結体1の上面には、同じ材料からなるワイ
ヤ2が埋め込まれて一方の電極を構成している。なおタ
ンタルに代えて、アルミニウム箔やニオブなどの金属を
用いることもできる。
に成型し、焼結させたタンタル焼結体である(図1
(a))。焼結体1の上面には、同じ材料からなるワイ
ヤ2が埋め込まれて一方の電極を構成している。なおタ
ンタルに代えて、アルミニウム箔やニオブなどの金属を
用いることもできる。
【0017】焼結体1をリン酸水溶液などに浸漬し、10
0 〜200 Vで2〜3時間の陽極酸化を行うことによっ
て、図1(b)に示すように、焼結体1の表面およびワ
イヤ2の一部表面に五酸化タンタル(Ta2 O5 )の層
を誘電体膜3(厚さ数〜数百nm)として形成する。こ
れが化成処理工程である。
0 〜200 Vで2〜3時間の陽極酸化を行うことによっ
て、図1(b)に示すように、焼結体1の表面およびワ
イヤ2の一部表面に五酸化タンタル(Ta2 O5 )の層
を誘電体膜3(厚さ数〜数百nm)として形成する。こ
れが化成処理工程である。
【0018】化成処理工程ののち、中間製品4を加熱槽
5内に入れ、300 〜400 ℃の乾燥空気で約5分間、空気
加熱処理を行う(図1(c))。この加熱処理は、通常
2〜30分間で行うのが好ましい。なおこのとき、予備加
熱は行わない。
5内に入れ、300 〜400 ℃の乾燥空気で約5分間、空気
加熱処理を行う(図1(c))。この加熱処理は、通常
2〜30分間で行うのが好ましい。なおこのとき、予備加
熱は行わない。
【0019】この空気加熱処理は、誘電体膜3に熱スト
レスを加え、もしその誘電体膜中に結晶や損傷があった
ばあい、それらを進行させて顕著化し、のちの耐圧検査
工程で欠陥を発見しやすくするためのものである。
レスを加え、もしその誘電体膜中に結晶や損傷があった
ばあい、それらを進行させて顕著化し、のちの耐圧検査
工程で欠陥を発見しやすくするためのものである。
【0020】ついでえられた中間製品に、硝酸マンガン
水溶液を含浸させ、加熱することにより硝酸マンガンを
熱分解し、電解質となる二酸化マンガン(MnO2 )の
層6を形成する(図1(d))。そして、再度陽極酸化
を行う。これが再化成処理工程である。この電解質形成
工程と再化成処理工程は数回繰り返される。なお二酸化
マンガンの層6は、焼結体1を構成する各粒子の表面に
形成されるが、さらに中間製品の全体にわたってほぼ一
定厚さで形成される。
水溶液を含浸させ、加熱することにより硝酸マンガンを
熱分解し、電解質となる二酸化マンガン(MnO2 )の
層6を形成する(図1(d))。そして、再度陽極酸化
を行う。これが再化成処理工程である。この電解質形成
工程と再化成処理工程は数回繰り返される。なお二酸化
マンガンの層6は、焼結体1を構成する各粒子の表面に
形成されるが、さらに中間製品の全体にわたってほぼ一
定厚さで形成される。
【0021】前述の再化成処理ののち(1回目の再化成
処理工程ののち、または数回繰り返したのち)、再度中
間製品7を加熱槽5内に入れ、300 〜400 ℃の乾燥空気
で約5分間、空気加熱処理を行う(図1(e))。この
加熱処理も、通常2〜30分間で行うのが好ましい。この
加熱処理は1回目の第一再化成処理ののちの方が効果が
大きい。これは前記1回目の空気加熱処理工程により顕
在化させた誘電体の欠陥(結晶部および損傷部)が第一
再化成工程で修復され、再び潜在化してしまうことがあ
るので、これを改めて顕在化させるために熱ストレスを
加えるのである。
処理工程ののち、または数回繰り返したのち)、再度中
間製品7を加熱槽5内に入れ、300 〜400 ℃の乾燥空気
で約5分間、空気加熱処理を行う(図1(e))。この
加熱処理も、通常2〜30分間で行うのが好ましい。この
加熱処理は1回目の第一再化成処理ののちの方が効果が
大きい。これは前記1回目の空気加熱処理工程により顕
在化させた誘電体の欠陥(結晶部および損傷部)が第一
再化成工程で修復され、再び潜在化してしまうことがあ
るので、これを改めて顕在化させるために熱ストレスを
加えるのである。
【0022】ついでグラファイトを水ないしアンモニア
に分散させたグラファイトペースト8内に中間製品7を
ディッピングし(図1(f))、150 ℃で焼成して電解
層(二酸化マンガン層6)の上にグラファイト層9を形
成する(図1(g))。さらにそののち、中間製品10を
銀ペースト11内にディッピングし(図1(h))、焼成
して銀層12を形成する。グラファイト層9および銀層12
は、固体電解コンデンサの一方の電極を構成する。なお
他方の電極は、前述のようにワイヤ2である。
に分散させたグラファイトペースト8内に中間製品7を
ディッピングし(図1(f))、150 ℃で焼成して電解
層(二酸化マンガン層6)の上にグラファイト層9を形
成する(図1(g))。さらにそののち、中間製品10を
銀ペースト11内にディッピングし(図1(h))、焼成
して銀層12を形成する。グラファイト層9および銀層12
は、固体電解コンデンサの一方の電極を構成する。なお
他方の電極は、前述のようにワイヤ2である。
【0023】以上の工程および外装モールドなどの組立
により、一応は固体電解コンデンサが完成するが、この
完成品は出荷前に、試験工程の一つとしてワイヤ2と銀
層12のあいだに定格電圧の2〜3.5 倍の電圧を印加して
耐圧検査を行う(図1(i))。このとき、環境温度を
85〜125 ℃と比較的高温にしておく。また印加電圧は1
回につき1〜5秒間、所定の電圧を加え、ついで印加電
圧を0として1〜5秒間放置し、さらに1〜5秒間電圧
を印加するというようにパルス的に印加し5回(通常は
3〜10回)程度繰り返す。そして最終の印加時に洩れ電
流がないか否かを検査するのである。
により、一応は固体電解コンデンサが完成するが、この
完成品は出荷前に、試験工程の一つとしてワイヤ2と銀
層12のあいだに定格電圧の2〜3.5 倍の電圧を印加して
耐圧検査を行う(図1(i))。このとき、環境温度を
85〜125 ℃と比較的高温にしておく。また印加電圧は1
回につき1〜5秒間、所定の電圧を加え、ついで印加電
圧を0として1〜5秒間放置し、さらに1〜5秒間電圧
を印加するというようにパルス的に印加し5回(通常は
3〜10回)程度繰り返す。そして最終の印加時に洩れ電
流がないか否かを検査するのである。
【0024】このように印加電圧をパルス状とするの
は、電解質による誘電膜の損傷部の修復を抑制し、潜在
化する可能性のある欠陥部分を明確に検知するためであ
る。また従来の耐圧検査(定格電圧の1.5 〜3.0 倍、3
秒以下)より高圧で、パルス印加するのは、検出条件を
シビアにして結晶部や損傷部をできるだけ顕在化させる
ためである。その意味で保護抵抗を直列に介在させるこ
ともしない。
は、電解質による誘電膜の損傷部の修復を抑制し、潜在
化する可能性のある欠陥部分を明確に検知するためであ
る。また従来の耐圧検査(定格電圧の1.5 〜3.0 倍、3
秒以下)より高圧で、パルス印加するのは、検出条件を
シビアにして結晶部や損傷部をできるだけ顕在化させる
ためである。その意味で保護抵抗を直列に介在させるこ
ともしない。
【0025】また環境温度を85〜125 ℃と高温にするの
は、図2に示すように、環境温度を上げると同一の印加
電圧に対し、良品と不良品とのあいだの電流の差(S)
が顕著になる半導体の温度特性を利用したものである。
たとえば、環境温度を変えたとき、漏れ電流は良品を1
とすると、不良品は25℃で2倍、50℃で5倍、80℃で14
倍、120 ℃で50倍となり、高い温度で不良品が顕著化す
る。
は、図2に示すように、環境温度を上げると同一の印加
電圧に対し、良品と不良品とのあいだの電流の差(S)
が顕著になる半導体の温度特性を利用したものである。
たとえば、環境温度を変えたとき、漏れ電流は良品を1
とすると、不良品は25℃で2倍、50℃で5倍、80℃で14
倍、120 ℃で50倍となり、高い温度で不良品が顕著化す
る。
【0026】以上の製造工程により、誘電体膜の潜在的
な結晶や損傷などの欠陥はほとんどすべて把握可能とな
り、初期電気特性不良および潜在的な電気特性不良であ
る製品を事前に取り除くことができる。またもともと不
良品を潜在化させたりする、長時間かかるエージング処
理を行う必要がなくなる。
な結晶や損傷などの欠陥はほとんどすべて把握可能とな
り、初期電気特性不良および潜在的な電気特性不良であ
る製品を事前に取り除くことができる。またもともと不
良品を潜在化させたりする、長時間かかるエージング処
理を行う必要がなくなる。
【0027】
【発明の効果】従来発見が困難であった誘電体膜の結晶
部や損傷部などの潜在的欠陥を顕在化させたうえで耐圧
試験を行うので、初期電気特性不良および潜在電気特性
不良のある製品を事前に取り除くことができる。それに
より製品の信頼性を大幅に向上させることができる。た
とえば従来の製法により製造した固体電解コンデンサに
おいては、信頼性テストでPPMオーダの不良品発生率
であったが、本発明の製法によればその1/1000のオーダ
で、大幅に低減することができた。
部や損傷部などの潜在的欠陥を顕在化させたうえで耐圧
試験を行うので、初期電気特性不良および潜在電気特性
不良のある製品を事前に取り除くことができる。それに
より製品の信頼性を大幅に向上させることができる。た
とえば従来の製法により製造した固体電解コンデンサに
おいては、信頼性テストでPPMオーダの不良品発生率
であったが、本発明の製法によればその1/1000のオーダ
で、大幅に低減することができた。
【0028】さらに、本発明によれば、エージング工程
を省略でき、工期を短縮できると共にコストダウンを図
ることができる。
を省略でき、工期を短縮できると共にコストダウンを図
ることができる。
【図1】本発明の製法の一実施例を示す工程図である。
【図2】本発明にかかわる耐圧検査時における環境温度
と電流−電圧曲線の関係を示すグラフである。
と電流−電圧曲線の関係を示すグラフである。
【図3】従来のエージング処理の一例を示す電流と時間
の関係曲線のグラフである。
の関係曲線のグラフである。
1 タンタル焼結体 3 誘電体膜 6 二酸化マンガン層 9 グラファイト層 12 銀層
Claims (3)
- 【請求項1】 (a)コンデンサの電極材料としてのタ
ンタル、アルミニウムまたはニオブの金属材料に誘電体
膜を形成する化成処理工程、(b)形成された誘電体膜
上に電解質層を形成する工程、(c)前記誘電体膜上の
損傷を修復する再化成処理工程、(d)電解質層上に電
極を設ける電極形成工程、および(e)電極間に電圧を
加えてショートの有無を検出する耐圧検査工程を有する
固体電解コンデンサの製法であって、前記化成処理工程
および(または)再化成処理工程ののちに、300 〜400
℃で加熱することを特徴とする固体電解コンデンサの製
法。 - 【請求項2】 前記耐圧検査工程を、85〜125 ℃で加熱
しながら行う請求項1記載の製法。 - 【請求項3】 前記耐圧検査工程での電圧印加が定格電
圧の2〜3.5 倍の電圧で1回当り1〜5秒間で、3〜10
回繰り返すパルス電圧印加であることを特徴とする請求
項1記載の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4235910A JP2923135B2 (ja) | 1992-09-03 | 1992-09-03 | 固体電解コンデンサの製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4235910A JP2923135B2 (ja) | 1992-09-03 | 1992-09-03 | 固体電解コンデンサの製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0684709A true JPH0684709A (ja) | 1994-03-25 |
JP2923135B2 JP2923135B2 (ja) | 1999-07-26 |
Family
ID=16993053
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4235910A Expired - Fee Related JP2923135B2 (ja) | 1992-09-03 | 1992-09-03 | 固体電解コンデンサの製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2923135B2 (ja) |
Cited By (5)
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KR100280296B1 (ko) * | 1998-04-04 | 2001-02-01 | 권호택 | 알루미늄전해콘덴서용전극박의화성피막형성방법 |
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1992
- 1992-09-03 JP JP4235910A patent/JP2923135B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2923135B2 (ja) | 1999-07-26 |
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