JPH0675769B2 - 超高温溶融金属の接合方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 人工衛生搭載用電気炉のヒータ部品等は、軽量でコンパ
クトが要求される精密な部材の集合体であり、特にコン
パクトで軽量を目的とするヒータは、熱輻射を高能率化
するため0.1mm厚のタングステンレニウム合金箔の電気
的結合体で構成されている。

本発明はかかるヒータ部品等の結合に利用する超高温溶
融金属の接合方法に関するものである。

［従来の技術］ 従来、タングステン、タンタル、モリブデン等の超高温
溶融金属、又はそれら各々の合金の接合は、それぞれの
ほぼ同一材質の金属を溶接棒とする溶接接合で行われて
いるが、いずれも高融点であるので、溶接にはそれらよ
りもはるかに高温度の熱源が必要である。この熱源とし
て、普通アルゴンガス等を使用した不活性ガスアーク溶
接又はエレクトロンビーム溶接等を採用して、これ等の
熱源を利用し同一材料での溶接接合を行っているのが通
例である。

［発明が解決しようとする問題点］ ところが、上記金属の薄板、特に0.1mm厚のものになる
と、熱源が3000℃以上の超高温度であるため、微細な温
度調節が困難であり、そのため、健全な溶接を行うこと
がきわめて困難で、第５図に示す如き欠陥が発生し易
い。すなわち、0.1mm厚のタングステン被接合材（母
材）ａを、たとえば、突き合わせ溶接しようとする場
合、前記したように熱源が超高温度であるため、接合部
以外の母材ａが溶解して母材欠如部ｂが発生し、溶接不
能になることが多い。ｃは溶接棒のタングステンで溶接
した溶接ビード（溶接部）を示す。

本発明は、従来の接合方法による場合の欠陥である母材
欠如部の発生を防止し、0.1〜1.0mm厚の如き薄板の健全
な接合を実現しようとするものである。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は、母材の融点よりも融点が低い材料を溶接棒と
して使用し、母材の接合個所を不活性ガスアーク溶接の
アークで加熱し、この加熱された接合部に溶接棒を接触
させてアーク熱で溶接棒を溶解させ、ロウ付状態に接合
部に流し込んで接合させるようにし、母材を溶解させる
ことなく母材同士の接合を行わせ、前記問題点を解決さ
せる。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。

第１図はタングステン合金母材１と２を重ねてその一端
面で接合させる場合に本発明の方法で接合する場合を示
すもので、タングステン合金母材1,2の融点よりも低い
温度、たとえば、2000〜3000℃に母材1,2の端を不活性
ガスアーク溶接のアークで加熱し、次いで、母材1,2よ
りも融点の低い白金又はロジウム等からなる溶接棒を選
んで母材１と２の接合部３の継手に接触させ、該溶接棒
をアーク熱で溶解させて上記接合部３の継手にロウ付状
態に流れ込ませ接合を完了する。

母材1,2より融点の低い材料を溶接棒として採用する場
合、たとえば、使用温度1000〜1500℃のものに対して
は、白金、ロジウム、チタニウム、クロム等の如き1500
〜2000℃の溶融点をもつ溶加材を選び、不活性ガス溶接
を行うようにする。

第２図はタングステン合金母材1,2を突き合わせ、この
突き合わせ部の接合を行う場合を示すもので、タングス
テン合金母材1,2の突き合わせ部３を、不活性ガスアー
ク溶接のアークで加熱し、白金等の溶接棒を上記加熱し
た突き合わせ部の継手に接触させ、アーク熱で溶接棒を
溶解させて継手に流れ込ませる。かかる操作を突き合わ
せ部全長にわたって繰り返し、継手をロウ付状態で結合
させる。

次に、第３図及び第４図は、いずれも本発明の方法を用
いた応用例を示すもので、いずれも厚板の接合を行う場
合を示す。

第３図は隅肉継手、第４図は突き合わせ継手の場合を示
すものであり、いずれの場合も、前記した第１図や第２
図に示す薄板接合の場合とは異なり、母材温度を極端に
高温にせず、溶接棒の融点より少し高温に母材4,5の接
合部６を加熱し、この場所に溶接棒を大量に挿入して溶
解させ、肉盛状態にする。これが終了した後、加熱源を
少し移動させ、再び同じ操作を繰り返す。この連続操作
により溶接ビードを形成し、継手の接合を完了させる。

本発明の接合方法においては、母材の融点よりはるかに
低い温度で接合しているので、接合時には母材が溶解す
ることがなく、又、接合金属と母材とは極めて薄い拡散
層で接合しているので、接合金属と母材との合金化が行
われず、合金化による脆化がなく、健全な接合部が得ら
れる。

［発明の効果］ 以上述べた如く本発明の接合方法によれば、次のような
優れた効果を奏し得る。

（ｉ）タングステン、モリブデン又はタンタル等高温度
使用を目的とする材料の接合を母材を損なうことなく健
全に行える。

（ii）白金、ロジウム等耐酸化性及び耐食性に優れた金
属が使用できる。

（iii）母材との合金層が少ない接合方法であるため、
接合強度が溶加金属と同等である。

（iv）0.1mm厚の如き薄い箔状のものでも母材を溶解す
ることなく接合できる。

（ｖ）加熱してロウ付するので、短時間に接合でき、こ
れにより接合部の母材と溶接棒との拡散合金層が極端に
少ない。

（vi）1000℃以下で使用する場合でも本発明の方法によ
り融点1000〜15000℃の溶加材（溶接棒）で接合ができ
る。

（vii）加熱源として高周波加熱又は酸素−アセチレン
等、急速加熱ができるので、複雑な継手が同時に可能で
ある。

（VIII）不活性ガスアーク溶接のアーク熱を使用するこ
とにより、箔状の薄板である超高温溶融金属の接合部を
ソフトプラズマアークより短時間で安定した温度に加熱
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の接合方法で母材端面を接合する状態を
示す図、第２図は本発明の接合方法で母材突き合わせ部
を接合する状態を示す図、第３図及び第４図は本発明の
接合方法を厚板の接合に応用した例を示す図、第５図は
従来の接合方法による場合の一例図である。 1,2,4,5は母材、3,6は接合部を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】箔状の薄板である超高温溶融金属を母材と
   して、該母材同士の接合部を、母材の融点より低い温度
   で不活性ガスアーク溶接のアーク熱にて加熱した後、該
   加熱された接合部の継手に、母材の融点よりも融点の低
   い白金等の溶接棒を接触させ、継手の熱で溶接棒を溶解
   させてロウ付状態に継手に流れ込ませることを特徴とす
   る超高温溶融金属の接合方法。