JPH0682464U - 鋼製組合せオイルコントロールリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内燃機関の稼動中に鋼製組合せオイルコント
ロールリングのサイドレールがスペーサエキスパンダに
対して回転するのを阻止する。 【構成】 この考案による鋼製組合せオイルコントロー
ルリング１０は、径方向外側に開放するほぼＵ字形の凹
部１１ａを形成する断面を有しかつ環状のステンレス鋼
製のエキスパンダ１１と、エキスパンダ１１の凹部１１
ａ内に配置されかつエキスパンダ１１より径方向外側に
突出しかつばね鋼により形成されたサイドレール１２と
を備えている。１本のサイドレール１２を使用するの
で、幅を減少することができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、内燃機関に用いられるオイルコントロールリング、特に軸方向長 さ（幅）を短縮できる鋼製組合わせオイルコントロールリングに関連する。

【０００２】

【従来の技術】

図６に示すように、従来の鋼製組合せオイルコントロールリングはステンレス 鋼製のスペーサエキスパンダ２と、スペーサエキスパンダ２の両側部に配置され た一対のばね鋼製サイドレール１との３本の鋼片からなる。スペーサエキスパン ダ２はＵ字波形で、山部、谷部にほぼ等間隔に形成された耳部３はサイドレール １の内周面１ａを支持し、スペーサエキスパンダ２の弾力によりサイドレール１ をシリンダに対して径方向に押圧する弾性力を与える。スペーサ２のレール１に 対する当接面に小突起４が形成されている。また、耳部３の外側に形成された傾 斜角度θによって、スペーサエキスパンダ２はサイドレール１をリング溝の上下 方向、即ち軸方向へも押し出し、リング溝の側面の機密を保持する。特に、エン ジンブレーキ時のハイブーストによるオイル上がりの防止に有効である。

【０００３】 また、図７に示す他の形式のオイルコントロールリングでは、潤滑油の逃がし 穴５がスペーサエキスパンダ２に形成されると共に、可撓性を与えた突出部６を サイドレール１の内周部１ａとを接触させることにより、ピストンの運動によっ て生ずるサイドレール１のシリンダ壁面への力及びピストン溝の側面への力を小 さな変化で抑えることができる。そのため、シリンダの壁面との接触面圧が２本 のサイドレール１の差を与えず、またピストンの壁面との力も同様に小さな変化 で抑えられるため、シール性は劣化せず、潤滑油の制御を理想的に行うことがで きる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

最近、内燃機関の低燃費化及び高性能化が更に求められており、低燃費化に対 して車両全体を軽量化すること、即ち内燃機関の軽量化はピストンの短小化に及 び必然的にピストンリングの軸方向長さの短縮化が求められている。しかしなが ら、従来の鋼製組合わせオイルコントロールリングでは、上下２本のサイドレー ルでスペーサをはさむ構成のため、スペーサの幅（Ｂ寸法）の減少には限界があ り、また潤滑油の逃がし穴の寸法取りができない欠点がある。

【０００５】 従って、この考案は、幅を減少しかつ軽量化を達成できる鋼製組合せオイルコ ントロールリングを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案による鋼製組合せオイルコントロールリングは、径方向外側に開放す るほぼＵ字形の凹部を形成する断面を有しかつ環状のステンレス鋼製のエキスパ ンダと、エキスパンダの凹部内に配置されかつエキスパンダより径方向外側に突 出しかつばね鋼により形成されたサイドレールとを備えている。サイドレールは エキスパンダにより径方向外側に押圧される。エキスパンダは一対の側壁と、一 対の側壁を連結する内壁とを備え、凹部は側壁と内壁とにより形成される。エキ スパンダの内壁にはサイドレールを径方向外側に押圧する舌片が形成される。

【０００７】

【作用】

１本のサイドレールを使用するので、幅を減少することができる。

【０００８】

【実施例】

以下、図１〜図５についてこの考案による鋼製組合せオイルコントロールリン グの実施例を説明する。

【０００９】 図１〜図３に示すように、この考案による鋼製組合せオイルコントロールリ ング１０は、径方向外側に開放するほぼＵ字形の凹部１１ａを形成する断面を有 しかつ環状のステンレス鋼製のエキスパンダ１１と、エキスパンダ１１の凹部１ １ａ内に配置されかつエキスパンダ１１より径方向外側に突出しかつばね鋼によ り形成されたサイドレール１２とを備えている。エキスパンダ１１は一対の側壁 １８と、一対の側壁１８を連結する内壁１９とを備えている。凹部１１ａは側壁 １８と内壁１９とにより形成される。また、エキスパンダ１１には一方の側壁１ ８及び内壁１９に形成された開口部１３と、開口部１３に連絡して一方の側壁１ ８の外側に形成されかつ開口部１３より幅の狭い潤滑油通路１４とが設けられる 。一方の側壁１８と対向する他方の側壁１８にも一定角度間隔ずれて上下千鳥状 に同様の開口部１３と潤滑油通路１４が形成される。開口部１３及び潤滑油通路 １４のサイズ及び大きさは軽量化、潤滑油の通過量、円形に成形する場合の成形 性向上、折れ防止及び可撓性の程度に対応して決定される。

【００１０】 図４はこの考案による鋼製組合せオイルコントロールリング１０をピストン２ ０の溝２１に装着した例を示す。サイドレール１２はエキスパンダ１１の弾性に より径方向外側に押圧され、シリンダ２２の内壁２３に密着する。これにより、 オイルコントロールリングに必要な張力を与えて、シリンダ２２の内壁２３への 潤滑油制御作用を行う。また、溝２１内で側壁１８が外方へ拡張されるように、 エキスパンダ１１を設定すると、側壁１８が溝２１の上面及び下面に当接して側 面シールを形成する。前記のように、この考案では、１本のサイドレール１２を 使用するので、オイルコントロールリング１０の幅を減少することができる。

【００１１】 この考案による鋼製組合せオイルコントロールリング（幅Ｂ＝１.５ミリメー トル）を４サイクル直列４気筒水冷２リットル（ボア径８６ミリメートル）のエ ンジンでオイル消費試験を行った所、従来のオイルコントロールリング（幅Ｂ＝ ２ミリメートル）に比べて高負荷時に５％、通常時１６％オイル消費量が減少し たことが判明した。

【００１２】 この考案の実施態様は前記の実施例に限定されず、変更が可能である。例えば 、図５に示すように、サイドレール１２を径方向外側に押圧する舌片１７をエキ スパンダ１１の内壁１９に形成してもよい。また、凹部１１ａをコ字状に形成し てもよい。

【００１３】

【考案の効果】

上記のように、この考案では幅を減少した鋼製オイルコントロールリングを得 ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この考案による鋼製組合わせオイルコントロ
ールリングの平面図

【図２】 部分斜視図

【図３】 部分裏面図

【図４】 この考案による鋼製組合わせオイルコントロ
ールリングをピストンに装着した状態を示す部分断面図

【図５】 この考案の他の実施例を示す断面図

【図６】 従来の鋼製組合わせオイルコントロールリン
グの断面図

【図７】 従来の他の鋼製組合わせオイルコントロール
リングの断面図

【符号の説明】

１０・・鋼製オイルコントロールリング、１１・・スペ
ーサエキスパンダ、１１ａ・・凹部、１２・・サイドレ
ール、１７・・舌片、１８・・側壁、１９・・内壁、

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 径方向外側に開放するほぼＵ字形の凹部
   を形成する断面を有しかつ環状のステンレス鋼製のエキ
   スパンダと、エキスパンダの凹部内に配置されかつエキ
   スパンダより径方向外側に突出しかつばね鋼により形成
   されたサイドレールとを備え、エキスパンダによりサイ
   ドレールを径方向外側に押圧する鋼製組合わせオイルコ
   ントロールリング。
2. 【請求項２】 エキスパンダは一対の側壁と、一対の側
   壁を連結する内壁とを備え、側壁と内壁とにより凹部が
   形成される「請求項１」に記載の鋼製組合わせオイルコ
   ントロールリング。
3. 【請求項３】 エキスパンダの内壁にはサイドレールを
   径方向外側に押圧する舌片が形成される「請求項１」に
   記載の鋼製組合わせオイルコントロールリング。