JPH06687A - アルミニウム合金製ブレージングシート - Google Patents
アルミニウム合金製ブレージングシートInfo
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- JPH06687A JPH06687A JP18470292A JP18470292A JPH06687A JP H06687 A JPH06687 A JP H06687A JP 18470292 A JP18470292 A JP 18470292A JP 18470292 A JP18470292 A JP 18470292A JP H06687 A JPH06687 A JP H06687A
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- brazing sheet
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 真空ろう付け法に用いるブレージングシート
であって、ろう材がＡｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系合金からなり、
真空度の低下などのろう付け条件の変動に対して影響さ
れず、安定して優れたろう付け性を示すブレージングシ
ートを提供する。 【構成】 Ｍｇ ０．６〜１．８wt％及びＳｉ ６．０
〜２０．０wt％を含有し、残部Ａｌと不可避的不純物か
らなるＡｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系合金ろう材をＡｌ合金芯材の
両面または片面にクラッドしたブレージングシートであ
って、前記ろう材が金属組織中に円相当径で５μｍより
大きいＭｇ2 Ｓｉ粒子を５０個／ｍｍ2 以上有するブレ
ージングシートである。
であって、ろう材がＡｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系合金からなり、
真空度の低下などのろう付け条件の変動に対して影響さ
れず、安定して優れたろう付け性を示すブレージングシ
ートを提供する。 【構成】 Ｍｇ ０．６〜１．８wt％及びＳｉ ６．０
〜２０．０wt％を含有し、残部Ａｌと不可避的不純物か
らなるＡｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系合金ろう材をＡｌ合金芯材の
両面または片面にクラッドしたブレージングシートであ
って、前記ろう材が金属組織中に円相当径で５μｍより
大きいＭｇ2 Ｓｉ粒子を５０個／ｍｍ2 以上有するブレ
ージングシートである。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、ドロンカップタイプの
オイルクーラー、エバポレータ、インタークーラー及び
ラジエターのような中空構造を有するアルミニウム製熱
交換器に適した、真空ろう付け性に優れたブレージング
シートに関するものである。
オイルクーラー、エバポレータ、インタークーラー及び
ラジエターのような中空構造を有するアルミニウム製熱
交換器に適した、真空ろう付け性に優れたブレージング
シートに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】近年、アルミニウム製構造体のろう付け
に、フラックスを必要としない真空ブレージング法が開
発され、公害上の心配がないことから盛んに行われるよ
うになった。真空ブレージング法はアルミニウム合金を
芯材とし、その両面または片面にアルミニウム合金ろう
材を皮材としてクラッドしたブレージングシートを用
い、真空中でブレージングを行う方法である。この真空
ブレージング法は熱交換器を始め各種構造体のろう付け
に用いられている。真空ブレージングシートには各種の
芯材用アルミニウム合金材と皮材用アルミニウム合金ろ
う材が開発され現在ではＪＩＳ Ｚ３２６３により規格
化されている。
に、フラックスを必要としない真空ブレージング法が開
発され、公害上の心配がないことから盛んに行われるよ
うになった。真空ブレージング法はアルミニウム合金を
芯材とし、その両面または片面にアルミニウム合金ろう
材を皮材としてクラッドしたブレージングシートを用
い、真空中でブレージングを行う方法である。この真空
ブレージング法は熱交換器を始め各種構造体のろう付け
に用いられている。真空ブレージングシートには各種の
芯材用アルミニウム合金材と皮材用アルミニウム合金ろ
う材が開発され現在ではＪＩＳ Ｚ３２６３により規格
化されている。
【０００３】熱交換器に使用される真空ブレージングシ
ートとしては、芯材としてＪＩＳＡ３００３、ＪＩＳ
Ａ３００５、ＪＩＳ Ａ３１０５またはＪＩＳ Ａ６９
５１合金を用い、皮材としては表１に示す組成のＪＩＳ
ＢＡ４００４、ＡＡ４１０４合金ろう材を用いるのが
通常である。なお板厚は０．５〜１．２ｍｍ、ろう材ク
ラッド率は片面で５〜１５％で片面または両面クラッド
のブレージングシートとして使用されている。
ートとしては、芯材としてＪＩＳＡ３００３、ＪＩＳ
Ａ３００５、ＪＩＳ Ａ３１０５またはＪＩＳ Ａ６９
５１合金を用い、皮材としては表１に示す組成のＪＩＳ
ＢＡ４００４、ＡＡ４１０４合金ろう材を用いるのが
通常である。なお板厚は０．５〜１．２ｍｍ、ろう材ク
ラッド率は片面で５〜１５％で片面または両面クラッド
のブレージングシートとして使用されている。
【０００４】
【表１】
【０００５】こうした真空ブレージングシートを用いた
中空構造を有するアルミニウム製熱交換器としては、ド
ロンカップタイプのエバポレータ、オイルクーラ、ラジ
エターなどが製造されている。例えばドロンカップタイ
プのエバポレータは図４に示すように部材６を積層し、
この積層した部材６の間にコルゲートフィン７を配設し
て、１０-5〜１０-4Ｔｏｒｒ程度の真空中で６００℃に
加熱してろう付けを行って製造されている。この真空ろ
う付けではブレージングシートろう材（ＪＩＳＢＡ４０
０４、ＡＡ４１０４合金等）中に添加されたＭｇが４０
０℃付近から徐々に蒸発しはじめ、炉内酸化性ガスを、
Ｈ2 Ｏ＋Ｍｇ→ＭｇＯ＋Ｈ2 、Ｏ2 ＋２Ｍｇ→２ＭｇＯ
のゲッター反応により除去するとともに、ろう材溶融時
にろう材中のＭｇが急激に蒸発しろう材表面の酸化皮膜
に対し同様のゲッター作用と破壊作用を引き起こしろう
付けを可能にしている。またＳｉはろうの融点を下げ、
ろう付け温度を低めてろう付け性を良好にする作用を有
している。
中空構造を有するアルミニウム製熱交換器としては、ド
ロンカップタイプのエバポレータ、オイルクーラ、ラジ
エターなどが製造されている。例えばドロンカップタイ
プのエバポレータは図４に示すように部材６を積層し、
この積層した部材６の間にコルゲートフィン７を配設し
て、１０-5〜１０-4Ｔｏｒｒ程度の真空中で６００℃に
加熱してろう付けを行って製造されている。この真空ろ
う付けではブレージングシートろう材（ＪＩＳＢＡ４０
０４、ＡＡ４１０４合金等）中に添加されたＭｇが４０
０℃付近から徐々に蒸発しはじめ、炉内酸化性ガスを、
Ｈ2 Ｏ＋Ｍｇ→ＭｇＯ＋Ｈ2 、Ｏ2 ＋２Ｍｇ→２ＭｇＯ
のゲッター反応により除去するとともに、ろう材溶融時
にろう材中のＭｇが急激に蒸発しろう材表面の酸化皮膜
に対し同様のゲッター作用と破壊作用を引き起こしろう
付けを可能にしている。またＳｉはろうの融点を下げ、
ろう付け温度を低めてろう付け性を良好にする作用を有
している。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】ところで、真空ブレー
ジング法において、長時間炉を使用した場合、炉の汚染
等により真空度が低下する。そのため、ろうの濡れ性が
低下し、ろうのフィレットが形成されず、ろう付け性が
低下する。つまり、ろう切れ現象と言われる不良現象を
引き起す。そこで、ろう付け性のより優れたＡｌ−Ｍｇ
−Ｓｉ系合金ろう材及びブレージングシートの開発が切
望されていた。したがって本発明の目的は真空ろう付け
法においてブレージングシートの皮材用として好適なＡ
ｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系合金ろう材を提供するものである。ま
た、本発明の目的は真空ろう付け法に用いるブレージン
グシートであって、ろう材がＡｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系合金か
らなり、真空度の低下などのろう付け条件の変動に対し
て影響されず、安定して優れたろう付け性を示すブレー
ジングシートを提供するものである。さらに本発明は、
中空構造を有するアルミニウム製熱交換器の製造に適し
た真空ろう付け性に優れたブレージングシートを提供す
ることを目的とする。
ジング法において、長時間炉を使用した場合、炉の汚染
等により真空度が低下する。そのため、ろうの濡れ性が
低下し、ろうのフィレットが形成されず、ろう付け性が
低下する。つまり、ろう切れ現象と言われる不良現象を
引き起す。そこで、ろう付け性のより優れたＡｌ−Ｍｇ
−Ｓｉ系合金ろう材及びブレージングシートの開発が切
望されていた。したがって本発明の目的は真空ろう付け
法においてブレージングシートの皮材用として好適なＡ
ｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系合金ろう材を提供するものである。ま
た、本発明の目的は真空ろう付け法に用いるブレージン
グシートであって、ろう材がＡｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系合金か
らなり、真空度の低下などのろう付け条件の変動に対し
て影響されず、安定して優れたろう付け性を示すブレー
ジングシートを提供するものである。さらに本発明は、
中空構造を有するアルミニウム製熱交換器の製造に適し
た真空ろう付け性に優れたブレージングシートを提供す
ることを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の問題点
を解決して上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結
果、Ａｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系合金ろう材におけるろう付け
性、またはろう切れ現象が、ブレージングシートにクラ
ッドされている該ろう材の金属組織中のＭｇ2 Ｓｉ粒子
のサイズとその数に関係するという知見を得、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
を解決して上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結
果、Ａｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系合金ろう材におけるろう付け
性、またはろう切れ現象が、ブレージングシートにクラ
ッドされている該ろう材の金属組織中のＭｇ2 Ｓｉ粒子
のサイズとその数に関係するという知見を得、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
【０００８】すなわち本発明は、（１）Ｍｇ ０．６〜
１．８wt％及びＳｉ ６．０〜２０．０wt％を含有し、
残部Ａｌと不可避的不純物からなるＡｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系
合金ろう材をＡｌ合金芯材の両面または片面にクラッド
したブレージングシートであって、前記ろう材が金属組
織中に円相当径で５μｍより大きいＭｇ2 Ｓｉ粒子を５
０個／ｍｍ2 以上有することを特徴とするブレージング
シート、（２）Ｍｇ０．６〜１．８wt％、Ｓｉ ６．０
〜２０．０wt％及びＢｉ ０．０１〜０．２wt％を含有
し、残部Ａｌと不可避的不純物からなるＡｌ−Ｍｇ−Ｓ
ｉ系合金ろう材をＡｌ合金芯材の両面または片面にクラ
ッドしたブレージングシートであって、前記ろう材が金
属組織中に円相当径で５μｍより大きいＭｇ2 Ｓｉ粒子
を５０個／ｍｍ2 以上有することを特徴とするブレージ
ングシート、（３）前記ろう材がＦｅ ０．８wt％以下
である（１）又は（２）項記載のブレージングシート、
（４）前記ろう材がＦｅ ０．３wt％以下である（１）
又は（２）項記載のブレージングシートを提供するもの
である。
１．８wt％及びＳｉ ６．０〜２０．０wt％を含有し、
残部Ａｌと不可避的不純物からなるＡｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系
合金ろう材をＡｌ合金芯材の両面または片面にクラッド
したブレージングシートであって、前記ろう材が金属組
織中に円相当径で５μｍより大きいＭｇ2 Ｓｉ粒子を５
０個／ｍｍ2 以上有することを特徴とするブレージング
シート、（２）Ｍｇ０．６〜１．８wt％、Ｓｉ ６．０
〜２０．０wt％及びＢｉ ０．０１〜０．２wt％を含有
し、残部Ａｌと不可避的不純物からなるＡｌ−Ｍｇ−Ｓ
ｉ系合金ろう材をＡｌ合金芯材の両面または片面にクラ
ッドしたブレージングシートであって、前記ろう材が金
属組織中に円相当径で５μｍより大きいＭｇ2 Ｓｉ粒子
を５０個／ｍｍ2 以上有することを特徴とするブレージ
ングシート、（３）前記ろう材がＦｅ ０．８wt％以下
である（１）又は（２）項記載のブレージングシート、
（４）前記ろう材がＦｅ ０．３wt％以下である（１）
又は（２）項記載のブレージングシートを提供するもの
である。
【０００９】まず、本発明によるろう付け合金の化学組
成について説明する。本発明のろう材としてはＭｇ
０．６〜１．８wt％及びＳｉ ６．０〜２０．０wt％を
含有し、残部Ａｌと不可避的不純物からなるＡｌ−Ｍｇ
−Ｓｉ系合金を用いる。ろう材のＭｇは、ろう付け中に
蒸発し、ゲッター作用により真空度を向上させる効果と
蒸発による酸化皮膜の破壊作用を有する。その量が０．
６wt％未満では上記作用が十分に生じずろう付け性が低
下し、１．８wt％を越えた場合ろう付け加熱途中にＭｇ
系の酸化皮膜が逆に増加してろう付け性を低下させる。
ろう材のＳｉは合金の融点を低下させ、ろう付けを可能
にする添加元素である。しかし、添加量が６．０wt％未
満や２０．０wt％を越えた場合、ろうの融点が上昇しろ
う付け性が低下する。以上が本発明のろう付け合金の基
本組成を示す第１の実施態様であるが、以下に説明する
ように本発明の目的を損なわない範囲でこれに他の元素
を含有させても良い。その例として上記の合金組成にＢ
ｉを０．０１〜０．２wt％含有させる場合が第２実施態
様として示される。この場合、Ｂｉはろうの流動性を向
上させると共に、Ｍｇの蒸発を促進し、皮膜を破壊され
やすくする働きを有する。しかしＢｉの添加量が０．０
１wt％未満の場合上記作用が十分でなく、０．２wt％を
越えるとろう材の圧延性が低下し、ブレージングシート
の製造が困難である。またＡｌ地金中に不純物として含
有されるＦｅについては、０．３wt％以下とすると原材
料のＡｌ地金コストが高くなり、逆にろう材中のＦｅ量
が増大するとろう付け加熱中に酸化皮膜の成長を促進す
ることがあるため、コストを考えてＦｅ量は０．３〜
０．８wt％が好ましい。しかし、Ｆｅ量が０．３wt％以
下では皮膜の成長量が小さくなりＭｇ蒸発時に皮膜が破
壊され易くろう付け性が特に向上するので、性能上から
はＦｅ量が０．３wt％以下が特に好ましい。また本発明
のろう材中に不純物としてＣｕを含有していてもよい
が、その量を０．５wt％以下とするのが好ましい。
成について説明する。本発明のろう材としてはＭｇ
０．６〜１．８wt％及びＳｉ ６．０〜２０．０wt％を
含有し、残部Ａｌと不可避的不純物からなるＡｌ−Ｍｇ
−Ｓｉ系合金を用いる。ろう材のＭｇは、ろう付け中に
蒸発し、ゲッター作用により真空度を向上させる効果と
蒸発による酸化皮膜の破壊作用を有する。その量が０．
６wt％未満では上記作用が十分に生じずろう付け性が低
下し、１．８wt％を越えた場合ろう付け加熱途中にＭｇ
系の酸化皮膜が逆に増加してろう付け性を低下させる。
ろう材のＳｉは合金の融点を低下させ、ろう付けを可能
にする添加元素である。しかし、添加量が６．０wt％未
満や２０．０wt％を越えた場合、ろうの融点が上昇しろ
う付け性が低下する。以上が本発明のろう付け合金の基
本組成を示す第１の実施態様であるが、以下に説明する
ように本発明の目的を損なわない範囲でこれに他の元素
を含有させても良い。その例として上記の合金組成にＢ
ｉを０．０１〜０．２wt％含有させる場合が第２実施態
様として示される。この場合、Ｂｉはろうの流動性を向
上させると共に、Ｍｇの蒸発を促進し、皮膜を破壊され
やすくする働きを有する。しかしＢｉの添加量が０．０
１wt％未満の場合上記作用が十分でなく、０．２wt％を
越えるとろう材の圧延性が低下し、ブレージングシート
の製造が困難である。またＡｌ地金中に不純物として含
有されるＦｅについては、０．３wt％以下とすると原材
料のＡｌ地金コストが高くなり、逆にろう材中のＦｅ量
が増大するとろう付け加熱中に酸化皮膜の成長を促進す
ることがあるため、コストを考えてＦｅ量は０．３〜
０．８wt％が好ましい。しかし、Ｆｅ量が０．３wt％以
下では皮膜の成長量が小さくなりＭｇ蒸発時に皮膜が破
壊され易くろう付け性が特に向上するので、性能上から
はＦｅ量が０．３wt％以下が特に好ましい。また本発明
のろう材中に不純物としてＣｕを含有していてもよい
が、その量を０．５wt％以下とするのが好ましい。
【００１０】次に、本発明におけるろう材の金属組織中
の粒径の測定方法について説明する。ろう材内部に存在
する粒子を、走査型電子顕微鏡を用いた反射電子像によ
り観察した。観察される反射電子像で黒く見えるものを
Ｍｇ2 Ｓｉ粒子、白く見えるものをＳｉ粒子と判断し、
画像解析を行いその円相当径を求める。本発明におい
て、金属組織中のＭｇ2 Ｓｉ粒子分布を円相当径５μｍ
より大きいものを５０個／ｍｍ2 以上としたのは、次の
理由による。粒径が５μｍより小さいと真空ろう付け加
熱初期よりＭｇが徐々に蒸発し、ろう付け直前において
ろう材中のＭｇが不足し、ゲッター作用及び皮膜破壊力
が低下する。従って、本発明ではろう付け温度直前まで
十分な大きさのＭｇ2 Ｓｉ粒子を有していないといけな
い。一方、上記の範囲内の粒径でＭｇ2 Ｓｉ粒子数が５
０個／ｍｍ2 未満の場合、Ｍｇ蒸発に伴うろう材表面の
酸化皮膜破壊能力が低下するとともに、ゲッターとして
の働きが不十分となる。従って粒径５μｍより大きいＭ
ｇ2 Ｓｉ粒子数を５０個／ｍｍ2 以上にすべきである。
なお、Ｍｇ2 Ｓｉ粒子径は、製造上１５μｍ程度が上限
であり、またその数は最大１０００個／ｍｍ2 が限度で
ある。さらに、粒径５μｍ以上のＭｇ2 Ｓｉ粒子を増や
すと２〜５μｍの粒径範囲のＭｇ2 Ｓｉ粒子数が減少
し、粒径１μｍ以下の微細なＭｇ2 Ｓｉ粒子あるいはろ
う材中に固溶しているＭｇ量が増加するが、本発明のブ
レージングシートに影響を与えるものではない。
の粒径の測定方法について説明する。ろう材内部に存在
する粒子を、走査型電子顕微鏡を用いた反射電子像によ
り観察した。観察される反射電子像で黒く見えるものを
Ｍｇ2 Ｓｉ粒子、白く見えるものをＳｉ粒子と判断し、
画像解析を行いその円相当径を求める。本発明におい
て、金属組織中のＭｇ2 Ｓｉ粒子分布を円相当径５μｍ
より大きいものを５０個／ｍｍ2 以上としたのは、次の
理由による。粒径が５μｍより小さいと真空ろう付け加
熱初期よりＭｇが徐々に蒸発し、ろう付け直前において
ろう材中のＭｇが不足し、ゲッター作用及び皮膜破壊力
が低下する。従って、本発明ではろう付け温度直前まで
十分な大きさのＭｇ2 Ｓｉ粒子を有していないといけな
い。一方、上記の範囲内の粒径でＭｇ2 Ｓｉ粒子数が５
０個／ｍｍ2 未満の場合、Ｍｇ蒸発に伴うろう材表面の
酸化皮膜破壊能力が低下するとともに、ゲッターとして
の働きが不十分となる。従って粒径５μｍより大きいＭ
ｇ2 Ｓｉ粒子数を５０個／ｍｍ2 以上にすべきである。
なお、Ｍｇ2 Ｓｉ粒子径は、製造上１５μｍ程度が上限
であり、またその数は最大１０００個／ｍｍ2 が限度で
ある。さらに、粒径５μｍ以上のＭｇ2 Ｓｉ粒子を増や
すと２〜５μｍの粒径範囲のＭｇ2 Ｓｉ粒子数が減少
し、粒径１μｍ以下の微細なＭｇ2 Ｓｉ粒子あるいはろ
う材中に固溶しているＭｇ量が増加するが、本発明のブ
レージングシートに影響を与えるものではない。
【００１１】本発明において、ろう材内部の金属組織中
に存在する粒径５μｍ以上のＭｇ2Ｓｉ粒子の数を５０
個／ｍｍ2 以上に限定したことにより、Ｍｇ蒸発による
ろう材表面の酸化皮膜の破壊が十分に進み、またゲッタ
ーとして酸化性ガスの排出を良好にし、かつろう付け性
を良好にする作用をなすものである。本発明のろう材は
ブレージングシートとして芯材の片面または両面に皮材
としてクラッドして用いられる。芯材のアルミニウム材
としては特に制限はなく、通常の芯材を用いることがで
きる。芯材と皮材の合わせ材の製造方法、その厚さ比率
などは従来と特に異ならず常法に準じて行うことができ
る。本発明における所定のＭｇ2 Ｓｉ粒子の分布を得る
には、ろう材の鋳造、ソーキング、芯材との合わせ加
熱、熱間圧延、中間焼鈍等の条件をコントロールして行
うことができる。
に存在する粒径５μｍ以上のＭｇ2Ｓｉ粒子の数を５０
個／ｍｍ2 以上に限定したことにより、Ｍｇ蒸発による
ろう材表面の酸化皮膜の破壊が十分に進み、またゲッタ
ーとして酸化性ガスの排出を良好にし、かつろう付け性
を良好にする作用をなすものである。本発明のろう材は
ブレージングシートとして芯材の片面または両面に皮材
としてクラッドして用いられる。芯材のアルミニウム材
としては特に制限はなく、通常の芯材を用いることがで
きる。芯材と皮材の合わせ材の製造方法、その厚さ比率
などは従来と特に異ならず常法に準じて行うことができ
る。本発明における所定のＭｇ2 Ｓｉ粒子の分布を得る
には、ろう材の鋳造、ソーキング、芯材との合わせ加
熱、熱間圧延、中間焼鈍等の条件をコントロールして行
うことができる。
【００１２】
【実施例】次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説
明する。 （実施例）Ａｌ合金芯材及びろう材には表２に示すよう
な成分の材料を使用し、板厚０．６ｍｍで両面クラッド
（片面１５％のクラッド率）のブレージングシートを製
造する工程において、ろう材のソーキング処理条件、合
わせ加熱条件、熱間圧延条件、焼鈍条件等を変えること
により、ろう材中のＭｇ2 Ｓｉ粒子分布を変えて、表
３、４に示す各種のブレージングシート（板厚０．６ｍ
ｍ、焼鈍材）を作製した。なお、表３、４中のＮo.１〜
Ｎo.２３（本発明）のブレージングシートの具体的製造
法は以下の通りである。 ろう材（皮材）の鋳造→ソーキング（５２０℃以上×３
時間）→Ａｌ合金芯材と皮材の合わせ加熱（５２０℃以
上×３時間）→熱間圧延→冷間圧延→仕上焼鈍→厚さ
０．６ｍｍの焼鈍材 また、表３、４中のＮo.２４〜Ｎo.４３（従来例及び比
較例）のブレージングシートの具体的製造法は以下の通
りである。 ろう材（皮材）の鋳造→ソーキング（４８５℃×３時
間）→Ａｌ合金芯材と皮材の合わせ加熱（４８５℃×３
時間）→熱間圧延→中間圧延（３６０℃×２時間）→冷
間圧延→仕上焼鈍→厚さ０．６ｍｍの焼鈍材
明する。 （実施例）Ａｌ合金芯材及びろう材には表２に示すよう
な成分の材料を使用し、板厚０．６ｍｍで両面クラッド
（片面１５％のクラッド率）のブレージングシートを製
造する工程において、ろう材のソーキング処理条件、合
わせ加熱条件、熱間圧延条件、焼鈍条件等を変えること
により、ろう材中のＭｇ2 Ｓｉ粒子分布を変えて、表
３、４に示す各種のブレージングシート（板厚０．６ｍ
ｍ、焼鈍材）を作製した。なお、表３、４中のＮo.１〜
Ｎo.２３（本発明）のブレージングシートの具体的製造
法は以下の通りである。 ろう材（皮材）の鋳造→ソーキング（５２０℃以上×３
時間）→Ａｌ合金芯材と皮材の合わせ加熱（５２０℃以
上×３時間）→熱間圧延→冷間圧延→仕上焼鈍→厚さ
０．６ｍｍの焼鈍材 また、表３、４中のＮo.２４〜Ｎo.４３（従来例及び比
較例）のブレージングシートの具体的製造法は以下の通
りである。 ろう材（皮材）の鋳造→ソーキング（４８５℃×３時
間）→Ａｌ合金芯材と皮材の合わせ加熱（４８５℃×３
時間）→熱間圧延→中間圧延（３６０℃×２時間）→冷
間圧延→仕上焼鈍→厚さ０．６ｍｍの焼鈍材
【００１３】このように作製したブレージングシートを
次いでプレス成形して図１（平面図）、図２（図１のＹ
−Ｙ線断面図）に示すカップ１を作成した。図中２は排
気口である。このようにしてブレージングシートをプレ
ス成形したカップを重ねて図３に示す試験用中空構造体
３を真空ブレージングにより作成してテストした。図中
１は排気口つきカップ、４は排気口なしカップ、５は排
気筒である。ブレージングのテスト条件は、５×１０-5
Ｔｏｒｒの真空中で、昇温速度３０℃／ｍｉｎで６００
℃に到達後１０分間保持した。評価はカップの合わせ面
におけるブレージング後のフィレット形成具合により行
い、１００個のテストに対するろう切れ発生率を求め
た。その結果を表３、４に併記した。
次いでプレス成形して図１（平面図）、図２（図１のＹ
−Ｙ線断面図）に示すカップ１を作成した。図中２は排
気口である。このようにしてブレージングシートをプレ
ス成形したカップを重ねて図３に示す試験用中空構造体
３を真空ブレージングにより作成してテストした。図中
１は排気口つきカップ、４は排気口なしカップ、５は排
気筒である。ブレージングのテスト条件は、５×１０-5
Ｔｏｒｒの真空中で、昇温速度３０℃／ｍｉｎで６００
℃に到達後１０分間保持した。評価はカップの合わせ面
におけるブレージング後のフィレット形成具合により行
い、１００個のテストに対するろう切れ発生率を求め
た。その結果を表３、４に併記した。
【００１４】
【表２】
【００１５】
【表３】
【００１６】
【表４】
【００１７】表３、４より、本発明（Ｎo.１〜Ｎo.２
３）は、従来例（Ｎo.４１〜Ｎo.４３）及び比較例（Ｎ
o.２４〜Ｎo.４０）の結果と比べてフィレットの形成能
が著しく改善され、すなわちろう切れ発生率が低下し、
ろう付け性が安定していることがわかる。
３）は、従来例（Ｎo.４１〜Ｎo.４３）及び比較例（Ｎ
o.２４〜Ｎo.４０）の結果と比べてフィレットの形成能
が著しく改善され、すなわちろう切れ発生率が低下し、
ろう付け性が安定していることがわかる。
【００１８】
【発明の効果】このように本発明によれば、Ａｌ−Ｍｇ
−Ｓｉ系合金ろう材のろう付け性を向上させることがで
き、このことにより不良率を著しく低減させることが可
能となり、安定した操業ができる等、工業上顕著な効果
を奏するものである。
−Ｓｉ系合金ろう材のろう付け性を向上させることがで
き、このことにより不良率を著しく低減させることが可
能となり、安定した操業ができる等、工業上顕著な効果
を奏するものである。
【図１】熱交換器用カップの一例を示す平面図である。
【図２】図１のＹ−Ｙ線断面図である。
【図３】カップを重ねた試験用中空構造体を示す側断面
図である。
図である。
【図４】ドロンカップタイプのエバポレータの一例を示
す斜視図である。
す斜視図である。
１ 排気口つきカップ ２ 排気口 ３ 試験用中空構造体 ４ 排気口なしカップ ５ 排気筒 ６ 部材 ７ コルゲートフィン
Claims (6)
- 【請求項１】 Ｍｇ ０．６〜１．８wt％及びＳｉ
６．０〜２０．０wt％を含有し、残部Ａｌと不可避的不
純物からなるＡｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系合金ろう材をＡｌ合金
芯材の両面または片面にクラッドしたブレージングシー
トであって、前記ろう材が金属組織中に円相当径で５μ
ｍより大きいＭｇ2 Ｓｉ粒子を５０個／ｍｍ2 以上有す
ることを特徴とするブレージングシート。 - 【請求項２】 前記ろう材がＦｅ ０．８wt％以下を含
有する請求項１記載のブレージングシート。 - 【請求項３】 前記ろう材がＦｅ ０．３wt％以下を含
有する請求項１記載のブレージングシート。 - 【請求項４】 Ｍｇ ０．６〜１．８wt％、Ｓｉ ６．
０〜２０．０wt％及びＢｉ ０．０１〜０．２wt％を含
有し、残部Ａｌと不可避的不純物からなるＡｌ−Ｍｇ−
Ｓｉ系合金ろう材をＡｌ合金芯材の両面または片面にク
ラッドしたブレージングシートであって、前記ろう材が
金属組織中に円相当径で５μｍより大きいＭｇ2 Ｓｉ粒
子を５０個／ｍｍ2 以上有することを特徴とするブレー
ジングシート。 - 【請求項５】 前記ろう材がＦｅ ０．８wt％以下であ
る請求項４記載のブレージングシート。 - 【請求項６】 前記ろう材がＦｅ ０．３wt％以下であ
る請求項４記載のブレージングシート。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18470292A JPH06687A (ja) | 1992-06-19 | 1992-06-19 | アルミニウム合金製ブレージングシート |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18470292A JPH06687A (ja) | 1992-06-19 | 1992-06-19 | アルミニウム合金製ブレージングシート |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06687A true JPH06687A (ja) | 1994-01-11 |
Family
ID=16157884
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP18470292A Pending JPH06687A (ja) | 1992-06-19 | 1992-06-19 | アルミニウム合金製ブレージングシート |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06687A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009197300A (ja) * | 2008-02-25 | 2009-09-03 | Furukawa-Sky Aluminum Corp | 真空ろう付用アルミニウム合金ブレージングシート |
| US20140117001A1 (en) * | 2010-02-10 | 2014-05-01 | Illinois Tool Works Inc. | Aluminum alloy welding wire |
| US20140190952A1 (en) * | 2010-02-10 | 2014-07-10 | Illinois Tool Works Inc. | Aluminum alloy welding wire |
| US10421159B2 (en) | 2015-02-25 | 2019-09-24 | Hobart Brothers Llc | Systems and methods for additive manufacturing using aluminum metal-cored wire |
| US10654135B2 (en) | 2010-02-10 | 2020-05-19 | Illinois Tool Works Inc. | Aluminum alloy welding wire |
| US11370068B2 (en) | 2015-02-25 | 2022-06-28 | Hobart Brothers Llc | Systems and methods for additive manufacturing using aluminum metal-cored wire |
-
1992
- 1992-06-19 JP JP18470292A patent/JPH06687A/ja active Pending
Cited By (10)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009197300A (ja) * | 2008-02-25 | 2009-09-03 | Furukawa-Sky Aluminum Corp | 真空ろう付用アルミニウム合金ブレージングシート |
| US20140117001A1 (en) * | 2010-02-10 | 2014-05-01 | Illinois Tool Works Inc. | Aluminum alloy welding wire |
| US20140190952A1 (en) * | 2010-02-10 | 2014-07-10 | Illinois Tool Works Inc. | Aluminum alloy welding wire |
| US9770788B2 (en) * | 2010-02-10 | 2017-09-26 | Hobart Brothers Company | Aluminum alloy welding wire |
| US9770787B2 (en) * | 2010-02-10 | 2017-09-26 | Hobart Brother Company | Aluminum alloy welding wire |
| US10654135B2 (en) | 2010-02-10 | 2020-05-19 | Illinois Tool Works Inc. | Aluminum alloy welding wire |
| US11097380B2 (en) | 2010-02-10 | 2021-08-24 | Hobart Brothers Llc | Aluminum alloy welding wire |
| US11890703B2 (en) | 2010-02-10 | 2024-02-06 | Illinois Tool Works Inc. | Aluminum alloy welding wire |
| US10421159B2 (en) | 2015-02-25 | 2019-09-24 | Hobart Brothers Llc | Systems and methods for additive manufacturing using aluminum metal-cored wire |
| US11370068B2 (en) | 2015-02-25 | 2022-06-28 | Hobart Brothers Llc | Systems and methods for additive manufacturing using aluminum metal-cored wire |
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