JPH0680830A - ポリオレフィン樹脂組成物およびフィルム - Google Patents

ポリオレフィン樹脂組成物およびフィルム

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JPH0680830A
JPH0680830A JP27476792A JP27476792A JPH0680830A JP H0680830 A JPH0680830 A JP H0680830A JP 27476792 A JP27476792 A JP 27476792A JP 27476792 A JP27476792 A JP 27476792A JP H0680830 A JPH0680830 A JP H0680830A
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group
general formula
integer
polyolefin resin
resin composition
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Application number
JP27476792A
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English (en)
Inventor
Atsuo Tokutake
▲あつ▼夫 徳竹
Hisao Sakuma
久夫 佐久間
Motoyuki Shibayama
基之 柴山
Toshitsune Yoshikawa
利常 吉川
Katsutoshi Noguchi
勝利 野口
Fumio Sato
文男 佐藤
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Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光、酸素などの化学的作用による長期保存中
の黄変および高速、高温加工時の加熱時の劣化および目
脂発生を防止し、金属腐食性を低減したポリオレフィン
組成物およびブロッキングが少なく開口性のよいフィル
ムを提供する。 【構成】 ポリオレフィン樹脂に特定構造の有機リン化
合物とハイドロタルサイト類及びブロッキング防止剤を
配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン樹脂組
成物およびそれから成形されるフィルムに関し、詳しく
は、ポリオレフィン樹脂に特定のリン化合物、酸吸収
剤、ブロッキング防止剤及び滑剤及びまたは界面活性剤
を添加して得られる組成物またはさらにフェノール系酸
化防止剤およびまたはチオエーテル系酸化防止剤を添加
して得られる色安定性、熱安定性および耐腐食性、ブロ
ッキング防止性、帯電防止性、防曇性などの改善された
ポリオレフィン組成物及びフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】最近は、プラスチックフィルムのコスト
ダウンのため、成形速度の高速化、製品の薄肉化が図ら
れている。これらに対応するために、フィルムの成形温
度は従来より高く設定する傾向にある。また直鎖低密度
ポリエチレンは、薄肉にしても強度を有したり、ヒート
シール性が優れるためシーラントフィルムとして、分岐
低密度ポリエチレンに替わって、使用される用途範囲が
広がっている。しかし直鎖低密度ポリエチレンは加工時
の粘度が高いため、分岐低密度ポリエチレンより更に高
温で成形しなければならない。この場合問題となるの
は、樹脂の熱劣化によって連続運転が不可能になった
り、フィッシュアイ生成による外観不良、充分に冷却さ
れないままにフィルムが巻き取られるためにブロッキン
グが生じたり、薄肉化されるために、滑剤、帯電防止
剤、防曇剤などの効果が充分に発揮されない等がある。
【0003】このため、従来より成形加工時の熱劣化を
防止する目的で、各種の酸化防止剤が広く用いられてい
るが、これらの添加剤、特にフェノール系酸化防止剤を
含有するポリオレフィンは、長時間保管すると黄変する
欠点をもっている。
【0004】また高温加工時の劣化を防ぐため、ホスフ
ァイト等の含りん化合物を添加する方法が提案されてい
る。(例えば特公昭62−4418)。しかし良好な酸
化防止性能を有するリン化合物は、吸湿しやすく取扱が
困難であったり、金属の腐食を起こしやすいなどの欠点
を有する等まだ充分でなく、改良が望まれていた。
【0005】また、ブロッキングを防止するために各種
の酸化物が用いられるが、ブロッキング効果の大きいも
のはフィルムの透明性を悪くしたり、また透明性の比較
的維持される酸化物としてゼオライトの添加が知られて
いる(例えば特開昭61−101543号公報)が、吸
湿性を有するために加工時に目脂を生ずるなどの欠点を
有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は光、酸素など
の化学的作用による長期保存中の黄変および高速高温時
の加熱時の劣化及びめやに発生を防止し、金属腐食性を
低減したポリオレフィン組成物を提供することおよびブ
ロッキングが少なく開口性のよいフィルムを提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記した課
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィン
樹脂に対して、一般式(I)または(II)で表される
リン化合物の1種または2種以上とハイドロタルサイト
類に加え、ブロッキング防止剤、滑剤および界面活性剤
のうち何れか1つ以上を添加することにより、耐熱性、
長期保存時の黄変防止、金属腐食防止、加工時のブロッ
キング防止、めやに発生防止などの極めて優れたポリオ
レフィン樹脂組成物が得られることを見い出した。
【0008】すなわち本発明の1は、ポリオレフィン樹
脂に (A)下記一般式(I)または(II)で表されるリン
化合物の1種または2種以上、 (B)ハイドロタルサイト類および (C)ブロッキング防止剤 を含有させたことを特徴とするポリオレフィン樹脂組成
物:
【0009】一般式(I):
【化13】 〔式中R1、R2およびR3はそれぞれ同一かまたは異
なる水素、炭化水素基、または含酸素炭化水素基を示
す。ただしR1、R2およびR3のうち少なくとも1つ
は、
【化14】 −(C2pO)−Z、または−Z−OC
2r+1であることを要する(ここにZは水素、アル
キル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、
またはアルキルアリール基を、Zはアリーレン基また
はこれらの置換された基を示す。pは2〜9の整数、r
は1〜10の整数である。)。〕
【0010】一般式(II):
【化15】 〔式中RおよびRはアルキル基、シクロアルキル基
またはアルコキシカルボニルアルキル基であり、nは0
〜3の整数である。〕であり、本発明の2は、
【0011】ポリオレフィン樹脂に (A)下記一般式(I)または(II)で表されるリン
化合物の1種または2種以上と、 (B)ハイドロタルサイト類および (D1)滑剤 を含有させたことを特徴とするポリオレフィン樹脂組成
物; 一般式(I):
【0012】
【化16】 〔式中R1、R2およびR3はそれぞれ同一かまたは異
なる水素、炭化水素基、または含酸素炭化水素基を示
す。ただしR1、R2およびR3のうち少なくとも1つ
は、
【化17】 −(C2pO)−Z、または−Z−OC
2r+1であることを要する(ここにZは水素、アル
キル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、
またはアルキルアリール基を、Zはアリーレン基また
はこれらの置換された基を示す。pは2〜9の整数、r
は1〜10の整数である。)。〕
【0013】一般式(II):
【化18】 〔式中RおよびRはアルキル基、シクロアルキル基
またはアルコキシカルボニルアルキル基であり、nは0
〜3の整数である。〕であり、本発明の3は、
【0014】ポリオレフィン樹脂に (A)下記一般式(I)または(II)で表されるリン
化合物の1種または2種以上と (B)ハイドロタルサイト類、 (C)ブロッキング防止剤および (D)界面活性剤 を含有させたことを特徴とするポリオレフィン樹脂組成
物:
【0015】一般式(I):
【化19】 〔式中R1、R2およびR3はそれぞれ同一かまたは異
なる水素、炭化水素基、または含酸素炭化水素基を示
す。ただしR1、R2およびR3のうち少なくとも1つ
は、
【化20】 −(C2pO)−Z、または−Z−OC
2r+1であることを要する(ここにZは水素、アル
キル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、
またはアルキルアリール基を、Zはアリーレン基また
はこれらの置換された基を示す。pは2〜9の整数、r
は1〜10の整数である。)。〕
【0016】一般式(II):
【化21】 〔式中RおよびRはアルキル基、シクロアルキル基
またはアルコキシカルボニルアルキル基であり、nは0
〜3の整数である。〕であり、本発明の4は、
【0017】ポリオレフィン樹脂に (A)下記一般式(I)または(II)で表されるリン
化合物の1種または2種以上と、 (B)ハイドロタルサイト類、 (C)ブロッキング防止剤および (D)滑剤および界面活性剤からなる群から選ばれる1
種以上の化合物 を含有させたことを特徴とするポリオレフィン樹脂組成
物:
【0018】一般式(I):
【化22】 〔式中R1、R2およびR3はそれぞれ同一かまたは異
なる水素、炭化水素基、または含酸素炭化水素基を示
す。ただしR1、R2およびR3のうち少なくとも1つ
は、
【化23】 −(C2pO)−Z、または−Z−OC
2r+1であることを要する(ここにZは水素、アル
キル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、
またはアルキルアリール基を、Zはアリーレン基また
はこれらの置換された基を示す。pは2〜9の整数、r
は1〜10の整数である。)。〕
【0019】一般式(II):
【化24】 〔式中RおよびRはアルキル基、シクロアルキル基
またはアルコキシカルボニルアルキル基であり、nは0
〜3の整数である。〕である。
【0020】本発明を更に具体的に説明する。本発明の
ポリオレフィンとは、エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン−1、1
−オクテンなどのα−オレフィンの単独重合体あるいは
その相互重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの
エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−不飽和
カルボン酸またはその誘導体共重合体またはそれらの混
合物等であって、チーグラー系触媒、クロム系触媒、メ
タロセン系(カミンスキー系)触媒等適宜の触媒を用い
て得られるものだが、特にチーグラー系高活性触媒で重
合され、かつ触媒除去工程を経ていないポリオレフィン
を使用した場合に著しい効果を示す。
【0021】本発明においてチーグラー系高活性触媒と
は少なくともマグネシウム及びチタンを含有する固体触
媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるものであ
る。該固体触媒成分としては、金属マグネシウム;水酸
化マグネシウム;酸化マグネシウム;塩化マグネシウム
などのマグネシウム塩;ケイ素、アルミニウム、カルシ
ウム;炭酸マグネシウム等から選ばれる元素とマグネシ
ウム原子とを含有する複塩、複酸化物、炭酸塩、塩化
物、あるいは水酸化物など;さらにはこれらの無機質固
体化合物を含酸化化合物、含硫黄化合物、芳香族炭化水
素、ハロゲン含有物質で処理または反応させたものなど
マグネシウムを含む無機質固体化合物にチタン化合物を
公知の方法により担持させたものが挙げられる。
【0022】上記の含酸素化合物としては、たとえば
水;アルコール、フェノール、ケトン、アルデヒド、カ
ルボン酸、エステル、ポリシロキサン、酸アミドなどの
有機含酸素化合物;金属アルコキシド、金属のオキシ塩
化物などの無機系含酸素化合物を例示することができ
る。
【0023】含硫黄化合物としては、チオール、チオエ
ーテルのような有機含硫黄化合物、二酸化硫黄、三酸化
硫黄、硫酸のような無機硫黄化合物を例示することがで
きる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、
キシレン、アントラセン、フェナントレンのような各種
の単環および多環および多環の芳香族炭化水素化合物を
例示することができる。ハロゲン含有物質としては、塩
素、塩化水素、金属塩化物、有機ハロゲン化物のような
化合物を例示することができる。一方マグネシウムを含
む無機質固体化合物に担持させるチタン化合物として
は、チタンのハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、
アルコキシド、ハロゲン化酸化物などを挙げることがで
きる。チタン化合物としては4価のチタン化合物と3価
のチタン化合が好適であり、4価のチタン化合物として
は具体的には一般式Ti(OR)4−n(ここでR
は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはアラ
ルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは0≦n
≦4の整数である)で示されるものが好ましく、四塩化
チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、モノメトキシ
トリクロロチタン、ジメトキシジクロロチタン、トリメ
トキシモノクロロチタン、テトラメトキシチタン、モノ
エトキシトリクロロチタン、ジエトキシジクロロチタ
ン、トリエトキシモノクロロチタン、テトラエトキシチ
タン、モノイソプロポキシトリクロロチタン、ジイソプ
ロポキシジクロロチタン、トリイソプロポキシモノクロ
ロチタン、テトライソプロポキシチタン、モノブトキシ
トリクロロチタン、ジブトキシジクロロチタン、モノペ
ントキシトリクロロチタン、モノフェノキシトリクロロ
チタン、テトラフェノキシチタン等を挙げることができ
る。3価のチタン化合物としては、四塩化チタン、四臭
化チタンなどの四ハロゲン化チタンを水素、アルミニウ
ム、チタンあるいは周期律表I〜III族金属の有機金
属化合物により還元して得られる三ハロゲン化チタンが
挙げられる。また一般式Ti(OR)4−m(ここ
でRは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基または
アラルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0
≦m≦4の整数である)で示される4価のハロゲン化ア
ルコキシチタンを周期律表I〜III族金属の有機金属
化合物により還元して得られる3価のチタン化合物が挙
げられる。
【0024】これらのチタン化合物のうち、4価のチタ
ン化合物がとくに好ましい。他の触媒系の例としては、
固体触媒成分としていわゆるグリニャール化合物などの
有機マグネシウムとチタン化合物との反応生成物を用い
ることができる。
【0025】また他の触媒系の例としては、固体触媒成
分としてSiO、Alなどの無機酸化物と前記
の少なくともマグネシウム及びチタンを含有する固体触
媒を接触させて得られる固体物質を用いることもでき
る。
【0026】上記した固体触媒成分と組合せるべき有機
アルミニウム化合物の具体的な例としては、一般式R
Al、RAlX、RAlX、RAlOR、RAl
(OR)XおよびRAlの有機アルミニウム化
合物(ここでRは炭素数1〜20のアルキル基、アリー
ル基またはアラルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示
し、Rは同一でもまた異なってもよい)で示される化合
物が好ましく、トリエチルアルミニウム、トリイソブチ
ルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオク
チルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジ
エチルアルミニウムエトキシド、エチルアルミニウムセ
スキクロリドおよびこれらの混合物などが挙げられる。
【0027】有機アルミニウム化合物の使用量は特に制
限されないが、通常チタン化合物に対して0.1〜1,
000モル倍使用することができる。
【0028】重合反応は通常のチグラー型触媒によるオ
レフィンの重合反応と同様にして行われる。すなわち反
応はすべて実質的に酸素、水などを絶った状態で、気相
または不活性溶媒の存在かもしくはモノマー自体を溶媒
とする液相で行われる。オレフィンの重合反応は温度2
0〜300℃、好ましくは40〜200℃であり、圧力
は常圧ないし70kg/cmG、好ましくは2kg/
cmGないし60kg/cmGである。分子量の調
節は重合温度、触媒のモル比などの重合条件を変えるこ
とによってもある程度可能であるが、重合系中に水素を
添加することにより効果的に行われる。もちろん水素濃
度、重合温度などの重合条件の異なった2段階またはそ
れ以上の多段階の重合反応もなんら支障なく実施でき
る。
【0029】上述の触媒を用いて合成されるポリオレフ
ィンは、固体触媒成分として従来のバナジウムを主体と
する固体触媒成分を使用して得られるポリオレフィンと
は明確に区別される。両者は共重合体を構成するモノマ
ーが同一であり、かつ密度が同一であっても、DSCに
よるTmは本発明のポリオレフィンの方が高い。またC
不溶分は本発明の共重合体が10重量%以上であるの
に対し、バナジウム含有触媒を用いた場合は同不溶分が
存在しないか、または極めて少量である。
【0030】本発明のリン化合物は次のとおりである。 一般式(I):
【化25】 〔式中R1、R2およびR3はそれぞれ同一かまたは異
なる水素、炭化水素基または含炭化水素基を示す。ただ
しR1、R2およびR3のうち少なくとも1つは、
【化26】 −(C2pO)−Z、または−Z−OC
2r+1であることを要する(ここに、Zは水素、ア
ルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキ
ル、またはアルキルアリール基を、Zはアリーレン基
またはこれらの置換された基を示す。pは2〜9の整
数、rは1〜10の整数である。)。〕
【0031】本発明の一般式(I)中のR1、R2およ
びR3の炭化水素の例としてはアルキル、シクロアルキ
ル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、
アルケニル、アリールアルケニル等があり、含酸素炭化
水素の例としては高アルコール、多価フェノール残基あ
るいはエポキシ基を含むこれらの基、またはこれらに置
換された基等が挙げられるが、R1、R2、R3の少な
くともいずれか1つは前記したシクロヘキシルフェニル
等の特定の基であることを要する。
【0032】一般式(I)で表される有機亜リン酸エス
テル化合物の代表例を示すと、
【化27】
【0033】一般時(II):
【化28】 〔式中RおよびRはアルキル基、シクロアルキル基
またはアルコキシカルボニルアルキル基であり、nは0
〜3の整数である。〕
【0034】一般式(II)で表される有機亜リン酸エ
ステル化合物の代表例を示すと、
【化29】
【0035】本発明に使用する上記成分の配合組成は、
ポリオレフィン100重量部に対して、0.005〜5
重量部、好ましくは0.01〜2重量部である。
【0036】本発明に使用されるハイドロタルサイト類
は次式で示される複塩化合物である。
【化30】 (ここで0<x≦0.5、m:実数 M2+:Mg、CaまたはZn、An−:n価の陰イオ
ン ) この化合物としては天然品及び合成品のいずれも用いら
れるが、特にM2+がMg、An−がCO 2−である
合成品が望ましい。本発明に使用する上記成分の配合組
成は、ポリオレフィン100重量部に対して、0.01
〜1重量部、好ましくは0.02〜0.08重量部であ
る。この成分を配合することによって、上記リン化合物
の単独の添加より大幅に酸化防止性能が相乗的に改善さ
れるのである。
【0037】ブロッキング防止剤を添加することによ
り、高速成形時のブロッキングが防止できる。
【0038】該ブロッキング防止剤としては、酸化珪
素、ゼオライト、タルク、炭酸金属塩が挙げられ、その
中でも非晶質ゼオライトがブロッキング性と透明性のバ
ランスに優れるものである。
【0039】酸化珪素としては、原料珪藻土を粉砕、分
級した後、焼成されたもの、あるいは珪酸ソーダを酸で
中和することによって製造される合成シリカ、酸性白土
を酸で処理することによって製造される非晶質シリカ、
ハロゲン化珪素の燃焼加水分解法によって製造されるヒ
ュームドシリカ等が用いられる。粒子の形状及び粒子径
によってブロッキング防止効果及びフィルムの透明性が
異なる。粉砕時に生じる表面のギザギザが残っている珪
藻土は、ブロッキング防止効果は大きいが逆に透明性が
悪くなる。球状に近い合成シリカは、透明性は維持でき
るがブロッキングは生じやすい。また粒径は大きいほど
ブロッキング効果は大きいが、透明性は悪くなる。この
透明性とブロッキングとのバランスから、球状に近いシ
リカで、粒径は10μm以下のシリカ、望ましくは2〜
6μmのものが好ましく使用される。配合される量はポ
リオレフィン100重量部に対して、0.05〜2.0
重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部で使用され
る。
【0040】ゼオライトとしては、ゼオライト構造を有
する結晶性アルミノシリケート塩等すべてのゼオライト
系アンチブロッキング剤が使用できるものであるが、押
出成形時に発泡したり、目脂がダイスに付着する欠点も
なく、ブロッキング防止性、透明性ともよいフィルムが
得られることから非晶質ゼオライトが特に好ましい。
【0041】この非晶質ゼオライトは、通常の結晶性ゼ
オライトを酸処理した後、加熱脱水して得られるもの
で、X線回析によって結晶ピークを有しない実質的に非
晶質であるが、寸法、形態の一定した粒子として存在す
るものである。原料である結晶性のゼオライトは、A
型、X型、P型、Y型等いずれでもよく、用いる酸は無
機酸でも、有機酸でもよいが、塩酸、硫酸、硝酸、りん
酸等が使用される。結晶ゼオライトの水性スラリーに酸
を添加するが、最終的なpHが、7.0〜3.0になる
ような条件で中和するのが望ましい。この範囲より高い
pHではゼオライト中のアルカリが充分除去されず、不
十分な非晶質ゼオライトとなってフィルムの透明性を悪
くする原因となる。またこの範囲より高いpHでは、ゼ
オライト中のアルミナ成分が溶出されて粒子の立方体形
状を保てなくなり、ブロッキング効果が不十分となる。
この非晶質ゼオライトを濾過、水洗、乾燥あるいは焼成
することにより、非晶質ゼオライトが得られる。他の非
晶質ゼオライトの例としては、P型ゼオライトを周期律
表第II族で表される2価の金属でイオン交換した後、
焼成して得られるものがある。P型ゼオライト中に含ま
れるNaをCa、Mg、Ba、Zn等とイオン交換する
ことによって、容易に非晶化されやすくなり、吸湿性も
少なくなる。従って押出時の目脂や発泡が少なくなる。
また弱アルカリ性に改質されるため、配合ポリオレフィ
ンの色相が安定する。更にこのゼオライトは、2価金属
で置換された効果として屈折率がよりポリオレフィンに
近づくため、フィルムの透明性が維持される。イオン交
換処理は、2価の金属塩水溶液、例えば塩化物、硝酸塩
水溶液とp型ゼオライトとを水性スラリーの状態で攪拌
処理したり、ゼオライトを固定床または流動床で金属塩
水溶液と接触する方法によって行われる。接触温度は3
0℃〜70℃が適当であり、高温であるほど処理時間が
短縮される。処理時間は0.5〜3時間である。処理後
の交換ゼオライトは、固一液分離後、水洗、乾燥の後、
焼成を行う。焼成温度は、交換ゼオライトが実質的に非
晶化する温度が選ばれ、一般に200〜700℃で行わ
れる。これら非晶質ゼオライトの粒径は、10μm以
下、望ましくは1〜5μmのものが好ましく使用され
る。配合される量はポリオレフィンに対して、0.05
〜2.0重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部で使
用される。
【0042】本発明で使用されるタルクは、天然のタル
クを粉砕、分級されたものが使われる。酸化珪素は、硬
度が硬いため、配合量が多いと、フィルムに微細な傷が
つき、白斑が生じて透明性が悪くなる場合があるが、タ
ルクは軟らかく、滑性も有するため、ブロッキング効果
も大きく透明性も維持される。粒径は10μm以下、望
ましくは2〜5μmのものが好ましく使用される。配合
される量はポリオレフィンに対して、0.05〜3.0
重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部で使用され
る。
【0043】本発明で使用される炭酸カルシウムは、石
灰石を粉砕、分級したいわゆる重炭酸カルシウムや、石
灰石を粉砕、焼成して生石灰を製造した後、水和して石
灰乳を作成、更に焼成炉から発生した炭酸ガスと反応さ
せて得られる軽質炭酸カルシウムが用いられる。まだポ
リオレフィンとの相溶性を良くするために、脂肪酸、金
属石鹸、シランカップリング剤、チタネート系カップリ
ング剤などで表面処理したものでもよい。炭酸カルシウ
ムは、表面ヘイズを若干悪くするが、ブロッキング効果
が大きいため配合量を少なくでき、従ってヘイズへの影
響を少なく抑えられる。また白斑が生じにくい特徴があ
る。粒径は細かい方が好ましく、5μm以下、望ましく
は0.5〜3μmのものが好ましく使用される。配合さ
れる量はポリオレフィンに対して、0.05〜3.0重
量部、好ましくは0.1〜1.0重量部で使用される。
【0044】滑剤を配合すればフィルムに滑性を付与す
ることができる。
【0045】該滑剤は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪
酸金属塩、脂肪酸アマイドが挙げられるが、とりわけ脂
肪酸アマイドが好ましく用いられる。本発明において滑
剤は、酸キャプチャーとしての効果を有し、錆の発生も
改善されるものである。
【0046】脂肪酸アマイドとしては、炭素数が8〜2
2の高級脂肪酸アマイド、炭素数が16、18のエチレ
ン脂肪酸ビスアマイド、ステアリルエルカマイド、ステ
アリルエルカマイド、オレイルバルミトアマイドなどが
例示される。これらの滑剤の選択は、ポリオレフィンの
成形温度によって選ばれ、成形温度の低いものは低融点
のアマイド、高いものは融点の高い飽和脂肪酸アマイド
が選ばれる。例えば低密度ポリエチレンでは、オレイン
酸アマイド、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン
ではエルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイドなどが好ま
しく使用される。配合量はポリオレフィンに対して、
0.02〜1.0重量部、好ましくは0.03〜0.5
重量部で使用される。0.02重量部より少ない場合
は、滑性効果が不足して口開きが不十分になり、1.0
重量部より多い場合は、アマイドの後ブリードによって
かえってブロッキングしやすくなる。
【0047】本発明には、脂肪酸金属塩、ヒドロキシ脂
肪酸金属塩、脂肪酸を合わせて使うことがよく、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オ
レイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪酸とリチ
ウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等
金属との塩が挙げられるが、特にステアリン酸カルシウ
ムが望ましい。また色安定性を改善するためにこれらの
金属塩と脂肪酸との混合物も用いられる。脂肪酸として
は上記脂肪酸などが例示され、ステアリン酸とステアリ
ン酸カルシウムの混合物が最も好ましく使用される。本
発明に使用する上記成分の配合組成は、ポリオレフィン
100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましく
は0.1〜2重量部である。
【0048】界面活性剤を配合すればポリオレフィンフ
ィルムに帯電防止性や防曇性を付与することができる。
【0049】界面活性剤は、ポリオレフィンフィルムに
帯電防止性や防曇性を付与するために配合される。界面
活性剤としては、非イオン界面活性剤が好ましく使用さ
れ、その具体例としては、グリセリン脂肪酸エステル、
ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪
酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ペンタエリスリトー
ル脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、
ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル、N,Nビス(2−ヒドロキシエチ
ル)アルキルアマイド、脂肪酸とジエタノールアミンと
の縮合物などが例示される。陰イオン界面活性剤として
は、アルキルスルホン酸塩、ソジウムジシクロヘキシル
スルホサクシネート、ポリエキシエチレンアルキルホス
フェート等が例示される。陽イオン界面活性剤として、
第4級アンモニウムクロライド、両イオン界面活性剤と
しては、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリン、ア
ルクルアラニンなどが例示される。これらの界面活性剤
は、ポリオレフィン樹脂に対し0.03〜1重量部、好
ましくは0.1〜0.5重量部配合される。0.03%
より少ない場合は、効果が不十分であり1重量部より多
く配合されると過度の表面ブリードによりフィルムの開
口性が悪くなる。
【0050】本発明においては、これらブロッキング防
止剤、滑剤、界面活性剤を組み合わせて使用することが
望ましい。
【0051】本発明において上記ブロッキング防止剤、
滑剤、界面活性剤に加えて、さらにフェノール系酸化防
止剤および/またはチオエーテル系酸化防止剤を添加す
ることによって、更に熱安定性を向上させたものであ
る。
【0052】フェノール系酸化防止剤の具体例として
は、2,6−第3ブチル−4−メチルフェノール、2−
第3ブチル−4−メトキシ−フェノール、n−オクタデ
シル−3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、2,2’−エチリデン−ビ
ス(2,4−第3ブチルフェノール)、4,4’−チオ
ビス(3−メチル−6−第3ブチルフェノール)、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリ
ス(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)イソシアヌレート、トリス(4−第3ブチル−2,
6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレ
ート、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ
−第3ブチル)−4,−ヒドロキシ−フェニル)プロピ
オネート〕メタン、3,9−ビス〔1,1−ジ−メチル
−2−{β−(3−第3−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)ブロピオニルオキシ}エチル〕−
2,4,8,10−テトラオキザスピロ〔5,5〕ウン
デカン、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−第
3ブチルフェノール)などがある。これらの酸化防止剤
は0.01〜0.15重量部添加され使用される。
【0053】チオエ−テル系酸化防止剤としては、ジラ
ウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリ
ル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−
3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトー
ル−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネー
ト)、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール
等が例示される。これらの酸化防止剤は0.01〜0.
15重量部添加され使用される。
【0054】本発明の組成物に、紫外線吸収剤、ヒンダ
ードアミン化合物などの光安定剤を添加することによっ
て、その耐候性を改善することができる。
【0055】紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−
ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキ
シベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロ
キシベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシ−5’
−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−5’−第3オクチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(2−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第3
ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−3’−第3ブチル−5’−メチ
ルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,
2’−メチレンビス(4−第3オクチル−6−ベンゾト
リアゾル)フェノール等のベンゾトリアゾール類、レゾ
ルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−第3ブチル
フェニル−3’−5’−ジ第3ブチル−4’−ヒドロキ
シベンゾエート、ヘキサデシル−3−5−ジ第3ブチル
−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類が挙
げられる。
【0056】またヒンダードアミン系光安定剤として
は、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテ
トラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペ
ンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−
1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1−
(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジノールとコハク酸ジエチルの重縮合
物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジルアミノ)ヘキサンと2,4−ジクロロ−6
−第3オクチルアミノ−s−トリアジンの重縮合物等が
挙げられる。
【0057】その他必要に応じて、本発明の組成物には
重金属不活性剤、造核剤、金属石鹸、酸吸収剤、顔料、
充填剤、可塑剤、エポキシ化合物、発泡剤、難燃剤、加
工助剤、極性基含有ポリオレフィン等を包含させること
ができる。
【0058】本発明のフィルムは従来公知の全ての方法
で成形できるものであるが、ごみ袋、ショッピングバッ
グ、規格袋、クリーニング袋などの汎用用途には空冷式
あるいは水冷式のインフレーション成形法が好ましく用
いられる。LLDPEの成形の場合は、加工時に高粘度
となるため通常使用されているフルフライト型スクリュ
ーではなく、発熱を抑えたLLDPE専用スクリューを
用いることが望ましい。また成形温度が200℃前後と
高くなるため、冷却が充分行われるエアーリングを取り
付け成形することが望ましい。このように高温で成形さ
れるLLDPEや、水冷方式で成形されるポリプロピレ
ンフィルムの場合には、耐熱性が要求されかつブロッキ
ングがおきやすいため本発明の組成物が好ましく用いら
れる。
【0059】またラミネートの原反フィルムや、広幅フ
ィルムの場合は、T−ダイによるキャストフィルム成形
法が好ましく用いられる。この場合は、ブロッキングだ
けでなく、成形時に金属ロールとフィルムが付着し、剥
離しにくくなることがあり、(d)成分である滑剤も配
合された本発明の組成物が好ましく用いられる。
【0060】
【実施例及び比較例】以下に、本発明を実施例及び比較
例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらによ
って限定されるものではない。なお実施例及び比較例に
おける性状の測定は、下記の方法によった。
【0061】(試料) ポリオレフィン樹脂 実質的に無水の塩化マグネシウム、1,2−ジクロロエ
タンおよび四塩化チタンから得られた固体触媒とトリエ
チルアルミニウムとからなる触媒を用いて、エチレンと
1−ブテンとを共重合させてエチレン・1−ブテン共重
合体を得た。このエチレン・α−オレフィン共重合体
は、1−ブテン含量4モル%、密度0.922g/cm
、MFR2g/10minであった。
【0062】(初期色相)ポリオレフィン樹脂に各種添
加剤を配合した後、厚さ2mmのプレスシートを作成
し、その黄色度(JISK7103による)を測定して
初期色相とした。
【0063】(色安定性)フェノール系酸化防止剤を配
合した組成では、長期保管によってペレットまたは成形
品が黄変することが実用上問題となる。フェノール系酸
化防止剤を併用する実施例では、この長期保管時の黄変
の程度を推定するための加速試験を行った。すなわち、
調製した組成物で作製した厚さ2mmのプレスシート
を、温度80℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に2週間
暴露した後、黄色度(JISK7103による)を測定
した。
【0064】(熱安定性)組成物を溶融混練する際の熱
安定性の目安として、混練中の粘度変化に対応する変化
を測定した。すなわち、調製した組成物を東洋精機
(株)製のラボプラストミルを用いて210℃、40r
pmで混練を行い、ポリエチレンについては定常トルク
値が急激に上昇変化を示すに至るまでの時間(分)を測
定し、ポリプロピレンについては20分間混練した後の
トルク値の低下率(%)を測定した。これを熱劣化度と
する。また調整した組成物から熱プレスによって厚さ
0.2mmの試料を作成し、示差熱量計を用いて200
℃、酸素気流下での酸素誘導期間(OIT)を測定し
た。
【0065】(耐腐食性)リン化合物をシャーレにと
り、その粉末の上にゼムクリップを放置して、温度30
℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に暴露し、錆の発生す
るまでの峙間を測定した。
【0066】(フィルム成形)50mmのLLDPE専
用フィルム成形機を用い、100mmφ、リップギャッ
プ2mmのダイスを取り付け、下記の成形条件で厚さ3
0μmのフィルムを成形した。 成形温度 C1 C2 C3 H D (℃ ) 200 200 200 200 200 ブロー比:1.9 引取り速度:20m/min
【0067】(フィルム性能評価)フィルムの光学特
性、ブロッキング強度、滑性及び帯電防止性能は以下の
方法で評価した 光学特性:ASTMD1003によるくもり ブロッキング強度:フィルムを2枚重ね合わせ、60℃
のオープンに5時間放置して強制的にブロッキングさせ
た後、500mm/min.の引張速度で、摺りによる
剥離強度を測定した。 滑性:フィルム面同士の静摩擦係数を測定した。 帯電防止性能:表面固有抵抗を測定した。
【0068】
【実施例1〜11及び比較例1〜4】上記ポリオレフィ
ンの無添加粉末に、各種添加剤をドライブレンドした
後、押出機によって混練し、ペレット化した。実施例及
び比較例で使用した添加剤を次に示す。 (a)成分:一般式(I)の燐化合物として例示化合物
3を、一般式(II)の化合物として例示化合物9を選
んだ。 (c)成分:c−1:非晶質ゼオライト(水沢化学製シ
ルトンJC−30) c−2:珪藻土(ジョンマンビル製スーパーフロス) c−3:タルク(林化成製ミクロンホワイト5000) c−4:炭酸カルシウム c−5:結晶性ゼオライト(耕正製CS−100) (d)成分:d−1:エルカ酸アマイド d−2:ベヘニン酸アマイド d−3:ステアリン酸モノグリセライド d−4:N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステア
リルアミン(e)成分:e−1:オクタデシル−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート e−2:ジラウリルチオジプロピオネート 他のりん化合物:p−1:テトラキス(2,4−ジ−第
3ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン・ジホスフ
ァイト 他のブロッキング防止剤:z−1:結晶ゼオライト
【表1】
【0069】実施例1および2には、(a)成分として
本発明のりん化合物を使用した例を示した。比較例1〜
3には、他のリン化合物であるp−1を添加した例を示
した。実施例の化合物は、比較例に比べ、酸化防止性能
に優れ、錆の発生もない。実施例1および3〜5には
(c)成分として本発明のブロッキング防止剤を添加し
た例を示した。比較例2には(c)成分を含まない例、
比較例3には(c)成分とし他のブロッキング防止剤で
ある結晶性ゼオライトを配合した例を示した。(c)成
分を含まない比較例2は、フィルムのブロッキングが激
しくまったく口開きしない。また平衡水分として24%
の水分を含むゼオライトを配合した比較例3は、押出時
に目脂が発生し連続運転ができなかった。さらに透明性
は優れていたが、ブロッキングが生じた。実施例のもの
は目脂も少なく、ブロッキングもしていない。
【0070】実施例6〜8には(d)成分として滑剤ま
たは界面活性剤を配合した例を示した。実施例6はブロ
ッキングが少なく、また界面活性剤を含む実施例7及び
8は、比較例1に比べ表面固有抵抗は小さく、帯電防止
効果を有する。
【0071】実施例9〜11には、本発明のりん化合物
にさらに(e)成分として他の酸化防止剤を配合した例
を示した。比較例4にはe−1のみを添加した例を示し
た。酸化防止剤の全添加量が同一でも、りん化合物と他
の酸化防止剤を併用することによって相乗的に酸化防止
性能が向上している。また比較例4では経時によって黄
色く変色して実用上使用できないが、実施例の組成は色
も安定している。
【0072】
【効果】上記のようなリン化合物、ハイドロタルサイ
ト、ブロッキング防止剤および滑剤または界面活性剤を
ポリオレフィンに配合することによって耐熱性、耐腐食
性、ブロッキング防止性能等にすぐれ、加工時の目脂の
発生がなく、経時による黄変のないポリオレフィン樹脂
組成物を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/5398 KFN 7242−4J (72)発明者 野口 勝利 埼玉県南埼玉郡白岡町小久喜1449−2 (72)発明者 佐藤 文男 埼玉県八潮市小作田460

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン樹脂に (A)下記一般式(I)または(II)で表されるリン
    化合物の1種または2種以上、 (B)ハイドロタルサイト類および (C)ブロッキング防止剤 を含有させたことを特徴とするポリオレフィン樹脂組成
    物。 一般式(I): 【化1】 〔式中R1、R2およびR3はそれぞれ同一かまたは異
    なる水素、炭化水素基、または含酸素炭化水素基を示
    す。ただしR1、R2およびR3のうち少なくとも1つ
    は、 【化2】 −(C2pO)−Z、または−Z−OC
    2r+1であることを要する(ここにZは水素、アル
    キル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、
    またはアルキルアリール基を、Zはアリーレン基また
    はこれらの置換された基を示す。pは2〜9の整数、r
    は1〜10の整数である。)。〕一般式(II): 【化3】 〔式中RおよびRはアルキル基、シクロアルキル基
    またはアルコキシカルボニルアルキル基であり、nは0
    〜3の整数である。〕
  2. 【請求項2】 ポリオレフィン樹脂に (A)下記一般式(I)または(II)で表されるリン
    化合物の1種または2種以上と、 (B)ハイドロタルサイト類および (D1)滑剤 を含有させたことを特徴とするポリオレフィン樹脂組成
    物。 一般式(I): 【化4】 〔式中R1、R2およびR3はそれぞれ同一かまたは異
    なる水素、炭化水素基、または含酸素炭化水素基を示
    す。ただしR1、R2およびR3のうち少なくとも1つ
    は、 【化5】 −(C2pO)−Z、または−Z−OC
    2r+1であることを要する(ここにZは水素、アル
    キル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、
    またはアルキルアリール基を、Zはアリーレン基また
    はこれらの置換された基を示す。pは2〜9の整数、r
    は1〜10の整数である。)。〕 一般式(II): 【化6】 〔式中RおよびRはアルキル基、シクロアルキル基
    またはアルコキシカルボニルアルキル基であり、nは0
    〜3の整数である。〕
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン樹脂に (A)下記一般式(I)または(II)で表されるリン
    化合物の1種または2種以上と、 (B)ハイドロタルサイト類、 (C)ブロッキング防止剤および (D)界面活性剤 を含有させたことを特徴とするポリオレフィン樹脂組成
    物。 一般式(I): 【化7】 〔式中R1、R2およびR3はそれぞれ同一かまたは異
    なる水素、炭化水素基、または含酸素炭化水素基を示
    す。ただしR1、R2およびR3のうち少なくとも1つ
    は、 【化8】 −(C2pO)−Z、または−Z−OC
    2r+1であることを要する(ここにZは水素、アル
    キル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、
    またはアルキルアリール基を、Zはアリーレン基また
    はこれらの置換された基を示す。pは2〜9の整数、r
    は1〜10の整数である。)。〕 一般式(II): 【化9】 〔式中RおよびRはアルキル基、シクロアルキル基
    またはアルコキシカルボニルアルキル基であり、nは0
    〜3の整数である。〕
  4. 【請求項4】 ポリオレフィン樹脂に (A)下記一般式(I)または(II)で表されるリン
    化合物の1種または2種以上と、 (B)ハイドロタルサイト類、 (C)ブロッキング防止剤および (D)滑剤および界面活性剤からなる群から選ばれる1
    種以上の化合物 を含有させたことを特徴とするポリオレフィン樹脂組成
    物。 一般式(I): 【化10】 〔式中R1、R2およびR3はそれぞれ同一かまたは異
    なる水素、炭化水素基、または含酸素炭化水素基を示
    す。ただしR1、R2およびR3のうち少なくとも1つ
    は、 【化11】 −(C2pO)−Z、または−Z−OC
    2r+1であることを要する(ここにZは水素、アル
    キル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、
    またはアルキルアリール基を、Zはアリーレン基また
    はこれらの置換された基を示す。pは2〜9の整数、r
    は1〜10の整数である。)。〕 一般式(II): 【化12】 〔式中RおよびRはアルキル基、シクロアルキル基
    またはアルコキシカルボニルアルキル基であり、nは0
    〜3の整数である。〕
  5. 【請求項5】 さらに(E)ヒンダードフェノール系酸
    化防止剤および/またはチオエーテル系酸化防止剤とを
    含有させてなる請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組
    成物。
  6. 【請求項6】 前記ポリオレフィン樹脂が高活性チーグ
    ラー系樹脂を用いて重合され、かつ脱灰工程を経ていな
    いものである請求項1または2記載のポリオレフィン樹
    脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記ブロッキング防止剤が、酸化珪素、
    ゼオライト、タルクおよび炭酸塩からなる群から選ばれ
    る1種以上のブロッキング防止剤である請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記滑剤が脂肪酸金属塩、ヒドロキシ脂
    肪酸金属塩および高級脂肪酸アマイドからなる群から選
    ばれる1種以上の滑剤である請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記界面活性剤が非イオン系界面活性剤
    である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成
    物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    樹脂組成物を用いて成形されたフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0781805A1 (en) * 1995-12-29 1997-07-02 General Electric Company Stabilized thermoplastic polymer composition
JPH111584A (ja) * 1997-04-16 1999-01-06 Idemitsu Petrochem Co Ltd プロピレン系重合体組成物及びそれからなるフィルム
JP2002030190A (ja) * 2000-07-17 2002-01-31 Fujikura Ltd ゴムモールド部品用ゴム組成物
EP1130133A3 (en) * 2000-02-29 2002-02-06 Nippon Paint Co., Ltd. Method for treating metallic surfaces

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