JPH0674275A - エンジンマウント装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明の目的は、絞り時のゴム弾性体の剥
離を防止し、車両の発進時や加速時のエンジンの反り返
りを抑えることのできるエンジンマウント装置を提供す
ることである。 【構成】 この発明は、外筒１を２つの空間Ａ，Ｂに対
応する個所で周方向に２分割し、略Ｖ字形のゴム弾性体
３の頂部３Ａ側の２分割された外筒１の各端部を内筒２
側へ折り曲げ、ブラケット４に外筒１を縮径するように
圧入することによりゴム弾性体３の頂部３Ａ側を外筒１
側へ当接せしめるとともに、内筒２及びブラケット４を
それぞれエンジン及び車体のいずれか一方及び他方に取
付けることにより、エンジン重量によりゴム弾性体３の
頂部３Ａ側を外筒１側から離隔せしめるようにしたもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ＦＦ型横置きエンジ
ンを車体に対して弾性支持せしめるエンジンマウント装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種エンジンマウント装置とし
ては、図４に示すように外筒１００と内筒２との間にゴ
ム弾性体１０１を設け、内筒２を挟んだ両側に軸方向に
貫通する２つの空間Ａ，Ｂを形成し、ゴム弾性体１０１
の径方向断面形状を略Ｖ字形に形成したものが知られて
いる。外筒１００をエンジン側に、内筒２を車体側に夫
々固定し、エンジンを搭載するとエンジンの重みで空間
Ａが大きく拡がり、車両の発進時や加速時のエンジンの
反り返りを抑えることが難しいという不具合があった。
そこで、エンジン搭載前に外筒１００を絞ることによっ
て空間Ａを消滅させておく方法が考えられた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】空間Ａを消滅させてお
く従来例では、外筒１００の絞りを大きくすると、ゴム
弾性体１０１を外筒１００に接着固定するための下地化
成処理皮膜または接着剤が割れ、ゴム弾性体１０１が剥
離することがあった。

【０００４】そこで、この発明は、絞り時のゴム弾性体
の剥離を防止し、車両の発進時や加速時のエンジンの反
り返りを十分抑えることのできるエンジンマウント装置
を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、外筒を２つの空間に対応する個所で周方向に２分割
し、略Ｖ字形のゴム弾性体の頂部側の２分割された外筒
の各端部を内筒側へ折り曲げ、ブラケットに外筒を縮径
するように圧入することによりゴム弾性体の前記頂部側
を外筒側へ当接せしめるとともに、内筒及びブラケット
をそれぞれエンジン及び車体のいずれか一方及び他方に
取付けることにより、エンジン重量によりゴム弾性体の
前記頂部側を外筒側から離隔せしめるようにしたもので
ある。

【０００６】

【作用】この発明では、外筒をブラケットに縮径するよ
うに圧入し、すなわち外筒を絞るが、このとき大きく絞
っても外筒は２分割されているのでゴム弾性体の剥離は
生じない。外筒をブラケットに圧入したときにゴム弾性
体のＶ字形頂部側は外筒側へ当接しており、エンジン重
量がかかったときに初めてこの当接個所が離隔するた
め、空間の内側寸法の著しい増大が防止され、エンジン
の反り返りを防止することができる。

【０００７】

【実施例】以下に、この発明の好適な実施例を図面を参
照にして説明する。図１に示すものは、内筒２と外筒１
との間にゴム弾性体３を設け、内筒２を挟んだ両側に軸
方向に貫通する２つの空間Ａ，Ｂを形成し、ゴム弾性体
３の径方向断面形状を略Ｖ字形に形成したものであり、
外筒１は２つの空間Ａ，Ｂに対応する個所で軸線方向に
２分割し、一方の部材１Ａと他方の部材１Ｂから構成
し、両部材１Ａ，１Ｂの間には間隙Ｘ，Ｙが形成されて
いる。これら間隙Ｘ，Ｙは夫々空間Ｂ，Ａにつながって
いる。略Ｖ字形のゴム弾性体３の頂部３Ａ側の２分割さ
れた外筒１の両部材１Ａ，１Ｂの各端部を内筒２側へ折
り曲げてある。これら折り曲げ個所を折り曲げ部１
Ａ′，１Ｂ′として図示する

【０００８】図１のように形成された筒型の部材を図２
に示すようにエンジン又は車体に取付くブラケット４に
圧入する。外筒１をブラケット４に圧入した状態では、
外筒１が縮径されて分割され、両部材１Ａ，１Ｂの間隙
Ｘ，Ｙが消滅するように両部材１Ａ，１Ｂの両端同士が
当接する。また、ゴム弾性体３の頂部３Ａは外筒１側へ
当接する。ゴム弾性体３の頂部３Ａが外筒１Ａに当接し
た状態では、この頂部３Ａの両側に空間Ａが残存する。
なお、ブラケット４には取付部材５が固定されており、
この取付部材５をエンジンに固定し、内筒２を車体に取
付ければ、エンジンの重量により外筒１は図２の下方に
引き寄せられる。即ちエンジン重量によりゴム弾性体３
の頂部３Ａ側の空間Ａが拡がり、反対側の空間Ｂは縮ま
る。換言すれば、ゴム弾性体３の頂部３Ａの外筒１側へ
の当接が解除され、頂部３Ａと外筒１とが離隔してこれ
らの間に空間が生ずる。折り曲げ部１Ａ′，１Ｂ′が存
在することにより外筒１をブラケット４に圧入したとき
この折り曲げ部１Ａ′，１Ｂ′側に頂部３Ａが当接或い
はこれら折り曲げ部１Ａ′，１Ｂ′が内筒２を押し上げ
ることとなる。エンジン重量に応じてゴム弾性体３の頂
部３Ａ側と折り曲げ部１Ａ′，１Ｂ′側とが当接する圧
力を調整することによりエンジン搭載時のリバウンド側
の隙間を適切な値にすることが可能である。

【０００９】図３に示すグラフは、実線がこの発明のエ
ンジンマウント装置を示し、点線が図４に示す従来例を
示すものであり、このグラフから明らかなようにリバウ
ンド時にゴム弾性体３の頂部３Ａ側と折り曲げ部１
Ａ′，１Ｂ′側とが当接するように作用しているために
撓み量を抑えることができる。

【００１０】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、外筒を２つの空間に対応する個所で軸線方向に２分
割し、略Ｖ字形のゴム弾性体の頂部側の２分割された外
筒の各端部を内筒側へ折り曲げ、エンジン又は車体に取
付くブラケットに外筒を縮径するように圧入してゴム弾
性体の頂部側を外筒側へ当接せしめ、車体又はエンジン
を内筒に取付けてエンジン重量によりゴム弾性体の頂部
側の空間を拡げ反対側の空間を縮めるようにしたので、
外筒を大きく絞っても化成処理皮膜若しくは接着剤が割
れ、ゴム弾性体が剥離するおそれもない。また、２つに
分割された各部材の端部を内筒側へ折り曲げてあるの
で、外筒を絞った時にゴム弾性体の頂部側が折り曲げ部
側に当接或いはこれら折り曲げ部が頂部側を押し上げる
ように作用し、小さな絞りから大きな絞りまで設計の自
由度が大きくなる。また、エンジン搭載前にゴム弾性体
の頂部側を外筒側に当接させておくことにより、エンジ
ン搭載時のゴム弾性体の頂部側の空間が大きく拡がるの
を防ぐことができ、車両発進時や加速時のエンジンの反
り返りを抑えることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】内筒と外筒との間にゴム弾性体を設けたブラケ
ット圧入前の部材の断面図。

【図２】図１の部材をブラケットに圧入した状態の断面
図。

【図３】この発明の実施例と従来例との荷重と撓みの関
係を示すグラフ

【図４】従来例を示す断面図。

【符号の説明】

１ 外筒 ２ 内筒 ３ ゴム弾性体 ３Ａ ゴム弾性体の頂部 ４ ブラケット Ａ，Ｂ 空間

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内筒とブラケット内に挿入される外筒と
   の間に径方向断面形状を略Ｖ字形に形成したゴム弾性体
   を設け、内筒及びブラケットをそれぞれエンジン及び車
   体のいずれか一方及び他方に取付けた状態で内筒を挟ん
   だ両側に軸方向に貫通する２つの空間が形成される、Ｆ
   Ｆ型横置きエンジンを車体に対して弾性支持せしめるエ
   ンジンマウント装置において、 外筒を前記２つの空間に対応する個所で周方向に２分割
   し、 略Ｖ字形のゴム弾性体の頂部側の２分割された外筒の各
   端部を内筒側へ折り曲げ、 ブラケットに外筒を縮径するように圧入することにより
   ゴム弾性体の前記頂部側を外筒側へ当接せしめるととも
   に、 内筒及びブラケットをそれぞれエンジン及び車体のいず
   れか一方及び他方に取付けることにより、エンジン重量
   によりゴム弾性体の前記頂部側を外筒側から離隔せしめ
   るようにしたことを特徴とするエンジンマウント装置。