JPH0670538U - 移植用苗の育苗器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 手又は機械で成苗を植える時に、その苗の植
える方向を定めるため、根鉢に方向判断用の識別部を形
成させる。 【構成】 集合育苗器３のポット部２の内周面の上端
に、少なくとも１ヵ所以上の凹凸を、識別部１として形
成しておく。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、移植用苗の集合育苗器に関するものであり、特に苺の栽培に用い て好適なものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、縦横に区切った硬質プラスチック製や発砲スチロール製の集合育苗 器は、その中に土を入れてそれに野菜の種を蒔いたり、挿し木した花の幼苗を植 えて温室などで育て、成苗としてから圃場へ移植する如く、合理的なものとして 広く用いられている。 これらの集合育苗器で育てた成苗を圃場へ移植する場合に、一般的な野菜や花 卉は集合育苗器から手又は機械などで抜いて植え付けている。

【０００３】 同じように、最近は苺用の育苗器も普及している。 この苺の成苗などを植え付けるときは、苺の実のなる方向を一定にしたいため に、その植付けに方向性があり目で確認しながら植え付けることが必要となる。 例えば、図６に示すように、苺は通常、親株15から出るランナー16によって
増 殖する。このランナー16（１次ランナーと称する。）の先端が土に接触し、子株 17が出来て、根が生じてきたときに、１次ランナー16を切断し、子株17を前記集 合育苗器へ植え付けるのである。

【０００４】 苺の実のなる方向は、子株17から前記と同様に出る２次ランナー18と同一方向 即ち１次ランナー16とは 180°逆の方向である。 そのため、図５に示す如く圃場へ移植するとき、例えば畝に２列状に植え付け る場合にて説明すると、先ず、畝Ａ６に植えるときは、苗Ａ列11は畝間Ａ８の方 向に２次ランナー18を向ける。また、苗Ｂ列13は畝間Ｂ９の方向に２次ランナー 18を向ける。 同じように、畝Ｂ７に植えるときは、苗Ｃ列12は畝間Ｂ９の方向に２次ランナ ー18を、また、苗Ｄ列14は畝間Ｃ10の方向に２次ランナー18を向ければよい。 このように、２次ランナー18を同一方向に向けて植えておけば、その実のなる 方向は、自ずと特定の方向となり、（この場合はそれぞれ最も近い畝間の方向と なる）最も手近な畝間から収穫することが出来て合理的である。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、機械で苺の苗を植え付けるときは、目で見てランナー16、18の 方向を決めることは大変難しい。 本考案は、この植付けの方向性を、目で確認しながら植え付けるときでも分か り易く、かつ、機械で植えるときでも容易にその方向性が判別できるように、根 鉢５自体に識別用の印を形成させようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

かかる識別用の印を根鉢５自体に形成させる手段として、集合育苗器３のそれ ぞれ上方が広口となっているポット部２の内周面の広口上端部に、広口上端部の 全体的な周形状から、一見してその所が分かるような凹部又は凸部を識別部１と して、少なくとも１ヵ所以上形成させたものとする。

【０００７】

【作用】

かくして、該集合育苗器３のポット部２で育てた苗４の根鉢５には、根鉢自体 の形成に伴って自然にその形状に合致した識別部１を形作ることができる。 そして、苺の成苗を圃場へ、この識別部１を目印として方向を定め、移植する のである。

【０００８】

【実施例】

以下、本案の実施例について、各図に基づき説明する。 先ず、集合育苗器３の製作方法について述べる。通常、集合育苗器３は、縦横 に区切ってポット部２を形成した硬質プラスチック製や、発泡スチロール製であ り、金型の中へ高温で溶かした塩化ビニール等のプラスチックや、発泡させたス チロール樹脂を吹き込んで作る。本案では、この金型（図示省略）のポット部２ に予め識別部１を形成させてあって、成型後の集合育苗器３に図１に示すような 識別部１を形成させる。 この識別部１は、この例ではポット部２が円錐状のものであって、その広口上 端の一部を直線状に欠いたものである。このポット部２の平面図を図２に示し、 図２のＸ−Ｘ断面図を図３に示す。 そして、このような識別部１を有した集合育苗器３で育てた苗４は、図４に示 すように、その根鉢５に識別部１を形成させることができる。

【０００９】 図７は、他の実施例を示したもので、角形のポット部２の１つの角に、切り落 とし状の識別部１を形成したものである。

【００１０】 図８は、別の実施例を示し、丸形のポット部２に、識別部１として凸部を形成 したものであり、図９は、更に別の実施例を示し、丸形のポット部２に、識別部 １として凹部を形成したものである。

【００１１】 図10は、図８に似ている実施例であるが、凸部をより強調したものである。 なお、ポット部２を示した各平面図において、その中心の小孔は水抜き用の透 孔である。 また、ポット部２自体は、一般に上端が広口であり、下方に向かって細くなる ようにしたものが多いが、識別部１は広口上端部のみではなく、下方にも伸長し たものであっても構わないことはいうまでもない。 なお、前述においては、苺に用いた場合に限って説明してきたが、その目的 とすることから、当然、苺用に限定されるべきものではない。

【００１２】

【考案の効果】

成苗を圃場へ移植するときに、その植付けの方向性を目で確認しながら植え付 けるとき、根鉢５に識別部１があるから容易に方向性が分かるし、かつ、機械で 植えるときも判断し易いので、植付け方向や収穫の自動化を図ることが可能とな る。 そして、特に苺に採用したときは、その実がなったとき、その実の方向を一定 の方向に揃えることができるから、苺狩りに便利であろう。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例による集合育苗器の一部を省
略した斜視図である。

【図２】本考案の一実施例による集合育苗器のポット部
の平面図である。

【図３】図２のＸ−Ｘ断面図である。

【図４】図１の実施例を用いて成育した成苗の斜視図で
ある。

【図５】苗を畝に植える方式を示す説明図である。

【図６】苗の増殖の方法を示した斜視図である。

【図７】ポット部が角形である実施例を示した平面図で
ある。

【図８】ポット部が丸形である実施例にて、識別部が凸
状とした平面図である。

【図９】ポット部が丸形である実施例にて、識別部が凹
状とした平面図である。

【図10】ポット部が丸形である実施例にて、強調した凸
状識別部を有したものの平面図である。

【符号の説明】

１ 識別部 ２ ポット部 ３ 集合育苗器 ４ 苺 ５ 根鉢 15 親株 16 １次ランナー 17 子株 18 ２次ランナー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポット部(2) の内周面の広口上端部に、
   少なくとも１ヵ所以上の識別部(1) を形成したことを特
   徴とする移植用苗の育苗器。