JPH0680514A - 重層被覆粒状農薬 - Google Patents

重層被覆粒状農薬

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JPH0680514A
JPH0680514A JP4223149A JP22314992A JPH0680514A JP H0680514 A JPH0680514 A JP H0680514A JP 4223149 A JP4223149 A JP 4223149A JP 22314992 A JP22314992 A JP 22314992A JP H0680514 A JPH0680514 A JP H0680514A
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pesticide
coating layer
granular
coated
coating
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JP4223149A
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English (en)
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Hirofumi Nagai
宏文 長井
Akihiko Okazaki
章彦 岡崎
Katsuhide Nitani
克英 二谷
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UBE KASEI HIRYO KK
Ube Corp
Original Assignee
UBE KASEI HIRYO KK
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 所定の農薬成分が必要な時期までは放出(溶
出)せず、また一旦放出を開始すると、速やかに当該農
薬成分を放出するような被覆粒状農薬を提供すること。 【構成】 農薬成分を含む粒状担体(粒状肥料等)の表
面に、高吸水膨潤性物質からなる第一被覆層が形成さ
れ、該第一被覆層の表面に、縮合系重合体からなる第二
被覆層が形成された重層被覆粒状農薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、含水培地又は水中での
農薬成分の溶出開始時期を調節できる重層被覆粒状農薬
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、我が国の農業は、農業従事者の高
齢化や農村の過疎化により、農業労働力の脆弱化が進ん
でいる。そのために農作業の省力化の一つとして、農薬
施用の機械化や農薬製剤の工夫などが図られている。農
薬製剤の工夫としては、所定量の水溶性塩化カリウムを
基材とする粒状製剤の農薬を水溶性フィルム(ポリビニ
ルアルコールなど)で包装し、これを使用量に相当する
個数用意し、目的領域に投下散布する方法が提案されて
いる。この方法では、特別の散布器具を用意する必要が
なく、短時間で投下でき、また農薬の飛散が少ないなど
の利点がある。機械化の例としては、ヘリコプターによ
る高濃度農薬の空中散布による集団防除があり、この方
法は実際に推進されているが、ヘリコプターの操縦ミス
などによる人命に関わる事故も発生している。このた
め、近年では無線操縦による小型のヘリコプターが普及
しつつあるが、高濃度農薬の空中散布では、農薬の飛散
が環境に及ぼす影響が問題とされており、特に散布地域
が住宅地に近接する場合において、この点が懸念され
る。
【0003】ところで、農薬散布の対象となる病害虫や
雑草は農作物の生育期間を通じて、あらゆる場面で被害
を及ぼすが、例えば、それぞれの病害中の発生について
は、個々に発生時期、産卵、ふ化、胞子形成、伝染源の
伝搬時期等のデータが蓄積されており、それらのデータ
を基にして病害虫の発生を予防しようとする国家的プロ
ジェクトも現在推進されている。その予防のためには、
個々の病害虫、雑草などの各段階において最も適当な時
期に農薬を散布する必要がある。従って、従来では所定
の時期毎に別個に種々の農薬を施用する必要があり、い
ずれの散布方法をとったとしても、その労力は過重とな
る。
【0004】たとえば、稲の重要病害であるイネいもち
病は稲の全生育期間中を通じて発生があり、特に田植1
カ月後に大発生する葉いもち病、そして収穫1カ月前に
発生して甚大な被害を及ぼし、稲の収量に多大な影響を
及ぼす穂いもち病が防除上、特に問題となる。葉いもち
病は本田の発病初期に農薬を散布し、なお蔓延の恐れが
あるときは、以後7〜10日おきに散布を続ける必要が
ある。穂いもち病に対しては穂ばらみ期から出穂期にか
けて散布するのが効果的であるので、その時期に繰り返
し農薬散布が行なわれる。このため、農薬散布作業を多
数回行なう必要があり、労働が過重となるため難儀を極
めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、所定
の農薬成分が必要な時期までは放出(溶出)せず、また
一旦放出を開始すると、速やかに当該農薬成分を放出す
るような被覆粒状農薬を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、農薬成分を含
む粒状担体(これを、粒状農薬あるいは農薬製剤と呼
ぶ)の表面に、高吸水膨潤性物質からなる第一被覆層が
形成され、該第一被覆層の表面に、縮合系重合体からな
る第二被覆層が形成されてなる重層被覆粒状農薬にあ
る。
【0007】本発明の好適な態様は下記の通りである。 (1)高吸水膨潤性物質が、給水することによって乾燥
体積の5倍以上の体積に膨潤する物質である重層被覆粒
状農薬。 (2)高吸水膨潤性物質が、イソブチレン系重合体、ア
クリル酸・ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンオ
キサイド変性樹脂、アクリル酸ナトリウム系重合体、澱
粉グラフト重合体、カルボキシメチルセルロース(CM
C)、CMC金属塩、またはベントナイトである重層被
覆粒状農薬。 (3)縮合系重合体が、熱可塑性重合体で、ポリアミド
系重合体、ポリエステル系重合体、ポリエーテル系重合
体及びポリイミド系重合体である重層被覆粒状農薬。
【0008】(4)第一被覆層の被覆量が、粒状農薬の
量の0.2〜20重量%である重層被覆粒状農薬。 (5)第二被覆層の被覆量が、粒状農薬の量の2〜50
重量%である重層被覆粒状農薬。 (6)粒状担体が、粒状肥料である重層被覆粒状農薬。 (7)上記農薬成分を含む粒状担体が、農薬をバインダ
で成形した粒状農薬、農薬と無機担体とをバインダを用
いて結合成形した粒状農薬、農薬を担体に含浸させた粒
状農薬、あるいは農薬と肥料とを混合して粒状に成形し
た粒状農薬のいずれかである被覆粒状農薬。
【0009】本発明の重層被覆粒状農薬は、農薬成分を
含む粒状担体の表面に高吸水膨潤性物質からなる第一被
覆層が形成され、該第一被覆層の表面に縮合系重合体か
らなる第二被覆層が形成された粒状農薬である。
【0010】本発明で用いることのできる農薬成分と対
象防除病害虫の組合せの例を以下に記載する。 ピロキロン(化学名:1,2,5,6−テトラヒドロピ
ロロ[3,2,1−ij]キノリン−4−オン、対象病
害虫:いもち病、籾枯れ細菌病) エトリムホス(化学名:0−6−エトキシ−2−エチル
ピリミジン−4−イル=0,0−ジメチル−ホスホロチ
オアート、対象病害虫:アオムシ、コナガ、ヨトウ、タ
ネバエ、ネキリムシ、コガネムシなど) ダイアジノン(化学名:(2−イソプロピル−4−メチ
ルピリミジル−6)−ジエチルチオホスフェート、対象
病害虫:メイチュウ、ヨコバイ、ウンカ、イネドロオイ
ムシ、イネハモグリバエ、アブラムシ類、コブノメイ
ガ、タマネギバエ、ナカジロシタバ、ネキリムシ、コガ
ネムシ幼虫類など) イソフェンホス(化学名:0−エチル=0−2−イソプ
ロポキシカルボニルフェニル=イソプロピルホスホルア
ミドチオアート、対象病害虫:コガネムシ類、ハリガネ
ムシ類などの土壌害虫) サリチオン(化学名:2−メトキシ−4H−1,3,2
−ベンゾオキサホスホリン−2−スルフィド、対象病害
虫:オンシツコナジラミ、アブラムシ類、ヨトウムシ、
クワノメイガ、シンクイムシ、キンモンホソガ、クワコ
ナカイガラムシ、ハマキムシ、カキノヘタムシ、アオム
シ、コナガなど) シクロプロトリン(化学名:(RS)−α−シアノ−3
−フェノキシベンジル−(RS)−2,2−ジクロロ−
1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキ
シラート、対象病害虫:イネミズゾウムシ、イネドロオ
イムシ) ピリミカーブ(化学名:2−ジメチルアミノ−5,6−
ジメチルピリミジン−4−イルジメチルカ−バメート、
対象病害虫:アブラムシ) エトフェンプロックス(化学名:2−(4−エトキシフ
ェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジ
ル=エーテル、対象病害虫:イネミズゾウムシ、イネド
ロオイムシ、イネツトムシ、カメムシ類、ツマグロヨコ
バイ、ウンカ類、モモシンクイガ、キンモンホソガ、ナ
シチビガ、アブラムシ類、ハマキムシ類、オンシツコナ
ジラミ、チャノキイロアザミウマ、アワノメイガ、ハス
モンヨトウ、マメシンクイガなど) ヘキシチアゾクス(化学名:トランス−5−(4−クロ
ロフェニル)−N−シクロヘキシル−4−メチル−2−
オキソチアゾジリン−3−カルボキサミド、対象病害
虫:ミカンハダニ、リンゴハダニ、ナミハダニなど) ブプロフェジン(化学名:2−ターシャリ−ブチルイミ
ノ−3−イソプロピル−5−フェニル−3,4,5,6
−テトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアジン−4
−オン、対象病害虫:ツマグロヨコバイ、ウンカ類、オ
ンシツコナジラミ、ヤノネカイガラムシ、フタテンヒメ
ヨコバイ、カメムシ類、ニカメイチュウ、コブノメイガ
など): ジラム(化学名:ジンクジメチルジチオカーバメート、
対象病害虫:赤星病、黒星病、斑点落葉病、黒斑病、縮
葉病、褐斑病) ダコニール(化学名:テトラクロルイソフタロニトリ
ル、対象病害虫:そうか病、つる枯れ病、黒斑病、黒点
病、べと病、縮葉病、うどんこ病、灰色かび病、炭そ
病、斑点病、灰星病、裾枯病、疫病、褐斑病など) フサライド(化学名:4,5,6,7−テトラクロルフ
タリド、対象病害虫:いもち病) トリクラミド(化学名:(RS)−N−(1−ブトキシ
−2,2,2−トリクロロエチル)サリチルアミド、対
象病害虫:根こぶ病、そうか病、根腐れ病) トリシクラゾール(化学名:5−メチル−1,2,4−
トリアゾロ−[3,4−b]ベンゾチアゾール、対象病
害虫:いもち病) ヒドロキシイソキサゾール(化学名:3−ヒドロキシ−
5−メチルイソオキシサゾール、対象病害虫:苗立ち枯
れ病) メトラクロール(化学名:2−クロロ−2’−エチル−
N−(2−メトキシ−1−メチルエチル)−6’−メチ
ルアセトアニリド、対象雑草:イネ科、カヤツリグサ
科) グルホシネート(化学名:アンモニウム=DL−ホモア
ラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート、対象雑
草:一年生および多年性イネ科雑草および広葉雑草) なお、本発明において使用できる農薬は、アルカリ性条
件で安定な農薬に限定されるわけではなく、アルカリ性
条件で不安定な農薬であっても、アルカリ性条件下で分
解しにくいようにする処理(例、樹脂薄膜被覆)を施す
ことにより、使用することが可能となる。
【0011】本発明の重層被覆粒状農薬において農薬成
分は、粒状担体に担持された状態で存在する。担体は球
形の粒状物であることが好ましく、化学的に中性である
か、あるいは少なくとも担持される農薬成分および第一
被覆層の高吸水膨潤性物質に対して不活性である材料か
ら形成されていることが好ましい。そのような担体の例
としては、シリカ、けいそう土、クレイ、ペントナイ
ト、タルク、カオリンなどの一般的に用いられている粒
状担体を挙げることができる。なお、施用労力を更に省
力化することを考慮すると、担体は粒状肥料であること
が好ましい。すなわち、農薬成分の放出時期と肥料成分
の溶出時期がほぼ一致する組合せを選んで、その組合せ
に従って肥料成分と農薬成分との粒状混合物を製造し、
これを本発明に従って被覆するようにすれば、所定の時
期に肥料成分と農薬成分とが同時に放出されるようにな
る。
【0012】本発明の重層被覆粒状農薬の担体として用
いられる粒状肥料は、従来の肥料の粒状物の何れであっ
てもよいが、アンモニア態窒素を含有しないか、または
アンモニア態窒素の含有量が小さい肥料の粒状物である
ことが好ましい。具体例としては、オキサミド、尿素、
硝酸ソーグ、アセトアルデヒド縮合尿素、イソブチルア
ルデヒド縮合尿素等の窒素質肥料;熔成リン肥、焼成リ
ン肥、加工リン酸肥料、混合リン酸肥料、腐食酸リン肥
等のリン酸質肥料;硫酸加里、塩化加里、硫酸加里苦
土、重炭酸加里、けい酸加里肥料等の加里質肥料;リン
酸加里肥料、硝酸加里等の化成肥料;有機質肥料など;
並びにこれらの肥料の混合物を、それ自体公知の方法に
より造粒した粒状肥料を挙げることができる。粒状肥料
の粒径は特に限定されないが、一般に1〜4mmである
ことが好ましい。
【0013】本発明の重層被覆粒状農薬の第一被覆層を
構成する高吸水膨潤性物質は、吸水することによって乾
燥体積の5倍以上の体積に膨潤する物質であることが好
ましい。特に、吸水膨潤時に、溶解又は溶出する傾向が
小さいゲル状になるものが好ましく、膨潤圧の大きいも
のが好ましい。高吸水膨潤性物質の例としては、イソブ
チレン系重合体(例えば、(株)クラレ製の、KIゲル
−201K、KIゲル−201K−F2、KIゲル溶液
システム、KIゲルME−10、KIゲルコンパウン
ド)、アクリル酸・ビニルアルコール共重合体、ポリエ
チレンオキサイド変性樹脂(例えば、住友化学工業
(株)製の、スミカゲルSタイプ、Lタイプ、Rタイ
プ)、アクリル酸ナトリウム系重合体(例えば、住友化
学工業(株)製のスミカゲルNタイプ)、澱粉グラフト
重合体、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CM
C金属塩乃びベントナイトを挙げることができる。
【0014】本発明の重層被覆粒状農薬において、第一
被覆層の被覆量は、第一被覆層を構成する高吸水膨潤性
物質の膨潤度、膨潤圧などによって異なるが、一般的に
粒状の農薬製剤(農薬成分と粒状担体とからなる製剤)
の量の0.5〜20重量%、特に1〜10重量%である
ことが好ましい。第一被覆層の被覆量が上記の範囲より
も少ないと、吸水時の膨潤による第二被覆層内の圧力が
不足し、第二被覆層の歪、亀裂、破壊などによる発生量
が不充分となり、農薬製剤の溶出(放出)開始時期が遅
くなったり、あるいは農薬製剤の溶出が開始した後に溶
出速度が小さくなったりする。また、第一被覆層の被覆
量が上記の範囲よりも多いと、農薬製剤の溶出が開始し
た後の農薬製剤の溶出速度が大きくなるが、ある程度以
上多くしても農薬製剤の溶出速度は大きくならず、重層
被覆粒状農薬中の農薬製剤の含有率が相対的に低下する
ので好ましくない。
【0015】本発明の被覆粒状農薬の第二被覆層は、縮
合系重合体から形成される。縮合系重合体としては、有
機溶剤に可溶であればあらゆる縮合系重合体を使用しう
るが、熱可塑性であることが好ましい。本発明において
特に好ましい縮合系重合体の具体例としては、例えば、
ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルおよびポリイ
ミドを挙げることができる。ポリアミドの例としては、
ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12などのポリラ
クタム類;ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6
12などのジカルボン酸とジアミンとから得られるポリ
アミド類;ナイロン6/66、ナイロン6/610、ナ
イロン6/12、ナイロン6/612、ナイロン6/6
6/610、ナイロン6/66/12などの共重合ポリ
アミド類;ナイロン6/6T(T:テレフタル酸成
分)、イソフタル酸のような芳香族ジカルボン酸と、メ
タキシレンジアミン、あるいは脂環族ジアミンから得ら
れる半芳香族ポリアミド類;ポリエステルアミド、ポリ
エーテルアミドおよびポリエステルエーテルアミドを挙
げることができる。なお、ポリアミドは単独で用いても
よく、また二種類以上のポリアミドを併用することもで
きる。なお、本発明において使用できるポリアミドは上
述のポリアミドより選択されたものであればこれらのポ
リアミドの末端基の種類や濃度および分子量などにより
制限されることなく種々のものを使用することができ
る。またポリアミドの重合時に残存または生成するモノ
マー、オリゴマーなどの低分子量物が混在しているポリ
アミドも用いることが可能である。ポリエステルの例と
して、ジカルボン酸とグリコールを主原料とする熱可塑
性の飽和ポリエステル、オキシ酸の重縮合、ラクトン環
の開環重合によって得られる熱可塑性ポリエステルを挙
げることができる。本発明でいうポリエステルは、熱可
塑性の飽和ポリエステルをいい、主鎖にエステル結合を
有する熱可塑性のポリエステルであればよい。ポリエー
テルの例として、ポリオキシメチレン(ポリアセター
ル)、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、塩素
化ポリエーテル、ポリエチレングリコールやポリプロピ
レングリコールなどのようなグリコール重縮合体、ビス
フェノールAとジフェニルスルホンから得られるポリエ
ーテルスルホンなどが挙げられる。
【0016】上記の第二被覆層の被覆量は、粒状農薬
(農薬製剤)の量の2〜50重量%、特に4〜20重量
%であることが好ましい。第二被覆層の被覆量が上記範
囲よりも少ないと、被覆粒状農薬の製造時に第二被覆層
の被覆量を設計値通りに制御することが困難になりやす
く(第二被覆層の被覆量が小さくなるほど誤差の許容範
囲が狭くなる)、第二被覆層の機械的強度が低下し被覆
粒状農薬の取扱い、輸送、保管中に第二被覆層が損傷を
受け、前記のような問題が生じる恐れがある。また、第
二被覆層の被覆量が上記範囲よりも多くても、放出制御
効果は、より以上に向上せず、被覆粒状農薬中の農薬成
分の含有率が相対的に低下し、更に農薬成分が放出した
後に土壌中に残留する被覆層材料の量が増大する。
【0017】本発明の重層被覆粒状農薬は、含水培地又
は水中で下記のように機能すると考えられる。先ず水
(環境水)が第二被覆層を徐々に透過し、第二被覆層を
透過した水を第一被覆層の高吸水膨潤性物質が吸収して
膨潤し、膨潤によって生じた圧力(膨潤圧)によって第
二被覆層に亀裂を生じさせたり、第二被覆層を破壊さ
せ、外部の水が第二被覆層を通過して内部に侵入し、そ
の水によって農薬製剤が溶解され溶出するのであると考
えられる。
【0018】従って、第二被覆層の縮合系重合体の種類
及び被覆量(膜厚)を選択することによって、最初の水
が第二被覆層を透過する量を制御し、第一被覆層の高吸
水膨潤性物質の種類及び被覆量、並びに第二被覆層の縮
合系重合体の種類及び被覆量を選択することによって、
第二被覆層に生じる亀裂や破壊の程度及び亀裂や破壊が
生じる時間を制御することができる。そして、最初の水
が第二被覆層を透過する量及び第二被覆層に亀裂や破壊
が生じる時間を制御することによって、農薬製剤の溶出
(放出)が開始する時期(本発明の重層被覆粒状農薬を
含水培地又は水中に投入してから農薬成分の溶出が始ま
るまでの期間であって、農薬成分溶出の誘導期間と見な
される)を調節することができる。また、第二被覆層に
生じる亀裂や破壊の程度を制御することによって、農薬
製剤の溶出速度を調節することができる。このように、
本発明の重層被覆粒状農薬は、任意の必要な時期に農薬
製剤の溶出を開始させることができる重層被覆粒状農薬
である。
【0019】最初の水が第二被覆層を透過する量並びに
第二被覆層に亀裂や破壊が生じる時間及び亀裂や破壊の
程度を制御するためには、上記のような要因を適宜変化
させて組合せればよく、前記の各要因についての説明を
参考にして当業者が実験的に容易に選択することができ
る。
【0020】本発明の重層被覆粒状農薬は、農薬製剤の
表面に高吸水膨潤性物質を被覆して第一被覆層を形成
し、次いで第一被覆層を有する粒子の表面に縮合系重合
体を被覆して第二被覆層を形成することによって製造す
ることができる。
【0021】第一被覆層の形成は、例えば傾斜皿型造粒
機に粒状に成形した農薬製剤を装入し、30〜70℃の
熱風を送りながら、高吸水膨潤性物質の水及び/又は有
機溶媒中の溶液又は分散液(第一被覆層形成液)を少し
ずつ添加することにより、農薬製剤の表面に第一被覆層
形成液を被覆し、同時に溶媒又は分散媒を蒸発除去し
て、高吸水膨潤性物質の層を形成させることによって行
なうことができる。この際、高吸水膨潤性物質が架橋構
造でない場合は、この物質と共にそれを架橋させるため
の架橋剤を併用し、被覆された高吸水膨潤性物質を架橋
構造に変えて、吸水時に高吸水膨潤性物質が溶解、溶出
し難くなるようにすることが好ましい。
【0022】高吸水膨潤性物質を農薬製剤の表面に確実
に付着させるために適当な接着剤、例えば、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、ネオプレン−フェノール系、ポリ
エチレングリコール、メタクリル酸エステル系などの接
着剤を、高吸水膨潤性物質の分散液中に混入しておくこ
とが好ましい。接着剤の種類によっては、第一被覆層形
成液を調製する際に、水及び/又は有機溶媒の全部又は
一部を省略することができる。
【0023】また、傾斜皿型造粒機に農薬製剤を装入
し、接着剤の水及び/又は有機溶媒中の溶液を少量ずつ
添加し、農薬製剤の表面に付着した接着剤溶液の粘着性
があるうちに、高吸水膨潤性物質の粉末を添加付着させ
ることにより被覆し、その後乾燥することによっても第
一被覆層を形成することができる。勿論、それ自体公知
の他の粒状物被覆装置、例えば、ナウタミキサー、通気
型被覆装置、回転剤皮機、ドラム型造粒機などを使用
し、それ自体公知の方法によって第一被覆層を形成する
こともできる。
【0024】第二被覆層の形成は、縮合系重合体を有機
溶剤に溶解して第二被覆層形成溶液を調製し、それ自体
公知の他の粒状物被覆装置、例えば、流動層型被覆装
置、通気型被覆装置、転動流動型被覆装置、ナウタミキ
サーなどに、第一被覆層を形成した農薬製剤を装入し、
30〜100℃の熱風を送りながら、上記の第二被覆層
形成溶液を装入して農薬製剤の表面にこの溶液を被覆
し、同時に溶媒を蒸発除去して第二被覆層を形成させる
ことによって行なうことができる。第一被覆層及び第二
被覆層を形成する際に使用した溶剤は、被覆装置からの
排気を常法によって処理して回収し再使用することがで
きる。
【0025】
【実施例】
[実施例1]架橋されたイソブチレン系重合体の粉末
((株)クラレ製:商品名KIゲル−201K−F2)
18gおよび接着剤としてポリエチレングリコール[日
本油脂(株)製:ポリエチレングリコール(2000
0)]5.4gを、トルエン60gに添加し、分散及び
溶解して第一被覆層形成液を調製した。ナイロン6−ナ
イロン66−ナイロン12三元共重合体(宇部興産
(株)製:商品名UBEナイロン6021X18、M
p.90〜95℃)20gをメタノール380gに常温
で溶解させて、第二被覆層形成溶液を調製した。
【0026】ステンレス製回転制御付傾斜皿型造粒機
(直径500mm、深さ100mm)に粒径2〜4mm
の、ピロキロン(農薬、日本チバガイギー(株)製、化
学名は前述)を5%含有するコラトップ粒剤5(商品
名、クミアイ化学工業(株)製)500gを入れ、造粒
機を15r.p.m.の回転速度で転動させ、約30℃
の温風を吹込みながら、上記の第一被覆層形成液を10
分間に亙って少しずつ添加し、ピロキロン含有コラトッ
プ粒剤の表面に第一被覆層を形成した。
【0027】上記工程で得られた第一被覆層を有するピ
ロキロン含有コラトップ粒剤415g(この内、ピロキ
ロン含有コラトップ粒剤400g)を、減圧通気型被覆
装置(フロイント産業(株)製、コーティング装置ハイ
コーター・ミニ、コーティングパン容量0.65リット
ル)に投入し、コーティングパンを30r.p.m.の
回転速度で転動させ、約30℃の温風を吸引しながら、
上記の第二被覆層形成溶液を10ml/分の供給速度で
スプレーし、第一被覆層形成ピロキロン含有コラトップ
粒剤の表面に第二被覆層を形成して重層被覆粒状農薬を
製造した。得られた重層被覆粒状農薬の第一被覆層の量
は、ピロキロン含有コラトップ粒剤100重量部当たり
3.8重量部であり、そして第二被覆層の量はピロキロ
ン含有コラトップ粒剤100重量部当たり4.6重量部
であった。
【0028】製造した被覆粒状農薬について、下記の方
法により農薬ピロキロン成分の放出試験を行なった。得
られた放出曲線[横軸:放出日数(週単位)、縦軸:累
積放出率(%)]を図1に示す。
【0029】農薬ピロキロン成分の放出試験方法 上記の処方で得られた被覆粒状農薬を水に浸漬し、恒温
器中にて25℃±1℃で30週間静置した。1週間毎に
その一部を採り出し、放出されたピロキロン量を定量し
た。ピロキロンの定量は、「農薬登録保留基準ハンドブ
ック」(農薬環境保全対策研究会編、435〜437
頁、化学工業日報社、1990刊)の方法に準じて行な
った。
【0030】[比較例1]ピロキロン含有コラトップ粒
剤(被覆層無し)400gを、実施例1において第二被
覆層形成のために使用した被覆装置に投入し、コーティ
ングパンを30r.p.m.の回転速度で転動させ、約
30℃の温風を吸引しながら、実施例1で使用した第二
被覆層形成溶液と同じ溶液を10ml/分の供給速度で
スプレーし、ピロキロン含有コラトップ粒剤の表面に被
覆層を刑成して単層被覆粒状農薬を製造した。得られた
単層被覆粒状農薬の被覆層の量は、ピロキロン含有コラ
トップ粒剤100重量部当たり4.8重量部であった。
製造した単層被覆粒状農薬について、前記の方法により
ピロキロン成分の溶出試験を行なった。得られた放出曲
線を図2に示す。
【0031】図1と図2との比較から明らかなように、
比較例で得られた縮合重合体からなる単一の被覆層が形
成された単層被覆粒状農薬は、一定期間経過した後、あ
るいは施用直後から農薬製剤(農薬成分)がゆっくりと
放出されているのに対して、実施例で得られた本発明の
重層被覆粒状農薬は、一定期間は農薬製剤(農薬成分)
が全く放出されず、その期間の経過後に放出が始まると
急激な速度で農薬製剤の放出が発現する。従って、通常
の被覆されていない粒状農薬製剤を施用した直後の溶出
状態に非常に良く似た溶出(放出)状態を示すことが判
明した。
【0032】
【発明の効果】本発明の重層被覆粒状農薬は、その被覆
層の組成、厚さ等を適宜調節することにより、その内部
に閉じ込められた農薬成分が所定の時期までは放出され
ず、また一旦放出が始まると速やかに農薬成分を溶出す
るようになる。従って、防除対象の病害虫に応じて、所
定の農薬成分が適切な時期に放出開始するように放出開
始時期(施用してから放出が始まるまでの期間)をさま
ざまな期間に設計した複数種の本発明に従う被覆粒状農
薬を、例えば田植え時期などのような通常の農作業時期
に施用することにより、各病害虫の発生時期に、すなわ
ち葉いもち病の発生時期(おおよそ田植え後1カ月目)
に対応するタイプの農薬製剤と穂いもち病の発生時期
(出穂約1カ月前)に対応するタイプの農薬製剤を、田
植え時に混合同時施用しておき、それぞれの病害虫の発
生時期に応じて所定の農薬成分を放出させることによ
り、それぞれの病害虫を有効に防除することができる。
従って、農業従事者の労働時間および労力の顕著な節約
ができ、顕著な省力化を図ることができる。
【0033】さらに詳しく言えば、本発明の重層被覆粒
状農薬は、含水培地または水中で所定の農薬成分が必要
な時期まで放出されず、一旦放出を開始すると速やかに
農薬成分が放出されるものであり、従来の粒状農薬製剤
とは全く異なったタイプの農薬の溶出開始時期調節型の
被覆農薬である。従って、病害虫や雑草の発生に応じて
必要な農薬成分が適切な時期に放出されるように放出開
始時期(施用してから放出が開始されるまでの期間)を
種々の長さに設計した複数種の本発明の被覆粒状農薬
を、栽植初期に施用することにより、予め発生が予想さ
れる多種類の病害虫並びに雑草の防除のために一度で施
用することができ、かつ顕著な優れた効果を現わすこと
ができる。すなわち、個々の病害虫や雑草の発生の度ご
とにそれぞれ防除作業(農薬製剤の施用作業)を実施す
ると多数の作業回数となり、これを一回の施用で済ます
ことができるので、多大な労働条件の改善が期待でき
る。また本発明に従う重層被覆粒状農薬は、栽植農作物
の地際近くに施用することになるので、施用農薬も比較
的少量で済み、農薬の流亡の問題や環境に対する悪影響
が少ない新しい農薬および病害虫・雑草防除手段として
有効に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得られた重層被覆粒状農薬について、
農薬ピロキロンの放出試験を行なって得られた放出曲線
を示す図である。
【図2】比較例で得られた重層被覆粒状農薬について、
農薬ピロキロンの放出試験を行なって得られた放出曲線
を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二谷 克英 山口県宇部市大字小串1988番地の7 宇部 化成肥料株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 農薬成分を含む粒状担体の表面に、高吸
    水膨潤性物質からなる第一被覆層が形成され、該第一被
    覆層の表面に、縮合系重合体からなる第二被覆層が形成
    されてなることを特徴とする重層被覆粒状農薬。
JP4223149A 1992-06-26 1992-07-10 重層被覆粒状農薬 Pending JPH0680514A (ja)

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JP4223149A JPH0680514A (ja) 1992-07-10 1992-07-10 重層被覆粒状農薬
FR9307851A FR2692754B1 (fr) 1992-06-26 1993-06-28 Compositions chimiques pour l'agriculture, en granules a double enrobage.

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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