JPH0684507B2 - 脂肪酸の精製法 - Google Patents

脂肪酸の精製法

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JPH0684507B2 JP63275459A JP27545988A JPH0684507B2 JP H0684507 B2 JPH0684507 B2 JP H0684507B2 JP 63275459 A JP63275459 A JP 63275459A JP 27545988 A JP27545988 A JP 27545988A JP H0684507 B2 JPH0684507 B2 JP H0684507B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 動植物油脂、魚油等から誘導される脂肪酸は各種のエス
テル、アミド等、工業用原料として、あるいは石鹸、各
種界面活性剤の原料として重要である。
本発明は、これら各種の素原料として重要な脂肪酸を製
造するに当り、色相、保存安定性等に優れた脂肪酸を得
るための脂肪酸の精製法に関するものである。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
一般に行なわれている脂肪酸の精製法には、活性白土や
活性炭による吸着法のほか、ポリカルボン酸(西独特許
第2038468号)、ホウ酸(米国特許第2862943号)、硫酸
(米国特許第3489779号)、三フッ化ホウ素(米国特許
第2583028号)、アミノ化合物(米国特許第3471536
号)、有機アミンとフェノール系化合物の併用(特公昭
53-7408号、特公昭54-9166号)、フェノール系化合物と
ホウ酸化合物の併用(特公昭63-23180号)などがある。
しかしながら、従来の技術では、脂肪酸中に含まれてい
る着色物質の一部は除去されているが、十分に淡色な脂
肪酸を得ることができない。又、これらの処理では収率
を悪化させる問題を有している。
天然物より誘導される脂肪酸には天然物由来の不安定な
物質が含まれておりこれらは加熱、長期保存等で変化し
やすく脂肪酸を着色させる問題をひきおこす。この問題
の解決策として、従来から種々の方法が提案されている
が、それらの技術では十分ではない。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記の如き従来技術の欠点のない脂肪酸を
得るために鋭意研究を行なった結果、脂肪酸に有機過酸
化物を添加後、あるいは添加後加熱したのち、蒸留する
ことで、色相、保存安定性等にすぐれた脂肪酸が得られ
ることを見出し本発明に到った。
すなわち、本発明は、脂肪酸に有機過酸化物0.01〜3重
量%を添加後、あるいは添加後加熱したのち蒸留して、
重質物化された不純物を蒸留残渣として除去し、蒸留留
分として精製脂肪酸を得ることを特徴とする脂肪酸の精
製法を提供するものである。
本発明において精製用原料として用いられる脂肪酸とし
ては、動植物油脂、魚油などを原料とする天然脂肪酸、
合成脂肪酸、これらの水素化脂肪酸などが挙げられる。
本発明において処理剤として用いられる有機過酸化物と
しては、一般公知の有機過酸化物が挙げられる。具体的
には、例えば、ケトンパーオキサイド類(メチルエチル
ケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテイトパーオ
キサイド等);パーオキシケタール類(1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、
2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等);ハイ
ドロパーオキサイド類(t−ブチルハイドロパーオキサ
イド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオ
キサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパー
オキサイド等);ジアルキルパーオキサイド類(ジ−t
−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキサン等);ジアシルパーオキ
サイド類(アセチルパーオキサイド、イソブチリルパー
オキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイル
パーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,3,5−
トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等);パーオキ
シジカーボネート類(ジ−イソプロピルパーオキシジカ
ーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボ
ネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、
ジ−ミリスチルパーオキシカーボネート、ジ−2−エト
キシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソ
プロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3
−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、ジ−アリ
ルパーオキシジカーボネート等);パーオキシエステル
類(t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパー
オキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレー
ト、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチル
パーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−
ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイ
ソプロピルカーボネート等)などが挙げられる。
有機過酸化物の処理条件としては、用いる有機過酸化物
が充分に分解(ラジカル生成)し、後述する有色、発色
及び有臭性の不純物と反応して不活性重質物(重合物)
に変化させ得る、温度・時間を選び処理する。
有機過酸化物の中でも、特に分解生物が該脂肪酸より、
安易に分解できるもので、安全性の高いものが好まし
い。
本発明において、有機過酸化物の使用量は、原料脂肪酸
に対して0.01〜3重量%が好ましく、この範囲以下では
効果が劣り、これ以上使用しても効果は向上しないし、
コスト的にも問題がある。
〔作用〕
有機過酸化物の作用は、分解して生成するラジカルが原
料脂肪酸中に含まれているカルボニル化合物、ヒドロキ
シ化合物、エポキシ化合物、フェノール系化合物などの
有色、発色及び有臭性の含酸素不純物を蒸留残渣として
除去できる不活性重質物(重合物)に変化させることに
あるものと思われる。本発明において用いた有機過酸化
物は、その種類により、処理後は、低沸点物質としてト
ッピングにより除去されるもの、あるいは重質物化され
た不純物と共に蒸留残渣として除去されるものがある。
従って、脂肪酸に有機過酸化物を添加して蒸留するか、
あるいは添加後加熱してから蒸留することにより、色相
及び安定性にすぐれた脂肪酸が得られる。
〔発明の効果〕
本発明の方法により精製した脂肪酸は、熱や酸化に対す
る色相安定性に優れており、さらに酸や塩基性試剤に対
する反応においても良好な色相安定性を示す。
〔実施例〕
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発
明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 ヤシ系脂肪酸の分留によって得た前留脂肪酸(炭素数6
〜10の脂肪酸の混合物)300gとジ−t−ブチルパーオキ
サイド(以下DTBPOと略す)1.5g(対脂肪酸0.5重量%)
を温度計、撹拌器、ジムロートを備えた500mlフラスコ
に入れ加熱する。温度は190℃に保ち、2時間加熱を続
ける。約120℃まで冷却後、減圧下、DTBPOの分解物であ
るアセトン、t−ブチルアルコールを留分する。その
後、ボトム温度185℃まで30mmHgの真空下で蒸留して、
本発明の精製ヤシ油前留脂肪酸を得た。
実施例2 実施例1のヤシ油前留脂肪酸300gにラウロイルパーオキ
サイド3g(対脂肪酸1重量%)を加え、170℃、2時間
加熱した後、実施例1と同条件で蒸留して精製ヤシ油前
留脂肪酸を得た。尚、この時ラウロイルパーオキサイド
の分解物は、ラウリン酸であるので、蒸留残渣として除
去できる。
実施例3 実施例1のヤシ油前留脂肪酸300gにラウロイルパーオキ
サイド3gを添加した後、実施例1と同条件で蒸留して精
製ヤシ油前留脂肪酸を得た。
比較例1 実施例1のヤシ油前留脂肪酸300gを上述の有機過酸化物
を添加せず、実施例1と同条件で蒸留して単蒸留ヤシ油
前留脂肪酸を得た。
本発明による精製ヤシ油前留脂肪酸及び単蒸留ヤシ油前
留脂肪酸の収率、色相、塩基や酸による色相安定性、熱
や酸化による色相安定性について比較した結果を表−1
に示す。
表1より、本発明による製品は色相や熱および熱酸化色
相安定性が優れているばかりでなく、塩基や酸性試剤に
よる着色も極めて少ない。
実施例4,比較例2 未蒸留ヤシ油脂肪酸(中和価262.2、ヨウ素価9.8)300g
にDTBPO1.5gを加え、実施例1と同様な操作を行い、蒸
留して精製ヤシ油脂肪酸を得た(実施例4)。
また同じヤシ油脂肪酸について、上述のDTBPO処理をせ
ず、蒸留して、単蒸留ヤシ油脂肪酸を得た(比較例
2)。
得られた各ヤシ油脂肪酸の試験結果を表−2に示す。
実施例5,比較例3 未蒸留オレイン酸(中和価193.6、ヨウ素価91.8)300g
にDTBPO1.5gを加え、170℃、2時間加熱処理した後、実
施例1と同様な操作を行い、蒸留して精製オレイン酸を
得た(実施例5)。
また同じオレイン酸について、上述のDTBPO処理をせ
ず、蒸留して単蒸留オレイン酸を得た(比較例3)。
得られた各オレイン酸の試験結果を表−3に示す。
実施例6,比較例4 未蒸留ステアリン酸(中和価194.5、ヨウ素価1.5)300g
にDTBPO1.5gを加え、実施例1と同様な操作を行い、蒸
留して精製ステアリン酸を得た(実施例6)。
また同じステアリン酸について、上述のDTBPO処理をせ
ず蒸留して単蒸留ステアリン酸を得た(比較例4)。
得られたステアリン酸の試験結果を表−4に示す。
比較例5 実施例1のヤシ系脂肪酸の原料ヤシ油にDTBPOを0.5重量
%添加し、実施例1と同様に190℃、2時間加熱を行
う。次いで冷却後、実施例1のヤシ系脂肪酸を得る場合
と同条件で加水分解して得られた脂肪酸を実施例1と同
条件で蒸留して前留脂肪酸を得た。
原料ヤシ油のDTBPO処理を行なった場合と行なわなかっ
た場合の得られたヤシ油前留脂肪酸の試験結果を表−5
に示す。
表−5より過酸化物処理を油脂の段階で行っても色相及
びその安定性の良好な脂肪酸が得られないことがわか
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭41−2180(JP,B1)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脂肪酸に有機過酸化物0.01〜3重量%を添
    加後、あるいは添加後加熱したのち、蒸留して重質物化
    された不純物を蒸留残渣として除去し、蒸留留分として
    精製脂肪酸を得ることを特徴とする脂肪酸の精製法。
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