JPH0678574B2 - 高周波往復移動焼入方法および装置 - Google Patents

高周波往復移動焼入方法および装置

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JPH0678574B2
JPH0678574B2 JP2134776A JP13477690A JPH0678574B2 JP H0678574 B2 JPH0678574 B2 JP H0678574B2 JP 2134776 A JP2134776 A JP 2134776A JP 13477690 A JP13477690 A JP 13477690A JP H0678574 B2 JPH0678574 B2 JP H0678574B2
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heating
quenching
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日吉 渡邊
正之 栢原
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は同形の複数の長尺状ワークの高周波往復移動焼
入方法および装置に関する。
<従来の技術> 以下、図面を参照して従来の技術を説明する。第3図は
長尺状で同形の複数のワークを焼入する従来の高周波往
復移動焼入手段の説明図であって、(a)は被焼入部分
が1個である1番目のワーク、(b)は同じく2番目の
ワーク、(c)は複数の被焼入部分を有するワークの場
合を示し、(d)はワークと矯正ローラの側面説明図で
ある。
第3図(a)に示すように、環状の加熱コイル3の両側
には、それぞれ加熱コイル3と同期して移動する冷却液
噴射用のジャケット4aおよび4bが設けられている。長尺
状のワーク1の両端間の被焼入部分2に高周波焼入を施
すには、加熱コイル3にワーク1を挿入後、ワーク1を
その長手方向の軸を中心として矢印Bの方向に回転させ
ながら、加熱コイル3を矢印Aの方向に移動し、加熱コ
イル3が被焼入部分2に至ったときに加熱コイル3に通
電を開始し、加熱コイル3が被焼入部分2を通過したと
きに通電を断つ。この際、加熱コイル3を移動し始める
と共にジャケット4aから冷却液5aの噴射を開始し、加熱
コイル3が被焼入部分2を通過後ジャケット4aの冷却液
5aの噴射を停止する。
引き続き2番目のワーク1を焼入するには、第3図
(b)に示すように、2番目のワーク1を加熱コイル3
に挿入後このワーク1を長手方向の軸を中心として矢印
Bの方向に回転させながら、加熱コイル3を矢印Cの方
向(矢印Aと反対の方向)に移動すると共に、ジャケッ
ト4bから冷却液5bを噴射しつつ、最初のワーク1と同じ
要領で焼入する。
第3図(c)に示すように、ワーク1に例えば3個の被
焼入部分2a、2b、2cがある場合には、加熱コイル3を矢
印Aの方向に移動しながら、第3図(a)で説明した要
領で順次被焼入部分2a、2b、2cを焼入してゆく。即ち、
この場合、加熱コイル3への通電は、各被焼入部分2a、
2b、2cを通過する間のみ行うが、ジャケット4aからの冷
却液の噴射は連続して行われる。この後、ワーク1を加
熱コイル3から抜き出し、2番目のワークを加熱コイル
3に挿入して、最初のワーク1と同様に、但し加熱コイ
ル3を逆の方向に移動して2番目のワークを焼入する。
なお、第3図(d)に示すように、ワーク1はワーク1
の長さに応じて適当個数の矯正ローラ6上に載置されて
いるので、移動する加熱コイル3が矯正ローラ6に衝突
しないようにするために、加熱コイル3が矯正ローラ6
に接近するとその矯正ローラ6を図示しない昇降装置に
よって下降させ、加熱コイル3が通過すると上昇させて
再びその矯正ローラ6でワーク1を支持するようにして
いる。
<発明が解決しようとする課題> 上記した複数の長尺状のワークの従来の移動焼入方法に
は以下に述べる欠点がある。
焼入前にワークを加熱コイルに挿入し、焼入後はワー
クを加熱コイルから抜き出す作業が、ワークごとに必要
であるので、多数のワークを焼入する際には、ワークの
加熱コイルへの挿入、抜き出しのために極めて手間がか
かる。
複数の被焼入部分を有するワークを焼入する場合に
は、1個の加熱コイルで順次焼入して行くので時間がか
かる。
加熱コイルが矯正ローラに衝突するのを防止するため
に矯正ローラを下降上昇させる装置を必要とするので、
高周波焼入装置の構造が複雑になる。
本発明は上記事情に鑑みて創案されたものであって、長
尺状のワークの焼入位置への取り付けと取り外しを簡単
に行うことができると共に、一つの長尺状のワークの複
数の被焼入部分を一つの高周波電源によって同時に焼入
することができ、即ち、このようなワークを短時間で焼
入することができ、且つ、ワークの矯正ローラの昇降装
置を必要としない長尺状ワークの高周波移動焼入方法お
よび装置を提供することを目的としている。
<課題を解決するための手段> 上記問題を解決するために、本発明の高周波往復移動焼
入方法は、長尺円柱状の長尺円柱状の或いは長尺段付円
柱状のワークで各ワークが複数の長さの異なる被焼入部
分を有し且つそれぞれの被焼入部分の形状と寸法がどの
ワークでも同じである複数のワークを順次焼入する高周
波往復移動焼入方法であって、1番目のワークの長手方
向を軸としてこのワークを回転しながらこのワークの各
被焼入部分にそれぞれ1個ずつ降下載置した複数の鞍形
半開放型の加熱コイルに一つの高周波電源より同時に通
電を開始すると共に、全ての加熱コイルのワーク長手方
向への同速度による移動を同時に開始後、各加熱コイル
の移動方向と反対側に設けられ各加熱コイルと同速度で
同方向に移動する各ジャケットから冷却液の噴射を開始
し、次いで、各加熱コイルは、被焼入部分の長さの最も
短い被焼入部分から被焼入部分の短さの順番に被焼入部
分の加熱を終了次第順次移動を停止するとともにワーク
から離脱上昇されて、最長被焼入部分を加熱する加熱コ
イルを除く各加熱コイルの給電導体に設けたループ内に
擬似誘導負荷が挿入され、最長被焼入部分を加熱する加
熱コイルが最長被焼焼部分の加熱を終了したとき、全て
の加熱コイルの通電を断ってから、最長被焼入部分を加
熱した加熱コイルをワークから離脱上昇させ、一方、各
ジャケットは各被焼入部分を冷却後それぞれ停止して冷
却液の噴射を断ち、次に、1番目のワークを2番目のワ
ークに取り替えて後、2番目のワークの長手方向を軸と
してこのワークを回転しながら、最長被焼入部分を加熱
する加熱コイルを下降させてワークに載置すると同時に
全ての加熱コイルに前記高周波電源より通電を開始し、
同時に最長被焼入部分を加熱する加熱コイルを1番目の
ワークを焼入するときの移動方向と反対方向に移動し、
次いで、被焼入部分の長さの順番に、所定の時間をおい
て順次、各被焼入部分に各加熱コイルを下降載置後、載
置された各加熱コイルを、前記最長被焼入部分を加熱す
る加熱コイルの移動方向と同方向に同速度で移動させる
と共に、各加熱コイルの前記各ジャケットと反対側に設
けられ各加熱コイルと同速度で同方向に移動するジャケ
ットから冷却液の噴射を開始し、各加熱コイルが各被焼
入部分の加熱を同時に終了し移動を停止すると共に、全
ての加熱コイルへの通電を断ってワークより離脱上昇さ
せ、一方、各ジャケットは各被焼入部分を冷却後停止さ
せて冷却液の噴射を断ち、次いで、2番目のワークを3
番目のワークに取り替えて後、3番目のワークを1番目
のワークと同様に焼入後、3番目のワークを4番目のワ
ークに取り替えてから、4番目のワークを2番目のワー
クと同様に焼入し、以下同様な要領で順次ワークを往復
移動焼入することを特徴としている。
また、上記問題を解決するために、本発明の高周波往復
移動焼入装置は、(2)長尺円柱状の或いは長尺段付円
柱状のワークで各ワークが複数の長さの異なる被焼入部
分を有し且つそれぞれの被焼入部分の形状と寸法がどの
ワークでも同じである複数のワークを順次焼入する高周
波往復移動焼入装置であって、長手方向を軸として回転
しているワークの前記被焼入部分のそれぞれに1個ずつ
載置されこれら被焼入部分を誘導加熱する複数の鞍形半
開放型の加熱コイルと、各加熱コイルに通電する一つの
高周波電源と、これらの各コイルの移動方向の両側にそ
れぞれ配設した第1および第2のジャケットと、各加熱
コイルを前記方向に往復移動させるコイル移動手段と、
各加熱コイルを被焼入部分から離脱上昇および被焼入部
分に降下載置させるコイル昇降手段と、前記各ジャケッ
トを前記方向に各加熱コイルと同速度で移動させるジャ
ケット移動手段と、最長被焼入部分を加熱する加熱コイ
ル以外の各加熱コイルの給電導体に設けたループと、最
長被焼入部分を加熱する加熱コイル以外の各加熱コイル
が各被焼入部分から離脱上昇したときに前記ループ内に
挿入される擬似誘導負荷とを具備し、各被焼入部分を一
方の側から移動焼入する場合には第1のジャケットか
ら、他方の側から移動焼入する場合には第2のジャケッ
トから、それぞれ、冷却液を噴射するようにしている。
<作用> 1番目のワークの長手方向を軸としてこのワークを回転
しながらこのワークの各被焼入部分にそれぞれ1個ずつ
降下載置した複数の鞍形半開放型の加熱コイルに一つの
高周波電源より同時に通電を開始すると共に、全ての加
熱コイルのワーク長手方向への同速度による移動を同時
に開始後、各加熱コイルの移動方向と反対側に設けられ
各加熱コイルと同速度で同方向に移動する各ジャケット
から冷却液の噴射を開始し、次いで、各加熱コイルは、
被焼入部分の長さの最も短い被焼入部分から被焼入部分
の短さの順番に被焼入部分の加熱を終了次第順次移動を
停止するとともにワークから離脱上昇されて、最長被焼
入部分を加熱する加熱コイルを除く各加熱コイルの給電
導体に設けたループ内に擬似誘導負荷が挿入され、最長
被焼入部分を加熱する加熱コイルが最長被焼入部分の加
熱を終了したとき、全ての加熱コイルの通電を断ってか
ら、最長被焼入部分を加熱した加熱コイルをワークから
離脱上昇させ、一方、各ジャケットは各被焼入部分を冷
却後それぞれ停止して冷却液の噴射を断ち、次に、1番
目のワークを2番目のワークに取り替えて後、2番目の
ワークの長手方向を軸としてこのワークを回転しなが
ら、最長被焼入部分を加熱する加熱コイルを下降させて
ワークに載置すると同時に全ての加熱コイルに前記高周
波電源より通電を開始し、同時に最長被焼入部分を加熱
する加熱コイルを1番目のワークを焼入するときの移動
方向と反対方向に移動し、次いで、被焼入部分の長さの
順番に、所定の時間をおいて順次、各被焼入部分に各加
熱コイルを下降載置後、載置された加熱コイルを、前記
最長被焼入部分を加熱する加熱コイルの移動方向と同方
向に同速度で移動させると共に、各加熱コイルの前記各
ジャケットと反対側に設けられ各加熱コイルと同速度で
同方向に移動するジャケットから冷却液の噴射を開始
し、各加熱コイルが各被焼入部分の加熱を同時に終了し
移動を停止すると共に、全ての加熱コイルへの通電を断
ってワークより離脱上昇させ、一方、各ジャケットは各
被焼入部分を冷却後停止させて冷却液の噴射を断ち、次
いで、2番目のワークを3番目のワークに取り替えて
後、3番目のワークを1番目のワークと同様に焼入後、
3番目のワークを4番目のワークに取り替えてから、4
番目のワークを2番目のワークと同様に焼入し、以下同
様な要領で順次ワークを往復移動焼入する。
<実施例> 以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。第
1図は本発明の高周波往復移動焼入方法を実現すること
ができる高周波往復移動焼入装置の概略図、第2図は第
1図のC−C線矢視断面図である。
本実施例では、長尺状の段付のシャフト(以下ワークと
いう)100であって、長さがそれぞれl1、l2、l3(mm)
である被焼入部分H1、H2,H3を有し、複数組の矯正ロー
ラ50(第2図参照)上に載置されたワークを焼入する装
置とその動作について説明する。但し、説明の便のため
l1<l2<l3としている。
202は高周波電源であり、201は高周波電源202から供給
される電力を、3個の加熱コイル10、20、30にそれぞれ
の加熱コイルに見合うように分配することができる電力
分配調整器である。
10は被焼入部分H1を高周波電流によって加熱する鞍形半
開放型の加熱コイルであって、1対の給電導体11、11に
よってカレントトランス12に接続されている。一方の給
電導体11には、擬似誘導負荷15が挿入されるループ13が
形成されている。カレントトランス12は、電気的には可
撓ケーブル14を経由して電力分配調整器201に接続され
ている。カレントトランス12と一体化した加熱コイル10
は、加熱コイル10専用の図示しない移動装置によって、
ワーク100の長手方向(矢印Aの方向とその反対方向)
に速度V(mm/秒)で移動し且つ停止することができ
る。また、加熱コイル10は、加熱コイル10専用の図示し
ない昇降装置によって、カレントトランス12と共に上下
方向(矢印Dの方向および反対方向)に昇降し且つ停止
することができる。
16および17は加熱コイル10のワークの長手方向の前後に
配設された冷却液噴射用の第1および第2のジャケット
(以下単にジャケット16、ジャケット17という)であっ
て、これらジャケット16、17は加熱コイル10が昇降する
際に加熱コイル10に当たらないような距離だけ加熱コイ
ル10から水平方向に離れて配置されている。また、ジャ
ケット16、17はワーク100を容易に交換できる距離だけ
ワーク100から離れて設置されている。そして、ジャケ
ット16は、ジャケット16専用の図示しない移動装置によ
って、加熱コイル10と同じ速度でワーク100の長手方向
に移動することができる。同様に、ジャケット17もジャ
ケット17専用の図示しない移動装置によってワーク100
の長手方向に移動できる。
20は被焼入部分H2を焼入する加熱コイルであって、加熱
コイル10と同様に給電導体21、21、カレントトランス2
2、ループ23、擬似誘導負荷25、可撓ケーブル24および
加熱コイル10専用の前記移動装置、昇降装置と同様な加
熱コイル20専用の図示しない移動装置、昇降装置が設け
られている。26、27は、ジャケット16、17と同様な第1
および第2のジャケット(以下単にジャケット26、ジャ
ケット27という)であり、それぞれ、図示しない専用の
移動装置が設けられている。
30は被焼入部分H3を焼入する加熱コイルであって、加熱
コイル10と同様に給電導体31、31、カレントトランス3
2、可撓ケーブル34および加熱コイル10専用の前記移動
装置、昇降装置と同様な加熱コイル30専用の移動装置、
昇降装置が設けられている。36、37は、ジャケット16、
17と同様な第1および第2のジャケット(以下単にジャ
ケット36、ジャケット37という)であり、それぞれ、図
示しない専用の移動装置が設けられている。
擬似誘導負荷15、25は、それぞれ、加熱コイル10、20が
各被焼入部分H1、H2から離脱上昇したときに加熱コイル
10、20が各被焼入部分H1、H2を加熱しているときと同等
の電力を消費させるものであって、フェライト製等のコ
アであり、図示してないが、冷却液の流通によって冷却
されている。50はワーク100を歪みなく支持するために
適宜の複数組設けられた矯正ローラである。
以下、図面を参照して本装置によるワーク100の被焼入
部分H1、H2、H3の焼入作業を説明する。以下の説明にお
いて、各加熱コイルの移動および昇降は前記した各加熱
コイルの専用の移動装置および専用の昇降装置によって
行われ、また、各ジャケットの移動は前記した各ジャケ
ットの専用の移動装置によって行われる。
まず、1番目のワーク100を矯正ローラ50の上に載置し
た後、一端を例えば図示しないセンダーピン付のチャッ
クで把持し、他端を図示しないセンターピンで支持して
から、図示しない回転駆動装置でワーク100を長手方向
を軸として矢印Bの方向に回転する。前記した各加熱コ
イルの昇降装置によって加熱コイル10、20、30を下降さ
せる。即ち、加熱コイル10、20、30がそれぞれ第1図に
示す位置P1、、Q1、R1でワーク100の上に載置される。
但し、これら位置P1、Q1、R1は、加熱コイル10、20、30
を同時に同速で矢印Aの方向に移動開始したときに、加
熱コイル10、20、30がそれぞれ被焼入部分H1、H2、H3
加熱を開始すべき位置P2、Q2、R2にくるような位置に選
定されている。
加熱コイル10、20、30を、前記した各加熱コイルの移動
装置によって、同時に同速度で矢印Aの方向に移動を開
始すると共に、ジャケット16、17、26、27、36、37も矢
印Aの方向に加熱コイル10、20、30と同速度で同時に移
動を開始する。そして、ジャケット16、26、36からそれ
ぞれ冷却液l11、l21、l31の噴射を開始する。加熱コイ
ル10、20、30がそれぞれ位置P2、Q2、R2にくると、高周
波電源202から高周波電流を電力分配調整器201およびカ
レントトランス12、22、32を経由してそれぞれ加熱コイ
ル10、20、30に同時に通電開始する。
加熱コイル10が被焼入部分H1の加熱を終えるべき位置P3
を通過すると同時に矢印Aの方向への移動を中止し、加
熱コイル10の昇降装置によって矢印Dの方向にループ13
内に擬似誘導負荷15が十分挿入されるまで上昇して停止
する。従って、それまで加熱コイル10が消費していた電
力が擬似誘導負荷15で消費されるから、高周波電源202
に影響を与えないし、従って、また、他の加熱コイル2
0、30に印加される電圧も変化しないので、加熱コイル2
0、30による被焼入部分H2、H3の誘導加熱にも影響はな
い。
加熱コイル10が上昇しても、ジャケット16は被焼入部分
H1を通過し終えるまで矢印Aの方向への移動を続けて被
焼入部分H1に冷却液l11を噴射し続ける。そして、ジャ
ケット16は被焼入部分H1を通過後停止して冷却液l11
噴射を断ち、被焼入部分H1の焼入が終了する。
l1<l2であるから、加熱コイル10が被焼入部分H1の加熱
を終了して上昇しても、加熱コイル20はいまだ被焼入部
分H2を加熱中であり、加熱コイル20が被焼入部分H2の加
熱を終えるべき位置Q3にくると、加熱コイル20は矢印A
の方向への移動を中止して矢印Dの方向へ擬似誘導負荷
25がループ23内に十分挿入されるまで上昇して停止す
る。従って、それまで加熱コイル20が消費していた電力
が擬似誘導負荷25で消費される。加熱コイル20が上昇し
ても、ジャケット26は被焼入部分H2を通過し終えるまで
矢印Aの方向への移動を続けて被焼入部分H2に冷却液l
21を噴射し続ける。そして、ジャケット26は被焼入部分
H2を通過後、停止して冷却液l21の噴射を断ち、被焼入
部分H2の焼入が終了する。
l2<l3であるから、加熱コイル20が被焼入部分H2の加熱
を終了して上昇しても、加熱コイル30はいまだ被焼入部
分H3を加熱中であり、加熱コイル30が被焼入部分H3の加
熱を終えるべき位置R3にくると、加熱コイル10、20、30
への通電を同時に停止し、加熱コイル30は矢印Aの方向
への移動を中止して矢印Dの方向へワーク100から離脱
上昇後停止する。ジャケット36は被焼入部分H3を通過し
終えるまで矢印Aの方向への移動を続けて被焼入部分H3
に冷却液l31を噴射し続ける。そして、ジャケット36は
被焼入部分H3を通過後、停止して冷却液l31の噴射を断
ち、被焼入部分H3の焼入を終了する。
このように、高周波電源202の出力電力を常に一定に保
ちながら、1番目のワーク100の被焼入部分H1、H2、H3
の加熱を終了した。
なお、上記したように、加熱コイル10が加熱終了後、加
熱コイル20は、(l2−l1)/V=t2秒間被焼入部分H2の加
熱を続けており、また、加熱コイル20が加熱終了後、加
熱コイル30は、(l3−l2)/V=t3秒間被焼入部分H3の加
熱を続けている。
1番目のワーク100の焼入が終わった状態では、加熱コ
イル10、20、30は全て上昇した位置にあるので、容易
に、1番目のワーク100を2番目のワーク(以下2番目
のワークをワーク200と記す)に取り替えることができ
る。ワーク200を1番目のワーク100と同様の焼入位置に
取り付け後、ワーク200を長手方向を軸として矢印Bの
方向に回転させる。
次に、ジャケット36を矢印Aと反対方向に移動を開始す
る。加熱コイル30を降下しても加熱コイル30がジャケッ
ト36に当たらないようなタイミングで加熱コイル30を降
下させてワーク200の位置R3に載置すると同時に加熱コ
イル10、20、30に高周波電源202より同時に通電を開始
すると共に、加熱コイル30の矢印Aと反対方向へ移動を
開始する。そして、加熱コイル30が位置R2にきたときに
加熱コイル30の通電を断ってから、加熱コイル30が位置
R1にきたときに加熱コイル30の移動を停止する。この
間、加熱コイル30がワーク200に載置されると同時にジ
ャケット37から冷却液l32の噴射を開始すると共に、ジ
ャケット37を矢印Aと反対方向に加熱コイル30と同速度
で移動を開始し、ジャケット37が被焼入部分H3を通過
後、冷却液l32の噴射と移動を停止して、ワーク200の被
焼入部分H3の焼入を終了する。
加熱コイル30の下降を開始後、前記のt3秒が経過した時
に、加熱コイル20の下降を開始し、以下、加熱コイル20
とジャケット27とによって、被焼入部分H3と同様の要領
で、ワーク200の被焼入部分H2の焼入を行う。但し、加
熱コイル20の下降開始前、ジャケット36と同様にジャケ
ット26の移動を開始しておくものとする。
加熱コイル20の下降を開始後、前記のt2秒が経過した時
に、加熱コイル10の下降を開始し、以下、加熱コイル10
とジャケット17とによって、被焼入部分H2と同様の要領
で、ワーク200の被焼入部分H1の焼入を行う。但し、加
熱コイル10の下降開始前、ジャケット26と同様にジャケ
ット16の移動を開始しておくものとする。
このようにして、ワーク200の被焼入部分H1、H2、H3
焼入を同時に終了する。この時点で、ワーク交換のため
に、加熱コイル10、20、30を上昇させる。そして、ワー
ク200の回転を停止後、ワーク200を3番目のワークに取
り替え、3番目のワークを1番目のワーク100と同様に
焼入し、また、4番目のワークは、2番目のワーク200
と同様に焼入する。以下のワークに対しても順次同様の
要領で焼入を行う。
なお、本実施例のワークは段付のシャフトであったが、
段がない円柱状シャフト等であってもよい。また、被焼
入部分H1、H2、H3の長さの大小関係はl1<l2<l3にこだ
わるものではなく、いかなる大小関係であっても本実施
例と同様に焼入することができる。被焼入部分は3個所
にこだわるものではない。
<発明の効果> 以上説明したように、本発明の高周波往復移動焼入方法
と装置は、長尺円柱状の或いは長尺段付円柱状のワーク
で各ワークが複数の長さの異なる被焼入部分を有し且つ
それぞれの被焼入部分の形状と寸法がどのワークでも同
じである複数のワークを順次焼入する高周波往復移動焼
入方法および装置であって、1番目のワークの長手方向
を軸としてこのワークを回転しながらこのワークの各被
焼入部分にそれぞれ1個ずつ降下装置した複数の鞍形半
開放型の加熱コイルに一つの高周波電源より同時に通電
を開始すると共に、全ての加熱コイルのワーク長手方向
への同速度による移動を同時に開始後、各加熱コイルの
移動方向と反対側に設けられ各加熱コイルと同速度で同
方向に移動する各ジャケットから冷却液の噴射を開始
し、次いで、各加熱コイルは、被焼入部分の長さの最も
短い被焼入部分から被焼入部分の短さの順番に被焼入部
分の加熱を終了次第順次移動を停止するとともにワーク
から離脱上昇されて、最長被焼入部分を加熱する加熱コ
イルを除く各加熱コイルの給電導体に設けたループ内に
擬似誘導負荷が挿入され、最長被焼入部分を加熱する加
熱コイルが最長被焼入部分の加熱を終了したとき、全て
の加熱コイルの通電を断ってから、最長被焼入部分を加
熱した加熱コイルをワークから離脱上昇させ、一方、各
ジャケットは各被焼入部分を冷却後それぞれ停止して冷
却液の噴射を断ち、次に、1番目のワークを2番目のワ
ークに取り替えて後、2番目のワークの長手方向を軸と
してこのワークを回転しながら、最長被焼入部分を加熱
する加熱コイルを下降させてワークに載置すると同時に
全ての加熱コイルに前記高周波電源より通電を開始し、
同時に最長被焼入部分を加熱する加熱コイルを1番目の
ワークを焼入れするときの移動方向と反対方向に移動
し、次いで、被焼入部分の長さの順番に、所定の時間を
おいて順次、各被焼入部分に各加熱コイルを下降載置
後、載置された各加熱コイルを、前記最長被焼入部分を
加熱する加熱コイルの移動方向と同方向に同速度で移動
させると共に、各加熱コイルの前記各ジャケットと反対
側に設けられ各加熱コイルと同速度で同方向に移動する
ジャケットから冷却液の噴射を開始し、各加熱コイルが
各被焼入部分の加熱を同時に終了し移動を停止すると共
に、全ての加熱コイルへの通電を断ってワークより離脱
上昇させ、一方、各ジャケットは各被焼入部分を冷却後
停止させて冷却液の噴射を断ち、次いで、2番目のワー
クを3番目のワークに取り替えて後、3番目のワークを
1番目のワークと同様に焼入後、3番目のワークを4番
目のワークに取り替えてから、4番目のワークを2番目
のワークと同様に焼入し、以下同様な要領で順次ワーク
を往復移動焼入する。
従って、本発明の高周波往復移動焼入方法および装置に
よれば、長尺状のワークの焼入位置への取り付けと取り
外しを簡単に行うことができると共に、一つの長尺状の
ワークの複数の被焼入部分を、一つの高周波電源によっ
て且つこの高周波電源に変動を与えることなく、同時に
焼入することができ、即ち、このようなワークを短時間
で焼入することができる。しかも、ワークの矯正ローラ
の昇降装置を必要とすることがないので焼入装置の構造
が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の高周波往復移動焼入方法を実現するこ
とができる高周波往復移動焼入装置の概略図、第2図は
第1図のC−C線矢視断面図である。第3図は長尺状で
同形の複数のワークを焼入する従来の高周波往復移動焼
入手段の説明図であって、(a)は被焼入部分が1個で
ある1番目のワーク、(b)は同じく2番目のワーク、
(c)は複数の被焼入部分を有するワークの場合を示
し、(d)はワークと矯正ローラの側面説明図である。 10、20、30……加熱コイル、11、21、31……給電導体、
13、23……ループ、15、25……擬似誘導負荷、16、17、
26、27、36、37……ジャケット、100、200……ワーク、
H1、H2、H3……被焼入部分。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長尺円柱状の或いは長尺段付円柱状のワー
    クで各ワークが複数の長さの異なる被焼入部分を有し且
    つそれぞれの被焼入部分の形状と寸法がどのワークでも
    同じである複数のワークを順次焼入する高周波往復移動
    焼入方法であって、1番目のワークの長手方向を軸とし
    てこのワークを回転しながらこのワークの各被焼入部分
    にそれぞれ1個ずつ降下載置した複数の鞍形半開放型の
    加熱コイルに一つの高周波電源より同時に通電を開始す
    ると共に、全ての加熱コイルのワーク長手方向への同速
    度による移動を同時に開始後、各加熱コイルの移動方向
    と反対側に設けられ各加熱コイルと同速度で同方向に移
    動する各ジャケットから冷却液の噴射を開始し、次い
    で、各加熱コイルは、被焼入部分の長さの最も短い被焼
    入部分から被焼入部分の短さの順番に被焼入部分の加熱
    を終了次第順次移動を停止するとともにワークから離脱
    上昇されて、最長被焼入部分を加熱する加熱コイルを除
    く各加熱コイルの給電導体に設けたループ内に擬似誘導
    負荷が挿入され、最長被焼入部分を加熱する加熱コイル
    が最長被焼部分の加熱を終了したとき、全ての加熱コイ
    ルの通電を断ってから、最長被焼入部分を加熱した加熱
    コイルをワークから離脱上昇させ、一方、各ジャケット
    は各被焼入部分を冷却後それぞれ停止して冷却液の噴射
    を断ち、次に、1番目のワークを2番目のワークに取り
    替えて後、2番目のワークの長手方向を軸としてこのワ
    ークを回転しながら、最長被焼入部分を加熱する加熱コ
    イルを下降させてワークに載置すると同時に全ての加熱
    コイルに前記高周波電源より通電を開始し、同時に最長
    被焼入部分を加熱する加熱コイルを1番目のワークを焼
    入するときの移動方向と反対方向に移動し、次いで、被
    焼入部分の長さの順番に、所定の時間をおいて順次、各
    被焼入部分に各加熱コイルを下降載置後、載置された各
    加熱コイルを、前記最長被焼入部分を加熱する加熱コイ
    ルの移動方向と同方向に同速度で移動させると共に、各
    加熱コイルの前記各ジャケットと反対側に設けられ各加
    熱コイルと同速度で同方向に移動するジャケットから冷
    却液の噴射を開始し、各加熱コイルが各被焼入部分の加
    熱を同時に終了し移動を停止すると共に、全ての加熱コ
    イルへの通電を断ってワークより離脱上昇させ、一方、
    各ジャケットは各被焼入部分を冷却後停止させて冷却液
    の噴射を断ち、次いで、2番目のワークを3番目のワー
    クに取り替えて後、3番目のワークを1番目のワークと
    同様に焼入後、3番目のワークを4番目のワークに取り
    替えてから、4番目のワークを2番目のワークと同様に
    焼入し、以下同様な要領で順次ワークを往復移動焼入す
    ることを特徴とする高周波往復移動焼入方法。
  2. 【請求項2】長尺円柱状の或いは長尺段付円柱状のワー
    クで各ワークが複数の長さの異なる被焼入部分を有し且
    つそれぞれの被焼入部分の形状と寸法がどのワークでも
    同じである複数のワークを順次焼入する高周波往復移動
    焼入装置であって、長手方向を軸として回転しているワ
    ークの前記被焼入部分のそれぞれに1個ずつ載置されこ
    れら被焼入部分を誘導加熱する複数の鞍形半開放型の加
    熱コイルと、各加熱コイルに通電する一つの高周波電源
    と、これらの各コイルの移動方向の両側にそれぞれ配設
    した第1および第2のジャケットと、各加熱コイルを前
    記方向に往復移動させるコイル移動手段と、各加熱コイ
    ルを被焼入部分から離脱上昇および被焼入部分に降下載
    置させるコイル昇降手段と、前記各ジャケットを前記方
    向に各加熱コイルと同速度で移動させるジャケット移動
    手段と、最長被焼入部分を加熱する加熱コイル以外の各
    加熱コイルの給電導体に設けたループと、最長被焼入部
    分を加熱する加熱コイル以外の各加熱コイルを各被焼入
    部分から離脱上昇したときに前記ループ内に挿入される
    擬似誘導負荷とを具備し、各被焼入部分を一方の側から
    移動焼入する場合には第1のジャケットから、他方の側
    から移動焼入する場合には第2のジャケットから、それ
    ぞれ、冷却液を噴射することを特徴とする高周波往復移
    動焼入装置。
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