JPH0663054U - カテーテルのガイドワイヤー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カテーテルの挿入深度が明瞭に確認でき、表
面の摩擦抵抗の小さいカテーテルのガイドワイヤーを提
供する。 【構成】 カテーテルを挿入するためのガイドワイヤー
であって，表面に透明なフッ素樹脂のコーティング層が
形成され、上記コーティング層の下に長さを表示するマ
ークが施されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、カテーテルのガイドワイヤーに関し、詳しくはカテーテルを血管内 等に留置する際に目的位置へ確実に案内するためのガイドワイヤーに関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

ガイドワイヤーを患者の皮膚組織に挿通し、カテーテルを案内して血管内に挿 入して目的位置へ押し進める場合、ガイドワイヤーと皮膚組織、あるいはガイド ワイヤーと血管内壁の間の摩擦抵抗は非常に大きく、ガイドワイヤーを挿入中に それ以上押し進めることが困難になることがあり、また、患者の血管内壁を損傷 することがあった。また、ガイドワイヤーの挿入深度が挿入中に不明確であると 、目的位置を逸脱して好ましくない状態でカテーテルを留置せざるを得ないこと があった。

【０００３】 従来、このガイドワイヤーの挿入深度が明確に判るようにガイドワイヤーの表 面に長さを表示する印刷を施したガイドワイヤーが提案されている。また、挿入 時の摩擦抵抗を低減したガイドワイヤーも種々提案されている。

【０００４】 このような摩擦抵抗を低減したガイドワイヤーとしては、（１）ガイドワイヤ ーを構成する基材としてフッ素樹脂等の表面物性が他の物質と比較的親和性の低 い低摩擦材料からなるもの、（２）前記の様な低摩擦材料をガイドワイヤー表面 にコーティングしたもの、（３）ガイドワイヤー表面にシリコーンオイル、オリ ーブオイル、グリセリン、キシロカインゼリー等の潤滑剤を塗布したもの、（４ ）ガイドワイヤーの基材表面に比較的親水性の高い高分子物質を結合し、湿潤時 に潤滑性を与えるようにしたもの等がある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、長さが表示されかつ摩擦抵抗の小さいガイドワイヤーを得よう とする場合、（１）又は（２）のような表面が低摩擦材料で形成されたガイドワ イヤーは、その表面に着色剤によって長さを表示するためのマークを印刷しても 、着色剤が剥離し易く、実用的なものは得られなかった。また、（３）の潤滑材 を塗布したガイドワイヤーは、潤滑剤が徐々に脱落することにより潤滑性を得る ものであるので、患者に挿入した際に潤滑剤が流失するために持続性がなく、ま た、潤滑剤の流失によって患者の体内に異物として残ることになるので、好まし くない。さらに、（４）の親水性高分子物質を表面に結合させたガイドワイヤー は、ガイドワイヤーを予め水に浸漬して表面を十分に湿潤させておく必要がある ので、その製作に手間がかかる等の問題があった。 そこで、本考案は、かかる問題を解消するものであって、カテーテルの挿入深 度が明瞭に確認でき、表面の摩擦抵抗の小さいカテーテルのガイドワイヤーを提 供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

すなわち、本考案は、カテーテルを挿入するためのガイドワイヤーであって、 表面に透明なフッ素樹脂のコーティング層が形成され、かつ、上記コーティング 層の下に長さを表示するマークが施されていることを特徴とするカテーテルのガ イドワイヤーを要旨とするものである。

【０００７】 以下、本考案を詳細に説明する。 まず、本考案のガイドワイヤーの形状は、直線状のコアワイヤーのみのもの、 コアワイヤーの周上に螺旋状にスプリングワイヤーが巻かれているもの、先端が Ｊ字型に加工されているもの等が挙げられる。

【０００８】 ガイドワイヤーの基材には、通常、鉄系超弾性金属材料が用いられる。この鉄 系超弾性金属とは比較的高い弾性をもった鉄を含む合金であり、例えばＦｅ−Ｐ ｔ系、Ｆｅ−Ｐｄ系、Ｆｅ−Ｎｉ−Ｃｏ−Ｔｉ系、Ｆｅ−Ｎｉ−Ｃ系、Ｆｅ−Ｍ ｎ−Ｓｉ系、Ｆｅ−Ｃｒ−Ｍｎ系、Ｆｅ−Ｃｒ−Ｍｎ−Ｓｉ系、Ｆｅ−Ｃｒ−Ｎ ｉ−Ｍｎ−Ｓｉ系、Ｆｅ−Ｃｒ−Ｎｉ−Ｍｎ−Ｓｉ−Ｃｏ系等が挙げられる。

【０００９】 次に、本考案のガイドワイヤーは、その表面に長さを表示するマークが施され ているものであるが、このマークは例えば印刷等によってガイドワイヤーの長手 方向に所定の間隔で施される。ガイドワイヤーの長さの表示に用いられる印刷は 、その上に後述の透明なフッ素樹脂のコーティング層を施した時に流れ落ちなけ ればいかなる着色剤を用いてもよく、印刷方法についても通常採用されている方 法を用いればよい。また、着色剤に硫酸バリウム、タングステン酸ビスマス、酸 化ビスマス等の造影剤を混合してあってもよい。

【００１０】 透明なフッ素樹脂のコーティング層は、長さを表示するマークの上から施され るが、このコーティング層を形成するためのフッ素樹脂としては、ポリテトラフ ルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン− エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフ ルオロプロピレン共重合体等が挙げられるが、前記弾性金属材料表面にコーティ ング可能であって、コーティング後、ほぼ透明で下地が見えるものならばいかな るものでもよい。

【００１１】 また、コーティングの方法についても、水分散型、有機溶剤分散型あるいは粉 体等を用いて、ガイドワイヤーに均一に塗布した後、高温で樹脂を融着させる等 の通常採用されているフッ素樹脂のコーティング方法であって、ピンホールや剥 離等の欠陥を生じなければいかなる方法でもよい。

【００１２】 図１及び図２は本考案のガイドワイヤーの一例を示すものであって、ガイドワ イヤー本体１の表面に所定の間隔で長さを表示するマーク２が施されており、マ ーク２の上からガイドワイヤー本体１の全面にわたって透明なフッ素樹脂のコー ティング層３が形成されている。

【００１３】

【実施例】 以下、本考案を実施例によってさらに具体的に説明する。 実施例１ 図１及び図２に示す形状のＦｅ−Ｃｒ−Ｎｉ−Ｍｎ−Ｓｉ系金属ワイヤーの長 手方向に５cm間隔で、長さを表示するマークを熱硬化型のインク（7251 BLACK、 MARKEM社製）を用いて印刷した。次いで、このワイヤーを加熱溶融したテトラフ ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂を満たした浴槽に浸漬 し、ディッピング法にてコーティング層を施した。

【００１４】 得られたガイドワイヤーは、コーティング層を通してガイドワイヤー本体の表 面に印刷された長さを表示するマークを十分読み取ることができた。 図３に示す装置を用いて、このフッ素樹脂をコーティングした本考案のガイド ワイヤーの摩擦抵抗を測定した。得られた結果を表１に示す。 比較のために、コーティング層が施されていない上記と同様の金属ワイヤー及 びシリコーンオイルを表面に塗布した金属ワイヤーの摩擦抵抗を同様に測定した 。得られた結果を表１に示す。

【００１５】 摩擦抵抗は図３に示す装置を用いて、ＪＩＳ−Ｐ−8147に準じて以下のように して測定した。 まず、図３において、６cm×10cm、重量42ｇの硝子板４にガイドワイヤー５を ソリのように固定した。次に、水平板６の上に摩擦体７（ポリウレタンの平滑な シート又は蒸留水を含んだ吸水紙）を載せ、その上にガイドワイヤー５を固定し た硝子板４を載せ、さらに、この硝子板の上に 100ｇのおもり８を載せた。硝子 板４にフツク９を取り付け、金属線10を結び付けた。

【００１６】 金属線10は、水平板６に取り付けられた滑車12及び定速引張試験機11の上部固 定ロードセル13に取り付けられた滑車14を介して、定速引張試験機11の下部可動 端15に固定した。定速引張試験機により硝子板４を図中右方向から20mm/minの速 度で引張った時の荷重を摩擦力として計測した。最初にガイドワイヤー５が動き 出した時の最大荷重を静止摩擦力として、静止摩擦力Ｆμを硝子板４とおもり８ による垂直方向の荷重Ｆｎで除したものを静止摩擦係数μ＝Ｆμ／Ｆｎとして計 算した。

【００１７】 その結果、フッ素樹脂のコーティング層を施した本考案のガイドワイヤー及び シリコーンオイルを塗布した金属ワイヤーは、無加工の金属ワイヤーに比べて摩 擦係数は極めて小さく、十分な潤滑性があった。さらにこの摩擦試験を繰り返し 行ったところ、フッ素樹脂のコーティング層を施した本考案のガイドワイヤー及 び無加工の金属ワイヤーは、摩擦抵抗に変化はなかったが、シリコーンオイルを 塗布した金属ワイヤーは、シリコーンオイルの脱落により徐々に摩擦抵抗が増大 した。

【００１８】

【考案の効果】

本考案のガイドワイヤーは、長さを表示するマークが透明なフッ素樹脂のコー ティング層の下に施されているので、カテーテルを案内して挿入する際の挿入深 度の視認が容易であり、さらに、上記マークが剥離するおそれがないものであり 、しかも、表面に透明なフッ素樹脂のコーティング層が形成されているので、挿 入時の摩擦抵抗が小さく、ガイドワイヤーを挿入する際の操作性が向上するもの である。

【表１】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のガイドワイヤーの一例を示す平面図で
ある。

【図２】本考案のガイドワイヤーの一例を示す断面図で
ある。

【図３】ガイドワイヤーの摩擦抵抗の測定方法を示す斜
視図である。

【符号の説明】

１ ガイドワイヤー本体 ２ 長さを表示するマーク ３ 透明なフッ素樹脂のコーティング層 ４ 硝子板 ５ ガイドワイヤー ６ 水平板 ７ 摩擦体 ８ おもり ９ フツク 10 金属線 11 定速引張試験機 12 滑車 13 上部固定ロードセル 14 滑車 15 下部可動端

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 酒井 慎一 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)考案者 大橋 正明 大阪府大阪市中央区久太郎町４丁目１番３ 号 ニチカ株式会社大阪本社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 カテーテルを挿入するためのガイドワイ
   ヤーであって、表面に透明なフッ素樹脂のコーティング
   層が形成され、かつ、上記コーティング層の下に長さを
   表示するマークが施されていることを特徴とするカテー
   テルのガイドワイヤー。