JPH0661911B2 - 塗装材およびその製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は基板の表全面に艶消し模様部分および艶有り模
様部分が混在する電子線硬化型塗料の硬化塗膜を形成さ
れた塗装材およびその製造方法に関する。

従来、この種の塗装材は次のように製造されている。

まづ、基板に電子線硬化型塗料を塗布し、 つぎに、その表面に電子線未透過の任意柄模様を有する
シートを被着した後、 その表面に電子線を照射し、柄模様部分を除く他の部分
の塗料を重合硬化し、 つぎに、その模様シートを剥離し、 さらに、基板表面の未硬化部分を洗い流し、模様に同調
した凹部を形成し、 求むる塗装材としていた。

しかしながら、このような従来の塗装材では次のような
問題点を残している。

（ａ）模様を形成するための電子線未透過の模様シート
を必要とする。そして、電子線の照射により未硬化部分
を形成した状態で、化粧シートを剥離しなくてはなら
ず、剥離時に化粧表面を汚したり、さらにはこの化粧シ
ートを再使用できない難点がある。

（ｂ）未硬化塗料の洗い出しを行なわなくてはならず、
作業が煩雑になる。

（ｃ）得られた化粧板表面に凹凸模様を有するものゝ、
その光沢は均一であり、意匠性が低い。

（ｄ）未硬化部分の塗膜が弱い。

本発明は上記のような従来のこの種化粧材の問題点を解
決することを目的とする。すなわち、本発明は基板表面
に電子線硬化型塗料を塗布した後、電子透過性のある空
気遮蔽性シートを被着することにより、より意匠性の高
い塗装材を提供しようとするものである。

（実施例の説明） 以下本発明の実施例について説明する。

まづ、基板の表面に電子線硬化型塗料をロールコータ
ー、フローコーターなどの塗装装置を用いて均一に塗布
する。

基板としては、合板、繊維板、木削片板、木片セメント
板、ケイカル板、ガラス板、金属板などの有機質、無機
質、有機無機の混合、あるいは複合板、鉄板、アルミナ
板、ステンレス板などが用いられる。また、紙、布、合
成樹脂シートのようなシート状物にも応用できる。

電子線硬化型塗料としては、不飽和ポリエステル系、ポ
リエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、
ポリエーテルアクリレート系、ウレタンアクリレート
系、ポリオールアクリレート系、メラミンアクリレート
系、などの樹脂塗料が用いられる。これらの塗料は電子
線の照射により、１次過程として励起またはイオン化さ
れ、ラジカルが生成され、２次過程として、ラジカルの
反応系の拡散、ラジカルの連鎖移動によつて最終反応生
成物に達し、硬化塗膜が形成されるものである。

つぎに、電子線硬化型塗料が塗布された表面に艶消し模
様部分を存する艶有りの電子線透過性のある空気遮蔽シ
ートを被着する。

空気遮蔽性シートとしては、電子線を当てることによつ
て、収縮の生じない合成樹脂シートないしフイルムたと
えば、ポリエステルフイルムなどが用いられる。厚みは
150μ以下が適当であつて、それ以上の厚みを有するも
のは電子線の透過性に問題がある。ただし、電子線を強
くすれば、この問題は解決されるが、経済的でない。

空気遮蔽シートは全体的に艶有りであつて、その任意個
所に艶有り模様部が形成されている場合が一般的であ
る。しかし、反対にシートの艶消し模様部は、たとえ
ば、サンドブラスト方式や、マツトフイルムを用い、微
細な凹凸の集合からなる場合もある。さらに、マツトフ
イルムをカレンダー掛けして、透明な模様を作つたシー
トで該模様側が塗料層側になるように被着することもあ
る。

つぎに、空気遮蔽性シートを被着された表面側より電子
線照射装置を用いて加速電圧150〜600kv、電流容量25〜
300mA程度で、電子線を照射し、電子線硬化塗料を短時
間で全層にわたつて重合硬化し、硬化塗膜を形成する。

硬化塗膜はその表面において、空気遮蔽シートに形成さ
れた艶消し模様部分では艶消し硬化膜が、他の部分にお
いては艶有り硬化塗膜が形成される。

たとえば、先に示したマツト状の模様が構成されたシー
トの場合、該表面のマツト状の模様が塗膜面に転写さ
れ、模様状の艶消し硬化塗膜が形成される。最後に、硬
化塗膜が形成した後、表面に被着された空気遮蔽性シー
トを剥離する。

このようにして、基板の全表面に艶消し模様部分および
艶有り模様部分が混在する電子線硬化型塗料の硬化塗膜
を有する塗装材が得られた。

（本発明の作用効果） 本発明の作用効果を要約すれば次の通りである。

（ａ）艶消し模様部分と艶有り模様部分とが混在し、従
来にない意匠性の高い表面模様が得られる。たとえば、
正面から見れば同色のため、模様が見えないが、横から
見ると模様が見えるような変幻性のあるものとなる。

（ｂ）その製造方法において、艶消し模様部分を有する
艶有りの電子線透過性のある空気遮蔽性シートを用いて
いるが、このシートは塗料の塗布層上に被着され、か
つ、該塗料が完全に硬化後、剥離されるため、従来のよ
うに剥離時の塗膜面の汚染が発生しない。

したがつて、剥離されたシートの再使用が可能となる。

（ｃ）塗料が完全に硬化されるため、模様のある部分に
弱い部分ができず、また、洗い出しの必要もなく、作業
性が良い。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】基板の表全面に艶消し模様部分および艶有
   り模様部分が混在する電子線硬化型塗料硬化塗膜を形成
   した、 ことを特徴とする塗装材。
2. 【請求項２】基板の表全面に電子線硬化型塗料を塗布
   し、未硬化の状態において、該塗膜表面に艶消し模様部
   分を有する艶有りの電子線透過性のある空気遮蔽性シー
   トで被覆し、 つぎに、電子線を照射し、電子線硬化型塗料を重合硬化
   し、硬化塗膜を形成した後、 被着された空気遮蔽性シートを剥離し、 基板の表全面に艶消し模様部分および艶有り模様部分が
   混在する電子線硬化型塗料の硬化塗膜を形成する、 ことを特徴とする塗装材の製造方法。