JPH0665917A

JPH0665917A - 鋼矢板壁及び鋼矢板壁の笠コンクリート用捨型枠

Info

Publication number: JPH0665917A
Application number: JP21995492A
Authority: JP
Inventors: Toshiaki Masuda; 敏聡増田
Original assignee: Sumitomo Metal Industries Ltd
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1992-08-19
Filing date: 1992-08-19
Publication date: 1994-03-08

Abstract

(57)【要約】【目的】施工性、景観性に優れた鋼矢板壁及び該鋼矢
板の構築に用いるための化粧パネルを一体化した笠コン
クリート用捨型枠を提供する。【構成】鋼矢板壁１の前面側に鋼製捨型枠兼化粧パネ
ルとしての前面側捨型枠２を設置し、背面側には背面側
捨型枠３を設置し、これらを固定治具２ｃ及び固定用フ
ック３ｃで連結する。前面側捨型枠２と背面側捨型枠３
との間にコンクリートを打設し、鋼矢板壁１の頭部に鋼
コンクリート合成構造の笠コンクリートを形成する。前
面側捨型枠２に一体的に形成された前面パネル部２ｄは
化粧パネルとして機能し、鋼矢板壁１前面における鋼矢
板の露出を防止し、鋼矢板壁１に防食性及び美観を与え
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、笠コンクリート及び化
粧パネルを有する鋼矢板壁の構造、及びその鋼矢板壁の
構築に用いられる化粧パネルを一体化した笠コンクリー
ト用捨型枠に関するもので、堤防その他、護岸構造物等
に用いられる。

【０００２】

【従来の技術】

(1) 鋼矢板壁頭部に設置される笠コンクリートに関する
従来技術図８(a) 、(b) に示すように、鋼製矢板壁１１等からな
る護岸構造物の法留工等として用いられる笠コンクリー
ト（法留工）１２は、従来、鉄筋コンクリート構造とな
っている。施工においては、鋼矢板壁の頭部に鋼矢板断
面形状の凹凸に合わせて型枠を設置するとともに、所定
のかぶり厚を確保して鉄筋１３を配筋し、コンクリート
を打設する。

【０００３】(2) 鋼矢板壁前面に設置される化粧パネル
に関する従来技術鋼矢板壁の露出部分には、従来、防食及び美観の向上等
を目的として塗装を施したり、塗装の代わりに化粧パネ
ルを取り付け、鋼矢板壁の表面を平滑にすることが行わ
れている。

【０００４】従来、鋼矢板壁に化粧パネルを取り付ける
場合、化粧パネル取付側の鋼矢板面にパネル固定用の治
具を取り付けたり、鋼矢板に化粧パネル係止用の突起を
設けたものが知られている（実公平３−４２１０９号公
報、特開平１−３２２０１１号公報、実開平２−１４４
０２３号公報参照）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来の笠コンクリート
の施工では、鉄筋の設置作業及び鋼矢板壁の凹凸に合わ
せた型枠の設置作業が必要であり、現場での施工性が良
くない。また、鋼矢板壁の頭部はコンクリートで覆われ
るが、笠コンクリートより下では鋼矢板が露出するた
め、景観的にも好ましくない。

【０００６】従来の化粧パネル取付構造は、鋼矢板表面
に化粧パネルを取り付ける構造であるため、化粧パネル
の施工精度が鋼矢板の施工精度に大きく依存する。すな
わち、鋼矢板の打設時における施工誤差（倒れ、回転
等）による影響を受けやすく、パネルの施工精度が悪く
なる。

【０００７】本発明は上述のような従来技術の問題点を
解決し、施工性、景観性に優れた鋼矢板壁及び該鋼矢板
の構築に用いるための化粧パネルを一体化した笠コンク
リート用捨型枠を提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の鋼矢板壁は、鋼
矢板を連接してなる鋼矢板壁頭部に捨型枠を設置し、捨
型枠内にコンクリートを打設して笠コンクリートを形成
するとともに、この笠コンクリート用の捨型枠の前面に
化粧パネルを設けたものである。

【０００９】また、本発明の笠コンクリート用捨型枠
は、上記本発明の鋼矢板壁の構築に用いた場合におい
て、優れた施工性を与えるものであり、鋼矢板壁頭部に
設置される笠コンクリート用捨型枠の前面に、鋼矢板壁
深さ方向に所要の長さを有する化粧パネルを一体的に設
けたことを特徴とする。

【００１０】捨型枠としては、鋼製のものが適し、その
場合、捨型枠内へのコンクリートの打設により鋼コンク
リート合成構造の笠コンクリートが形成され、従来の笠
コンクリートの施工における配筋作業や煩雑な型枠作業
が省略できる。捨型枠の内面にはコンクリートとの付着
強度を得るため、ジベルを取り付けたり、あるいは捨型
枠の材料として突起付鋼板を用いることが考えられる。

【００１１】また、捨型枠は通常、鋼矢板壁の前面側部
分と背面側部分とを分けて製作し、固定治具等を用いて
連結するようにすることで、捨型枠の製作及び鋼矢板壁
頭部への取付作業が容易となる。

【００１２】なお、捨型枠は鋼製のものに限らず、プレ
キャストコンクリート製の捨型枠等でもよい。

【００１３】化粧パネル部分については、鋼製パネル、
ＦＲＰ製のパネル、コンクリートパネル等を用いること
ができる。パネル材を鋼製とした場合、耐久性及び景観
性を考慮し、表面に重防食被覆を施すことが好ましい。
また、景観性をより配慮する場合はパネル材として意匠
性を有するコンクリート等による外装材を使用すること
が好ましい。

【００１４】

【実施例】図１〜図４は本発明の一実施例において、笠
コンクリート部分のコンクリート打設前の状態を示した
ものである。

【００１５】鋼矢板壁１の前面側には笠コンクリートを
形成するための鋼製捨型枠としての機能と、鋼矢板壁前
面の化粧パネルとしての機能を併せ持つ前面側捨型枠２
が設置され、鋼矢板壁１の背面側には鋼製捨型枠として
の背面側捨型枠３が設置されている。本実施例では、前
面側捨型枠２と背面側捨型枠３との間にコンクリートを
打設することにより、鋼矢板壁１の頭部に鋼コンクリー
ト合成構造の笠コンクリートが形成され、かつ予め前面
側捨型枠２に一体的に形成された前面パネル部２ｄが化
粧パネルとして機能する。

【００１６】前面側捨型枠２は、コンクリートとの付着
力を得るために内面に設けたジベル２ａ、鋼矢板の断面
に応じた凹凸形状を有し、鋼矢板打設時の施工誤差を吸
収できるクリアランスを設けた型枠底部２ｂ、前面側捨
型枠２を背面側捨型枠３に仮固定するための固定治具２
ｃ、及び化粧パネルとしての前面パネル部２ｄから構成
される。なお、前面パネル部２ｄの表面には防食性と意
匠性を考慮して重防食被覆２ｅを施している。背面側捨
型枠３も同様にジベル３ａ、クリアランスを有し凹凸形
状となった型枠底部３ｃ、及び前面側捨型枠２の固定治
具２ｃを止め付けるための固定用フック３ｃから構成さ
れる。

【００１７】施工手順としては、まず鋼矢板壁１の上端
部に高さ固定治具１ａを取り付ける。高さ固定治具１ａ
は隣接する前面側捨型枠２の高さを揃えるため、一定の
レベルになるよう取り付ける。

【００１８】次に、鋼矢板壁１の背面側に背面側捨型枠
３を設置する。この時、前面側捨型枠２を固定するため
の固定用フック３ｃのレベルを揃えるべく、前もって背
面側の地盤の高さを揃えておく。

【００１９】次に、前面側に前面側捨型枠２をクレーン
等により設置する。

【００２０】本実施例において、１つの前面側捨型枠２
は、２つの固定治具２ｃを有し、これらと背面側捨型枠
３の２つの固定用フック３ｃとの接点、及びそれぞれの
固定治具２ｃと鋼矢板壁１の２つの高さ調整治具１ａと
の接点の合計４点で支持され、それぞれの点を溶接また
はボルト接合することにより前面側捨型枠２の仮固定を
行う。

【００２１】図４はボルト７により前面側捨型枠２の固
定治具２ｃと背面側捨型枠３の固定用フック３ｃとを接
合した例を示したものである。本実施例では固定治具２
ｃに長穴８を設け、前面側捨型枠２の前後方向の位置調
節を可能としている。

【００２２】次に、背面側捨型枠３及び前面側捨型枠２
により形成された空間にコンクリートを打設する。コン
クリートが硬化することにより、上部がコンクリートと
鋼製型枠による合成構造の笠コンクリートとして機能
し、かつ前面パネル部６ｃを有する前面側捨型枠２の固
定が確実なものとなる。

【００２３】なお、上記実施例では前面側捨型枠２及び
背面側捨型枠３の捨型枠部分を鋼製としたが、プレキャ
ストコンクリート製、その他とすることも可能である。

【００２４】図５及び図６は、それぞれ他の実施例とし
て、前面パネル部４ｄ，５ｄに耐久性及び意匠性を有す
るコンクリート等を材料とする外装材等を利用した例を
示したものである。

【００２５】図１〜図４の実施例と同様に、前面側捨型
枠４，５はジベル４ａ，５ａ、鋼製型枠部４ｂ，５ｂ、
固定治具４ｃ，５ｃから構成される。また、鋼矢板壁１
の背面側にも同様に背面側捨型枠３を設置する。

【００２６】図５の実施例では上部のみで前面パネル部
４ｄと鋼製型枠部４ｂとを固定しており、前面パネル部
４ｄ自体に強度が期待できる場合に有効な方法である。

【００２７】図６の実施例では前面パネル部５ｄの下端
部まで、パネル背面部５ｅとして鋼製型枠部材を設置
し、前面パネル部５ｄの固定を行っている。前面パネル
部５ｄとしてあまり強度を期待できないものを使用する
場合に有効な方法である。

【００２８】どちらの実施例も前面パネル部４ｄ，５ｄ
の意匠性を工夫することにより景観性に優れた鋼矢板壁
を構築することができる。

【００２９】図７はさらに他の実施例として、前面側捨
型枠６と鋼矢板壁１との間にコンクリートを充填する場
合の例を示したものである。前面パネル部６ｃの背面側
にはコンクリートと付着力を得るためのジベル６ａを取
り付ける。

【００３０】前面パネル部６ｃの背面側にコンクリート
を充填することにより、鋼矢板壁１及び前面パネル部６
ｃの防食性が確保されるため、耐久性が向上する。

【００３１】

【発明の効果】笠コンクリートの設置作業を簡略化で
き、作業性が向上する。笠コンクリート工の下部がパネ
ルで隠蔽されるため景観性が向上する。鋼矢板壁頭部に
おいて鋼矢板の打設時における施工誤差に依存しない構
造でパネル材を固定することができるため、パネル材の
施工精度が向上する。

【００３２】笠コンクリート部分に捨型枠を使用す
ることで、配筋作業や鋼矢板壁の凹凸断面形状に応じた
面倒な型枠の設置作業を省略することができ、施工性が
向上する。

【００３３】化粧パネルを鋼矢板に直接取り付け
ず、笠コンクリートの捨型枠に取り付けた構造であるた
め、化粧パネルの取付精度が鋼矢板の打設精度に依存し
ない。従って、捨型枠の設置作業において、化粧パネル
の施工精度の向上が図れる。

【００３４】笠コンクリートの下部が化粧パネルで
隠蔽されるため景観性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す鉛直断面図である。

【図２】図１の実施例に対応する平面図である。

【図３】図１の実施例に対応する斜視図である。

【図４】化粧パネル固定用フック部の詳細を示す斜視図
である。

【図５】本発明の他の実施例を示す鉛直断面図である。

【図６】本発明のさらに他の実施例を示す鉛直断面図で
ある。

【図７】本発明のさらに他の実施例を示す鉛直断面図で
ある。

【図８】(a) 、(b) は従来の笠コンクリート部の構造を
示す鉛直断面図である。

【符号の説明】

１…鋼矢板壁、１ａ…高さ固定治具、２…前面側捨型
枠、２ａ…ジベル、２ｂ…型枠底部、２ｃ…固定治具、
２ｄ…前面パネル部、２ｅ…重防食被覆、３…背面側捨
型枠、３ａ…ジベル、３ｂ…型枠底部、３ｃ…固定用フ
ック、４…前面側捨型枠、４ａ…ジベル、４ｂ…鋼製型
枠部、４ｃ…固定治具、４ｄ…前面パネル部、５…前面
側捨型枠、５ａ…ジベル、５ｂ…鋼製型枠部、５ｃ…固
定治具、５ｄ…前面パネル部、５ｅ…パネル背面部、６
…前面側捨型枠、６ａ…ジベル、６ｂ…固定治具、６ｃ
…前面パネル部、７…ボルト、８…長穴

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】鋼矢板壁頭部に設置した捨型枠内にコン
クリートを打設して笠コンクリートを形成するととも
に、前記捨型枠の前面に化粧パネルを設けたことを特徴
とする鋼矢板壁。
【請求項２】鋼矢板壁頭部に設置される笠コンクリー
ト用捨型枠の前面に前記鋼矢板壁深さ方向に所要の長さ
を有する化粧パネルを一体的に設けたことを特徴とする
鋼矢板壁の笠コンクリート用捨型枠。