JPH066998Y2 - 車 両 用 シ ー ト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は車両用シートに関する。

《従来の技術》 車両用シートとして、シートバックが中央のメイン部と
この両側に設けられたサイドサポート部とを備えたもの
が提供されている。すなわちこのような車両用シートで
は、メイン部にもたれた着座者を両側に突設されたサイ
ドサポート部によつて挟み込み、着座者の安定を図るも
のであり、サイドサポート部はメイン部の基端部から先
端部に亘って形成され、着座者の腰から肩に掛けてサポ
ートするようになっている。

また、車両用シートとして、シートバックの上部にヘッ
ドレストを設けたものが提供されている。このヘッドレ
ストは、下面に突設された一対のステーをシートバック
に設けたステーホルダに挿着することによりシートバッ
ク上に支持されるもので、ステーホルダとステーの挿入
係合位置を変更することにより、ヘッドレストの高さ位
置を調整できるようになっている。

《考案が解決しようとする問題点》 しかしながら、このような従来の車両用シートでは、例
えば座高の高い着座者の場合、ヘッドレストの位置は上
方に移動して調整できるものの、サイドサポート部は上
下に移動できないため、サイドサポート部の上半部が適
正に着座者の肩に位置せず、サイドサポートとしての機
能を十分発揮できない問題点があった。

そこで本考案は、着座者の座高等に応じてヘッドレスト
とともにサイドサポート部の位置調整をも行うことので
きる車両シートを提供することを目的とする。

《問題点を解決するための手段》 すなわち本考案の車両用シートは、前述した問題点を解
決するために、シートクッションと、このシートクッシ
ョンの後部に立設されたシートバックと、このシートバ
ックの上部に配置されたヘッドレストとを備えた車両用
シートであつて、前記シートバックの両側に配置される
各サイドサポート部を上下に２分割して下側のウエスト
部と上側のショルダー部とで構成し、前記下側のウエス
ト部は、前記シートバックのメイン部に一体に形成し、
前記上側のショルダー部は、前記ヘッドレストに一体に
連設され、該ヘッドレストが、前記上側のショルダー部
とともに、前記シートバックのメイン部に取付けられた
ステーホルダーに対して昇降調整自在に支持されるステ
ーと、該ステーに連結部材を介して回動調整自在に取付
けられて前記上側のショルダー部とヘッドレストとが構
成するユニット側に装着されるラチェット機構とを介し
て前記メイン部に支持されたことを特徴とする。

《作用》 ショルダー部とヘッドレストとが構成するユニットが一
体に昇降し、着座者の肩および頭の高さ位置に適合され
るとともに、このショルダー部とヘッドレストのユニッ
トがラチェット機構により連結部材を介して前後に傾動
操作され、最適な突出位置に変位する。

《実施例》 第１図は本考案の一実施例を示す外観斜視図である。

この実施例による車両用シートは、シートクッション１
と、このシートクッション１の後部に立設されたシート
バック２と、このシートバック２の上部に配置されたヘ
ッドレスト３を備えたものである。

この車両用シートのシートバック２は、中央にメイン部
４の両側にサイドサポート部５を有し、このサイドサポ
ート部５が上下に２分割されて下側のウエスト部６はメ
イン部４に連設され、上側のショルダー部７はヘッドレ
スト３の両側端部に連設されている。

すなわち、ウエスト部６は、第２図に示すように、メイ
ン部４内にフレーム４ａに組付けられ、トリムカバーに
よってメイン部４と一体化されており、着座者を腰から
胴にかけてサポートする。

また、ショルダー部７は、ヘッドレスト３の本体３ａの
両側端部からウエスト部６の上端部に垂れ下がるように
して配置され、着座者の肩をサポートする。このショル
ダー部７はヘッドレスト本体３ａに完全に一体化されて
おり、内部のフレーム８、パッド並びにトリムカバーは
共有化されている。

また、このように一体化されたヘッドレスト３とショル
ダー部７とのユニットは、メイン部４のフレーム４ａに
取付けられる一対のステーホルダ１０に昇降調整自在に
支持される昇降部材であるステー１１と、このステー１
１に連結部材１２を介して取付けられてショルダー部７
内に配置装着される回動部材であるラチェット機構１３
とを介してメイン部４の上部に支持されている。

ステーホルダ１０は、フレーム４ａに固着された筒体２
３に取付けられる略筒状のもので、ステー１１が挿入さ
れるとともに、一方のステーホルダ１０に設けた係止部
材１０ａを一方のステー１１に形成した複数の係合孔１
１ａに選択的に係合させることにより、各ステー１１を
高さ調整自在に保持するものである。

また、連結部材１２は、ステー１１の基端部に固着され
てシートの幅方向に沿って各ショルダー部７に架設され
た状態で配置されており、両端がショルダー部７内のラ
チェット機構１３に連結されている。

ラチェット機構１３は、第３図（ａ）に示すように、シ
ョルダー部７内に位置するフレーム８の両端に装着され
るカバー１４と、このカバー１４の内側に取付けられて
連結部材１２に回動自在に軸支され、カバー１４と一体
に回動するラチェット板１５と、連結部材１２に固着さ
れたブラケット１６と、ラチェット板１５に形成した円
弧穴１５ａを通してブラケット１６に回転自在に軸着さ
れ、ラチェット板１５のラック部１５ｂに係脱する爪片
１７と、この爪片１７とブラケット１６の間に張架さ
れ、爪片１７をラック部１５ｂに係合する方向に付勢す
るスプリング１８と、連結部材１２に回転自在に軸支さ
れるとともにラチェット板１５に設けた規制片１５ｃ及
びブラケット１６からのスプリング１９により回転規制
され、前述した爪片１７の動作を制限するリミッタ板２
０を備えて構成されている。すなわちこのラチェット機
構１３では、第３図（ｂ）に示すように、ヘッドレスト
３とショルダー部７のユニットを前方に回転させること
により、ラチェット板１５がカバー１４と一体に回転
し、その回転角度に応じて爪片１７がラック部１５ｂに
順次係合する。これによってヘッドレスト３とショルダ
ー部７のユニットは、段階的にロックされ、所望の角度
（突出位置）が選択される。

また、ラチェット板１５の回転角度が、最前傾角度にな
ると、第３図（ｃ）に示すように、爪片１７がラチェッ
ト板１５の突部１５ｂに押され、爪片１７の基端部１７
ａがリミッタ板２０の突片２０ａに乗り上がる。これに
よって爪片１７がラック部１５ｂより離間した状態とな
り、このロック解除によってヘッドレスト３とショルダ
ー部７のユニットの後方への復帰操作が可能となる。

そして、この復帰操作により、ラチェット板１５の回転
角度が、最後傾角度に近くなると、第３図（ｄ）に示す
ように、リミッタ板２０の回転がラチェット板１５の規
制片１５ｃに制限され、爪片１７と突片２０ａの係合が
解除される。これによって、爪片１７は再びラック部１
５ｂ側に突出し、その最前方位置の歯１５ｅに係合する
ことになり、前述の角度選択操作は可能となる。

また、このようなラチェット機構１３は、それぞれショ
ルダー部７の略中心部に配置されており、他方ショルダ
ー部７の前側部から下側部にかけての周縁部は、ラチェ
ット機構１３を中心とする円弧状に形成されている。こ
れによってショルダー部７の前方への突出位置は、ラチ
ェット機構１３の回転角度にかかわらず一定となり、こ
のショルダー部７によるサポートポイントすなわち着座
者の肩とショルダー部７との当接ポイントが、前後方向
に一定に保たれるようになっている。

また、このようなラチェット機構１３には、連結部材１
２とラチェット板１５との間に図示しない渦巻きバネが
介装されており、ラチェット解除の際にショルダー部７
を弾発的に付勢するようになっている。

以上のような車両用シートでは、前述の係止部材１０ａ
を操作することにより、着座者の座高等に応じてステー
１１の挿入位置を選択してヘッドレスト３とショルダー
部７とを同時に昇降調整し、着座者の頭の位置および肩
の位置に適合させることができる。また、ヘッドレスト
３を前後に傾動調整し、最適な突出位置に設定できる。
なお、サイドサポート部５のウエスト部６は、ショルダ
ー部７の変位にかかわらず元の位置に置かれ、着座者の
腰から胴を適正にサポートする。

《考案の効果》 以上説明したように、本考案によれば、シートバックの
サイドサポート部が上下に２分割されて上側のショルダ
ー部がヘッドレストに一体化されていることとなり、ヘ
ッドレストの昇降操作に伴なってショルダー部が昇降
し、着座者の肩の位置に適合できる。したがって、着座
者の座高等に応じて常に安定した着座状態を得られるこ
ととなり、特にレース車に採用した場合には、Ｓ字カー
ブ等コーナリングでの運転手の捕捉性が良く、しかもこ
の調整操作をヘッドレストの昇降調整操作とともに行う
ことができ、しかもヘッドレストとショルダー部とのユ
ニットがラチェット機構によって前後方向に回動調整で
きることから、ヘッドレストを最適な位置に設定するこ
とができる等、実用上頗ぶる優れている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す車両用シートの外観斜
視図、第２図は同実施例の車両用シートの内部構造を示
す概略斜視図、第３図（ａ）ないし（ｄ）は同実施例の
車両用シートに設けられるラチェット機構とその動作を
説明する一部省略側面図である。 １……シートクッション、２……シートバック、３……
ヘッドレスト、４……メイン部、５……サイドサポート
部、６……ウエスト部、７……ショルダー部、１０……
ステーホルダ、１１……ステー、１３……ラチェット機
構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートクッシヨンと、このシートクッシヨ
   ンの後部に立設されたシートバックと、このシートバッ
   クの上部に配置されたヘッドレストとを備えた車両用シ
   ートであって、前記シートバックの両側に配置される各
   サイドサポート部を上下に２分割して下側のウエスト部
   と上側のショルダー部とで構成し、前記下側のウエスト
   部は、前記シートバックのメイン部に一体に形成し、前
   記上側のショルダー部は、前記ヘッドレストに一体に連
   設され、該ヘッドレストが、前記上側のショルダー部と
   ともに、前記シートバックのメイン部に取付けられたス
   テーホルダーに対して昇降調整自在に支持されるステー
   と、該ステーに連結部材を介して回動調整自在に取付け
   られて前記上側のショルダー部とヘッドレストとが構成
   するユニット側に装着されるラチェット機構とを介して
   前記メイン部に支持されたことを特徴とする車両用シー
   ト。