JPH0673587U

JPH0673587U - 配管接続部の密封構造

Info

Publication number: JPH0673587U
Application number: JP2080693U
Authority: JP
Inventors: 宰保苅; 文彦仲野; 嘉博末藤
Original assignee: Eagle Industry Co Ltd; Isuzu Motors Ltd
Current assignee: Eagle Industry Co Ltd; Isuzu Motors Ltd
Priority date: 1993-03-31
Filing date: 1993-03-31
Publication date: 1994-10-18

Abstract

(57)【要約】【目的】チューブシール７の密接部へ高温ガス中の異
物が咬み込まれることによる密封性の低下を防止し、高
温ガスからチューブシール７への熱伝導に対する絶縁効
果を高め、密封の信頼性を向上させ、製造費用を低減す
る。【構成】配管１，２の外周面にそれぞれ固定されて互
いに対向する筒状部３ａ，４ａを有するフランジ３，４
と、一端がフランジ４の筒状部４ａ内周面に密封的に固
着されると共にその反対側の端部近傍にフランジ３の筒
状部３ａ内周面に密接する球状壁面７ａが拡張形成され
たチューブシール７とを備え、両配管１，２の端部１
ａ，２ａがチューブシール７の内周空間内に延長されて
互いに近接対向した構造とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば自動車の排気管等の配管の接続部における密封構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

内部を燃焼ガス等の高温ガスが流れる配管の接続部は、従来、典型的には図２に示すような密封構造を有する。図中符号１，２は配管で、この配管１，２の端部の外周には筒状部３ａ，４ａ同士が互いに近接対向されたフランジ３，４がそれぞれ溶接５，６等の手段によって一体化されており、前記筒状部３ａ，４ａ間の隙間がチューブシール７によって密封されている。チューブシール７は、その長手方向両端に拡張形成された球状壁面７ａ，７ｂが、それぞれフランジ３，４の筒状部３ａ，４ａの内周面に可動状態に密接することによって、配管１，２による流路を気密的に接続すると共に、熱膨張によるフランジ３，４とチューブシール７の軸線方向への相対変位や、振動による軸線と直角な方向への相対変位を許容している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来例によると、配管１，２の端部と、フランジ３，４の筒状部３ａ，４ａと、チューブシール７の球状壁面７ａ，７ｂとによって、配管接続部における高温ガスの流路形状が複雑に起伏した形状になっているため、この起伏形状によって高温ガスの流れに乱流が生じ、高温ガスに含まれるカーボン粒子等の異物が、チューブシール７の球状壁面７ａ，７ｂの端部外周のクサビ状空間Ｓ₁ ，Ｓ₂ に侵入して堆積されやすい。このため、熱膨張や振動によるフランジ３，４とチューブシール７の相対移動によって、これらの異物がフランジ３，４の筒状部３ａ，４ａと球状壁面７ａ，７ｂとの密接部に咬み込まれ、チューブシール７の密封性が低下することがある。また、チューブシール７は高温の燃焼ガスに直接曝されることから、大きな熱応力を受けることになり、したがって筒状部３ａ，４ａとの密接力が損なわれて密封性能が低下したり、特に高温の使用条件では熱膨張量が大きいので、繰り返し熱膨張によって疲労破損を生じることがある。

【０００４】そこで、高温ガスからチューブシール７への熱伝導を緩和する目的で、図３に示すように、チューブシール７の内径に内管８を溶接又は嵌合等の手段によって装着し、チューブシール７本体が燃焼ガスに直接曝されるのを防止した構造のものも開発されているが、この構造においても、内管８はチューブシール７と接合されているので、熱伝導に対する絶縁効果は低く、しかも、チューブシール７の球状壁面７ａ，７ｂの密接部にガス中の異物が咬み込まれる点は、依然として解決されていない。

【０００５】また、一般に接触面による密封性を向上させるためには、互いの接触面の寸法精度や表面粗さを厳しく管理する必要があるが、上記図２及び図３の従来構造によれば、接触による密封部が二か所に存在しており、チューブシール７の球状壁面７ａ，７ｂと、その相手接触面である筒状部３ａ，３ｂの内周面を高精度に加工しなければならず、製造費用が高くならざるを得なかった。

【０００６】本考案は、上記のような事情のもとになされたもので、その技術的課題とするところは、チューブシールの密接部へ高温ガス中の異物が咬み込まれることによる密封性の低下を防止すると共に、高温ガスからチューブシールへの熱伝導に対する絶縁効果を高め、密封の信頼性を向上すると共に、製造費用を低減することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上述した技術的課題は、本考案によって有効に解決することができる。すなわち本考案に係る配管接続部の密封構造は、接続対象である一対の配管の外周面にそれぞれ固定されて互いに対向する筒状部を有する一対のフランジと、一端が一方のフランジの筒状部内周面に密封的に固着されると共にその反対側の端部近傍に他方のフランジの筒状部内周面に密接する球状壁面が拡張形成されたチューブシールとを備え、前記両配管の端部が前記チューブシールの内周空間内に延長されて互いに近接対向してなるものである。

【０００８】

【作用】

上記構成によると、両配管の端部がチューブシールの内周空間内に延長されて互いに近接対向されたことによって、高温ガスの流れが整流されるため、両配管の端部間での乱流が生じにくくなり、両配管の対向端部間の隙間からその外周のチューブシール側への高温ガスの侵入が抑制され、かつチューブシール内の配管の延長部分によって高温ガスからのチューブシールへの伝熱が遮蔽される。チューブシールは、一端が一方のフランジの筒状部内周面に密封的に固着されているため、配管の熱膨張による両フランジの軸線方向への相対変位は、チューブシールの固着端部と反対側の端部近傍に形成された球状壁面とフランジの筒状部内周面との密接位置の変位によって許容し、振動による両フランジの軸線と直角な方向への相対変位は、前記球状壁面部分等の弾性変形によって許容する。

【０００９】

【実施例】

次に、本考案に係る配管接続部の密封構造の好適な一実施例を、図１を参照しながら説明する。なお、図１において、先に述べた図２及び図３の従来例と構成が同一もしくは対応する部分には同一の符号をもって示す。

【００１０】この実施例において、チューブシール７の内径は、円筒状の配管１，２の外径よりも大径に形成されており、配管１，２の端部１ａ，２ａは、チューブシール７内にその両端開口から遊嵌挿通されて、このチューブシール７の内周空間内で互いに近接対向している。配管１，２の外周には、フランジ３，４の筒状部３ａ，４ａの基端部がそれぞれ溶接５，６等の接合手段もしくは一体形成によって設けられており、筒状部３ａ，４ａの先端部が、チューブシール７の外周側で互いに近接対向している。

【００１１】チューブシール７の長手方向一端は、外径側へ椀状に拡開された形状を呈し、フランジ４の筒状部４ａの内周面に溶接部９によって密封的に接合されている。また、その反対側の端部近傍には、球状壁面７ａが拡張形成されており、フランジ３の筒状部３ａの内周面に可動状態に密接している。

【００１２】この実施例によると、配管１，２間での高温ガスの流れがチューブシール７の内周に案内されているので、チューブシール７の球状壁面７ａ，７ｂの端部形状による影響を受けて乱流を発生することがない。チューブシール７の内周における配管１，２の端部１ａ，２ａ間には隙間１０が存在しているが、端部１ａ，２ａは互いに近接対向すると共に、その外周側をチューブシール７が包囲しているので、端部１ａ，２ａ間における高温ガスの流れに対する整流効果が高く、両端部１ａ，２ａ間における乱流の発生が抑制される。しかも、前記隙間１０と球状壁面７ａの端部外周のクサビ状空間Ｓ₁ の間は、球状壁面７ａと配管１，２の間の拡張隙間とその両側の絞り隙間を含む迷路状に形成されるため、隙間１０からクサビ状空間Ｓ₁ への高温ガスの侵入が効果的に防止され、高温ガスに含まれるカーボン粒子等の異物が球状壁面７ａと筒状部３ａの間に咬み込まれることによる密封性の低下が防止される。

【００１３】チューブシール７はその内周の配管１，２の延長部と接合されていないため、高温ガスの熱が配管１，２から直接チューブシール７に伝熱されることがなく、上述のとおり、隙間１０からチューブシール７側への高温ガスの侵入も僅かなものに抑えられるため、チューブシール７に対する熱遮蔽効果が高いものとなっている。このため、チューブシール７が大きな熱応力を受けることによる球状壁面７ａ，７ｂの密封性能の低下や、繰り返し熱膨張による疲労破損を抑えることができる。また、フランジ３，４の筒状部３ａ，４ａの内周に配管１，２が一体に設けられていることから、図示の状態への組立前の取り扱い時に筒状部３ａ，４ａの内周面におけるチューブシール７との密接面が損傷を受ける可能性が少なくなるといった効果も与えられる。

【００１４】図２及び図３に示す従来例においては、チューブシール７がその両端近傍に形成した球状壁面７ａ，７ｂをそれぞれフランジ３，４の筒状部３ａ，４ａと密接させた構造としていたのに対し、この実施例によると、チューブシール７は一端を溶接部９によってフランジ４の筒状部４ａに一体化させたことから、漏れが発生する可能性のある箇所が従来の二か所から一か所に減少し、したがって、密封に対する信頼性が向上する。しかも、溶接されるチューブシール７の一端部及び筒状部４ａの内周面は、高精度な加工を必要としないことから、製造費用の低減を図ることも可能である。

【００１５】

【考案の効果】

本考案によると、両配管の端部がチューブシールの内周空間内に延長されて互いに近接対向していることによって、配管接続部における高温ガスの流れが整流され、両配管の対向端部間の隙間からその外周のチューブシール側への高温ガスの侵入が抑制されるので、高温ガスに含まれるカーボン粒子等の異物がチューブシールの球状壁面による密封部に咬み込まれて密封性が低下するのを防止することができると共に、高温ガスからのチューブシールへの伝熱が遮蔽されるので、熱応力によるチューブシールの密封性能の低下や、繰り返し熱膨張による疲労破損が抑制される。また、チューブシールの一端をフランジの筒状部に固着して、球状壁面による接触シール部を一か所のみに減少させたことから、シールの信頼性を向上させると共に、製造費用を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す断面図である。

【図２】従来例を示す断面図である。

【図３】他の従来例を示す断面図である。

【符号の説明】

１，２配管１ａ，２ａ端部３，４フランジ３ａ，４ａ筒状部７チューブシール７ａ球状壁面９溶接部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者仲野文彦埼玉県坂戸市大字片柳1500番地イーグル工業株式会社埼玉工場内 (72)考案者末藤嘉博埼玉県坂戸市大字片柳1500番地イーグル工業株式会社埼玉工場内

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】接続対象である一対の配管の外周面にそ
れぞれ固定されて互いに対向する筒状部を有する一対の
フランジと、一端が一方のフランジの筒状部内周面に密封的に固着さ
れると共にその反対側の端部近傍に他方のフランジの筒
状部内周面に密接する球状壁面が拡張形成されたチュー
ブシールとを備え、前記両配管の端部が前記チューブシールの内周空間内に
延長されて互いに近接対向してなることを特徴とする配
管接続部の密封構造。