JPH068427B2 - 潤滑性樹脂組成物 - Google Patents

潤滑性樹脂組成物

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JPH068427B2
JPH068427B2 JP60280670A JP28067085A JPH068427B2 JP H068427 B2 JPH068427 B2 JP H068427B2 JP 60280670 A JP60280670 A JP 60280670A JP 28067085 A JP28067085 A JP 28067085A JP H068427 B2 JPH068427 B2 JP H068427B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は潤滑性樹脂組成物に関するものである。
〔従来の技術〕
近年、機械の軽量化に伴い、合成樹脂製品が機械部品と
して数多く用いられるようになり、軸受部に使われるも
のには摺動特性の優れた合成樹脂が要求されている。従
来、摺動性の良い合成樹脂として、ポリアミド、ポリア
セタール、ポリエチレン、フツ素樹脂等が用いられてい
る。これらは低荷重、低速領域においては無潤滑下でも
その用をなすが、高荷重、高速になるに従つて、摩擦熱
のために焼き付いたり、フローしたりして、使用できな
くなる。フツ素樹脂、特に四フツ化エチレン樹脂は、充
填材を加えて摩耗特性を改良することにより優れた摺動
特性を示すが、このものは圧縮成形でしか成形できず、
また非常に高価であるという欠点を有する。そこで、そ
の他の合成樹脂に固体潤滑剤を加え摺動特性を向上させ
ようとする手段が採られているが、この方法では高速高
荷重下での摺動特性の向上は十分ではない。また上記の
問題を解決するには、合成樹脂に潤滑油を加え、いわゆ
る含油プラスチツクとする方法があり、その具体的手法
として、1)単に樹脂に潤滑油を混入する、2)潤滑油を保
持できる担体を潤滑油と共に加える。3)前記1)および2)
の他に油の導通体として繊維状の充填材を加える等があ
る。このような含油プラスチツクは潤滑油を浸み出させ
ることにより摺動特性をもたせようとするものである
が、(1)摩擦係数が低い値で安定しない、(2)加熱される
と油が浸み出てしまう、(3)成形性が悪い、(4)摺動の際
担体が相手材料を削る、(5)成形時もしくは混練時に油
が分離しやすい、(6)材料物性が低下する、(7)摺動した
面に油がついてほこり等がつきやすい、(8)一旦油が切
れると異常摩耗をおこす等種々問題があつた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
以上述べたように、従来の技術においては、摩擦係数が
低い値で安定し、摩耗係数も小さくしかも機械的特性
(特に強度)の低下などが起こらない材料は得られず、
数多くの優れた特性を有する合成樹脂も、低摩擦性およ
び耐摩耗性が要求される摺動材料には適しないという問
題があつた。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の問題点を解決するために、この発明は合成樹脂1
00部(部は重量部、以下同じ)に対し、エポキシ基を
含む単位を有するオルガノポリシロキサン0.5〜2
0.0部と、さらにアミノ基、カルボキシル基、アルコ
ール性水酸基、メルカプト基から選ばれる少なくとも1
種類の基を含む単位を有するオルガノポリシロキサン
0.5〜20.0部を配合して潤滑性のある樹脂組成物
とする手段を採用したものである。以下その詳細をのべ
る。
まず、この発明における合成樹脂は特に限定されるもの
ではなく、熱硬化性または熱可塑性のいずれの樹脂であ
つてもよく、たとえば、フエノール樹脂、ユリア樹脂、
メラミン樹脂、メラミン・フエノール共縮合樹脂、キシ
レン変性フエノール樹脂、ユリア・グアナミン共縮合樹
脂、アミノ樹脂、アセトグアナミン樹脂、メラミングア
ナミン樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹
脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレー
ト樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフ
ルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン樹脂、テ
トラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重
合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体、フツ化ビニリデン樹脂、エチ
レン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−ク
ロロフルオロエチレン共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化
ビニリデン樹脂、ポリエチレン(低密度、高密度、超高
分子量)、塩素化ポリオレフイン、ポリプロピレン、変
性ポリオレフイン、水架橋ポリオレフイン、エチレン−
ビニルアセテート共重合体、エチレン−エチルアクリレ
ート共重合体、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミ
ド、メタクリル樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネイ
ト、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウ
レタンエラストマー、ポリイミド、ポリエーテルイミ
ド、ポリアミドイミド、アイオノマー樹脂、ポリフエニ
レンオキサイド、メチルペンテンポリマー、ポリアリル
スルホン、ポリアリルエーテル、ポリエーテルケトン、
ポリフエニレンサルフアイド、ポリスルホン、全芳香族
ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、熱可塑性ポリエステルエラストマ
ー、各種高分子物質のブレンド物などを例示することが
できる。
つぎにこの発明におけるグリシジル基、アミノ基、カル
ボキシル基、アルコール性水酸基、メルカプト基を含む
単位を有するオルガノポリシロキサンは、ジメチルシロ
キサン、メチルフエニルシロキサン、トリメチルフルオ
ロプロピルシロキサン等のオルガノポリシロキサンの単
独重合体または2種以上の共重合体に、エポキシ基、ア
ミノ基、カルボキシル基、アルコール性水酸基、メルカ
プト基を導入したもので、これらを例示すれば、それぞ
れつぎのようなものである。すなわち、エポキシ基含有
オルガノポリシロキサン アミノ基含有オルガノポリシロキサン カルボキシル基含有オルガノポリシロキサン アルコール性水酸基含有オルガノポリシロキサン メルカプト基含有オルガノポリシロキサン 〔ここで、Rはアルキレン基など、m=5〜1000
0、n=2〜100である。〕 を挙げることができる。
なお、この発明において、合成樹脂100部に対してエ
ポキシ基を含む単位を有するオルガノポリシロキサンを
0.5〜20.0部配合する理由は、この下限値未満の
少量では摺動特性の改良効果が不十分であり、逆に上限
値をこえる多量では合成樹脂の機械的特性が著しく低下
して好ましくないからであつて、好ましくは1.0〜1
5.0部の範囲である。また、さらにアミノ基、カルボ
キシル基、アルコール性水酸基、メルカプト基から選ば
れる少なくとも1種類の基を含む単位を有するオルガノ
ポリシロキサンを0.5〜20.0部配合する理由は、
この下限値未満の少量では前記エポキシ基を含む単位を
有するオルガノポリシロキサンとの反応が十分でなく、
これを合成樹脂内部にしばりつけることができないた
め、通常の含油プラスチツクの欠点を呈するからであ
り、逆に上限値をこえる多量では合成樹脂の機械的特性
が著しく低下して好ましくないからであつて、好ましく
は1.0〜15.0部の範囲である。ここで、アミノ
基、カルボキシル基、アルコール性水酸基、メルカプト
基から選ばれる少なくとも1種類の基を含む単位を有す
るオルガノポリシロキサンは、その配合割合の範囲にお
いて、2種類以上を組合せて用いてもよい。また、反応
を進めるために場合によつてアミン類等の触媒を適宜加
えてもよい。
以上述べたこの発明の組成物を混合するには、従来から
よく知られた方法を利用することができる。たとえば合
成樹脂と前記の各配合成分を個別に、もしくは適宜溶媒
(たとえば、フルオロクロロハイドロカーボンなど)に
溶かして、ヘンシエルミキサー、ボールミル、タンブラ
ーミキサー等の混合機によつて混合した後溶媒を除去し
て、溶融混合性のよい射出成形機もしくは溶融押出機に
供給するか、または予め熱ローラ、ニーダ、バンバリー
ミキサー、溶融押出機などを使用してもよい。また、エ
ポキシ基を含む単位を有するオルガノポリシロキサン
と、アミノ基、カルボキシル基、アルコール性水酸基、
メルカプト基から選ばれる少なくとも1種類の基を含む
単位を有するオルガノポリシロキサンとを、別々に合成
樹脂に混合したペレツトを調製しておき、成形直前に2
種のペレツトを所定の割合で混合し射出成形機に供給す
る方法をとつてもよい。また、この発明の組成物を成形
するにあたつてはその方法を特に限定するものではない
が、圧縮成形、押出成形、射出成形などが可能であるう
え、この発明の組成物を溶融混合した後、この混合物を
ジエツトミル、冷凍粉砕機等によつて粉砕し、そのまま
もしくは所望の粒径に分級した粉砕を粉体塗料として、
流動浸漬塗装,静電粉体塗装等に用いることもできる。
この発明の組成物は、前記した潤滑性配合剤すなわちオ
ルガノポリシロキサンのほかに、一般合成樹脂に広く配
合し得る添加剤を、組成物の特性を低下させない範囲の
量で適宜併用することもできる。このような添加剤とし
ては、たとえば離型剤、難燃剤、耐候性改良剤などが例
示されるが、これら添加剤は、この発明の潤滑性配合剤
と同時に添加配合させるが、予め添加剤と潤滑性配合剤
とを配合する方法を採ることができる。さらに、上記の
添加剤に従来から公知、公用の潤滑剤を併用することは
勿論可能であり、四フツ化エチレン樹脂粉末、グラフア
イト、フツ化黒鉛、タルク、窒化ホウ素、その他工業溶
潤滑剤等も、使用目的に応じて適宜選択使用することが
できる。また、強化剤として公知のガラス繊維、カーボ
ン繊維、アルミナ繊維、アスベスト、ロツクウール、ウ
オラストナイト、チタン酸カリウムホイスカー等の繊維
状物質、またはガラス粉末、タルク、クレイ、炭酸カル
シウム等に代表される無機質充填剤なども使用できる。
いずれも、この発明の組成物の潤滑性を損なわない限
り、中間製品もしくは最終製品の形態において、化学的
もしくは物理的な処理によつて性質改善のための変性が
可能であることは勿論である。
〔作用〕
この発明の潤滑性樹脂組成物においては、エポキシ基含
有オルガノポリシロキサンのエポキシ基と、もう一方の
オルガノポリシロキサンの官能基が反応して、合成樹脂
中にオルガノポリシロキサンの潤滑性を持つた三次元網
目構造が形成され、その網目が細かく分散して存在する
ために、摩擦係数が小さく、しかも潤滑性物質が基材か
ら抜け落ちることなく組織内にとどまるため、その摩擦
係数が安定して維持され、また網目により基材が補強さ
れて摩耗も小さく機械的強度の低下もなく、従来の含油
プラスチツクの欠点がすべて解消されるものと考えられ
る。
〔実施例〕
まず、以下に示す実施例および比較例に使用した原材料
はつぎのとおりである。なお〔 〕中は略号を示す。
ポリエチレン(三井石油化学社製;ハイゼツクス13
00J)〔PE〕、 12ナイロン(ダイセル化学社製;ダイアミドL16
40P)〔PA12〕、 66ナイロン(東レ社製;アミランCM3001N)
〔PA66〕, ポリアセタール(ポリプラスチツクス社製:ジユラコ
ンM90−02)〔POM〕、 ポリブチレンテレフタレート(三菱化成工業社製;ノ
バドゥール5010)〔PBT〕、 ポリフエニレンサルフアイド(米国フイリツプスペト
ローリアム社製;ライトンP−4パウダー)〔PP
S〕、 ポリエーテルイミド(米国ゼネラルエレクトリツク社
製;ウルテム1000)〔PEI〕、 ポリイミド樹脂(西独国テクノシミー社製;ポリアミ
ドビスマレイミドC183)〔PABM〕、 エポキシ基含有オルガノポリシロキサン(信越化学工
業社製;エポキシ変性シリコーンオイルKF102)、 アミノ基含有オルガノポリシロキサン(信越化学工業
社製;アミノ変性シリコーンオイルKF861)、 カルボキシル基含有オルガノポリシロキサン(信越化
学工業社製;カルボキシル変性シリコーンオイルX−2
2−3701E)、 アルコール性水酸基含有オルガノポリシロキサン(信
越化学工業社製;シリコーンジオールX−22−160
C)、 メルカプト基含有オルガノポリシロキサン(信越化学
工業社製;メルカプト変性シリコーンオイルX−22−
980)、 (14)不官能性オルガノポリシロキサン(信越化学工業社
製;シリコーンオイルKF96 3000cst)、 である。
実施例 1〜18: 合成樹脂に第1表に示すようにオルガノポリシロキサン
を配合し、ヘンシエルミキサーで十分混合した後、二軸
溶融押出機に供給し、第2表に示した溶融混合条件で押
出し、造粒し、そのペレツトを射出成形機に供給し、第
2表に示した射出成形条件で、内径14mm、外径23
mm、長さ13mmのリング状試験片と、ASTM−D
638タイプIVのダンベル試験片を成形した。リング状
試験片を用いて摩擦摩耗試験を行つた。摩擦試験はスラ
スト型摩擦試験機を用い滑り速度毎分10m、荷重10
kg/cmの条件で運転開始1分後および60分後の
摩擦係数を測定した。摩耗試験はスラスト型摩耗試験機
を用い滑り速度毎分32m、荷重3.1kg/cm2
条件で行つた。いず れの試験も相手材には軸受鋼SUJ2(焼き入れ、研削
仕上げ)を使用した。またダンベル試験片を用い、23
±2℃の雰囲気下で、チヤツク間距離64mm、引張り
速度毎分5mmの条件で引張り強さを求めた。結果を第
3表にまとめた。
比較例1〜14: 第4表および第5表に示した配合組成、混合条件および
成形条件で、実施例1〜18と同様の試験片を作製し、
同様の測定を行つた。結果を第6表にまとめた。なお比
較例2、3、4および7においては成形体は成形中に分
離して不均一なものとなり、またこれら比較例の摺動後
の相手材表面はべとついていた。
以上の実施例1〜18および比較例1〜14を比較する
と、第3表および第6表に示した測定値から明らかなよ
うに、比較例においては摩擦係数および摩耗係数は比較
的小さいが、引張り強さの低下が著しい(たとえば比較
例5および7)か、摩擦係数が安定しない(比較例2、
3および4)か、摩擦係数および摩耗係数が実施例に比
べて大 きい(比較例1、6および8〜14)がであつて、いず
れも期待する性質は得られていない。これに対して実施
例1〜18はいずれも引張り強さを低下させることなく
摩擦係数も摩耗係数も共に小さく、また成形性もよく、
通常の含油プラスチツクの欠点を呈することなく、きわ
めて好ましいものであつた。また従来広く用いられてい
る硬質の充填剤を添加することなしに低摩擦、低摩耗の
目的を達成しているので摺動時に相手材を損傷させるこ
ともなかつた。
〔効果〕
以上述べたように、この発明の潤滑性樹脂組成物からな
る成形体は合成樹脂本来の機械的性質を保有しつつ、優
れた摺動特性を有し、成形性も良好であつて、従来見る
ことのできなかつた摺動性、成形性および経済性の三者
を同時に満足させる材料であるから、軸受材などには最
適のものであると言える。したがつて、この発明の意義
はきわめて大きい。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 30:06 40:02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂100重量部に対し、エポキシ基
    を含む単位を有するオルガノポリシロキサン0.5〜2
    0.0重量部と、さらにアミノ基、カルボキシル基、ア
    ルコール性水酸基、メルカプト基から選ばれる少なくと
    も1種類の基を含む単位を有するオルガノポリシロキサ
    ン0.5〜20.0重量部を配合したことを特徴とする
    潤滑性樹脂組成物。
JP60280670A 1985-12-11 1985-12-11 潤滑性樹脂組成物 Expired - Lifetime JPH068427B2 (ja)

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