JPH0677687A - 車載電磁波シールドケース - Google Patents

車載電磁波シールドケース

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JPH0677687A
JPH0677687A JP4226790A JP22679092A JPH0677687A JP H0677687 A JPH0677687 A JP H0677687A JP 4226790 A JP4226790 A JP 4226790A JP 22679092 A JP22679092 A JP 22679092A JP H0677687 A JPH0677687 A JP H0677687A
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典宏 大田
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    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K9/00Screening of apparatus or components against electric or magnetic fields
    • H05K9/0007Casings
    • H05K9/0047Casings being rigid plastic containers having conductive particles, fibres or mesh embedded therein

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】車両に搭載される電子部品用として、充分なシ
ールド効果を有し、しかも成形性に優れた電磁波シール
ドケースを提供する。 【構成】電磁波シールドケースが、3〜10重量%のス
テンレス繊維と、カーボンブラックおよびタルクの少な
くとも一方とを含む配合材がポリプロピレン樹脂中に1
3〜65重量%で配合されて成る樹脂組成物により形成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に搭載される電子
部品、たとえばエンジン制御系、安全系、操舵系、駆動
系、照明系および空調系等の電子制御ユニット、ならび
にセンサおよびアクチュエータ等に用いられる電磁波シ
ールドケースに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車載電子部品において電磁波をシ
ールドするにあたっては、次の(a)〜(e)のような
対策が施されている。
【0003】(a)シールド性を確保するためにケース
を鋼板で形成する。(b)一般樹脂材製ケースが取付け
られる回路基板上を金属板から成るカバーで覆う。(c
−1)Cu,Al,ステンレス鋼等の金属繊維の添加に
より導電化した樹脂材でケースを形成する。(c−2)
Al,Ni等の金属フレークの添加により導電化した樹
脂材でケースを形成する。(c−3)カーボンブラック
の添加により導電化した樹脂材でケースを形成する。
(d)一般樹脂材で形成されるケースに導電性塗料を塗
布する。(e)一般樹脂材で形成されるケースにメッキ
を施す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記(a)
〜(e)の従来技術では、それぞれ次のような問題があ
る。(a)軽量化ニーズに対応することができないだけ
でなく、複雑な形状に対応し難く且つ製造コストが増大
する。(b)回路基板の裏面からの電磁波に対するシー
ルドが不可能であるだけでなく、カバーを設ける分だけ
コストが増大する。(c−1)Cu,Alでは10重量
%以上添加しないと良好なシールド効果が期待できず、
したがって樹脂材の比重が大きくなって割高となる。ま
たステンレス繊維については10重量%以下の添加でも
良好なシールド効果が期待できるが、軽量化、低コスト
化およびリサイクル性に対して合致するポリプロピレン
との組合せでは、少なくとも8重量%以上添加しなけれ
ば冷熱サイクルによる劣化が激しくなるので車載用とし
ての環境に適応できず、したがってコスト増大につなが
る。(c−2)Cu,Niでは10重量%以上添加しな
いと良好なシールド効果が期待できず、したがって樹脂
材の比重が大きくなって割高となる。(C−3)30重
量%以上のカーボンブラックを添加しなければシールド
効果が得られないので、シールドケースが脆くなり、ま
た流動性が低下することにより成形性の点で問題があ
る。(d)塗膜の剥離が生じ易く、外観商品性に劣る。
(e)メッキの剥離が生じ易く、外観商品性を考えると
さらに塗装する必要があるのでコスト増大につながる。
【0005】本発明は、上述の各問題を全て解決した車
載電磁波シールドケースを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に従う車載電磁波シールドケースは、3〜1
0重量%のステンレス繊維と、カーボンブラックおよび
タルクの少なくとも一方とを含む配合材がポリプロピレ
ン樹脂中に13〜65重量%で配合されて成る樹脂組成
物により形成される。
【0007】本発明のステンレス繊維は、その線径が8
〜15μm、長さが2〜10mmであることが望まし
い。
【0008】
【作用】ポリプロピレン樹脂は、比重が比較的小さくか
つ安価であり、しかも熱変形温度が車載用として必要な
100℃以上である。
【0009】タルクは、ポリプロピレン樹脂中への添加
により、優れた寸法安定性を発揮するとともに、強度、
剛性および耐熱性の向上に寄与する。特にポリプロピレ
ン樹脂の熱膨張係数を小さくして、冷熱サイクル等によ
る劣化を抑制する効果がある。
【0010】カーボンブラックは、ポリプロピレン樹脂
中への添加により、優れた寸法安定性を発揮するととも
に、ポリプロピレン樹脂の熱膨張係数を小さくして、冷
熱サイクル等による劣化を抑制する効果があり、しかも
若干の導電性を付与してシールド劣化を抑制する。
【0011】ステンレス繊維は、低充填率でも体積抵抗
率を低下させることができ、低比重による軽量化を図る
ことができる。またステンレス繊維は、ポリプロピレン
樹脂への単独充填ではシールド効果が低下するが、タル
クおよびカーボンブラックの少なくとも一方を充填した
ポリプロピレン樹脂への充填ではシールド劣化の大幅改
善が図られる。しかも添加量を3〜10重量%と制限す
ることにより、車載用としてのシールド機能を保証する
ことが可能であるとともに、シールドケース成形用の部
材の摩耗を抑えることが可能となる。
【0012】さらに配合材のポリプロピレン樹脂中への
充填量を13〜65重量%と制限することにより、射出
成形に必要な粘度を確保することができる。
【0013】
【実施例】以下、図面により本発明の一実施例について
説明する。
【0014】先ず図1において、車両に搭載される電子
部品のシールドケース10は、下ケース部材11と、上
ケース部材12とが相互に結合されて成るものであり、
両ケース部材11,12は、本発明に従う樹脂組成物の
射出成形によりそれぞれ形成される。
【0015】下ケース部材11は、底板13と、該底板
13の全周縁に連設される側壁14とで上部を開放した
函状に形成されるものであり、底板13上には、図示し
ない回路基板を載置するための複数の支持突部15,1
6,17が突設されるとともに、リブ20が碁盤目状に
設けられる。しかも上記支持突部15〜17のうち特定
の支持突部15,16には、前記回路基板をねじ部材
(図示せず)で固定するための締着孔18,19が設け
られる。
【0016】図2および図3を併せて参照して、側壁1
4には、下方に臨む段部14aが外面側に設けられると
ともに、上ケース部材12を受けるべく上方に臨んだ段
部14bが前記段部14aよりも上方位置で内面側に設
けられる。しかも側壁14の周方向に間隔をあけた複数
位置には、前記段部14bを中間位置に臨ませるととも
に下部を開放した開口部21が設けられ、各開口部21
に対応する位置で側壁14の上部には上方に向けて突部
22が突設される。
【0017】また側壁14には、その周方向に間隔をあ
けた複数個所たとえば3個所に、下ケース部材11すな
わちシールドケース10を図示しない支持体に固定する
ためのフランジ23,24,25が外側方に張出して一
体に設けられる。
【0018】図4および図5において、フランジ23に
は、図示しないボルトを挿通させるための金属から成る
円筒状のカラー26が一体にモールド結合されており、
フランジ23の表裏両面には、カラー26を同心に囲繞
する環状の突起27,28が横断面形状を三角形状とし
て一体に突設される。
【0019】また他のフランジ24,25についても上
記フランジ23と同様に構成される。
【0020】再び図1において、上ケース部材12は、
天井板30と、該天井板30の全周縁に連設される側壁
31とで、該側壁31を下ケース部材11における側壁
14内に嵌合し得る大きさを有して下部を開放した函状
に形成される。
【0021】図6および図7を併せて参照して、側壁3
1には、下部を開放するとともに上部を閉じて上下に延
びる一対のスリット32,33が下ケース部材11にお
ける開口部21に対応する位置にそれぞれ設けられてお
り、両スリット32,33間には、上ケース部材12の
内方に撓み得る係止部34が形成され、該係止部34の
下端外面には下ケース部材11の開口部21上縁に係合
可能な係合爪35が突設される。また側壁31の外面の
周方向に間隔をあけた複数位置には、下ケース部材11
における側壁14の上縁を受ける規制突部36が一体に
突設される。
【0022】したがって下ケース部材11および上ケー
ス部材12は、上ケース部材12を下ケース部材11に
上方から嵌合し、係止部34の係合爪35を対応する開
口部21の上縁に係合することにより相互に結合される
ことになり、相互結合のためにねじ部材を用いる必要が
ない。
【0023】上述のような構成の下ケース部材11およ
び上ケース部材12、すなわちシールドケース10を成
形するための樹脂組成物は、ステンレス繊維、カーボン
ブラックおよびタルクを含む配合材がポリプロピレン樹
脂中に配合されて成るものであり、ステンレス繊維の添
加量は3〜10重量%、カーボンブラックの添加量は1
0〜30重量%、タルクの添加量は15〜40重量%に
設定され、配合材全体の添加量は28〜65重量%に設
定される。
【0024】ところで、ベース樹脂としてポリプロピレ
ン樹脂を選択したのは、比重が小さく、かつ安価である
とともに、熱変形温度が車載用として必要な100℃以
上であることに基づくものである。
【0025】ステンレス繊維は、図8で示すように、銅
繊維、炭素繊維、アルミ短繊維、Niメッキ炭素繊維お
よび黄銅短繊維等に比べると、低充填率でも体積抵抗率
を低下させることができ、低比重による軽量化およびコ
ストダウンが可能である。
【0026】またステンレス繊維は、低い添加量でも比
較的高いシールド効果が得られるものであるが、ポリプ
ロピレン樹脂との単純な組合せにおいては、車載用を考
慮した(−40℃〜+100℃)の範囲での冷熱サイク
ルに伴ってシールド劣化が激しくなる。しかるに、カー
ボンブラックおよびタルクを添加したポリプロピレン樹
脂にステンレス繊維を添加した場合には、前記冷熱サイ
クルに伴うシールド劣化を抑制することができる。
【0027】ここで、カーボンブラックが20重量%、
タルクが30重量%添加されたポリプロピレン樹脂中に
ステンレス繊維をその添加量を変化させて添加した複数
種類の樹脂材で、150mm×150mm×3mmの試
験片を作成し、アドバンテスト社製スペクトラムアナラ
イザTR4172およびシールド測定用治具TR173
01Aを用いて250MHZ の電磁波に対するシールド
効果を測定した結果を、30重量%のガラス繊維を添加
したポリプロピレン樹脂中にステンレス繊維のみを添加
した場合を比較例として示すと、図9のようになる。
【0028】この図9において、□が本発明に従う試験
片の初期値、■が本発明に従う試験片を(−40℃〜+
100℃)の冷熱サイクルを125回繰り返した後の
値、○が比較試験片の初期値、●が前記冷熱サイクル終
了後の値を示すものである。
【0029】図9から明らかなように、冷熱サイクルに
伴ってシールド効果が減少するが、カーボンブラックお
よびタルクを添加したポリプロピレン樹脂にステンレス
繊維を添加した場合には、たとえばステンレス繊維の添
加量が4重量%の場合において、初期値で約2倍、劣化
後で約7倍のシールド効果が得られるものであり、カー
ボンブラックおよびタルクを添加したポリプロピレン樹
脂にステンレス繊維を添加することにより、シールド劣
化率を大幅に改善することが可能となる。
【0030】またカーボンブラックが20重量%、タル
クが30重量%添加されたポリプロピレン樹脂中でのス
テンレス繊維間の平均距離を変化させた複数種類の樹脂
材で、上述と同一条件下でシールド効果を測定した結果
を示すと、図10のようになる。
【0031】ここで、車載用電子部品が外部電磁波によ
り誤作動を起こす可能性のあるシールドレベルが15d
Bであるので、冷熱サイクル終了後の比較例●では、図
10のP点で示す平均距離が必要であり、その平均距離
が14〜15重量%の添加量に対応する値であるのに対
し、本発明に従う樹脂材■では、図10のP′点で示す
平均距離で要件を満たすことができ、その平均距離は3
重量%の添加量に対応する値である。すなわちカーボン
ブラックおよびタルクとともにステンレス繊維をポリプ
ロピレン樹脂中に添加した場合には、ステンレス繊維の
添加量の下限値を3重量%とすれば、車載用として必要
な15dBのシールドレベルを確保することが可能であ
る。而して、ステンレス繊維の添加量を増大すればシー
ルド効果は増大するが、コストの増大や、シールドケー
ス10の成形装置におけるシリンダや金型の摩耗を考慮
すると、ステンレス繊維添加量の上限値を10重量%に
設定することが望まれる。すなわちステンレス繊維の添
加量を3〜10重量%に設定することにより、成形装置
を構成する部材の摩耗やコストの増大を抑えてシールド
効果を増大することが可能となる。
【0032】またステンレス繊維の寸法について検討す
ると、ステンレス繊維の線径を小さくすればする程、単
位重量当りの表面積が増えることによりシールド効果の
上昇が見込まれるが、その反面、強度低下によりポリプ
ロピレン樹脂中への混練時にスクリューで切断されてシ
ールド効果が低減するおそれがある。一般にステンレス
繊維の強度は、その加工硬化の割合に応じて60〜30
0kgf/mm2 であり、上記スクリューによる切断を
生じない破断荷重は10gであるため、図11で示すよ
うに、ステンレス繊維の線径は6〜15μmであること
が望ましい。しかも15μmを越える線径の場合には、
添加量が増大するのみならず、前記スクリューの摩耗や
金型の摩耗が激しくなるとともに得られた樹脂材表面に
ステンレス繊維が突出、露出し易くなって外観上好まし
くない。
【0033】ステンレス繊維の長さについては、電磁波
シールド性の観点からは長い方が望ましいが、長過ぎる
と樹脂組成物の流動性および成形性が低下し、成形品中
へのステンレス繊維の分散にも悪影響が及ぶことにな
り、短過ぎると、シールド効果が低下するので、成形前
の樹脂組成物中のステンレス繊維については、2〜10
mmの長さを有することが望ましい。
【0034】カーボンブラックは、ポリプロピレン樹脂
中への添加により、優れた寸法安定性を発揮するととも
に、ポリプロピレン樹脂の熱膨張係数を小さくして、冷
熱サイクル等による劣化を抑制する効果がある。
【0035】しかもカーボンブラックは若干の導電性を
付与してシールド劣化を抑制することができるものであ
り、4重量%のステンレス繊維、ならびに30重量%の
タルクを添加したポリプロピレン樹脂中にカーボンブラ
ックをその添加量を変化させて添加した複数種類の樹脂
材により、250MHZ の電磁波に対するシールド効果
を測定した結果を示すと、図12のようになる。この図
12において、○は初期値、●は(−40℃〜+100
℃)の冷熱サイクルを125回繰り返した後の値を示す
ものである。
【0036】この図12によると、15dBの機能保証
ラインをクリアするには、カーボンブラックの添加量は
10重量%以上必要であることが分かる。但し、カーボ
ンブラックの添加による成形性や脆さを考慮すると、3
0重量%以下であることが望ましく、したがってカーボ
ンブラックの添加量は10〜30重量%であることが望
ましい。
【0037】タルクは、ポリプロピレン樹脂中への添加
により、優れた寸法安定性を発揮するとともに、強度、
剛性および耐熱性の向上に寄与する。特にポリプロピレ
ン樹脂の熱膨張係数を小さくして、冷熱サイクル等によ
る劣化を抑制する効果がある。
【0038】ここで、4重量%のステンレス繊維、なら
びに20重量%のカーボンブラックを添加したポリプロ
ピレン樹脂中にタルクをその添加量を変化させて添加し
た複数種類の樹脂材により、250MHZ の電磁波に対
するシールド効果を測定した結果を示すと、図13のよ
うになる。この図13において、○は初期値、●は(−
40℃〜+100℃)の冷熱サイクルを125回繰り返
した後の値を示すものである。
【0039】この図13によると、15dBの機能保証
ラインをクリアするには、タルクの添加量は15重量%
以上必要であることが分かる。また初期シールド効果
は、タルク添加量の増大に伴い低下するものであり、最
大60重量%以下であれば前記機能保証ラインをクリア
することができるが、タルクの添加による成形性や脆さ
を考慮すると、40重量%以下であることが望ましく、
したがってタルクの添加量は15〜40重量%であるこ
とが望ましい。
【0040】上述のようにして、3〜10重量%の添加
量のステンレス繊維、10〜30重量%の添加量のカー
ボンブラック、ならびに15〜40重量%の添加量のタ
ルクから成る配合材をポリプロピレン樹脂に配合するこ
とにより、成形装置を構成する部材の摩耗やコストの増
大を抑えてシールド効果を増大し、車載用として必要な
冷熱サイクルに耐えるシールド効果を発揮し得る樹脂組
成物を得ることが可能となる。しかるに、前記配合材の
各成分の添加量を単純加算すると、配合材の添加量が2
8〜80重量%となり、射出成形時の流動性には問題が
ある。
【0041】すなわち射出成形機のノズル長さをL(c
m)、ノズル半径をR(cm)、射出圧力をP(kgf /cm
2 )、溶融樹脂材の流量をQ(cm3 /s )としたとき
に、溶融樹脂材の見掛け上の粘性係数η(poise )は、
Mackelvey のpower law (polymer processing 67 〜7
5,John Wiley Sons 1962)によると、次の第(1)式
で表される。
【0042】 η={π×R4 ×P/(8×L×Q)}×9.8×105 …(1) この第(1)式で得られる溶融樹脂の見掛け上の粘性係
数ηは、射出成形機での成形にあたっては103 〜10
7 の範囲に在ることが必要である。しかるに、上述のよ
うに配合材の添加量が80重量%もあると、見掛け上の
粘性係数ηが107 以上となってしまうものであり、配
合材の最大添加量を65重量%に抑えることにより上記
粘性係数ηを107 以下にすることができる。したがっ
てステンレス繊維、カーボンブラックおよびタルクから
成る配合材の添加量は、28〜65重量%であることが
望まれる。
【0043】ここで、30重量%のカーボンブラック、
32重量%のタルク、3重量%のステンレス繊維から成
る配合材をポリプロピレン樹脂中に添加して成る樹脂組
成物で、150mm×150mm×3mmの試験片を作
成し、アドバンテスト社製スペクトラムアナライザTR
4172およびシールド測定用治具TR17301Aを
用いて250MHZ の電磁波に対する初期ならびに(−
40℃〜+100℃)の冷熱サイクルを100回繰り返
した後のシールド効果を測定した。その測定結果と、成
形性についての判定結果とを実施例1として表1に示
す。
【0044】またポリプロピレン、カーボンブラック、
タルクおよびステンレス繊維の配合内容を表1のように
変更した実施例2〜実施例5について実施例1と同様に
して得た測定および判定結果を表1に示す。
【0045】さらにステンレス繊維の添加量が3重量%
未満の樹脂組成物を比較例1として、配合材の添加量が
65重量%を越える樹脂組成物を比較例2としてそれぞ
れ表1に示す。
【0046】
【表1】上記表1において、シールド効果の判定は、車
載用電子部品に必要とされる15dBのシールドレベル
をクリアしているかどうかを判断基準としており、実施
例1〜5については、充分なシールド効果および成形性
が得られるが、比較例1についてはステンレス繊維の添
加量が少ないことにより充分なシールド効果が得られ
ず、また比較例2についてはカーボンブラックの添加量
が多いことに起因して配合材の添加量が65重量%を超
えるので充分な成形性が得られないものである。
【0047】ところで、上述のように、3〜10重量%
のステンレス繊維、10〜30重量%のカーボンブラッ
クおよび15〜40重量%のタルクを含む配合材を、そ
の配合材全体の添加量を28〜65重量%に制限してポ
リプロピレン樹脂中に配合することにより樹脂組成物を
得るとともに、その樹脂組成物の射出成形により下ケー
ス部材11および上ケース部材12を形成する際に、樹
脂組成物の物性に応じて下ケース部材11および上ケー
ス部材12の構造が制限されるものであり、再び図1〜
図7を参照しながら下ケース部材11および上ケース部
材12の構造について次に検討する。
【0048】先ず下ケース部材11および上ケース部材
12の板厚dについては、1mm以下であると射出成形
時の流れ不良が生じ易く、しかも強度的にも問題がある
ので前記板厚は1mm以上であることが必要である。ま
た板厚dが4mmを超えると、成形品にボイドが発生し
易くなり、上ケース部材12における係止部34の変形
代が得られなくなるので、4mm以下であることが必要
であり、成形品の寸法のばらつきを考慮すると3mm以
下であることが望ましい。したがって板厚dは1〜3m
mに設定されるべきである。
【0049】また上ケース部材12を下ケース部材11
に嵌合する際に係止部34の変形を許容する必要があ
り、そのときの最大許容変形量は係合爪35の高さに相
当するものであり、脱着性や成形精度を考慮すると係合
爪の高さΔhは1〜5mmであることが望ましい。
【0050】一方、係止部34の長さをL1 としたとき
に、最大許容変形量Δhは、次の第(2)式で表され
る。
【0051】 Δh=(2/3)×(L1 2/d)×(S/E)…(2) この第(2)式において、Sは(曲げ強度/安全係数)
であり、Eは縦弾性係数である。而して3〜10重量%
のステンレス繊維、10〜30重量%のカーボンブラッ
クおよび15〜40重量%のタルクを含む配合材を、そ
の配合材全体の添加量を28〜65重量%に制限してポ
リプロピレン樹脂中に配合して成る樹脂組成物では、曲
げ強度が3〜5kg/mm2 であり、縦弾性係数Eが3
00〜500kg/mm2 であり、上記安全係数は1.
5である。したがって2≦S≦3.3および300≦E
≦500である条件下において、上記第(2)式に基づ
く演算を行なうと、L1 に応じて図14で示すような曲
線が得られる。しかるに、1≦Δh≦5および1≦d≦
3であるので、係止部34の長さL1 の範囲は、12≦
1 ≦75であることが必要である。
【0052】次にシールドケース10すなわち下ケース
部材11を支持体に締着するにあたって必要な構造につ
いて検討すると、一般的に電子部品の取付けにあたって
はM8程度のボルトを用いることが多く、その場合、
1.2kgf・mのトルクで締付けるので、ボルト1本
あたり1トン程度の締結力が発生することになる。この
ような大きな力を、本発明に従う樹脂組成物から成る成
形品で受けようとすると、21〜28mmφの外径を少
なくとも有するフランジが必要となり、シールドケース
設計上大きな制約となる。そこで、図4および図5で示
したように金属製カラー26をフランジ23に設けて、
ボルトの軸力をカラー26と樹脂組成物から成るフラン
ジ23とで分散して受けるようにするとともに、フラン
ジ23への軸力分配分が過大にならないようにカラー2
6を囲繞するようにしてフランジ23の表裏両面に環状
の突起27,28を突設している。
【0053】ここで、ボルトの軸力をカラー26とフラ
ンジ23とに分散させるためには、フランジ23の厚さ
をd′、カラー26の長さをL2 ,突起27,28の高
さをh1 としたときに、次の第(3)式を満足すること
が必要である。
【0054】d′<L2 <d′+2h1 …(3) またフランジ23の厚さd′については、厚すぎると形
状不良およびボイド発生等の問題が生じ、また薄すぎる
と反りが生じたり、強度不足を生じたりするので、3〜
15mm程度であることが望ましい。
【0055】以上の実施例では、3〜10重量%のステ
ンレス繊維、10〜30重量%のカーボンブラックおよ
び15〜40重量%のタルクを含む配合材を、その配合
材全体の添加量を28〜65重量%に制限してポリプロ
ピレン樹脂中に配合することにより樹脂組成物を得るよ
うにしているが、カーボンブラックについては若干の導
電性を付与してシールド劣化を抑制する作用があり、ま
たタルクについては強度、剛性および耐熱性の向上に寄
与する作用があることを除けば、カーボンブラックおよ
びタルクはほぼ同様の機能を発揮するものであり、した
がって、3〜10重量%のステンレス繊維および10〜
30重量%のカーボンブラックから成る配合材を、その
配合材全体の添加量が13〜40重量%となるようにし
てポリプロピレン樹脂中に添加して樹脂組成物を得るよ
うにしてもよく、また3〜10重量%のステンレス繊維
および15〜40重量%のタルクから成る配合材を、そ
の配合材全体の添加量が18〜50重量%となるように
してポリプロピレン樹脂中に添加して樹脂組成物を得る
ようにしてもよい。
【0056】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、3〜10
重量%のステンレス繊維と、カーボンブラックおよびタ
ルクの少なくとも一方とを含む配合材がポリプロピレン
樹脂中に13〜65重量%で配合されて成る樹脂組成物
により車載電磁波シールドケースが形成されるので、シ
ールドケースを樹脂組成物により形成するようにして軽
量化を図ることを可能とするとともに複雑な形状のシー
ルドケースの形成を可能とし、また充分なシールド効果
を得ることができるとともに、成形性を向上することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シールドケースの分解斜視図である。
【図2】図1の2−2線拡大断面図である。
【図3】図2の3矢視図である。
【図4】図1の4部拡大図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図1の6−6線拡大断面図である。
【図7】図6の7矢視図である。
【図8】各種充填材の充填率と体積抵抗の関係を示すグ
ラフである。
【図9】シールド効果のステンレス繊維添加量に依存す
る特性を示す図である。
【図10】シールド効果のステンレス繊維間平均距離に
依存する特性を示す図である。
【図11】ステンレス繊維の線径と破断荷重の関係を示
す図である。
【図12】シールド効果のカーボンブラック添加量に依
存する特性を示す図である。
【図13】シールド効果のタルク添加量に依存する特性
を示す図である。
【図14】板厚および最大許容変形量の関係を示す図で
ある。
【符号の説明】
10 シールドケース
【手続補正書】
【提出日】平成5年3月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】
【表1】 上記表1において、シールド効果の判定は、車載用電子
部品に必要とされる15dBのシールドレベルをクリア
しているかどうかを判断基準としており、実施例1〜5
については、充分なシールド効果および成形性が得られ
るが、比較例1についてはステンレス繊維の添加量が少
ないことにより充分なシールド効果が得られず、また比
較例2についてはカーボンブラックの添加量が多いこと
に起因して配合材の添加量が65重量%を超えるので充
分な成形性が得られないものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3〜10重量%のステンレス繊維と、カ
    ーボンブラックおよびタルクの少なくとも一方とを含む
    配合材がポリプロピレン樹脂中に13〜65重量%で配
    合されて成る樹脂組成物により形成されることを特徴と
    する車載電磁波シールドケース。
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