JPH066232U - ロール状に巻装されたシート状物の収納ケース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蓋片を常に閉蓋状態に保持でき、シート状物
の引き出し，切断等の使い勝手が良く、シート状物切刃
を含むケース全体が紙製であって、手指を傷つけず、完
全なリサイクルが可能な、ロール状に巻装されたシート
状物の収納ケースを提供すること。 【構成】 ケース主体１の後壁６に連続する蓋片７の左
右の側片１４，１５とケース主体１の左右の側壁２，３
との間にストップ片４，５とストップ間隙２０，２１と
を設け、蓋片の垂下壁１１にジッパーの除去によって形
成されるシート状物切刃２５を設け、シート状物切刃列
を、収容されているロールの軸心位置より僅かに下方と
した。 【効果】 蓋片が常に閉蓋姿勢で、シート状物先端をケ
ース内へ引き込まれないよう保持し、切断時に前壁相当
部の撓曲がなく、使い勝手がよいと共に、シート状物切
刃を含む全体が紙製なので、安全で、完全なリサイクル
が可能となる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、食品包装用のロールフィルム，調理用のロール紙，包装用のロール 紙等のごとく、ロール状に巻装されたシート状物を収納し、付設されている切刃 で所要長さ引き出して切断できる紙製の収納ケースに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の食品包装用ロールフィルムケースのごとき収納ケースの代表的構造は、 図６に示されるごとく、厚紙製のケース主体Ａの前壁Ｂの下縁に、金属製の小鋸 歯状切刃Ｃを前方へ向けて突出させるか、あるいは蓋片Ｄの前壁Ｅの下縁Ｆに、 前記小鋸歯状切刃Ｃと同様の金属製の切刃を設けたものであり、蓋片Ｄは頂壁Ｇ と前壁Ｅとで形成されている。

【０００３】 前述の金属製の小鋸歯状切刃Ｃに代え、厚紙に合成樹脂を含浸させるか、塗着 して硬化させ、鋸歯状に打ち抜いて成形した切刃を有するものも提案されている 。

【０００４】 前記した従来の収納ケースは、付設されている小鋸歯状切刃が金属製か、合成 樹脂で強化された厚紙製であるため、使用時に手指を傷つける危険があるのみで なく、該切刃を取り除かない限りケース主体のリサイクルが不可能であるという 問題を有している。

【０００５】 更に、蓋片Ｄの前壁Ｅの一部、図６では隅部Ｇをケース主体Ａの前壁Ｂの隅部 のスリットＨへ挿し込む等の係止手段が採られているものの、蓋片Ｄは図６に示 されるように開き易く、不衛生であり、しかも小鋸歯状切刃Ｃで切断されたロー ルＩ側に連続するフィルム端がケース主体Ａ内へ入ってしまい使い勝手が悪い等 の問題も有している。

【０００６】 また蓋片Ｄの前壁Ｅの下縁Ｆの位置が、ケース主体Ａ内に収納されているロー ルフィルムの軸心位置に対して著しく上方に偏っているため、フィルム切断のた め、蓋片Ｄを閉じた姿勢のケースを握る手指に力を入れると、蓋片Ｄの前壁Ｅが 撓曲して操作しにくくなる問題も有している。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、食品包装用ロールフィルム，調理用のロール紙，包装用のロール紙 等を切断する鋸歯状切刃が合成樹脂による強化を受けていない紙質のみで構成さ れており、手指を傷つけることがなく、しかもリサイクルが可能であると共に、 蓋片を閉蓋姿勢に確実に保持でき、従って、蓋片の垂下壁とケース主体の前壁と の間に、切断され、ロール側に連続しているシート状物先端部分を確実に保持す ることが可能であり、シート状物の切断に当たり、ケースを握る手指に力を入れ ても蓋片の前壁相当部が撓曲することがなく、使い勝手が良好なロール状に巻装 されたシート状物の収納ケースを提供することを課題としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決するため、本考案は、硬質の厚紙で直方体形状に形成されたケ ース主体の左右両側壁の上縁に、内外両側へ選択的に折曲できる細長形状のスト ップ片が連接されて内側へ折曲されており、ケース主体の後壁上縁に、蓋片が連 接され、該蓋片はケース主体の開口部を覆う頂壁と、ケース主体の前壁全外面に 重なる垂下壁とを有し、該頂壁と垂下壁との左右両縁からは、ケース主体の左右 両側壁の外面に接する側片がそれぞれ延設されて互いに接着され、内側に位置す る側片の上縁と、前記頂壁の左右両縁の裏面との間には、前記ストップ片を収容 できるストップ間隙が形成されているという構成とした。

【０００９】 しかも蓋片における前記垂下壁の下縁寄り部分にはケース主体の前壁への易剥 離接着部が形成され、また該垂下壁の上下両縁の間には、刃幅数ミリ程度の鋸歯 状のシート状物切刃形成用のＶ字状の切断部と、隣接する切断部間に残存された 微小幅の連続部とよりなるシート状物切刃形成部が、垂下壁全長に亘って形成さ れており、該シート状物切刃形成部の形成位置は、ケース主体内に収納されるロ ール状に巻装されたシート状物の軸心位置より僅かに下方に選定されているとい う構成をも付加した。

【００１０】

【作用】

本考案に係るロール状物に巻装されたシート状物の収納ケースでは、ケース主 体内にロール状に巻装されたシート状物を収納した上で、ケース主体の左右両側 壁の上縁に連接されているストップ片を内側へ水平位置まで折曲し、蓋片を閉じ 、垂下壁の下縁寄り部分の易剥離接着部をケース主体の前壁に接着し、出荷状態 とする。

【００１１】 組み立てから前記出荷状態とするまでの作業の間、蓋片の垂下壁に設けたシー ト状物切刃形成部は、切断部間に残存された連続部の存在により破断を生ずるこ とはない。

【００１２】 使用に当たり、前記シート状物切刃形成部より下方の易剥離接着部の形成され ている垂下壁下方部分、いわゆるジッパーと称せられる部分を端縁から剥離させ ると、該部分はシート状物切刃形成部の切断部間の連続部の破断と易剥離接着部 の剥離とにより破断除去され、残存する垂下壁の下縁に刃幅数ミリ程度の鋸歯状 のシート状物切刃が形成される。

【００１３】 次いで蓋片を開蓋状態とし、ケース主体の左右両側壁の上縁からケース主体内 側へ向けて折曲されるストップ片を、ケース主体外側へ向けて折り返し、ロール 状に巻装されたシート状物の始端をケース主体外へ引き出して蓋片を完全な閉蓋 状態となるまで閉じる。

【００１４】 前述の操作で、ケース主体の左右両側壁の外面に接する蓋片の内側に位置する 側片の上縁と、頂壁の左右両縁の裏面との間に形成されているストップ間隙に、 ケース主体のストップ片が嵌入することにより、蓋片は、閉蓋位置に拘束され、 やや強い開蓋力を作用させない限り妄りに開蓋姿勢となることはない。

【００１５】 またシート状物の引き出された始端はケース主体の前壁と、これに重なる蓋片 の垂下壁の残存部分との間に保持され、ケース主体内へ妄りに引き込まれること はなく、前記保持状態から指頭で始端を摘むことにより容易に引き出しうる。

【００１６】 所要長さだけ引き出したシート状物を切断するため、蓋片が閉じられているケ ース主体のシート状物切刃近傍を手指で強く握っても、その部分はロール状に巻 装されたシート状物の軸心近傍であっても、ロール外周面でバックアップされ、 撓曲することがない。

【００１７】 蓋片も垂下壁もケース主体と同質の硬質の厚紙製であり、シート状物切刃は、 予め切断部でシャープに切断された刃幅数ミリ程度の大形の鋸歯状であるため、 食品包装用のロールフィルム，調理用ロール紙，包装用ロール紙のごとく、薄い シート状物は、従来通りの引張り操作で容易に切断され、該シート状物切刃は、 家庭用のロール状に巻装されたシート状物の場合、使い切るまでは十分な切断性 能を保持できる。

【００１８】

【実施例】

図１ないし図５は、食品包装用ロールフィルムケースたる実施の一例を示して おり、図１および図２に示されるごとく、硬質の厚紙で直方体形状に形成された ケース主体１は、左右の側壁２，３の上縁に、内外両側へ選択的に折曲できる細 長形状のストップ片４，５が連接され、開封前は図１に鎖線で示し、図２に点線 で示されるごとく、内側へ折曲されている。

【００１９】 ケース主体１の後壁６の上縁には蓋片７が連接されており、該蓋片７はケース 主体１の開口部８を覆う頂壁９と、ケース主体１の前壁１０の全外面に重なる垂 下壁１１とを有している。

【００２０】 頂壁９と垂下壁１１との左右両縁からは、ケース主体１の左右の側壁２，３の 外面に接する側片１２，１３，１４，１５が延設され、互いに接着され、図示例 では垂下壁１１から延設されている側片１４，１５が内側に位置させられている が、頂壁９から延設されている側片１２，１３を内側とすることも可能であるも のの防塵作用の面では側片１４，１５を内側とすることが好ましい。

【００２１】 前記内側に位置する側片１４，１５の上縁１６，１７と頂壁９の左右両縁の裏 面１８，１９との間には、前記ストップ片４，５を収容できるストップ間隙２０ ，２１が形成されている。

【００２２】 蓋片７の垂下壁１１の下縁２２寄り部分には、ケース主体１の前壁１０への易 剥離接着部２３が適数形成され、垂下壁１１が前壁１０に接着されている。

【００２３】 垂下壁１１の上縁２４と下縁２２との間には刃幅Ｗが数ミリ程度の鋸歯状のシ ート状物切刃２５の形成用のＶ字状の切断部２６と、隣接する切断部２６間に残 存された微小幅Ｌの連続部２７とよりなるシート状物切刃形成部２８が垂下壁１ １の全長に亘って形成されている。

【００２４】 前記シート状物切刃形成部２８の形成位置は、図２に示されるごとく、ケース 主体１内へ収納される食品包装用のロールフィルム３２の軸心を含む水平面位置 Ｏ−Ｏより僅かに下方に選定されている。

【００２５】 またシート状物切刃形成部２８と、下縁２２との間の垂下壁１１の下方部分２ ９は、いわゆるジッパーと称される剥離部分であり、図２において符号Ｘで示さ れる端縁から引き剥すことにより、下方部分２９は、連続部２７の破断と易剥離 接着部２３の剥離により除去される。

【００２６】 図１および図２に示されるごとく、蓋片７の垂下壁１１の上部、図示例では上 縁２４とシート状物切刃２５列との中間位置に、間隔部３０を存して内側へ補強 リブ条３１が凹陥，形成され、シート状物の切断時に、シート状物切刃２５列と 、上縁２４との間の垂下壁１１部分に腰の強さを与えている。

【００２７】 図２は内部にロール状に巻装されたシート状物の一例たるロールフィルム３２ を収納し、蓋片７を閉じ垂下壁１１をケース主体１の前壁１０に易剥離接着部２ ３で接着した状態を示している。

【００２８】 図２に示す状態では、前記ストップ片４，５と前記ストップ間隙２０，２１と は、図４の断面図に示される組み付け関係に置かれている。

【００２９】 ストップ片４についてのみ説明すれば、図４に示されるごとく、ストップ片４ はケース主体１の内方へ折曲され、ストップ間隙２０とは係合しない。

【００３０】 使用に当たり、いわゆるジッパーと称される垂下壁１１の下方部分２９を常法 により剥離して除去し、蓋片７を開蓋姿勢とし、ストップ片４，５をケース主体 １の外側方へ折曲，反転させ、ロールフィルム３２の始端をシート状物切刃２５ 列の付近に引き出したのち、蓋片７を閉じると、ストップ片４，５と前記ストッ プ間隙２０，２１とは、図５の断面図に示される組み付け関係に置かれる。

【００３１】 ストップ片４についてのみ説明すれば、図５に示されるごとく、ストップ片４ は、ストップ間隙２０内に位置している。

【００３２】 図５に示される構造は、ストップ片４を鎖線３３で示すごとく外側方へ折曲さ せておき蓋片７を閉じると、ストップ片４は、側片１２，１４の下縁３４，３５ に押圧されて実線で示す位置に深く折曲され、側壁２と側片１２，１４との弾性 撓曲で、側片１２，１４が深く折曲されたストップ片４を乗り越え、ストップ間 隙２０がストップ片４の位置と合致すると、該間隙２０内にストップ片４が嵌入 し、側片１４の上縁１６とストップ片４との係合により、蓋片７の開方向への移 動が阻止され、閉蓋姿勢が保持される。

【００３３】 前記閉蓋状態において、ロールフィルム３２の始端は、ケース主体１の前壁１ ０と、シート状物切刃２５が形成された蓋片７の垂下壁１１の残存部との間に挟 まれており、ケース主体１内へ引き込まれることがないので、該始端を摘み、フ ィルムを必要長さだけ引き出し、常法によりシート状物切刃２５に当てて切断す る。

【００３４】 前記フィルムの切断時に、シート状物切刃２５列の僅か上方のケース主体１内 には、ロールフィルム３２の軸心が残存するので、指頭で垂下壁１１の上部たる 残存部を強く握っても、該部がロールフィルムでバックアップされ、撓曲，変形 することがなく、フィルムの切断が容易に行われる。

【００３５】 ロールフィルムに連続するフィルム先端部分は、前壁１０と垂下壁１１の残存 部との間に挟まれ、シート状物切刃２５の裏側に保持され、ケース主体１内へ引 き込まれることはない。

【００３６】 また蓋片は、ストップ片４，５とストップ間隙２０，２１との係合により、常 に閉蓋姿勢に保持されるが、開蓋方向へ強い力を作用させれば簡単に開くことが でき、再び閉じれば、閉蓋姿勢が保持される状態となる。

【００３７】 図１および図２に示される食品包装用ロールフィルムケースは、図３に示され るブランクから自動的に組み立てられる。

【００３８】 図示例は食品包装用ロールフィルムの収納ケースであるが、調理用のロール紙 ，包装用のロール紙等のロール状に巻装されたシート状物の収納ケースも全く同 一構造である。

【００３９】

【考案の効果】

本考案では、収納ケースのケース主体，蓋片，ストップ片，シート状物切刃等 の全部分が硬質の厚紙製であり、ケースの完全なリサイクルが可能となる効果が ある。

【００４０】 またシート状物切刃が厚紙であるため手指を傷つける危険がなく、しかも刃幅 数ミリの鋸歯状であるので、家庭用のロール状に巻装されたシート状物の場合に は、該シート状物を使い切るまで、十分な切断機能を発揮できる。

【００４１】 蓋片はストップ片とストップ間隙との作用で、常時閉蓋姿勢に保持されるので 、シート状物の先端部分は、常にケース主体の前壁と、シート状物切刃から上方 の蓋片の垂下壁残存部との間に保持され、ケース主体内へ引き込まれることがな く、使い勝手が良好となる。

【００４２】 さらにシート状物切刃列の形成位置がケース主体内のロール状に巻装されたシ ート状物の軸心位置より僅かに下方に選定されており、シート状物の切断のため ケースを強く握った際、ロール状に巻装されたシート状物がケースの前壁相当部 分をバックアップし、シート状物切刃を含むケース前壁相当部が撓曲することが なく、使い勝手を一層向上させる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の一例を開蓋姿勢とし、一部を破断して示
した一部省略斜面図である。

【図２】図１に示すものの出荷状態における一部省略斜
面図である。

【図３】図１に示すケースのブランクを示す平面図であ
る。

【図４】図２中Ｙ−Ｙ線断面の要部の拡大図である。

【図５】使用状態における図４と同一位置の要部の拡大
断面図である。

【図６】従来品を開蓋状態で示した一部省略斜面図であ
る。

【符号の説明】

１ ケース主体 ２，３ 左右の側壁 ４，５ ストップ片 ６ 後壁 ７ 蓋片 ８ 開口部 ９ 頂壁 １０ 前壁 １１ 垂下壁 １２，１３，１４，１５ 側片 １８，１９ 裏面 ２０，２１ ストップ間隙 ２２ 下縁 ２３ 易剥離接着部 ２５ シート状物切刃 ２６ 切断部 ２７ 連続部 ２８ シート状物切刃形成部 ３２ ロール状に巻装されたシート状物の一例たるロー
ルフィルム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 硬質の厚紙で直方体形状に形成されたケ
   ース主体の左右両側壁の上縁に、内外両側へ選択的に折
   曲できる細長形状のストップ片が連接されて内側へ折曲
   されており、ケース主体の後壁上縁に、蓋片が連接さ
   れ、該蓋片はケース主体の開口部を覆う頂壁と、ケース
   主体の前壁全外面に重なる垂下壁とを有し、該頂壁と垂
   下壁との左右両縁からは、ケース主体の左右両側壁の外
   面に接する側片がそれぞれ延設されて互いに接着され、
   内側に位置する側片の上縁と、前記頂壁の左右両縁の裏
   面との間には、前記ストップ片を収容できるストップ間
   隙が形成されていると共に、蓋片における前記垂下壁の
   下縁寄り部分にはケース主体の前壁への易剥離接着部が
   形成され、また該垂下壁の上下両縁の間には、刃幅数ミ
   リ程度の鋸歯状のシート状物切刃形成用のＶ字状の切断
   部と、隣接する切断部間に残存された微小幅の連続部と
   よりなるシート状物切刃形成部が、垂下壁全長に亘って
   形成されており、該シート状物切刃形成部の形成位置
   は、ケース主体内に収納されるロール状に巻装されたシ
   ート状物の軸心位置より僅かに下方に選定されているロ
   ール状に巻装されたシート状物の収納ケース。