JPH11504829A - 減摩面を有する管内装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、細かく砕かれた粒子を有する頑強な減摩コーティングを表面に備えたガイドワイヤを含む。本発明のコーティングは、約０．００００２インチ以下の厚さ、約０．０３０以下の摩擦係数、及び約１．０モース以上の硬度を有する。表面コーティングはタングステン二硫化物粒子の単分子層を有する。本発明のガイドワイヤは、末端部に少なくとも一つのテーパ部と平坦な末端部とを有する柔軟性のある細長いコア部材を備えた優れた末端形状を有する。末端部は、末端方向に向けて減少する横断面積を有する２つ以上の平坦領域を備える。柔軟性のあるヘリカルコイルはコア部材に取り付けられ、３つ以上の領域を有し、各領域は末端方向に増加するコイル間隔を有する。ヘリカルコイルに隣接するガイドワイヤの全長は本発明の減摩粒子面コーティングを有する。

Description

【発明の詳細な説明】 減摩面を有する管内装置 発明の背景 本発明は、減摩コーティング面を有する細長い管内装置の分野に関し、特に、 優れた末端デザインを有する低摩擦ガイドワイヤに関する。 ガイドワイヤは当業界では周知で、それは弛まぬ改良の対象であった。改善の 一方向はガイドワイヤの表面摩擦を減少して該ガイドワイヤの挿入と前進を容易 にすると共にそれに取り付けられた導管装置の挿入を容易にすることに向けられ ていた。改良の多くはガイドワイヤの表面に低摩擦の高分子材料を貼りつけるこ とに向けられていた。例として、ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）や種 々の親水性ポリマー（ポリシロキサンなど）がある。 ガイドワイヤに加えて、実質的にすべての管内装置は減摩面を有することによ り所望の管内用途について挿入と誘導を容易にできるという利点が得られる。ま た、摩擦を減少することにより、これらの装置を特に冠状動脈等の血管に挿入す ることにより生じる管内の損傷が減少する。大抵、マルチ式管内装置は、互いに 同軸又は回転移動を必要とする血管形成又はアテレクトミーのような処置中に使 用される。そのような場合、装置の外表面はそれが他の管内装置又は脈管構造の 内部と影響し合うか否かに拘わらず、また他の管内装置を受ける装置の管は、減 摩面の候補である。ガイドワイヤと共に、低摩擦の管内装置を得るために従来の ポリマー層に色々なことがなされてきた。従来の技術はある程度の成功は収めた が、ポリマー層を使用することによる多くの欠点があった。一般に、細長い管内 装置は著しく長く、小さな外径を有する。例えば、典型的なガイドワイヤは長さ １７５ｃｍで、長さ３００ｃｍ以上の場合もあり、外径は０．０１０インチと０ ．０５０インチの間である。そのような装置に均一なコーティングを設けること は技術的に困難で、しかも相応に高価である。また、この層は非常に摩耗や損傷 をし易いことから、ポリマー材料からなる層を有する管内装置は取り扱いに注意 を 要する。 従来の技術に関連した欠点の無い頑強で有効な減摩面を有する管内装置の要請 が依然として存在している。特に、改良された末端部を有する低摩擦ガイドワイ ヤが必要である。この発明はこれら及びその他の必要性を満足するものである。 発明の概要 本発明は、細かく砕かれた減摩粒子を有する頑強な減摩コーティングを表面に 備えた細長い管内装置に関する。減摩粒子はタングステン二硫化物、モリブデン 二硫化物などからなる群から好適に選択される。本発明のコーティングは、約０ ．００００２インチ以下の厚さを有し、単分子の層を形成している。摩擦係数は 約０．０３０以下であるのが好ましい。硬度は約１．０モース以上である。その 表面コーティングは粒子状のタングステン二硫化物からなる単分子層を有する。 本発明のコーティングは従来のポリマーコーティングよりも著しく優れた特性 を提供する。一つの重要な利点は、減摩粒子のコーティングがポリマーコーティ ングよりも遥かに薄いということである。この減摩粒子は基材と共に不可逆的な 接着材を形成するが、相互に接着することはない。従って、それらは極めて均一 な単分子層を形成する。上記粒子層は頑強で比較的硬いので、それらは一般的な ポリマーコーティングよりも耐久性がある。粒子コーティングはまたポリマーコ ーティングと少なくとも同等の摩擦係数を提供する。 頑強な減摩粒子からなる表面コーティングに加えて、本発明のガイドワイヤは 、捻り強度と軸方向強度を維持しながら、柔軟性を最大化するように設計された 優れた末端形状を含む。このガイドワイヤは柔軟な細長いコア部材を有し、この コア部材はその末端に少なくとも一つのテーパ断面を有すると共に平坦な末端部 を有する。その末端部は、末端方向に減少する断面積を有する２以上の平坦領域 を有する。ガイドワイヤの最大径は約０．０３インチ以下で、好ましくは約０． ０１５インチ以下である。 好適な材料からなる柔軟なヘリカルコイルはコア部材に巻かれ、該コア部材に 取り付けてある。ヘリカルコイルは３つ以上の明確な領域を有し、各領域は大き な柔軟性を得るために末端方向に増加するコイル間隔を有する。コイルの最も末 端領域は半田などの適当な手段により上記末端部に固定され、先端部に丸いプラ グを形成する。コイルの最も末端は半田等の適当な手段によりコア部材に固定さ れる。 可変コイル間隔を有する末端形状は、適度な軸方向強度と捻り強度を維持しな がら、比較的硬い末端断面から非常に柔軟な末端断面へとスムーズに変化する。 平坦な末端部の長方形断面が該長方形断面の主寸法方向に垂直な方向にコイルの 柔軟性を偏向する。 ヘリカルコイル近傍のガイドワイヤの全長は本発明の減摩粒子表面コーティン グを有する。その他、ヘリカルコイル近傍のガイドワイヤ部分は、減摩粒子層の 下に、従来の減摩ポリマーからなる別の層を有する。 図面の簡単な説明 図１は本発明の特徴を具体化したガイドワイヤの一部切断側面図。 図２は本発明に係る管内装置にコーティングを塗布するプロセスを表した概略 図。 発明の詳細な説明 図１は本発明の特徴を備えたガイドワイヤ１０を示し、概略、このガイドワイ ヤは細長いコア部材１１と平坦な末端部１２とを有する。ガイドワイヤ１０の末 端部は優れた可変先端１３を有し、これは末端部１２と柔軟性のあるヘリカルコ イル１４とを有する。ヘリカルコイル１４はコア部材１１と図１１に示す末端部 １２、又は末端部１２だけに取り付けてある。可変先端１３の末端は、ヘリカル コイル１４を末端部１２に固定する半田プラグによって好適に形成された丸い端 部１５を有する。 円筒部１１は頑強な減摩粒子表面コーティング１６を有する。頑強な粒子コー ティング１６は、タングステン二硫化粒子の単分子層を有する。一般に、頑強な 粒子コーティング１６はコア部材１１の長手方向に伸びている。ある実施形態で は、ヘリカルコイル１４に隣接するガイドワイヤ１０の断面は、頑強な粒子コー ティング１６上に、従来の低摩擦ポリマー１７からなる別のコーティングを備え てもよい。低摩擦ポリマーは、カリフォルニア州サンタ・クララのアドバンスト ・アージオバスキュラー・システムズ・インコーポレイティドに登録されたミク ログライド（Ｍｉｃｒｏｇｌｉｄｅ：商標名）のようなポリシロキサン、ＰＴＦ Ｅ、又はその他の適当な減摩面であってもよい。本実施形態では、ヘリカルコイ ル１４の背後から始まるガイドワイヤ１０の末端４０ｃｍは、頑強なコーティン グ１６の下に低摩擦ポリマー１７の別のコーティングを有する。一般的に、ヘリ カルコイル１４は摩擦減少用コーティングを備えていない。その理由は、摩擦が 大きくなるほど、容器接合点で容器壁に対してガイドワイヤ１０の端部を固定す ることによりガイドワイヤの配置が促進されるからである。 末端部１２は一般に細長いコア部材１１の末端を平坦にすることで形成される 。末端部１２は複数の領域１２ａ、１２ｂ及び１２ｃを有する。これらの領域は 末端方向に減少する長方形の横断面積を有する。領域１２ａは長さ約０．４ｃｍ 、断面の主寸法が約０．００２インチである。領域１２ｂは長さ約０．２ｃｍで 、断面の主寸法が約０．００１５インチである。領域１２ｃは長さ約１．４ｃｍ で、断面の主寸法が約０．００１インチである。他の実施形態では、末端部１２ は少なくとも２つの領域を有し、これらは末端方向に減少する断面積を有する。 平坦な形状は可変先端１３の柔軟性を長方形断面の主寸法と直交する方向に偏向 するのに役立つ。断面積の減少により、末端部はその長手方向に沿った柔軟性に ついてスムーズな変化を含む種々の柔軟性を備えることができる。 ヘリカルコイル１４は複数の領域１４ａ、１４ｂ、１４ｃ、１４ｄ及び１４ｅ を有し、これらは異なるコイル間隔を有する。本実施形態では、領域１４ａと１ ４ｅは、隣接するコイルが接触するように、きっちりと詰まった配置を有する。 領域１４ｂ、１４ｃ及び１４ｄは隣接するコイル間に次第に大きな間隔を有し、 本実施形態では、領域１４ａは非伸張長の１０パーセント伸びている。領域１４ ｃと１４ｄはそれぞれ２０パーセント、３０パーセントの伸び率を有する。その 他の実施形態では、ヘリカルコイルは、さらに柔軟で且つより損傷することのな い末端１３を得るために、末端方向にコイル間隔を広げた少なくとも３つの領域 を有する。領域１４ａと１４ｅはガイドワイヤ１０の末端に固定されている。領 域１４ａは平坦な末端部１２の近傍のコア部材１１に取り付け、領域１４ｅは丸 い端部１５を形成する末端部１２ｃの末端に取り付けるのが好ましい。ヘリカル コイル１４は任意の適当な方法で取り付けてよく、一般には半田が適当である。 この形状はヘリカルコイル１４を介してトルクを伝達するのに有利である。ヘリ カルコイル１４の間隔を次第に大きく開けた複数の領域により、先端１３は優れ た変形性を得ることができると共に、広範囲な柔軟性が得られ、一般に従来のコ イルデザインよりも大きな柔軟性が与えられる。 冠状動脈に適用する場合、ガイドワイヤ１０は約１３０ｃｍと３００ｃｍの間 の長さ、好ましくは約１７５ｃｍの長さを有する。この実施形態では、コア部材 １１の末端２から４ｃｍは連続的にテーパが付けられている。ヘリカルコイル１ ４は約１から１０ｃｍ、好ましくは１．５から３．５ｃｍの長さを有し、それは ０．０１から０．０２インチの外径を有し、末端部１２は約２ｃｍの長さを有す る。 一つの好適な頑強な粒子コーティング１６は、ドクロナイト（商標名）の形を したタングステン二硫化物からなる。このドクロナイトは、カリフォルニア州サ ンタ・クララ、ノースウエスト、ドクロナイト・ドライ・ルーベから入手できる 。ドクロナイトは基材の分子構造に乗り移り、金属及び多くのプラスチックと一 緒に不可逆性の接着を形成し、それ自身に接着することはない。それは約０．０ ０００２インチの非常に独特なフィルムを形成し、それは約０．００００１５イ ンチの厚みまで磨かれる。 ドクロナイト（商標名）を管内装置に塗布するには、石油ナフサを有する一つ の浴とイソプロピルアルコールを有する２つの浴とを用いて装置をクリーニング する工程と、上記装置にアルミニウム酸化物の光学砥粒を噴射して表面の酸化物 を除去する工程と、ドクロナイト（商標名）上に空気キャリアを噴射する工程を 有する。過剰なドクロナイト（商標名）はその後の超音波浴で除去される。図２ は上記工程の概略図を示す。 本発明は冠状動脈用ガイドワイヤに提供されるタングステン二硫化コーティン グを有する好適な実施形態を主に参照して説明した。しかし、モリブデン二硫化 物のような種々の無機の減摩コーティングを使用することもできる。他の変更や 改良を本発明に行ってもよく、本発明の範囲から逸脱することなく、そのような コーティングは電気外科装置、アテレクトミー・カテーテルなどを含む種々の管 内製品に適用できる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 微細に砕かれた減摩粒子で形成された頑強な減摩コーティングを有する表 面を備えた細長い管内装置。 ２． 上記減摩コーティングは０．００００２インチ以下の厚さを有する請求項 １の管内装置。 ３． 上記減摩コーティングは約０．０３０以下の摩擦係数を有する請求項１の 管内装置。 ４． 上記減摩コーティングは少なくとも約１．０モースの硬度を有する請求項 １の管内装置。 ５． 上記減摩粒子は約０．５ミクロン以下である請求項１の管内装置。 ６． 上記減摩コーティングは減摩粒子からなる単分子の層を有する請求項１の 管内装置。 ７． 上記減摩粒子は、タングステン二硫化物とモリブデン二硫化物からなる群 から選択された減摩粒子である請求項６の管内装置。 ８． ａ）基端と末端、さらに微細に砕かれた減摩粒子で形成された頑強で減摩 コーティング面を有する細長いコア部材と、 ｂ）基端と末端とを有し、少なくとも上記コア部材の末端に配置された柔軟な ヘリカルコイルと、を備えたガイドワイヤ。 ９． 上記頑強な減摩コーティングはタングステン二硫化物とモリブデン二硫化 物からなる群から選択されたものである請求項８のガイドワイヤ。 １０． 上記コア部材上の上記頑強なコーティング上に別の低摩擦層を有する請 求項９のガイドワイヤ。 １１． 上記ヘリカルコイルはまた少なくとも３つの領域を有し、各領域は上記 末端に向かって増加するコイル間隔を有する請求項８のガイドワイヤ。 １２． 第１の領域は５から１５％の間の伸びを有し、第２の領域は１０から３ ０％の間の伸びを有し、第３の領域は２０から４０％の伸びを有する請求項１１ のガイドワイヤ。 １３． 上記細長いコア部材は少なくとも２つの領域を有する平坦な末端部を有 し、各領域は上記末端部に向けて減少する横断面積を有する請求項８のガイドワ イヤ。 １４． 約０．００３と０．００１５インチの間の主断面寸法を有する第１のコ ア部分領域と、約０．００２と０．０００５インチの間の主断面寸法を有する第 ２の領域とを有する請求項１３のガイドワイヤ。 １５． 上記ヘリカルコイルはさらに少なくとも３つの領域を有し、各領域は上 記末端に向けて増加するコイル間隔を有し、上記コア部材は少なくとも２つの領 域を有する平坦な末端部を有し、各領域は上記末端に向けて減少する横断面積を 有する請求項８のガイドワイヤ。 １６． ａ）基端と末端、及び平坦な末端部を有する細長いコア部材と、 ｂ）基端と末端、及び少なくとも３つの領域であって各領域は上記末端に向か って増加するコイル間隔を有し、上記コア部上に配置された柔軟性のあるヘリカ ルコイルと、を備えたガイドワイヤ。 １７． 第１のヘリカルコイル領域は５から１５％の間の伸びを有し、第２のヘ リカルコイル領域は１０から３０％の間の伸びを有し、第３のヘリカルコイル領 域は２０から４０％の伸びを有する請求項１６のガイドワイヤ。 １８． 上記平坦な末端部は少なくとも２つの領域を有し、各領域は上記末端に 向けて減少する横断面積を有する請求項１６のガイドワイヤ。 １９． 上記第１の末端部領域は約０．０１５と０．００３０インチの間の主断 面寸法を有する第１の末端部領域と、約０．０００５と０．００２インチの間の 主断面寸法を有する第２の末端部領域とを有する請求項１８のガイドワイヤ。 ２０． 上記コア部材は頑強な粒子の減摩コーティングを有する請求項１６のガ イドワイヤ。 ２１． 上記頑強な減摩粒子のコーティングは、タングステン二硫化物とモリブ デン二硫化物からなる群から選択されている請求項２０のガイドワイヤ。 ２２． ａ）基端と末端、及び少なくとも２つの領域であって各領域は上記末端 に向かって減少する横断面積を有する領域を含む平坦な末端部とを有するコア部 材と、 ｂ）上記コア部上に配置された基端と末端とを有する柔軟性のヘリカルコイル と、を備えたガイドワイヤ。 ２３． 上記第１の末端部領域は約０．０１５と０．００３０インチの間の主断 面寸法を有する第１の末端部領域と、約０．０００５と０．００２インチの間の 主断面寸法を有する第２の末端部領域とを有する請求項２２のガイドワイヤ。 ２４． 上記ヘリカルコイルは少なくとも３つの領域であってそれぞれが上記末 端に向かって増加するコイル間隔を有する領域を備えた請求項２３のガイドワイ ヤ。 ２５． 第１のヘリカルコイル領域は５から１５％の間の伸びを有し、第２のヘ リカルコイル領域は１０から３０％の間の伸びを有し、第３のヘリカルコイル領 域は２０から４０％の伸びを有する請求項２４のガイドワイヤ。 ２６． 上記コア部材は頑強な粒子の減摩コーティングを有する請求項２２のガ イドワイヤ。 ２７． 上記頑強な減摩粒子のコーティングは、タングステン二硫化物とモリブ デン二硫化物からなる群から選択されている請求項２６のガイドワイヤ。 ２８． 管内装置の表面の摩擦を減少する方法は、微細に砕かれた頑強な減摩粒 子を上記表面に噴射する工程を有する。 ２９． 上記減摩粒子はタングステン二硫化物の粉末である請求項２８の方法。 ３０． ａ）上記管内装置の表面をクリーニングし、上記微細に砕かれた頑強な 減摩粒子を上記表面に噴射する前に、砥粒を噴射して上記表面から酸化物を除去 する工程と、 ｂ）上記管内装置を液体浴に浸けて過剰な減摩粒子を除去し、上記微細に砕か れた頑強な減摩粒子を上記表面に噴射した後、上記装置に超音波エネルギーを与 える工程を有する請求項２８の方法。 ３１． 上記過剰な減摩粒子を除去した後に上記表面を磨く工程を有する請求項 ３０の方法。