JPH0672845A - 美白剤 - Google Patents

美白剤

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JPH0672845A
JPH0672845A JP25356092A JP25356092A JPH0672845A JP H0672845 A JPH0672845 A JP H0672845A JP 25356092 A JP25356092 A JP 25356092A JP 25356092 A JP25356092 A JP 25356092A JP H0672845 A JPH0672845 A JP H0672845A
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JP
Japan
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tocopherol
whitening
toco
natural vitamin
ascorbic acid
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Application number
JP25356092A
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English (en)
Inventor
Tatsu Sakai
達 酒井
Tomohide Tanaka
智英 田中
Kana Satou
加名 佐藤
Yutaka Morita
豊 森田
Takashi Hibi
孝 日比
Yoshio Tanabe
義雄 田邊
Shigemitsu Osawa
重光 大沢
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Eisai Co Ltd
Original Assignee
Eisai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】従来用いられてきた素材より強力にメラニン産
生を抑制し、優れた美白作用を有する化粧料・浴用剤を
提供する。 【構成】(1) d-α−トコフェロールを除く天然ビタミン
E、(2) d-α−トコフェロールを除く天然ビタミンEと
L-アスコルビン酸もしくはその薬理学的に許容できる塩
もしくはその誘導体、(3) d-α−トコフェロールを除く
天然ビタミンEとコウジ酸を含有する美白化粧料・浴用
剤。d-α−トコフェロールを除く天然ビタミンE、特に
d-δ−トコフェロールは従来の素材に優るメラニン産生
抑制作用を有し、L-アスコルビン酸もしくはコウジ酸を
併用することにより、さらに美白作用を高める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、皮膚の色調を決定づけ
る最大の因子である、メラニンの生成を抑制ならびに調
節する美白化粧料・浴用剤に関する。
【0002】
【発明の背景】古来より女性の肌の白さと透明感は、洗
練された美しさの基本要件である。皮膚への主な色素沈
着は、日光の照射を受けた皮膚のメラニン形成細胞にお
いて、メラニンが形成されるために起こる。近年、色素
沈着を予防・改善・治療する美白剤として、いくつかの
メラニンの生合成機序に直接作用する優れた素材が開発
されてきた。具体的には、チロシンからメラニンを生成
する反応を触媒する酸化酵素であるチロシナーゼの活性
を阻害する素材としてはコウジ酸、L-アスコルビン酸も
しくはその誘導体、グルタチオンや2-メルカプトプロピ
オニルグリシン等の硫黄化合物およびアゼライン酸など
を、またチロシナーゼの生合成を抑制する素材としては
ヒドロキノンならびにその誘導体たとえばアルブチンな
どを挙げることができる。それぞれの素材には固有の特
徴があり、臨床的にも高い有用性が認められているが、
最近ではより優れた効果を求めて、これら素材を複数組
み合わせた組成や、吸収あるいは安定性を改善するため
の製剤的工夫が盛んに研究されている。
【0003】
【従来技術】従来美白剤には、一般的にはdl−α−トコ
フェロールまたはd-α−トコフェロールを意味するビタ
ミンE、L-アスコルビン酸もしくはコウジ酸を、単独あ
るいは2種類以上組合わせて用いられてきた。しかし最
近ではより優れた効果を得るために、主に2種類以上を
組合わせた組成物が用いられている。
【0004】たとえばビタミンEとコウジ酸の組合せと
して、特公昭63-24968公報には、コウジ酸および/また
はコウジ酸誘導体の水溶液とビタミンEおよび/または
ビタミンE誘導体の水溶液または懸濁液を含有すること
を特徴とするメラニン生成抑制外用剤が開示されてい
る。この公報において実施例として具体的に開示されて
いるビタミンEは、合成品である酢酸dl−α−トコフェ
ロールおよびdl−α−トコフェロールである。
【0005】またビタミンEとL-アスコルビン酸の組合
せとして、特開昭61-207312 公報には、(1) 8-O-アルキ
ル-L−アスコルビン酸誘導体と皮膚賦活作用を有する成
分とを配合することを特徴とする美白化粧料、(2) 皮膚
賦活作用を有する成分が、ジイソプロピルアミン、ジク
ロロアセテート、γ−アミノ酪酸、ビタミンEアセテー
ト、ビタミンEニコチネート、ビタミンEオロテートか
らなる群から選択された化合物の少なくとも一種である
美白化粧料が開示されている。ただしこの公報では、ビ
タミンE同族体の種類あるいは天然品/合成品の区別に
関する具体的な開示はない。
【0006】さらに特開平 3-153610 公報には、アゼラ
イン酸のビタミンE誘導体およびその塩類の少なくとも
一種と、L-アスコルビン酸硫酸エステル塩類およびL-ア
スコルビン酸リン酸エステル塩類の少なくとも一種とを
含有してなる美白化粧料が開示されている。この公報に
おいても、ビタミンE同族体の種類あるいは天然品/合
成品の区別に関する具体的な開示はない。
【0007】
【本発明が解決しようとする問題点】しかしながら前記
の従来用いられている素材単独では、十分な美白効果は
得られず、複数を組み合わせた組成においても完全に満
足の得られるものはまだなかった。これは従来用いられ
ている素材が有するメラニン生成抑制作用は弱いため、
単独ではもちろん、複数を組み合わせた場合において
も、十分な美白効果を発現できる活性が得られないため
である。
【0008】Gilchrest らは20〜80才までのヒトを対象
に、皮膚の太陽光に慢性的に暴露された部位と非暴露部
位のメラニン形成細胞について検討した結果、暴露部位
では非暴露部位と比較して、メラニン形成細胞密度が約
2倍高いことを報告している[ジャーナル・オブ・イン
ベスティゲイティブ・ダーマトロジー (J.Invest.Derma
tol.),73,141(1979).]。したがって皮膚の太陽光に暴露
される部位ではメラニン形成する細胞が約2倍多いのに
対し、同部位の皮膚の色調を非暴露部位と同等に維持す
るためには、メラニンの産生量を約 1/2に抑制すること
が、十分な美白効果を発現するために必須と言える。
【0009】ところがこのような科学的・定量的な観点
からの素材の探究はこれまで全くなされておらず、前記
の従来用いられている素材について、新たにメラニン生
成抑制作用を測定し評価すると、メラニンの産生量を約
1/2に抑制できる素材は見当らなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、美
白剤としては従来用いられておらず、かつ長期間使用し
た際も安全性が高いという要件を備えている素材につい
て鋭意研究を行ってきた。その結果、驚くべきことにd-
δ−トコフェロール、d-γ−トコフェロールまたはd-β
−トコフェロールから選択される天然ビタミンEが、従
来ビタミンEとして用いられてきたd-α−トコフェロー
ルと比べ著しく優れた美白作用を有することを見い出し
た。さらにこれらのd-α−トコフェロールを除く天然ビ
タミンE(以下、本発明天然ビタミンE)にL-アスコル
ビン酸もしくはコウジ酸を組合せると一層作用が強ま
り、美白剤として所期の目的を達成できることも見い出
し本発明を完成した。
【0011】したがって本発明の目的は、臨床的有用性
の高い美白剤を提供することにある。具体的には本発明
天然ビタミンE、または本発明天然ビタミンEおよびL-
アスコルビン酸もしくはその薬理学的に許容できる塩も
しくはその誘導体、または本発明天然ビタミンEおよび
コウジ酸を有効成分とし、これらの組成物に製薬上また
は化粧品用として許容できる賦形剤を混合して、液剤・
クリーム・軟膏・ローション等とした美白化粧料・浴用
剤である。さらに本発明天然ビタミンEとは、具体的に
はd-δ−トコフェロール、d-γ−トコフェロールおよび
/またはd-β−トコフェロール、およびその酢酸エステ
ル、コハク酸エステル、ニコチン酸エステルなどの誘導
体である。
【0012】従来美白剤として用いられているビタミン
Eとしては、大半が合成によって得られるdl−α−トコ
フェロールおよびその誘導体であり、さらに天然のd-α
−トコフェロールを使用する実施例の開示はないが、特
開昭60-51104にd-α−トコフェロールが好ましい旨の記
載が見られる。しかし、d-δ−トコフェロール、d-γ−
トコフェロール、d-β−トコフェロールを使用した実施
例の開示、あるいは好ましい旨の記載はこれまでになか
った。
【0013】本発明において用いるd-δ−トコフェロー
ル(I) 、d-γ−トコフェロール(II)、d-β−トコフェロ
ール(III) 、L-アスコルビン酸(IV)、その薬理学的に許
容できる塩(V) およびその誘導体(VI)は下記化学構造式
で表される。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】上記化合物はすべて、製薬、化粧品、食
品、化学原料として入手可能である。L-アスコルビン酸
の薬理学的に許容できる塩(V) においてR1とは、ナトリ
ウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの金属
を意味する。またL-アスコルビン酸の誘導体(VI)におい
てR2とはアシル基を意味し特に限定されないが、好まし
くはミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基
などの長鎖アシル基を挙げる事ができ、さらにR3 は水
素原子もしくは上記の長鎖アルキル基を意味する。
【0021】ここで本発明天然ビタミンEとは、d-δ−
トコフェロール、d-γ−トコフェロール、d-β−トコフ
ェロールおよびその誘導体である。これらは単独で用い
てもよいし、2種類以上を組み合わせてもよく限定され
ないが、単独で用いる場合、好ましくはd-δ−トコフェ
ロールまたはd-γ−トコフェロールであり、さらに好ま
しくはd-δ−トコフェロールである。またその使用量は
特に限定されず、また製剤によっても異なるが、通常は
全重量に対して天然ビタミンEとして0.05〜10重量%で
あり、好ましくは 0.1〜5 重量%であり、さらに好まし
くは 0.2〜2 重量%である。
【0022】またL-アスコルビン酸もしくはその薬理学
的に許容できる塩もしくはその誘導体の使用量も特に限
定されず、また製剤によっても異なるが、通常は全重量
に対して 0.1〜10重量%であり、好ましくは 0.2〜5 重
量%であり、さらに好ましくは 0.5〜3 重量%である。
【0023】本発明の製剤の形状は特に限定されず、液
剤、クリーム、軟膏、ローション、乳液、貼付剤、浴剤
など、常法により所望の形状とすることができる。これ
ら製剤の基剤原料としては、化粧品、医薬部外品、医薬
品等に通常使用される各種原料を用いることが可能であ
る。かかる美白化粧料・浴用剤を製造するには、一般に
実施されている化粧品の製造方法を用いることができ
る。
【0024】使用できる基剤原料としては動植物油、鉱
物油、エステル油、ワックス類、高級アルコール類、脂
肪酸類、シリコン油、界面活性剤、リン脂質類、アルコ
ール類、多価アルコール類、水溶性高分子類、粘土鉱物
類、精製水などの公知の原料が挙げられる。さらに必要
に応じ、pH調製剤、抗酸化剤、キレート剤、防腐防黴
剤、着色料、香料などを添加することができる。また、
他の美白作用や美肌作用を有する有効成分、血流促進
剤、殺菌剤、消炎剤、細胞賦活剤、ビタミン類、アミノ
酸、保湿剤、角質溶解剤等の成分を配合することもでき
る。他の美白作用等の成分としてはテプレノン、アゼラ
イン酸、アルブチンおよびそれらの誘導体をあげること
ができる。なおこれら他の美白成分の添加量は、通常使
われている濃度である。
【0025】本発明による美白外用剤は、化粧品として
使用する以外にも、シミ・ソバカス等を予防・改善・治
療する医薬品として使用することもできる。
【0026】本発明にかかる製剤を製造するには、たと
えば本発明天然ビタミンEとスクワラン等の動植物油と
高級アルコールを加温して油相とし、別にL-アスコルビ
ン酸あるいはコウジ酸とグリセリン、パラベン、緩衝剤
等を精製水に加温溶解して水相とする。この油相を水相
に攪拌しながら添加し、高速乳化機を用いて乳化し、引
き続き攪拌しながら室温に冷却して、天然ビタミンEと
L-アスコルビン酸あるいはコウジ酸を含有したクリーム
を得ることができる。
【0027】次に本発明の効果を示すため、チロシナー
ゼ阻害作用とメラニン生成抑制作用の試験例ならびに併
用効果例を実験例として挙げる。
【実験例】実験例1 天然ビタミンEのチロシナーゼ阻害活性とB16メラノーマ細胞
に対する細胞毒性
【0028】(方法)
【0029】1)チロシナーゼ阻害活性 Pomerantz らの方法(ジャーナル・オブ・バイオロジカ
ル・ケミストリー[J.Biol.Chem.], 238 巻,2351-2357
頁, 1963年)に従い、測定用セルにL-ドーパ(0.3mM) 、
Macllvaine緩衝液* (0.98ml)および試料段階希釈液(1m
l) を正確に分取して25℃に保温した。その後、マッシ
ュルーム抽出チロシナーゼ (20μl, 100ユニット) をセルに
加え、添加する前後の吸光度の変化(λ=475nm )を測
定して、コントロールに対する阻害率(IC50)を求めた。
【0030】(Macllvaine緩衝液* ; 0.2M-リン酸水素
二ナトリウム、 0.1M-クエン酸を成分とするpH6.5 の緩
衝液)
【0031】2)B16メラノーマ細胞に対する細胞毒性
【0032】標準培地(GIBCO 社製、商品名;Eagles m
inimum essential medium )に 10%ウシ胎児血清、ペニ
シリン(5万単位)、ストレプトマイシン(50mg/l)およ
び炭酸水素ナトリウム(2.2g/l)を添加した培地(以下、
10% FCS MEM )において、マウス由来のB16メラノーマ細胞
を、炭酸ガス・インキュベーター(5% CO2)を用いて37℃
で培養した。
【0033】あらかじめB16メラノーマ細胞を 2×104 セル/
mlとなるように、10% FCS MEM を加え、96穴プレートに
200μl 分注し、24時間、37℃、5% CO2条件で培養し
た。次に、各試料段階希釈液 10-2、10-3、10-4、10-5、10
-6、 0% となるよう、5日間同じ条件下で培養した。培
養後、タンパク定量試薬(PIERCE 社製、商品名;BCA Pr
otein Assay Reagent)を用いて吸光度(λ=470nm )で
タンパク量を測定した。またルービンシュタインらの M
TT方法(ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサ
ー・インスティテュート[J. National Cancer Institut
e],82 巻13号,1113-1118, 1990年) により各試料の細胞
毒性(IC50)を求めた。
【0034】(結果)
【0035】結果を表1に示す。なお表中において、d-
δ−トコフェロールはδ−トコ、d-γ−トコフェロール
はγ−トコ、d-β−トコフェロールはβ−トコ、d-α−
トコフェロールはα−トコとそれぞれ略す。(以下同
様)
【0036】
【表1】
【0037】上記の表からδ−トコ、γ−トコ、β−ト
コおよびα−トコは、7.5 ×10-5M濃度においてもマッ
シュルーム由来のチロシナーゼ酵素に対し、酵素活性阻
害作用を示さないことが明らかである。またδ−トコ、
γ−トコ、β−トコあるいはα−トコのいずれを添加し
た場合においてもB16メラノーマ細胞のタンパク量は変化せ
ず、かつミトコンドリア量も増加傾向にあることから、
細胞毒性は認められなかった。さらにB16メラノーマ細胞に対
するIC50は、α−トコが 9.7×10-4M 、β−トコ、γ−
トコ、δ−トコはいずれも 7.4×10-5M であった。この
β−トコ、γ−トコ、δ−トコ添加培養系でのB16メラノーマ
細胞中のチロシナーゼ量を SDSページ電気泳動法により
分離測定すると、チロシナーゼ量は、添加したトコフェ
ロールの濃度に比例して低下していた。
【0038】実験例2 天然ビタミンEのメラニン生成抑制作用
【0039】(方法)
【0040】B16メラノーマ細胞を継代培養後、 2×104 セル
/ml になるよう 10%FCS MEM に加え培養用シャーレ(φ
=10cm)にて24時間培養した。培養後、各試料が毒性を
示さなかった濃度(7.5 ×10-6 M)に調整した 10%FCS
MEM で培地交換を行った後、同条件で 5日間培養した。
培養後、等張緩衝塩類溶液(日水製薬製、商品名;Dulb
ecco's PBS(-) )で洗浄し、0.25% トリプシン/エチレ
ンジアミンテトラ酢酸(EDTA)溶液を用いて細胞を集め、
さらに上記等張緩衝塩類溶液で再び洗浄した後、遠心分
離(100G)して細胞を得た。
【0041】得られた細胞に1mM-フェニルメチルスルホ
ニルフルオリド(PMSF) 1mlを添加したリン酸緩衝液を加
えた後、及川らの方法(エール・ジャーナル・オブ・バ
イオロジカル・メディスン[Yale J.Biol.Med.], 46巻、5
00-507頁,1973 年)により総メラニン量を吸光度(λ=
400nm )で測定した。
【0042】(結果)
【0043】
【表2】
【0044】本実験の結果、マウス由来のB16メラノーマ細胞
に対するメラニン生成抑制効果では、α−トコを除きコ
ントロール培地に対して試料添加濃度 3×10-4% ( 7×
10-6M )でメラニン生成阻害作用を示した。また実験例
1において測定した細胞毒性値は、本実験の試料濃度
( 3×10-4%、 7×10-6M )と比較して約 100倍高く、ト
コフェロールがメラニン生成を抑制する濃度では、B16メ
ラノーマ細胞に対して毒性を示さないことが確認された。
【0045】さらに表2から、天然ビタミンE同族体の
メラニン生成抑制作用は、δ−トコが最も強く、次いで
γ−トコ、β−トコ、α−トコの順であることが明らか
である。また従来、美白剤素材として多用されているα
−トコは、コントロール(培地のみ;無添加)と変わら
ず、ほとんどメラニン生成抑制作用は期待できない。ま
たβ−トコ、アルブチンはメラニン生成抑制効果は認め
られるものの、いずれも生成量で 80%代であり十分な効
果を有するとは言えない。
【0046】これに対しδ−トコは 55%、γ−トコは 7
4%、コウジ酸は 73%と強力なメラニン生成抑制作用を有
している。とりわけδ−トコは、前記の十分な美白作用
の目標であるメラニン生成の 50%抑制を単独でもほぼ達
成しており、従来用いられてきた素材と比較して、著し
く優れた美白作用が期待できる。
【0047】実験例3 δ−トコにL-アスコルビン酸もしくはコウジ酸を併用し
た場合のメラニン生成抑制作用
【0048】(方法)
【0049】実験例2と同様にして、測定試料にさらに
L-アスコルビン酸もしくはコウジ酸を添加し、総メラニ
ン生成量を測定し比較した。
【0050】(結果)
【0051】
【表3】
【0052】このように強力なメラニン生成抑制作用を
有するδ−トコに、作用機序の異なるL-アスコルビン酸
あるいはコウジ酸を 0.03%併用すると、表3から明らか
なように、それぞれδ−トコ単独の場合と比べてさらに
約 15%以上メラニン生成量が減少し、より強力なメラニ
ン生成抑制効果が認められた。したがって、δ−トコに
L-アスコルビン酸あるいはコウジ酸を併用すると、メラ
ニンの生成を約 60%も抑制することが可能となる。
【0053】本発明は、このようにδ−トコ単独での優
れた美白効果に加え、既存の素材との併用により、美白
剤としてのポテンシーを飛躍的に高めることを可能とす
るものである。さらに本発明にかかるδ−トコ等の本発
明天然ビタミンE、および既存素材との併用による優れ
た有効性は上述のように明らかであるが、これは本発明
にかかるδ−トコ等の本発明天然ビタミンEが、チロシ
ナーゼ合成阻害作用に基づく優れたメラニン産生抑制作
用を有するためである。したがって前述のようにα−ト
コではほとんどメラニン生成抑制作用が期待できないこ
とから、本発明は、これまでに開示されているコウジ酸
にα−トコを加えコウジ酸の有用性を高めたという発明
(特公昭 63-24968)とは、本質的に全く異なる発明であ
る。
【0054】さらに、トコフェロール添加により、メラ
ニン量を抑制されたB16メラノーマ細胞を再度、トコフェロー
ルを含まない系で培養した場合、細胞内メラニン量は順
調に増加することより本抑制作用が可逆的な阻害作用で
あることが確認された。
【0055】次に本発明の製剤例を実施例として示す。
下記の処方例によりそれぞれの製剤とするが、本発明の
実施例がこれらのみに限定されないことは言うまでもな
い。
【0056】
【実施例】実施例1 1% d−δ−トコフェロール含有クリーム
【0057】
【表4】
【0058】<製法>
【0059】原料1〜8を秤取し、80〜90℃に加温溶解
し、油相とする。原料8、9を混和し、原料10〜11を加
え、80〜90℃に加温、撹拌、溶解し、水相とする。撹拌
下、油相を水相に添加し、ホモミキサーを用いて乳化
後、撹拌しながら室温まで冷却し、d-δ−トコフェロー
ル1%含有するクリーム剤を得た。
【0060】実施例2 1% L-アスコルビン酸/ 1% d-δ−トコフェロール含有
クリーム
【0061】
【表5】
【0062】<製法>
【0063】原料1、3〜8を秤取し、80〜90℃に加温
溶解し油相とする。原料9、11を混和し、原料11〜13、
15を加え、80〜90℃に加温、撹拌、溶解し、水相とす
る。水相に原料2、14を加え、撹拌下、油相を水相に添
加し、ホモミキサーを用いて乳化後、撹拌しながら室温
まで冷却し、d-δ−トコフェロール1%、L-アスコルビン
酸1%を含有するクリーム剤を得た。
【0064】実施例3 1% リン酸-L−アスコルビル・マグネシウム/ 1% d-δ
−トコフェロール含有クリーム
【0065】
【表6】
【0066】<製法>
【0067】原料1、3〜8を秤取し、80〜90℃に加温
溶解し油相とする。原料9、10を混和し、原料11〜13、
15を加え、80〜90℃に加温、撹拌、溶解し、水相とす
る。水相に原料2、14を加え、撹拌下、油相を水相に添
加し、ホモミキサーを用いて乳化後、撹拌しながら室温
まで冷却し、d-δ−トコフェロール1%、リン酸-L−アス
コルビル・マグネシウム1%を含有するクリーム剤を得
た。
【0068】実施例4 1% L-アスコルビン酸/ 1% 酢酸d-δ−トコフェロール
含有クリーム
【0069】
【表7】
【0070】<製法>
【0071】原料1、3〜8を秤取し、80〜90℃に加温
溶解し油相とする。原料9、10を混和し、原料11〜13、
15を加え、80〜90℃に加温、撹拌、溶解し、水相とす
る。水相に原料2、14を加え、撹拌下、油相を水相に添
加し、ホモミキサーを用いて乳化後、撹拌しながら室温
まで冷却し、d-δ−トコフェロール1%、L-アスコルビン
酸1%を含有するクリーム剤を得た。
【0072】実施例5 1% コウジ酸/ 1% d-δ−トコフェロール含有クリーム
【0073】
【表8】
【0074】<製法>
【0075】原料1、3〜8を秤取し、80〜90℃に加温
溶解し、油相とする。原料9、10を混和し、原料11〜14
を加え、80〜90℃に加温、撹拌、溶解し、水相とする。
水相に原料2を加え、撹拌下、油相を水相に添加し、ホ
モミキサーを用いて乳化後、撹拌しながら室温まで冷却
し、d-δ−トコフェロール1%、コウジ酸1%を含有するク
リーム剤を得た。
【0076】実施例6 3% d-δ−トコフェロール含有軟膏剤
【0077】
【表9】
【0078】<製法>
【0079】原料1を秤量し、原料2を撹拌・混和しな
がら徐々に加え、十分混練し全質均等とし、3% d−δ−
トコフェロール含有軟膏剤を得た。
【0080】実施例7 0.5% d-γ−トコフェロール含有ローション
【0081】
【表10】
【0082】<製法>
【0083】原料6、7を原料5と混和し、精製水40ml
を加え、85℃に加温、撹拌し、溶解したのち、室温まで
冷却した。原料1〜4を混和、60℃に加温溶解し、精製
水40ml中に撹拌下に添加した。これらを混和し、精製水
を加え、全量を 100mlとして0.5% d−γ−トコフェロー
ル含有ローションを得た。
【0084】実施例8 3% d-δ−トコフェロール含有浴用剤
【0085】
【表11】
【0086】<製法>
【0087】上記各原料を均一に混合し、d-δ−トコフ
ェロール含有浴用剤を得た。
【0088】実施例9 3% L-アスコルビン酸/ 3% d-δ−トコフェロール含有
浴用剤
【0089】
【表12】
【0090】<製法>
【0091】上記各原料を均一に混合し、L-アスコルビ
ン酸/d-δ−トコフェロール含有浴用剤を得た。
【0092】
【対照例】対照例1〜3 実施例1〜3と同様の方法で、次の処方により対照例1
〜3を得た。
【0093】
【表13】
【0094】本発明では、d-δ−トコフェロールに代表
されるトコフェロール類を、従来の美白成分に併用する
ことによって、皮膚でのメラニン生成をより確実に抑制
し、色素の異常沈着によるシミの部分の着色を緩和し、
日焼けによる着色を防ぎ、また日焼け後に使用すること
により、日焼けの褪色を早めることができる。
【0095】次に本発明の臨床効果を示すため、以下に
臨床効果例を挙げる。
【0096】
【臨床効果例】
<方法>
【0097】21〜50才の女性20名をパネラーとした臨床
効果比較試験を実施した。実施例1〜3および対照例1
〜3の6種類の製剤について、どの試料がどの処方であ
るかをパネラーには知らせないブラインド方式で、毎朝
・晩の1日2回、洗顔後に適量を顔面と下腕部の6ケ所
に、1製剤を3週間塗布し、6製剤のすべてについて順
に、同一人物で下記評価基準と色差計により美白効果を
評価した。紫外線によるメラノサイト刺激は、常法通り
雨天を除く毎日、屋外で約15分程度の太陽自然散光によ
り行った。使用前後の皮膚明度(L) を色差計により測定
し、また顔面のシミ・ソバカスへの効果を評価した。
【0098】
【表14】
【0099】<結果>
【0100】
【表15】
【0101】表4から明らかなように、本発明にかかる
化粧料・浴用剤は美白効果に極めて優れており、日焼け
・老化などによる、皮膚の黒ずみ・くすみ・シミ・ソバ
カスの予防、改善・治療に有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日比 孝 埼玉県本庄市南 2−6−5 エーザイ青 雲寮 (72)発明者 田邊 義雄 埼玉県本庄市東台 2−3−9 メゾン小 暮201 (72)発明者 大沢 重光 埼玉県本庄市見福 1−10−12

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】d-δ−トコフェロールを有効成分とする美
    白化粧料
  2. 【請求項2】d-δ−トコフェロールを有効成分とする美
    白浴用剤
  3. 【請求項3】d-δ−トコフェロールとL-アスコルビン酸
    もしくはその薬理学的に許容できる塩もしくはその誘導
    体を有効成分とする美白化粧料
  4. 【請求項4】d-δ−トコフェロールとL-アスコルビン酸
    もしくはその薬理学的に許容できる塩もしくはその誘導
    体を有効成分とする美白浴用剤
  5. 【請求項5】d-δ−トコフェロールとコウジ酸を有効成
    分とする美白化粧料
  6. 【請求項6】d-δ−トコフェロールとコウジ酸を有効成
    分とする美白浴用剤
  7. 【請求項7】d-δ−トコフェロール、d-γ−トコフェロ
    ールおよびd-β−トコフェロールから選択される1種ま
    たは2種以上の天然ビタミンEを有効成分とする美白化
    粧料
  8. 【請求項8】d-δ−トコフェロール、d-γ−トコフェロ
    ールおよびd-β−トコフェロールから選択される1種ま
    たは2種以上の天然ビタミンEを有効成分とする美白浴
    用剤
  9. 【請求項9】d-δ−トコフェロール、d-γ−トコフェロ
    ールおよびd-β−トコフェロールから選択される1種ま
    たは2種以上の天然ビタミンEとL-アスコルビン酸もし
    くはその薬理学的に許容できる塩もしくはその誘導体を
    有効成分とする美白化粧料
  10. 【請求項10】d-δ−トコフェロール、d-γ−トコフェ
    ロールおよびd-β−トコフェロールから選択される1種
    または2種以上の天然ビタミンEとL-アスコルビン酸も
    しくはその薬理学的に許容できる塩もしくはその誘導体
    を有効成分とする美白浴用剤
  11. 【請求項11】d-δ−トコフェロール、d-γ−トコフェ
    ロールおよびd-β−トコフェロールから選択される1種
    または2種以上の天然ビタミンEとコウジ酸を有効成分
    とする美白化粧料
  12. 【請求項12】d-δ−トコフェロール、d-γ−トコフェ
    ロールおよびd-β−トコフェロールから選択される1種
    または2種以上の天然ビタミンEとコウジ酸を有効成分
    とする美白浴用剤
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