JP2756196B2 - Al−Mg−Si系合金ろう材 - Google Patents
Al−Mg−Si系合金ろう材Info
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Description
ミニウム製熱交換器の製造に適した真空ろう付け性に優
れたAl−Mg−Si系合金ろう材に関するものであ
る。
ルミニウム製構造体のろう付けに、フラックスを必要と
しない真空ブレージング法が開発され、公害上の心配が
ないところから盛んに行なわれるようになった。真空ブ
レージングはアルミニウム合金を芯材とし、その片面ま
たは両面にアルミニウム合金ろう材を皮材としてクラッ
ドしたブレージングシートを用い、真空中でブレージン
グを行うもので、熱交換器を始め各種構造体のろう付け
に用いられている。真空ブレージングシートには各種の
芯材用アルミニウム合金と皮材用アルミニウム合金ろう
材が開発され現在ではJIS Z 3263により規格化されてい
る。
ートとしては、芯材としてJIS A 3003,JIS A 3005 ,JI
S A 3105,JIS A 6951合金を用い、皮材としては表1に
示すような組成のJIS BA 4004 ,AA 4104 合金ろう材を
用いるのが通常である。なお板厚は 0.5〜1.2mm 、ろう
材クラッド率は片面で5〜15%の片面又は両面ろう材ク
ラッドのブレージングシートとして使用されている。
中空構造を有するアルミニウム製熱交換器としては、ド
ロンカップタイプのエバポレータ、オイルクーラー、ラ
ジエーターなどが製造されている。例えばドロンカップ
タイプのエバポレータは図4に示すように部材(1) を積
層し、この積層した部材(1)の間にコルゲートフィン(2)
を配設して、10-5〜10-4Torr台の真空中で 600℃に加
熱してろう付けを行って製造されている。この真空ろう
付けではブレージングシートろう材(JISBA4004,AA 41
04 合金等)中に添加されたMgが 400℃付近から徐々
に蒸発しはじめ、炉内酸化性ガスを、H2 O+Mg→M
gO+H2 ,O2 +2Mg→2MgOのゲッター反応に
より除去するとともに、ろう材溶融時にろう材中のMg
が急激に蒸発し、ろう材表面の酸化皮膜の破壊作用をひ
きおこし、ろう付けを可能にしている。またSiはろう
の融点を下げ、ろう付け温度を低めてろう付け性を良好
にする作用を有している。
汚染等により真空度が低下するが、そのような場合、ろ
うの濡れ性は低下し、ろうのフィレットが形成されず、
ろう付け性が低下する。つまり、ろう切れ現象と言われ
る不良現象が生じる。
するため種々検討の結果、ろう付け性、ろう切れ現象
は、ブレージングシートにクラッドされているろう材の
金属組織中のMg2 Si粒子及びSi粒子の大きさ、数
に関係するという知見を得た。本発明ろう材は、これら
の知見に基づいて真空ろう付け性に優れたAl−Mg−
Si系合金ろう材を開発したものである。
%のMgおよび 6.0〜20.0wt%のSiを含有し、残部A
lと不可避的不純物からなるろう材において、その金属
組織中に円相当径2〜5μmのMg2 Si粒子が1000個
/mm2 以上でかつ6μm以下のSi粒子が3000個/mm2
以上存在することを特徴とするものである。
8 wt%のMg、 6.0〜20.0wt%のSiおよび0.01〜0.2
wt%のBiを含有し、残部Alと不可避的不純物からな
るろう材において、その金属組織中に円相当径2〜5μ
mのMg2 Si粒子が1000個/mm2 以上で、かつ6μm
以下のSi粒子が3000個/mm2 以上存在することを特徴
とするものである。
いて説明する。ろう材は 0.6〜1.8 wt%のMgおよび
6.0〜20.0wt%のSiを含有し、残部Alと不可避的不
純物からなるAl−Mg−Si系合金を用いる。
ター作用により真空度を向上させる効果と蒸発により酸
化皮膜の破壊作用を有する。しかしてその量が0.6wt%
未満では上記作用が十分に生じずろう付け性が低下し、
1.8wt%を越えた場合ろう付け加熱途中にMg系の酸化
皮膜が逆に増加してろう付け性を低下させる。
う付けを可能にする添加元素である。しかして添加量が
6.0wt%未満や20.0wt%を越えた場合、ろうの融点が上
昇しろう付け性が低下する。
るが、第2発明はさらにBiを0.01〜0.2 wt%添加する
場合がある。この場合、Biはろうの流動性を向上させ
ると共に、Mgの蒸発を促進し、皮膜を破壊されやすく
する働きを有する。しかしてBiの添加量が0.01wt%未
満の場合上記作用が十分でなく、 0.2wt%を越えるとろ
う材の圧延性が低下し、ブレージングシートの製造が困
難である。
eは不純物として 0.8wt%以下まで許容される。しかし
ながら、多すぎるとろう付け加熱中酸化皮膜が生成しや
すくなるため 0.7wt%以下が望ましい。又Feが 0.3wt
%以下では原材料でAl地金が高くなるためFeは 0.3
〜0.7wt%が経済的で望ましい。
ろう材内部に存在する粒子を、走査型電子顕微鏡を用い
た反射電子像により観察した。観察される反射電子像で
黒く見えるものをMg2 Si粒子、白く見えるものをS
i粒子と判断し、画像解析を行いその円相当径を求め
た。
組織中のMg2 Si粒子を、円相当径2〜5μmの範囲
で1000個/mm2 以上としたのは、粒径が5μmを越える
と真空ろう付け加熱初期においてMgの蒸発量を少なく
し、ゲッターとしての働きを低下させ、期待する様な効
果が得られない。一方、粒径が2μmより小さいとMg
が蒸発する際にろう材表面の酸化皮膜の破壊力が低下す
る。従って、本発明では2〜5μmの粒径のMg2Si
粒子を十分に有していないといけない。即ち、又上記範
囲内の粒径でMg2 Si粒子の数が1000個/mm2 未満の
場合、Mg蒸発にともなうろう材表面の酸化皮膜の破壊
能力が低下するとともに、ゲッターとしての働きが不十
分となる。従って、粒径2〜5μmのMg2 Si粒子数
を1000個/mm2 以上に限定すべきである。なおMg2 S
i粒子の数の上限は、多い程好ましいが、製造上 20000
個/mm2 以下が限度である。
るSi粒子を、円相当径6μm以下で3000個/mm2 以上
としたのは、粒径が6μmを越えるSi粒子の場合、ろ
うの溶融までに長時間を必要とする結果、ろう付け時間
を長くしたり、または、ろう付け温度を高めなければな
らない。従って、本発明ではSi粒子は6μm以下でな
くてはいけない。また、その範囲の大きさのSi粒子の
数が3000個/mm2 未満の場合、上記作用において所望の
効果が得られない。従って、粒径6μm以下のSi粒子
の数を3000個/mm2 以上に限定することにより、さら
に、ろう付け性が向上するものである。
に存在する粒径2〜5μmのMg2 Si粒子の数を1000
個/mm2 以上に限定したことにより、Mg蒸気によるろ
う材表面の酸化皮膜の破壊が十分にすすみ、またゲッタ
ーとして酸化性ガスの排出を良好にする作用をなすもの
であり、さらに、粒径6μm以下のSi粒子の数を3000
個/mm2 以上に限定したことにより、ろう付け時間が短
縮し、又ろう付け温度が低下してろう付け性を良好にす
る作用をなすものである。本発明における所定のMg2
Si粒子の分布およびSi粒子の分布を得るには、ろう
材の鋳造、ソーキング、芯材との合せ加熱、熱間圧延、
中間焼鈍等の条件をコントロールして行うことができ
る。
明する。Al合金芯材およびろう材には表1に示すよう
な成分の材料(ろう材A,Bは本発明に係るろう材)を
使用し、板厚 0.6mmで両面クラッド(片面15%のクラッ
ド率)のブレージングシートを製造する工程において、
ろう材のソーキング処理条件、合わせ加熱、熱間圧延条
件、焼鈍条件を変えることにより、ろう材中のMg2 S
i粒子およびSi粒子の存在状態を変えて、表3に示す
各種のブレージングシート(板厚 0.6mm、焼鈍材)を作
成した。
グシートの具体的製造法は以下のとおりである。ろう材
(皮材)の鋳造→ソーキング(520℃以上×3時間)→
Al合金芯材と皮材の合せ加熱( 520℃以上×3時間)
→熱間圧延→冷間圧延→仕上焼鈍( 330℃×3時間)→
厚さ 0.6mmの焼鈍材。
ブレージングシートの具体的製造法は以下のとおりであ
る。ろう材(皮材)の鋳造→ソーキング( 485℃以上×
3時間)→Al合金芯材と皮材の合せ加熱(485℃以上
×3時間)→熱間圧延→中間焼鈍( 360℃×2時間)→
冷間圧延→仕上焼鈍( 360℃×2時間)→厚さ 0.6mmの
焼鈍材。
次いでプレス成形して図1(平面図)、図2(断面図)
に示すカップ(3) を作製した。図中(4) は排気口であ
る。このようにしてブレージングシートをプレス成形し
たカップを重ねて図3に示す試験用中空構造体(5) を真
空ブレージングにより作成してテストした。図中(3) は
排気口つきカップ、(6) は排気口なしカップ、(7) は排
気筒である。ブレージングのテスト条件は、5×10-5To
rrの真空中で、昇温速度30℃/minで600℃に到達後10min
保持した。評価はカップの合わせ面におけるブレージ
ング後のフィレット形成具合により行い、 100個のテス
トに対するろう切れ発生率を求めた。その結果を表3に
併記した。
の結果と比べてフィレットの形成能が著しく改善され、
ろう付け性が安定していることがわかる。
Si系合金ろう材のろう付け性を向上させることがで
き、このことにより不良率を著しく低減させることが可
能となり、安定した操業ができる等、工業上顕著な効果
を奏するものである。
図である。
す斜視図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 0.6〜1.8 wt%のMgおよび 6.0〜20.0
wt%のSiを含有し、残部Alと不可避的不純物からな
るろう材において、その金属組織中に円相当径2〜5μ
mのMg2 Si粒子が1000個/mm2 以上で、かつ6μm
以下のSi粒子が3000個/mm2 以上存在することを特徴
とするAl−Mg−Si系合金ろう材。 - 【請求項2】 0.6〜1.8 wt%のMg、 6.0〜20.0wt%
のSiおよび0.01〜0.2wt%のBiを含有し、残部Al
と不可避的不純物からなるろう材において、その金属組
織中に円相当径2〜5μmのMg2 Si粒子が1000個/
mm2 以上で、かつ6μm以下のSi粒子が3000個/mm2
以上存在することを特徴とするAl−Mg−Si系合金
ろう材。
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Cited By (1)
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JP2818683B2 (ja) | 1990-03-09 | 1998-10-30 | 古河電気工業株式会社 | ろう付け性が優れたAl―Mg―Si系合金ろう材 |
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JP2009291840A (ja) * | 2009-06-12 | 2009-12-17 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | アルミニウムのろう付け方法および該ろう付け方法により製造されるアルミニウム熱交換器用偏平チューブ |
JP2012050995A (ja) * | 2010-08-31 | 2012-03-15 | Mitsubishi Alum Co Ltd | フラックスレスろう付用アルミニウム合金ろう材シートおよびアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法 |
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JP2016203193A (ja) * | 2015-04-17 | 2016-12-08 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金シート及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金シートを用いたアルミニウムブレージングシート |
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1991
- 1991-03-08 JP JP6928491A patent/JP2756196B2/ja not_active Expired - Fee Related
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