JPH0665309A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JPH0665309A
JPH0665309A JP5065475A JP6547593A JPH0665309A JP H0665309 A JPH0665309 A JP H0665309A JP 5065475 A JP5065475 A JP 5065475A JP 6547593 A JP6547593 A JP 6547593A JP H0665309 A JPH0665309 A JP H0665309A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】塩化ビニル又は塩化ビニルと共重合可能な単量
体との混合物(以下、塩化ビニル系単量体という)を油
溶性重合開始剤と分散安定剤の存在下に水性媒体中で懸
濁重合して塩化ビニル系重合体を製造する方法におい
て、前記分散安定剤として、(A)ケン化度が70〜9
0モル%かつ平均重合度が1500〜3000の部分ケ
ン化ポリビニルアルコール(以下、PVAという)、
(B)ケン化度が70〜90モル%かつ平均重合度が3
00〜1000のPVA、(C)二次分散剤及び(D)
水溶性セルロースエーテルを併用することを特徴とする
塩化ビニル系重合体の製造方法。 【効果】熱安定性に優れ、フッシュアイが少なく実質的
に無毒の成形品を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル系重合体の
製造方法および組成物に関し、特に熱安定性が優れ、し
かもフィッシュアイが少なく、実質的に無毒の成形品を
得ることができる、塩化ビニル系重合体の製造方法およ
び該方法により得られた塩化ビニル系重合体の組成物に
係る。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系重合体(以下、PVCと記
す)は、優れた物理的、機械的性質などを有しているた
め、多方面の分野にわたり使用されている。
【0003】PVCは、成形加工時の分解を抑制する目
的で各種安定剤と配合して使用されるが、代表的な安定
剤系である複合金属石ケン安定剤や有機錫系安定剤は食
品包装材料、医療用器具、医薬包装材料等の毒性のない
ことが要求される用途あるいは水道用パイプや継手等の
鉛溶出量規制が厳しく実質的に無毒であることが要求さ
れる用途などで好適に使用される。しかしながら、いず
れの用途においても、衛生的な観点から金属成分を含む
安定剤の使用量を低減する傾向にあり、このことは必然
的にPVC組成物の熱安定性を低下させることになる。
そこで、その場合、安定剤の効果を助長するための化合
物(以下、安定助剤)がPVC組成物に添加されること
があり、そのような安定助剤としては、ポリオールおよ
び/またはそのエステル、フォスファイト類、エポキシ
化合物、含硫黄化合物、立体障害フェノール類等が従来
より知られており、PVCの製造時あるいは加工に先立
つ配合および混練工程で用いられる。
【0004】また、PVCの懸濁重合の一般的な分散安
定剤として知られる、ポリビニルアルコル(以下PVA
と記す)は前述のポリオールに分類され安定助剤として
の効果を持つことが高分子論文集,Vol.47,N
o.6,pp.509(June,1990)等により
公知である。
【0005】しかしながら、PVCの熱安定性を改良す
る目的でPVAを用いる場合であって、混合および混練
工程で用いる場合には、ケン化度の高いPVA(特に、
ケン化度70モル%以上のPVA)では、PVAとPV
Cとの相溶性が劣る結果、成形品の透明性が低下し、分
散不良により機械的強度を低下してしまう。またケン化
度の低いPVAを用いる場合には、PVAの安定助剤と
しての能力が劣るためPVAを多量に使用しなければな
らず、その結果、透明性が低下したり、機械的強度が低
下するという問題があった。
【0006】更に、PVCの懸濁重合の開始時に分散安
定剤としてPVAを使用する場合、PVAに塩化ビニル
単量体がグラフト重合する結果、PVCとの相溶性が向
上して透明性の低下や、分散不良による強度低下は生じ
なくなるが、より優れた熱安定性を求めて多量のPVA
を使用する場合には、塩化ビニル単量体の分散安定性が
低下してPVCが得られないか、または得られたPVC
の可塑剤吸収性の低下、フィッシュアイの増加あるいは
PVC中に残留する塩化ビニルモノマ−が増加してしま
い、こういった重合体からは満足な組成物が得られない
という別の問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
熱安定性と可塑剤吸収性を有し、かつフィッシュアイ特
性の良好なPVCの製造方法および該方法により得られ
たPVCの組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を行った結果、水性媒体中で懸
濁重合してPVCを製造する方法において、ある特定の
PVAとセルロースの組合せを分散安定剤として用いる
ことにより良好な特性を有するPVCを得るこことがで
きることを見出し、また得られた重合体に複合石ケン系
安定剤および/または有機錫系安定剤を混合することで
良好な特性を有する組成物が得られることを見出して本
発明を完成するに至った。
【0009】即ち本発明は、塩化ビニル系単量体を油溶
性開始剤と分散安定剤の存在下に水性媒体中で懸濁重合
してPVCを製造するに方法において、前記分散安定剤
として、(A)ケン化度が70〜90モル%かつ平均重
合度が1500〜3000のPVA、(B)ケン化度が
70〜90モル%かつ平均重合度が300〜1000の
PVA、(C)2次分散安定剤及び(D)水溶性セルロ
ースエーテルを併用することを特徴とするPVCの製造
方法である。以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいては、分散安定剤(A)、(B)として特定のケン
化度と平均重合度を有する二種類のPVA、分散安定剤
(C)として二次分散剤及び分散安定剤(D)として水
溶性セルロースエーテルを併用して水性媒体中で塩化ビ
ニル系単量体を懸濁重合してPVCを製造するものであ
り、このとき分散安定剤の使用量は塩化ビニル系単量体
100重量部に対して、分散安定剤(A)は0.01〜
0.5重量部、(B)は0.05〜1重量部、(D)は
0.01〜0.5重量部とすることが好ましく、これら
の使用量の範囲とすることにより、得られるPVCの熱
安定性が一層改良される。
【0010】また、本発明で使用される二次分散剤
(C)としては、ケン化度が20〜70モル%かつ平均
重合度が100〜1000の油溶性PVAや界面活性剤
を使用することができる。
【0011】二次分散剤として油溶性PVAを用いる場
合、二次分散剤の使用量は塩化ビニル系単量体100重
量部に対して0.005〜0.1重量部とすることが好
ましく、また分散安定剤(A)〜(C)の合計の使用量
は塩化ビニル系単量体100重量部に対して、0.1重
量部以上1.6重量部以下とすることが好ましく、更に
好適には0.1重量部以上0.3重量部以下の範囲であ
る。分散安定剤(A)〜(C)の合計の使用量が0.1
重量部未満では充分な熱安定性改良効果が得られない恐
れがあり、1.6重量部より多い場合には最終成形品の
透明性が低下したり、フィッシュアイ、残留モノマーレ
ベルの劣った重合体しか得られないことがある。
【0012】さらに、二次分散剤として油溶性PVAを
用いる場合、分散安定剤(A)、(B)、(C)、
(D)の使用量は、それぞれの使用量の重量比により、
その好ましい範囲が規定され、このうち(A):(B)
の使用量比(重量比)は1:2〜1:15、(B):
(C)の使用量比(重量比)は5:1〜20:1である
ことが好ましい。(B)が(A)の2倍量より少ない場
合には、得られるPVCのフィッシュアイ、可塑剤吸収
量、残留塩ビモノマーレベルが劣るおそれがあり、15
倍量より多い場合には塩化ビニル単量体の分散安定性が
劣り、重合体粒子が得られないか、または得られる粒子
が粗大なものとなる恐れがある。また、(C)が(B)
の5分の1倍量より多い場合には、未反応の塩化ビニル
単量体を回収する工程、未反応の塩化ビニルを除去する
工程等で発泡することがあり、一方、20分の1倍量よ
り少ない場合には、フィッシュアイ、可塑剤吸収性、残
留モノマーレベルの劣った重合体しか得られないことが
ある。
【0013】一方、2次分散安定剤(C)として界面活
性剤を用いる場合に使用される界面活性剤は、ノニオン
系およびカチオン系さらにはアニオン系界面活性剤のい
ずれでもよく、ポリオキシエチレンのアルキルエステ
ル、ポリオキシエチレンのアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンのアリルエーテル、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトー
ル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンおよびポリオキ
シプロピレンのブロックコポリマー、グリセリン脂肪酸
エステル、ポリシロキサンポリオキシアルキレンブロッ
クコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の
ノニオン系界面活性剤;芳香族アンモニウム塩、アルキ
ルアミン塩、4級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリ
ン4級塩等のカチオン系界面活性剤;アルキルスルフォ
ン酸塩、アルキルアリルスルフォン酸塩、アルキルリン
酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸塩、ポリオキ
シエチレンアルキルアリルスルフォン酸エステル等のア
ニオン系界面活性剤があり、これらは単独でまたは2種
以上組み合わせて使用して差し支えない。このうち、特
に界面活性剤は親水性疎水性バランスが15以下である
ことが好ましく、15を越える場合には、フィッシュア
イ、可塑剤吸収量、残留モノマーレベルが劣る粒子しか
得られない場合がある。また、界面活性剤の好ましい使
用量は、0.05〜2.0重量部であって、0.05部
未満ではフィシュアイ、可塑剤吸収量、残留モノマーレ
ベルが十分でなく、2.0重量部を越える場合には、得
られるPVC粒子中に微細な粒子が多くなり、粉体取扱
が難しくなるおそれがある上に透明性を低下させる場合
がある。また、このとき使用される分散安定剤(A)〜
(B)の合計の使用量は塩化ビニル系単量体100重量
部に対して、0.1重量部以上1.5重量部以下とする
ことが好ましく更に好適には0.1重量部以上0.3重
量部以下の範囲であって、0.1重量部未満では充分な
熱安定性改良効果が得られない恐れがあり、1.5重量
部より多い場合には最終成形品の透明性が低下したり、
フィッシュアイ、残留モノマーレベルの劣った重合体と
なることがある。
【0014】分散安定剤(D)は、水溶性セルロースエ
ーテルであって、メチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース等の公知の水溶性セルロースエーテルのい
ずれでも用いることができるが、好適にはヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースが用いられ、さらにヒドロキシ
プロポキシル基置換度が1グリコ−ス単位当たり0.1
5〜0.25であって、かつメトキシル基置換度が1.
4〜1.9のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用
いることが望ましい。
【0015】(D)水溶性セルロースエーテルの好まし
い使用量は、分散安定剤(A)との重量比で(A):
(D)が、1:1〜5:1である。(A)と等倍量より
多い場合には、得られる重合体粒子中に微細な粒子が多
くなり、粉体取扱いが難しくなる恐れがあり、5分の1
倍量より少ない場合には、塩化ビニル単量体の分散安定
性が劣り、重合体粒子が得られないか、もしくは得られ
た粒子が粗大なものとなる傾向にある。
【0016】以上の分散安定剤は、使用量の全量が重合
開始前に重合系に添加されて使用されても良く、重合開
始後であって重合停止前の時期に分割あるいは連続して
添加して使用されても良い。さらには重合停止後スラリ
ー脱水前に添加して使用してもよいが、好適には重合開
始前に一括で添加して使用する。
【0017】更に本発明の製造方法において上記分散安
定剤に加えて分子量調整剤としてメルカプト基とヒドロ
キシル基および/またはカルボキシル基を有する化合物
を懸濁重合の際に用いてもよい。この分子量調節剤とし
ては、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロ
パノール、4−メルカプトブタノール、チオグリセリ
ン、チオプロピレングリコール、チオ酢酸等が例示され
るが、好適には2−メルカプトエタノールが使用され
る。
【0018】本発明の方法で重合される塩化ビニル系単
量体としては、塩化ビニル単独のほか、塩化ビニルを主
体とする単量体混合物(塩化ビニル50重量%以上)が
包含され、この混合物に供される塩化ビニルと共重合可
能な単量体としては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等
のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル等のアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステ
ル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、無水マレイ
ン酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン等
が例示される。
【0019】本発明において用いる油溶性の重合開始剤
としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、
ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ
エトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカー
ボネイト化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネー
ト、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチル
パーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物;ア
セチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等の過酸
化物:アゾビス−2.4−ジメチルバレロニトリル、ア
ゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニ
ト)等のアゾ化合物;さらには、過酸化水素等があり、
これらは一種単独でまたは2種以上組み合わせて使用す
ることも可能である。
【0020】本発明のPVCの製造方法には特に限定は
なく公知懸濁重合の条件で行われる。例えば、単量体当
りに対して使用する水性媒体の量、重合開始剤の量、重
合温度等は、従来から採用されている範囲でよい。ま
た、必要に応じて、公知の保護コロイド、pH調整剤等
は、本発明の効果に影響しない範囲内であれば使用して
差し支えない。
【0021】以上、本発明の方法により得られるPVC
はそれ自体が高い熱安定性を有するため、このPVCと
複合金属石ケン系安定剤および/または有機錫系安定剤
とを混合した本発明の組成物は大量の安定助剤を用いる
ことなしに、加工時に必要となる熱安定性を保った組成
物となる。
【0022】本発明において安定剤として用いられる複
合金属石ケン系安定剤の種類は、亜鉛の有機酸塩と、ア
ルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の有機酸塩
との組合せでよく、アルカリ金属および/またはアルカ
リ土類金属の種類としては、リチウム、ナトリウム、カ
リウム、マグネシウム、カルシウム、などが例示でき、
中でもカルシウムと亜鉛の組合せが好ましい。有機酸と
しては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプリル
酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、などの
カルボン酸が挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。この複合金属石ケン系安定剤の使用量は、塩化
ビニル系重合体100重量部当たり0.5〜5重量部と
することが好ましく、更に好適には1〜3重量部であ
る。0.5重量部未満では、組成物の熱安定性が不足す
る場合があり、その結果得られた成形品が着色する場合
がある。5重量部を越える場合には、添加量に見合った
熱安定性が期待されず実用的でない。
【0023】一方、有機錫系安定剤の種類は、通常のP
VC用有機錫系安定剤が用いられ特に限定はないが、無
毒あるいは低毒性であることが望まれる場合には、ジ−
n−オクチル錫−S,S’−ビス(イソオクチルメルカ
プトアセテート)に代表されるオクチル錫メルカプタイ
ド系;ジ−n−オクチル錫−S,S’−ビス(イソオク
チルマレエート)、n−オクチル錫マレートポリマーに
代表されるオクチル錫マレート系もしくは、オクチル錫
メルカプタイド系および/またはオクチル錫マレート系
を主体とした有機錫系安定剤があげられるが、これらに
限定されるものではない。この有機錫系安定剤の使用量
は、塩化ビニル系重合体100重量部当たり0.5〜5
重量部とすることが好ましく、更に好適には1〜3重量
部である。0.5重量部未満では、組成物の熱安定性が
不足する場合があり、その結果得られた成形品が着色す
る場合がある。5重量部を越える場合には、使用量に見
合った熱安定性が期待されず実用的でない。
【0024】また、フォスファイト類、エポキシ化合
物、ジペンタエリスリトール等のポリオールおよびその
誘導体、抗酸化剤、ゼオライト、過塩素酸塩、β−ジケ
トン、ケト酸エステル、β−アミノクロトン酸エステル
等の含窒素化合物、チオールカルボン酸無水物等の含硫
黄化合物等の安定助剤や、加工助剤、可塑剤、滑剤、顔
料、充填剤、立体障害アミンやサリチル酸エステル等の
光安定剤等の通常の添加剤、さらには塩化ビニル系以外
の樹脂を併用することは、本発明の効果に影響しない範
囲であれば差し支えない。
【0025】
【実施例】以下、本発明の製造方法及び組成物を実施例
および比較例にもとづき説明するが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
【0026】以下の物性は下記の方法により測定した。
【0027】(可塑剤吸収量)ドイツ工業規格(DI
N)53417/1号による。
【0028】(熱安定性)ブラベンダー社製プラストグ
ラフ試験機を用いて、ミキサー回転数60rpmで下記
の組成物60gを投入した後、最高トルクに達した時点
(a)から、トルクが低下して一定のトルクを示す状態
を経過した後、樹脂の分解によって再度トルクが上昇し
始める点(b)までの時間の差を熱分解時間とした。 熱分解時間(HDT、分)=(b)−(a) 尚、チャンバー温度は、配合1では160℃とし、配合
2では190℃とした。
【0029】(組成物の調整) <配合1> 塩化ビニル系樹脂 100 重量部 ジオクチルフタレート 3 重量部 エポキシ化大豆油 3 重量部 ステアリン酸 0.2重量部 Ca−Zn複合金属石ケン系安定剤 2 重量部 <配合2> 塩化ビニル系樹脂 100 重量部 ジオクチルフタレート 5 重量部 アクリル系加工助剤 5 重量部 ブチルステアレート 0.5重量部 モンタン酸ワックス 0.3重量部 有機錫系安定剤 3 重量部 (N−2000E/日東化成) 以上を計量した後、石川式撹拌擂潰機を用いて120℃
で10分間混合して組成物を得る。
【0030】(フィッシュアイ)塩化ビニル系重合体1
00重量部、ジ−2エチルヘキシルフタレート40重量
部、及び安定剤3重量部、少量の群青を混合した後、1
60℃のロールで5分間、7分間、9分間混練して得ら
れるシートの50cm2 中に認められるFE数をカウン
トした。
【0031】実施例1 内容積1立方メートルのステンレス製重合容器に、脱イ
オン水450kg、塩化ビニル単量体400kg、表1
に示す種類および量の分散剤を水溶液またはメチルアル
コールと水の混合溶液として仕込み、開始剤として、t
−ブチルパーオキシピバレートを0.04重量部用い
て、温度65℃で、連鎖移動剤として2−メルカプトエ
タノールを用いて、転換率85%まで反応を行った。な
お、水溶性セルロースエーテルには、1セルロース単位
当りのヒドロキシプロポキシル基の置換度が0.25か
つ、メトキシル基の置換度が1.9であって2重量%水
溶液の20℃における粘度が50cpsであるヒドロキ
シプロピルメチルセルロース(HPMC)を用いた。
【0032】重合後、未反応の塩化ビニル単量体を回収
し、系内を真空及び窒素置換した後、塩化ビニル重合体
スラリーを取り出し、脱水乾燥して重合体を得て、一部
は前述の方法に従って分析を実施し、一部は前述の方法
に従って配合1および配合2の組成物を調整して評価を
実施した。
【0033】実施例2 PVA(A)の使用量を0.05重量部に増やしたほか
は、実施例1と同様に行い重合体および組成物を得た。
【0034】実施例3〜5 PVA(C)の使用量を0.02重量部に増やすか、ま
たはヒドロキシプロピルメチルセルロース(表1中のH
PMC)の使用量を0.05重量部に増やすか、あるい
はPVA(A)を0.03重量部かつPVA(B)を
0.15重量部としたほかは、実施例2と同様に行い重
合体および組成物を得た。
【0035】実施例6 PVA(C)の使用量を0.005重量部に減らしたほ
かは、実施例2と同様に行い重合体および組成物を得
た。
【0036】実施例7 PVA(C)の代わりに2次分散剤として、界面活性剤
であるポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート
0.2重量部を用いたほかは、実施例1と同様に行い重
合体および組成物を得た。
【0037】実施例8 PVA(A)の種類を表1に示す種類に変えたほかは、
実施例1と同様に行い重合体および組成物を得た。
【0038】実施例9 PVA(B)の種類を表1に示す種類に変えたほかは、
実施例8と同様に行い重合体および組成物を得た。
【0039】実施例10 PVA(C)の種類を表1に示す種類に変えたほかは、
実施例9と同様に行い重合体および組成物を得た。
【0040】比較例1〜4 PVA(A)〜(B)、2次分散剤(C)またはHPM
C(D)のいずれか1つを使用しないで、実施例1と同
様に行った。
【0041】実施例および比較例の分散剤処方を表1に
示し、実施例および比較例の測定結果を表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】比較例1及び4では、ブロックを生じて重
合体粒子が得られなかった。比較例2では、得られた重
合体から調整した組成物の熱安定性およびフッシュアイ
特性の劣るものであった。比較例3では、得られた重合
体は可塑剤吸収量、フィッシュアイ特性の劣る重合体で
あった。実施例1〜10では、比較例に見られるよう
な、種々の問題点のない、熱安定性、フッシュアイ特性
および可塑剤吸収量の良好な重合体および組成物であっ
た。
【0045】
【発明の効果】以上述べたとおり、本発明の方法により
得られたPVCは優れた特性を有するものであり、この
PVCを用いた本発明の組成物は熱安定性に優れ、更
に、この組成物からフッシュアイが少なく実質的に無毒
の成形品を得ることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 27/06 LFP 9166−4J //(C08L 27/06 1:26 29:04)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル又は塩化ビニルと共重合可能な
    単量体との混合物(以下、塩化ビニル系単量体という)
    を油溶性重合開始剤と分散安定剤の存在下に水性媒体中
    で懸濁重合して塩化ビニル系重合体を製造する方法にお
    いて、前記分散安定剤として、(A)ケン化度が70〜
    90モル%かつ平均重合度が1500〜3000の部分
    ケン化ポリビニルアルコール(以下、PVAという)、
    (B)ケン化度が70〜90モル%かつ平均重合度が3
    00〜1000のPVA、(C)二次分散剤及び(D)
    水溶性セルロースエーテルを併用することを特徴とする
    塩化ビニル系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】塩化ビニル系単量体100重量部に対し
    て、上記分散安定剤(A)の使用量が0.01〜0.5
    重量部、(B)の使用量が0.05〜1重量部、(D)
    の使用量が0.01〜0.5重量部であることを特徴と
    する請求項1に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】2次分散安定剤(C)が、ケン化度が20
    −70モル%で平均重合度が100−1000の油溶性
    のPVAであり、かつその使用量が塩化ビニル系単量体
    100重量部に対して0.005〜0.1重量部である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の塩化ビニル
    系重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】分散安定剤(B):(C)の使用量比(重
    量比)が5:1〜20:1であり、(A):(B)の使
    用量比(重量比)が1:2〜1:15であり、かつ
    (A):(D)の使用量比(重量比)が1:1〜5:1
    であることを特徴とする請求項3に記載の塩化ビニル系
    重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】分子量調整剤としてメルカプト基とヒドロ
    キシル基および/またはカルボキシル基を有する化合物
    を使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに
    記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】塩化ビニル系重合体と複合金属石ケン系安
    定剤および/または有機錫系安定剤とを混合してなる塩
    化ビニル系樹脂組成物であって、塩化ビニル系重合体が
    請求項1〜8のいずれかに記載の方法で得られた塩化ビ
    ニル系重合体であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂
    組成物。
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