JPH0671674B2 - 熱切断機におけるテーブル装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、例えば、レーザ加工機やプラズマ切断機など
のごとき熱切断機におけるテーブル装置に係り、さらに
詳細には、ワークをテーブル上に固定し、加工ヘッドが
移動する形式の熱切断機のテーブル装置に関する。

（従来の技術） 熱切断機としての例えばレーザ加工機には、所定位置に
固定した加工ヘッドに対して板状のワークがX,Y軸方向
に移動する形式と、テーブル上に固定したワークに対し
て加工ヘッドがX,Y軸方向へ移動する形式と、ワーク又
は加工ヘッドの一方がＸ軸方向へ移動し、加工ヘッド又
はワークの他方がＹ軸方向へ移動する形式のものがあ
る。

いずれの形式にしても、多数のボールでもってワークを
支持する構成の場合には、テーブルに対するワークの搬
出入を比較的容易に行うことができる。

（発明が解決しようとする課題） ところで、例えばレーザ加工機等の熱切断機において
は、ワークを支持する支持部材に照射されたレーザビー
ムが作業者等の方向へ反射されないように安全を考慮し
て、また支持部材によって支持されている部分の加工精
度を考慮して針状の支持部材でもってワークを支持する
構成が採用されている。

上述のごとく多数の針状支持部材でもってワークを支持
する構成では、テーブルに対するワークの搬出入時にワ
ークの下面に擦り傷を生じ易い問題があるので、前記針
状支持部材の上部に対してボールを相対的に上下動する
構成も開発されている。

しかし、従来は、ワークから切断分離した状態にある切
断片がワークと一緒に搬出されるとき、前記切断片がワ
ークから僅かに下降して前記針状支持部材に接触するこ
とがあり、円滑な搬出を行うことができないことがあっ
た。

（課題を解決するための手段） 前述のごとき従来の問題に鑑みて、本発明は、熱切断機
におけるベースに傾斜可能に支持された傾斜テーブルの
上面に、当該傾斜テーブルの傾斜時にワークを滑落自在
に支持する複数の滑落支持部材を設け、上記傾斜テーブ
ルに上下動可能に支持された昇降フレームに、ワークを
支持自在の針状支持部材を多数設けると共に上記針状支
持部材の上端部を前記滑落支持部材の上面に対して出没
自在に設け、前記傾斜テーブルに対するワークの搬入時
にワークを移動自在に支持する多数のワーク支持部材を
傾斜テーブルに上下に変位自在に設けると共にワーク支
持部材の上部を、前記昇降フレームの上死点におけると
きの前記針状支持部材の上部よりも高く突出自在に設け
てなるものである。

（作用） 前記構成において、ワーク支持部材の上部を針状支持部
材の上部よりも高く突出せしめてワークを支持すること
により、針状支持部材にワークを接触することなくテー
ブルに対してワークを搬入することができる。

テーブルに対してワークを搬入し位置決めした後、ワー
ク支持部材の上部を針状支持部材の上部より下降するこ
とにより、針状支持部材によってワークが支持される。
したがって、針状支持部材によってワークが支持された
状態においてワークの熱切断を行うことにより、従来と
同様に安全に熱切断加工を行うことができる。

ワークの熱切断加工後に、針状支持部材を下降すると、
ワーク及びワークから切断分離された切断片は複数の滑
落支持部材に支持されるので、傾斜テーブルを傾斜する
ことにより、ワーク及び切断片を針状支持部材と干渉す
ることなく滑落排出することができる。

（実施例） 第１図〜第３図を参照するに、例えばレーザ加工機，プ
ラズマ加工機などのごとき熱切断機（全体構成は図示省
略）におけるベース１（第２図参照）上に傾斜テーブル
３が、前側（第２図において左側）が低くなるように傾
斜可能に支持されている。

より詳細には、前記傾斜テーブル３は、第１図に示すよ
うに、角パイプのごとき枠体5A,5B,5C,5Dを、前後方向
（第１図においての上下方向）よりも左右方向（同、左
右方向）が長い長方形状に組合せてなるものである。長
方形状に組合せた枠体5A〜5Dのうち、左右の枠体5C,5A
の下面の前後方向中央部付近にはブラケット７（第２図
参照）がそれぞれ一体的に取付けてあり、各ブラケット
７の１部は、前記ベース１に設けたブラケット９と枢軸
11を介して揺動自在に支承されている。

前記傾斜テーブル３の前側（第２図において左側）より
も後側（同、右側）が高くなるように傾斜すべく、前記
ベース１の１部に設けたブラケット13には傾斜作動装置
の１例としての流体圧シリンダ15がピン17を介して揺動
自在に支承されており、この流体圧シリンダ15における
往復動自在なピストンロッド19の先端部は前記枢軸11よ
り後側において前記ブラケット７にピン21を介して枢支
連結してある。

上記構成により、流体圧シリンダ15におけるピストンロ
ッド19を突出作動すると、傾斜テーブル３は、後側が高
くなるように傾斜するものである。そして、前記ピスト
ンロッド19を引込み作動し、傾斜テーブル３における枠
体5A,5Cを、ベース１に立設したストッパ23に当接支持
することにより、傾斜テーブル３は水平に保持されるも
のである。

第１図に示すように、前記傾斜テーブル３における前後
の枠体5B,5Dには、前後方向に延伸した板状の複数の滑
落支持部材25が左右方向へ適宜間隔に設けてある。この
滑落支持部材25は、傾斜テーブル３の傾斜時に、板状の
ワーク（図示省略）およびワークから切断分離された切
断片を滑落自在に支持するものである。

前記傾斜テーブル３には、ワークの熱切断加工時にワー
クを支持する複数の針状の支持部材35が相対的に上下動
自在に設けられている。

より詳細には第１図に示すように、傾斜テーブル３にお
ける前記枠体5A〜5Dの外方に枠体29A〜29Dを長方形に組
合せてなる昇降フレーム31が傾斜テーブル３上に上下動
可能に支持されているものである。そして、昇降テーブ
ル31における前後の枠体29B,29Dには、第１図に示すよ
うに、前後方向に延伸した複数本の梁部材33の両端部が
左右方向へ適宜間隔に支持されており、各梁部材33の上
部には複数本の前記針状支持部材35が前後方向に適宜間
隔に立設してある。

上記針状支持部材35の上端部は、昇降フレーム31が上下
動することにより、前記滑落支持部材25がワークＷを支
持する上面の高さ位置に対して出没自在であり、ワーク
の熱切断加工時に、滑落支持部材25の上面より突出した
状態でもってワークを支持し、ワークの熱切断加工の終
了後には、滑落支持部材25の上面より没入してワークを
滑落支持部材25に受渡す作用をなすものである。

前記傾斜テーブル３に対して昇降フレーム31を上下動す
るために、傾斜テーブル３における前後の枠体5B,5Dの
下面には、前後方向に延伸した複数（２本）の回動軸37
（第２図参照）の前後両端側が軸受39を介して回動自在
に支持されている。そして、各回動軸37の前後両端部に
は、アーム41（第３図参照）が取付けてあり、各アーム
41の先端部には、昇降フレーム31における前後の枠体29
B,29Dの下面に取付けたガイド部材43に沿って転動自在
の支持ローラ45が取付けてある。

前記各回動軸37を回動するために、本実施例において
は、左右対称の流体圧シリンダ47（第３図参照）が設け
てある。各流体圧シリンダ47の一端側は、傾斜テーブル
３の左右中央部に設けたブラケット49にピン51を介して
取付け、各流体圧シリンダ47におけるピストンロッド53
（一方は図示省略）の先端部は、前記各回動軸37に一体
的に取付けたリンク55の先端部とピン57を介して枢支連
結してある。

なお、傾斜テーブル３に対する昇降フレーム31の上下動
が円滑に行われるように、傾斜テーブル３における前後
の枠体5B,5Dの複数箇所にはガイドブラケット59（第２
図参照）が取付けてあり、昇降フレーム31における前後
の枠体29B,29Dの複数箇所には、上記ガイドブラケット5
9に上下動自在に案内されるガイドバー61が垂直に設け
てある。

上記構成により流体圧シリンダ47を作動してピストンロ
ッド53を往復動すると、リンク55を介して各回動軸37が
回動され、各回動軸37に取付けた各アーム41は適宜に傾
斜した状態とほぼ直立した状態とに変化する。したがっ
て、各アーム41の先端部に備えた支持ローラ45を介して
昇降フレーム31が傾斜テーブル３に対して上下動され得
ることが理解されよう。

前述のごとくアーム41がほぼ垂直状態となって昇降フレ
ーム31が最上昇された状態（上死点の位置）のときに
は、前記針状支持部材35の上端部が前記滑落支持部材25
の上面より高く突出し、アーム41が傾斜した状態のとき
には、昇降フレーム31が下降して針状支持部材35の上端
部が滑落支持部材25の上面に対して投入した状態となる
ものである。

前記針状支持部材35の上端部が前記滑落支持部材25の上
面より突出した状態にあるときであっても、傾斜テーブ
ル３に対して板状のワークの搬入を容易に行い得るよう
に、傾斜テーブル３には、前記針状支持部材35の上端部
よりも高位置においてワークを支持自在のワーク支持部
材63が上下に変位自在に設けてある。

すなわち、傾斜テーブル３における左右の枠体5C,5Aに
は、前記滑落支持部材25および梁部材33の下方において
左右方向に延伸した複数の回転軸65が軸受（図示省略）
を介して回転自在に支持されている。

複数の回転軸65は、第１図に示すように、前後方向に適
宜間隔に配置してあり、各回転軸65の一端部には、各回
転軸65を回動するためのロータリーアクチュエータ67が
装着してある。なお、例えばチェン，スプロケット等で
もって各回転軸65を連動連結した構成の場合には、回転
軸65を回転するためのロータリーアクチュエータは１個
でよいものである。

前記各回転軸65には、回転軸65の軸心に対して直交する
方向に延伸した支柱状の前記ワーク支持部材63（第２
図，第３図には垂下状態で示してある）が回転軸65の長
手方向に適宜間隔に設けてあり、各ワーク支持部材63の
先端部にはワークを移動自在に支持自在のボール69が回
転自在に取付けられている。

前記各回転軸65は、ロータリーアクチュエータ67の作動
によって約180°回動するものであり、各回転軸65に取
付けた各ワーク支持部材63は、回転軸65の回転によって
回転軸65から垂直に垂下した状態（第２図，第３図の状
態）と、回転軸65から直立した状態とに上下に変位する
ものである。そして、ワーク支持部材63が直立した状態
においては、先端部に設けたボール69が、上昇した状態
にある前記針状支持部材35の上端部よりも高位置に位置
して、ワークを移動自在に支持するものである。

したがって、ワーク支持部材63を垂直に立設した状態に
保持することにより、前記針状支持部材35に接触するこ
となしに傾斜テーブル３上へワークを容易に搬入するこ
とができる。

上述のごとくワークを傾斜テーブル３上に搬入した後、
前記ロータリーアクチュエータ67を作動し、回転軸65を
回転してワーク支持部材63を垂下状態に変位すると、ワ
ークは前記針状支持部材35によって支持される。

よって、上述のごとく針状支持部材35でもってワークを
支持した状態にあるときに、例えばレーザ加工ヘッド等
によってワークのレーザ切断を行うことにより、従来と
同様に、ワークの熱切断加工を安全に行うことができる
ものである。

そして、ワークの熱切断加工の終了後に、流体圧シリン
ダ47を作動して昇降フレーム31を傾斜テーブル３に対し
て相対的に下降させると、前記針状支持部材35が滑落支
持部材25から没入し、ワーク及びワークから切断分離さ
れた切断片は滑落支持部材25に支持される。

そこで、流体圧シリンダ15を作動して傾斜テーブル３の
後側を持上げて傾斜すると、滑落支持部材25上のワーク
等は滑落して前側へ排出されるものである。そして、そ
の後に、傾斜テーブル３は元の水平状態に復帰されるも
のである。

ところで、ワークから切断分離される切断片が小さい場
合には、前記滑落部材25等の間から落下するので、落下
した小さな切断片の取出しを容易に行い得るように、本
実施例においては、前記傾斜テーブル３における長方形
状の枠体5A〜5Dの内側にはホッパ71（第２図参照）が設
けてあり、このホッパ71の下端の開口部は、前記ベース
１に傾斜して設けたシュータ73に臨んで設けてある。そ
して上記シュータ73の下部には、引出し式の受器75が設
けてある。

したがって、ワークから切断分離された小さな切断片は
ホッパ71,シュータ73を介して受器75に収納されるもの
であり、ワークの熱切断加工時に生じるスパッタ等が小
さな切断片に直接付着するようなことがないものであ
る。

なお、前述のごとく傾斜テーブル３上にワークを搬入し
てワークの熱切断加工を行うに先立って、ワークを原点
に位置決めし、かつ不動状態に固定するために、傾斜テ
ーブル３には引込みランプ75（第１図参照）および複数
のワーククランプ77が設けられている。この引込みクラ
ンプ75やワーククランプ77等の構成は既に公知の構成で
あるから、その詳細な構成についての説明及びその作用
の説明は省略する。

（発明の効果） 以上のごとき実施例の説明より理解されるように、本発
明によれば、傾斜テーブルに対するワークの搬入時には
ワーク支持部材によりワークを支持し、ワークの熱切断
加工時には針状支持部材によってワークを支持し、かつ
熱切断加工終了後には、滑落支持部材によってワーク等
を支持しかつ傾斜テーブルを傾斜してワーク等を滑落さ
せるものであるから、傾斜テーブルに対するワークの搬
入を容易に行うことができ、かつ熱切断加工を安全に行
うことができると共に熱切断加工後のワーク等の搬出も
容易に行うことができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例平面図である。 第２図は第１図のII-II断面矢視図である。 第３図は第１図のIII-III断面矢視図である。 （符号の説明） ３……傾斜テーブル、5A〜5D……枠体 15……流体圧シリンダ、25……滑落支持部材 31……昇降フレーム、35……針状支持部材 47……流体圧シリンダ、63……ワーク支持部材 65……回転軸

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】熱切断機におけるベース（１）に傾斜可能
   に支持された傾斜テーブル（３）の上面に、当該傾斜テ
   ーブル（３）の傾斜時にワークを滑落自在に支持する複
   数の滑落支持部材（25）を設け、上記傾斜テーブル
   （３）に上下動可能に支持された昇降フレーム（31）
   に、ワークを支持自在の針状支持部材（35）を多数設け
   ると共に上記針状支持部材（35）の上端部を前記滑落支
   持部材（25）の上面に対して出没自在に設け、前記傾斜
   テーブル（３）に対するワークの搬入時にワークを移動
   自在に支持する多数のワーク支持部材（63）を傾斜テー
   ブル（３）に上下に変位自在に設けると共にワーク支持
   部材（63）の上部を、前記昇降フレーム（31）の上死点
   におけるときの前記針状支持部材（35）の上部よりも高
   く突出自在に設けてなることを特徴とする熱切断機にお
   けるテーブル装置。