JPH066528U - 型枠兼用断熱パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 断熱パネル付きのコンクリート壁を施行する
に際して、一方のコンクリート型枠と対向して配置さ
れ、コンクリート型枠兼用として用いられる所定の断熱
性能のある断熱材２を有する型枠兼用断熱パネル１にお
いて、断熱材２の反コンクリート側の面に中空断面で内
外両面に引張力に対抗するスキン層６ａ，６ｂが形成さ
れた補強材を接合した。 【効果】 断熱材の外面に、内外両面に引張力に対抗す
るスキン層が形成された中空断面構造の補強材を接合し
型枠兼用断熱パネルの剛性を高めたため、コンクリート
が硬化する前に荷重が型枠兼用断熱パネルに作用し、荷
重に対抗する。また、両スキン層の間の中空部も各スキ
ン層の変形を吸収し、一層内面が平滑な面にすることが
できる。したがって、コンクリートの硬化後、一方の型
枠を除去ことなく、補強材を内装下地材として直ちに仕
上げ材を取り付けることができ、施行がさらに簡易とな
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の技術分野】

本考案は、断熱パネル付きコンクリート壁を簡易に施行することができる型枠 兼用断熱パネルに関する。

【０００２】

【考案の技術的背景】

近年、コンクリート建築物の屋内の断熱効果を高めるため、また、冬と夏、昼 と夜の寒暖差による躯体の歪を防止するなどのため、コンクリート壁、コンクリ ート屋根などに、発泡プラスチックからなる断熱パネルを取り付けることが盛ん になってきている。

【０００３】 この断熱パネルを壁などに施工する方法には、断熱パネルを屋内側に配置する 内断熱工法と、断熱パネルを屋外側に配置する外断熱工法とがあるが、いずれの 方法を採用するに際しても、次のようにして施工している。コンクリート型枠の 一方に釘などにより多数枚の断熱パネルを仮止めし、この型枠の断熱パネルと他 方のコンクリート型枠との間にコンクリートを打設し、コンクリートの硬化後一 対のコンクリート型枠を除去している。これにより、コンクリート打設時に断熱 パネルをコンクリート壁などに取付けている。

【０００４】 この施工方法を一層簡易にするため、断熱パネルにコンクリート型枠としての 役割をも持たせ、断熱パネルをコンクリート兼用型枠として用いる工法が提案さ れている。このような施工方法であると、コンクリート打設後、一方の型枠を除 去する必要がなく、施工が簡易になるという利点がある。

【０００５】 しかしながら、コンクリート兼用型枠としての断熱パネルは、コンクリート打 設時に、コンクリートの自重による押圧力が作用して変形することがある。この 変形を防止するために、断熱パネルを桟木や、タテバタ及びヨコバタ等を用いて 支持しているが、このようにしても断熱パネル自体に剛性がないので、桟木や、 タテバタ及びヨコバタ等が設置された間隔が広いと、局部的に膨出したり、全体 的にうねりを生じ、平滑な仕上り面とならず、また、桟木等が設置間隔を狭くす るとが施工が面倒になるという不具合がある。

【０００６】

【考案の目的】

本考案は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、コンクリート 打設時に生じる押圧力に対抗する機能を備えた型枠兼用断熱パネルを提供するこ とを目的とする。

【０００７】

【考案の概要】

この目的を達成するため、本考案に係る型枠兼用断熱パネルは、断熱パネル付 きのコンクリート壁を施行するに際して、一方のコンクリート型枠と対向して配 置され、コンクリート型枠兼用として用いられる発泡合成樹脂製の断熱材又は所 定の断熱性能のある断熱材を有する型枠兼用断熱パネルにおいて、 前記断熱材の反コンクリート側の面に中空断面で表面に引張力に対抗するスキ ン層が形成された補強材を接合したことを特徴としている。

【０００８】 本考案に係る型枠兼用断熱パネルによれば、断熱材の反コンクリート側の面に 、引張力に対抗するスキン層が表面に形成された中空断面構造の補強材を接合す ることにより型枠兼用断熱パネルの剛性を高めたため、この型枠兼用断熱パネル を一般のコンクリート型枠と対向して配置してコンクリートを打設したとき、コ ンクリートが硬化する前のコンクリートの自重による押圧力が型枠兼用断熱パネ ルに作用して型枠兼用断熱パネルが外方に膨出するときには、型枠兼用断熱パネ ルの外方側スキン層がこれに対抗することになる。また桟木や、タテバタ及びヨ コバタ等により型枠兼用断熱パネルが内方に押圧されるときには、型枠兼用断熱 パネルの内方側スキン層がこれに対抗することになり、両スキン層の間の中空部 も各スキン層の変形を吸収し、一層平滑な仕上り面にすることができる。

【０００９】 しかも、コンクリートの硬化後には、一方の型枠を除去ことなく、補強材を内 装下地材として直ちに仕上げ材を取り付けるなどの仕上げ作業を行うことできる ので、施行がさらに簡易となる。

【００１０】

【考案の具体的説明】

以下、本考案の一実施例に係る型枠兼用断熱パネルにつき図面を参照しつつ説 明する。

【００１１】 図１は、本発明の一実施例に係る型枠兼用断熱パネルを示す分解斜視図、図２ は、同型枠兼用断熱パネルを用いて断熱パネル付コンクリート壁を構築する際の 施工時の水平断面図である。

【００１２】 図１に示すように、本実施例に係る型枠兼用断熱パネル１は、発泡合成樹脂製 の断熱材又は所定の断熱性能を有する断熱材２と、この型枠兼用断熱パネル１を 用いてコンクリートを打設したときに該断熱材２の反コンクリート側となる面に 接合される中空構造のプレート材からなる補強材３とから構成されている。

【００１３】 まず、発泡合成樹脂製の断熱材２としては、例えば、硬質の発泡ポリスチレン 、硬質の発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレン等が好適である。その他の所定 の断熱性能を有する断熱材としては、例えば、無機充填材を含有する塩化ビニル 系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂を主成分とする発泡体からなる準不燃性以上 の材料で構成される断熱材がある。この場合には、断熱性能のみならず、耐火性 能、軽量性にも優れているといった利点がある。さらに、他の断熱材としては、 例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル、フェノール樹脂などから形成された断熱材 であってもよい。

【００１４】 次に、前記補強材３は、本断熱パネル１をコンクリート兼用型枠として用いた 際に、断熱材２を補強する役割を果たすものであり、その構造と材料とから、打 設されたコンクリートの自重によって断熱パネル１が押圧されるときの押圧力に 充分に耐えることができるようになっている。つまり、この補強材３は、四角形 状の中空部４が仕切壁５により仕切られた多数平行に開設された中空断面構造の プレート材であり、内外両面に引張力に対抗するスキン層６ａ，６ｂが形成され た構造となっている。また、この補強材３の形成するに当たっては、材料として 、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネートなどを使用し、押し出し成形機 を用いて形成すればよい。この使用材料は一例であり、本考案では特にこれらに 限定されるものではなく、打設されたコンクリートが断熱パネル１を押圧する押 圧力に充分に耐えることができる材料であればどのようなものであっても良い。

【００１５】 さらに、より具体的には、前記発泡合成樹脂製の断熱材２としては、例えば、 ２０〜７５mmの程度の肉厚を有するものが用いられ、この程度の断熱材２に対し て補強するための補強材３としては、３〜１５mm程度とすることが好ましい。こ の補強材３は、断熱材２に接着剤等により全面的に接合されているが、場合によ っては点接合あるいは線接合であってもよい。ここで使用する接着剤としては、 例えば、エポキシ樹系接着剤あるいはウレタン樹脂系接着剤等を使用することが 好ましい。

【００１６】 次に、図２を参照して、本実施例に係る断熱パネルを用いて、断熱パネル付コ ンクリート壁を構築する際の施工例を説明する。なお、この図２では、建物の壁 の屋内側に断熱パネル１を施工する場合の実施例を示している。

【００１７】 先ず、外部型枠２１を配設すると共に、この外部型枠２１に対峠するように、 コンクリート兼用型枠としての断熱パネル１を配設する。次いで、フォームタイ ２２により外部型枠２１と断熱パネル１との間を所定間隔に維持すると共に、桟 木２３を、例えば、１２０〜１５０mm程度の狭い間隔で立設し、さらにタテバタ ２４およびヨコバタ２５を外部型枠２１および断熱パネル１の外側に配設し、締 付金具２６により固定する。これにて、外部型枠２１と断熱パネル１との間にコ ンクリート２７を打設する。

【００１８】 打設されたコンクリート２７は、コンクリート兼用型枠としての断熱パネル１ を押圧するが、この押圧力は、桟木２３や、タテバタ２４及びヨコバタ２５によ り支持されていない型枠兼用断熱パネルを外方に膨出しようとする。したがって 、型枠兼用断熱パネル１では、桟木２３等に支持されていない部分が外方に膨出 し、桟木２３等に支持された部分がいわば内方に変位することになる。

【００１９】 しかし、本実施例では、断熱材２を補強材３により支持しているので、型枠兼 用断熱パネル１が外方に膨出しようとするときには、補強材２における外方のス キン層６ａおよび仕切壁５が膨出を阻止するように抵抗し、また内方に凹むとき には内方のスキン層６ｂおよび仕切壁５がこれに対抗する。しかも、両スキン層 ６ａ，６ｂの間の中空部４も各スキン層６ａ，６ｂの変形を吸収するように機能 することになるので、補強材３の室内側の面は、一層平滑な面にすることができ る。この結果、断熱パネル１は、仕上げ面が平滑であるため、後に、いわゆるＧ Ｌ工法により補強材４にモルタル団子を付着させて石膏ボードを取り付けて、平 滑な面に仕上げる必要はなく、コンクリートの硬化後、型枠兼用断熱パネル１側 では、補強材２を内装下地材として直ちに仕上げ材を取り付けることができ、施 工作業が極めて簡易となる。

【００２０】 このようにして断熱パネル付コンクリート壁を構築した後、外部型枠２１、フ ォームタイ２２、締付金具２６などを除去するが、断熱パネル１が内部型枠を兼 用しているため、一つの型枠の設置および除去が不要になり、施工工程が簡略化 でき、簡単に断熱パネル付コンクリート壁を構築できる。

【００２１】 なお、断熱パネル付コンクリート壁を構築した後の補強材３は、その中空部４ の断熱機能により、断熱材２による断熱機能を一層効率的なものとし、優れた断 熱性を発揮することになる。

【００２２】 本考案は、上述した実施例に限定されるものではなく、種々変形可能であるこ とは勿論である。特に、明細書中において限定されないとした事項には何ら限定 されないのは勿論である。

【００２３】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案では、断熱材の反コンクリート側の面に、表面に引 張力に対抗するスキン層が形成された中空断面構造の補強材を接合することによ り型枠兼用断熱パネルの剛性を高めたため、コンクリートを打設したときの押圧 力が型枠兼用断熱パネルに作用しても、型枠兼用断熱パネルの変形が防止され、 室内側の面を平滑な面にすることができる。この結果、一方の型枠を除去するこ とがない簡便さに加え、補強材を内装下地材として直ちに仕上げ材を取り付ける ことができ、施工作業が簡易となり、しかも断熱性能がさらに向上することにな る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の一実施例に係る型枠兼用断熱
パネルの分解斜視図である。

【図２】図２は、本断熱パネルを用いて、断熱パネル付
コンクリート壁を構築する際の施工時の水平断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 型枠兼用断熱パネル ２ 断熱材 ３ 補強材 ４ 中空部 ６ａ，６ｂ スキン層

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 断熱パネル付きのコンクリート壁を施行
   するに際して、一方のコンクリート型枠と対向して配置
   され、コンクリート型枠兼用として用いられる発泡合成
   樹脂製の断熱材又は所定の断熱性能のある断熱材を有す
   る型枠兼用断熱パネルにおいて、 前記断熱材の反コンクリート側の面に中空断面で表面に
   引張力に対抗するスキン層が形成された補強材を接合し
   てなる型枠兼用断熱パネル。
2. 【請求項２】 前記補強材は、多数平行に開設された中
   空部を有するプレート材である請求項１に記載の型枠兼
   用断熱パネル。