JPH0660046B2 - 重量グラウトモルタルおよびこれを用いた充填施工法 - Google Patents

重量グラウトモルタルおよびこれを用いた充填施工法

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JPH0660046B2
JPH0660046B2 JP62016262A JP1626287A JPH0660046B2 JP H0660046 B2 JPH0660046 B2 JP H0660046B2 JP 62016262 A JP62016262 A JP 62016262A JP 1626287 A JP1626287 A JP 1626287A JP H0660046 B2 JPH0660046 B2 JP H0660046B2
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保彦 阿部
悟 寺村
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,ポゾラン物質を含むポルトランドセメント
と,膨張性材料,減水剤および適量の発泡剤からなるグ
ラウト混和材料,並びに重量骨材と水を混合してなり,
モルタルの流動性が優れその材料分離が少なく且つフロ
ーの経時変化が少なくて,作業性,注入性の優れた,放
射線遮蔽壁,耐震壁,遮音壁,機械装置の基礎構造物な
どの注入用として適する重量グラウトモルタルおよびこ
れを用いた充填施工法に関する。
〔従来の技術〕
グラウトモルタルは,JIS R 5201に規定される通常のポ
ルトランドセメントと,膨張性材料,シリカ質微粉末お
よび分散剤等により構成されるグラウト混和材料並びに
通常の細骨材を適量加え,水と混合して作られ(例えば
特開昭52-150434号公報)るものであり,土木,建築分
野や,機械据え付け作業等の,基礎構造物と上部構造物
との間の空隙にこれを注入充填することにより,基礎構
造物と上部構造物を一体化させるのに一般に使用される
材料である。
かようなグラウトモルタルのうち,比重が大きな重量骨
材(3.0以上の比重をもつ細骨材)を用いた重量グラウ
トモルタルは,放射線遮蔽壁,耐震壁,遮音壁,機械装
置の基礎構造物などの注入用に適する材料である。
特開昭58-190859号公報は重量モルタルを得る場合の重
量細骨材として転炉風砕スラグが適することを教示して
いる。
重量グラウトモルタルの従来の一般的な充填施工は,充
填現場のモルタル注入口近くに混練プラントを設置し,
重量グラウトモルタルの混練物を作ったあと,これを直
ちに充填することが通常であった。その理由は,重量グ
ラウトモルタルでは時間を置くと材料分離を起こし易く
且つフローが低下する傾向が強かったからである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
前記のように従来の重量グラウトモルタルは,水と練り
混ぜた直後からフローダウンを生じ,特に練り混ぜ場所
からモルタル注入口までの運搬時間を要する場合には,
モルタル注入口において混練直後の流動性を保持できな
くなって,充填作業を困難にするばかりでなく,未充填
部分が発生して充填を不完全ならしめることにもなる。
このために,モルタル注入口近くの打設現場にプラント
を設置して練り混ぜ直後に充填作業を行なうことが必要
であった。このため,現場プラントが別途必要になると
共にバッチャープラントによる大量生産規模での正確な
管理ができ難く,作業面,品質面,設備面で数々の問題
が生じていた。
また,従来では無収縮性混和剤と減水剤を併用した重量
グラウトモルタルの使用が一般であったが,約3.7程度
の比重の重量骨材を使用しようとする場合には,セメン
トペーストの比重(約2程度)と骨材との比重差が大き
くなるので,所要の流動性を満足させるような配合を採
用して注入した場合に,上部にブリージング水が生じ下
部に重量骨材が沈降する材料分離現象が生じて強度低下
が生じるという問題があった。
特に,大型基礎構造物の重量グラウトモルタルの注入工
事,例えば原子炉の放射線遮蔽壁構築工事等では,注入
モルタルの発熱を抑える目的でポゾランを含有するポル
トランドセメントが使用することが有利となるが,使用
に供されるポゾラン物質,例えばフライアッシュ,シリ
カ,高炉水砕スラグなどは,モルタルの流動性を一層高
めるのでその材料分離現象は一層顕著となり,作業性や
注入性を更に悪化させるという問題が付随する。
本発明は,以下のような重量グラウトモルタルのもつ問
題点の解決を目的とするものである。
〔問題点を解決する手段〕
本発明は,ポゾラン物質含有ポルトランドセメント100
重量部に対し,グラウト混和材料7〜13重量部,比重が
3.0以上の重量骨材180〜300重量部を配合し,そして水
を加えてなる重量グラウトモルタル組成物であって、該
グラウト混和材料が7〜13重量%の減水剤および93〜87
重量%の膨張性材料と,この減水剤と膨張性材料の合計
に対して0.01〜0.05重量%の外割り量で添加された発泡
剤とからなることを特徴とする重量グラウトモルタルを
提供する。
そして,この重量グラウトモルタルを用いた充填施工法
として,該ポゾラン物質含有ポルトランドセメント,グ
ラウト混和材料および重量骨材を例えばバッチャープラ
ントにおいてから練りしたうえ,注水を2回以上に分け
て練り混ぜ,しかも該注水の間隔を少なくとも1分以上
あけて(以下回分式という)混練物を作り,この混練物
を例えばトラックミキサー車で充填現場に搬送して充填
施工に供することを特徴とする重量グラウトモルタルの
充填施工法を提供するものである。
以下に本発明の内容を詳細に説明する。
本発明に使用するポルトランドセメントは,JIS R 5210
「ポルトランドセメント」に規定されるもの,例えば,
普通・早強・超早強・中庸熱・等のポルトランドセメン
トを使用できるが,普通ポルトランドセメントが好まし
い。
ポルトランドセメントに含有されるポゾラン物質として
は,高炉水砕スラグ,フライアッシュ,シリカ,火山
灰,珪酸白土および珪藻土類などが挙げられるが,高炉
水砕スラグ,フライアッシュまたはシリカが好ましい。
このポゾラン物質の粒度については,JIS R 5211〜5213
に規定されている混合セメント用として使用されている
ものが好ましい。ポゾラン物質の含有量は,ポルトラン
ドセメント90〜40重量部に対しポゾラン物質10〜60重量
部の範囲で含有させたもの,すなわち,ポゾラン物質含
有ポルトランドセメント100重量部中に10〜60重量部の
範囲で含有するのが好ましく,フライアッシュおよびシ
リカでは10〜25重量部,高炉水砕スラグでは20〜60重量
部の範囲で含有するのが望ましい。
本発明に従うグラウト混和材料(以下,単に混和材料と
呼ぶことにする)は,減水剤,膨張性材料および発泡剤
からなる。
混和材料中で使用する減水剤は,変性リグニンスルホン
酸塩を主成分とするもの(以下,LSと呼ぶ)と,ポル
アルキルアリルスルホン酸塩のホルマリン縮合物を主成
分とするもの(同NSと呼ぶ)またはメラミンスルホン
酸塩のホルマリン縮合物を主成分とするもの(同MSと
呼ぶ)を併用したものが好ましい。LSの市販品として
は,例えば山陽国策パルプ社,商品名「バニレックス」
などが挙げられ,NSの市販品としては,例えば花王
社,商品名「マイティ」,第一工業製薬社,商品名「セ
ルフロー」などが挙げられ,MSの市販品としては,例
えば昭和電工社,商品名「メルメント」などが挙げられ
る。LSとNSまたはMSの併用割合は,LSが1重量
部に対し,NSまたはMSを1.2〜2.0重量部とするのが
よい。いずれにしても混和材料中の減水剤の量は7〜13
重量%の範囲で使用する。7重量%より少ないとモルタ
ルの流動性が悪くなり,13重量%を越えると流動性は良
くなるが,モルタル中の空気連行量が多くなり,材料分
離が生じる。
混和材料中で使用する膨張性材料としては,カルシウム
サルホアルミネート系膨張材(以下,CSA系膨張材と
呼ぶ)または石灰系膨張材が使用可能であるが,モルタ
ルの無収縮性や流動性の経時変化を考慮するとCSA系
膨張材が好ましく,とくに,遊離石灰を15〜40重量%含
有した粉末度5000〜9000cm2/gに調整したCSA系膨張
材が好ましい。この遊離石灰を含有したCSA系膨張材
は,一般式 3CaO・3Al2O3・CaSO4で表されるアウイン
(Hauyne),石膏(CaSO4)および遊離石灰(F-CaO)からなる
膨張成分を含有し,これらが水の存在下で,3CaO・Al2O
3・3CaSO4・32H2Oの一般式で表されるエトリンガントの
針状結晶を多量に生成して,またはそれと共にCa(OH)2
をも生成して,膨張力が発現するものである。
混和材料中の膨張性材料の量は93〜87重量%である。93
重量%を越えるとモルタルの流動性が悪くなり,87重量
%未満ではモルタル中の空気連行量が増すので望ましく
ない。
本発明で使用する発泡剤としては,アルミ粉,鉄粉等が
挙げられるが,モルタル硬化前に発泡効果のあるアルカ
リ粉末が最適である。発泡剤の量は減水剤と膨張性材料
の合計に対して0.01〜0.05重量%とするのがよい。0.05
重量%を越えると発泡が過大となってモルタル上部表面
がもろくなり,0.01重量%未満では発泡が少なく充填時
にモルタル上部に隙間が生じるので好ましくない。
また,以上の減水剤,膨張性材料および発泡剤に加え
て,混和材料中に粉末状の消泡剤,例えばサンノプコ社
の商品名「SNデェフォーマー」などを添加すると,本
発明の重量グラウトモルタルの流動性を向上させ,重量
グラウトモルタルの主目的であるモルタル比重を向上さ
せることができる。この消泡剤の添加量は混和材料に対
する外割で0.4〜1.2重量%が好ましい。
以上の構成になる本発明に従う混和材料の配合量は,ポ
ゾラン物質含有セメント100重量部に対し7〜13重量部
である。7重量部より少ないとモルタルの流動性が低下
し,その経時変化も大きくなって本発明の目的が達成で
きない。一方,13重量部を越える配合ではモルタル中の
空気連行量が多くなって材料分離が生じ易くなるので好
ましくない。
次に,本発明に使用する重量骨材は比重が3.0以上の細
骨材であり,一般には鉄粒,磁鉄鉱,砂鉄,赤鉄鉱,褐
鉄鉱,リン鉄,バライト(重晶石),転炉風砕スラグお
よび鋼繊維等が使用可能であるが,流動性,作業性など
の点から骨材の粒径が球形に近いものがよく,粒径は3
mm以下,特に平均1〜2mmのものが好ましい。例えば,
日本鋼管社の商品名「NKグリット」がある。
重量骨材の配合量はポゾラン物質含有セメント100重量
部に対し,180〜300重量部である。300重量部を越える
とモルタルの材料分離が激しくなり,180重量部未満で
はモルタル中のセメント量が相対的に多くなり,発熱が
大きくなるので好ましくない。
以上の構成になる本発明の重量グラウトモルタルは,後
記実施例に示すように,流動性に優れ,そのフロー値の
経時変化が少なく且つ材料分離も起きない。したがっ
て,複雑な構造を有する放射線遮蔽壁,耐震壁,遮音
壁,機械基礎など,重量モルタルを充填することが必要
な用途で作業性よく充填施工ができると共に,得られる
硬化体においても重量モルタルであるが故での均質性や
強度の低下がなく,優れた品質のものが得られる。
特に本発明の重量グラウトモルタルは,その練り混ぜの
さいに,ポゾラン物質含有ポルトランドセメント,グラ
ウト混和材料および重量骨材をバッチャープラントにお
いてから練りしたうえ,注水を少なくとも1分以上の間
隔を開けて回分式に行って混練物を作った場合には,そ
して,より好ましくは,その回分式に注水するさいに初
期の注水量よりも後記の注水量の方が多くなるように注
水した場合には,その後の練り置き時間を長くとっても
フローダウンが少なくまたブリージングや材料分離も生
じないので,この混練物を例えばトラックミキサー車で
充填現場に搬送して充填施工することも可能となる。
第1図は本発明の重量グラウトモルタルを適用して原子
炉の放射線遮蔽壁を充填施工した例を示したものであ
る。第1図において,1は原子炉圧力容器,2は本発明
の重量グラウトモルタルを使用して形成した放射線遮蔽
壁である。原子炉圧力容器1と放射線遮蔽壁2は下部構
造体3によって支持される。4はダイヤフラムフロア,
5は原子炉本体基礎ボルトを示す。放射線遮蔽壁2は,
原子炉圧力容器1の外側を取り巻く鋼製の二重円筒壁
(内壁6と外壁7とからなる)と壁間内に重量グラウト
モルタルを充填施工することによって形成される。
第2図は第1図の放射線遮蔽壁2の一部平面を拡大して
示したものであり,第3図は第2図のIII−III線矢視断
面部分に重量グラウトモルタルを注入している状態を示
している。図示のように,内壁6と外壁7からなる二重
円筒内を上下方向の仕切り板8によって充填区域を多数
に縦割り分割すると共に各縦割りされた各々の充填区域
内にも横方向の多数の仕切り板9によって横割りされる
小区域が形成される。図のハッチで示した部分が重量グ
ラウトモルタルを充填しようとする一つの縦割り区域を
示しており,施工はグラウトホース10をトッププレート
のグラウトホール11から一つの縦割り区域ごとに挿入す
ることによって行われる。第2図の12はエアーホール,
13はスカラップを示しており,第3図の15は充填面検知
器である。グラウトホース10は最下部までおろし充填が
進むにつれて徐々に引き上げるのであるが,本例のよう
に縦横の多数の仕切り板によって多数の小区域に区切ら
れる場合には,横仕切り板の下部あたりに空気だまりが
生じやすくなるので,流動性がよく且つブリージングの
発生しないグラウトモルタルでなければならない。しか
もこれを重量グラウトモルタルによって達成しようとす
るのであるからなおさらである。本発明に従う重量グラ
ウトモルタルはこの要求を十分に満足することができ
た。
そして,この充填施工は,第3図に図解したように,練
り混ぜはバッチャープラント16で大容量で行い,これを
トラックミキサー17で現場の簡易注入プラント18に輸送
するという練り置き時間を必要とする工程によって実施
することができた。そのさい,練り混ぜ手順として注水
を少なくとも1分以上の間隔をあけて回分式に行なうと
共に,注水量は始めが少なく終わりに多くすると,本発
明に従う重量グラウトモルタルはより安定してフロー値
の経時変化のない高流動性のものが得られ,一層練り置
き時間を長くすることができることがわかった。
前記の施工に使用した練り混ぜ手順の一例を示すと次の
とおりである。
練り混ぜ手順 後記実施例の表1に示した実験No.3に相当する材料配
合をバッチャープラント16において次のようにして行っ
た。まず,ポゾラン物質含有ポルトランドセメント,グ
ラウト混和材料および重量骨材をバッチャープラントに
おいてから練り(水無添加の状態で混練り)を約30秒間
行い,10分据置いたあと,添加総水量のうちの15%の水
を添加して約1.5分間混練する操作を続けて2回行い,
第3回目も15%の水を添加して約2分間混練することに
よりここまでで合計45%の水を添加し,引き続いて残部
の55%の水を一度に添加して1分間混練して混練成品と
した。
そして直ちにフロー試験を行ったうえ,容量が4〜6m
3のトラックミキサーによって現場の簡易プラントに搬
入した。練り混ぜから充填施工完了までの塗り置き時間
は約1時間となったが,前例の放射線遮蔽壁2の充填施
工が良好に実施できた。
第4図は,以上の練り混ぜ手順によって練り混ぜた混練
製品(○印)の練上り経過時間とフロー低下率の関係
を,後記の実施例中に示す試験No.3の実施例の配合材
料を当初から配合水の全部を一度に添加して練り混ぜた
以外は同じ材料配合の混練製品(●印)のフロー低下率
の関係と対比して示したものである。第4図から明らか
なように,本発明法に従って本発明の重量グラウトモル
タルを練り混ぜるとフローの低下率は低くなり,練り置
き時間を約1時間おいても十分な流動性を示すことがわ
かる。
したがって,本発明によると,練り置いてもフローダウ
ンと材料分離が極めて少なく且つブリージングも生じな
いので,特に大型の複雑な重量グラウトモルタルの充填
工事において,以下のような施工上の有益な効果が発揮
される。
(a).練り量を多くすることができる。従来では夏場の
フローダウンが大きいので練り混ぜ量を少なくしこまめ
に搬送または注入を必要としたが,本発明によると大容
量で練り混ぜ大型のアジテータ車を使用して搬送できる
ので搬送が容易化すると共に一回に打設量が多くなるの
で,注入作業に切目がなくなり,注入時間が短縮され
る。
(b).グラウト注入現場には現場用ミキサーを設置しな
くてもよいので,それによる作業員の確保および現場プ
ラントが極めて簡素化する。また,注入用ポンプが小さ
くて済み且つ注入躯体の注入孔も小さくてよい。
(c).1工区当りの打設面積が広くとれるので,打設区
域数を少なくすることができ,工期が短縮できる。ま
た,許容注入圧の半分以下の注入圧でも打設が可能であ
る。
次に,本発明に従う重量グラウトモルタル組成物の特性
を比較例と対比しながら以下の実施例によってさらに詳
しく説明する。実施例および比較例に示す百分率は特に
記載しない限り,それぞれ重量%,重量部を表す。
実施例1 LS:NS=4:6とした減水剤10部および膨張性材
料90部に,減水剤と膨張性材料の合計に対して0.02%
の発泡剤を添加した混和材料と,ポゾラン物質含有ポル
トランドセメント100部に対して200部となる割合の重量
骨材とを用いて,表−1に示す配合でモルタルを作成
し,フロー値および材料分離の測定を行った。結果を表
−1に併記した。
尚,各材料の混合方法および試験方法は次の通りであ
る。
混合方法 ペール缶中に所定の水量を計量し,ミキサーで撹拌(900
rpm)しながら,グラウト混和材料,ポゾラン物質,ポル
トランドセメントおよび重量骨材の順に投入し,2分間
練り混ぜた。
試験方法 フロー試験:JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に
規定されるフロー試験により測定した。
材料分離判定:モルタルを内径5cm,高さ10cmの円筒型
枠に充填し,硬化後型枠底部より5cmの高さで切断し,
硬化モルタルの上部と下部の比重を測定して判定した。
使用材料 ポルトランドセメント(c):普通ポルトランドセメント
(電気化学工業社製),比重3.16 ポゾラン物質(PS):高炉水砕スラグ(新日鉄社製)比重
2.80 〃 (PF):フライアッシュ(常磐火力社製)比
重2.11 混和材料(A) : 膨張性材料(E) :CSA系膨張材(電気化学工業社
製), 比重2.96 粉末度6970cm2/g,遊離石灰29.2% 減水剤(WS):山陽国策パルプ社「バニレックス」 減水剤(WM):花王社「マイティー100」 発泡剤(B) : アルミ粉末(福田金属社製) 重量骨材(G1):転炉風砕スラグ,日本鋼管社「NKグリッ
ト」,比重3.69 重量骨材(G2):鉄粒系(比重4でFM2.85に調整したも
の) 重量骨材(G3):磁鉄鉱系(比重3.5でFM2.73に調整した
もの) 表−1において,実験No.1およびNo.5は比較例を示
し,他は実施例を示す。実験No.1ではモルタルのフロ
ー値およびその経時変化が悪くなり,実験No.5ではモ
ルタルが材料分離を生じ,硬化モルタルの上部と下部の
比重差が大きい。
実施例2 PFを20%含有するポゾランセメントを使用し,重量骨材
の種類および量を変化させ,表−2の配合用いた以外は
実施例1と同様に行った。
結果を表−2に併記した。
実施例3 実験No.3の配合を用い,表−3に示すように混和材料
を変化させた以外は実施例1と同様に行った。結果を表
−3に示す。
表−3において,比較例である実験No.29,No.31および
No.34では,モルタルが材料分離を生じ,硬化モルタル
の上部と下部の比重の差が大きい。
また,比較例である実験No.30,No.32およびNo.33では
モルタルのフロー値が低く,その経時変化も悪い。
実施例4 膨張性材料としてCSA系膨張材の粉末度と遊離石灰量
を変化させて使用し,さらには石灰系膨張性材料を使用
した以外は,実施例1と同様に行った。結果を表−4に
示す。
なお,石灰系膨張性材料としては,小野田セメント社の
商品名「エクスパン」(遊離石灰:24.8%,粉末度:62
30cm2/g,比重:3.04)を使用した。
表−4中の膨張収縮率はJIS A 6202に準じ,拘束膨張量
を20℃水中養生で測定した。
実施例5 充填施工において無収縮性という観点から基礎構造物と
上部構造物との密着性が重要な要件となるので,CSA
系膨張材の粉末度と遊離石灰量を変化させて使用した場
合の初期膨張並びにフロー値をさらに試験した。配合は
前記の実験No.3のものと同様にした。その結果を表−
5に示す。
初期膨張収縮試験は,土木学会規準膨張コンクリート設
計施工指針(案),付属書「膨張材を用いた充てんモル
タルの膨張率試験方法」に準拠した。表−5において+
は膨張,−は収縮を示す。
以上のように,本発明によれば,従来品よりもモルタル
の流動性が優れ,そのフロー値の経時変化が少なく,材
料分離もなく,作業性,注入性の優れた重量グラウトモ
ルタル組成物が得られた。
本発明の重量グラウトモルタルは,高流動性でそのフロ
ー値の経時変化が少なく且つ材料分離がなく,練り置き
時間を十分にとることができるので,複雑な構造を有す
る放射線遮蔽壁,耐震壁,遮音壁及び機械基礎の基礎構
造物などの注入用として極めて有効な重量グラウトモル
タル組成物である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に従う重量グラウトモルタルを用いて充
填施工した放射線遮蔽壁の例を示す略断面図,第2図は
第1図の放射線遮蔽壁の一部拡大平面図,第3図は第2
図のIII−III線矢視断面図,第4図は本発明に従う練り
混ぜ手順を採用した場合の練り置き時間とフロー低下率
との関係を比較例と対比して示した図である。 1……原子炉圧力容器,2……放射線遮蔽壁,10……
グラウトホース,16……バッチャープラント,17…
…トラックミキサー,18……簡易注入プラント。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 22:14 D 2102−4G 24:18 B 2102−4G 24:22 D 2102−4G 22:04 2102−4G 14:30) 2102−4G (72)発明者 阿部 保彦 東京都調布市飛田給2丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 寺村 悟 新潟県西頚城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内 (72)発明者 柿迫 周二 新潟県西頚城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポゾラン物質含有ポルトランドセメント10
    0重量部に対し,グラウト混和材料7〜13重量部,比重
    が3.0以上の重量骨材180〜300重量部を配合し,そして
    水を加えてなる重量グラウトモルタル組成物であって, 前記のグラウト混和材料が,7〜13重量%の減水剤およ
    び93〜87重量%の膨張性材料と,この減水剤と膨張性材
    料の合計に対して0.01〜0.05重量%の外割り量で添加さ
    れた発泡剤とからなることを特徴とする重量グラウトモ
    ルタル。
  2. 【請求項2】ポゾラン物質含有ポルトランドセメント
    は,ポルトランドセメント90〜40重量部に対しポゾラン
    物質を10〜60重量部混合したものである特許請求の範囲
    第1項記載の重量グラウトモルタル。
  3. 【請求項3】減水剤は,変性リグニンスルホン酸塩を主
    成分とするもの1重量部と,ポリアルキルアリルスルホ
    ン酸塩のホルマリン縮合物を主成分とするものまたはメ
    ラミンスルホン酸塩のホルマリン縮合物を主成分とする
    もの1.2〜2.0重量部とからなる特許請求の範囲第1項ま
    たは第2項記載の重量グラウトモルタル。
  4. 【請求項4】膨張性材料は,遊離石灰を15〜40重量%含
    有し,粉末度5000〜9000cm2/gに調整してなるカルシウ
    ムサルホアルミネート系膨張材である特許請求の範囲第
    1項,第2項または第3項記載の重量グラウトモルタ
    ル。
  5. 【請求項5】ポゾラン物質含有ポルトランドセメント10
    0重量部に対し,グラウト混和材料7〜13重量部,比重
    が3.0以上の重量骨材180〜300重量部を配合し,そして
    水を加えてなる重量グラウトモルタル組成物であって,
    前記のグラウト混和材料が,7〜13重量%の減水剤およ
    び93〜87重量%の膨張性材料と,この減水剤と膨張性材
    料の合計に対して0.01〜0.05重量%の外割り量で添加さ
    れた発泡剤とからなるものである重量グラウトモルタル
    を用いた充填施工において, 該ポゾラン物質含有ポルトランドセメント,グラウト混
    和材料および重量骨材をから練りしたうえ,注水を2回
    以上に分けて練り混ぜ,しかも該注水の間隔を少なくと
    も1分以上あけて混練物を作り,この混練物を充填現場
    に搬送して充填施工に供することを特徴とする重量グラ
    ウトモルタルの充填施工法。
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