JPH066210Y2 - エンジンブレーキ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、圧縮仕事吸収形式のエンジンブレーキ装置に
関し、合理的で効率の良いエンジンブレーキ装置を目指
したものである。

〈背景技術〉 トラック用大型ディーゼルエンジンは、小排気量で大き
な出力を得るためにターボ過給機の装着が一般化してい
る。一方このディーゼルエンジンを搭載した貨物自動車
等においては、貨物積載時の制動力を補助する目的で排
気ブレーキ装置や圧縮仕事吸収形式のエンジンブレーキ
装置を組み込んだものが知られている。

圧縮仕事吸収形式のエンジンブレーキ装置は、車両の走
行中に運転者がアクセルペダルから足を離した時に、燃
焼室への燃料の供給を停止してピストンの圧縮工程時の
抵抗により駆動輪の回転を積極的に抑制するようにした
ものである。

ターボ過給機が装着されたディーゼルエンジンが搭載さ
れたトラック等は小さな排気量で大きな出力が得られる
ようになったが、排気量が小さくなるためエンジンブレ
ーキの効きが悪くなる問題を有している。

そこで、エンジンブレーキを強化させるためには、圧縮
工程の終了間隙に高圧の燃焼室を排気マニホルド側に連
通させて給気を排出させることが望ましく、一般にはエ
ンジンブレーキ時にのみピストンの圧縮工程終了近傍か
ら膨張工程の半ばにかけて燃焼室を排気マニホルド側へ
連通させる補助排気弁（第三弁）が各気筒に付設されて
いる。

これは、通常の４サイクルエンジンでエンジンブレーキ
をかける時、吸気排気の行程はブレーキ力になる負荷を
発生するが、燃焼室内の空気を圧縮するために使ったエ
ネルギーを膨張時にピストンを押し下げるために使用す
る圧縮、膨張工程は、負荷にはならない。そのため、圧
縮工程の最後に補助排気弁を開き、圧縮した空気を逃が
してしまうのである。

〈考案の目的〉 本考案は、このターボ過給機が装着されたエンジンが搭
載されたトラック等のエンジンブレーキを合理的且つ効
率良くより強力に効かせることの可能な圧縮仕事形式の
エンジンブレーキ装置を提供することを目的とする。

〈目的を達成するための手段〉 本考案のエンジンブレーキ装置にかかる構成は、ターボ
過給機が装備されたエンジンの排気通路のエンジン燃焼
室への開口とターボ過給機のタービンへの開口との間に
気体排出作用を制御する排気制御手段を設ける一方、車
両の運転状態からエンジンブレーキの作動判定を行なっ
てエンジンブレーキ時にエンジンの燃焼室への燃料の供
給を停止させる制御装置を装備し、前述燃焼室と前記排
気通路の排気制御手段から前記タービンへの開口である
出口端の間とにわたり補助排気通路を連通すると共に、
前記制御装置により作動を制御されて前記エンジンブレ
ーキ時に前記エンジンのピストンの圧縮工程終了近傍か
ら膨張工程へかけて前記補助排気通路を開いて該補助排
気通路からの圧縮空気を前記タービンに噴出させる補助
排気弁を備えたことを特徴とする。

〈作用〉 制御装置によりエンジンブレーキ状態が判定されるとエ
ンジンの燃焼室への燃料の供給を停止し、排気ブレーキ
使用時には排気制御手段により排気通路の排気作用を抑
制し、エンジンのピストンの圧縮工程終了近傍から膨張
工程へかけて補助排気弁により補助排気通路を開いて圧
縮工程時の圧縮空気を補助排気通路から逃がして、膨張
工程時にピストンを押し下げるエネルギを放出してエン
ジンブレーキ効果を高める。また、補助排気通路から逃
がした圧縮空気によりタービンを回転させて吸気側に空
気を過給し、ピストンの圧縮作用の抵抗を増大させてエ
ンジンブレーキ効果を高める。

〈実施例〉 第１図には本考案の一実施例に係るエンジンブレーキ装
置の主要部を表わす概略構造、第２図には第１図に示し
たエンジンブレーキ装置の弁の開閉時期を表わす開弁工
程を示してある。

排気弁１を介して燃焼室２に連通する排気通路３の出口
端３ａはターボ過給機４のタービン５と対向しており、
排気通路３の出口端３ａと燃焼室２への開口との間には
排気ブレーキ使用時に閉じる排気制御手段であるバタフ
ライ弁６が設けられている。吸気弁７を介して燃焼室２
に連通する吸気通路８の出口端８ａはターボ過給機４の
タービン５と同軸一体をなすコンプレッサ９と対向して
いる。一方、燃焼室２には、吸気弁７を介して仕切られ
た吸気通路８及び排気弁１を介して仕切られた排気通路
３の他に、排気通路３の出口端３ａに連通する補助排気
通路10が補助排気弁11を介して接続しており、この補助
排気弁11は制御装置によりエンジンブレーキ作動時にの
み開弁が行なわれるよう図示しない弁駆動手段を介して
作動が制御されている。この制御装置は、エンジンブレ
ーキ作動に燃料噴射装置の作動を停止させ、燃焼室２へ
の燃料の供給をカットすると共に、図示しない弁駆動手
段を作動させ燃焼室２内のピストン12の圧縮工程終了近
傍から膨張工程の半ばまで補助排気弁11が開くように開
弁時期を設定する。

次に上記構成の圧縮仕事吸収形式のエンジンブレーキ装
置の作用を説明する。

排気ブレーキ使用時にはバタフライ弁６により排気通路
６が塞がれる。制御装置によりエンジンブレーキ状態が
判定されると、燃料噴射装置の作動を停止させると共
に、ピストン12の圧縮工程終了近傍から膨張工程の半ば
まで補助排気弁11を開かせる。これにより、圧縮工程時
の圧縮空気を補助排気通路10から逃がし、膨張工程時に
ピストン12を押し下げるエネルギを放出して排気ブレー
キ及び圧縮仕事によるエンジンブレーキ効果を高める。
また、補助排気通路10から逃がした圧縮空気によりター
ビン５を回転させてコンプレッサ９を回転させる。コン
プレッサ９が回転するとピストン12の吸気工程時に高圧
の吸気が燃焼室２内に送り込まれるため、ピストン12の
圧縮工程時に高圧の吸気が大きな抵抗となり、効率の高
い圧縮仕事のエンジンブレーキを働かせることができ
る。同時に排気ブレーキもより効率良く働かせることが
できる。また、このエンジンブレーキ装置は排気ブレー
キ使用時に排気を規制するバタフライ弁６が排気通路６
に設けられているので、排気ブレーキ使用時の圧縮容積
が小さいものとなり圧力が上がりやすく、補助排気通路
10への圧縮空気の吸収力が非常に大きくなる。更に、タ
ービン過給機４に圧縮による負荷が全く作用しないの
で、タービン軸受等に圧縮による負荷がかからず、油漏
れ等の不具合は生じない。

〈考案の効果〉 本考案のエンジンブレーキ装置は、エンジンブレーキを
働かせたい時には燃焼室への燃料の供給を停止する一
方、ターボ過給機のタービンに圧縮空気を送ってタービ
ンを高速回転させ、吸気の充填効率を高めてピストンの
圧縮工程時における抵抗を増大させるようにしたので、
エンジンブレーキを合理的且つ効率良くより強力に効か
せることが可能となる。また、排気ブレーキ使用時に排
気を規制する排気制御手段を排気通路に設けたことによ
り、圧縮容積が小さくなり高圧の圧縮空気を容易に得る
ことができる。その結果、圧縮空気の吸収力が大きくな
る。更に排気制御手段を排気通路に設けたことにより、
タービン過給機に圧縮による負荷がかからなくなる。そ
の結果、タービン軸受等に負荷が作用せず油漏れ等の不
具合が生じる虞はない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るエンジンブレーキ装置
の主要部の構造を表わす概念図、第２図は第１図に示し
たエンジンブレーキ装置の弁の開閉時期を表わす開弁工
程図である。 図面中、 １は排気弁、 ２は燃焼室、 ３は排気通路、 ３ａは出口端、 ４はターボ過給機、 ５はタービン、 ６はバタフライ弁、 ７は吸気弁、 ８は吸気通路、 ９はコンプレッサ、 10は補助排気通路、 11は補助排気弁、 12はピストンである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ターボ過給機が装備されたエンジンの排気
   通路のエンジン燃焼室への開口とターボ過給機のタービ
   ンへの開口との間に気体排出作用を制御する排気制御手
   段を設ける一方、車両の運転状態からエンジンブレーキ
   の作動判定を行なってエンジンブレーキ時にエンジンの
   燃焼室への燃料の供給を停止させる制御装置を装備し、
   前記燃焼室と前記排気通路の排気制御手段から前記ター
   ビンへの開口である出口端の間とにわたり補助排気通路
   を連通すると共に、前記制御装置により作動を制御され
   て前記エンジンブレーキ時に前記エンジンのピストンの
   圧縮工程終了近傍から膨張工程へかけて前記補助排気通
   路を開いて該補助排気通路からの圧縮空気を前記タービ
   ンに噴出させる補助排気弁を備えたことを特徴とするエ
   ンジンブレーキ装置。