JP2000021690A - アルミニウム電解コンデンサ及びその製造方法並びにアルミニウム電解コンデンサ用電極箔及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ及びその製造方法並びにアルミニウム電解コンデンサ用電極箔及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000021690A
JP2000021690A JP10184747A JP18474798A JP2000021690A JP 2000021690 A JP2000021690 A JP 2000021690A JP 10184747 A JP10184747 A JP 10184747A JP 18474798 A JP18474798 A JP 18474798A JP 2000021690 A JP2000021690 A JP 2000021690A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
foil
chemical conversion
heat treatment
capacitor
electrolytic capacitor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10184747A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaru Ito
勝 伊藤
Kazuyasu Watanabe
和康 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Rubycon Corp
Original Assignee
Rubycon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Rubycon Corp filed Critical Rubycon Corp
Priority to JP10184747A priority Critical patent/JP2000021690A/ja
Publication of JP2000021690A publication Critical patent/JP2000021690A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】安全性を向上させると共に長寿命化を図る。 【解決手段】ステップS2 の第1乃至第3化成工程によ
って、アルミニウム箔には化成皮膜が形成される。次に
ステップS3 の減極処理によって化成皮膜の欠陥を除去
する。ステップS7 の熱処理工程では、温度が400°
C〜660°Cの温度範囲で30分以上の時間熱処理を
行う。これにより、残存する欠陥を確実に暴露して、エ
ージング工程による欠陥の除去を確実なものにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム電解
コンデンサ及びその製造方法並びにアルミニウム電解コ
ンデンサ用電極箔及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、比較的低価格で大容量のコンデン
サとして、アルミニウム電解コンデンサが用いられてい
る。アルミニウム電解コンデンサは、陽極金属として、
エッチングにより表面積を拡大されたアルミニウム箔を
用い、陽極酸化によって陽極に形成されるアルミニウム
の酸化皮膜(化成被膜)を誘電体として用いたものであ
る。このアルミニウム電解コンデンサは、過電圧が印加
されると、漏れ電流が急激に増大し、発熱及びガス発生
による内圧上昇によって、寿命が短くなったり破壊され
たりすることがある。アルミニウム電解コンデンサの長
寿命化及び高信頼性化には、化成皮膜の安定性が重要で
ある。
【0003】図8はこのようなアルミニウム電解コンデ
ンサに用いられる電極箔(陽極箔)の製造方法を示すフ
ローチャートである。
【0004】図8のステップS1 では、所定の前処理が
行われ、次にステップS2 の1段乃至複数段の化成工程
において、化成皮膜が形成される。これらの化成工程に
おいては、弱酸性水溶液中においてアルミニウム箔を電
気化学的に陽極酸化(化成)することによって、酸化ア
ルミニウムの皮膜を形成する。
【0005】形成された皮膜は、結晶化に伴う体積収縮
等により内部に割れやボイド等の多くの欠陥を有してい
る。このため、このままでアルミニウム電解コンデンサ
に使用すると、コンデンサの耐圧が急激に低下する等の
不具合が発生することがある。
【0006】この理由から、次のステップS3 において
減極処理が行われる。減極処理は、化成皮膜の内部の欠
陥を意図的に露出させるためのものである。減極処理工
程においては、化成された箔をリン酸等の酸やアンモニ
ア水等のアルカリ水溶液中に浸漬して皮膜を一部溶解さ
せる方法等が採用される。
【0007】次に、ステップS4 において再化成工程が
行われる。減極処理工程において欠陥が露出されてお
り、再度化成を行うことによって、欠陥が少ない化成皮
膜を生成することができる。
【0008】次に、ステップS5 において、洗浄工程が
行われ、次いで乾燥工程(ステップS6 )が行われる。
こうして、生成されたアルミニウム電解コンデンサ用陽
極箔は、ステップS8 において、ロール状に巻取られ
て、製品として出荷される。
【0009】一般的には、連続装置を用いて上述した各
工程を行うことによって、量産を可能にしている。これ
により、アルミニウム電解コンデンサ用電極箔のコスト
ダウンが図られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たステップS3 の減極処理では、化成皮膜中の水分及び
欠陥部を完全に除去することができない。このため、コ
ンデンサの長時間使用時において、欠陥が成長して電解
液に暴露されてしまい、絶縁皮膜の形成に伴う電流が欠
陥部へ流れて漏れ電流が増大すると共に、水素ガス発生
量も増大する。
【0011】その結果、アルミニウム電解コンデンサ素
子を収納する収納用金属ケースに設けられた安全弁(以
下、防爆弁という)が作動(弁作動)して、破壊されて
しまう。また、過電圧が印加された場合には、欠陥部近
傍に過大な電流が流れ、ショートしたり、ひいては発火
に至ることもあるという問題点があった。
【0012】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、水分を除去すると共に欠陥部を確実に暴露
することができるアルミニウム電解コンデンサ用電極箔
を製造することができるアルミニウム電解コンデンサ用
電極箔の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】また、本発明は、水分を除去すると共に欠
陥部を確実に暴露したアルミニウム電解コンデンサ用電
極箔を用いることにより、長寿命で信頼性が高いアルミ
ニウム電解コンデンサを製造することができるアルミニ
ウム電解コンデンサの製造方法を提供することを目的と
する。
【0014】また、本発明は、水分を含まず且つ欠陥部
が確実に暴露されたアルミニウム電解コンデンサ用電極
箔を提供することを目的とする。
【0015】また、本発明は、水分を含まず且つ欠陥部
が確実に暴露された電極箔を用いることにより、ガス発
生を減少させて長寿命化を図ると共に、過電圧印加時の
電流を低減し正常に弁作動させることにより信頼性を向
上させることができるアルミニウム電解コンデンサを提
供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
アルミニウム電解コンデンサの製造方法は、コンデンサ
素子として利用するために、アルミニウム電解コンデン
サ用化成箔を熱処理する工程と、熱処理されたアルミニ
ウム電解コンデンサ用化成箔を用いてコンデンサ素子を
作成する工程と、電解液を前記コンデンサ素子に含浸し
ケース内に収納して組み付ける工程と、前記コンデンサ
素子をエージングする工程とを具備したものであり、本
発明の請求項2に係るアルミニウム電解コンデンサ用電
極箔の製造方法は、アルミニウム箔に対する少なくとも
1回以上の化成処理によって化成皮膜を形成する化成工
程と、初回の前記化成処理以後において前記アルミニウ
ム箔に温度が400°C以上660°C未満で30分以
上の時間熱処理を施す工程とを具備したものであり、本
発明の請求項3に係るアルミニウム電解コンデンサ用電
極箔は、アルミニウム箔と、前記アルミニウム箔に対す
る少なくとも1回以上の化成処理によって形成された化
成被膜とを具備し、前記アルミニウム箔及び化成皮膜
は、初回の前記化成処理以後において温度が400°C
以上660°C未満で30分以上の時間熱処理が施され
たものであり、本発明の請求項4に係るアルミニウム電
解コンデンサは、少なくとも1回以上の化成処理によっ
て化成被膜が形成されたアルミニウム箔による化成箔で
あって、初回の前記化成処理以後において温度が400
°C以上660°C未満で30分以上の時間熱処理が施
された化成箔によって構成されたコンデンサ素子と、前
記コンデンサ素子に含浸される電解液と、前記コンデン
サ素子を収納するケースとを具備したものである。
【0017】本発明の請求項1においては、熱処理を施
す工程によって、化成箔には温度が400°C以上66
0°C未満で30分以上の時間熱処理が施される。これ
により、化成皮膜に残存する欠陥は確実に暴露される。
暴露された欠陥は、エージング工程によって確実に除去
される。
【0018】本発明の請求項2においては、熱処理を施
す工程によって、アルミニウム箔には温度が400°C
以上660°C未満で30分以上の時間熱処理が施され
る。これにより、アルミニウム箔に形成された化成皮膜
に残存する欠陥は確実に暴露される。
【0019】本発明の請求項3において、アルミニウム
箔及び化成皮膜には温度が400°C以上660°C未
満で30分以上の時間熱処理が施されている。従って、
化成皮膜に残存する欠陥は確実に暴露されている。
【0020】本発明の請求項4において、化成箔には温
度が400°C以上660°C未満で30分以上の時間
熱処理が施されている。従って、化成皮膜に残存する欠
陥は熱処理時に暴露され、エージング処理時に除去され
ている。従って、耐電圧特性に優れ過電圧印加時におけ
る漏れ電流は低い。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について詳細に説明する。図1は本発明に係る
アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の製造方法の一実
施の形態を示すフローチャートである。
【0022】本実施の形態は従来の製造方法に対して温
度が400°C〜660°Cで且つ30分以上の時間の
熱処理を行う工程を付加したものである。この熱処理工
程は、第1化成工程以降であれば、いつ行ってもよい。
図1では、コンデンサ素子巻き取り工程の前に行う例を
示している。
【0023】ステップS1 においては、アルミニウム箔
の洗浄等の所定の前処理が行われる。次に、ステップS
2 において、第1乃至第3化成工程が行われる。第1乃
至第3化成工程においては、弱酸性水溶液中でアルミニ
ウム箔を電気化学的に陽極酸化(化成)することによっ
て酸化アルミニウムの皮膜を形成する。この工程は下記
の化学式によって示される。
【0024】 この皮膜がアルミニウム電解コンデンサの陽極誘電体を
構成する。実際の皮膜は、水分を多量に含有する疑似ベ
ーマイトAlO・OH等が陽極酸化中に脱水・結晶化し
つつ水分の少ない酸化アルミニウムを生成して形成され
るようになっている。
【0025】次に、ステップS3 において減極処理が行
われ、ステップS4 において再化成処理が行われる。減
極処理及び再生化成工程では、リン酸等の酸やアンモニ
ア水等のアルカリ水溶液中に浸漬して皮膜を一部溶解さ
せ、欠陥部を露出させた後再化成を行う方法が採用され
る。
【0026】次のステップS5 では洗浄処理が行われ
る。次いで、ステップS6 において乾燥処理が行われ
る。
【0027】本実施の形態においては、次のステップS
7 において空気雰囲気中における熱処理を行うようにな
っている。この熱処理工程は、空気雰囲気中だけでな
く、窒素及びアルゴン等の不活性ガス雰囲気中でも可能
であり、更に、真空雰囲気中で行うことも可能である
が、空気中で実施することが最も経済的である。
【0028】本実施の形態においては、熱処理工程とし
て、400°C〜660°C(アルミニウムの融点)の
温度範囲で、30分以上の時間熱処理を行うようになっ
ている。
【0029】次のステップS8 においては、生成された
電極箔をコンデンサ素子として巻取るようになってい
る。
【0030】次に、このように構成された実施の形態の
作用について説明する。
【0031】先ず、ステップS1 において所定の前処理
を行う。例えば、前処理工程では、エッチングした高純
度アルミニウム箔を高温純水に浸漬し、水和皮膜を形成
する。次に、ステップS2 において、アルミニウム箔を
弱酸性水溶液中で電気化学的に陽極酸化させる。これに
より、アルミニウム電解コンデンサの誘電体が形成され
る。生成された酸化皮膜は、結晶化に伴う体積収縮等に
よって、内部に欠陥を有する。
【0032】次のステップS3 ,S4 の減極及び再化成
処理によって、酸化皮膜の内部欠陥を除去する。しかし
ながら、これらの減極及び再化成処理では、内部欠陥の
除去には不十分である。
【0033】次のステップS5 において洗浄処理を行
い、ステップS6 において乾燥処理を行う。
【0034】本実施の形態においては、次のステップS
7 において熱処理を行う。この熱処理工程では、例え
ば、500°C等の高温度の空気雰囲気中において30
分以上の時間熱処理を行う。なお、熱処理工程における
熱処理温度としては、約400°C〜660°Cの範囲
内の温度に設定する。この熱処理工程によって、酸化皮
膜に残存する欠陥が確実に暴露される。
【0035】最後に、ステップS8 において生成された
アルミニウム酸化皮膜をコンデンサ素子として巻取って
アルミニウム電解コンデンサ用電極箔を得る。
【0036】このように、本実施の形態においては、4
00°C〜660°Cの温度範囲で30分以上の時間の
熱処理工程を設けていることから、酸化皮膜に残存する
欠陥を確実に暴露することができる。これにより、この
アルミニウム電解コンデンサ用電極箔を用いてアルミニ
ウム電解コンデンサを製造する場合において、その製造
工程中のエージング工程において、欠陥を確実に修復す
ることが可能となる。化成皮膜中の残存水分も確実に除
去することができ、信頼性が高く高耐電圧のものを製造
することができる。
【0037】なお、図1においては、熱処理工程をコン
デンサ素子巻き取り工程の前の工程で行ったが、第1化
成工程以降のいずれのタイミングで行ってもよい。例え
ば、第1乃至第3化成工程の後に行ってもよい。この場
合においても、減極処理は必要であるが、減極処理及び
再化成によって確実な欠陥の除去が可能である。
【0038】図2は本発明の一実施の形態に係るアルミ
ニウム電解コンデンサの製造方法を示すフローチャート
である。また、図3は図2の製造方法によって製造した
アルミニウム電解コンデンサを示す側面透過図である。
なお、図3のアルミニウム電解コンデンサは、図1の製
造方法によって製造したアルミニウム電解コンデンサ用
電極箔を用いて、図2の熱処理工程を省略した製造方法
によって構成することができることは明らかである。ま
た、図4は図3のアルミニウム電解コンデンサを底面側
から見た底面図である。
【0039】本実施の形態は図8に示す製造方法によっ
て製造された従来のアルミニウム電解コンデンサ用電極
箔、即ち、流通されている市販のアルミニウム電解コン
デンサ用電極箔を用いてアルミニウム電解コンデンサを
製造するものである。
【0040】ステップS11はスリット工程である。市販
されている従来のアルミニウム電解コンデンサ用電極箔
を、アルミニウム電解コンデンサ素子として必要な幅、
例えば37mm幅にスリットする。
【0041】次に、ステップS12は、スリットした電極
箔を熱処理する工程である。この熱処理工程において
は、図1のステップS7 と同様に、例えば、500°C
等の高温度の空気雰囲気中において30分以上の時間熱
処理を行う。熱処理温度は、約400°C〜660°C
であればよく、また、熱処理は、窒素及びアルゴン等の
不活性ガス雰囲気中並びに真空雰囲気中で行ってもよ
い。この熱処理工程によって、残存する欠陥は確実に箔
表面に暴露される。
【0042】ステップS13は、コンデンサ素子作成工程
である。この工程では、熱処理した電極箔を陽極箔と
し、この電極箔と陰極箔としての導電性金属とをセパレ
ータを介在させて巻回する。
【0043】次のステップS14は、コンデンサ素子に電
解液を含浸する工程である。次のステップS15は電解液
が含浸されたコンデンサ素子をアルミニウムケースに収
納して組み付ける工程である。
【0044】次のステップS16はエージング工程であ
る。エージング工程においては、例えば、100°C等
の温度で、所定の電圧を印加することによって、化成を
行う。ステップS12の熱処理工程によって電極箔の欠陥
が暴露されているので、このエージング工程によって欠
陥は確実に除去される。
【0045】この製造方法によれば、スリット工程の次
に熱処理工程が行われる。熱処理工程によって、市販さ
れている電極箔に残存した欠陥は確実に暴露される。更
に、エージング工程によって、暴露された欠陥は確実に
除去される。
【0046】図4は完成したアルミニウム電解コンデン
サを示している。
【0047】図4において、円筒形状の金属ケース1の
内部には、コンデンサ素子1が収納されている。コンデ
ンサ素子1は、図2のステップS12の熱処理後の電極箔
である。なお、コンデンサ素子1として、図1の製造方
法によるアルミニウム電解コンデンサ用電極箔を陽極箔
とし、この陽極箔に対向させて導電性金属よりなる陰極
箔を設け、これらの陽極箔及び陰極箔の間にセパレータ
を介在させて巻回したものを用いてもよい。陽極箔に形
成された酸化皮膜を誘電体とする。
【0048】金属ケース2内に収納されたコンデンサ素
子1には電解液が含浸されている。金属ケース2は上面
が開口している。金属ケース2の上面には、開口部を封
口するための封口板4が設けられており、封口板4には
コンデンサ素子1と電気的に接続された外部端子3が取
り付けられる。
【0049】一方、金属ケース2の底面には、コンデン
サ内圧力が増大した際にガスを外部に放出させるため
に、底面に浅い切り込みを施して防爆弁6を構成してい
る。
【0050】また、金属ケース2の外表面は、外部端子
3近傍及び防爆弁6の部分を除いて、塩化ビニール又は
ポリエステル等からなる絶縁スリープ5によって被覆さ
れている。
【0051】このように構成されたアルミニウム電解コ
ンデンサにおいては、コンデンサ素子1は熱処理工程に
よって欠陥が暴露された電極箔を用いて構成されてお
り、化成皮膜中の残存水分も確実に除去されて結晶化度
が高いので、耐電圧特性に優れている。従って、過電圧
印加時における漏れ電流を低減することができ、ショー
ト及び発火を防止して確実に防爆弁を弁作動させ、従来
にない高信頼性のアルミニウム電解コンデンサを得るこ
とができる。また、化成皮膜はエージング工程によって
微細な欠陥まで確実に除去されているので、ガス発生量
を低減し長寿命化を図ることもできる。
【0052】なお、図1の製造方法で製造したアルミニ
ウム電解コンデンサ用電極箔を用いてアルミニウム電解
コンデンサを製造した場合にも、同様の効果が得られる
ことは明らかである。
【0053】
【実施例1】図2の製造方法によって製造したアルミニ
ウム電解コンデンサについて、箔特性、初期コンデンサ
特性、弁作動時間及び過電圧特性を測定した結果を図5
乃至図7の図表1乃至3に示す。
【0054】即ち、図8の従来の製造方法によって製造
したアルミニウム電解コンデンサ用電極箔(以下、高圧
化成箔ともいう)(市販されている高圧化成箔)に対し
て、熱処理を行う。熱処理工程前の試料は、580Vに
よる化成が行われた高圧化成箔を37mm幅にスリット
したものである。この高圧化成箔を電気炉の空気雰囲気
中において500°Cで1時間熱処理を行う。
【0055】こうして製造された高圧化成箔(以下、実
施例1の高圧化成箔という)について、箔容量及び上昇
電圧を測定すると共に、580Vの電圧を印加した場合
の漏れ電流を測定する。測定結果は、箔容量が0.62
8μF/平方センチメートルで、上昇電圧は585V、
漏れ電流は650μAであった。
【0056】更に、実施例1の高圧化成箔を用いて、定
格電圧が400Vで容量が560μFの基板自立型のコ
ンデンサ(以下、実施例1のコンデンサという)を組立
し、エージングを行って初期特性を測定した。実施例1
のコンデンサの容量は、571μFであり、Tanδは
4.8%であり、漏れ電流は80μAであった。
【0057】また、実施例1のコンデンサの寿命試験を
行った。寿命試験は実施例1のコンデンサを同一条件で
10個組立して、これらについて行った。寿命試験の設
定条件は、使用温度が105°Cであり、400Vの直
流電圧を印加した状態で、防爆弁が作動するまでの時間
(弁作動時間)を5000時間以内で計測した。この結
果、2個のコンデンサが4000時間までに弁作動し、
残りの8個中の3個のコンデンサが5000時間までに
弁作動し、他の5個のコンデンサは5000時間までに
は弁作動しなかった。
【0058】更に、実施例1のコンデンサと同一条件で
組立した10個のコンデンサについて、夫々590Vの
直流電圧を印加して過電圧試験を行った。この結果、8
個のコンデンサの弁作動は正常であり、2個のコンデン
サはショートした。なお、発火したコンデンサは無かっ
た。
【0059】
【実施例2】本実施例は図2のステップS12における熱
処理工程の熱処理時間のみが実施例1と異なる。即ち、
図8の従来の製造方法によって製造した高圧化成箔に対
して、熱処理を行う。熱処理工程前の試料は、580V
による化成が行われた高圧化成箔を37mm幅にスリッ
トしたものである。この高圧化成箔を電気炉の空気雰囲
気中において500°Cで15時間熱処理を行う。
【0060】こうして製造された高圧化成箔(以下、実
施例2の高圧化成箔という)について、実施例1と同一
の条件で箔特性を求めると共に、実施例1と同一の条件
でコンデンサ(以下、実施例2のコンデンサという)を
組立して、初期特性の測定、寿命試験及び過電圧試験を
行った。
【0061】これらの試験結果は、図5乃至図7の図表
1乃至3に示してある。
【0062】
【実施例3】本実施例は図2のステップS12における熱
処理工程の熱処理温度のみが実施例2と異なる。即ち、
図8の従来の製造方法によって製造した高圧化成箔に対
して、熱処理を行う。熱処理工程前の試料は、580V
による化成が行われた高圧化成箔を37mm幅にスリッ
トしたものである。この高圧化成箔を電気炉の空気雰囲
気中において550°Cで15時間熱処理を行う。
【0063】こうして製造された高圧化成箔(以下、実
施例3の高圧化成箔という)について、実施例2と同一
の条件で箔特性を求めると共に、実施例2と同一の条件
でコンデンサ(以下、実施例3のコンデンサという)を
組立して、初期特性の測定、寿命試験及び過電圧試験を
行った。
【0064】これらの試験結果は、図5乃至図7の図表
1乃至3に示してある。
【0065】
【比較例1】本比較例は、図8の従来の製造方法によっ
て製造した高圧化成箔(以下、比較例1の高圧化成箔と
いう)について、実施例1と同一の条件で箔特性を求め
ると共に、実施例1と同一の条件でコンデンサ(以下、
比較例1のコンデンサという)を組立して、初期特性の
測定、寿命試験及び過電圧試験を行った。
【0066】寿命試験においては、2個のコンデンサが
3000時間までに弁作動し、残りの8個のコンデンサ
も4000時間までに弁作動した。また、過電圧試験で
は、正常に弁作動したのは5個のコンデンサのみであ
り、4個のコンデンサはショートし、1個のコンデンサ
は発火した。
【0067】これらの試験結果は、図5乃至図7の図表
1乃至3に示してある。
【0068】
【実施例4】本実施例においても、図8の従来の製造方
法によって製造した化成箔に対して熱処理を行う。熱処
理工程前の試料は、300Vによる化成が行われた化成
箔(以下、中圧化成箔という)を37mm幅にスリット
したものである。この中圧化成箔を電気炉の空気雰囲気
中において500°Cで1時間熱処理を行う。
【0069】こうして製造された中圧化成箔(以下、実
施例4の中圧化成箔という)について、箔容量及び上昇
電圧を測定すると共に、300Vの電圧を印加した場合
の漏れ電流を測定する。測定結果は、箔容量が1.29
μF/平方センチメートルで、上昇電圧は305V、漏
れ電流は610μAであった。
【0070】更に、実施例4の中圧化成箔を用いて、定
格電圧が200Vで容量が2200μFの基板自立型の
コンデンサ(以下、実施例4のコンデンサという)を組
立し、エージングを行って初期特性を測定した。実施例
4のコンデンサの容量は、2247μFであり、Tan
δは5.1%であり、漏れ電流は46μAであった。
【0071】また、実施例4のコンデンサの寿命試験を
行った。寿命試験は実施例4のコンデンサを同一条件で
10個組立して、これらについて行った。寿命試験の設
定条件は、使用温度が105°Cであり、200Vの直
流電圧を印加した状態で、弁作動時間を5000時間以
内で計測した。この結果、1個のコンデンサが4000
時間までに弁作動し、残りの9個中の2個のコンデンサ
が5000時間までに弁作動し、他の7個のコンデンサ
は5000時間までには弁作動しなかった。
【0072】更に、実施例4のコンデンサと同一条件で
組立した10個のコンデンサについて、夫々310Vの
直流電圧を印加して過電圧試験を行った。この結果、7
個のコンデンサの弁作動は正常であり、3個のコンデン
サはショートした。なお、発火したコンデンサは無かっ
た。
【0073】
【実施例5】本実施例は図2のステップS12における熱
処理工程の熱処理時間のみが実施例4と異なる。即ち、
図8の従来の製造方法によって製造した中圧化成箔に対
して、熱処理を行う。熱処理工程前の試料は、300V
による化成が行われた中圧化成箔を37mm幅にスリッ
トしたものである。この中圧化成箔を電気炉の空気雰囲
気中において500°Cで15時間熱処理を行う。
【0074】こうして製造された中圧化成箔(以下、実
施例5の中圧化成箔という)について、実施例4と同一
の条件で箔特性を求めると共に、実施例4と同一の条件
でコンデンサ(以下、実施例5のコンデンサという)を
組立して、初期特性の測定、寿命試験及び過電圧試験を
行った。
【0075】これらの試験結果は、図5乃至図7の図表
1乃至3に示してある。
【0076】
【実施例6】本実施例は図2のステップS12における熱
処理工程の熱処理温度のみが実施例5と異なる。即ち、
図8の従来の製造方法によって製造した中圧化成箔に対
して、熱処理を行う。熱処理工程前の試料は、300V
による化成が行われた中圧化成箔を37mm幅にスリッ
トしたものである。この中圧化成箔を電気炉の空気雰囲
気中において550°Cで15時間熱処理を行う。
【0077】こうして製造された中圧化成箔(以下、実
施例6の中圧化成箔という)について、実施例5と同一
の条件で箔特性を求めると共に、実施例5と同一の条件
でコンデンサ(以下、実施例6のコンデンサという)を
組立して、初期特性の測定、寿命試験及び過電圧試験を
行った。
【0078】これらの試験結果は、図5乃至図7の図表
1乃至3に示してある。
【0079】
【比較例2】本比較例は、図8の従来の製造方法によっ
て製造した中圧化成箔(以下、比較例2の中圧化成箔と
いう)について、実施例4と同一の条件で箔特性を求め
ると共に、実施例4と同一の条件でコンデンサ(以下、
比較例2のコンデンサという)を組立して、初期特性の
測定、寿命試験及び過電圧試験を行った。
【0080】寿命試験においては、3個のコンデンサが
3000時間までに弁作動し、残りの7個のコンデンサ
も4000時間までに弁作動した。また、過電圧試験で
は、正常に弁作動したのは4個のコンデンサのみであ
り、5個のコンデンサはショートし、1個のコンデンサ
は発火した。
【0081】これらの試験結果は、図5乃至図7の図表
1乃至3に示してある。
【0082】図5の図表1から明らかなように、熱処理
工程を行うことによって、実質的な容量を低下させるこ
となく、耐電圧を向上させることができ、更に、漏れ電
流も低減させることができる。また、熱処理の程度が高
いほど、耐電圧の向上効果及び漏れ電流の低減効果が高
いことが分かる。
【0083】図6の図表2から明らかなように、熱処理
工程を行うことによって、容量を低下させることなく、
コンデンサの寿命を長くすることができる。また、熱処
理の程度が高いほど、弁作動に至るまでの時間を遅くす
ることができる。
【0084】図7の図表3から明らかなように、熱処理
工程を行うことによって、正常に弁作動する確率を高く
することができる。また、熱処理の程度が高いほど、そ
の効果は高い。例えば、実施例2,3で行っている条
件、即ち、温度が500〜550°Cで熱処理時間が1
5時間の高圧化成箔を用いたコンデンサでは、全てが正
常に弁作動し、ショート及び発火等の安全上問題となる
現象は発生しなかった。
【0085】なお、熱処理温度が400°Cよりも低
く、また、時間が30分未満では、上述したような顕著
な効果は得られなかった。
【0086】また、熱処理温度が660°C以上では、
アルミニウムの融点になるため、物理的な不都合が発生
し望ましくない。
【0087】本発明は上記実施の形態に限定されるもの
ではなく、例えば、熱処理の方法としては種々の方法を
採用することができることは明らかである。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、水
分及び欠陥部を確実に除去することができることから、
ガス発生を減少させて長寿命化を図ると共に、過電圧印
加時の電流を低減し正常に弁作動させることによって信
頼性を向上させることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアルミニウム電解コンデンサ用電
極箔の製造方法の一実施の形態を示すフローチャート。
【図2】本発明に係るアルミニウム電解コンデンサの製
造方法の一実施の形態を示すフローチャート。
【図3】図2の製造方法によって製造したアルミニウム
電解コンデンサを示す側面透過図。
【図4】図3のアルミニウム電解コンデンサを底面側か
ら見た底面図。
【図5】実施例を説明するための図表。
【図6】実施例を説明するための図表。
【図7】実施例を説明するための図表。
【図8】従来のアルミニウム電解コンデンサ用電極箔の
製造方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
ステップS2 …第1乃至第3化成工程、ステップS3 …
減極処理工程、ステップS7 …熱処理工程

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンデンサ素子として利用するために、
    アルミニウム電解コンデンサ用化成箔を熱処理する工程
    と、 熱処理されたアルミニウム電解コンデンサ用化成箔を用
    いてコンデンサ素子を作成する工程と、 電解液を前記コンデンサ素子に含浸しケース内に収納し
    て組み付ける工程と、 前記コンデンサ素子をエージングする工程とを具備した
    ことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム箔に対する少なくとも1回
    以上の化成処理によって化成皮膜を形成する化成工程
    と、 初回の前記化成処理以後において前記アルミニウム箔に
    温度が400°C以上660°C未満で30分以上の時
    間熱処理を施す工程とを具備したことを特徴とするアル
    ミニウム電解コンデンサ用電極箔の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルミニウム箔と、 前記アルミニウム箔に対する少なくとも1回以上の化成
    処理によって形成された化成被膜とを具備し、 前記アルミニウム箔及び化成皮膜は、初回の前記化成処
    理以後において温度が400°C以上660°C未満で
    30分以上の時間熱処理が施されたことを特徴とするア
    ルミニウム電解コンデンサ用電極箔。
  4. 【請求項4】 少なくとも1回以上の化成処理によって
    化成被膜が形成されたアルミニウム箔による化成箔であ
    って、初回の前記化成処理以後において温度が400°
    C以上660°C未満で30分以上の時間熱処理が施さ
    れた化成箔によって構成されたコンデンサ素子と、 前記コンデンサ素子に含浸される電解液と、 前記コンデンサ素子を収納するケースとを具備したこと
    を特徴とするアルミニウム電解コンデンサ。
JP10184747A 1998-06-30 1998-06-30 アルミニウム電解コンデンサ及びその製造方法並びにアルミニウム電解コンデンサ用電極箔及びその製造方法 Pending JP2000021690A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10184747A JP2000021690A (ja) 1998-06-30 1998-06-30 アルミニウム電解コンデンサ及びその製造方法並びにアルミニウム電解コンデンサ用電極箔及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10184747A JP2000021690A (ja) 1998-06-30 1998-06-30 アルミニウム電解コンデンサ及びその製造方法並びにアルミニウム電解コンデンサ用電極箔及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000021690A true JP2000021690A (ja) 2000-01-21

Family

ID=16158646

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10184747A Pending JP2000021690A (ja) 1998-06-30 1998-06-30 アルミニウム電解コンデンサ及びその製造方法並びにアルミニウム電解コンデンサ用電極箔及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000021690A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007142141A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Nichicon Corp 電解コンデンサ用アルミニウム電極箔の製造方法
CN111029151A (zh) * 2019-11-22 2020-04-17 肇庆绿宝石电子科技股份有限公司 一种耐高温长寿命的铝电解电容器
CN113201774A (zh) * 2021-05-06 2021-08-03 新疆工程学院 长寿命铝电解电容器用化成箔及其制备工艺

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007142141A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Nichicon Corp 電解コンデンサ用アルミニウム電極箔の製造方法
CN111029151A (zh) * 2019-11-22 2020-04-17 肇庆绿宝石电子科技股份有限公司 一种耐高温长寿命的铝电解电容器
CN113201774A (zh) * 2021-05-06 2021-08-03 新疆工程学院 长寿命铝电解电容器用化成箔及其制备工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4660222B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
US6552896B1 (en) Solid electrolytic capacitor and method for manufacturing the same
JP2580980B2 (ja) タンタル固体電解コンデンサ及びその製造方法
US6243256B1 (en) Electrode foil for solid electrolytic capacitor, manufacturing method thereof, and solid electrolytic capacitor
US7342773B2 (en) Capacitor containing aluminum anode foil anodized in low water content glycerine-phosphate electrolyte
JP2663544B2 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の製造方法
JP2000021690A (ja) アルミニウム電解コンデンサ及びその製造方法並びにアルミニウム電解コンデンサ用電極箔及びその製造方法
JP2663541B2 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の製造方法
JP2000068159A (ja) 固体電解コンデンサ用電極箔、その製造方法及び固体電解コンデンサ
JP3416637B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP2000058389A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP3401983B2 (ja) 電解コンデンサの製造方法
JP3478039B2 (ja) アルミ電解コンデンサ用電極箔の化成方法
JP2010003996A (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の製造方法
JP2009064958A (ja) アルミニウム電解コンデンサ
JP2001052966A (ja) コンデンサ及びその製造方法
JPH0337855B2 (ja)
JP3976534B2 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用陽極箔およびその化成方法
JP3669191B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JPH02114506A (ja) アルミ電解コンデンサの製造方法
JP2022039173A (ja) 電解コンデンサ
JPH06151251A (ja) 電解コンデンサ用電解液
JPH07272985A (ja) アルミ電解コンデンサ用陽極箔の製造方法
JPS6065516A (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極リ−ドの処理方法
JP3313133B2 (ja) 電解コンデンサ用陰極箔の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050310

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080122

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080603