JPH05112993A - コンクリート建築物の施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 断熱材（２）の少なくとも一面に補強用シー
ト（１０）を接着してなる断熱兼用型枠材（１）を複数
個並設して一方の型枠を形成し、この一方の型枠と、他
の型枠（２０）とを対向して配置し、これら型枠の間に
コンクリートを打設してコンクリート建築物を施工する
方法であって、各断熱兼用型枠材（１）は、補強用シー
ト（１０）の一部が断熱材（２）からはみ出したはみ出
し部（１１）を有し、各断熱兼用型枠材（１）の補強用
シートのはみ出し部（１１）を、隣位の断熱兼用型枠材
（１）の補強用シート（１０）に重合わして、複数の断
熱兼用型枠材（１）を並設することを特徴としている。 【効果】 コンクリートの打設時、打設されたコンクリ
ートがこのはみ出し部を隣位の補強用シートの上に押し
つけることができ、断熱兼用型枠材の継ぎ目からコンク
リート「のろ」が漏洩することを効果的に防止できる。
また、ガムテープ等を継ぎ目に貼着する作業に比べる
と、本発明の作業は極めて簡易である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】本発明は、断熱材として機能すると
共にコンクリート型枠としても用いることができる断熱
兼用型枠材を用いたコンクリート建築物の施工方法に関
する。

【０００２】

【発明の技術的背景】コンクリート建築物を施工するに
際しては、互いに対向する一対の型枠の間に、コンクリ
ートを打設し、このコンクリートが硬化した後型枠を除
去し、コンクリート壁、コンクリート屋根、コンクリー
ト床を施工している。

【０００３】一方、近年、コンクリート建築物の屋内の
断熱効果を高めるため、また、冬と夏、昼と夜の寒暖差
による躯体の歪を防止するなどのため、コンクリート
壁、コンクリート屋根などに、発泡プラスチックからな
る断熱材を取り付けることが盛んになってきている。

【０００４】この断熱材を壁などに施工する方法には、
断熱材を屋内側に配置する内断熱工法と、断熱材を屋外
側に配置する外断熱工法とがあるが、いずれの方法を採
用するに際しても、次のようにして施工している。

【０００５】多数個の断熱材を、上記コンクリート型枠
の一方に釘などにより仮止めして並設し、この並設され
た多数個の断熱材と、他方のコンクリート型枠との間
に、コンクリートを打設し、コンクリートの硬化後一対
のコンクリート型枠を除去している。これにより、コン
クリート打設時に断熱材をコンクリート壁などに取付け
ている。

【０００６】この施工方法を一層簡易にするため、断熱
材にコンクリート型枠としての役割をも持たせ、断熱材
をコンクリート兼用型枠として用いる工法が提案されて
いる。具体的には、引張強度が強く且つ防水性のある紙
などからなる補強用シートを板状部材である断熱材の両
面に接着し、これにより、断熱材に型枠として耐えるこ
とができる強度を付与している。このような断熱兼用型
枠材を多数個並設してコンクリート型枠を形成してい
る。このような施工方法であると、コンクリート打設
後、一方の型枠を除去する必要がなく、施工が簡易にな
る。

【０００７】しかしながら、コンクリートを打設した
際、多数個並設された断熱兼用型枠材の継ぎ目から、コ
ンクリートの「のろ」が漏洩することがあり、問題とな
っている。これを防止するため、断熱兼用型枠材の継ぎ
目に、ガムテープなどを貼着することが考えられるが、
多数の断熱兼用型枠材の継ぎ目全てに、ガムテープを貼
着する作業は極めて煩雑であり、現実性に乏しい。

【０００８】

【発明の目的】本発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたものであって、上述した断熱兼用型枠材を用いてコ
ンクリート建築物を施工する際、この断熱兼用型枠材の
継ぎ目から「のろ」が漏洩することを極めて簡易に且つ
効果的に防止した、コンクリート建築物の施工方法を提
供することにある。

【０００９】

【発明の概要】この目的を達成するため、本発明に係る
コンクリート建築物の施工方法は、断熱材の少なくとも
一面に補強用シートを接着してなる断熱兼用型枠材を複
数個並設して一方の型枠を形成し、この一方の型枠と、
他の型枠とを対向して配置し、これら型枠の間にコンク
リートを打設してコンクリート建築物を施工する方法で
あって、各断熱兼用型枠材は、補強用シートの一部が断
熱材からはみ出したはみ出し部を有し、各断熱兼用型枠
材の補強用シートのはみ出し部を、隣位の断熱兼用型枠
材の補強用シートに重合わして、複数の断熱兼用型枠材
を並設することを特徴としている。

【００１０】このように、本発明では、補強用シートの
はみ出し部を、隣位の断熱兼用型枠材の補強用シートに
重合わして、複数の断熱兼用型枠材を並設しているた
め、コンクリートの打設時、打設されたコンクリートが
このはみ出し部を隣位の補強用シートの上に押しつける
ことができ、断熱兼用型枠材の継ぎ目からコンクリート
「のろ」が漏洩することを効果的に防止できる。また、
ガムテープ等を継ぎ目に貼着する作業に比べると、本発
明の作業は極めて簡易であり、現実性に富むものであ
る。

【００１１】

【発明の具体的説明】以下、本発明の一実施例に係るコ
ンクリート建築物の施工方法を図面を参照しつつ説明す
る。

【００１２】図１は、本施工方法によりコンクリート壁
を施工する際のコンクリート壁を水平に断面した断面図
である。図２は、本実施例で用いる断熱兼用型枠材の斜
視図である。図３は、図２に示した断熱兼用型枠材を並
設した状態を示す図である。

【００１３】本実施例では、断熱材として機能すると共
にコンクリート型枠としても機能する断熱兼用型枠材１
を用いて、コンクリート壁２１を施工している。先ず、
この断熱兼用型枠材１について説明する。図２に示すよ
うに、断熱材２の両面に、補強用シート１０が接着して
ある。この断熱材２は、ポリスチレンフォーム、硬質ウ
レタンフォーム、フェノールフォーム、イソシアヌレー
トフォームなどの発泡プラスチック系から形成してあ
る。補強用シート１０は、引張強度が強く、防水性があ
り、且つコンクリート、モルタル等の接着性が高いもの
から形成してあればよく、例えば耐水紙、金属箔、ポリ
エチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピ
レンフィルム、不織布、無機質シートなどで複数の層構
造として形成してある。引張強度を強いことが要求され
るのは、コンクリート型枠として耐えるだけの強度が必
要なためであり、また、防水性が要求されるのは、断熱
材２及び補強用シート１０がコンクリート１、コンクリ
ート打込みまでの雨水等の水分を吸水して劣化するのを
防止するためである。断熱材２の反りなどを防止するた
めには、補強用シート１０が断熱材２の両面に設けてあ
ることが好ましいが、反りの虞れが少ない場合には、断
熱材２の片面に設けてあってもよい。

【００１４】この補強用シート１０の一部は、断熱材２
の縁からはみ出したはみ出し部１１を有している。この
はみ出し部１１が、図３に示すように、隣位の断熱兼用
型枠材１の補強用シート１０の上に重ね合わせるように
して、多数個の断熱兼用型枠材１を並設する。これによ
り、後述するコンクリート打設の際には、打設されたコ
ンクリートがこのはみ出し部１１を隣位の補強用シート
１０の上に押しつけることができ、断熱兼用型枠材１の
継ぎ目からコンクリート「のろ」が漏洩することを効果
的に防止でき、また、ガムテープ等を継ぎ目に貼着する
作業に比べると、本実施例の作業は極めて簡易である。

【００１５】次に、この断熱兼用型枠材１を用いてコン
クリート壁を施工する工程を説明する。図１に示すよう
に、多数個の断熱兼用型枠材１を並設する。この際、上
記のように、はみ出し部１１を隣位の断熱兼用型枠材１
の補強用シート１０の上に重ね合わせ、これにより、一
方の型枠を形成する。他方の型枠２０をこの一方の型枠
に対向するように配設する。また、両方の型枠を固定す
るために、タテバタ２２、及びヨコバタ２３を配設す
る。この後、はみ出し部１１が隣位の補強用シート１０
の上に重なっている一方の型枠と、他方の型枠２０との
間に、コンクリートを打設する。この際、上記のよう
に、「のろ」が漏洩することがない。次いで、他方の型
枠２０、タテバタ２２、及びヨコバタ２３を除去する。
これにより、コンクリート壁２１が形成される。また、
多数個の断熱兼用型枠材１は、コンクリート壁２１に取
付けられており、断熱材として機能する。

【００１６】なお、本発明は、上述した実施例に限定さ
れないのは勿論である。上述した実施例では、コンクリ
ート壁の施工例を示したが、これに限定されず、コンク
リート屋根、コンクリート床であっても、本発明は適用
可能である。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では、補強
用シートのはみ出し部を、隣位の断熱兼用型枠材の補強
用シートに重合わして、複数の断熱兼用型枠材を並設し
ているため、コンクリートの打設時、打設されたコンク
リートがこのはみ出し部を隣位の補強用シートの上に押
しつけることができ、断熱兼用型枠材の継ぎ目からコン
クリート「のろ」が漏洩することを効果的に防止でき
る。また、ガムテープ等を継ぎ目に貼着する作業に比べ
ると、本発明の作業は極めて簡易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本施工方法によりコンクリート壁を施
工する際のコンクリート壁を水平に断面した断面図であ
る。

【図２】図２は、本実施例で用いる断熱兼用型枠材の斜
視図である。

【図３】図３は、図２に示した断熱兼用型枠材を並設し
た状態を示す図である。

【符号の説明】

１ 断熱兼用型枠材 ２ 断熱材 １０ 補強用シート １１ はみ出し部 ２０ 他方の型枠

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 断熱材（２）の少なくとも一面に補強用
   シート（１０）を接着してなる断熱兼用型枠材（１）を
   複数個並設して一方の型枠を形成し、この一方の型枠
   と、他の型枠（２０）とを対向して配置し、これら型枠
   の間にコンクリートを打設してコンクリート建築物を施
   工する方法であって、 各断熱兼用型枠材（１）は、補強用シート（１０）の一
   部が断熱材（２）からはみ出したはみ出し部（１１）を
   有し、 各断熱兼用型枠材（１）の補強用シートのはみ出し部
   （１１）を、隣位の断熱兼用型枠材（１）の補強用シー
   ト（１０）に重合わして、複数の断熱兼用型枠材（１）
   を並設することを特徴とするコンクリート建築物の施工
   方法。