JPH0664107A - 積層板及び多層積層板の製造方法、それに用いる多層積層板接着絶縁層用積層物 - Google Patents

積層板及び多層積層板の製造方法、それに用いる多層積層板接着絶縁層用積層物

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JPH0664107A
JPH0664107A JP22403192A JP22403192A JPH0664107A JP H0664107 A JPH0664107 A JP H0664107A JP 22403192 A JP22403192 A JP 22403192A JP 22403192 A JP22403192 A JP 22403192A JP H0664107 A JPH0664107 A JP H0664107A
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JP
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Application number
JP22403192A
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English (en)
Inventor
Riichi Otake
利一 大竹
Hisafumi Sekiguchi
尚史 関口
Yoshinori Shimane
義憲 島根
Munekazu Hayashi
宗和 林
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐吸水性やハンダ耐熱性が大きくバラつかない
積層板や多層積層板の製造方法を提供する。 【構成】BPA系エポキシ樹脂、TBBPA系エポキシ
樹脂、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エポキシビニ
ルエステル樹脂、スチレンを主成分とする熱硬化性樹脂
組成物をガラスクロスに含浸させて200℃で溶融流動
しない硬化度まで硬化させた基材の両面に、BPA−T
BBPA共縮系エポキシ樹脂とジシアンジアミドを主成
分とする熱硬化性接着剤を塗布し、140〜160℃で
タックフリーになるまで予備硬化させた積層物を用い
る。銅箔/当該積層物4枚/銅箔となる様に配置して加
熱加圧成形して、積層物上の熱硬化性接着剤を完全硬化
させて積層板を得る(実施例1)。 【効果】長期間保存された積層板製造材料を用いても、
初期と同様の優れた耐吸水性やハンダ耐熱性を有する積
層板が得られ、当該材料が初期でも長期間保存後でも一
定品質品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プリント回路基板等に
有用なプリプレグ、積層板及び多層板の製造方法に関
し、特に耐吸水性、ハンダ耐熱性等に優れる積層板及び
多層板の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】積層板は、エポキシ樹脂と多塩基酸無水
物を主成分とする無溶剤型熱硬化性樹脂組成物を用い、
これをガラス繊維基材に含浸し乾燥させたB化プリプレ
グを複数重ね合わせ、銅箔とともに、加熱加圧成形によ
り製造する方法等で得られることが知られている。
【0003】また、多層積層板は、上記の様にして得ら
れた積層板上に電気回路を形成した後に、その両面に同
様のB化プリプレグを接着絶縁層として用いて、さらに
その両外側に銅箔を接着積層して製造されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エポキ
シ樹脂と多塩基酸無水物を主成分とする熱硬化性樹脂成
分の保存安定性が不十分であり、常温においてもそれが
徐々に反応して経時変化するので、それが含浸されたB
化プリプレグを用いて積層板や多層積層板を製造する
と、得られる積層板や多層積層板の耐吸水性及びハンダ
耐熱性等の性能が大きくバラつくという、品質管理上大
きな欠点を有する。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
エポキシ樹脂と多塩基酸無水物を主成分とする熱硬化性
樹脂成分が含浸されたB化プリプレグ−即ち、所定硬化
温度においては一旦加熱溶融して流動してから完全硬化
する挙動を示す熱硬化性樹脂成分が繊維質基材に均一含
浸されているプリプレグ−を用いて積層板又は多層積層
板を製造している以上、上記課題は克服できないと考
え、従来法とは根本的に異なる積層板の製造方法を検討
した。
【0006】その方法とは、簡単に言えば、繊維質基材
に熱硬化性樹脂成分を含浸し直ちに(B化状態を経ず
に)溶融流動しない程度に硬化させC化又はC化に極め
て近い状態の板状物とし、この表面に潜在性硬化剤を用
いた熱硬化性接着剤を薄く塗布した熱硬化しうる接着剤
が完全硬化する前の状態にある積層物を、前記B化プリ
プレグの代わりに用いるというものである。
【0007】本発明者等は、この様な積層された基材を
用いることにより、積層板や多層積層板の耐吸水性及び
ハンダ耐熱性等の性能が大きくバラつくという欠点が解
消されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、熱硬化性樹脂を繊維
基材に含浸し、所定温度(T1)では溶融流動しない様
に完全硬化又は完全硬化ではない所定硬化度(C1)ま
で硬化させた熱硬化性樹脂含浸基材(A)に、潜在性硬
化剤を用いた熱硬化性接着剤(B)を塗布し、当該接着
材(B)が塗布された基材(A)上の接着剤(B)を、
基材(A)が完全硬化である場合は所定温度(T1)以
下の温度で、完全硬化ではない所定硬化度(C2)まで
硬化させ、一方基材(A)が完全硬化ではない所定硬化
度(C1)である場合は所定温度(T1)以下の温度
で、基材(A)上の接着剤(B)を所定硬化度(C2)
とすると共に基材(A)を完全硬化又は所定硬化度(C
1)より硬化度が大きいが完全硬化ではない所定硬化度
(C3)となる様に加熱硬化せしめた、完全硬化してい
ない接着剤(B)層と完全硬化又は前記所定硬化度(C
3)の基材(A)層とを有する積層物を、所定枚数重ね
合わせて、積層物中の基材(A)が完全硬化である場合
には所定硬化度(C2)にある接着剤(B)が完全硬化
となる様に、一方積層物中の基材(A)が完全硬化でな
い所定硬化度(C3)でる場合には所定硬化度(C2)
にある接着剤(B)を完全硬化とすると共に完全硬化で
ない所定硬化度(C3)である基材(A)をも完全硬化
となる様に、加熱加圧成形することを特徴とする積層板
の製造方法、熱硬化性樹脂を繊維基材に含浸し、所定温
度(T1)では溶融流動しない様に完全硬化又は完全硬
化ではない所定硬化度(C1)まで硬化させた熱硬化性
樹脂含浸基材(A)に、潜在性硬化剤を用いた熱硬化性
接着剤(B)を塗布し、当該接着材(B)が塗布された
基材(A)上の接着剤(B)を、基材(A)が完全硬化
である場合は所定温度(T1)以下の温度で、完全硬化
ではない所定硬化度(C2)まで硬化させ、一方基材
(A)が完全硬化ではない所定硬化度(C1)である場
合は所定温度(T1)以下の温度で、基材(A)上の接
着剤(B)を所定硬化度(C2)とすると共に基材
(A)を完全硬化又は所定硬化度(C1)より硬化度が
大きいが完全硬化ではない所定硬化度(C3)となる様
に加熱硬化せしめた、完全硬化していない接着剤(B)
層と完全硬化又は前記所定硬化度(C3)の基材(A)
層とを有する積層物を、内層用回路板と重ね合わせて、
積層物中の基材(A)が完全硬化である場合には所定硬
化度(C2)にある接着剤(B)が完全硬化となる様
に、一方積層物中の基材(A)が完全硬化でない所定硬
化度(C3)でる場合には所定硬化度(C2)にある接
着剤(B)を完全硬化とすると共に完全硬化でない所定
硬化度(C3)である基材(A)をも完全硬化となる様
に、加熱加圧成形することを特徴とする多層積層板の製
造方法、及び熱硬化性樹脂を繊維基材に含浸し、所定温
度(T1)では溶融流動しない様に完全硬化又は完全硬
化ではない所定硬化度(C1)まで硬化させた熱硬化性
樹脂含浸基材(A)に、潜在性硬化剤を用いた熱硬化性
接着剤(B)を塗布し、当該接着材(B)が塗布された
基材(A)上の接着剤(B)を、基材(A)が完全硬化
である場合は所定温度(T1)以下の温度で、完全硬化
ではない所定硬化度(C2)まで硬化させ、一方基材
(A)が完全硬化ではない所定硬化度(C1)である場
合は所定温度(T1)以下の温度で、基材(A)上の接
着剤(B)を所定硬化度(C2)とすると共に基材
(A)を完全硬化又は所定硬化度(C1)より硬化度が
大きいが完全硬化ではない所定硬化度(C3)となる様
に加熱硬化せしめた、完全硬化していない接着剤(B)
層と完全硬化又は前記所定硬化度(C3)の基材(A)
層とを有する積層物からなる、多層積層板接着絶縁層用
積層物を提供するものである。
【0009】本発明の各請求項で用いる積層物には、異
なる2種類の積層物が包含されていることに注意する必
要がある。 熱硬化性樹脂を繊維基材に含浸し、所定温度(T1)
では溶融流動しない様に完全硬化させた熱硬化性樹脂含
浸基材(A)に、潜在性硬化剤を用いた熱硬化性接着剤
(B)を塗布し、基材(A)上の接着剤(B)を、所定
温度(T1)以下の温度で、完全硬化ではない所定硬化
度(C2)まで硬化させた積層物。
【0010】この積層物は、完全硬化していない硬化度
(C2)の接着剤(B)層と完全硬化した基材(A)層
とを有する積層物である。以下、この型の積層物を積層
物Aという。
【0011】熱硬化性樹脂を繊維基材に含浸し、所定
温度(T1)では溶融流動しない様に完全硬化ではない
所定硬化度(C1)まで硬化させた熱硬化性樹脂含浸基
材(A)に、潜在性硬化剤を用いた熱硬化性接着剤
(B)を塗布し、所定温度(T1)以下の温度で、当該
接着材(B)を所定硬化度(C2)とすると共に、基材
(A)を所定硬化度(C1)より硬化度が大きいが完全
硬化ではない所定硬化度(C3)となる様に加熱硬化せ
しめた積層物。
【0012】この積層物は、完全硬化していない硬化度
(C2)の接着剤(B)層と硬化度(C1)より硬化度
が大きいが完全硬化ではない硬化度(C3)の基材
(A)層とを有する積層物である。以下、この型の積層
物を積層物Bという。
【0013】以下、積層物A及びBを総称して積層物と
いう。
【0014】本発明に係る積層物における、基材(A)
中の熱硬化性樹脂成分及び接着剤(B)の硬化度は整理
すれば、次の通りである。
【0015】・基材(A)中の熱硬化性樹脂成分: 硬化度0<B化状態<硬化度(C1)<硬化度(C3)
≦硬化度100(C化状態) ・接着剤(B): 硬化度0<硬化度(C2)<硬化度100(C化状態)
【0016】尚、上記した硬化度は、例えば硬化物のガ
ラス転移温度を尺度とすることができる。B化状態と
は、一般に、硬化温度においては一旦熱硬化性樹脂成分
が加熱溶融して流動できる状態を言う。
【0017】本発明で用いる積層物を構成する基材
(A)中の熱硬化性樹脂成分は、所定温度(T1)では
溶融流動しない様に完全硬化されている状態(これがC
化状態である。)、又は完全硬化ではない所定硬化度ま
で硬化されていて所定温度(T1)でも溶融流動しない
状態にあるので、従来のB化状態とは明確に区別でき
る。
【0018】所定温度(T1)は、基材(A)中の熱硬
化性樹脂成分とその硬化度により適宜決定されるもので
ある。
【0019】所定温度(T1)は、基材(A)が溶融流
動しない温度であり、基材(A)中の熱硬化性樹脂成分
の硬化温度や接着剤(B)の硬化温度とは独立した温度
である。この所定温度(T1)は、基材(A)に用いる
熱硬化性樹脂成分を決定したら任意の特定硬化度の試験
片を数個作成し、温度を低温から高温までの数点におい
て流動性の有無を調べ、何度において溶融流動性が発現
するかを調べればよい。
【0020】一方、積層物中の接着剤(B)は、硬化度
0よりも大きいが完全硬化(C化状態)でない硬化度
(C2)であればよい。通常、積層物中の接着剤(B)
の硬化度(C2)はB化状態でかつタックフリー状態で
ある。本発明で用いる積層物中の接着剤(B)が完全硬
化状態では本発明の効果は奏しえない。
【0021】また、本発明では、接着剤(B)として
は、潜在性硬化剤を用いた熱硬化性樹脂成分を使用する
ので、前記従来の技術に示した様な、エポキシ樹脂と多
塩基酸無水物を主成分とする熱硬化性樹脂組成物を接着
剤として用いた時の様に、一旦乾燥のための熱が加わる
と、それをたとえ常温に冷却したとしても、徐々に硬化
反応が進行して経時変化する現象は発現しない。従っ
て、用いる接着剤が、潜在性硬化剤を用いた熱硬化性樹
脂成分からなるものであれば、硬化度0を越えて硬化度
100未満の任意の硬化度(C2)(勿論、B化状態も
含む)において、最終的に得られる積層板や多層積層板
の性能がバラつくという欠点は解消される。
【0022】本発明に係る積層物中の接着剤(B)は、
所定温度(T1)以下で所定硬化度(C2)まで硬化し
た状態にある。従って、本発明に係る積層物で使用され
る接着剤(B)は、基材(A)が溶融流動しない温度
(T1)以下で、所定硬化度(C2)まで硬化させるこ
とができる接着剤に限られる。温度(T1)を越える温
度でないと、所定硬化度(C2)まで硬化できない接着
剤は、基材(A)中の熱硬化性樹脂成分が溶融流動して
しまうので使用できない。
【0023】積層物を得るに当たって、基材(A)中の
熱硬化性樹脂成分が溶融流動しない温度と、接着剤
(B)を所定硬化度(C2)とする時の温度は、上記条
件を満たすようにして設定すればよいが、精密な温度制
御を要することなく接着剤(B)を所定硬化度まで硬化
できる点で、前者の温度を後者のそれよりも高くした上
で、前者と後者との間に20〜70℃の温度差を設けて
行うことが好ましい。
【0024】具体的には、例えば基材(A)中の熱硬化
性樹脂成分が220℃を越えないと溶融流動しないこと
がわかっている場合には、接着剤(B)としては、理論
的には220℃までの温度で所定硬化度(C2)まで硬
化させることができるものを選択して用いればよいが、
170〜200℃程度の温度で所定硬化度(C2)まで
硬化させることができるものが好ましい。
【0025】本発明に係る積層物中の接着剤(B)は、
基材(A)の片面又は両面に塗布されている必要があ
る。本発明に係る積層物は、例えば基材(A)層と接着
剤(B)層の2層、又は接着剤(B)層と基材(A)層
と接着剤(B)層とがこの順に積層された3層から構成
されるが、全体の厚みを100としたとき、基材(A)
層が50〜98%、接着剤(B)層が50〜2%であ
り、なかでも基材(A)層が70〜95%、接着剤
(B)層が30〜5%であることが好ましい。
【0026】本発明の熱硬化性樹脂含浸基材(A)を得
る方法としては、熱硬化性樹脂を繊維基材に含浸し、複
数枚の繊維基材の場合にはそれらを重ね合わせ、溶剤
希釈型熱硬化性樹脂の場合は、そのまま加熱乾燥し所定
温度(T1)では溶融流動しない様に完全硬化又は完全
硬化ではない所定硬化度(C1)まで硬化させる方法、
無溶剤型熱硬化性樹脂の場合には、繊維基材に含浸し
た後、両面をカバーフィルムで覆い加熱して、所定温度
(T1)では溶融流動しない様に完全硬化又は完全硬化
ではない所定硬化度(C1)まで硬化させ、カバーフィ
ルムを除去する方法等が挙げられる。ここで、所定温度
(T1)とは、熱硬化性接着剤(B)を所定硬化度(C
2)まで硬化させる際に越えてはならない温度であり、
通常200℃以上である。
【0027】本発明に係る積層物を得るために基材
(A)上に接着剤(B)塗布し、それを所定硬化度(C
2)まで硬化させる時に、基材(A)中の熱硬化性樹脂
成分が完全硬化状態にあるときは、積層物中の接着剤
(B)のみが硬化度(C2)にまで硬化し、基材(A)
中の熱硬化性樹脂成分が完全硬化でない所定硬化度(C
1)にあるときは、積層物中の接着剤(B)が硬化度
(C2)にまで硬化するとともに基材(A)中の熱硬化
性樹脂成分が硬化度(C1)を越えて完全硬化でない所
定硬化度(C3)まで硬化される。
【0028】熱硬化性接着剤(B)の所定硬化度(C
2)は、積層板または多層積層板を製造するために加熱
加圧される際に熱硬化性接着剤(B)が適度に溶融流動
する硬化度であることが肝要である。また、熱硬化性接
着剤(B)が溶剤希釈型の場合は通常の乾燥炉内で溶剤
の揮散と硬化度(C2)までの硬化を同時に行えば良い
し、無溶剤型の場合は塗布された熱硬化性接着剤(B)
を必要に応じてカバーフィルムで覆い前記同様な硬化度
(C2)となる様加熱すればよい。この際の加熱加圧の
条件は、通常130−200℃、圧力5−60kg/cm2
である。
【0029】本発明に係る積層物における、基材(A)
又は接着剤(B)で用いる熱硬化性樹脂としては、例え
ばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、
エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂等、公知のもの
が用いられるが、積層板や多層積層板では、寸法安定性
の点から繊維基材として通常ガラスクロスが用いられる
ため、ガラスとの密着性に優れるエポキシ樹脂が好まし
い。
【0030】エポキシ樹脂とともに用いるエポキシ樹脂
用硬化剤としては、例えばジシアンジアミド、三フッ化
ホウ素・アミン錯体、有機酸ヒドラジド、メラミン、ジ
アミノマレオニトリル、アミンイミド、ポリアミン、ノ
ボラック型フェノール系樹脂、多塩基酸無水物等及びそ
の誘導体が用いられる。
【0031】中でも本発明で用いる積層物から得られる
積層板や多層積層板の耐吸水性及びハンダ耐熱性に優れ
るという点で、基材(A)中の熱硬化性樹脂としては、
エポキシ樹脂と多塩基酸無水物を必須成分とするもの
(以下、多塩基酸無水物硬化型エポキシ樹脂ということ
がある。)が好ましく、積層物の貯蔵安定性という点で
接着剤(B)としては、エポキシ樹脂と、ジシアンジア
ミド又はノボラック型フェノール系樹脂を必須成分とす
るもの(以下、潜在性硬化剤硬化型エポキシ樹脂という
ことがある。)が好ましい。
【0032】熱硬化性樹脂及び熱硬化性接着剤(B)に
用いるエポキシ樹脂として代表的なものを挙げれば、エ
ピクロルヒドリン又はβ−メチルエピクロルヒドリンと
ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビ
スフェノールF又はビスフェノールSとから得られるエ
ポキシ樹脂;フェノール又はアルキルフェノール・ノボ
ラック樹脂のポリグリシジルエーテル類;エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロー
ルプロパン又はビスフェノールAのエチレンオキサイド
もしくはプロピレンオキサイドの付加物の如き多価アル
コールのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、フタ
ル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸又
はダイマー酸の如きポリカルボン酸のポリグリシジルエ
ステル類;シクロヘキセン又はその誘導体を過酢酸など
でエポキシ化させることにより得られるシクロヘキセン
系のエポキシ化合物類( 3,4−エポキシ−6−メチル−
シクロヘキシル− 3,4−エポキシ−6−メチル−シクロ
ヘキサンカルボキシレート、 3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチル− 3,4−シクロヘキサンカルボキシレート、
1−エポキシエチル− 3,4−エポキシシクロヘキサンな
ど);シクロペンタジエンもしくはジシクロペンタジエ
ン又はそれらの誘導体を過酢酸などでエポキシ化させる
ことにより得られるシクロペンタジエン系のエポキシ化
合物類(シクロペンタジエンオキサイド、ジシクロペン
タジエンオキサイド、2,3 −エポキシシクロペンチルエ
ーテルなど);リモネンジオキサイド;あるいはヒドロ
キシ安息香酸のグリシジルエーテルエステルなどがあ
り、単独あるいは二種以上を混合して用いる。
【0033】本発明の熱硬化性樹脂におけるエポキシ樹
脂の硬化剤として用いることのできるる多塩基酸無水物
として代表的なものを挙げれば、無水フタル酸、ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチ
ルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水
フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無
水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン
酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水シトラコン
酸、ドデセニル無水コハク酸、無水クロレンディック
酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水シクロ
ペンタテトラカルボン酸、5−(2,5 −ジオキソテトラ
ヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,
2 −ジカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテ
ート無水物又はグリセリントリメリテート無水物などが
あり、これらは単独あるいは二種以上混合して用いる。
好ましいものとしては、例えばメチルヘキサヒドロ無水
フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチ
ルナジック酸等の液状の酸無水物が挙げられ、また、5
−(2,5 −ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル
−3−シクロヘキセン−1,2 −ジカルボン酸等の固形の
酸無水物を液状の酸無水物で溶解したものも好ましく用
いられる。
【0034】熱硬化性接着剤(B)中の潜在性硬化剤と
して用いることのできるジシアンジアミドは、通常、溶
剤への溶解性に乏しいため、ジメチルホルムアミド、メ
チルセロソルブ、メチルエチルケトン、アセトン等の混
合溶剤に予め溶解して用いる。
【0035】又、ジシアンジアミド同様に用いることの
できるノボラック型フェノール系樹脂は、例えばフェノ
ール類とホルムアルデヒド供給物質とを酸性触媒下で、
縮合反応させて得られるものであり、粉末状或いは溶剤
溶液状のものがいずれも使用できる。ノボラック型フェ
ノール系樹脂の製造に当たっては、例えばフェノール、
クレゾール、キシレノール等のフェノール類、ホルムア
ルデヒド水溶液、パラホルムアルデヒド等のホルムアル
デヒド供給物質が使用できる。
【0036】また、基材(A)中の熱硬化性樹脂として
用いられる多塩基酸無水物硬化型エポキシ樹脂及び熱硬
化性接着剤(B)として用いられる潜在性硬化剤硬化型
エポキシ樹脂には、公知の硬化促進剤が添加使用され、
例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリ
エチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプ
ロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の
脂肪族アミン、メンセンジアミン、イソフォロンジアミ
ン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メ
タン、N−アミノエチルピペラジン等の脂環式アミン、
メタキシレンジアミン、テトラクロロ−p−キシレンジ
アミン等の芳香環を含む脂肪族アミン、メタフェニレン
ジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェ
ニルスルフォン、ビスアミノメチルジフェニルメタン等
の芳香族アミン、2−メチルイミダゾール、2−エチル
−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾー
ル、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミ
ダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1
−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノ
エチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミ
ダゾール化合物などが挙げられる。
【0037】また、熱硬化性樹脂である多塩基酸無水物
硬化型エポキシ樹脂樹脂組成物に、重合性不飽和樹脂を
添加使用すると加熱硬化性が向上し好ましい。重合性不
飽和樹脂としては、例えばポリエ−テルアクリレ−ト、
ポリエステルアクリレ−ト、ポリウレタンアクリレ−
ト、エポキシビニルエステルなどのアクリル系樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、スピラン樹脂およびジアリルフ
タレ−ト樹脂などが用いられるが、金属箔との密着性と
いう点でアクリル系樹脂が好ましく、中でもエポキシビ
ニルエステル樹脂が特に好ましい。
【0038】上記エポキシビニルエステル樹脂として
は、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対して不飽和一塩基
酸中のカルボキシル基をエステル化反応させて得たもの
を用い、通常エポキシ樹脂中のエポキシ基のエステル化
率が20%より大きい樹脂、好ましくは30%以上の樹
脂を用いる。エポキシビニルエステル樹脂はどの様な製
造方法で製造されたものであってもよいが、例えばエポ
キシ樹脂と不飽和一塩基酸とを、必要に応じてエステル
化触媒の存在下でエステル化反応させて得られる樹脂が
挙げられる。
【0039】上記エポキシビニルエステル樹脂を得るた
めに用いるエポキシ樹脂としては前記のエポキシ樹脂が
使用できる。また、エポキシビニルエステル樹脂を得る
ために用いる不飽和一塩基酸として代表的なものは、ア
クリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、モノメ
チルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレ
ート、ソルビン酸又はモノ(2−エチルヘキシル)マレ
ートなどがあるが、これらは単独でも二種以上の混合に
おいても用いることができる。
【0040】更に、エポキシビニルエステル樹脂を得る
際には、反応中のゲル化を防止する目的や生成物の保存
安定性あるいは硬化性の調整の目的でそれぞれ重合禁止
剤を使用することが推奨される。 かかる重合禁止剤と
して代表的なものを挙げれば、ハイドロキノン、p−t
−ブチルカテコール、モノ−t−ブチルハイドロキノン
の如きハイドロキノン類;ハイドロキノンモノメチルエ
ーテル、ジ−t−p−クレゾールの如きフェノール類;
p−ベンゾキノン、ナフトキノン、p−トルキノンの如
きキノン類;又はナフテン酸銅の如き銅塩などがある。
【0041】エポキシビニルエステル樹脂は、ケトン
類、エステル類の溶剤に溶解して用いても良いが、重合
性ビニルモノマーのみを用いることが好ましい。この場
合の重合性ビニルモノマーとしては、例えばスチレン、
ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン
もしくはジビニルベンゼンの如きスチレンおよびその誘
導体;エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)
アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n
−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレートもしくは2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸の
低沸点エステルモノマー類;又はトリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,4 −ブタンジオールジ(メ
タ)アクリレートもしくは 1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレートの如き多価アルコールの(メタ)
アクリレート類などが挙げられ、なかでも粘度が低い点
でスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸の低
沸点エステルモノマー類が好ましい。
【0042】本発明の熱硬化性樹脂に、重合性不飽和樹
脂を添加使用する場合、通常、重合開始剤が用いられ、
例えばシクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5 −トリ
メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチロネキサ
ノンパーオキサイド、 1,1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)3,3,5 −トリメチルシクロヘキサン、クメンハイド
ロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイ
ルパーオキサイド、3,5,5 −トリメチルヘキサノイルパ
ーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−ミリス
チルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ
(2−エチルヘキサノエート)、t−ブチルパーオキシ
−3,5,5 −トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパー
オキシベンゾエート、クミルパーオキシオクトエートな
どの有機過酸化物が挙げられる。
【0043】熱硬化性樹脂及び熱硬化性接着剤(B)に
は、必要に応じて内部離型剤、顔料、充填剤等の添加剤
等を加えてもよく、繊維基材に含浸可能であればよい。
尚、固型の成分は、含浸に際して、必ずしも液状成分中
に溶解又は溶融させて用いる必要はなく、液状成分中に
粉末状で分散させて用いてもよい。必要に応じて加えら
れる充填剤は、要求性能、作業条件などにより適宜選択
されるが、例を挙げると水酸化アルミニウム、ケイ酸ア
ルミニウム、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム、硫酸
カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、石英粉
末、ケイ酸ジルコニウム、ガラス粉末、アスベスト粉
末、ケイ藻土、三酸化アンチモンなどがある。
【0044】他方、本発明で用いる繊維基材として代表
的なものを挙げれば、ガラス繊維、炭素繊維または芳香
族ポリアミド系繊維などであり、なかでもガラス繊維が
好ましい。これらのうちガラス繊維としては、その原料
面から、E−グラス、C−グラス、A−グラスおよびS
−グラスなどが存在しているが、本発明においてはいず
れの種類のものも適用できる。
【0045】これらの繊維質基材は、その形状によりロ
ービング、チョップドストランドマット、コンティニア
スマット、クロス、不織布、ロービングクロス、サーフ
ェシングマットおよびチョップドストランドがあるが、
上掲した如き種類や形状は、目的とする成形物の用途お
よび性能により適宜選択されるものであって、必要によ
っては二以上の種類または形状からの混合使用であって
もよい。なかでもクロス、不織布が好ましい。
【0046】本発明においては、上記した積層物を用
い、次の様にして積層板或いは多層積層板が製造され
る。得られた積層物を所定枚数重ね合わせて、必要に応
じて上面及び/または下面に金属箔を載置し、積層物中
の基材(A)が完全硬化である場合には所定硬化度(C
2)にある接着剤(B)が完全硬化となる様に、一方積
層物中の基材(A)が完全硬化でない所定硬化度(C
3)である場合には所定硬化度(C2)にある接着剤
(B)を完全硬化とすると共に完全硬化でない所定硬化
度(C3)である基材(A)をも完全硬化となる様に、
加熱加圧成形することによって積層板が得られる。積層
物が薄物で長尺のまま捲き取りが可能であれば、それを
連続的に送り出し、所定枚数重ね合わせてダブルベルト
プレスで連続的に硬化させる事も可能である。
【0047】多層積層板を製造する際の内層用回路板と
しては、公知のガラスエポキシ系積層板をサブトラクテ
ィブ法或いはアディティブ法等の公知の方法により電気
回路を形成したものが使用できる。多層積層板は、この
様な内層用回路板に上記本発明の積層物を接着絶縁層と
して重ね合わせて、積層物中の基材(A)が完全硬化で
ある場合には所定硬化度(C2)にある接着剤(B)が
完全硬化となる様に、一方積層物中の基材(A)が完全
硬化でない所定硬化度(C3)でる場合には所定硬化度
(C2)にある接着剤(B)を完全硬化とすると共に完
全硬化でない所定硬化度(C3)である基材(A)をも
完全硬化となる様に、加熱加圧成形することによって得
られる。
【0048】本発明の積層板あるいは多層積層板の製造
方法では、従来の様に複数枚用いるそれぞれのB化プリ
プレグがC化する時に発現する接着力は利用せず、潜在
性硬化剤を用いた熱硬化性接着剤の加熱硬化時(硬化度
(C2)から完全硬化つまり硬化度100とする際)に発現す
る接着力を積層物の層間接着に専ら利用するというもの
であり、これにより別段積層板や多層積層板の接着絶縁
層を形成する材料の全体を化学的に保存安定性が不十分
なB化状態としておく技術的必要性がなくなり、保存条
件が種々異なるプリプレグを用いても常に一定の優れた
耐吸水性・ハンダ耐熱性を有する積層板・多層積層板が
得られる様になった。
【0049】
【実施例】次ぎに実施例及び比較例を挙げて更に具体的
に説明する。尚、例中の部及び%は特に断りのない限り
すべて重量基準である。
【0050】製造例1(積層物の製造) エピクロン840(大日本インキ化学工業株式会社製、
以下、DIC製と略す。ビスフェノールAのジグリシジ
ルエーテル型エポキシ樹脂、エポキシ当量185)1
7.8部、エピクロン152(DIC製テトラブロモビ
スフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ樹
脂、エポキシ当量370)22.4部、エピクロンB−
650(DIC製、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸)
24.7部、デイックライトUE−7016(DIC
製、上記エピクロン152のジメタクリレート73%と
スチレン27%から成るエポキシビニルエステル樹脂)
28.0部、ベンゾイルパーオキサイド0.6部、スチ
レンモノマー4.8部および2−エチル−4−メチルイ
ミダゾール0.5部を混合して、均一透明な無溶剤型エ
ポキシ樹脂組成物(1)を調製した。得られた組成物
(1)を長尺の厚さ0.18mm、幅550mmのガラスク
ロスに含浸せしめ、上下両面を0.025mm厚のテドラ
ーフィルムで覆うと同時に一対のスクイーズロールで、
樹脂/ガラスクロスが45部/55部の比率になるよう
に調整し、連続的に搬送しながら110℃の加熱炉内で
4分間加熱した後、170℃のダブルベルトプレスで5
Kg/cm2の圧力で5分間加熱加圧し、冷却し、カバーフ
ィルムを取り去って、熱硬化性樹脂含浸基材(A−1)
を得た。このもののガラス転移温度(DMA法、Dyn
amicMechanical Analysis)は
147℃であり、熱硬化性樹脂含浸基材(A−1)を更
に170℃で1時間後硬化させたときのガラス転移温度
は168℃であった。また、このものを200℃で15
Kg/cm2の圧力で5分間加熱加圧しても、樹脂の流動は
認められなかった。
【0051】一方、ビスフェノールAとテトラブロモビ
スフェノールAとエピクロルヒドリンとを反応させて得
られる臭素含有率が21%でエポキシ当量が485なる
エポキシ樹脂のメチルエチルケトン溶液(不揮発分80
%)125部と、別にジシアンジアミド4部とジメチル
ベンジルアミン0.2部をメチルセロソルブ20部に溶
解させて得られた硬化剤溶液とを混合して熱硬化性接着
剤(B−1)を得た。
【0052】この熱硬化性接着剤(B−1)を、上記、
熱硬化性樹脂含浸基材(A−1)の上下両面に150g
/m2塗布し、140℃の加熱炉内で3分間、160℃
の加熱炉内で3分間加熱して冷却したのち500mm長に
裁断し、両端もトリミングして、500×500mmのタ
ックフリーな積層物(1)を得た。積層物の外側の2つ
の接着剤(B−1)層は全厚のそれぞれ12.5%、基
材(A−1)層は75%であった。
【0053】製造例2(積層物の製造) 厚さ0.18mm、幅550mmのガラスクロスの代わりに
厚さ0.10mm、幅550mmのガラスクロスを用い、熱
硬化性接着剤(B)の塗布量を150g/m2から11
0g/m2に代えた以外は製造例1と全く同様にして、
積層物(2)を得た。積層物の外側の2つの接着剤(B
−1)層は全厚のそれぞれ20%、基材(A−1)層は
60%であった。
【0054】実施例1 製造後、25℃、相対湿度60%で1日保管した4枚の
積層物(1)を重ね合わせ、更にその上下両面に0.0
35mm厚の銅箔を載置し、2枚の鏡面仕上げしたステン
レス板で挟み、更にクラフト紙で挟み、170℃の加熱
加圧成形機に仕込み、接触圧の状態で2分間、次いで、
40Kg/cm2の圧力で60分間加熱加圧し、 厚さ0.8
mmの積層板(1)を得た。得られた銅張積層板について
以下の方法で、加熱加圧成形時の樹脂流出率、吸水率お
よびハンダ耐熱性を測定した。
【0055】この結果を表−1に示した。 ・樹脂流出量(%)=(W0 −W1)/W0 ×100に
て算出し、平均値で示した。(ただし、W0 は加熱加圧
成形前の寸法500mm×500mmの積層物(1)4枚の
重量、W1 は加熱加圧成形して得た寸法500mm×50
0mmの積層板から銅箔重量を差し引いた重量である。) ・吸水率(%):25mm×50mmに切断した積層板の片
面の銅箔をエッチングで除去した後、120℃、2気圧
の条件で4時間プレッシャークッカーテストを行い、次
式に基いて吸水率を算出し、平均値で示した。
【0056】 (ただしWはテスト前の積層板重量、W′はテスト後の
積層板重量である。) ・ハンダ耐熱性:上記プレッシャークッカーテスト後の
積層板の表面の水分をよく拭き取った後、JIS C6
481に準じて測定し、以下の基準で評価した。 ○:ハンダ耐熱性不良の試料全くなし。 △:ハンダ耐熱性不良の試料1/4未満あり。 ×:ハンダ耐熱性不良の試料1/4以上あり。
【0057】実施例2 製造後、25℃、相対湿度60%で30日保管した4枚
の積層物(1)を重ね合わせ、更にその上下両面に0.
035mm厚の銅箔を載置し、2枚の鏡面仕上げしたステ
ンレス板で挟み、更にクラフト紙で挟み、170℃の加
熱加圧成形機に仕込み、接触圧の状態で2分間、次い
で、40Kg/cm2の圧力で60分間加熱加圧し、 厚さ
0.8mmの積層板(2)を得た。得られた銅張積層板に
ついて、加熱加圧成形時の樹脂流出率、吸水率およびハ
ンダ耐熱性を測定した。この結果を表−1に示した。
【0058】実施例3 製造後、25℃、相対湿度60%で90日保管した4枚
の積層物(1)を重ね合わせ、更にその上下両面に0.
035mm厚の銅箔を載置し、2枚の鏡面仕上げしたステ
ンレス板で挟み、更にクラフト紙で挟み、170℃の加
熱加圧成形機に仕込み、接触圧の状態で2分間、次い
で、40Kg/cm2の圧力で60分間加熱加圧し、 厚さ
0.8mmの積層板(3)を得た。得られた銅張積層板に
ついて、加熱加圧成形時の樹脂流出率、吸水率およびハ
ンダ耐熱性を測定した。この結果を表−1に示した。
【0059】比較例1 実施例1記載の均一透明な無溶剤型エポキシ樹脂組成物
(1)を長尺の厚さ0.18mm、幅550mmのガラスク
ロスに含浸せしめ、一対のスクイーズロールで調整し、
連続的に搬送しながら120℃の加熱炉内で6分間加熱
乾燥して、スチレンモノマーの除去とB−ステージ化を
行って、サイズ500×500mmのタックフリーな樹脂
/ガラスクロスが42部/58部の比率であるプリプレ
グ(1’)を得た。
【0060】製造後、25℃、相対湿度60%で1日保
管した4枚の該プリプレグ(1’)を重ね合わせ、更に
その上下両面に0.035mm厚の銅箔を載置し、2枚の
鏡面仕上げしたステンレス板で挟み、更にクラフト紙で
挟み、170℃の加熱加圧成形機に仕込み、接触圧の状
態で1分間、次いで、15Kg/cm2の圧力で60分間加
熱加圧し、 厚さ0.8mmの積層板(1’)を得た。得
られた銅張積層板について、加熱加圧成形時の樹脂流出
率、吸水率およびハンダ耐熱性を測定した。この結果を
表−1に示した。
【0061】比較例2 比較例1記載のプリプレグ(1’)を、25℃、相対湿
度60%で30日保管した後、4枚重ね合わせ、更にそ
の上下両面に0.035mm厚の銅箔を載置し、2枚の鏡
面仕上げしたステンレス板で挟み、更にクラフト紙で挟
み、170℃の加熱加圧成形機に仕込み、接触圧の状態
で1分間、次いで、15Kg/cm2の圧力で60分間加熱
加圧し、 厚さ0.8mmの積層板(2’)を得た。得ら
れた銅張積層板について、加熱加圧成形時の樹脂流出
率、吸水率およびハンダ耐熱性を測定した。この結果を
表−1に示した。
【0062】比較例3 ビスフェノールAとテトラブロモビスフェノールAとエ
ピクロルヒドリンとを反応させて得られる臭素含有率が
25%でエポキシ当量が685なるエポキシ樹脂のメチ
ルエチルケトン溶液(不揮発分75%)107部と、エ
ポキシ当量が210なるクレゾールノボラックエポキシ
樹脂19部と、別にジシアンジアミド2部とジメチルベ
ンジルアミン0.2部をメチルセロソルブ10部とジメ
チルホルムアミド35部に溶解させて得られた硬化剤溶
液とを混合して溶剤型エポキシ樹脂組成物(3’)を得
た。
【0063】得られた組成物(3’)を長尺の厚さ0.
18mm、幅550mmのガラスクロスに含浸せしめ、一対
のスクイーズロールで調整し、連続的に搬送しながら1
60℃の加熱炉内で4分間加熱した後、冷却裁断して、
サイズ500mm×500mm、樹脂/ガラスクロスが42
部/58部の比率であるプリプレグ(3’)を得た。
【0064】製造後、25℃、相対湿度60%で1日保
管した4枚の該プリプレグ(3’)を重ね合わせ、更に
その上下両面に0.035mm厚の銅箔を載置し、2枚の
鏡面仕上げしたステンレス板で挟み、更にクラフト紙で
挟み、170℃の加熱加圧成形機に仕込み、接触圧の状
態で2分間、次いで、40Kg/cm2の圧力で60分間加
熱加圧し、 厚さ0.8mmの積層板(3’)を得た。得
られた銅張積層板について、加熱加圧成形時の樹脂流出
率、吸水率およびハンダ耐熱性を測定した。この結果を
表−1に示した。
【0065】
【表1】 表−1からわかる通り、30日保管後の従来のB化プリ
プレグを用いて積層板を製造する場合、樹脂流出量が極
端に少なく(=保管中に熱硬化性樹脂成分の硬化反応が
著しく進行していることがわかる。)、30日保管後の
本発明に係る積層物を用いて得た積層板(実施例2)
は、30日保管後の従来のB化プリプレグを用いて得た
積層板(比較例2)に比べて、吸水性及びハンダ耐熱性
の両面に亘って、格段に優れていることがわかる。
【0066】実施例4 実施例1記載の均一透明な無溶剤型エポキシ樹脂組成物
(1)を4枚の長尺の厚さ0.18mm、幅550mmのガ
ラスクロスそれぞれに含浸せしめ、積層し、上下両面を
0.035mm厚の銅箔で覆うと同時に一対のスクイーズ
ロールで、樹脂/ガラスクロスが43部/57部の比率
になるように調整し、連続的に搬送しながら110℃の
加熱炉内で4分間加熱した後、170℃のダブルベルト
プレスで15Kg/cm2の圧力で10分間加熱加圧し、冷
却後裁断して、サイズ500×500mmの積層板(4)
を得た。
【0067】この積層板(4)の両面をドライフィルム
レジスト法で処理し、所望の電気回路を形成した後、苛
性ソーダ、亜塩素酸ソーダ、燐酸三ソーダからなる処理
液で処理し、銅箔面に酸化処理を施した。次いで120
℃で40分間乾燥し、内層用回路板とした。
【0068】製造例1記載の積層物(1)と製造例2記
載の積層物(2)を1枚づつ、積層物(2)が内側にな
るように、上記の内層用回路板の上下両面に載置し、更
に上下に0.035mm厚の銅箔を載せ、2枚の鏡面仕上
げしたステンレス板で挟み、更にクラフト紙で挟み、1
70℃の加熱加圧成形機に仕込み、40Kg/cm2の圧力
で60分間加熱加圧し、 厚さ1.6mmの4層積層板
(4)を得た。得られた4層積層板について、加熱加圧
成形時の樹脂流出率、吸水率およびハンダ耐熱性を測定
した。この結果を表−2に示した。
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】本発明では、いわゆるB化プリプレグの
代わりに、B化状態を越えた硬化状態にありかつ溶融流
動しない熱硬化性樹脂含浸繊維基材層上に完全硬化して
いない潜在性硬化剤を用いた熱硬化性接着剤が塗布され
た積層物を用いるので、従来のB化プリプレグを用いて
得られた積層板や多層積層板の耐吸水性やハンダ耐熱性
等の性能が大きくバラつくという様な欠点が生じる余地
がないという格別顕著な効果を奏するものである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱硬化性樹脂を繊維基材に含浸し、所定温
    度(T1)では溶融流動しない様に完全硬化又は完全硬
    化ではない所定硬化度(C1)まで硬化させた熱硬化性
    樹脂含浸基材(A)に、潜在性硬化剤を用いた熱硬化性
    接着剤(B)を塗布し、当該接着材(B)が塗布された
    基材(A)上の接着剤(B)を、基材(A)が完全硬化
    である場合は所定温度(T1)以下の温度で、完全硬化
    ではない所定硬化度(C2)まで硬化させ、一方基材
    (A)が完全硬化ではない所定硬化度(C1)である場
    合は所定温度(T1)以下の温度で、基材(A)上の接
    着剤(B)を所定硬化度(C2)とすると共に基材
    (A)を完全硬化又は所定硬化度(C1)より硬化度が
    大きいが完全硬化ではない所定硬化度(C3)となる様
    に加熱硬化せしめた、完全硬化していない接着剤(B)
    層と完全硬化又は前記所定硬化度(C3)の基材(A)
    層とを有する積層物を、所定枚数重ね合わせて、積層物
    中の基材(A)が完全硬化である場合には所定硬化度
    (C2)にある接着剤(B)が完全硬化となる様に、一
    方積層物中の基材(A)が完全硬化でない所定硬化度
    (C3)である場合には所定硬化度(C2)にある接着
    剤(B)を完全硬化とすると共に完全硬化でない所定硬
    化度(C3)である基材(A)をも完全硬化となる様
    に、加熱加圧成形することを特徴とする積層板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】熱硬化性樹脂を繊維基材に含浸し、所定温
    度(T1)では溶融流動しない様に完全硬化又は完全硬
    化ではない所定硬化度(C1)まで硬化させた熱硬化性
    樹脂含浸基材(A)に、潜在性硬化剤を用いた熱硬化性
    接着剤(B)を塗布し、当該接着材(B)が塗布された
    基材(A)上の接着剤(B)を、基材(A)が完全硬化
    である場合は所定温度(T1)以下の温度で、完全硬化
    ではない所定硬化度(C2)まで硬化させ、一方基材
    (A)が完全硬化ではない所定硬化度(C1)である場
    合は所定温度(T1)以下の温度で、基材(A)上の接
    着剤(B)を所定硬化度(C2)とすると共に基材
    (A)を完全硬化又は所定硬化度(C1)より硬化度が
    大きいが完全硬化ではない所定硬化度(C3)となる様
    に加熱硬化せしめた、完全硬化していない接着剤(B)
    層と完全硬化又は前記所定硬化度(C3)の基材(A)
    層とを有する積層物を、内層用回路板と重ね合わせて、
    積層物中の基材(A)が完全硬化である場合には所定硬
    化度(C2)にある接着剤(B)が完全硬化となる様
    に、一方積層物中の基材(A)が完全硬化でない所定硬
    化度(C3)である場合には所定硬化度(C2)にある
    接着剤(B)を完全硬化とすると共に完全硬化でない所
    定硬化度(C3)である基材(A)をも完全硬化となる
    様に、加熱加圧成形することを特徴とする多層積層板の
    製造方法。
  3. 【請求項3】熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂と多塩基酸
    無水物とを必須成分としてなるものである請求項1また
    は2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】熱硬化性接着剤が、エポキシ樹脂と潜在性
    硬化剤とを必須成分としてなるものである請求項1また
    は2記載の製造方法。
  5. 【請求項5】潜在性硬化剤が、ジシアンジアミド又はノ
    ボラック型フェノール系樹脂である請求項4記載の製造
    方法。
  6. 【請求項6】熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂と多塩基酸
    無水物とを必須成分としてなるものであり、かつ熱硬化
    性接着剤が、エポキシ樹脂とジシアンジアミドとを必須
    成分としてなるものである請求項1または2記載の製造
    方法。
  7. 【請求項7】熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂と、多塩基
    酸無水物と、さらに重合性不飽和樹脂とからなるもので
    ある請求項1または2記載の製造方法。
  8. 【請求項8】熱硬化性樹脂を繊維基材に含浸し、所定温
    度(T1)では溶融流動しない様に完全硬化又は完全硬
    化ではない所定硬化度(C1)まで硬化させた熱硬化性
    樹脂含浸基材(A)に、潜在性硬化剤を用いた熱硬化性
    接着剤(B)を塗布し、当該接着材(B)が塗布された
    基材(A)上の接着剤(B)を、基材(A)が完全硬化
    である場合は所定温度(T1)以下の温度で、完全硬化
    ではない所定硬化度(C2)まで硬化させ、一方基材
    (A)が完全硬化ではない所定硬化度(C1)である場
    合は所定温度(T1)以下の温度で、基材(A)上の接
    着剤(B)を所定硬化度(C2)とすると共に基材
    (A)を完全硬化又は所定硬化度(C1)より硬化度が
    大きいが完全硬化ではない所定硬化度(C3)となる様
    に加熱硬化せしめた、完全硬化していない接着剤(B)
    層と完全硬化又は前記所定硬化度(C3)の基材(A)
    層とを有する積層物からなる、多層積層板接着絶縁層用
    積層物。
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