JPH0676254B2 - 多層基板用低温焼結磁器組成物 - Google Patents

多層基板用低温焼結磁器組成物

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JPH0676254B2
JPH0676254B2 JP61027030A JP2703086A JPH0676254B2 JP H0676254 B2 JPH0676254 B2 JP H0676254B2 JP 61027030 A JP61027030 A JP 61027030A JP 2703086 A JP2703086 A JP 2703086A JP H0676254 B2 JPH0676254 B2 JP H0676254B2
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治文 万代
公英 須郷
和吉 塚本
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、多層基板用低温焼結磁器組成物に関し、特
に、複数のシート状磁器を積層し、磁器間に回路を形成
してなる多層電気回路基板に適した、多層基板用低温焼
結磁器組成物に関する。
(従来技術) 一般に、電子機器の小型化に伴い、電気回路を構成する
各種電子部分を実装するのに磁器基板が汎用され、最近
では、実装密度をさらに高めるため、表面に導電材料で
回路を形成した磁器シートを複数枚積層してなる多層磁
器基板が開発されている。この種の多層磁器基板の磁器
材料にはアルミナが用いられているが、その焼結温度は
1500〜1600℃と高温であるため、次のような問題があっ
た。まず、焼結に多量のエネルギを必要とするため製造
コストが高くなる。また、基板内部に形成される内部回
路などの導電材料が、たとえば、高温の焼結温度に耐え
られるタングステンやモリブデンなどに限定されるた
め、内部回路などの抵抗が大きくなる。そして、アルミ
ナの熱膨張係数がシリコンチップのそれよりも大きいた
め、シリコンチップにサーマルストレスかかり、クラッ
クの原因になることなどである。そこで、これらの問題
を解決するために、低温で焼結させることができる基板
用磁器組成物として、アルミナに多量の結晶化ガラス成
分を添加したもの、あるいは特開昭57−184289号公報に
開示されている組成物のように、BaSnO3にホウ素を多量
に添加したものが用いられている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、アルミナに多量の結晶化ガラス成分を添
加した組成物では、得られた磁器に空孔が多数存在し、
空孔を介して導体路間にマイグレーションが発生すると
いう問題点が生じる。また、特開昭57−184289号公報に
開示された組成物では、仮焼物がガラス状となるので、
その粉砕が困難となるばかりでなく、焼成の際にホウ素
が激しく蒸発し、導電材料と反応したり炉の材料に損傷
を与えたりするという問題が生じる。
それゆえに、この発明の主たる目的は、低い温度で焼成
でき、特性的には比抵抗が高くかつ誘電率が低くさらに
誘電体損失が小さく、しかも熱膨張係数がアルミナ以下
である多層基板用低温焼結磁器組成物を提供することで
ある。
(問題点を解決するための手段) この発明は、Si成分がSiO2に換算して25〜80重量%、Ba
成分がBaOに換算して15〜70重量%、B成分がB2O3に換
算して1.5〜5重量%、Al成分がAl2O3に換算して1〜30
重量%、Mg成分がMgOに換算して0重量%を超え15重量
%以下含まれる、多層基板用低温焼結磁器組成物であ
る。
なお、微量添加物として、Li2O,K2O,Na2Oなどのアル
カリ金属酸化物の少なくとも1種を1.0重量%以下添加
するようにしてもよい。
この発明の電気回路基板用磁器組成物を用いて電気回路
基板を製造する場合、たとえば、Si、Ba、B、Alおよび
Mgの酸化物もしくは焼成時に分解して酸化物となる化合
物の粉末を秤量、調合し、その原料混合物を850〜950℃
で仮焼した後、粉砕し、その粉末をバインダと混練して
からシート状に成形し、次いで、得られたグリーンシー
トを酸化性雰囲気あるいは非酸化性もしくは還元性雰囲
気中、850〜1000℃で焼成すればよい。また、多層電気
回路基板を製造する場合、グリーンシート上にAg,Ag-P
d,Cu,Niなどの導電材料を含有する導電性ペーストで回
路を印刷し、それらを複数積層してから、導電性ペース
トを構成する導電材料に応じた雰囲気中で焼成すればよ
い。内部導電材料としてCuやNiなどの卑金属を使用する
場合、それらの酸化を防止するため、非酸化性もしくは
還元性の雰囲気中で焼成するのが好ましい。たとえば、
窒素をキャリアガスとして水蒸気(70℃)中を通過さ
せ、酸素および水素の含有量を微量含有させた窒素−水
蒸気雰囲気(通常、N299.7〜99.8%)中、850〜1000℃
で焼成するのが好ましい。なお、酸素を微量含有させる
のは、グリーンシートの形成に使用するバインダが仮焼
しても、炭素として残存しているため、これを完全燃焼
させて除去するためである。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点
は、以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろ
う。
(実施例I) 原料としてBaCO3またはBaO、SiO2、Al2O3、B2O3もしく
はBNまたはB4C、MgOまたはMgCO3を、別表1の組成とな
るように秤量して混合した。この混合物を850〜950℃で
仮焼し、粉砕した後、有機バインダを加えて混練して、
ドクターブレード法によって厚さ1mmのシート状に成形
した。このグリーンシートを縦30mm,横10mmにカット
し、これを空気中、850〜1000℃で1時間焼成して磁器
を得た。また、このグリーンシートを縦3mm,横20mmの角
板状にカットして、これを3枚積層し、200kg/cm2で加
圧し角柱状にした。そして、これを上述の方法で焼成
し、熱膨張測定用の試料とした。
これらの試料について、次のとおり各特性をそれぞれの
条件や測定方法で測定し、別表1の結果を得た。
誘 電 率:1MHzの条件 誘電体損失:1MHzの条件 比 抵 抗:直流100Vの条件 抗折 強度:次の(1)式より算出 Tr:抗折強度,P:試料が折断したときの荷重(kg),l:支
点間距離(cm),b:試料の幅(cm),d:試料の厚さ(cm) 熱膨張係数:次の(2)式より算出 α:熱膨張係数,ΔL:加熱による試料の見かけの伸び
(mm),L:室温での試料の長さ(mm),T1:室温,T2:50
0℃,αSiO2:石英ガラスの熱膨張係数 また、これとは別に同じ方法で厚さ0.3〜0.4mmのグリー
ンシートを作成する一方、粒径5μm以下のAgまたはAg
-Pdの導電材料粉末と有機質ビヒクルとを重量比80:20の
割合で混合して導電性ペーストを調整して、前述のグリ
ーンシートの表面に各導電性ペーストを全面に印刷し、
これを3枚積層して熱圧着し、空気中850〜1000℃で焼
成した。なお、有機質ビヒクルは、エチルセルロースを
α−テレピネオールで10倍に希釈したものを使用した。
こうして得られた多層磁器基板について、磁器とAgまた
はAg-Pdとの反応を分析したところ、両者間での反応は
見られず、AgおよびAg-Pdはいずれも良好な導電性を示
し、Agの面積抵抗は2mΩ/□で、Ag-Pdの面積抵抗は20m
Ω/□であった。
(実施例II) 実施例Iで作成した厚さ1mmのグリーンシートを用い、
縦30mm,横10mmの角柱状にカットしたグリーンシート
を、600℃に加熱してバインダを予備燃焼させた後、900
℃で完全燃焼させ、次いで水蒸気(70℃)中に通過させ
た窒素をキャリヤガスとする窒素−水蒸気の還元性もし
くは非酸化性雰囲気中、950〜1000℃で1時間焼成して
試料とした。また、実施例Iと同様にして、加圧成形し
た角柱状の試料についても、上述と同じ焼成を行い、熱
膨張係数測定用の試料とした。そして、これらの試料を
用いて、実施例I中で測定した各特性について測定し、
別表2の結果を得た。
また、実施例Iの後半で述べた厚さ0.3〜0.4mmのグリー
ンシートを用い、その表面上に粒径50μm以下の銅粉末
と有機質ビヒクルとを重量比80:20の割合で混合した銅
ペーストを印刷し、これを3枚積層して熱圧着し、窒素
−水蒸気の還元性もしくは非酸化性雰囲気中950〜1000
℃で1時間焼成した。こうして得た多層磁器基板のCu導
体は酸化されておらず、良好な導電性を示し、その面積
抵抗は2mΩ/□であった。
別表1および別表2の結果は次の基準に従って判定され
た。
焼結温度:1000℃以下(Cu導体およびAg-Pd導体の使用可
能な温度,ただしAg-Pd導体はAg:Pd=80:20のもの) 誘電率:1MHzの条件下で10以下(アルミナの誘電率の値
以下) 誘電体損失:1MHzの条件下で0.2%以下 抗折強度:1500kg/cm2以上 熱膨張係数:8.0×10-6/℃以下(アルミナの熱膨張係数
の値以下) なお、別表1および別表2中で*印を付したものは、こ
の発明の範囲外のものであり、それ以外はこの発明範囲
内のものである。
この別表1および別表2から明らかなように、この発明
の多層基板用低温焼結磁器組成物における組成を前記範
囲に限定した限定理由は次のとおりである。
(1)SiO2が80重量%を超えると、抗折強度が1500kg/c
m2未満になりかつ焼結温度が1000℃より高くなるので好
ましくない(別表1および別表2の試料番号1参照)。
一方、SiO2が25重量%未満では、誘電率が10より大きく
なるので好ましくない(別表1および別表2の試料番号
4参照)。
(2)BaOが70重量%を超えると、誘電率が10より大き
くなるので好ましくない(別表1および別表2の試料番
号5参照)。一方、BaOが15重量%未満では、抗折強度
が1500kg/cm2未満になり好ましくない(別表1および別
表2の試料番号12参照)。
(3)Al2O3が30重量%を超えると、誘電損失が0.2%よ
り大きくなり好ましくない(別表1および別表2の試料
番号9参照)。一方、Al2O3が1重量%以下のときは、
焼結温度が1000℃より高くなり好ましくない(別表1お
よび別表2の試料番号7参照)。
(4)MgOが15重量%を超えると、焼結温度が1000℃よ
り高くなり好ましくない(別表1および別表2の試料番
号13参照)。一方、MgOが含有されないときは、熱膨張
係数が8.0×10-6/℃より大きくなり好ましくない(別
表1および別表2の試料番号10参照)。
(5)B2O3が5重量%を超えると、抗折強度が1500kg/c
m2より小さくなり好ましくない(別表1および別表2の
試料番号15参照)。一方、B2O3が1.5重量%未満では、
焼結温度が1000℃より高くなるので好ましくない(別表
1および別表2の試料番号18参照)。
(発明の効果) この発明によれば、高比抵抗かつ低誘電率で誘電体損失
が少なく、しかも熱膨張係数がアルミナよりも小さくな
る。特性的に優れた多層基板を得ることができる。ま
た、製造過程においても仮焼後の粉砕などの処理がしや
すく、しかも、1000℃以下で焼成でき、酸化性雰囲気あ
るいは非酸化性雰囲気中で焼成しても、電気的特性,物
理的特性さらには熱的特性の変化が無く、内部導体との
反応も見られないので、内部導体材料として、たとえば
Ag,Ag-PdペーストCuおよびNiなどの卑金属を使用するこ
とができ、多層基板のコストダウンを図ることができ
る。
また、熱膨張係数がアルミナ以下であるため、サーマル
ストレスによるクラックが生じにくくなる。
さらに、導体としてサーメット抵抗材料などを印刷し
て、抵抗体をも形成することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si成分がSiO2に換算して25〜80重量%、 Ba成分がBaOに換算して15〜70重量%、 B成分がB2O3に換算して1.5〜5重量%、 Al成分がAl2O3に換算して1〜30重量%、 Mg成分がMgOに換算して0重量%を超え15重量%以下含
    まれる、多層基板用低温焼結磁器組成物。
JP61027030A 1986-02-10 1986-02-10 多層基板用低温焼結磁器組成物 Expired - Lifetime JPH0676254B2 (ja)

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