JPH0672323B2 - 高光沢性合成繊維の製造法 - Google Patents

高光沢性合成繊維の製造法

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JPH0672323B2
JPH0672323B2 JP61110237A JP11023786A JPH0672323B2 JP H0672323 B2 JPH0672323 B2 JP H0672323B2 JP 61110237 A JP61110237 A JP 61110237A JP 11023786 A JP11023786 A JP 11023786A JP H0672323 B2 JPH0672323 B2 JP H0672323B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、カーペツトやハイパイル、モケツトなどイン
テリア製品に適した合成繊維の製造方法に関するもので
あり、さらに詳しくはすぐれた外観と光沢性を有する合
成繊維の製造方法に関するものである。
<従来の技術> 従来、カーペツトやハイパイル、モケツトなどのインテ
リア製品に、合成繊維としてポリエステル、ナイロン、
ポリプロピレンなどを用いる場合、すぐれた光沢性を得
るためにその繊維断面形状をT字型、Y字型あるいは三
角形にする方法が採用されている。これらの繊維断面形
状は、最終製品であるカーペツト、ハイパイル、モケツ
トなどの用途に応じ、それぞれに適した好ましいものを
選ぶことができる。また繊維断面形状の効果を高めるた
めに必要に応じて、第三成分を共重合したり、無機物微
粒子を添加したりあるいは適当な異種ポリマーを混合す
る方法が採用されている。
<発明が解決しようとする問題点> しかしながら従来から用いられている繊維断面形状では
きらきらと輝くような光沢を有する合成繊維を得ること
は困難であつた。
本発明は、従来の繊維断面形状では得られなかつた光沢
性を有する繊維の製造方法に関するものである。
<問題点を解決するための手段> 本発明は、口金細孔の断面積が0.3mm2であり、孔形状が
実質的にY字型をなし、該Y字型の形状が、 25≦αx≦35 (xは1、2、3) 205≦βy≦215 (yは1、2、3) 7/10≦a1/a2,a2/a3,a3/a1≦10/7 3/10≦l1/m1,l2/m2,l3/m3≦10/3 (ただし、αxは鋭角をなす頂角の角度、βyは鈍角を
なす頂角の角度、a1、a2およびa3は鋭角をなす頂点間の
距離、l1およびm1は鈍角βをなす二辺の長さ、l2およ
びm2は鈍角βをなす二辺の長さ、l3およびm3は鈍角β
をなす二辺の長さを示す。) を満足する形状を有する紡糸口金を用いて熱可塑性合成
線状重合体溶融物を押し出し、口金直下3〜50cmのとこ
ろで風速1〜7m/秒の冷却風を紡出糸条にほぼ直交して
吹きつけて冷却し、ドラフト150以上で溶融紡糸するこ
とを特徴とする高光沢性合成繊維の製造法である。
本発明方法で得られる合成繊維を構成するポリマーとし
ては、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンなどの
溶融紡糸可能な熱可塑性ポリマーが挙げられ、必要に応
じて第三成分を共重合したり、無機物微粒子を添加した
り、異種ポリマーを混合したものであつてもよい。
本発明の紡糸方法は、前記の断面形状を有する紡糸口金
を用いて熱可塑性合成線状重合体溶融物を押出し、口金
直下近辺で紡出糸条に直交する冷却風により冷却して溶
融紡糸するものである。冷却風は口金直下3〜50cmのと
ころで、1〜7m/秒とし、紡糸ドラフトが150以上で引取
ることが好ましい。
繊維断面形状は、実質的に二等辺三角形、好ましくは正
三角形であり、すべての頂角は50゜〜65゜である必要が
ある。頂角が65゜を超える場合には、きらきらと輝くよ
うな光沢を得ることができず、また一つの頂角が50゜よ
り小さき場合には、他の頂角の角度が65゜を超えること
になるため目的とする光沢が得られない。繊維断面の三
角形をなす各辺の形状はほぼ直線かもしくはわずかに凹
状であることが必要であり、凸状になつていたり凹状で
あつても、凹部の深さが大きすぎる場合には本発明の効
果は得らない。即ち、前記の式0≦Dj/Aj≦0.05(jは
1、2、3)を満足することが必要である。
紡糸口金の断面積は0.3mm2以上が好ましく、より好まし
くは0.3〜2.1mm2、さらに好ましくは0.8〜1.8mm2であ
る。断面積が0.3mm2より小さい場合には紡糸時のバラス
効果の影響が大きくなり目的とする繊維断面形状が得に
くい。
紡糸口金の細孔断面形状は鋭角をなす頂角αが25゜〜
35゜である必要があり、この範囲外では目的とする繊維
断面形状の頂角riが50゜〜65゜ににならない。また細孔
断面形状の鈍角をなす頂角βyは205゜〜215゜である必
要があるが、該頂角βyが215゜より大きい場合には繊
維断面形状の辺の凹部が深くなりすぎ、該頂角βyが20
5゜より小さい場合には繊維断面形状の辺が凸状になり
本発明の目的とする繊維断面形状は得られない。
細孔断面形状の鈍角頂点間の距離a1、a2およびa3の相互
の比率、すなわちa1/a2、a2/a3およびa3/a1はそれぞれ7
/10〜10/7であることが必要であり、該比率がこの範囲
を外れた場合には目的とする二等辺三角形状の繊維断面
が得られない。また鈍角βyを形成する二辺の長さ(ly
およびmy)の比は3/10〜10/3である必要があり、この範
囲を外れた場合には、繊維断面形状の辺は凸状になり本
発明の目的とする繊維断面形状は得られない。
本発明の方法の紡糸を行う場合、冷却風は口金直下3〜
50cmのところで紡出糸条に直交して1〜7m/秒で吹きつ
ける必要がある。紡糸調子により冷却風は直交よりも1
〜5゜上向きまたは下向きに吹きあててもよい。また、
冷却風の方向は紡糸口金断面形状のY字型の突出部の一
つが風上になることが好ましい。本発明方法で用いられ
る冷却方法は紡出糸条を急速に冷却して短時間の内に固
化せしめ目的とする繊維断面形状を得るために必要な方
法であり、本発明の条件範囲よりも緩い条件で冷却する
場合には、目的とする鋭い頂角と直線状あるいは、なめ
らかな凹状の辺をもつ繊維断面形状を得ることができ
ず、また本発明よりも過酷な条件で冷却する場合には紡
糸調子が低下し、実用的な紡糸が不可能となる。
本発明の紡糸条件における紡糸ドラフトは150以上、好
ましくは300以上である必要がある。また紡糸引き取り
速度は一般に工業的に用いられる速度でよく、600〜150
0m/分が適当であるが、これを越える、たとえば3000m/
分以上の高速紡糸で引取つてもよい。
次に本発明の特徴を具体的な例により説明する。なお、
実施例における各測定値は下記の方法により測定したも
のである。
光沢度:綿状の試料をよく開繊し、白板に引きそろえて
固定し島津製作所製光電分光光度計T−50を用いて入射
光線角度22.5゜、45゜、50゜における各反射率を測定し
た。さらにこれら反射率の合計値も求めた。
カーペツトの視感光沢:ステープルフアイバーを紡績し
てウール番手6番の紡績糸とし、1/10ゲージでパイル長
7mm、目付重量700g/m2のカツトパイルカーペツトを作製
し、標準光線下で肉眼観察し、光沢性を比較した。
極限粘度〔η〕:フエノールとテトラクロルエタンの等
重量混合溶剤に溶かし30℃にて測定した。
実施例1 極限粘度〔η〕が0.62dl/gで二酸化チタン含有量0.02%
のポリエチレンテレフタレート溶融物を、第1図に示す
如く断面形状でα=α=α=25゜、β=β
β=215゜、a1/a2=a2/a3=a3/a1=1、l1/m1=l2/m2
=l3/m3=1、断面積1.4mm2である細孔を150個有する口
金から押し出し、口金直下4cmから25cmのところで、紡
出糸条に直角な方向から3.2m/秒の冷却風を吹きつけド
ラフト600、引き取り速度1000m/分で引き取つた。この
紡糸原糸を常法に従つて水浴延伸し、機会捲縮をかけ熱
処理し、切断して繊度が10デニールのステープルフアイ
バーとした。この繊維の断面は第2図に示す如き形状で
あり、この形状の特徴を第3図に示す図によつて表す
と、r1=r2=r3=60゜、D1/A1=D2/A2=D3/A3=0.01で
あつた。またこの繊維の光沢度は22.5゜で79%、45゜で
58%、50゜で41%であり、合計で178%であつた。また
この繊維を用いて作製したカーペツトの視感光沢は、き
らきらと強く輝く良好なものであつた。
比較例1 極限粘度〔η〕が0.62dl/gで、二酸化チタン含有量が0.
02%のポリエチレンテレフタレート溶融物を、第4図
(イ)に示す如き断面形状で断面積1.4mm2の細孔を150
個有する口金から押し出し、実施例1と同様の条件で紡
糸、延伸、捲縮、熱処理および切断して、繊度が10デニ
ールのステープルフアイバーとした。この繊維の断面は
第4図(ロ)に示す如き丸みをもつた形状であつた。ま
た、この繊維の光沢度は22.5゜で52%、45゜で36%、50
゜で27%であり、合計で115%であつた。また、この繊
維を用いて作製したカーペツトの視感光沢はきらきらと
した輝きがほとんどないものであつた。
比較例2 極限粘度〔η〕が0.62dl/gで、二酸化チタン含有量が0.
02%のポリエチレンテレフタレート溶融物を、第5図
(イ)に示す如き断面形状で、断面積1.4mm2の細孔を15
0個有する口金から押し出し、実施例1と同様の条件で
紡糸、延伸、捲縮、熱処理および切断して、繊度が10デ
ニールのステープルフアイバーとした。この繊維の断面
は第5図(ロ)に示す如きものであつた。またこの繊維
の光沢度は、22.5゜で63%、45゜で36%、50゜でで28%
であり、合計で127%であつた。またこの繊維を用いて
作製したカーペツトの視感光沢はきらきらとした輝きの
弱いものであつた。
比較例3 極限粘度〔η〕が0.62dl/gで二酸化チタン含有量が0.02
%のポリエチレンテレフタレート溶融物を、実施例1と
同じ口金から押し出し、口金直下4cmから25cmのところ
で、紡出糸条に直交して、0.8m/秒の冷却風を吹きつ
け、ドラフト600で引き取り、実施例1と同様にして延
伸、捲縮、熱処理および切断して繊度が10デニールのス
テープルフアイバーとした。この繊維の断面形状は各辺
が外部に凸となつた丸みを有する三角形であり、光沢度
は22.5゜で55%、45゜で38%、50゜で30%、合計で123
%であつた。またこの繊維を用いて作製したカーペツト
の視感光沢はきらきらとした輝きの弱いものであつた。
また前記紡糸の冷却風を8m/秒としたところ糸切れが多
発し、ドラフトを変えても安定した紡糸を行うことがで
きなかつた。
実施例2 極限粘度〔η〕が0.85dl/gのポリブチレンテレフタレー
ト溶融物を、第1図に示すごとき断面形状でα=α
=α=35゜、β=β=β=205゜、a1/a2=a2/a
3=a3/a1=1、l1/m1=l2/m2=l3/m3=1、断面積0.8mm
2の細孔を170個有する口金から押出し、口金直下5cmか
ら20cmのところで1.5m/秒の冷却風を糸条に直交して吹
きつけドラフト300、引き取り速度700m/分で引き取り、
常法に従つて、水浴延伸し、機械捲縮をかけ、熱処理
し、切断して、繊度が6デニールのステープルフアイバ
ーとした。この繊維の断面形状は第3図に示す如き形状
で、r1=r2=r3=60゜、D1/A1=D2/A2=D3/A3=0.03で
あつた。この繊維を用いて作製したカーペツトの視感光
沢はきらきらとした輝きが非常に強い良好なものであつ
た。
比較例4 極限粘度〔η〕が0.85dl/gのポリブチレンテレフタレー
ト溶融物を、第1図に示す如き断面形状でα=α
α=45゜、β=β=β=195゜、a1/a2=a2/a3
=a3/a1=1、l1/m1=l2/m2=l3/m3=1、断面積0.8mm2
の細孔を170個有する口金から押出し、実施例2と同様
にして繊度が6デニールのステープルフアイバーを得
た。この繊維の断面形状は、外周が凸状で丸みをおびた
三角形であり、この繊維を用いて作製したカーペツトの
視感光沢はきらきらとした輝きの弱いものであつた。
比較例5 極限粘度〔η〕が0.85dl/gのポリブチレンテレフタレー
ト溶融物を、第1図示す如き断面形状でα=α=α
=35゜、β=β=β=205゜、a1/a2=a2/a3=a
3/a1=1、l1/m1=l2/m2=l3/m3=1/5、断面積0.8mm2
細孔を170個有する口金から押出し、実施例2と同様に
して繊度が6デニールのステープルフアイバーを得た。
この繊維の断面形状は、外周が凸状で丸みをおびた三角
形であり、この繊維を用いて作製したカーペツトの視感
光沢はきらきらとした輝きの弱いものであつた。
比較例6 極限粘度〔η〕が0.85dl/gのポリブチレンテレフタレー
ト溶融物を、第1図示す如き断面形状でα=α=α
=20゜、β=β=β=220゜、a1/a2=a2/a3=a
3/a1=1、l1/m1=l2/m2=l3/m3=1、断面積0.8mm2
細孔を170個有する口金から押出し、実施例2と同様に
して繊度が6デニールのステープルフアイバーを得た。
この繊維の断面は第3図の如き形状で、r1=r2=r3=60
゜、D1/A1=D2/A2=D3/A3=0.08であつた。この繊維を
用いて作製したカーペツトの視感光沢はきらきらとした
輝をもつているが、実施例2で作製したカーペツトに比
べると輝きはかなり弱いものであつた。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明方法に用いられる紡糸口金細孔の一例
の断面図、第2図は、本発明方法によって得られる合成
繊維の一例の断面図であり、第3図は、本発明方法によ
って得られる合成繊維の一例の断面図である。第4図お
よび第5図の(イ)は従来の紡糸口金細孔の断面図であ
り、(ロ)は該口金を用いて得られる繊維の断面図であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】口金細孔の断面積が0.3mm2以上であり、孔
    形状が実質的にY字型をなし、該Y字型の形状が、 25≦αx≦35 (xは1、2、3) 205≦βy≦215 (yは1、2、3) 7/10≦a1/a2,a2/a3,a3/a1≦10/7 3/10≦l1/m1,l2/m2,l3/m3≦10/3 (ただし、αxは鋭角をなす頂角の角度、βyは鈍角を
    なす頂角の角度、a1、a2およびa3は鋭角をなす頂点間の
    距離、l1およびm1は鈍角βをなす二辺の長さ、l2およ
    びm2は鈍角βをなす二辺の長さ、l3およびm3は鈍角β
    をなす二辺の長さを示す。) を満足する形状を有する紡糸口金を用いて熱可塑性合成
    線状重合体溶融物を押し出し、口金直下3〜50cmのとこ
    ろで風速1〜7m/秒の冷却風を紡出糸条にほぼ直交して
    吹きつけて冷却し、ドラフト150以上で溶融紡糸するこ
    とを特徴とする高光沢性合成繊維の製造法。
JP61110237A 1986-05-13 1986-05-13 高光沢性合成繊維の製造法 Expired - Fee Related JPH0672323B2 (ja)

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