JP2017031081A - 油中水型皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化チタン及び紫外線吸収剤の複合粉体と、美白化合物と、を含有する油中水型皮膚外用剤。該紫外線吸収剤としては、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタンであることが好ましく、該美白化合物としては、アルブチン、アスコルビン酸若しくはアスコルビン酸誘導体又はそれらの塩、及びトラネキサム酸若しくはトラネキサム酸誘導体又はそれらの塩から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、該皮膚外用剤には、複合粉体を除く油相の全質量に対してシリコーン油が50質量%以上含まれることが好ましく、該皮膚外用剤には、親水性増粘剤であるヒアルロン酸又はその塩、キサンタンガム、及びアルカリゲネス産生多糖体から選ばれる少なくとも1種が更に含まれることが好ましい油中水型皮膚外用剤。
【選択図】なし
Description
従来、このような皮膚の色素沈着を改善し、又は色素沈着を抑制するため、美白化合物を配合した化粧料等の皮膚外用剤が種々提案されている。
また、特許文献2には、アスコルビン酸誘導体等の美白化合物と、特定のポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン又はポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンと、紫外線吸収剤と、を含有する油中水型乳化組成物が開示されている。
一方、特許文献2の油中水型乳化組成物は、紫外線吸収剤を含有するものの、本発明者らが確認したところ、美白化合物を含有する油中水型皮膚外用剤に紫外線吸収剤を単に配合しただけでは、美白化合物の光安定性が充分ではないことが判明した。
<1> 酸化チタン及び紫外線吸収剤の複合粉体と、美白化合物と、を含有する油中水型皮膚外用剤。
<2> 紫外線吸収剤が、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタンを含む<1>に記載の油中水型皮膚外用剤。
<3> 美白化合物が、アルブチン、アスコルビン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩、及びトラネキサム酸若しくはその誘導体又はそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む<1>又は<2>に記載の油中水型皮膚外用剤。
<4> 複合粉体を除く油相の全質量に対してシリコーン油を50質量%以上含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の油中水型皮膚外用剤。
<5> 複合粉体が油相に含まれる<1>〜<4>のいずれか1つに記載の油中水型皮膚外用剤。
<6> 親水性増粘剤を更に含有する<1>〜<5>のいずれか1つに記載の油中水型皮膚外用剤。
<7> 親水性増粘剤が、ヒアルロン酸又はその塩、キサンタンガム、及びアルカリゲネス産生多糖体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む<6>に記載の油中水型皮膚外用剤。
本明細書において油中水型皮膚外用剤中の各成分の量は、各成分に該当する物質が油中水型皮膚外用剤中に複数種存在する場合には、特に断らない限り、油中水型皮膚外用剤中に存在する複数種の物質の合計量を意味する。
本明細書において「油相」とは、油中水型皮膚外用剤の連続相を意味し、連続相の液状媒体と、その液状媒体に分散又は溶解している成分とを含む。
本明細書において「水相」とは、油中水型皮膚外用剤の分散相を意味し、分散相の液状媒体と、その液状媒体に分散又は溶解している成分とを含む。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、酸化チタン及び紫外線吸収剤の複合粉体と、美白化合物と、を含有する。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、酸化チタン及び紫外線吸収剤の複合粉体を含有することにより、例えば、酸化チタンと紫外線吸収剤とを別々に含有する場合と比較して、美白化合物の光安定性、特に、波長320nm〜450nmの光に対する安定性を顕著に向上させることができる。その結果、本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、美白化合物の効果を長期に亘って発現することが可能となる。また、本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、酸化チタン及び紫外線吸収剤の複合粉体を含有するため、皮膚に有害な紫外線を遮蔽することができる。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、酸化チタン及び紫外線吸収剤の複合粉体(以下、単に「複合粉体」ともいう。)を含有する。油中水型皮膚外用剤は、複合粉体を1種単独で含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
これらの紫外線吸収剤の中でも、酸化チタンとの複合化の容易さ及びコストの観点から、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、及び2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、美白化合物の光安定性の向上効果の観点から、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタンがより好ましい。
複合粉体の平均粒子径は、酸化チタンの平均一次粒子径と同様の方法により測定することができる。
スラリーにおける複合粉体の含有率は特に制限されない。一般に、スラリーにおける複合粉体の含有率は、スラリーの全質量の10質量%〜80質量%とすることが好ましく、20質量%〜60質量%とすることがより好ましい。スラリーにおける複合粉体の含有率が上記の範囲であれば、油中水型皮膚外用剤に複合粉体を安定に配合できる傾向にある。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、美白化合物を含有する。油中水型皮膚外用剤は、美白化合物を1種単独で含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
本明細書における「美白化合物」とは、肌を白くする効果を有する化合物のみならず、肌の黒化を抑制する効果を有する化合物も含む概念である。例えば、しみ、そばかす等の色素沈着を改善する効果を有する化合物のみならず、色素沈着を抑制する効果を有する化合物も、「美白化合物」に含まれる。
(i)メラノサイト活性化因子がメラノサイトに作用するのを阻害する。
(ii)メラノサイト内のチロシナーゼタンパク質の活性を阻害する。
(iii)チロシナーゼタンパク質の分解を促進する。
(iv)チロシンからメラニンへの合成の際の酸化を抑制する。
トラネキサム酸誘導体又はその塩としては、トラネキサム酸ラウリルエステル、トラネキサム酸ミリスチルエステル、トラネキサム酸セチルエステル、トラネキサム酸ステアリルエステル等が挙げられる。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、ポリエーテル変性シリコーンを含有していてもよい。油中水型皮膚外用剤がポリエーテル変性シリコーンを含有することにより、油中水型皮膚外用剤の乳化安定性が向上する傾向にある。油中水型皮膚外用剤は、ポリエーテル変性シリコーンを1種単独で含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
ポリエーテル変性シリコーンは、市販品としても入手可能である。市販品としては、例えば、KF−6011、KF−6011P、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6016、KF−6017、KF−6017P、KF−6043、KF−6028、KF−6028P、KF−6038(以上、信越化学工業(株))等が挙げられる。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、脂肪酸を含有していてもよい。油中水型皮膚外用剤が脂肪酸を含有することにより、粘度安定性及び使用感が向上する傾向にある。油中水型皮膚外用剤は、脂肪酸を1種単独で含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、親油性増粘剤を含有していてもよい。親油性増粘剤とは、油相に分散又は溶解して粘性を付与することができる成分を指す。油中水型皮膚外用剤が親油性増粘剤を含有することにより、油相に含有される成分の分散安定性が向上する傾向にある。油中水型皮膚外用剤は、親油性増粘剤を1種単独で含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
本明細書では、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))を用いて体積平均粒子径を測定する。具体的には、濃度が1質量%になるように親油性増粘剤をジメチコンで希釈し、石英セルを用いて測定を行う。親油性増粘剤の体積平均粒子径は、試料屈折率として1.600、分散媒の屈折率として1.000、及び分散媒の粘度としてジメチコンの粘度を設定したときの値として求める。
シリコーンゴム粉体の市販品としては、トレフィル(登録商標) E−506C、E−508、9701Cosmetic Powder、9702Powder、9027/9040/9041/9045/9046/9041/9546 Silicone Elastomer Blend、EP−9215、EP−9216 TI、EP−9289 LL、EP−9293 AL、EL−8040 ID Silicone Organic Blend(以上、東レ・ダウコーニング(株))、Wacker−Belsil(登録商標) RG 100(旭化成ワッカーシリコーン(株))、NIKKOL(登録商標) SILBLEND−91(日光ケミカルズ(株))等が挙げられる。
PMMA粉体の市販品としては、テクポリマー(登録商標)(積水化成品工業(株))、マツモトマイクロスフェアー(松本油脂製薬(株))等が挙げられる。
シリカ粉体としては、シリカ、シリル化シリカ、ジメチルシリル化シリカ、ジメチコンケイ酸シリカ粉体等が挙げられる。
多孔質シリカ粉体の市販品としては、サンスフェア(登録商標) H−31、H−32、H−33、H−51、H−52、H−53、H−121、H−122、H−201(以上、旭硝子(株))、VM−2270 Aerogel Fine Particle(東レ・ダウコーニング(株))、HDK(登録商標) H2000、H15、H18、H20、H30(以上、旭化成ワッカーシリコーン(株))、サイロピュア(登録商標)(富士シリシア化学(株))、トクシール((株)トクヤマ製)、マイクロビーズシリカゲル(富士シリシア化学(株))等が挙げられる。
デキストリン脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン等が挙げられる。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、親水性増粘剤を含有していてもよい。親水性増粘剤とは、水相に分散又は溶解して粘性を付与することができる成分を指す。油中水型皮膚外用剤が親水性増粘剤を含有することにより、使用時の水分が蒸発する際における美白化合物の析出が抑えられ、ざらつきなく、なめらかな感触が得られる傾向にある。また、油中水型皮膚外用剤が親水性増粘剤を含有することにより、美白化合物の光安定性が向上する傾向にある。油中水型皮膚外用剤は、親水性増粘剤を1種単独で含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、界面活性剤を含有していてもよい。油中水型皮膚外用剤が界面活性剤を含有することにより、油中水型皮膚外用剤の粘度安定性が向上する傾向にある。油中水型皮膚外用剤は、界面活性剤を1種単独で含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、油剤を含有する。油剤は、油中水型皮膚外用剤の油相を形成する組成物において、溶媒又は分散媒となる成分である。油剤としては、室温(25℃)で液状であれば特に制限されない。油剤としては、シリコーン油、エステル油、炭化水素油等が挙げられる。油中水型皮膚外用剤は、油剤を1種単独で含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
シリコーン油の市販品としては、KF−96L−0.65cs、KF−96L−1cs、KF−96L−1.5cs、KF−96L−2cs、KF−96L−5cs、KF−96A−6cs、KF−96−10cs、KF−96−20cs、KF−995(以上、信越化学工業(株))、SH200 C Fluid 1CS、SH200 Fluid 1.5CS、SH200 C 2CS、SH200 C Fluid 5CS、SH200 C Fluid 6CS、SH200 C Fluid 10CS、SH200 C Fluid 20CS、2−1184 Fluid、SH245 Fluid、DC246 Fluid、DC345 Fluid、SS−3408(以上、東レ・ダウコーニング(株))、TSF404、TSF405、TSF4045(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)等が挙げられる。
特に、油中水型皮膚外用剤は、複合粉体を除く油相の全質量に対してシリコーン油を50質量%以上含むことが好ましい。油中水型皮膚外用剤の複合粉体を除いた油相におけるシリコーン油の含有率が50質量%以上であれば、油中水型皮膚外用剤の耐水性及び使用感(さっぱり感)が向上する傾向にある。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、水を含有する。水は、油中水型皮膚外用剤の水相を構成する組成物において、溶媒又は分散媒となる成分である。水としては、皮膚外用剤に適用し得る水であれば特に制限されない。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、多価アルコールを含有していてもよい。油中水型皮膚外用剤が多価アルコールを含有することにより、油中水型皮膚外用剤の使用感(保湿性)が向上する傾向にある。油中水型皮膚外用剤は、多価アルコールを1種単独で含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、酸化チタンと複合化されていない紫外線吸収剤、水溶性有機溶剤(エタノール等)、防腐剤(フェノキシエタノール、メチルパラベン等)、pH調整剤、エモリエント剤、保湿剤、酸化防止剤、着色剤、香料などが挙げられる。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤は、化粧料、経皮医薬部外品等の用途に適用することができる。化粧料としては、スキンケア化粧料、日焼け止め化粧料、化粧下地等のメイクアップ化粧料などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
本実施形態の油中水型皮膚外用剤の製造方法は、特に制限されず、公知の油中水型皮膚外用剤の製造方法に従って製造することができる。
また、複合粉体を水相に配合する場合には、複合粉体と他の水相成分とを含有する水相組成物を調製し、得られた水相組成物と油相組成物とを混合して、油中水型皮膚外用剤を製造することができる。
シクロペンタシロキサン、複合粉体(HXMT−100ZA、テイカ(株))、及びジメチコン10CSを室温にてディスパーで充分に撹拌混合した。その後、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(KF−6028、信越化学工業(株))、オレイン酸(ルナックO−V、花王(株))、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(KSG−16、体積平均粒子径5μm、信越化学工業(株))、及び(ジメチコン/(PEG−10/15)クロスポリマー(KSG−210、信越化学工業(株))を更に添加し、撹拌混合して均一化し、油相組成物を得た。
次いで、エタノール、1,3−ブチレングリコール、アルブチン、ヒアルロン酸ナトリウムの1質量%水溶液、及び水(配合量の一部)を室温にて撹拌混合して均一化し、水相組成物を得た。
次いで、油相組成物をホモミキサーで撹拌しながら、水相組成物を少量ずつ添加して乳化した。その後、フェノキシエタノールを添加し、残りの水を添加して均一化することにより、実施例1の油中水型皮膚外用剤を得た。
実施例1の油中水型皮膚外用剤の組成を表1に示す。表1中の成分の欄における「%」は「質量%」を示し、「−」はその成分を含有しないことを示す。
アルブチンを添加する代わりに、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩(APM)、アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G)、又はトラネキサム酸を添加した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜4の油中水型皮膚外用剤を得た。実施例2〜4の油中水型皮膚外用剤の組成を表1に示す。
ヒアルロン酸ナトリウムの1質量%水溶液を添加する代わりに、キサンタンガムの1質量%水溶液を添加した以外は実施例1と同様にして、実施例5の油中水型皮膚外用剤を得た。実施例5の油中水型皮膚外用剤の組成を表1に示す。
ヒアルロン酸ナトリウムの1質量%水溶液を添加しなかった以外は実施例1〜4と同様にして、実施例6〜9の油中水型皮膚外用剤を得た。実施例6〜9の油中水型皮膚外用剤の組成を表1に示す。
シクロペンタシロキサンを添加する代わりに、シクロペンタシロキサン及びイソノナン酸イソトリデシルを添加した以外は実施例1と同様にして、実施例10の油中水型皮膚外用剤を得た。実施例10の油中水型皮膚外用剤の組成を表1に示す。
アルブチンを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1の油中水型皮膚外用剤を得た。比較例1の油中水型皮膚外用剤の組成を表1に示す。
複合粉体を添加する代わりに、表面処理酸化チタン(MT−10EX、テイカ(株))及び4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタンを添加した以外は実施例1と同様にして、比較例1の油中水型皮膚外用剤を得た。比較例1の油中水型皮膚外用剤の組成を表1に示す。なお、比較例2では、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタンが溶解せずに析出したため、濾過後に使用した。
シクロペンタシロキサンを添加する代わりに、シクロペンタシロキサン及びイソノナン酸イソトリデシルを添加した以外は比較例2と同様にして、比較例3の油中水型皮膚外用剤を得た。比較例3の油中水型皮膚外用剤の組成を表1に示す。
実施例1〜10及び比較例1〜3の油中水型皮膚外用剤について、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。表1中、評価の欄における「−」は、その評価を行っていないことを示す。
ISO24443:2012に準じて、実施例1の油中水型皮膚外用剤をPMMA基板(HELIOPLATE HD6、HelioScreen社)上に2mg/cm2の塗布量で塗布し、紫外線遮蔽能評価用サンプルを作製した。この紫外線遮蔽能評価用サンプルを用いて、SPF(Sun Protection Factor)アナライザー(UV−2000S、Labsphere社)により、UVAPF(UVA Protection Factor)値を測定した。その結果、実施例1の油中水型皮膚外用剤のUVAPF値は18.0であった。
同様に、実施例2〜10及び比較例1〜3の油中水型皮膚外用剤を用いてUVAPF値を測定した。
実施例1の油中水型皮膚外用剤のUVAPF値を100としたときの相対値を表1に示す。相対値が75以上であれば、実用上許容される。
上記の紫外線遮蔽能評価用サンプルを流水(1L/秒)に10分間浸した後、乾燥させ、上記と同様にUVAPF値を測定した。そして、流水処理前のサンプルのUVAPF値を100として、流水処理後のサンプルのUVAPF値の相対値を算出した。結果を表1に示す。相対値が70以上であれば、実用上許容される。
10名の専門パネラーに実施例1〜10及び比較例1〜3の油中水型皮膚外用剤を指で顔に塗布してもらい、塗布時のなめらかさを、以下の5段階の評価基準で評価してもらった。そして、10名の専門パネラーによる評価値の平均値を1.0から5.0までの0.5刻みの値に丸め、なめらかさの評価結果とした。結果を表1に示す。商品性に鑑み、3.0以上を許容内とした。
なお、「なめらかさ」とは、油中水型皮膚外用剤が指への抵抗感なく肌の上で広がる感触を意味する。
−評価基準−
5:なめらかさが非常に優れる
4:なめらかさが優れる
3:なめらかさがある
2:なめらかさが劣る
1:なめらかさが非常に劣る
10名の専門パネラーに実施例1〜10及び比較例1〜3の油中水型皮膚外用剤を顔に塗布してもらい、塗布後のさっぱり感を、以下の5段階の評価基準で評価してもらった。そして、10名の専門パネラーによる評価値の平均値を1.0から5.0までの0.5刻みの値に丸め、さっぱり感の評価結果とした。結果を表1に示す。商品性に鑑み、3.0以上を許容内とした。
なお、「さっぱり感」とは、油中水型皮膚外用剤の塗布後の肌に触れた際のべたつきのない感触を意味する。
−評価基準−
5:さっぱり感が非常に優れる
4:さっぱり感が優れる
3:さっぱり感がある
2:さっぱり感が劣る
1:さっぱり感が非常に劣る
実施例1〜10及び比較例1〜3の油中水型皮膚外用剤中における美白化合物の量をHPLC(High Performance Liquid Chromatography)により定量した。
次いで、実施例1〜10及び比較例1〜3の油中水型皮膚外用剤を、厚さ1mmのシリコンスペーサーを介した2枚のガラス板の間に挟み込み、光安定性評価用サンプルを作製した。光安定性評価用サンプルから15cmの高さに什器用LED照明(1000lm)を設置し、光安定性評価用サンプルにLED光(4000lx相当)を28日間照射した。その後、油中水型皮膚外用剤中における美白化合物の量をHPLCにより定量した。
そして、LED光の照射前における美白物の量を100として、照射後における美白物の量の相対値を算出した。結果を表1に示す。相対値が75以上であれば、実用上許容される。
実施例1〜10及び比較例1〜3の油中水型皮膚外用剤を調製する際の水相組成物を水で100倍に希釈し、評価試料を調製した。
B16メラノーマ細胞を、10体積%ウシ胎児血清含有MEM培地(Minimum Essential Medium)(GIBCO社)を用いて、12ウェル培養プレートに2.5×105個/ウェルとなるように播種し、24時間前培養を行った。
前培養後、評価試料を添加した試験培地に交換し、72時間培養を行った。試験培地としては、上記の前培養用の培地に、テオフィリンを0.25mmol/L、ジメチルスルホキシド(DMSO)を1体積%、評価試料を0.1mmol/Lとなるように添加したものを使用した。
培養終了後、B16メラノーマ細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、10体積のDMSOを含有する1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を添加し、50℃で30分間超音波処理することにより、溶解液を得た。その後、溶解液の吸光度を波長400nmにて測定し、B16メラノーマ細胞中のメラニン量を算出した。
評価試料を添加しない場合を対照としてメラニン産生抑制率(%)を算出し、以下の評価基準で評価した。結果を表1に示す。なお、油中水型皮膚外用剤を調製する際の水相組成物が美白効果を示す場合には、油中水型皮膚外用剤も美白効果を示す。
−評価基準−
A:メラニン産生抑制率が30%以上
B:メラニン産生抑制率が30%未満
また、実施例1〜10の油中水型皮膚外用剤は、紫外線遮蔽能、耐水性、及び使用感がいずれも良好であった。
また、実施例1〜5と実施例10とを対比すると、油中水型皮膚外用剤が、複合粉体を除いた油相中にシリコーン油を50質量%以上含有することで、油中水型皮膚外用剤の耐水性及び使用感(さっぱり感)が向上することが分かる。
また、比較例3の油中水型皮膚外用剤は、紫外線遮蔽能、耐水性、及び使用感が、実施例1〜10の油中水型皮膚外用剤よりも劣っていた。
また、美白化合物を含有し、且つ、表面処理酸化チタンと4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタンとを別々に含有するが、エステル油を含有しない比較例2の油中水型皮膚外用剤は、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタンが溶解せず、油中水型皮膚外用剤の紫外線遮蔽能及び美白化合物の光安定性が顕著に劣っていた。
シクロペンタシロキサン及びジメチコン10CSを室温にてディスパーで充分に撹拌混合した。その後、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(KF−6028、信越化学工業(株))、オレイン酸(ルナックO−V、花王(株))、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(KSG−16、体積平均粒子径5μm、信越化学工業(株))、及び(ジメチコン/(PEG−10/15)クロスポリマー(KSG−210、信越化学工業(株))を更に添加し、撹拌混合して均一化し、油相組成物を得た。
次いで、エタノール、1,3−ブチレングリコール、複合粉体(HXMT−100ZA、テイカ(株))、アルブチン、及び水(配合量の一部)を室温にて撹拌混合して均一化し、水相組成物を得た。
次いで、油相組成物をホモミキサーで撹拌しながら、水相組成物を少量ずつ添加して乳化した。その後、フェノキシエタノールを添加し、残りの水を添加して均一化することにより、実施例11の油中水型皮膚外用剤を得た。
実施例11の油中水型皮膚外用剤の組成を表2に示す。表2中、成分の欄における「−」は、その成分を含有しないことを示す。
シクロペンタシロキサンを添加する代わりに、シクロペンタシロキサン及びイソノナン酸イソトリデシルを添加した以外は実施例11と同様にして、実施例12の油中水型皮膚外用剤を得た。実施例12の油中水型皮膚外用剤の組成を表2に示す。
実施例11及び実施例12の油中水型皮膚外用剤について、上記と同様に、紫外線遮蔽能、耐水性、なめらかさ、さっぱり感、及び美白化合物の光安定性の各評価を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1〜10の油中水型皮膚外用剤は、紫外線遮蔽能、耐水性、及び使用感がいずれも良好であった。
なお、表1の実施例6と表2の実施例11とを対比すると、複合粉体は、水相よりも油相に配合するのが好ましいことが分かる。
Claims (7)
- 酸化チタン及び紫外線吸収剤の複合粉体と、美白化合物と、を含有する油中水型皮膚外用剤。
- 紫外線吸収剤が、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタンを含む請求項1に記載の油中水型皮膚外用剤。
- 美白化合物が、アルブチン、アスコルビン酸若しくはアスコルビン酸誘導体又はそれらの塩、及びトラネキサム酸若しくはトラネキサム酸誘導体又はそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1又は請求項2に記載の油中水型皮膚外用剤。
- 複合粉体を除く油相の全質量に対してシリコーン油を50質量%以上含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の油中水型皮膚外用剤。
- 複合粉体が油相に含まれる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の油中水型皮膚外用剤。
- 親水性増粘剤を更に含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の油中水型皮膚外用剤。
- 親水性増粘剤が、ヒアルロン酸又はその塩、キサンタンガム、及びアルカリゲネス産生多糖体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項6に記載の油中水型皮膚外用剤。
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