JPH0679561U - 表示体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 サーマルヘッドの押圧力を高くしなくても、
情報の書込みおよび消去をより高精度で行うことがで
き、例えば市販品である表示フィルムの用途も拡大でき
るようにした。 【構成】 カード類の基板表面に形成される熱可逆性感
熱記録層４を有し、感熱記録層４にサーマルヘッドによ
り情報を書込みおよび消去可能な表示体１において、前
記基板２上に厚さが２００μｍ以上からなり、かつ内部
に微細な空隙を有する合成樹脂フィルム３を介在して感
熱記録層４を積層した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、表示体の内、各種の情報を書換えおよび目視可能な表示体に関する 。

【０００２】

【従来の技術】

熱可逆的に白濁状態と透明状態とを示す、あるいは熱可逆的に色変化を示す感 熱記録材料が知られており、これが各種のカード類において目視可能な情報を表 示するために利用されつつある。この表示体は、実開平２−４４０７１号、特開 平４−１１２０７９号公報などに例示される如く、熱可逆性感熱記録層をカード 類の基板表面に積層してサーマルヘッドにより加熱して文字等の情報を表示およ び消去するものである。

【０００３】 そして、前述の熱可逆性感熱記録材料を、ポリエステル系等のベースフィルム の上に塗布したものが表示用フィルムとして市販されている。プリペードカード 等のカード類は、その表示用フィルムを表面に貼着することによって容易に可視 情報表示部を備えることができる。このような、表示用フィルムは、ベースフィ ルムの厚さが通常１００μｍ程度である。これはカード類にこれを貼着して通常 の印字方法、即ちプラテンロール上でサーマルヘッドで印字することが想定され 、経済的な面からも薄いベースフィルムが用いられている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

サーマルヘッドの加熱により均一な印字や消去を行うためには、通常、弾性材 料からなるプラテンロール上でサーマルヘッドを押圧した状態で加熱し発色ある いは消色させる。ところが、カード類では単なる紙への印字と異なり、厚みない しは剛性が増し、均一な印字や消去が難しくなる。そのため、サーマルヘッドの 押圧力も高くなければならず、過剰な負荷によってサーマルヘッドの寿命が短く なる。このような問題は、特に、表示用フィルムをＩＣカード類等のように硬質 な素材からなる基板上に設けた場合、プラテンロールの使用も不可能になって顕 著となる。

【０００５】 本考案は、上記問題点に鑑みてなされ、その目的はサーマルヘッドの押圧力を 高くしなくても、情報の書込みおよび消去をより高精度で行うことができ、例え ば市販の表示フィルムの用途も拡大できる表示体を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案は、カード類の基板表面に形成された熱可逆性 感熱記録層を有し、前記感熱記録層にサーマルヘッドにより情報を書込みおよび 消去可能な表示体において、前記基板上に厚さが２００μｍ以上からなり、かつ 内部に微細な空隙を有する合成樹脂フィルムを介在して前記感熱記録層を積層し たものである。

【０００７】

【作用】

以上の表示体構成において、カード類の基板とは、その表面に書換え可能な可 視情報を必要とするものを意味し、具体的には情報記録や演算などを行う機能を 持つＩＣカード、磁気カード、光カード等の基板が挙げられる。本考案は、その 内、特に基板剛性が高く殆ど湾曲させることができない硬質なものに有効である 。

【０００８】 合成樹脂フィルムには、二軸延伸フィルム成形法において延伸時に内部に微細 な空孔（ミクロボイド）を生成されたフィルムあるいは合成紙，または内部に微 細な空隙を有するスパンボンド紙等のいわゆる不織布等を含む。この合成樹脂フ ィルムの厚さｔは、この材質特性や基板の素材等によって最適値が異なるものの 試験結果からｔ≧２００μｍであることが必須となる。

【０００９】 このような合成樹脂フィルムは、サーマルヘッドを押圧した状態で加熱し発色 あるいは消色させる際、緩衝用のクッション材となり、特にサーマルヘッドの押 圧力を増大しなくても、プラテンロール上で紙類に印字すると同様に均一な印字 や消去が行える。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を参照しながら説明する。 図１は本考案を適用して製作された表示体としてのカード１である。カード１ は、基板２の表面に合成樹脂フィルム３を介在して市販の表示フィルム４を一体 化した後、その表面に透明な保護膜としてのオーバーコート層５を形成したもの で、合成樹脂フィルム３を有している点が要部である。

【００１１】 なお、基板２は、ＩＣカード、光カードなどを構成して情報記録および演算な どを行う機能を有し、適度な厚みからなる剛性体である。 表示フィルム４は市販のものであり、例えば、実施例で使用した「熱可逆性情 報表示フィルムＴＣ」（株式会社リコーの商品名）を挙げることができる。この ベースフィルムは、材質がポリエチレンテレフタレートであり、厚さが７０μｍ となっている。熱可逆性感熱記録材料は、特開昭５５−１５４１９８号や特開昭 ６３−３９３７８号などに示される如く、樹脂母材中に高級脂肪酸等を分散させ た組成物である。 オーバーコート層５は、ポリエーテルイミドやケトン、ウレタンアクリレート などのように透明で耐熱性に優れている樹脂であればよく、通常、３〜８μｍ程 度の厚さになるよう、例えば、表示フィルム２の表面に塗布することにより被覆 形成される。 なお、表示フィルム４は合成樹脂フィルム３の表面に接着剤を使用して貼着さ れている。

【００１２】 合成樹脂フィルム３としては、ポリエチレン系樹脂フィルム、ポリプロピレン 系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルム等 であって、特に二軸延伸フィルム成形法において延伸時に内部に微細な空孔（ミ クロボイド）を生成されたフィルムあるいは合成紙，または内部に微細な空隙を 有するスパンボンド紙等のいわゆる不織布等が用いられる。

【００１３】 このような、表示体１の構造において、先ず、合成樹脂フィルム３の有無によ り、サーマルヘッドを使用して書き込みおよび消去を繰り返し行い、書き込みし た印字の鮮明度とサーマルヘッドの寿命を調べた。なお、合成樹脂フィルム３は 内部に微細な空隙を有する東洋紡績株式会社製、商品名「クリスパー」の合成紙 で、厚さｔ＝２５０μｍのものを使用した、これ以外は同一条件である。サーマ ルヘッドの印加電圧は１２Ｖ、各印加時間は３ｍ秒である。 この試験結果から、印字の鮮明度は合成樹脂フィルム３を介在した方が良好で あり、書き込み回数が増すほど顕著であった。また、サーマルヘッドの摩耗は合 成樹脂フィルム３を介在させることにより、少なくとも数十％長く維持できるこ とが判明した。

【００１４】 また、合成樹脂フィルム３の材質と厚さｔを変えた多数の表示体１について、 前記同様な条件下でサーマルヘッドを使用して書き込みおよび消去を繰り返し行 い、書き込みした印字の鮮明度とサーマルヘッドの摩耗を調べた。 この結果、先ず、その厚さｔはこの材質等によって最適値が異なるものの、一 般的に厚さｔ≧２００μｍであることが好適となり、より好ましくは厚さｔが２ ５０μｍ以上である。厚さｔの上限は特にないが、通常は５００μｍ以下である 。これ以上厚くすると経済的に不利となる。

【００１５】 このように、本考案は、所定厚さの合成樹脂フィルム３を介在するだけで品質 的な向上が図られ、市販の表示フィルム４の用途も拡大できる。 そして、本考案においては、上記実施例のように、表示フィルム４と本考案の 所定厚からなる合成樹脂フィルム３とを積層する方法の他、合成樹脂フィルム３ の表面に前述の熱可逆性感熱記録材料である樹脂母材中に高級脂肪酸等を分散さ せた組成物を直接に形成することも可能である。

【００１６】 なお、表示フィルム４の発色をより明瞭にする方法として、実開平１−１６５ ２８６号公報に例示されるような事前印刷としての背景部用印刷が施されること もあるが、本考案の合成樹脂フィルム３として合成紙を用いることによってこの 合成紙を印刷面としても直ちに利用でき、また着色した合成紙にて構成すること も可能である。前者の場合、合成樹脂フィルム３の表面の一部に黒色等の印刷が 施される以外に、表面全面でもよい。 また、前記感熱記録層は、実施例に挙げた熱可逆的に白濁・透明変化を生ずる 感熱記録材料の他、熱可逆的に色相変化あるいは発色・消色を生ずるものであっ てもよい。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したとおり、本考案の表示体にあっては、サーマルヘッドを押圧した 状態で加熱し発色あるいは消色させる際、合成樹脂フィルムが緩衝用のクッショ ン材となり、従来のようにサーマルヘッドの押圧力を増大しなくても、紙類と同 様に明瞭で均一な印字ができる。この結果、サーマルヘッドの寿命を損なうこと なく、熱可逆性感熱記録層として市販の表示フィルムの用途範囲を拡大できる。 合成樹脂フィルムとしては、特に内部に微細な空隙を持つ合成紙が緩衝作用と してより有効である。しかも、着色ないしは印刷した合成紙を用いることも可能 であることから、実開平１−１６５２８６号公報に例示されるような発色部に対 する事前印刷としての背景部用印刷面としても利用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る表示体の要部断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 表示体 ２ カード類の基板 ３ 合成樹脂フィルム ４ 表示フィルム ５ オーバーコート層

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 カード類の基板表面に形成された熱可逆
   性感熱記録層を有し、前記感熱記録層にサーマルヘッド
   により情報を書込みおよび消去可能な表示体において、
   前記基板上に厚さが２００μｍ以上からなり、かつ内部
   に微細な空隙を有する合成樹脂フィルムを介在して前記
   感熱記録層を積層したことを特徴とする表示体。