JPH0667611B2 - オフセツト輪転印刷機のための湿し装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、湿し液に部分的に浸漬した水元ローラを有
し、湿し液を印刷プレート上に伝達する後続のローラを
有し、又、水元ローラと協働する弾性体の調量手段を有
する、オフセツト輪転印刷機のための湿し装置に関す
る。

従来の技術 この種の湿し装置は西ドイツ国特許第2054678号に開示
されており、該特許にあつては、印刷プレート上に伝達
さるべき湿し液量を調整するための調量ローラが、水元
ローラに配設されている。この種の調量ローラは、弾性
体の外被面を有していて、湿し液を押し出してその量を
減らすために、偏心した軸受を介して水元ローラに当つ
けられている。併しこのように形成された湿し装置にあ
つては、調量ローラの調整範囲が実用上の要求に対応で
きないことが判明した。例へば印刷速度が高い場合に
は、調量ローラの硬度に応じて湿し液が多過ぎて、色あ
せた印刷が発生し、印刷インキが容易にエマルジヨン化
する傾向にある。又、印刷速度が低い場合には、湿し液
の運搬量が余りにも少な過ぎるために、印刷プレートが
塗りつぶされてしまう。これに加えて、機械の運転温度
に変化がある場合には、供給される湿し液量の正確な調
整が更に難しくなる。その理由は、機械が冷たい場合に
は湿し液量が過多に運ばれ、機械が暖かい場合には、湿
し液の蒸発量が多くて粘性が高いために、運ばれる湿し
液が減少するからである。

今迄に公知の調量ローラにあつては、印刷速度が異なつ
てもできるだけ等量の湿し液の供給が保証されるよう
に、制御可能な別々の駆動部を用いて、可能な限りこの
欠点を除去した。併しこのために必要な制御、駆動及び
回路技術上の費用が嵩んで、湿し装置が異常に高価であ
る。

発明が解決しようとする課題 以上のことから本発明の課題は、機械の速度が変つた場
合でも必要とする湿し液量の正確な調量が保証されるよ
うにすることにある。

課題を解決するための手段 本発明は上記課題を、調量手段として種種の硬度の弾性
体の外被面を持つた２個又はそれ以上の調量ローラが備
えられていて、印刷速度が上昇すると硬度の高い調量ロ
ーラが使用されるように、調量ローラが交互に水元ロー
ラに当てつけられる形式の、湿し装置によつて解決する
ことができた。

発明の効果 この解決により、２個又は３個の調量ローラを使用した
場合、速度が小さい時は比較的軟かい外被面を持つた調
量ローラを水元ローラに当てつけ、機械速度が上昇した
時には高い硬度を持つた調量ローラを当てつけることが
できるようになつた。このため湿し液の動圧が高い場合
でも、水元ローラ上の湿し液がその時の印刷作業に必要
な程度に、減少せしめられる。

本発明の請求項２の特徴を有する構成によれば、調量ロ
ーラの軟かいものから硬いものへ、又は硬いものから軟
かいものへ、押圧力の連続的な移行が可能となる。或は
希望すれば段階的な調量ローラの交替も可能である。又
調節偏心輪によつて、個々の調量ローラの位置が極めて
正確に調整され得る。調節偏心輪の操作用に電気モータ
を使用すれば、機械の速度制御によつて電気モータの制
御を行わせることができる。

実施例 本発明の実施例の概略を図面に示し、以下に説明する。

第１図及び第２図は、弾性体の外被面を持つた着けロー
ラ２が配設されている版胴１を示している。着けローラ
２には、又、図示してないインキ装置の、ローラ3,4,5,
6が配設されている。更に着けローラ２には湿し装置８
のローラ７が配設されていて、該ローラ７は水元ローラ
９及び中間ローラ10によつて液の供給を受けている。水
元ローラ９は部分的に湿し液11に浸漬しており、該湿し
液11は水壷12に予め備えられている。

水元ローラ９には弾性体の外被面を備えた２個の調量ロ
ーラ13,14が配設されている。図示の実施例では、調量
ローラ13はシヨア硬度が50から60の値を持つたゴム外被
面を有している。調量ローラ14は、シヨア硬度が30から
40の値を持つた軟かいゴム外被面を有している。各調量
ローラ13,14は両側で夫夫のベルクランク15,16に支承さ
れており、該ベルクランク15,16はレバー腕17,18でピン
19に旋回可能に固定され、該ピン19は機械の側方フレー
ムに配置されている。そして調量ローラ13或は調量ロー
ラ14のどちらかが水元ローラ９に当てつけられる。

両調量ローラ13,14を当てつけるために、ベルクランク1
5,16に更にレバー腕20,21が設けられていて、これに調
節可能なストツパ22が固定されている。ストツパ22は例
えば調節ねじ23によつて調節がなされ、薄ナツト24で止
められている。この時ストツパ22は軸27に固定された調
節偏心軸25,26に当接する。図示の実施例では、調節偏
心輪25は調量ローラ13に配設され、調節偏心輪26は調量
ローラ14に配設されている。軸27はこれに固定された調
量レバー28を介して、例へば約90゜の旋回ができるの
で、調量ローラ13又は調量ローラ14を水元ローラ９に交
互に当てつけることができる。その際一方の調量ローラ
が解放されて他方の調量ローラが負荷される、一定の移
行相が偏心軸に附与されるように、偏心輪の設計をする
のが希ましい。又調量レバー28及び調節偏心輪25,26を
用いて、個々の調量ローラ13,14の水元ローラ９に対す
る当つけ圧力を無段階に調節することもできる。

別の実施態様によれば、調節偏心軸25,26を備えた軸27
に、図示してない調節モータを配置することも可能であ
る。調節モータは速度が低い場合には軟かいゴム外被面
を備えた調量ローラ14を水元ローラ９に当てつけ、又、
速度が高い場合には硬いゴム外被面を備えた調量ローラ
13を、水元ローラ９に当てつける。この種の調節モータ
の制御は、印刷機械の２つ又はそれ以上の速度段階にお
いて、印刷機械の制御自身によつて行わせることができ
る。

このように形成された湿し装置にあつては、機械速度に
応じて湿し液の動圧が変化した場合でも、当つけ圧力を
高くし過ぎることなしに湿し液量の調整を正確に遂行で
きる状態にある、調量ローラを使用することができる。
此処で述べた新らしい特徴は総て本発明の本質に関わる
ことで、此等は請求項に記載してなくても本発明にとつ
て重要なものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は高速運転
用の硬い調量ローラが当てつけられた湿し装置の概略
図、第２図は低速運転用の軟かい調量ローラが当てつけ
られた湿し装置の概略図である。 １……版胴、２……着けローラ、3,4,5,6……インキロ
ーラ、７……ローラ、８……湿し装置、９……水元ロー
ラ、10……中間ローラ、11……湿し液、12……水壷、1
3,14……調量ローラ、15,16……ベルクランク、17,18…
…レバー腕、19……ピン、20,21……レバー腕、22……
ストッパー、23……調節ねじ、24……薄ナツト、25,26
……調節偏心輪、27……軸、28……調量レバー。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】部分的に湿し液（11）に浸漬した水元ロー
   ラ（９）を有し、湿し液を印刷プレート上に伝達する後
   続のローラ（2,7,10）を有し、又、水元ローラ（９）と
   協働する弾性体の調量手段を有する、オフセツト輪転印
   刷機のための湿し装置において、調量手段として種種の
   硬度の弾性体の外被面を持つた２個又はそれ以上の調量
   ローラ（13,14）が備えられていて、印刷速度が上昇す
   ると硬度の高い方の調量ローラが使用されるように、調
   量ローラ（13,14）が交互に水元ローラ（９）に当つけ
   られることを特徴とする、オフセツト輪転印刷機のため
   の湿し装置。
2. 【請求項２】部分的に湿し液（11）に浸漬した水元ロー
   ラ（９）を有し、湿し液を印刷プレート上に伝達する後
   続のローラ（2,7,10）を有し、又、水元ローラ（９）と
   協働する弾性体の調量手段を有する、オフセツト輪転印
   刷機のための湿し装置において、２つの調量ローラ（1
   3,14）が設けられていて、一方がシヨア硬度が30から40
   の軟かいゴム外被面を有し、他方がシヨア硬度が50から
   60の硬いゴム外被面を有しており、各調量ローラ（13,1
   4）が両側で機械の側部フレームにピン（19）で旋回可
   能に固定されたベルクランク（15,16）に夫々支承され
   ていて、該調量ローラ（13,14）は、調量レバー（28）
   によつて旋回可能な軸（27）に固定されている調節偏心
   軸（25,26）に調節可能なストツパ（22）を介して当接
   していることを特徴とする、オフセツト輪転印刷機のた
   めの湿し装置。