JPH0660993B2 - 帯電防止写真ベ−ス - Google Patents

帯電防止写真ベ−ス

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JPH0660993B2
JPH0660993B2 JP59117433A JP11743384A JPH0660993B2 JP H0660993 B2 JPH0660993 B2 JP H0660993B2 JP 59117433 A JP59117433 A JP 59117433A JP 11743384 A JP11743384 A JP 11743384A JP H0660993 B2 JPH0660993 B2 JP H0660993B2
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アルベルト・バルセツキ
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ミネソタ・マイニング・アンド・マニユフアクチユアリング・コンパニ−
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は写真分野で特に有効な帯電防止ベース、その製
法、およびそれを使用した写真要素に関する。
技術背景 一般に、写真要素は写真層を片面または両面に被覆して
有するベースからなる。写真層は例えば感光性ハロゲン
化銀乳剤層、中間層、保護層、ハレーシヨン防止層、等
々である。
詳しく云うと、ベースはポリ−α−オレフイン(例え
ば、ポリエチレンやポリスチレン)、セルロースエステ
ル(例えば、三酢酸セルロース)、ポリエステル(例え
ば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート
またはペーパーのような自己支持性の天然または合成重
合体化合物のフイルムからなる。
大抵の写真感光性要素は支持体の片面にのみ被覆された
写真層を有し、その反対面には写真層が存在しない。カ
ラー複製に適する写真要素は、例えば、片面に青感性ハ
ロゲン化銀乳剤ゼラチン層、緑感性ハロゲン化銀乳剤ゼ
ラチン層および赤感性ハロゲン化銀乳剤ゼラチン層を保
護層、中間層およびハレーシヨン防止層と組合わせて被
覆して有するベースからなる。写真像を得るためには、
一般に、該ハロゲン化銀写真要素を露光し、そして現像
剤、漂白および定着浴中で処理する。写真要素の製造お
よび使用中に他の表面との接触によつて起る何らかの表
面摩擦が原因となつて静電荷が蓄積する傾向のあること
は知られている。感光性層は蓄積静電荷の放電によつて
感光されるので、現像時に斑点や分枝線マーク(「スタ
チツク・マーク」と称される)が形成される。
静電荷の蓄積によつてもたらされる悪影響を克服するた
めに、写真要素に帯電防止層を包含せしめることが通常
行われている。
スルホン化重合体のような導電性の水溶性重合体は導電
性によつて静電蓄積を阻止することによつて帯電防止層
を行うバツキング層として写真要素中に広く使用されて
いる。これ等帯電防止層がかかえる問題は写真処理浴に
耐えられないことと、写真シートまたはフイルム同志を
またはそれ等を他の表面とくつつき易くすることであ
る。このような問題は該帯電防止層上に疎水性重合体か
らなる保護層を被覆することによつて解決されてきた。
しかし、このような帯電防止2重層構造でも尚、別の欠
点をかかえている。例えば、特に写真要素が処理前に高
温多湿で貯蔵された場合には、写真現像時に「クレー
タ」現象および不透明化が起る。処理後に顕微鏡検査し
たところ、上記の帯電防止2重バツキング層中への処理
液の浸透によるのであろうが、元の2重層構造が破壊さ
れたことを示していた。
発明の概要 本発明によれば、ベース上に被覆された耐久性、耐摩耗
性、非粘着性および写真処理に使用される水性処理浴に
対する耐性を有する改善された帯電防止層が提供され、
該帯電防止層は該ベースの片面上にエポキシ−シラン化
合物の存在下で親水性非拡散性スルホン化重合体からな
る液状組成物によつて形成された第1層と、疎水性皮膜
形成性重合体物質からなる液状物質によつて形成された
第2層を被覆することによつて形成されている。
発明の詳細 従つて、本発明は第1の親水性帯電防止層と該第1層上
に被覆された第2の疎水性保護層とによつて被覆されて
いる重合体フイルム支持体からなる写真ベースであつ
て、該第1層がエポキシ−シラン化合物の存在下で親水
性非拡散性スルホン化重合体からなる液状被覆性組成物
を該支持体上に被覆することによつて形成された、写真
ベースに関する。
特に、本発明は該重合体フイルム支持体がセルロース誘
導体、好ましくは三酢酸セルロースである上記写真ベー
スに関する。さらに特に、本発明は該親水性スルホン化
重合体がポリスチレンスルホン酸、ポリビニルトルエン
スルホン酸、ポリインデンスルホン酸、(ブチルメタク
リレート−ビニルトルエンスルホン酸)共重合体、(ブ
チルアクリレート−スチレンスルホン酸)共重合体、ポ
リビニルスルホン酸またはポリビニルベンザル−2,4
−ジスルホン酸であり、そして好ましくはポリスチレン
スルホン酸である上記写真ベースに関する。
さらに特に、本発明は該疎水性皮膜形成性保護層が二酢
酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酪プロピオン酸セ
ルロース、酢酸酪酸セルロース、メチルセルロースまた
はエチルセルロースのようなセルロース誘導体、好まし
くは三酢酸セルロースからなる液状組成物を被覆するこ
とによつて形成された上記写真ベースに関する。
さらに特に、本発明は該疎水性皮膜形成性保護層が合成
重合体または共重合体、好ましくは、スチレン、ビニル
エーテル、ビニルエステル、アクリル酸エステル、ビニ
ルケトン、塩化ビニルおよびアクリロニトリルのような
重合性モノマーの重合体または共重合体を含有する液状
組成物を被覆することによつて形成された上記写真ベー
スに関する。
さらに特に、本発明は該エポキシ−シラン化合物が次の
一般式によつて表わされる化合物の中から選ばれる上記
写真ベースに関する: (式中、 Rは炭素原子20個未満の2価の炭化水素基である(そ
の骨格は炭素原子だけからなるか又は該2価基の骨格中
に珪素と酸素以外に隣合うヘテロ原子が存在しないこと
を条件に炭素原子の他に窒素、硫黄、珪素および酸素原
子が包含されていてもよい); R2は水素、炭素原子10個未満の脂肪族炭化水素基、
炭素原子10個未満のアシル基である; nは0または1である;そして mは1〜3である。
最も好ましいエポキシ−シラン化合物は式 (式中、 R2およびR3は個別に、炭素原子1〜4個のアルキレン
基である;そして R4は水素または炭素原子1〜10個、最も好ましくは
1〜4個のアルキル基である) を有するものである。
本発明に有効なエポキシ−シラン化合物は好ましくはγ
−グリシドキシプロピル−トリメトキシ−シランおよび
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリ
メトキシ−シランであり、最も好ましくはγ−グリシド
キシプロピル−トリメトキシ−シランである。
別の面からみると、本発明は重合体フイルム支持体、該
支持体の片面上に被覆された感光性像形成層少なくとも
1層、および該支持体の反対面上の帯電防止層からなる
写真要素であつて、該帯電防止層が第1の親水性帯電防
止層および該第1層上に被覆された第2の疎水性保護層
によつて形成されており、該第1層が上記のようなエポ
キシ−シラン化合物の存在下で親水性非拡散性スルホン
化重合体からなる液状被覆性組成物を該支持体上に被覆
することによつて形成された、写真要素に関する。
さらに別の面からみると、本発明は感光性像形成層少な
くとも1層で片面を被覆された重合体支持体フイルムか
らなる写真要素用の帯電防止層の作製方法であつて、 該支持体の反対面上に非拡散性親水性スルホン化重合体
とエポキシ−シラン化合物からなる第1液状組成物を被
覆し、そして被覆された組成物を乾燥して第1帯電防止
層を形成し、それから疎水性皮膜形成性重合体物質から
なる第2液状組成物を該第1層上に被覆することからな
り、該第2液状組成物の溶剤が第1帯電防止層の親水性
スルホン化重合体を実質的に溶解できないことを特徴と
する、 耐久性、耐摩耗性、非粘着性、および水性処理溶による
攻撃に対する耐性を有する帯電防止層の作製方法に関す
る。
本発明によつて使用されるスルホン化重合体は非拡散性
親水性スルホン化重合体であるべきである。それは重合
体を十分に親水性にするために十分な量のスルホン酸基
が結合されている重合体鎖(好ましくはポリスチレン
鎖)を包含していなければならない。実際、重合体の帯
電防止特性の効力は重合体の水分保持能に関係すると考
えられ、それは該重合体を本発明の目的に必要な程度に
迄親水性または水分保持可能にするに十分な量(後で具
体的に記述する)で本発明の第1層内に使用されるべき
である。好ましくは、実用のためには、スルホン化重合
体の少なくとも20重量%、最も好ましくは30重量%
がスルホン酸基で構成されるべきである。酸重合体分子
全体に対するスルホン酸基の相対量の通常の上限は合成
によつて決まる。合理的な上限は50重量%であるよう
である。
スルホン酸基は臨界的であると考えられる。それを例え
ばカルボン酸基で置き換えることはできなかつた。
スルホン化重合体は本発明の実施においては非拡散性で
あるべきであると云うことも判明した。
スルホン化重合体の非拡散性に関与し得るパラメーター
は(スルホン酸基を結合させる前に測定される)重合体
自体の固有粘度である。重合体の固有粘度が高くなる
程、それから誘導されたスルホン化重合体は拡散し難く
なる。公知のように、重合体溶液の固有粘度は重合体の
分子量に関連している(固有粘度の定義およびその測定
方法についてはJ.BrandrupとE.H.Immergutの共著ポリマ
ーハンドブツク、インターサイエンス発行、1965
年、頁IV−1ffおよびF.W.Billmeyer著テキストブツク
・オブ・ポリマーケミストリー、インターサイエンス発
行、1957年、頁128ff参照)。ベンゼン中で30
℃に於いて測定したときに、本発明に必要な最小粘度は
約0.4dl/g(デシリツトル/グラム)に等しいと考え
ることが合理的であり、より好ましくは0.8〜1.4
0dl/gである。
場合によつては、スルホン化重合体からなる帯電防止被
覆性組成物に、1%未満のように非常に低い水に対する
溶解度を有する樹脂である実質的に疎水性のバインダー
樹脂、例えばセルロースエステル、セルロースエーテ
ル、フエノール−ホルムアルデヒド樹脂、ビニル重合体
およびアクリル重合体、を添加することも有効である。
三酢酸セルロースフイルム支持体の場合、良好な組合わ
せは該帯電防止被覆性組成物中にスルホン化重合体と二
酢酸セルロースを分散させるものである。実際、上記の
通り、二酢酸セルロースは「実質的に」疎水性のバイン
ダー樹脂であり、水に対するその低溶解性は二酢酸セル
ロース樹脂中にはセルロースヒドロキシル基の約1/3以
下しか非エステル化形態が残つていないことと関係付け
ることができ、そして水に対する二酢酸セルロース樹脂
の溶解度は1%未満である。
この分野で知られているように、スルホン化重合体から
なる本発明の第1帯電防止層の液状被覆性組成物はスル
ホン化重合体があまり可溶性でない(例えば1%未満)
第1溶剤とスルホン化重合体が非常に溶解性である(例
えば10%より大きい)第2溶剤を包含する。第1層の
特性は或る程度、第1溶剤に対する第2溶剤の相対量に
依存するようである。さらに明確に云うと、第2/第1
溶剤比が高くなる程、要素の帯電防止保護も高くなる。
(二酢酸セルロースの有無にかかわらず)ポリスチレン
スルホン酸の場合の良好な溶剤混合物は相対容量比約
1:1のアセトンとメタノールで構成されたものである
ことが知られている。アセトン/メタノールの1.5/
1より大きい比は乏しい帯電防止特性を有する非常に透
明な支持ベースを与えるのに対し、メタノール/アセト
ンの1.5/1より大きい比は非常に良好な帯電特性を
示すが透明性を喪失させる。被覆性組成物の熱安定性を
改善するために当業者に知られているように付加的な高
沸点有機溶剤例えば酢酸メチルセルソルブを使用しても
よい。加えて、第1溶剤の存在は三酢酸セルロース支持
体に対する良好な層付着性を確保するために有効である
ことが知られている(これは支持体に対する溶剤の攻撃
によると考えられる)。
帯電防止層上にその保護として被覆されるべき重合体物
質は皮膜形成性で且つ疎水性であらねばならない。皮膜
形成性重合体物質の具体例はセルロース誘導体(例えば
二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸プロピオン
酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、三プロピオン酸セ
ルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロー
ス)、重合性モノマー(例えばスチレン、ビニルエーテ
ル、ビニルエステル、アクリル酸エステル、ビニルケト
ン、塩化ビニルおよびアクリロニトリル)の合成付加重
合体および共重合体、および合成縮合重合体(例えばポ
リエステルおよびポリウレタン)である。
この重合体物質はフイルムベースの性質および起り得る
技術的必要性に依存して選択される。例えば、三酢酸セ
ルロースフイルムベースの場合、それは二酢酸セルロー
スまたは好ましくは三酢酸セルロースである。ポリエス
テルベースの場合、それはポリエステル樹脂(下引きを
もつて、又は下引き無しで)または三酢酸セルロース樹
脂である。
上記重合体物質からなる被覆性組成物の溶剤はスルホン
化重合体がその中で可溶性でも膨潤性でもない有機液体
化合物、例えばジオキサン、クロロホルム、塩化メチレ
ン等である。
本発明のエポキシ−シラン化合物はエポキシ基と官能性
(または反応性)基即ちシラノール基を包含しており、
そのシラノール基の水素原子は置換されていないか又は
該化合物の通常の反応、即ち、公知のように珪素−酸素
結合の分裂もしくはヒドロキシル基(シラン誘導体の中
に存在するか又はその加水分解によつて遊離する:この
ためには、かかる反応を行うことができない、珪素原子
に直接結合したアルキル基を有するシラン化合物は本発
明に使用できないと云うことに留意せよ)での反応のど
ちらかによつて多分行われる該化合物の通常の反応を可
能にする置換基で置換されている。このようなエポキシ
基とシラン基は安定で且つ特に非加水分解性の脂肪族、
芳香族、または脂肪族と芳香族の2価のブリツジ(また
は鎖)(それは結合鎖中に窒素、硫黄、珪素および酸素
原子を有していてもよい)を介して互いに結合されてい
る。一般に、これ等結合鎖は周知のように置換されてい
てもよい。何故なら鎖上のこれ等置換基は該化合物のエ
ポキシ基および官能性シラン基を介して本質的反応を行
う機能に大きな影響を与えないからである。結合部分に
存在していてもよい置換基の例はNO、アルキル、ア
ルコキシ、ハロゲン等のような基である。
本発明の実施に有効な好ましいエポキシ−シラン化合物
の例は次の一般式を有する化合物である:(頂点を点で
示した六角形の内の符号Aは芳香核を表わし、Sは飽和
核を表わす): 式中、 Rは炭素原子20個未満の2価の非加水分解性炭化水素
基(脂肪族、芳香族、または脂肪族と芳香族)であり、
炭素、水素、窒素、硫黄、珪素および酸素原子(これ等
原子だけが2価基の主鎖中に存在可能である)から構成
され、最後の原子はエーテル結合またはSi−O結合の
形態である。ヘテロ原子はSi−O結合の珪素と酸素を
除いて2価の炭化水素基の主鎖中で隣合うことはできな
い; nは0〜1である; R1は水素、炭素原子10個未満の脂肪族炭化水素基、
または炭素原子10個未満のアシル基である;そして mは1〜3である。
本発明に使用される組成物は、Rが2価の炭化水素基例
えばメチレン、エチレン、デカレン、フエニレン、シク
ロヘキシレン、シクロペンチレン、メチルシクロヘキシ
レン、2−エチルブチレンおよびアレン、エーテル基例
えば−CH−CH−O−CH−CH−;−(C
−CH−O)−CH−CH−; および−CH−O−(CH−、またはシロキサ
ン基例えば−CH(CHSi−O−;−(CH
(CHSi−O−; −CHO(CH(CHSi−O−であ
り; R1が炭素原子10個未満の脂肪族炭化水素基例えばメ
チル、エチル、イソプロピル、ブチル、ビニル、または
炭素原子10個未満のアシル基例えばホルミル、アセチ
ル、プロピオニルであつてもよい上記式のエポキシ−シ
ランを用いることができる。
本発明の最も好ましいエポキシ−シラン化合物は次の式
を有するものである: (式中、 R2およびR3は個別に、炭素原子1〜4個のアルキレン
基である;そして R4は水素または炭素原子1〜10個、より好ましくは
1〜4個のアルキル基である。
本発明の目的に有効な好ましいエポキシ−シラン化合物
の具体例は次の通りである: 上記のエポキシ−シラン化合物は既知の方法例えばW.
Noll著シリコーンの化学と技術(Chemistry and Te
chnology of Silicones)、アカデミツク出版(196
8年)、第171〜173頁、およびアメリカン・ケミ
カル・ソサイエテイ第81巻(1959年)第2632
に記載された方法に従つて合成できる。
本発明による、エポキシ−シラン化合物と親水性スルホ
ン化重合体からなる液状組成物を支持体ベース上に塗布
することによつて形成された帯電防止層は水にも写真処
理溶液にも不溶性になつたが、エポキシ−シラン化合物
が存在しない場合には容易に可溶であつた。
エポキシ−シラン化合物が帯電防止層を不溶性にするメ
カニズムの解説は確定的なものではないが、シラノール
基(シラン誘導体中に存在するか又はその加水分解によ
つて生成される)がヒドロキシル基を介してスルホン化
重合体と反応し、それから残りのヒドロキシル基を介し
て重合してポリシロキサンになる;または、エポキシ基
がスルホン化重合体と反応し、そしてシラノール基が重
合してポリシロキサンになる;またはエポキシ基がスル
ホン化重合体と反応し、そしてシランがその官能基によ
つて支持体ベース表面に固定される;またはそれ等メカ
ニズムの組合わせが作用して層を不溶化すると考えるこ
とが合理的であろう。
本発明の目的には、エポキシ基とシラン基の両方の存在
は欠くことができない。ポリグリシジルメタクリレート
のようにエポキシ基のみを有する化合物、またはエポキ
シ基以外の有機基例えばアミノ、メルカプト、ビニルま
たはアクリロイル基を有するシラン化合物は、まさに他
の架橋剤例えばグルタルアルデヒド、グリオキサール、
ジメチロール尿素、レゾルシノールアルデヒド、ジクロ
ロヒドロキシトリアジン等がそうであるように、帯電防
止層を不溶化しない。
本発明の2重層の帯電防止構造を作製する成分の割合は
帯電防止層を設けるべき具体的写真要素またはベースの
要素を満足させるように広く変動可能である。一般的
に、第1帯電防止層の親水性非拡散性スルホン化重合体
は支持体ベース1m2当り約0.05〜0.3g、好まし
くは約0.1〜0.15gの量で使用され、そしてシラ
ン/スルホン化重合体の重量比は約0.25〜約1、好
ましくは約0.4〜0.6の範囲にある。第2保護層を
形成する疎水性皮膜形成性重合体物質は一般に支持体1
m2当り約0.05〜0.5g、好ましくは約0.1〜
0.2gの量で使用される。本発明の帯電防止2重層構
造は親水性非拡散性スルホン化重合体に、エポキシ−シ
ラン化合物に、また疎水性皮膜形成性重合体物質に加え
てその他成分を含有することも可能である。例えば、公
知のように、各種目的に望ましいその他添加剤が導入さ
れてもよい:例えば、第1帯電防止層中に界面活性剤、
染料、可塑剤;第2保護層中にマツト剤、界面活性剤、
滑り剤。
本発明に有効な感光性および/または輻射線感受性層は
画像形成、印刷、医療および情報システムのような分野
における像形成および複製用に周知のものでよい。ハロ
ゲン化銀に加えて、フオトポリマー、ジアゾ、ビジキユ
ラー像形成組成物、およびその他システムを使用しても
よい。写真ハロゲン化銀乳剤はいろいろな含量のもので
あつてよく、またネガおよび/またはポジ作業である。
ハロゲン化銀乳剤の応答性はボラン、アミン、ポリエチ
レンオキシド、テトラアザインデン、ベンゾトリアゾー
ル、ハロゲン化アルカリ、フエニルメルカプトテトラゾ
ールおよび金、水銀および硫黄の化合物のような化学薬
品によつて増強されたり、安定化されたりしてもよい。
さらに、写真分野で公知の染料、現像剤改質剤、被覆力
重合体、界面活性剤、ラテツクス、硬膜剤およびその他
添加剤を写真ハロゲン化銀乳剤と共に使用してもよい。
次の実験作業により、本発明をよりよく説明することが
できる。本発明の各種層組成物を被覆するために使用し
た技術はドクターローラー法と呼ばれるものであつて、
それによるとフイルムベースは被覆性組成物(溶液形
態)含有槽に直接浸漬されずに、槽に浸漬しているフイ
ードローラーから被覆性組成物を受け取る。
本発明の支持体ベースは層毎に約60〜70℃の温度で
2〜3分間乾燥してから次の被覆性組成物を約350m
/hの被覆速度で被覆する。
本発明の支持体ベースまたはそれを有する本発明の写真
要素について帯電防止度試験を行つた。この写真要素は
片面に帯電防止層とその保護層を被覆して有する本発明
の支持体ベースの反対面にゼラチンハロゲン化銀乳剤
層、ゼラチン中間層および保護ゼラチン層を被覆して有
していた(特に、ハロゲン化銀乳剤層はカツプラー、分
光増感剤、硬膜剤、および当業者に公知の任意のその他
の有効な化学助剤、例えばフイルター染料、界面活性
剤、かぶり防止剤、安定剤等と組合わされている)。具
体的試験はカラーネガ用に通常のC41ラインで処理さ
れたカラーネガフイルムについて行つた。支持体ベース
とカラーネガフイルム(21℃、25%RHで15時間
コンデイシヨニングした)は抵抗率を測定することによ
つて評価された。不透明シミと「クレーター」は3Mカ
ラープリント100ASAフイルムの乳剤面と接触した帯
電防止層を裏面に担持している35mmベース2m長のサ
ンプルを巻き上げ、そして60℃、70%RHで3日間
コンデイシヨニングすることによつて評価された。人工
老化後、サンプルをC41プロセツシングラインで現像
し、そして不透明シミとクレーターを検出するためにサ
ンプル表面をレンズで走査した。
下記実施例で引用したポリスチレンスルホン酸はスルホ
ン酸基35〜40重量%を有し、そして非スルホン化重
合体についてベンゼン中で40℃で測定した固有粘度
0.85dl/gを有するものであつた〔これは、非スルホ
ン化重合体について測定した固有粘度が0.04〜1.
31dl/g(ベンゼン中、30℃で測定)の範囲にあり、
そしてスルホン酸基含有量が15重量%から35〜40
重量%の範囲にあるポリビニルトルエンスルホン酸、ポ
リインデンスルホン酸、(ブチルメタクリレート−ビニ
ルトルエンスルホン酸)共重合体、(ブチルアクリレー
ト−スチレンスルホン酸)共重合体、(エチルヘキシル
アクリレート−スチレンスルホン酸)共重合体、ポリビ
ニルスルホン酸およびポリビニルベンザル−2,4−ジ
スルホン酸を含めて、試験されたスルホン化重合体の中
で最も優れていた〕。これ等は公知の方法で、スチレン
重合体を1,2−ジクロロエタン中で約−10℃の温度
で、三酸化硫黄1モル当りジクロロエチルエーテル1〜
1.5モルを含有するジクロロエチルエーテル−三酸化
硫黄錯体と反応させ、それから一定撹拌下で室温まで温
度を上げることによつて合成された(米国特許第2,5
33,211号に記載されている方法と類似の方法
で)。
実施例1 次の配合によつて4種類の帯電防止被覆性組成物(A、
B、CおよびD)を調製した: (上面にゼラチン下引き層が被覆されている)三酢酸セ
ルロース支持体ベースの裏面の異なる箇処にそれぞれ上
記被覆性組成物を25cm/m2の量で被覆した。70℃で
2〜3分乾燥した後、各帯電防止層を次の配合の保護層
で被覆した: 三酢酸セルロース (g)4.5 塩化メチレン (ml)900 メチルセロソルブ アセテート ml)100 70℃で10〜12分間乾燥した後、前記のようにバツ
キング層の抵抗率を測定し、そして不透明シミと「クレ
ーター」の生成を評価した。
次の表は抵抗率の値並びに不透明と「クレーター」の評
価を示す。
2重層構成の帯電防止層はエポキシ−シラン化合物の存
在下で耐久性、耐摩耗性、非粘着性、水中および写真処
理溶中に不溶性であり、不透明シミと「クレーター」を
生成しなかつた。
実施例2 次の帯電防止被覆性組成物から、実施例1のように、帯
電防止バツキング層を有する支持体ベースを作製した: 次の表は上記の被覆性組成物によつて形成された第1帯
電防止層および実施例1に記載されていると同じ第2保
護層を有する支持体についての「クレーター」の存在の
評価を示す。
第1帯電防止層と第2保護層を有する支持体は本発明に
よるエポキシ−シラン化合物の存在下では「クレータ
ー」を生ぜしめることがなかつた。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の親水性帯電防止層によって被覆され
    た重合体支持体フィルムおよび該第1層上に被覆された
    第2の疎水性保護層からなる写真ベースであって、該第
    1層エポキシ−シラン化合物の存在下で親水性非拡散性
    スルホン化重合体を含む液状被覆性組成物を該支持体上
    に被覆することによって形成される、写真ベース。
  2. 【請求項2】該支持体フィルムが三酢酸セルロースであ
    る、特許請求の範囲第1項の写真ベース。
  3. 【請求項3】該親水性スルホン化重合体がポリスチレン
    スルホン酸である、特許請求の範囲第1項の写真ベー
    ス。
  4. 【請求項4】該親水性スルホン化重合体がポリビニルト
    ルエンスルホン酸、ポリインデンスルホン酸、(ブチル
    メタクリレート−ビニルトルエンスルホン酸)共重合
    体、(ブチルアクリレート−スチレンスルホン酸)共重
    合体、(エチルヘキシルアクリレート−スチレンスルホ
    ン酸)共重合体、ポリビニルスルホン酸またはポリビニ
    ルベンザル−2,4−ジスルホン酸である、特許請求の
    範囲第1項の写真ベース。
  5. 【請求項5】該疎水性皮膜形成性保護層が疎水性皮膜形
    成性重合体物質を含む液状組成物を被覆することによっ
    て形成される、特許請求の範囲第1項の写真ベース。
  6. 【請求項6】該疎水性皮膜形成性物質がセルロース誘導
    体である、特許請求の範囲第5項の写真ベース。
  7. 【請求項7】該セルロース誘導体が二酢酸セルロース、
    三酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸
    酪酸セルロース、メチルセルロースまたはエチルセルロ
    ースである、特許請求の範囲第6項の写真ベース。
  8. 【請求項8】該疎水性皮膜形成性重合体物質が合成重合
    体または共重合体である、特許請求の範囲第5項の写真
    ベース。
  9. 【請求項9】該合成重合体または共重合体がスチレン、
    ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルケトン、塩化
    ビニルおよびアクリロニトリルから選択された重合性モ
    ノマーの重合体または共重合体である、特許請求の範囲
    第8項の写真ベース。
  10. 【請求項10】該エポキシ−シラン化合物が式 (式中、 Rは炭素原子20個未満の2価の炭化水素基である; R1は水素、炭素原子10個未満の脂肪族炭化水素基、
    炭素原子10個未満のアシル基である; nは0または1である;そして mは1〜3である) のどちらかによって表わされる、特許請求の範囲第1項
    の写真ベース。
  11. 【請求項11】該エポキシ−シラン化合物が式 (式中、 R2及びR3は個別に、炭素原子1〜4個のアルキレン基
    である;そしてR4は水素または炭素原子1〜10個の
    アルキル基である) のどちらかによって表わされる、特許請求の範囲第1項
    の写真ベース。
  12. 【請求項12】該官能性エポキシ−シラン化合物がγ−
    グリシドキシプロピルトリメトキシ−シランである、特
    許請求の範囲第1項の写真ベース。
  13. 【請求項13】該エポキシ−シラン化合物がβ−(3,
    4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシ−
    シランである、特許請求の範囲第1項の写真ベース。
  14. 【請求項14】重合体フィルム支持体、該支持体の片面
    上の感光性像形成層少なくとも1層、および該支持体の
    反対面上の帯電防止層を含む写真要素であって、該帯電
    防止層が第1の親水性帯電防止層と該第1層上に被覆さ
    れた第2の疎水性保護層からなり、該第1層がエポキシ
    −シラン化合物の存在下で親水性非拡散性スルホン化重
    合体を含む液状被覆組成物を該支持体上に被覆すること
    によって形成される、写真要素。
  15. 【請求項15】感光性像形成層少なくとも1層で片面を
    被覆された重合体支持体フィルムを含む写真要素用の帯
    電防止層の作製方法であって、該支持体の反対面上に親
    水性非拡散性スルホン化重合体とエポキシ−シラン化合
    物を含む第1液状組成物を被覆し、そして被覆された組
    成物を乾燥して第1層を形成し、それから疎水性皮膜形
    成性重合体物質を含む第2液状組成物を被覆し、そして
    被覆物を乾燥して第2層を形成することからなり、該第
    2液状組成物の溶剤が第1被覆層の親水性スルホン化重
    合体を実質的に溶解できないことを特徴とする、 耐久性、耐摩耗性、非粘着性、および写真処理用水性処
    理浴による攻撃に対する耐性を有する帯電防止層の作製
    方法。
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