JPH0677998U - 回転式粉末圧縮成形機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案の目的は、下杵の下杵本体の内周面と中
心杵の外周面との間の隙間を通って落下する粉末が、下
杵の下方へ落下することを少なくして、連続運転時間を
延長できる回転式粉末圧縮成形機を得ることにある。 【構成】リング形圧縮成形品の製造を行う下杵３が、軸
方向に延びる一対の長孔８を有した上下動自在な中空の
下杵本体５と、この下杵本体５の空芯部５ａに配置され
て一対の長孔８を通る固定軸１０を介して回転盤１に支
持される中心杵６とを有する。下杵本体５の周部を取囲
んでこの本体５と中心杵６との間の隙間Ｇに長孔８を介
して連通する吸塵室１３を回転盤１に設ける。吸塵室１
３を真空吸引源２７につなげて、下杵３の下杵本体５の
内周面と中心杵６の外周面との間の隙間Ｇを通って落下
する粉末を、真空吸引により下杵３の長孔８を通して外
部に取除くことを特徴としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は孔空き錠やトローチ等のリング形圧縮成形品を製造する回転式粉末圧 縮成形機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

実公昭５３−４０５３１号公報で知られているようにリング形錠剤の製造機が 備える下杵は、軸方向に延びる一対の長孔を有した中空の下杵本体と、この下杵 本体の空芯部に配置された中心杵とを有し、下杵本体は上下動される。また、中 心杵はその下端部および一対の長孔を貫通して回転盤に取付けられた中心杵支え 軸に支持され、その上端は回転盤に取付けられた臼の上端面と同じ高さとなって いる。

【０００３】 そして、臼内への粉末材料の供給の際には、下杵本体は下降され、したがって 、この下杵本体の上端から突出された中心杵の上部と臼の内周面との間に形成さ れるリング形の臼内空間に粉末材料が充填される。この充填後に、リング形をな す上杵を臼内に挿入させるとともに下杵本体を上昇させることにより、臼内にお いて粉末材料をリング形状に圧縮成形できる。

【０００４】 前記圧縮成形の際、臼内の粉末材料の一部が成形圧力によって臼の下方へ漏れ 出ることは知られている。このような粉末の漏れは、臼の内周面と下杵本体の外 周面との間の隙間、および下杵本体の内周面と中心杵の外周面との間の隙間を通 して発生する。

【０００５】 このような落下粉末に対処するために従来の回転式粉末圧縮成形機では、下杵 の上下動を案内する回転盤にゴム製の防塵シールを取付けている。このシールは 、回転盤の下杵案内部の上面に取付けられ、下杵が貫通する中心孔の縁を下杵の 外周面に接触させて、臼の下方に漏れ落ちる粉末が下杵摺動部に侵入することを 防止している。

【０００６】 しかし、この防塵対策では下杵本体の内周面と中心杵の外周面との間の隙間を 通って落下する粉末には効果がない。そして、前記隙間に対して防塵シールを施 すことは難しい。例えば、前記中心杵の外周にＯリングを取付ける場合には、こ のＯリングで落下粉末が塞き止められるから、それより上側位置に粉末が溜まっ て固まり、下杵本体の上下動不良を生じる恐れが高い。このような事情から従来 の回転式粉末圧縮成形機においては、下杵本体の内周面と中心杵の外周面との間 の隙間を通って落下する粉末に対する防塵対策は、格別に採用されていなかった 。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

そのため、従来の回転式粉末圧縮成形機は、下杵本体の内周面と中心杵の外周 面との間の隙間を通って落下する粉末が、そのまま中空の下杵本体の空芯部を通 って、下杵に上下動を与える各種の下杵軌道や加圧ローラ等に付着する。したが って、下杵の焼付き等を防止する上で、比較的短時間に分解掃除をする必要が発 生してしまい、従来の回転式粉末圧縮成形機はその連続運転時間が短いという問 題がある。

【０００８】 本考案の目的は、下杵の下杵本体の内周面と中心杵の外周面との間の隙間を通 って落下する粉末が、下杵の下方へ落下することを少なくして、連続運転時間を 延長できる回転式粉末圧縮成形機を得ることにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、回転盤に取付けた臼内に挿入配置される上部よりも下方に軸方向に 延びる一対の長孔を有した上下動自在な中空の下杵本体と、この下杵本体の空芯 部に配置されて前記一対の長孔を通る中心杵支え軸を介して回転盤に支持される とともに、上端が前記臼の上面と同じ高さ位置に設けられる中心杵とを有する下 杵を備えて、リング形圧縮成形品の製造を行う回転式粉末圧縮成形機に適用され る。

【００１０】 そして、前記目的を達成するために、前記下杵本体の周部を取囲んで前記下杵 本体と前記中心杵との間の隙間に前記長孔を介して連通する吸塵室を前記回転盤 に設け、この吸塵室を真空吸引源につなげたものである。

【００１１】

【作用】

前記構成の回転式粉末圧縮成形機において、この成形機の運転時に真空吸引源 が動作され、この吸引源は吸塵室を負圧にする。また、下杵本体の長孔は、この 本体の上下動の際にその動作が中心杵支え軸に当たって邪魔されないようにする だけでなく、下杵本体および中心杵間の隙間と吸塵室とを連通する通路となる。 そのため、真空吸引源の動作により、中空の下杵本体内の空気を長孔および吸塵 室を順次通して下杵外に排出し、この排気の流れに、下杵本体と中心杵との間の 隙間を通って臼外に落下する粉末をのせて取除くことができる。したがって、下 杵の下方にその空芯部を通って落下する粉末を少なくする。

【００１２】

【実施例】

以下、図１〜図３を参照して本考案の一実施例を説明する。

【００１３】 図１はリング形錠剤を製造する回転式打錠機の下杵回りの構成を示す断面図で あって、この図１において下杵はその中心線から左側が最大下降状態を示し、同 じく右側が最大上昇状態を示している。

【００１４】 この図１および図２中１は前記回転式打錠機の回転盤である。図１に示される ように回転盤１はその全周に渡るとともに外側方に張出す臼取付け部１ａと、同 じく全周に渡るとともに外側方に張出す下杵取付け部１ｂとを備えている。臼取 付け部１ａには所定間隔ごとに多数の臼２（図１に一つのみ図示）が取付けられ ているとともに、下杵取付け部１ｂには前記臼２と同一間隔をもって多数の下杵 ３が取付けられている。

【００１５】 各下杵３は下杵取付け部１ｂに設けられた多数の下杵取付け孔４（図１に一つ のみ図示）に夫々別々に貫通している。これら下杵３は、図１および図３に示さ れるように上下両端が開口された下杵本体５と、この本体５の空芯部５ａに収容 された中心杵６とを備えている。

【００１６】 下杵取付け孔４の内面を摺動して上下動される下杵本体５は、図１に示した下 杵軌道或いは加圧ロール等の下杵昇降用部材７との係合により上下動されるよう になっている。この下杵本体５の軸方向中間部には軸方向に延びる一対の長孔８ が、この本体５の周方向に 180゜位置をずらして形成されている。

【００１７】 下杵本体５の上端部５ｂは、臼２内に、この臼２の底をなして挿入配置されて いる。また、下杵本体５の下部外面にはカラー９が回転自在に嵌合されている。 このカラー９の傾斜された上面は図示しない下杵引下げ用の下杵軌道に対して接 触されるものであって、その接触により追従回転され、もって、後述の固定軸に より回転不能に設けられる下杵本体５に回転力を与えないようにするために使用 されている。

【００１８】 中心杵６は、上部の小径部６ａと、この小径部６ｂの強度を保証する下部の大 径部６ｂとで形成され、その小径部６ａは前記上端部５ｂの中央を貫通して臼２ の中心部に挿入されている。この中心杵６は、下杵案内部１ｂにその外周側から 中心方向に向けて挿入されて大径部６ｂを通る中心杵支え軸としての固定軸１０ で支持されており、この固定軸１０は一対の長孔８を貫通して下杵本体５の回転 を妨げている。このようにして取付けられた中心杵６の上端は臼２の上面と同じ 高さ位置に保持されている。なお、図１および図２中１１は固定軸１０の抜止め 板、１２はこの抜止め板１１を下杵案内部１ｂに固定するねじである。

【００１９】 前記回転盤１には各下杵３に夫々別々に対応して吸塵室１３が設けられている 。この実施例においては下杵案内部１ｂの上面に複数本の下杵３が夫々貫通する 平面視円弧状（図２参照）の吸塵ブロック１４を複数取付けて、これらブロック １４の内面と下杵案内部１ｂの上面との間に下杵本体５の周部を夫々別々に取囲 む複数の吸塵室１３を形成している。各吸塵室１３は吸塵ブロック１４の外周面 に開口される吸塵口１３ａを夫々有している。

【００２０】 なお、図１および図２において１５はブロック取付け溝、１６は着脱可能なブ ロック外れ止め具である。しかも、吸塵ブロック１４の上壁には、その軸受け貫 通部分に夫々位置してゴム製の防塵シール１７が取付けられている。このシール １７の内周リップ部は下杵本体５の外周面に接触されている。

【００２１】 図１および図２中１８は固定の取付け台であって、これには回転式打錠機の少 なくとも圧縮（予圧、本圧）成形位置において集塵ブロック１９が取付けられて いる。つまり、このブロック１９は、図２に示されるように平面視円弧状をなし て、前記圧縮成形位置に対応して配置された吸塵ブロック１４に近接して配置さ れている。

【００２２】 吸塵ブロック１９は、取付け台１８にねじ２０で固定された下部ブロックピー ス２１と、このピース２１および取付け台１８にねじ２２で固定された上部ブロ ックピース２３と、取付け台１８にねじ止めされた継手２４とを備えている。上 部ブロックケース２３と下部ブロックケース２１との相互間には集塵室２５が形 成され、この室２５の入口２５ａは圧縮成形位置に配置された各前記吸塵室１３ の吸塵口１３ａの夫々に僅かな隙間を介して連通されている。

【００２３】 図１に示されるように継手２４は集塵室２５の出口を形成して、この集塵室２ ５の一部に連通されている。そして、継手２５には図示しない通気配管を介して 真空ポンプ２６を備える真空吸引源２７がつなげられている。

【００２４】 なお、図１および図２中２８は防塵壁で、取付け台１８の内周面に下端を固定 して設けられ、回転盤１の臼取付け部１ａの外周をこれに近接して覆っている。 勿論、防塵壁２８は集塵ブロック１９を逃げる切欠を有している。また、２９は 臼取付け部１ａから落下する粉末を受けるために下杵案内部１ｂの全周にわたり 一体に張り出された落下粉末受けである。

【００２５】 前記構成を備える回転式打錠機において、回転盤１の回転により、下杵３が図 示しない粉末供給位置に運ばれると、この下杵３の下杵本体５が図１の中心線の 左側に示されるように最大に下降され、その下降動作に伴って臼２の内周面と下 杵３の中心杵６との間に形成される臼内空間内に粉末供給器内の粉末が吸込み充 填される。次に、前記下杵３は粉末供給位置から秤量位置を経て図２に示される 圧縮成形位置に運ばれる。

【００２６】 この圧縮成形位置では、臼２内にその上方から図示しないリング形の上杵が挿 入された直後に、前記下杵３の下杵本体５が押し上げられるので、互いに接近す る下杵本体５と上杵とにより臼２内に充填された粉末材料が圧縮成形される。こ の圧縮成形時において下杵本体５の上昇により、その長孔８は回転盤１の下杵案 内部１ｂの上面から上方に変位されて吸塵室１３内に配置される。

【００２７】 また、圧縮成形後に前記下杵３が製品取出し位置に運ばれると、下杵本体５が 図１の中心線の右側に示されるように最大に上昇されて、臼２内から圧縮成形さ れたリング形錠剤（図示しない）を臼取付け部１ａの上面に押し出して、この製 品は図示しないスクレーパにより回転盤１外に導かれる。

【００２８】 回転式打錠機は下杵３が回転盤１とともに１回転されることにより前記のよう な１成形サイクルを実施して、リング形錠剤の成形を行う。そして、この成形動 作中真空吸引源２７の真空ポンプ２６が動作される。この真空吸引源２７の動作 により、集塵ブロック１９の集塵室２５内の空気が吸引されるから、この集塵室 ２５と連通されている吸塵室１３内は負圧となる。

【００２９】 この吸塵室１３は既述のように圧縮成形位置にあるが、この位置では、臼２か らその下方へ粉末が最も落下し易いとともに、下杵本体５の長孔８が既述のよう に吸塵室１３内に配置されるから、このとき、長孔８を介して下杵３における下 杵本体５と中間杵６との間に形成される隙間Ｇが、吸塵室１３に連通される。

【００３０】 したがって、下杵本体５の空芯部５ａ内の空気が長孔５を通って吸塵室１３に 吸出され、この吸塵室１３の吸塵口１３ａから集塵室２５に流入し、集塵室２５ の出口をなす継手２４から通気配管（図示しない）を介して真空吸引源２７に吸 込まれる。このような吸気流により、下杵３の下杵本体５と中心杵６との間の隙 間Ｇを通って落下する粉末を、長孔８を通して速かに下杵３外に排出できる。

【００３１】 そのため、下杵本体５の空芯部５ａを通って、その下端から落下する粉末の量 を少なくできることにより、落下粉末が下杵軌道や加圧ローラ等の下杵昇降用部 材７への落下粉末の付着堆積を少なくできる。したがって、下杵３の下杵本体５ と下杵昇降用部材７との焼付きが発生する恐れが少ないから、下杵３や下杵昇降 用部材７を短時間ごとに清掃する必要性が少なくなって、この回転式打錠機を長 時間連続して運転することができる。

【００３２】 なお、臼２の内周面と下杵本体５との間を通って落下する粉末は、防塵シール １７により遮られて、下杵取付け孔４内に侵入することがないことは勿論であり 、また、この落下粉末は、吸塵ブロック１４上から圧縮成形位置を外れた下杵案 内部１ｂ上面に落下して、やがて、遠心力により落下粉末受け２９内に移動され て受けられる。

【００３３】 前記一実施例は以上のように構成したが本考案は前記一実施例には制約されな い。例えば、中心杵支え軸は固定軸ではなく、その両端部を回転自在な軸受環に 支持して、この軸受環とともに回転盤に対して回転自在に設けられるものであっ てもよい。また、吸塵室は下杵案内部の内部に形成してもよい。

【００３４】

【考案の効果】 以上詳記したように本考案の回転式粉末圧縮成形機においては、下杵本体の長 孔および吸塵室を順次通して排出される中空の下杵本体内の空気にのせて、下杵 本体と中心杵との間の隙間を通って臼外に落下する粉末を取除く構成であるから 、下杵の下方にその空芯部を通って落下する粉末を少なくでき、したがって、下 杵の下方に位置されて下杵に上下動を与える下杵軌道や加圧ローラ等に対する落 下粉末の付着が少なくなるから、連続運転時間を延長できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る回転式打錠機の下杵回
り構成を示す断面図。

【図２】図１中Ｚ−Ｚ線に沿う断面図。

【図３】同実施例に係る下杵の構成を示す正面図。

【符号の説明】

１…回転盤 ２…臼、３…下
杵、 ５…下杵本体、５ａ…下
杵本体の空芯部、 ６…中心杵、７…下杵昇降
用部材、 ８…長孔、１０…固定軸（中心
杵支え軸）、 １３…吸塵室、１３ａ…吸塵口、
１４…吸塵ブロック、１７…防塵シー
ル、 １９…集塵ブロック、２５…集塵
室、 ２６…真空ポンプ、２７…真
空吸引源、 Ｇ…隙間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転盤に取付けた臼内に挿入配置される上
   部よりも下方に軸方向に延びる一対の長孔を有した上下
   動自在な中空の下杵本体と、この下杵本体の空芯部に配
   置されて前記一対の長孔を通る中心杵支え軸を介して回
   転盤に支持されるとともに、上端が前記臼の上面と同じ
   高さ位置に設けられる中心杵とを有する下杵を備えて、
   リング形圧縮成形品の製造を行う回転式粉末圧縮成形機
   において、 前記下杵本体の周部を取囲んで前記下杵本体と前記中心
   杵との間の隙間に前記長孔を介して連通する吸塵室を前
   記回転盤に設け、この吸塵室を真空吸引源につなげたこ
   とを特徴とする回転式粉末圧縮成形機。