JPH0682607A - 視野選択性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

視野選択性フィルム及びその製造方法

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JPH0682607A
JPH0682607A JP23600792A JP23600792A JPH0682607A JP H0682607 A JPH0682607 A JP H0682607A JP 23600792 A JP23600792 A JP 23600792A JP 23600792 A JP23600792 A JP 23600792A JP H0682607 A JPH0682607 A JP H0682607A
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resin film
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 単一のフィルム自身が視野選択性を有するの
で、従来の有機ポリマー膜を合わせたものや樹脂組成物
を塗布したものに比べて安価に視野選択性フィルムを提
供する。 【構成】 この視野選択性フィルム100は、透明性の
高分子樹脂フィルム10に、該高分子樹脂フィルム10
の分子配向方向と略平行に縞状のクレイズ20領域を設
けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、視野選択性を有する高
分子樹脂フィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば正面から見ると透明で斜め
から見ると不透明となる所謂視野選択性を有する板ガラ
スは、有機ポリマー膜を二相に貼り合わせたものが多く
採用されている。この従来の板ガラスは、有機ポリマー
膜がその内部に不均一な相分離構造を有し、これら二相
の屈折率差により視野選択性が発現される。ところがこ
の場合、有機ポリマー膜を貼り合わせるという煩雑な工
程を必要とするので、その分生産性に劣り、また有機ポ
リマー膜自身が高価なためコスト高であるという欠点が
あった。
【0003】そこで従来は、特定の入射光のみを選択的
に散乱する均一な膜質を有する「光制御板およびその製
造方法」が特開昭64−77001号公報において提案
されている。この公報に記載の光制御板は、樹脂組成物
よりなるシートを二相に貼り合わせなくても特定の角度
をなす入射光のみを選択的に散乱することができ、これ
によりある程度の視野選択性が得られるというものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の特開昭64−77001号公報に記載の光制御板に
あっては、樹脂組成物は屈折率に差がある分子内に1個
以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物からな
るため高価であり、また同樹脂組成物を基板上に塗布し
た後光により硬化させる必要があるため、その製造工程
が煩雑であると共にコスト的にも不利であった。
【0005】そこで案出されたのが本発明であり、その
第一の目的とするところは、単一のフィルム自身が視野
選択性を有するので従来の有機ポリマー膜を貼り合わせ
た板ガラスや樹脂組成物を基板上に塗布したものと比べ
て安価に視野選択性フィルムを提供することにある。そ
して、本発明の第二の目的とするところは、添加剤より
得られる機能を有する視野選択性フィルムを提供するこ
とにある。さらに本発明の第三の目的とするところは、
引張強度が殆ど低下しない視野選択性フィルムの容易な
製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の採った手段を実施例に対応する図面に用い
た符号を付して以下に説明する。即ち、請求項1に係る
視野選択性フィルムの構成は、図1及び図2に示す如
く、「透明性の高分子樹脂フィルム10に、該高分子樹
脂フィルム10の分子配向方向と略平行に縞状のクレイ
ズ20領域を設けたことを特徴とする視野選択性フィル
ム100」を内容とするものである。
【0007】次に請求項2に係る視野選択性フィルムの
構成は、「クレイズ20領域に、添加剤層を設けたこと
を特徴とする請求項1記載の視野選択性フィルム10
0」を内容とする。ここでいう添加剤層とは、着色剤、
安定剤、難燃剤、可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤のう
ち、少なくとも1を含有し、これにより、これら添加剤
の種類に応じた機能を有する層をいう。
【0008】次に請求項3に係る視野選択性フィルムの
製造方法の構成は、図1、図2又は図5に示す如く、
「透明性の高分子樹脂フィルム10を、該高分子樹脂フ
ィルム10の分子配向方向と略平行に折り曲げてそこに
局部的な折り曲げ部11を形成し、その後高分子樹脂フ
ィルム10を前記折り曲げ方向に引っ張ることにより該
高分子樹脂フィルム10の分子配向方向と略平行に連続
的な縞状のクレイズ20領域を形成することを特徴とす
る視野選択性フィルムの製造方法」を内容とするもので
ある。
【0009】そして、請求項4に係る視野選択性フィル
ムの製造方法の構成は、図1、図2、図6又は図7に示
す如く、「緊張状態に保持された透明性の高分子樹脂フ
ィルム10面に、先端部41が鋭角の支持体40を押し
付けることにより該高分子樹脂フィルム10をその分子
配向方向と略平行に折り曲げてそこに局部的な折り曲げ
部11を形成し、その後高分子樹脂フィルム10を支持
体40の先端部に接触させつつ前記折り曲げ方向に引っ
張ることにより、該高分子樹脂フィルムの分子配向方向
と略平行に連続的な縞状のクレイズ20領域を形成する
ことを特徴とする視野選択性フィルムの製造方法」を内
容とするものである。
【0010】ここでいうクレイズ20領域とは、高分子
樹脂フィルム10の表面に現れる表面クレイズとその内
部に発生する内部クレイズの両方を含むものであって、
細かなひび状の模様を有する領域をいう。そしてこのク
レイズ20は、分子束(フィブリル)とボイドから構成
されており、全体としてスポンジの構造に似たものとな
っている。
【0011】
【作用】上記の手段により、図1及び図2に示す如く、
請求項1に係る視野選択性フィルム100にあっては、
透明性の高分子樹脂フィルム10に、その分子配向方向
と略平行に縞状のクレイズ20領域が設けられているの
で、図3に示す如く、縞状に形成されたクレイズ20同
志の間に略平行に入射する光は透過し、また図4に示す
如く斜めに入射する光は反射して散乱する。これに対
し、クレイズ20同志の間隔が狭く、これが光の波長に
近い場合は、上記のようにクレイズ同志の間に略平行に
入射する光は逆に反射されて散乱し、一方斜めに入射す
る光は殆ど透過するのである。これにより、透明性樹脂
フィルム10においては、クレイズ20領域において見
る角度により同フィルム10を通して向こう側が見える
場合と見えない場合が発生する所謂視野選択性が発現さ
れる。つまりこの視野選択性は、単一の高分子樹脂フィ
ルム10自身により発現されるのである。また、この視
野選択性は、高分子樹脂フィルム10の厚さ方向に対す
るクレイズの深さや、高分子樹脂フィルム10自身の厚
さの違い等によりその範囲が変化する。
【0012】次に請求項2に係る視野選択性フィルムに
あっては、クレイズ20領域に添加剤層(図示しない)
が設けられているので、請求項1に係る発明の作用に加
え、この添加剤層に含有される着色剤、安定剤等の添加
剤の種類に応じた機能が発現される。つまり、この添加
剤が着色剤の場合は、高分子樹脂フィルム10の用途に
応じたカラーバリエーションが得られると共に、光の透
過を抑制し得る。また添加剤が紫外線吸収剤の場合は、
紫外線を吸収することにより、高分子樹脂フィルム10
自身の劣化や変色を防止する。添加剤が安定剤の場合
は、分子の分解等を抑制する。これらの機能により高分
子樹脂フィルム10自身の耐久性が向上する。そして添
加剤が可塑剤の場合は、高分子樹脂フィルム10は可塑
化されてその柔軟性が向上する。さらに添加剤が難燃剤
の場合は、同難燃剤の溶融による空気の遮断や、難燃剤
の熱分解による不燃ガスの発生により高分子樹脂フィル
ム10自身の難燃性が向上する。
【0013】次に請求項3に係る視野選択性フィルムの
製造方法にあっては、図5に示す如く、透明性の高分子
樹脂フィルム10をその分子配向方向と略平行に折り曲
げてそこに局部的な折り曲げ部11を形成するので、こ
の高分子樹脂フィルム10の折り曲げ部11にその分子
配向方向と略平行にクレイズ20が発生する。この高分
子樹脂フィルム10をその分子配向方向と略平行に折り
曲げるのは、クレイズ20がこの分子配向方向に生じ易
いためである。
【0014】また、高分子樹脂フィルム10を、折り曲
げ状態を維持しつつ折り曲げ方向に引っ張るので、これ
により図1及び図2に示す如く、同高分子樹脂フィルム
10には、その分子配向方向と略平行に連続的な縞状の
クレイズ20領域が容易に形成される。またクレイズ2
0領域が縞状に形成されるのは、折り曲げ部11で応力
集中が起こり、これにより座屈及びクレイズ20が発生
し、このとき応力集中は、折り曲げ部11のクレイズ2
0の発生と共に放出されるため高分子樹脂フィルム10
自身は破断せず、一定の速度でずれていくためである。
【0015】そして、請求項4に係る視野選択性フィル
ムの製造方法にあっては、図6又は図7に示す如く、緊
張状態に保持された透明性の高分子樹脂フィルム10面
に先端部41が鋭角の支持体40を押し付けるのでそこ
に同高分子樹脂フィルム10の分子配向方向と略平行に
局部的な折り曲げ部11が形成される。この折り曲げ部
11には、クレイズ20が発生する。また支持体40を
押し付けることにより形成される高分子樹脂フィルム1
0の折り曲げ部11の角度は、同高分子樹脂フィルム1
0の厚さや硬さ等に応じて任意に選択すれば良い。
【0016】また、高分子樹脂フィルム10を支持体4
0の先端部11に接触させつつ折り曲げ方向に引っ張る
ことにより、同高分子樹脂フィルム10には、その分子
配向方向と略平行に連続的な縞状のクレイズ20領域が
容易に形成される。このとき、高分子樹脂フィルム10
の緊張状態における張力(以下単に張力という)を調整
することにより、図1又は図2に示す如く、クレイズ同
志の間隔やクレイズ自身の幅が調整される。この図1に
おけるクレイズ20は張力10Nの場合に発生し、図2
におけるクレイズ20は、張力6Nの場合に発生したも
のである。またこれは以下の実施例において述べる測定
結果の図10より明らかである。
【0017】なお、上記請求項3及び請求項4に係る製
造方法により得られた視野選択性フィルムにあっては、
以下実施例において述べる測定結果の図14に示す如
く、引張強度の低下が殆ど見られない。これは、クレイ
ズ20内に発生したフィブリルが応力を担っているため
である。
【0018】
【実施例】以下図面に基づいて本発明に係る視野選択性
フィルム及びその製造方法について詳細に説明するが、
これは代表的なものを示したものであり、本実施例によ
り本発明が限定されるものではない。
【0019】本実施例に係る視野選択性フィルムは、図
1及び図2に示す如く、一般に市販されている厚さ25
μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)より成る透明
性の高分子樹脂フィルム10の分子配向方向と略平行に
20μm程度の間隔を有する縞状のクレイズ20領域を
設けてある。このクレイズ20は、同高分子樹脂フィル
ム10の表面だけでなくその厚さ方向に殆ど貫通してい
るが、一部においては貫通せずに厚さ方向の途中で止ま
っている。本実施例において透明性の高分子樹脂フィル
ム10としては、ポリフッ化ビニリデンを採用している
が、クレイズ20が形成され得るものであればこれ以外
に、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリアミド等を採用しても良い。ポ
リフッ化ビニリデンは、低温から高温まで広い使用温度
範囲をもち、可撓性を有すると共に力学的に優れ、また
耐候性も極めて良く10年間屋外に暴露しても透明度及
び可撓性が変わらず、さらに耐薬品性にも優れる。従っ
て、これらの条件が要求される用途に使用する場合に
は、高分子樹脂フィルム10としてポリフッ化ビニリデ
ンを採用すのが望ましい。
【0020】次に、この視野選択性フィルムの製造方法
の一実施例について以下に説明する。まず、図5に示す
如く、厚さ25μmのポリフッ化ビニリデンよりなる透
明性の高分子樹脂フィルム10をその分子配向方向と略
平行に折り曲げてそこに局部的な折り曲げ部11を形成
する。この折り曲げた高分子樹脂フィルム10の上下面
を押圧体30により押圧する。次いでこの押圧体30を
左右(矢印方向)に移動させることにより同高分子樹脂
フィルム10をその折り曲げ方向に引っ張る。これによ
り図1及び図2に示す如く高分子樹脂フィルム10の分
子配向方向と略平行に連続的な縞状のクレイズ20領域
が形成される。このクレイズ20は、同フィルム10を
熱処理等することにより緩和されて消失し、またこれを
引っ張ることにより発生する。押圧体30の、高分子樹
脂フィルム10との接触面にすべり止め加工を施してお
けば、この高分子樹脂フィルム10面は押圧体30に密
着して固定されるので同フィルム10を引っ張る際に確
実にこれを把持できる。すべり止め加工としては、押圧
体30面に、例えばスチレンブタジエンゴム(SB
R)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)等のゴム、或
いはポリウレタン樹脂等をドット状に形成したものや、
この押圧体30面に両面粘着テープ等を貼付したもの等
を採用すれば良い。また押圧体30の圧力は、高分子樹
脂フィルムの種類や厚さに応じて任意に選択すれば良
い。
【0021】そして、本発明に係る視野選択性フィルム
の製造方法の別の実施例について以下に説明する。図6
又は図7に示す如く、本実施例においては、スプリング
とネジにより上下動して高分子樹脂フィルム10の張力
を調整する補助具(以下単に補助具という)50と、先
端部41が鋭角の支持体40とを備えたクレイジング装
置を使用する。まず、緊張状態に保持された厚さ25μ
mのポリフッ化ビニリデンよりなる透明性の高分子樹脂
フィルム10面に、支持体40の先端部41を押し付け
てこれを折り曲げると共に、この高分子樹脂フィルム1
0に補助具により一定の張力を与え、そして高分子樹脂
フィルム10を支持体40に接触させつつ矢印方向に引
っ張る。これにより図1及び図2に示す如く、高分子樹
脂フィルム10の分子配向方向と略平行に連続的なクレ
イズ20領域が形成される。この張力を変えることによ
り図1、図2又は図10に示す如く、クレイズ20同志
の間隔やクレイズ20自身の幅を調整することができ
る。
【0022】上記のように、高分子樹脂フィルム10を
引っ張る場合、例えば巻取ローラーを備えた巻取機(図
示しない)を採用すれば良い。支持体40の先端部41
の角度は任意に選択すれば良く、また高分子樹脂フィル
ム10の折り曲げ角度は、補助具50の上下動や、支持
体41自身の高さ調整、或いは高分子樹脂フィルム10
の引っ張り角度の変更等により任意に選択すれば良い。
また支持体40は、その先端部41に回転自在に軸支さ
れたローラー(図示しない)を取り付け固定しても良
い。このローラーは、高分子樹脂フィルム10の移動に
応じて自由に回転するので、同フィルム10面に傷が付
くのを防止する。
【0023】また、本発明に係る視野選択性フィルム
は、そのクレイズ20領域に着色剤、安定剤等の添加剤
層(図示しない)を設けることができる。この場合、ク
レイズ20自身は、分子束とボイドから構成されてお
り、全体としてスポンジの構造に似ているので、例えば
染料、有機顔料、無機顔料等の着色剤がこのクレイズ2
0に浸透することにより添加剤層は形成される。着色剤
としては、分散性、耐熱性、耐候性、耐水性、耐薬品性
等に優れるものが望ましい。この着色剤としては、例え
ば、染料として油溶染料、有機顔料としてアゾ系、フタ
ロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、そ
して無機顔料として酸化物、硫化物、クロム酸鉛、フエ
ロシアン化物、けい酸塩、カーボンブラック等が挙げら
れる。また添加剤層には、上記着色剤以外にベンゾトリ
アゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェ
ノン等の紫外線吸収剤、リン酸エステル、ハロゲン化炭
化水素等の難燃剤、無機鉛、金属せっけん、有機すず化
合物等の安定剤、ジブチルフタレート(DBP)、ジオ
クチルフタレート(DOP)等の可塑剤を含有させるこ
とができる。
【0024】このようにして得られた本発明に係る視野
選択性フィルムについて、レーザーによる透過光強度の
測定、レーザーによる回折強度の測定、クレイズ同志の
間隔及びクレイズ自身の幅の測定、そして引張強度の測
定を各々行ったところ以下に示す結果が得られた。
【0025】まず、レーザーによる透過光強度を測定す
る。図8に示す如く、厚さ25μm×幅10mm×長さ
20mmの試料を2枚のスライドグラスの間に挟んで固
定する。次に、日本科学エンジニアリング株式会社製の
レーザー60(He−NeレーザーNEO−15MS)
と、目盛付き回転盤70と、日本科学エンジニアリング
株式会社製の光量計80(レーザーパワーメーターPM
−210)を、レーザー光が光量計80の受光部90の
中央に垂直に当たるように配置し、試料をレーザー光が
垂直に当たるように照射し、回転盤70を0゜〜60゜
まで5゜刻みで回転させ、受光部90に入ってくる透過
光の強度変化を記録する。なお、試料による散乱光を受
けないように、受光部90をカバーし、その中央部に直
径0.46mmの穴をあけて測定する。得られたデータ
により横軸に入射角度、縦軸に透過光強度比をとりグラ
フを作成する。但し試料は、製造時の高分子樹脂フィル
ムの張力が、8、10、12(N)のものを各々採用し
た。
【0026】この測定により図13に示す結果が得られ
た。この図13よりレーザー光の入射角度の変化に伴っ
て透過光強度比が変化しているのが明らかであり、これ
より、視野選択性が発現していることがわかる。
【0027】次に、レーザーによる回折強度を測定す
る。図9に示す如く、レーザー60を配置し、試料にレ
ーザー光が垂直に当たるようにして固定する。レーザー
光を試料に照射すると回折像が現れる。受光部90を回
折像の中心に合わせて、左右に1mm刻みで移動させな
がらレーザー光の強度を記録する。得られたデータによ
り横軸に移動距離、縦軸に回折強度をとりグラフを作成
し、中心ピークから次のピークまでの距離を求める。但
し試料は、製造時の高分子樹脂フィルムの張力が6Nと
10Nのものを各々採用した。
【0028】以上の結果より、次式を用いてクレイズ同
志の間隔(d)を求める。 dsiθ=λ ここで、θは回折角、λはレーザー光の波長(λ=0.
6328μm)である。
【0029】この測定により、図11及び図12に示す
結果が得られた。これらの結果と上記計算式よりクレイ
ズ同志の間隔を計算したところ、張力6Nの試料につい
て、21.1μm、張力10Nの試料について19.0
μmという結果が各々得られた。この数字は、図10に
おける同クレイズ同志の間隔とクレイズ自身の幅を足し
た値とほぼ同じであり、そしてこれは、クレイズ自身の
幅の中心間の間隔に等しいのである。また、図10より
クレイズ同志の間隔及びクレイズ自身の幅は、製造時に
おける高分子樹脂フィルムの張力の大きさに依存するこ
とがわかる。
【0030】そして、クレイズの形成による視野選択性
フィルムの引張強度を測定する。この測定は以下の方法
により行った。厚さ25μm×縦15mm×横3mmの
試料を、株式会社東洋ボールドウイン製の引張試験機
(図示しない)に取り付け、引張速度10mm/min
で試料が破断するまで引っ張る。この引張試験結果より
次式を用いて引張強度(σ)を求める。 σ=P/S ここで、Pは試料に加えられた最大荷重、Sは試料の断
面積である。
【0031】この測定より、図14に示す結果が得られ
た。この図14よりクレイズの形成による視野選択性フ
ィルムの引張強度の低下は殆どないことがわかる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明に係る視野
選択性フィルム及びその製造方法を採用すると以下の効
果を奏する。
【0033】まず、請求項1に係る視野選択性フィル
ムにあっては、透明性の高分子樹脂フィルムに、その分
子配向方向と略平行に縞状のクレイズ領域を設けてある
ので、このクレイズ同志の間に略平行に入射する光は透
過し、斜めに入射する光は反射して散乱する。これに対
し、クレイズ同志の間隔が狭く、これが光の波長に近い
場合は、上記のようにクレイズ同志の間に略平行に入射
する光は逆に反射されて散乱し、一方斜めに入射する光
は殆ど透過するのである。これにより、この高分子樹脂
フィルムはそのクレイズ領域において見る角度により同
フィルムを通してその向こう側が見える場合と見えない
場合が発生し、これにより所謂視野選択性が発現され
る。従って単一の高分子樹脂フィルム自身が視野選択性
を有するので、従来の有機ポリマー膜を合わせた板ガラ
スや、基板上に樹脂組成物を塗布したものに比べて安価
に提供できる。また、本発明に係る視野選択性フィルム
は、窓ガラスのブラインド等その他種々の視野選択性を
必要とする用途に利用できる。
【0034】次に請求項2に係る視野選択性フィルム
にあっては、クレイズ領域に添加剤層を設けてあるの
で、請求項1に係る発明の効果に加え、この添加剤層に
含有される着色剤、安定剤等の添加剤の種類に応じた機
能が発現される。つまり、この添加剤が着色剤の場合
は、高分子樹脂フィルムの用途に応じたカラーバリエー
ションが得られると共に、光の透過を抑制することがで
きる。また添加剤が紫外線吸収剤の場合は、紫外線を吸
収することにより、高分子樹脂フィルム自身の劣化や変
色を防止することができる。添加剤が安定剤の場合は、
分子の分解等を抑制することができる。これらの機能に
より高分子樹脂フィルム自身の耐久性を向上させること
ができる。そして添加剤が可塑剤の場合は、高分子樹脂
フィルムは可塑化されるのでその柔軟性を向上させるこ
とができる。さらに添加剤が難燃剤の場合は、同難燃剤
の溶融による空気の遮断や、難燃剤の熱分解による不燃
ガスの発生等により高分子樹脂フィルム自身の難燃性を
向上させることができる。従って、この視野選択性フィ
ルムにあっては、必要に応じてこれら任意の機能を得る
ことができる。
【0035】次に請求項3に係る視野選択性フィルム
の製造方法にあっては、透明性の高分子樹脂フィルムを
その分子配向方向と略平行に折り曲げてそこに局部的な
折り曲げ部を形成するので、この折り曲げ部にその分子
配向方向と略平行にクレイズが発生する。そしてこの高
分子樹脂フィルムを引っ張るだけで同フィルムには、そ
の分子配向方向と略平行に連続的な縞状のクレイズ領域
を容易に形成することができる。従って本発明に係る視
野選択性フィルムの製造方法にあっては、従来のよう
に、有機ポリマー膜を貼り合わせたり、樹脂組成物を塗
布したりする必要がなく、煩雑な工程を通らないので、
生産性に優れる。また、この視野選択性フィルムは、ク
レイズ領域が形成されていても引張強度が殆ど低下しな
いので、安心して種々の用途に使用できる。
【0036】そして請求項4に係る視野選択性フィル
ムの製造方法にあっては、緊張状態に保持された透明性
の高分子樹脂フィルム面に、先端部が鋭角の支持体を押
し付けるので、そこに同高分子樹脂フィルムの分子配向
方向と略平行に局部的な折り曲げ部が形成され、この折
り曲げ部にクレイズが発生する。そして、高分子樹脂フ
ィルムを支持体の先端部に接触させつつ折り曲げ方向に
引っ張るだけで、同フィルムには、その分子配向方向と
略平行に連続的な縞状のクレイズ領域を容易に形成する
ことができる。このとき、高分子樹脂フィルムの緊張状
態におけるその張力を調整することができるので、クレ
イズ同志の間隔やクレイズ自身の幅を調整することがで
きる。従って、本発明に係る視野選択性フィルムの製造
方法によると、同フィルムの視野選択性の範囲を任意に
選択することができる。また、この視野選択性フィルム
は、クレイズ領域が形成されていても引張強度が殆ど低
下しないので安心して種々の用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る視野選択性フィルムの一実施例を
示す要部拡大平面図である。
【図2】本発明に係る視野選択性フィルムの別の実施例
を示す要部拡大平面図である。
【図3】本発明に係る視野選択性フィルムに光が入射し
た状態を示す要部拡大断面図である。
【図4】図3における光の入射角度が異なる状態を示す
要部拡大断面図である。
【図5】本発明に係る視野選択性フィルムの製造方法の
一実施例を示す正面図である。
【図6】本発明に係る視野選択性フィルムの製造方法の
別の実施例を示す正面図である。
【図7】図6における支持体付近を示す拡大正面図であ
る。
【図8】レーザーによる透過光強度を測定する装置の正
面図である。
【図9】レーザーによる回折強度を測定する装置の正面
図である。
【図10】クレイズ同志の間隔とクレイズ自身の幅を示
すグラフである。
【図11】レーザーによる回折強度を示すグラフであ
る。
【図12】レーザーによる回折強度を示す別のグラフで
ある。
【図13】レーザーによる透過光強度を示すグラフであ
る。
【図14】引張強度を示すグラフである。
【符号の説明】
10 高分子樹脂フィルム 11 折り曲げ部 20 クレイズ 40 支持体 41 先端部 100 本発明に係る視野選択性フィルム

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明性の高分子樹脂フィルムに、該高分
    子樹脂フィルムの分子配向方向と略平行に縞状のクレイ
    ズ領域を設けたことを特徴とする視野選択性フィルム。
  2. 【請求項2】 クレイズ領域に、添加剤層を設けたこと
    を特徴とする請求項1記載の視野選択性フィルム。
  3. 【請求項3】 透明性の高分子樹脂フィルムを、該高分
    子樹脂フィルムの分子配向方向と略平行に折り曲げてそ
    こに局部的な折り曲げ部を形成し、その後前記高分子樹
    脂フィルムを前記折り曲げ方向に引っ張ることにより該
    高分子樹脂フィルムの分子配向方向と略平行に連続的な
    縞状のクレイズ領域を形成することを特徴とする視野選
    択性フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 緊張状態に保持された透明性の高分子樹
    脂フィルム面に、先端部が鋭角の支持体を押し付けるこ
    とにより該高分子樹脂フィルムをその分子配向方向と略
    平行に折り曲げてそこに局部的な折り曲げ部を形成し、
    その後前記高分子樹脂フィルムを前記支持体の先端部に
    接触させつつ前記折り曲げ方向に引っ張ることにより、
    該高分子樹脂フィルムの分子配向方向と略平行に連続的
    な縞状のクレイズ領域を形成することを特徴とする視野
    選択性フィルムの製造方法。
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