JPH0674223B2 - 芳香族ハロゲン化合物の二量化法 - Google Patents

芳香族ハロゲン化合物の二量化法

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JPH0674223B2
JPH0674223B2 JP63110721A JP11072188A JPH0674223B2 JP H0674223 B2 JPH0674223 B2 JP H0674223B2 JP 63110721 A JP63110721 A JP 63110721A JP 11072188 A JP11072188 A JP 11072188A JP H0674223 B2 JPH0674223 B2 JP H0674223B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、芳香族ハロゲン化合物を脱ハロゲン二量化し
て、高収率で芳香族化合物の二量体を製造する方法に関
するものである。
〔従来技術〕
芳香族化合物の二量体は、種々の工業原料として有用な
ものであり、例えば、3,4,3′,4′−ビフェニルテトラ
カルボン酸アルカリ金属塩は、耐熱性ポリイミド樹脂原
料として非常に有用である。
従来、芳香族ハロゲン化合物を脱ハロゲン二量化してビ
フェニル化合物を製造す方法としては、例えばパラジウ
ム触媒、水及びメタノールの存在下に脱ハロゲン二量化
せしめる方法(特公昭59-14015号)が知られている。更
に、この方法の改良法として、メタノールの代りに、多
価アルコール又はホルムアルデヒドを用いる方法(特開
昭62-26238号)、ギ酸又はギ酸塩を用いる方法(Synthe
sis communi-cations 538、(1978)、特開昭61-137838
号及び特開昭61-167642号等)、一酸化炭素を用いる方
法(特開昭61-293932号)等が知られている。
しかしながら、これらの方法によっても目的とするビフ
ェニル化合物の収率は十分ではなく、更に、その収率を
向上させるための製造方法が望まれている。
〔発明が解決しようとする課題〕 本発明者らは、芳香族ハロゲン化合物を脱ハロゲン二量
化してビアリール化合物を高収率で製造する方法につい
て鋭意研究を行った結果、芳香族ハロゲン化合物をパラ
ジウム担持触媒を用いて脱ハロゲン二量化する公知方法
において、予め、塩酸などのハロゲン化水素酸中に浸漬
処理した担持パラジウム触媒を使用する事により高収率
でビアリール化合物を製造できる事を見い出して本発明
を完成した。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の要旨は少なくとも1個のハロゲン原子を芳香核
炭素に有する芳香族ハロゲン化合物を水、還元剤及びハ
ロゲン受容体の存在下、パラジウム担持触媒を用いて脱
ハロゲン二量化する方法において、予めパラジウム担持
触媒をハロゲン化水素酸中で浸漬処理する事を特徴とす
る芳香族ハロゲン化合物の脱ハロゲン二量化法に存在す
る。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明方法における出発物質としては、少なくも1個の
ハロゲン原子を芳香核炭素に有する芳香族ハロゲン化合
物が使用される。芳香族ハロゲン化合物としては、通常
単環式化合物が使用される。芳香核炭素にある少なくと
も1個のハロゲン原子としては、ヨウ素、臭素および塩
素が挙げられるが、臭素および塩素が好ましく、特に安
価な塩素を用いるのが好適である。芳香族化合物の芳香
核に置換しているハロゲン原子が2以上の場合、該ハロ
ゲンは各々同一あるいは異なっていても良い。芳香核炭
素に置換しているハロゲン原子数は通常1〜2個であり
特に1個が好ましい。この芳香族ハロゲン化合物の核炭
素には前記少なくとも1個のハロゲン原子以外の置換基
を有することが出来、その数は好ましくは1〜2個であ
る。ハロゲン原子の隣接炭素に他の置換基を有する場
合、あるいは複数のハロゲン原子が隣接する場合には、
ビアリール化合物の収率が低下する場合がある。
本発明方法で用いられる芳香族ハロゲン化合物の具体例
としては、例えばクロロベンゼン、p−クロロブロモベ
ンゼン、p−クロロジフェニル、p−クロロフェノー
ル、p−クロロアニソール、p−クロロベンズアミド、
p−クロロアニリン、p−クロロニトロベンゼン、p−
クロロベンゾフェノン、p−クロロアセトフェノン、p
−クロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、p−クロロ
安息香酸及びそのリチウム、ナトリウム、カリウム等の
アルカリ金属塩、p−クロロベンゾニトリル、m−ブロ
モ安息香酸及びそのリチウム、ナトリウム、カリウム等
のアルカリ金属塩、β−クロロナフタリン、4−クロロ
オルソキシレン、4−クロロオルソフタル酸及びそのリ
チウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、4
−クロロフタル酸無水物、および4,5−ジクロロフタル
酸等が挙げられ、これらは単独でも、又、混合物でも使
用できる。
本発明の反応においては、かかる芳香族ハロゲン化合物
の中、アルカリ水溶液に可溶な化合物を用いることが有
利であり、従って、1〜2個のカルボキシル基又は水酸
基で置換された単環式芳香族ハロゲン化合物が望まし
い。更に、モノハロゲノフタル酸、モノハロゲノフタル
酸アルカリ金属塩及びモノハロゲノフタル酸無水物が好
ましく、特に、4−クロロオルソフタル酸、そのアルカ
リ金属塩、又はその酸無水物単独あるいはそれらの1種
を主成分とする混合物を用いた場合には、耐熱性ポリイ
ミド原料である3,4,3′,4′−ビフェニルテトラカルボ
ン酸アルカリ金属塩が得られ、有利である。
水は、芳香族ハロゲン化合物がアルカル水溶性である場
合、これを溶解した水溶液として、または直接反応系に
添加して用いられる。使用する水の量は通常、芳香族ハ
ロゲン化合物、パラジウム触媒、還元剤およびハロゲン
受容体を含む反応成分に対し少くとも0.1容量%、好ま
しくは1容量%以上である。芳香族ハロゲン化合物がア
ルカリ水溶性である場合は、溶媒量使用するのが好適で
ある。一方、非水溶性の場合、多量の水の使用はかえっ
てビアリール化合物の収率を低下させることがあるので
水の使用量は1〜60容量%の範囲から選択して用いるの
が好ましい。水の使用量が前記範囲より少ないか、もし
くは水を添加しない場合は、ビアリール化合物の収率お
よび選択率が低下し好ましくない。
本発明の脱ハロゲン二量化反応で用いる還元剤として
は、アルコール類、一酸化炭素、クロロホルム、ホルム
アルデヒド類などが挙げられる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノー
ル、プロパノールなどの1価アルコール、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,2ーブタンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等の
2価アルコール、グリセリン等の3価アルコール、ペン
タエリスリトール等の4価アルコールが挙げられる。
又、ホルムアルデヒド類としては、パラホルムアルデヒ
ド、ホルマリンが挙げられる。
還元剤として、アルコール類、クロロホルム、ホルムア
ルデヒド類を使用する場合、還元剤の使用量は原料の芳
香族ハロゲン化合物1モルに対して、0.01〜50モル、好
ましくは0.1〜10モルである。一方、一酸化炭素を使用
する場合には、その分圧が0.1〜60kg/cm2、好ましく1
〜10kg/cm2となるように調節される。尚、一酸化炭素は
純粋でもまた、例えば、窒素ガスなどの他のガスと混合
して用いてもよい。
尚、上記還元剤のうち、アルコール類及び一酸化炭素が
好ましく更にアルコール類が好ましい。なかでも多価ア
ルコールが好ましく、特にグリセリン又はエチレングリ
コールを還元剤とした場合、本発明反応は好適に行なわ
れる。
一方、本発明方法では、反応系にハロゲン受容体を存在
させることがビアリール化合物類を高収率で得るために
必要である。ハロゲン受容体としては、脱ハロゲン二量
化の際に生じるハロゲン原子を受容出来る物質であれば
良く、通常は、塩基性物質が用いられる。この塩基性物
質としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属化合
物、アルカリ土類金属化合物等が挙げられる。これらの
中でもアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合
物が好適であり、具体的にはアルカリ金属またはアルカ
リ土類金属の水酸化物、炭酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等
の無機酸塩、酢酸、フタル酸等の有機酸塩、およびアル
コキシド類等が挙げられる。
好ましい具体例は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カル
シウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属又はアルカリ
土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類
金類の炭酸塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエト
キシド、カリウムターシャリーブチレート等のアルカリ
金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドである。特
に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物がよ
り好ましい。
これらハロゲン受容体の使用量は、出発原料である芳香
族ハロゲン化合物中に含まれるハロゲン原子数およびカ
ルボキシル基等の酸性置換基の存在により変化し特に限
定されないが、通常は、芳香族ハロゲン化合物1モルに
対し0.01〜100モル、好適には0.1〜20モル用いられる。
使用量が前記範囲外の場合は、ビアリール化合物の収率
が低下する等、好ましくない。
本反応で使用するパラジウム担持触媒としては、金属パ
ラジウムを例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、シリカ
アルミナ、酸化チタン、マグネシア、珪藻土、グラファ
イト、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、ゼオライト等の
担体に担持させたものが挙げられ、特にパラジウム−活
性炭触媒が好適である。金属パラジウムは、通常、担体
に対して0.1〜20重量%、特に0.5〜10重量%程度担持さ
れているのが好適である。
パラジウム担持触媒の使用量は、通常、芳香族ハロゲン
化合物1モルに対し、パラジウム原子換算で100〜0.001
ミリグラム原子、好適には、30〜0.1ミリグラム原子で
ある。尚、本発明では、例えばパラジウムに対して20重
量%以下のルテニウム、金、ニッケル、セリウムなどの
助触媒を含んでいても差し支えない。
本発明は、かかるパラジウム担持触媒を脱ハロゲン二量
化反応に先立ち、ハロゲン化水素酸中で浸漬処理するこ
とを必須の要件とす。ハロゲン化水素酸としては、塩
酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等が挙げられ、特に塩酸
が好ましい。浸漬処理に用いるハロゲン化水素酸の濃度
は通常、10〜0.001重量%、好適には1〜0.01重量%で
ある。この濃度があまり低い場合には、パラジウム触媒
の活性向上効果が十分に得られないので好ましくない。
処理温度は通常5〜70℃、好適には10〜40℃である。ま
た、処理時間は、ハロゲン化水素酸の濃度、処理温度等
に関係するが、通常5分〜3時間程度、好ましくは10分
〜1.5時間である。浸漬処理を行なったパラジウム担持
触媒は、単に別するかもしくはアルカリでハロゲン化
水素酸を中和した後にパラジウム担持触媒を別し、脱
ハロゲン二量化反応に供せられる。また、場合により、
ハロゲン化水素酸への浸漬処理を終えたパラジウム担持
触媒を含む懸濁液をそのまま脱ハロゲン二量化反応の反
応器に供給し、これにアルカリを加えて引き続き反応を
開始してもさしつかえない。
浸漬処理後、中和する場合のアルカリとしては、通常、
アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アンモ
ニア、アミン類、ピリジン類等が挙げられる。また、中
和後のpHは5〜12が好ましい。
本発明において、浸漬処理に供するパラジウム担持触媒
としては、新たに調製された触媒でも、一旦、脱ハロゲ
ン二量化反応に使用後の回収触媒であってもよく、いず
れの場合も、浸漬処理を行なわない場合に比べ、触媒活
性を向上させることができる。尚、触媒活性を向上させ
ることができる。尚、使用後の回収触媒はハロゲン化水
素酸の浸漬処理に先だって、例えば、メタノール、ブロ
パノール、酢酸、プロピオン酸、テトラヒドロフラン、
ジメチルホルムアミドなどの水混和性の脂肪族有機溶媒
で洗浄処理すると、触媒活性の向上効果が大きくなるの
で、一層好ましい。洗浄処理の方法としては、通常、上
記浸漬処理と同様な方法でよい。
ハロゲン化水素酸への浸漬処理を施したパラジウム担持
触媒を使用して芳香族ハロゲン化合物の脱ハロゲン二量
化反応を行う場合、溶媒の存在下または非存在下のいず
れでも実施しうる。原料として、アルカリ水溶液に可溶
な芳香族化合物を用いる場合には特に溶媒は用いる必要
がないが、溶媒を使用する場合は、該溶媒は反応に不活
性な溶媒である。
このような溶媒としては例えば、テトラヒドロフラン、
ジオキサン等のエーテル化合物、アセトン、ジエチルケ
トン、メチルエチルケトン等のケトン化合物およびエチ
レングリコールジアセテート等のエステル化合物等から
選択される。かかる溶媒の使用量は、特に限定されるも
のではないが、通常、芳香族ハロゲン化合物1部に対
し、0.01〜100部の範囲から選ばれる。
本発明方法は、溶媒の非存在下もしくは存在下に、前記
芳香族ハロゲン化合物、予めハロゲン化水素酸中で浸漬
処理を行なったパラジウム担持触媒、水、還元剤および
ハロゲン受容体からなる混合液を、通常、20〜250℃、
好ましくは50〜200℃に加熱して行う。反応圧力は通常
常圧〜200kg/cm2、好ましくは常圧〜100kg/cm2の範囲
で、必要ならば不活性ガスの存在下に実施される。反応
時間は、特に限定されるものではなく、原料の種類、触
媒量、反応温度及び圧力等に応じて適宜選定されるが、
通常10分〜24時間程度である。
本発明方法は回分、半回分、連続のいずれでも行うこと
ができる。
本発明によれば、ハロゲン化水素酸中で浸漬処理を行な
ったパラジウム担持触媒を使用することにより目的とす
るビアリール化合物の収率を向上させることができる
が、更に上述の脱ハロゲン二量化反応が実質的に終了し
た後の混合物に、水素、ギ酸もしくはその塩及びヒドラ
ジン類から選ばれる少なくとも1種の追還元剤を添加
し、追還元処理することも可能であり、この場合、目的
とするビアリール化合物の収率が一層向上する。追還元
処理は、特に、原料の主成分がモノハロゲノフタル酸、
モノハロゲノフタル酸アルカリ金属塩及びモノハロゲノ
フタル酸無水物のいずれかである場合、特に4−クロロ
フタル酸、4−クロロフタル酸アルカリ金属塩及び4−
クロロフタル酸無水物のいずれかである場合、効果的で
ある。ここで、反応が実質的に終了した時点とは、芳香
族ハロゲン化合物の転化率が90%以上、好ましくは95%
以上に達した時点を言う。
追還元処理に用いる追還元剤の使用量としては、通常、
原料の芳香族ハロゲン化合物1モルに対して、0.01〜10
モル、好ましくは0.05〜1モルである。水素を用いる場
合には、通常、その分圧が0.5〜50kg/cm2程度になるよ
うに調節される。また、ギ酸塩としては、通常、ギ酸ナ
トリウム、ギ酸カリウムなどであり、ヒドラジン類とし
ては、通常、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、メチル
ヒドラジンなどである。
追還元処理の温度は、50〜200℃、好ましくは80〜150℃
であり、処理時間は例えば、10分〜5時間、好ましくは
0.5〜3時間である。なお、この追還元処理に当って、
必要に応じて、反応混合物に追還元触媒である白金族金
属などを追加しても差し支えない。
本反応で得られたビアリール化合物は、その物理的性状
に従って蒸発、蒸留、結晶法、酸析法等によって反応液
から分離取得される。
〔実施例〕
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発
明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定さ
れるものではない。
実施例1 〈触媒の浸漬処理〉 内容積100mlのパイレックス製ビーカーに、2.35重量%
パラジウムカーボン(水を52.99重量%含む)(日本エ
ンゲルハルド社製)1.90g(Pdとして44.65mg、0.420ミ
リモル)と0.365重量%塩酸35mlを入れ、マグネチック
スターラーで30分撹拌した。次いで、25重量%苛性ソー
ダ水溶液でpHを11とし、10分間撹拌を続けた後NO.5Cの
紙(東洋濾紙(株))にてスラリーを別し、浸漬処
理を施したパラジウム担持触媒を得た。
〈脱ハロゲン二量化反応〉 内容積500mlのステンレス製セパラブルフラスコに上記
浸漬処理を施したパラジウムカーボンの全量、4−クロ
ロフタル酸モノナトリウム塩を主成分とする白色粉末5
8.89g(4−クロロフタル酸モノナトリウム塩145.4ミリ
モル、3−クロルフタル酸モノナトリウム塩20.0ミリモ
ル、4,5−ジクロロフタル酸モノナトリウム塩9.3ミリモ
ル、3,4−ジクロロフタル酸モノナトリウム塩8.0ミリモ
ル、フタル酸モノナトリウム塩77.8ミリモルを含む)、
95重量%水酸化ナトリウム27.76g(659.3ミリモル)、
脱塩水137.4ml及びグリセリン14.1g(153.1ミリモル)
を入れ還流冷却器及び攪拌機を取り付けた後、攪拌を行
いつつ加熱して常圧、107℃で5時間反応を行った。
反応後、反応液を液体クロマトグラフィーにより分析し
たところ、所望の3,4,3′,4′−ビフェニルテトラカル
ボン酸ナトリウム塩(以下、S-BTC塩と略す。)が生成
していた。結果を表‐1に示す。
実施例2 浸漬処理に0.037重量%の塩酸を用いた以外は、実施例
1と同様に触媒の浸漬処理及び脱ハロゲン二量化反応を
行った。結果を表‐1に示す。
比較例1 触媒の浸漬処理を省略した以外は実施例1と同様に脱ハ
ロゲン二量化反応を行った。結果を表‐1に示す。
実施例3 浸漬処理に0.809重量%の臭化水素酸を用いた以外は実
施例1と同様に触媒の浸漬処理及び脱ハロゲン二量化反
応を行った。結果を表‐2に示す。
実施例4 浸漬処理に0.510重量%の臭化水素酸を用いた以外は実
施例1と同様に触媒の浸漬処理及び脱ハロゲン二量化反
応を行った。結果を表‐2に示す。
実施例5 還元剤であるグリセリンをメタノール9.83g(307.2ミリ
モル)に代えた以外は、実施例1と同様にして脱ハロゲ
ン二量化反応を実施した。結果を表‐3に示す。
比較例2 触媒の浸漬処理を省略した以外は実施例5と同様に脱ハ
ロゲン二量化反応を行った。結果を表‐3に示す。
実施例6 〈触媒の浸漬処理〉 内容積1のパイレックス製ビーカーに、5重量%パラ
ジウムカーボン(水を51.2重量%含む)(日本エンゲル
ハルド社製)18.7g(Pdとして456mg、4.29ミリモル)と
0.365重量%塩酸400mlを入れ、マグネチックスターラー
で30分攪拌した。次いで、25重量%苛性ソーダ水溶液で
pHを11とし10分間攪拌を続けた後NO.5Cの紙(東洋
紙(株))にてスラリーを別し、80℃、15時間乾燥さ
せ浸漬処理を施したパラジウムカーボンを得た。
〈脱ハロゲン二量化反応〉 内容量200mlのパイレックス製三角フラスコに、粗4−
クロロフタル酸モノナトリウム塩32gを入れ、次いで脱
塩水100ml、水酸化ナトリウム7gを入れ、マグネチック
スターラーで攪拌し、溶解させた後、そこへ活性炭0.4g
を入れ、さらに3時間攪拌を続けた。その後メンブラン
フィルター(東洋紙(株))にて別して活性炭処理
を施した粗4−クロルフタル酸塩水溶液を得た。過の
際、振洗用に脱塩水20mlを使用した。粗4−クロルフタ
ル酸塩水溶液中には、4−クロルフタル酸塩76.60mmo
l、3−クロルフタル酸塩16.17mmol、4,5−ジクロルフ
タル酸塩5.18mmol、3,4−ジクロルフタル酸塩4.06mmo
l、フタル酸塩30.21mmolが含まれている。
内容量300mlのSUS−316製誘導攪拌式オートクレーブに
活性炭処理を施した上記粗4−クロルフタル酸塩水溶液
全量を仕込み、次に上述の浸漬処理を施した5重量%パ
ラジウムカーボン1.2g(Pdとして0.56mmol)、水酸化ナ
トリウム28.5gおよび脱塩水30mlを入れ攪拌しつつ一酸
化炭素雰囲気下で120℃迄昇温した。更に系内を一酸化
炭素で1.5kg/cm2・G迄昇圧し、消費した一酸化炭素を
供給しつつ一定圧力で3.5時間反応を行った後、降温
し、パラジウムカーボンを別し、得られた反応液を液
体クロマトグラフで分析しS-BTC塩の収率を求めたとこ
ろ、表−4の通りであった。
比較例3 触媒の浸漬処理を省略した以外は実施例6と同様に脱ハ
ロゲン二量化反応を行った。結果を表−4に示す。
実施例7 〈触媒の浸漬処理〉 内容積500mlのパイレックス製ビーカーに、2.39重量%
パラジウムカーボン(水を52.16重量%含む)(日本エ
ンゲルハルド社製)10.92g(Pdとして261.2mg、2.455ミ
リモル)と0.365重量%塩酸200mlを入れ、マグネチック
スターラーで30分攪拌した後、25重量%苛性ソーダ水溶
液でpHを11とし10分間攪拌を行った。
〈二量化反応〉 1.5lのステンレス製誘導攪拌機付きオートクレーブに、
上記浸漬処理を施したパラジウムカーボンのスラリー液
全量と、4−クロロフタル酸モノナトリウム塩を主成分
とする白色粉末353.3g(4−クロロフタル酸モノナトリ
ウム塩872.3ミリモル、3−クロロフタル酸モノナトリ
ウム塩172.6ミリモル、4,5−ジクロロフタル酸モノナト
リウム塩53.5ミリモル、3,4−ジクロロフタル酸モノナ
トリウム塩37.5ミリモル、フタル酸モノナトリウム塩40
5.3ミリモルを含む)、25重量%水酸化ナトリウム水溶
液632.9g(3955.5ミリモル)、脱塩水176.3ml及びグリ
セリン84.8g(920.7ミリモル)を入れ、窒素下で攪拌し
つつ加熱して120℃で3時間反応を行った後、液体クロ
マトグラフィーにより分析したところ、反応液中には所
望のS-BTC塩が収率60.5モル%で生成していた。尚、原
料の転化率は99.9モル%であった。
〈追還元〉 引き続きこの反応液を水素下で9.5kg/cm2・G、150℃の
条件で3時間攪拌しつつ保持した後、液体クロマトグラ
フィーにより分析したところ、反応液中のS-BTC塩の収
率は64.5モル%であった。
実施例8 1.5lのステンレス製誘導攪拌機付きオートクレーブに、
2.35重量%パラジウムカーボン(水を52.99重量%含
む)(日本エンゲルハルド社製)5.55g(Pdとして130.5
mg、1.23ミリモル)と4−クロロフタル酸モノナトリウ
ム塩を主成分とする白色粉末176.7g(4−クロロフタル
酸モノナトリウム塩436.1ミリモル、3−クロロフタル
酸モノナトリウム塩86.3ミリモル、4,5−ジクロロフタ
ル酸モノナトリウム塩26.8ミリモル、3,4−ジクロロフ
タル酸モノナトリウム塩18.7ミリモル、フタル酸モノナ
トリウム塩202.6ミリモルを含む)、95重量%水酸化ナ
トリウム83.3g(1978.4ミリモル)、脱塩水421.2ml及び
グリセリン42.4g(460.0ミリモル)を入れ、窒素下で攪
拌しつつ加熱して120℃で3時間反応を行った後、さら
に水素下で9.5kg/cm2G、140℃の条件で2時間攪拌しつ
つ保持した。
反応後パラジウムカーボンをNO.5Cの紙(東洋紙
(株))にて別し、得られた反応液を液体クロマトグ
ラフィーで分析し、S-BTC塩の収率を求めた。
次いで内容積200mlのパイレックス製ビーカーに別し
た上記反応に使用したパラジウムカーボン及び0.365重
量%の塩酸100mlを入れマグネチックスターラーで30分
攪拌した後、25重量%苛性ソーダ水溶液でpHを11とし10
分間攪拌を続け、NO.5Cの紙にてパラジウムカーボン
を別し使用後触媒の浸漬処理を行なった。
この別したパラジウムカーボンを触媒とし、上記と同
様の条件で2回目の反応を行った。得られた反応液を液
体クロマトグラフィーで分析し、S-BTC塩の収率を求め
た。反応1回目と2回目の結果を表−5に示す。
比較例4 浸漬処理を省略した以外は実施例8と同様に脱ハロゲン
二量化反応を行った。結果を表−5に示す。
比較例5 〈触媒の浸漬処理〉 内容積100mlのパイレックス製ビーカーに2.35重量%パ
ラジウムカーボン(水を52.99重量%含む)(日本エン
ゲルハルド社製)1.90g(Pdとして44.65mg、0.420ミリ
モル)と1.00重量%硫酸水溶液100mlを入れマグネチッ
クスターラーで攪拌した後、NO.5Cの紙(東洋紙
(株))にてスラリーを別し、浸漬処理を施したパラ
ジウム担持触媒を得た。
〈二量化反応〉 内容積500mlのステンレス製セパラブルフラスコに上記
処理を施したパラジウムカーボンの全量、4−クロロフ
タル酸モノナトリウム塩を主成分とする白色粉末58.89g
(4−クロロフタル酸モノナトリウム塩145.4ミリモ
ル、3−クロルフタル酸モノナトリウム塩20.0ミリモ
ル、4,5−ジクロロフタル酸モノナトリウム塩9.3ミリモ
ル、3,4−ジクロロフタル酸モノナトリウム塩8.0ミリモ
ル、フタル酸モノナトリウム塩77.8ミリモルを含む)、
95重量%水酸化ナトリウム27.76g(659.3ミリモル)、
脱塩水137.4ml及びエチレングリコール13.1g(211.1ミ
リモル)を入れ還流冷却器及び攪拌機を取り付けた後、
攪拌を行いつつ加熱して常圧、107℃で5時間反応を行
った。
反応後、反応液を液体クロマトグラフィーにより分析し
たところ、所望のS-BTC塩が生成していた。結果を表−
6に示す。
比較例6 浸漬処理に1.00重量%の硝酸水溶液を用いた以外は比較
例5と同様に脱ハロゲン二量化反応を行った。結果を表
−6に示す。
比較例7 浸漬処理を省略した以外は比較例5と同様に脱ハロゲン
二量化反応を行った。結果を表−6に示す。
〔発明の効果〕 本発明方法によれば、予め、ハロゲン化水素酸中で浸漬
処理を施したパラジウム担持触媒を脱ハロゲン二量化反
応に用いる事により、高収率でビアリール化合物を得る
ことができ工業的に極めて有用な方法である。
又、反応後の回収触媒も同様にハロゲン化水素酸中で浸
漬処理することにより、賦活が可能であり、かかる再生
触媒を使用することにより繰り返し、ビアリール化合物
を高収率で得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 51/353 63/331 // C07B 61/00 300

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1個のハロゲン原子を芳香核炭
    素に有する芳香族ハロゲン化合物を、水、還元剤及びハ
    ロゲン受容体の存在下、パラジウム担持触媒を用いて脱
    ハロゲン二量化する方法において、予め、パラジウム担
    持触媒をハロゲン化水素酸中で浸漬処理することを特徴
    とする芳香族ハロゲン化合物の脱ハロゲン二量化法。
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