JPH0682942U - リクライニングシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構成からなり、負荷が加わった際のラ
チェット歯およびロック歯間の噛み合いをより確実に保
持することが可能なリクライニングシートを提供するこ
と。 【構成】 ロックポールの自由端部を支持するポールレ
リーズピンに、ロアアームとレリーズアームによって挟
着されるべき抜止フランジを形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、レリーズハンドルの操作により、シートバックの傾斜角を調整する リクライニング機能を有するリクライニングシートに関する。

【０００２】

【従来技術およびその問題点】

自動車の前席等に設けられるこの種のリクライニングシートは、種々の構造の ものが開発され、製品化されている。例えば、車両に固定したロアレールとこの ロアレールに対して摺動可能なアッパレールにより構成される左右一対のシート トラックを有し、該シートトラック上に、シートクッションをロアアームを介し て支持し、シートバックを該ロアアームに枢着したアッパアームを介して回動可 能に支持し、左右一対のシートトラックがそれぞれに有するアッパアームを、ロ アアームに対してロックおよびアンロック状態に切り換える左右のロック機構を 備えたものが知られている。

【０００３】 このような構造を有するリクライニングシートにおいて、従来、左右のロック 機構を連動させ、しかもその連動時に伝達ロスや伝達部の摩耗、変形等を発生さ せにくい構造を、プレス加工による比較的粗い寸法精度の部品により提供できる ようにした連動機構が案出されている（実公昭61-30535号）。この連動機構では 、アッパアームの回動基部に固定したラチェット歯と噛合すべきロック歯を有す るロックポールを、ロアアームに回動可能に設けている。

【０００４】 ところで、この実公昭61-30535号に記載された上記連動機構では、上記ロック ポールを、ロアアームとこのロアアームに設けたサブプレートにより挟持してそ の軸方向移動を制限し、これにより、ラチェット歯に対するロック歯の位置ずれ を規制して両者の噛み合いを確保するように構成しているが、外部から負荷が加 わった場合のラチェット歯とロック歯の噛み合いを、より確実に保持するための 構造が望まれている。

【０００５】

【考案の目的】

本考案は、上記問題意識に基づいて成されたもので、簡単な構成からなり、負 荷が加わった際のラチェット歯およびロック歯間の噛み合いをより確実に保持す ることが可能なリクライニングシートを提供することを目的とする。

【０００６】

【考案の概要】

上記目的を達成する本考案は、表裏に貫通する貫通案内孔を有する、シートク ッションに固定されたロアアーム；このロアアームに回動可能に設けられその回 動基部にラチェット歯を有する、シートバックに固定されたアッパアーム；この アッパアームの上記ラチェット歯に係合して該アッパアームをロックするロック 歯を有する、ロアアームに枢着されたロックポール；ロアアームに、アッパアー ムと同軸にかつ回動可能に設けられたレリーズハンドル；および、ロアアームの 貫通案内孔を貫通しその一端部を上記ロックポールの自由端部に連結させたポー ルレリーズピンを有するリクライニングシートにおいて、ポールレリーズピンに 、少なくとも上記ロアアームに当接して該ポールレリーズピンの軸方向移動を制 限する抜止フランジを設けたことを特徴としている。

【０００７】

【実施例】

以下図示実施例に基づいて本考案を説明する。図４は、本考案を適用した前席 のシート１０を示す概略側面図であり、図１と図３は、このシート１０の要部を 示す分解斜視図である。また図２は、図１と図３に示したシート１０の要部を組 立て状態において示す平面断面図である。なお、図２中の４２、４３、４４およ び４５はそれぞれ、貫通ピン２２、ポールレリーズピン２７および移動案内ピン ３８を各部材に抜け止め支持するＥリングである。

【０００８】 リクライニング機能を有するシート（リクライニングシート）１０は、左右の シートトラック上に設けられている。本実施例では、該左右のシートトラックの うち、一方（左側）の該シートトラック１３Ｌに関してのみ図示説明する。この シートトラック１３Ｌに対する他方（右側）のシートトラックは、解除ハンドル ３５の把持部３５ａ等を有しないが、他の基本構成はシートトラック１３Ｌと同 様である。

【０００９】 このシートトラック１３Ｌは、床面に固定されるロアレール１１Ｌ、および該 ロアレール１１Ｌに摺動自在に嵌められたアッパレール１２Ｌにより構成されて いる。このアッパレール１２Ｌにロアアーム１５が固定され、該ロアアーム１５ にシートクッションＳＣが固定されている。また該ロアアーム１５にアッパアー ム１６が回動可能に取り付けられ、このアッパアーム１６にシートバックＳＢが 固定されている。右側のシートトラック上も同様に構成され、よって、図示しな い右側のロアアームとロアアーム１５の間、および右側のアッパアームとアッパ アーム１６の間にそれぞれ、上記シートクッションＳＣおよびシートバックＳＢ が設けられる。

【００１０】 ロアアーム１５は、同位置において表側と裏側にそれぞれ突出する回動支軸１ ７と１７ａを有し、該回動支軸１７、１７ａの下方に、回動支軸１７と略同心状 の円弧案内孔２０、および第一案内部２１ａと第二案内部２１ｂを有する略鉤状 の貫通案内孔２１を有し、さらに両案内孔２０、２１の近傍に、回動支持ピン２ ８の一端部を嵌合させこれを支持する嵌合支持孔４４を有している。第一案内部 ２１ａは、回動支軸１７を中心とした略円弧状に形成され、第二案内部２１ｂは 、レリーズアーム１９の円弧案内孔１９ａとの間で所定の関係を持つように、第 一案内部２１ａに対して所定角度で傾斜されている。

【００１１】 アッパアーム１６は、回動基部に、このアッパアーム１６の一部を構成するギ ヤプレート４０を固定して有している。このギヤプレート４０は一端部から順に 、ラチェット歯４０ａ、嵌合孔４０ｄ、先端部に係止凹部１７ｂを有する回動支 軸１７に嵌合する回動支持孔４０ｂ、およびトーションスプリング２４の一端部 を係止する係止突起４０ｃを有している。ギヤプレート４０の回動支持孔４０ｂ を回動支軸１７に嵌合させかつ嵌合孔４０ｄに嵌合した移動案内ピン３８を円弧 案内孔２０に挿入して、ロアアーム１５に対し回動可能に支持されたアッパアー ム１６は、回動支軸１７にコイル部を巻き掛けその一端部を係止凹部１７ｂに係 合させかつ他端部を係止突起４０ｃに係止したトーションスプリング２４により 、図４の反時計方向に常時回動付勢されている。

【００１２】 ロックポール２９は、ポールレリーズピン２７の一端部２７ｄを嵌合する嵌合 支持孔２９ａ、ギヤプレート４０のラチェット歯４０ａに噛み合ってアッパアー ム１６をロックするロック歯２９ｂ、回動支持ピン２８の他端部を回動可能に嵌 合する回動支持孔２９ｃ、および転動する押圧ローラ２３の押圧力を受ける押圧 側部２９ｄを有している。

【００１３】 サブプレート１８は、アッパアーム１６とロックポール２９を、回動支軸１７ と回動支持ピン２８によってロアアーム１５にそれぞれ枢着した後、このロアア ーム１５に、アッパアーム１６と同軸にかつ回動可能に支持されるもので、回動 支軸１７に嵌合する回動支持孔１８ａ、およびロックポール２９の側面に接触し てこれを摺動支持するポール支持部１８ｂを有している。

【００１４】 レリーズハンドル３１は、略鉤状に形成され、先端部に把持部３１ｄを有し、 回動基部に、回動支軸１７にサブプレート１８の後から嵌合されるべき回動支持 孔３１ｃを有し、中央部に、押圧ローラ２３を貫通した貫通ピン２２の一端部を 嵌合する嵌合支持孔３１ｂと、ロアアーム１５に一端部を係止した引張りスプリ ング２５の他端部を係止する係止孔３１ａを有している。レリーズハンドル３１ は、ロアアーム１５と係止孔３１ａの間に掛け止めした該引張りスプリング２５ により、図４中の反時計方向に常時回動付勢されており、通常は同図に示す位置 以上に同方向に回動しないように位置決めされている。

【００１５】 レリーズアーム１９は、先端部から順に、貫通ピン２２の他端部を嵌合する嵌 合孔１９ｄ、ポールレリーズピン２７の他端部２７ａを所定の軌跡で移動案内す る円弧案内孔１９ａ、左右のシートトラックを連動させる連動シャフト３２の先 端部に固定した連動アーム３３の係合鉤部３３ａを係合させる係合溝１９ｃ、お よび回動支軸１７に回動可能に嵌合される回動支持孔１９ｂを有している。

【００１６】 円弧案内孔１９ａは、ポールレリーズピン２７の一端部２７ｄを挿入した第二 案内部２１ｂと所定の関係でその形状が定められていて、レリーズアーム１９が 、第一案内部２１ａ内に位置する貫通ピン２２を介してレリーズハンドル３１と 共に図３の時計方向に回動されるとき、ポールレリーズピン２７を第二案内部２ １ｂの下方に向けて移動案内し、ロックポール２９をギヤプレート４０から離反 する方向に回動させ、ロック歯２９ｂをラチェット歯４０ａから離反させて、シ ートバックＳＢ（アッパアーム１６）をアンロック状態にさせる。

【００１７】 逆に、このアンロック状態においてレリーズアーム１９が同図の反時計方向に 回動されて初期位置に戻るとき、円弧案内孔１９ａは、第二案内部２１ｂとの関 係によって、ポールレリーズピン２７を第二案内部２１ｂの上方に移動案内し、 ロックポール２９をギヤプレート４０側に回動させそのロック歯２９ｂをラチェ ット歯４０ａに噛合させ、シートバックＳＢをロック状態にさせる。このとき、 レリーズハンドル３１およびレリーズアーム１９と共に第一案内部２１ａを下方 に移動される貫通ピン２２は、ギヤプレート４０に向けて回動するロックポール ２９の押圧側部２９ｄを、押圧ローラ２３を介して押圧し、ロック歯２９ｂをラ チェット歯４０ａに対してより確実に噛合させる。

【００１８】 シートトラック１３Ｌは、ロアアーム１５に対して回動可能かつ該ロアアーム １５と共に前後方向に移動可能とされた解除ハンドル３５を有している。この解 除ハンドル３５は、上方に突出させた連動突起３６を有していて、この連動突起 ３６に一端部を係止させた連動ワイヤ３７を介して右側のシートトラックと連動 されている。シートトラック１３Ｌは、ロアアーム１５とロアレール１１Ｌの相 対移動を規制するロック機構（図示せず）を有しており、解除ハンドル３５は、 その回動操作時にこのロック機構を作動させて、ロアアーム１５をロアレール１ １Ｌに対してロックおよびアンロック状態に切り換える。

【００１９】 ポールレリーズピン２７は、ロアアーム１５の貫通案内孔２１を貫通しロック ポール２９の嵌合支持孔２９ａに嵌合される上記一端部２７ｄ、ロアアーム１５ の貫通案内孔２１を貫通しその第二案内部２１ｂ内を移動案内される、一端部２ ７ｄより大径の移動案内部２７ｃ、およびレリーズアーム１９の円弧案内孔１９ ａに挿通されて該円弧案内孔１９ａを案内移動される上記他端部２７ａを有して いる。ポールレリーズピン２７はさらに、移動案内部２７ｃと他端部２７ａの間 に位置し、円弧案内孔１９ａおよび第二案内部２１ｂの内幅より大きい寸法の径 を有する抜止フランジ２７ｂを有している。この抜止フランジ２７ｂは、組立て 時に、ロアアーム１５とレリーズアーム１９の間において両者によって挟着され 、該ロアアーム１５の貫通案内孔２１の周囲とレリーズアーム１９の円弧案内孔 １９ａの周囲に当接する。これにより、ポールレリーズピン２７の軸方向移動を 制限して、一端部２７ｄに連結したロックポール２９の自由端部の左右方向の移 動（シート前後方向に対する横方向の移動）を制限する。

【００２０】 上記構成のリクライニング機能を有するシート１０は、次のように作動する。 すなわち、このシート１０は、レリーズハンドル３１を解放した状態において、 ロックポール２９のロック歯２９ｂをギヤプレート４０のラチェット歯４０ａに 噛合させ、アッパアーム１６（シートバックＳＢ）をロックしている。このロッ ク状態において、レリーズハンドル３１を図３と図４の時計方向に回動操作する と、第一案内部２１ａ内を上方に移動する貫通ピン２２を介して、レリーズアー ム１９がレリーズハンドル３１と同方向に回動される。この際、第二案内部２１ ｂと所定の関係を有する円弧案内孔１９ａが、ポールレリーズピン２７をこの第 二案内部２１ｂの下方に向けて移動させる。

【００２１】 すると、押圧ローラ２３の上方移動によって解放されたロックポール２９が、 回動支持ピン２８を中心としてギヤプレート４０から離れる方向に回動され、ロ ック歯２９ｂをラチェット歯４０ａから離反させ、ギヤプレート４０を解放して アッパアーム１６をアンロック状態にする。右側のシートトラックにおいても、 レリーズアーム１９の回動動作が、係合溝１９ｃ、連動アーム３３および連動シ ャフト３２を介して伝達されるため、右側のアッパアームがアンロック状態にさ れる。

【００２２】 従って、シート１０のシートバックＳＢがアンロックにされたこの状態におい て、着座者は、該シートバックＳＢを適宜前倒または後倒させ、その傾斜角を好 みに合わせて調節することができる。

【００２３】 さらにこの調節後、把持部３１ｄから手を離してレリーズハンドル３１を解放 すると、レリーズハンドル３１が引張りスプリング２５の付勢力により図４の反 時計方向に回動されるため、レリーズアーム１９が、貫通ピン２２を介してレリ ーズハンドル３１と同方向に回動される。すると、円弧案内孔１９ａと第二案内 部２１ｂの関係により、ポールレリーズピン２７が第二案内部２１ｂ内を上方に 移動されるため、ロックポール２９が回動支持孔２９ｃを中心として図３の時計 方向に回動され、ロック歯２９ｂをギヤプレート４０のラチェット歯４０ａに噛 合させ、シートバックＳＢをロック状態にする。この際、レリーズハンドル３１ およびレリーズアーム１９と共に第一案内部２１ａ内を下方に移動する貫通ピン ２２が、押圧ローラ２３を介して、ギヤプレート４０に向けて回動するロックポ ール２９の押圧側部２９ｄを押圧するため、ロック歯２９ｂをラチェット歯４０ ａに対してより確実に噛合させることができる。

【００２４】 このような、シートバックＳＢのロック状態において、ロックポール２９の自 由端部を支持するポールレリーズピン２７は、上記のように抜止フランジ２７ｂ を、ロアアーム１５とレリーズアーム１９の両者に挟着されて軸方向移動を制限 されているため、外部から大きな負荷が加わった場合でも、ロックポール２９の 自由端部をガタ付かせることなく堅固に支持することができる。これにより、ロ ックポール２９のロック歯２９ｂをギヤプレート４０のラチェット歯４０ａによ り確実に噛み合わせることができる。またこのようなロックポール２９の支持構 造は、ポールレリーズピン２７に抜止フランジ２７ｂを形成する等によって簡単 に実現させることができるから、コスト的にも大変有利である。

【００２５】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、簡単な構成からなるものでありながら、 負荷が加わった場合のラチェット歯およびロック歯間の噛み合いをより確実に保 持できるリクライニングシートを提供することができる。しかも、ポールレリー ズピンに抜止フランジを形成する等によって、このようなロックポールの支持構 造を簡単に実現できるから、コスト的にも有利となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を適用したリクライニング機能を有する
シートの要部を拡大して示す分解斜視図である。

【図２】同シートの要部を組立て状態で示す平面断面図
である。

【図３】同シートの要部を示す分解斜視図である。

【図４】同シートを示す概略側面図である。

【符号の説明】

１０ シート（リクライニングシート） １５ ロアアーム １６ アッパアーム １９ レリーズアーム １９ａ 円弧案内孔 ２１ 貫通案内孔 ２２ 貫通ピン ２３ 押圧ローラ ２７ ポールレリーズピン ２７ａ 他端部 ２７ｂ 抜止フランジ ２７ｃ 移動案内部 ２７ｄ 一端部 ２９ ロックポール ２９ａ 嵌合孔（自由端部） ２９ｂ ロック歯 ３１ レリーズハンドル ４０ ギヤプレート ４０ａ ラチェット歯 ＳＢ シートバック ＳＣ シートクッション

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 表裏に貫通する貫通案内孔を有する、シ
   ートクッションに固定されたロアアーム；このロアアー
   ムに回動可能に設けられその回動基部にラチェット歯を
   有する、シートバックに固定されたアッパアーム；この
   アッパアームの上記ラチェット歯に係合して該アッパア
   ームをロックするロック歯を有する、上記ロアアームに
   枢着されたロックポール；上記ロアアームに、上記アッ
   パアームと同軸にかつ回動可能に設けられたレリーズハ
   ンドル；および、 上記ロアアームの貫通案内孔を貫通しその一端部を上記
   ロックポールの自由端部に連結させたポールレリーズピ
   ンを有するリクライニングシートにおいて、 上記ポールレリーズピンに、少なくとも上記ロアアーム
   に当接して該ポールレリーズピンの軸方向移動を制限す
   る抜止フランジを設けたことを特徴とするリクライニン
   グシート。
2. 【請求項２】 請求項１において、さらに、ロアアーム
   を挟んだレリーズアームの反対側に、このレリーズハン
   ドルと共に回動し、その回動時に、ポールレリーズピン
   を所定の軌跡で移動案内して上記ロックポールを回動さ
   せ、アッパアームをロックおよびアンロック状態に切り
   換えるレリーズアームが設けられていて、上記ポールレ
   リーズピンの抜止フランジは、このレリーズアームと上
   記ロアアームの両者に挟着されてその軸方向移動を制限
   されている、リクライニングシート。