JP2000044317A - コンクリ―ト構築物の構築方法とそのコンクリ―ト - Google Patents

コンクリ―ト構築物の構築方法とそのコンクリ―ト

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JP2000044317A
JP2000044317A JP11139856A JP13985699A JP2000044317A JP 2000044317 A JP2000044317 A JP 2000044317A JP 11139856 A JP11139856 A JP 11139856A JP 13985699 A JP13985699 A JP 13985699A JP 2000044317 A JP2000044317 A JP 2000044317A
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silicate
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constructing
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Mitsuyoshi Watanabe
光良 渡邊
Takashi Tabata
隆司 田畑
Hiroshi Onodera
浩 小野寺
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Fuji Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】コンクリート構造物を構築する際,凝結促進剤
としてアルカリ珪酸塩を用いることにより、型枠資材を
減少させ、作業性及びコンクリート自体の物性を改善す
る。 【構成】凝結促進剤としてアルカリ珪酸塩を用いること
により、コンクリート打設後に型枠に作用する側圧を短
時間で低下させ又はそれをなくすことができるので、型
枠資材の使用量を減少させることができる。また、凝結
促進剤を凝結遅延剤と組み合わせて使用するにより、凝
結時間を制御する。このような制御により、コンクリー
ト構造物の構築作業が大幅に短縮される。更に、水和反
応の促進により、初期強度の向上し、初期凍害を受けに
くくなることなど、コンクリート自身の物性が大幅に向
上される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンクリート構造物用
材料に関し、特に、凝結促進剤を含みその凝結速度を可
変することができるコンクリート構築物の構築方法とそ
のコンクリートに関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリートは、流動性・可塑性をある
時間内で保持するが、やがて凝固し高強度の固体になる
物性を有している。このような物性があるコンクリート
は、これを型枠内に流し込みその形を整えて固体化する
ことができ、また、その材料は大量にあって材料費が安
価であり、成形性とコストの両面ですぐれているので、
建築構造材料として広く大量に用いられている。コンク
リートの物性として一般的に要求される物性は、打設前
には流動性が高く打設後の硬化速度が速いことである。
【0003】このようなコンクリートで構築物を作ると
きの打設方法は、堰板と支保工で構成される鋳型を作る
のが一般的であるが、金属、樹脂等の成形方法と異な
り、建築現場で多くの型枠材を用いて型枠を組み上げる
作業が必要である。建築現場では合板等から作られた型
枠、コンクリート等の搬入材は、それらの30%が最終
的にその現場から搬出しなければならない搬出材であ
る。
【0004】この搬出入からわかるように、搬入・搬
出、型枠組立・脱型の作業に要する人員と時間が膨大で
あり、経済的負担とエネルギーロスが大きく効率が悪
い。このため、型枠組立・脱型の作業時間数を減少させ
ることが望まれている。また、使い回しが困難である型
枠用木材が大量に使用され、同時に、大量の廃材が生
じ、自然環境保全からも問題がある。
【0005】型枠材料の使用量を減らすには型枠の回転
率を高くすれば良い。このためには、コンクリートの凝
結・硬化時間を短縮して型枠の使用回転効率を高くすれ
ばよいが、コンクリートの凝結・硬化時間を短縮するだ
けでは、かえって作業上不都合が生じることもよく知ら
れている。
【0006】コンクリート打設のための充分な作業時間
が確保されれば、このような短縮による不都合はない
が、作業時間が確保できない場合には、打設できなくな
ったり、締め固めができなくなったり、仕上げができな
くなったりする不都合が生じ、特に、CSA系のセメン
トはこれを使用することができなくなるという不都合が
ある。
【0007】コンクリートを型枠に打設したとき、コン
クリートにより加圧される型枠の側圧は、凝結が開始す
るまでは大幅には低下しない。コンクリートが液状であ
る間は、水等の液体と同様に型枠の側圧はコンクリート
の比重に高さを乗じた値である。コンクリートの比重は
2.3程度で一定であるから高さに比例してその側圧が
大きくなる。
【0008】このような側圧に耐えられないで、堰板が
破裂し大事故に至ることがある。この側圧を著しく小さ
くするには、打設後に直ちに硬化させるための硬化促進
剤を混入させたコンクリートが最も理想的である。しか
し、打設直後に硬化させる硬化促進剤は、建築現場にお
ける打設作業のスケジュールを著しく制約するので、一
般的なコンクリート構築物には利用できない現状であ
る。
【0009】また、一般にコンクリート構造物を構築す
る際に構築現場で使用されるコンクリートは、その水/
セメントで表される比により、強度、耐久性、耐水性、
耐凍害性等の諸物性が変化することが知られており、特
に、添加水量が一定以上になると収縮により構造体に亀
裂を招くことが知られている。添加水量を少なくする
と、コンクリートとしての流動性が低下する。コンクリ
ートの流動性確保のため、しばしば、界面活性剤等の減
水剤が使用されるが、これらを使用した場合、凝結時間
が一般に遅延することが知られている。
【0010】高層ビルなど特に強度が必要なコンクリー
ト構造物を構築する際には、高性能の減水剤が用いられ
るから、凝結時間の遅延が大きい。このため、午前中に
コンクリート打設を行っても、その後に行う左官工事な
どの仕上げ作業が深夜になってからでないと行えないな
どの欠点もあり、作業性の低下を招き、労働者に時間外
の無理な労働を強いることにもなる。
【0011】また、この凝結時間の遅れにより寒冷地で
は、コンクリートに混練した水がセメントと水和反応し
ないままで残り未水和水が凍結し凍害を引き起こす。凍
害にかかったコンクリートは、体積膨脹による硬化不良
の原因になるため、寒中に打設したコンクリートは打設
後の管理には莫大な暖房エネルギーを要し、大変な養生
経費が必要となる。
【0012】以上のことから考えると、更に望まれる建
築構造物用のコンクリートの理想的な物性は、打設作業
の前後でより充分な流動性・可塑性を有し、打設作業の
完了後にもある程度の可塑性を保持して打設のタイミン
グが余り制約されないように打設作業にある程度の時間
的余裕を持たせ、その余裕期間が過ぎてから急速に硬化
が開始されるようなある意味では矛盾した物性である。
【0013】このような物性に関係する硬化性を考慮し
て、凝結材が知られている。コンクリート材料を急速に
凝結させる急結剤として、塩化カルシウム系、アルミン
酸カルシウム系等を含むセメント急結剤が知られてい
る。冬季や工期短縮のために早期の強度を得たい場合に
は、凝結時間が短い超早強ポルトランドセメントのよう
なセメントも使用される。
【0014】又、セメントの凝結促進剤として、土木現
場で使用されるコンクリートに添加されるアルカリ珪酸
塩の1つである珪酸ソーダ(珪酸ナトリウム)が知られ
ている。軟弱地盤の改良、涌き水防止などのために、セ
メント・珪酸塩ソーダ系注入剤を地盤に注入する工法が
知られている。これらの地盤注入工法は,掘削工事の際
の止水工事などとして盛んに行われており,アルカリ珪
酸塩がセメントの急結剤として使用できることは広く知
られている。
【0015】ただし、これは、珪酸ソーダがセメント中
のカルシウムと反応してゲル化反応を起こすことを利用
したものであり、これらの注入剤は、地盤に対する浸透
性が必要であるために、通常、セメントに対して100
%以上のような大量の水が配合される。このため、この
ような配合で造られた固化体は空中に放置しておくと、
極端に収縮したり、崩壊したりするので、建材そのほか
の構造材料としては使用されない。
【0016】アルカリ珪酸塩が含まれるセメント系無機
質材は、日本国特許2652774号で提案されてい
る。この提案されたアルカリ珪酸塩の使用は、これとコ
ンクリート構成物のセメント物質との化学的な反応を行
わせるためであり、更には、木片、木毛、木質パルプ等
の木質補強材をセメントに混合したときに木質からしみ
出る糖質の溶出を阻害するためである。
【0017】日本国特開平6−263499号公報に
は、コンクリートに急結剤とこの急結剤のための遅延剤
としてホスホン酸を添加したものが提案されている。急
結剤としてセメントおよび無機混和材の2ないし25重
量%を添加し、この急結剤の一種として珪酸金属塩等を
使用する旨の記載があるが、どのような種類の珪酸金属
塩を使用するかは不明である。また、提案されたこの急
結剤のみの使用量では、コンクリートの凝結時間が数秒
から数分となる。従って、遅延剤としてホスホン酸を添
加したものである。
【0018】更に、またこれらのホスホン酸の遅延剤を
使用しても、実施例のスランプ試験(スランプコーンに
よるコンクリートの流動性の測定試験)によると数分〜
20分で凝結しており、建築構造物で使用するには硬化
が早く使用できない。従って、提案されたコンクリート
は、トンネル等の地盤の吹きつけ工法の代替であり、コ
ンクリート混練後ポンプで型に流し込める数十秒〜数十
分の間、流動性が保持されればいいというもので、一般
の建築構造物に使用できるものではない。
【0019】日本国特開平7−17749号公報には、
速硬性を有するコンクリートに流動化剤としてポリカル
ボン酸及び/又はポリカルボン酸塩を添加したものが提
案されている。これに、更にセメント及び無機混和材の
2ないし25重量%の急結剤を添加し、この急結剤の一
種として珪酸金属塩等を使用する旨の記載があるが、ど
のような種類の珪酸金属塩を使用するかは不明である。
また、この提案も前記した提案と同様に数十秒〜数十分
の間、流動性が保持されればいいというものであり、一
般の建築構造物に使用できるものではない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、既述の技術
に見られる背景技術に基づいてなされたものであり、次
のような目的を達成する。本発明の目的は、凝結速度が
速いコンクリート構築物の構築方法とそのコンクリート
を提供することを目的とする。本発明の更に他の目的
は、凝結速度が速く、しかも凝結開始後にも可塑性を長
く維持することが可能なコンクリート構築物の構築方法
とそのコンクリートを提供することを目的とする。
【0021】本発明の更に他の目的は、コンクリートを
打設した後ある程度の時間が経過し、その後の硬化反応
速度が速いコンクリート構築物の構築方法とそのコンク
リートを提供することを目的とする。本発明の更に他の
目的は、コンクリートを打設した前後の時間帯では十分
な流動性・可塑性を保持し、ある程度の余裕時間が経過
した後に硬化速度が速くなるコンクリート構築物の構築
方法とそのコンクリートを提供することにある。
【0022】本発明の更に他の目的は、型枠材の使用量
を減少させ作業性を向上させるように水和反応促進によ
るコンクリートの初期物性を改善することができるコン
クリート構築物の構築方法とそのコンクリートを提供す
ることにある。本発明の更に他の目的は、コンクリート
構造物を構築する際に水和反応を促進させることにより
コンクリートの初期物性を向上させることができるコン
クリート構築物の構築方法とそのコンクリートを提供す
ることにある。本発明の更に別な目的は、可塑性を保持
しながら凝結を継続させるコンクリート構築物の構築方
法とそのコンクリートを提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明によるコンクリー
ト構築物の構築方法は、少なくともセメントと骨材、及
び水を混合した硬化前のコンクリートにアルカリ珪酸塩
を混合し、前記アルカリ珪酸塩を含んだ前記コンクリー
トを所定の形状・寸法に保ち前記コンクリートが適当な
強度に達するまで支持する仮設構造物である型枠に打設
して構築物を構築するものである。
【0024】本発明の構築物用コンクリートは、少なく
ともセメントと骨材、及び水を混合した硬化前のコンク
リートであって、前記コンクリートにアルカリ珪酸塩を
前記セメントに対して固形分換算で重量比0.2%以上
5.0%以下の量を添加したものである。望ましくは、
0.2%以上2.0%以下の量を添加したものが良い。
【0025】本発明によるコンクリート構築物の構築方
法とそのコンクリートは、コンクリートの凝結を促進さ
せるために凝結促進剤を用いることである。その凝結促
進剤は打設時に用いられ、水雰囲気中でゲル状粒子を生
成させるゲル状粒子生成剤を含む。その凝結促進剤は、
ゲル状粒子を生成するアルカリ珪酸塩である。
【0026】本発明でいうセメントとは、ポルトランド
セメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シ
リカセメント、アルミナセメント等の無機質の膠着物で
あり、水を混和して硬化するものである。更に、これら
のセメントにシリカヒューム、シリカ、フライアッシ
ュ、スラグ等の無機混和材を混合した混合セメントであ
っても良い。本発明でいう骨材とは、砂、砂利、砕石等
のような粒状材料を指し、粒度の大きさから言えば粗骨
材、細骨材等と呼ばれれているものである。また、水は
不純物が少ない通常の清水を用いる。従って、本発明で
いうコンクリートとは、セメント、水、骨材を練り混ぜ
た未硬化のセメントコンクリート、及びセメント、砂、
水とからなる未硬化のセメントモルタルの両方をも含む
概念である。
【0027】本発明で用いるアルカリ珪酸塩は、二酸化
ケイ素と金属酸化物からなる化合物であり、無害であり
コスト上昇を招かない。アルカリ珪酸塩は、水に可溶性
であり打設時に存在する水雰囲気中で粗なゲル状粒子膜
を形成する。ゲル状粒子膜とは、ある微小空間を閉じて
囲む層ではなく、微小空間を閉じない層、結晶、網状膜
であり、粒子状、島状に立体的に分布・分散してその微
小空間又はその微小空間にあるセメント粒子を緩く囲む
層であり、一種の浸透膜を形成して、水を通しやすいが
セメント粒子集合体の可塑性を保持するゲル状体をい
う。したがって、ゲル状粒子の間には水が浸透しうる隙
間が多く形成されている。
【0028】隙間の多少は、ゲル粒子の密度分布、分散
度による。その密度分布、分散度は、ゲル状粒子生成物
の混合率による。また、それは、アルカリ珪酸塩のアル
カリ/珪酸のモル比による。モル比は、1/8〜1/
0.5であると有効であり、更に好ましくは、1/4〜
1/2であると良い。アルカリ珪酸塩としては、珪酸ソ
ーダ(又は珪酸ナトリウムともいう。Na2O・nSi
2・mH2O)、珪酸カリウム(K2O・nSiO2・m
2O)、珪酸リチウム(Li2O・nSiO2・mH
2O)、珪酸セシウム(Cs2O・nSiO2・mH
2O)、珪酸ルビジウム(Rb 2O・nSiO2・mH
2O)、第4級珪酸アンモニウム(R2N・nSiO2
mH2O、但しRはアルキル基を意味する。)の群から
選択される1種又は2種以上を含むものである。但し、
nは、モル比、Rはアルキル基を意味する。この中で珪
酸カリウムと珪酸ソーダ(ナトリウム)から選択される
1種又は2種を含むものが特に好ましい。
【0029】アルカリ珪酸塩は、無水ガラス、結晶の中
に水を含有する(水和水)もの、液状珪酸ナトリウム
(日本工業規格JIS-1408)のような水溶液状態等の状態
が知られているが、本発明に用いるアルカリ珪酸塩は、
水に溶けない無水ガラスを除く何れの状態のものも使用
できる。アルカリ珪酸塩の量は、主成分であるセメント
に対して固形分換算で重量比0.2%以上5.0%以下
が良い。好ましくは、アルカリ珪酸塩の量は、主成分で
あるセメントに対して固形分換算で重量比0.2%以上
2.0%以下が好ましい。コンクリートの凝結促進のた
めのこのような範囲の有効性は、2.0%よりも多くて
もその有効性が少なくなるという消極性にあるのではな
く、0.2%の微量の添加により凝結促進効果が著しく
発揮されるという積極性にある。但し、これらのアルカ
リ珪酸塩の添加量は、セメントに無機混和材を含まない
ものに対する量を意味する。
【0030】本発明に係るコンクリートは、コンクリー
ト凝結促進剤としてアルカリ珪酸塩を使用することによ
り、コンクリートの凝結時間を短縮できるだけではな
い。現在使用されているコンクリート用凝結促進剤は、
ポットライフが短く、硬化反応が開始されるとすぐに型
込めできなくなる。これに対して本発明のコンクリート
は、反応開始後もしばらくの間は可塑性を持つという特
徴がある。このため、打設時間帯を拡大することができ
るので作業性が飛躍的に良くなる。
【0031】一般的にはコンクリート打設前後には、コ
ンクリートは流動性・可塑性がある方が好ましい。ゲル
状粒子の隙間から水が浸透する。ゲル状粒子の存在は、
水の流動性をむしろ失わせるが、長い時間に亘って水を
通し続けるので、硬化完了までの長い時間帯でみれば、
硬化時間を短縮する。即ち、硬化反応の本体である水和
反応を長い時間間隔で停滞させず阻害しない。
【0032】従って、むしろ、本発明のコンクリート
は、セメントの凝結を遅らせる各種凝結遅延剤と組み合
わせることにより、硬化開始時間を遅らせることが好ま
しい。セメントの凝結を遅らせる凝結遅延剤は、有機系
のリグニンスルホン酸塩、グルコン酸塩、ポリオール
類、無機系のケイフッ化物等の公知のものを用いる。ま
た減水剤と称される分散剤、界面活性剤等からなる混和
剤は、水の添加量が少ないときの生コンクリートの流動
性、即ちコンシステンシー、ワーカビリチーを向上させ
るために用いられる。減水剤によっては、セメントの凝
結を遅延させる凝結遅延剤の役割を果たすので、本発明
ではこれらの特徴を有するものを凝結遅延剤としても利
用する。
【0033】凝結遅延剤とアルカリ珪酸塩を未硬化のコ
ンクリートに同時添加すると、コンクリートの凝結の初
期プロセスで流動性がより強く保持される。その流動性
が低くなる中期・後期の凝結プロセスでアルカリ珪酸塩
の凝結促進性が急速に発揮され、結局、最終プロセスま
での凝結時間は遅延しない。一般的に市販され使用され
ている凝結遅延剤は、セメントに対して固形分換算で重
量比0.2%よりも多く2.0%よりも少ない量添加し
たものが良い。但し、これらの添加量は、セメントに無
機混和材を含まないものに対する量を意味する。
【0034】但し、アルカリ珪酸塩は、これ自体が初期
に流動性を保持しその流動時期を越えると凝結速度が急
速に上昇する性質があり、この性質は遅延剤と同様な作
用である。遅延剤とアルカリ珪酸塩は、似たような性質
が相乗的に発揮され、凝結性と流動性の関係を時間的に
好みの通りに制御することができる。この場合、遅延剤
の添加はアルカリ珪酸塩の添加よりも時間的に先行する
ことが一般的には好ましい。
【0035】硬化時間は最終的に短縮し、又、タイムリ
ーに打設するから、結果として、構築時の型枠材の使用
量を減少させることができ、コンクリート構造物の構築
の作業性も向上させることができる。型枠支保材の使用
量も減少する。コンクリート構造物の初期凍害の防止性
が著しく向上することも実験室レベルでは突き止められ
ている。
【0036】このように、本発明のコンクリート構造物
の構築方法とそのコンクリートは、凝結速度が速いが可
塑性保持時間が長い、一定時間後に急速に水和・硬化反
応が進む、既述した速度制御により打設工事の時間帯・
スケジュールを自由に設定することができる、という利
点がある。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明によるコンクリート構造物
用材料は、コンクリート構造物を構築する際、凝結促進
剤であるゲル生成剤としてアルカリ珪酸塩を用いること
が好ましい。凝結時間を短縮することにより、型枠資材
の使い回しを行えるため、型枠資材の使用量を減少する
ことができるだけでなく、その凝結促進効果により、打
設後の早い時期から、堰板の側圧が低下または零になる
ため、支保工を減少させることができる。
【0038】JASS5(日本建築学会建築工事標準仕
様書・鉄筋コンクリート工事)では、型枠の存置期間は
基礎・梁側・柱及び壁の堰板で、「コンクリートの圧縮
強度が5N/mm2以上に達したことが確認されるまで
とする。」と規定されており、この仮設構造物である型
枠の設置期間は、例えば、高炉セメントB種(日本工業
規格)では、20℃以上で5日、20℃未満10℃以上
では8日である。これを20℃以上では、約5時間程
度、20℃未満10℃以上では約12時間程度に短縮で
きる。
【0039】即ち,初期強度の立ち上がりを著しく促進
し、短期間に5N/mm2以上にすることが出来る。ま
た、従来技術でも述べたように、打設後のコンクリート
が液状である間は、堰板の側圧は高さが高くなればなる
程大きくなるが、本発明の方法によれば、適当な作業時
間を確保出来、しかも、打設後は速やかに凝結が開始さ
れるので、堰板の側圧は急激に減少する。
【0040】また、高層ビルなど特に強度が必要なコン
クリート構築物を構築する際に使用されている高性能減
水剤のようなコンクリートの凝結に対して、遅延効果が
大きいものを添加した場合、コンクリート打設後の凝結
が大幅に遅れる。このために、左官作業のような仕上げ
作業が深夜になってからでないと行えないなどの作業性
の低下が起きるが、このような作業性の低下を凝結促進
効果によって改善することができる。
【0041】一般に、セメントと水が反応するときに、
セメントに含まれる硫酸カルシウムが、セメントの水和
凝結成分である珪酸またはアルミン酸カルシウム粒子の
表面と反応して緻密な保護膜が生成し、水和反応が抑制
されるとされているが、アルカリ珪酸塩を凝結促進剤と
して用いた場合、これら粒子の表面に硫酸カルシウムよ
りも粗な構造の珪酸塩、又は珪酸塩系のゲル膜が形成さ
れるため、セメント粒子内部への水の侵攻を促進し、セ
メントそのものの水和反応が促進される。このことによ
り、打設後の早い時期から型枠を外すことができるだけ
でなく、未反応の空隙水が減少するため、コンクリート
構造物の初期凍害防止性を著しく向上させることができ
る。
【0042】一方、一般にセメント急結剤として使用さ
れている塩化カルシウムやアルミン酸カルシウム系など
の凝結促進剤などでは、凝結反応が速すぎるために、早
期にモルタルの流動性が失われるため、打設が困難であ
る。しかし,アルカリ珪酸塩を凝結促進剤として用いた
場合は、凝結反応が開始した後でも、チキソトロピー性
をもつため、型枠への流し込みが可能になる。
【0043】つまり、上記の作用を得るためには、凝結
促進剤としてアルカリ珪酸塩を用いなければならない。
ここでいう凝結促進剤としてのアルカリ珪酸塩は、無水
ガラス状のものを除き、アルカリ/珪酸塩のモル比が1
/0.5〜1/8までの珪酸ソーダ(Na2O・nSi
2・mH2O)、珪酸カリウム(K2O・nSiO2・m
2O)、珪酸リチウム(Li2O・nSiO2・mH
2O)、珪酸セシウム(Cs2O・nSiO2・mH
2O)、珪酸ルビジウム(Rb2O・nSiO2・mH
2O)、第4級珪酸アンモニウム(R4N・nSiO2
mH2O、但しRはアルキル基を意味する。)の群から
選択される1種以上を、単独又は混合して用いる。
【0044】入手の容易さ、経済性を考慮すると、特に
好ましくは、モル比1/2から1/4までの珪酸塩ソー
ダもしくは珪酸塩カリウムが望ましい。 また、これら
のアルカリ珪酸塩は、液状珪酸ソーダ(JISK-1408、日
本工業規格)の水溶液を噴霧乾燥等の手段により乾燥さ
せた粉末、及び含水結晶のものを用いる。この理由はセ
メントとの反応性、水への溶解性から水溶液、乾燥粉末
のほか、メタ珪酸ナトリウム等の比較的水に溶けやすい
種類の結晶が好ましい。即ち、無水ガラスを除くアルカ
リ珪酸塩が望ましい。
【0045】凝結促進剤としてコンクリート構造物を構
築する際、用いるアルカリ珪酸塩の使用量はセメントに
対して、固形分換算で重量比0.2%より多く5.0%
より少ないことが好ましく、重量比0.2%より多く2
%より少ないことが特に好ましい。
【0046】この範囲以下では、凝結促進効果があまり
みられず、この範囲以上に添加しても凝結促進効果は変
わらない。添加方法としては、コンクリート練り混合時
に同時に添加してもよいが、遅延効果の大きい減水剤等
を使用しているコンクリートの凝結時間調整などの目的
で、施工現場で添加するようにセメント、骨材、水を混
合した後からアルカリ珪酸塩を添加混合して、凝結開始
時間の制御に利用してもよい。
【0047】凝結促進の物理・化学的推定 以下の推定は、実験結果を説明するための仮説的推定で
ある。比較例では、セメント粒子に含まれる水和凝結成
分である珪酸又はアルミン酸カルシウムの表面に対し
て、セメント粒子に含まれる硫酸カルシウムが物理化学
的に結合して、硫酸カルシウム粒子で形成される立体的
な膜が形成される。この膜は球面状の膜、球面状の網で
ある。
【0048】このような膜・網は、緻密に形成され、水
を通しにくい浸透膜を形成している。水を通しにくい物
理的化学的原因としては、その膜が緻密であると考えら
れるが、その膜が水に対して電気的に反発性を有してい
るという可能性も否定できない。これに対して、本発明
によるゲル状粒子は、網目が大きい膜を形成し、水の流
動を抑制しながらも長時間に亘って水の流動を可能とす
るので、初めは可塑性・流動性をよく保持するが、凝結
までの全体的な過程では、結局、凝結速度を速くする。
【0049】本発明の実施の形態では、凝結促進剤であ
るアルカリ珪酸塩が水中で自らゲル粒子を形成しセメン
ト粒子の周囲に緩く結合しあるいは自由に浮遊して、セ
メント粒子の周囲に粗な膜・網を形成している。このよ
うな膜・網は、粗に形成され、水を通し易い浸透膜を形
成している。水を通し易い物理的化学的原因としては、
その膜が粗であることであると考えられるが、その膜が
水に対して電気的に吸引性を有していることであるとい
う可能性も否定できない。その膜同士の水素結合によ
り、セメント粒子が凝固したような状態になるが、バイ
ブレーション等の外力でそれが壊れるため、チキソトロ
ピー性をもつということも考えられる。
【0050】比較例では、水和反応の速度は遅いがセメ
ント粒子は緻密な膜で覆われていて互いの運動が拘束さ
れ水和反応が僅かにでも進行すると急激にその流動性・
可塑性を失うのであると推定される。本発明の実施の形
態では、ゲル状粒子が水和的であり、その運動性が高い
ためにセメント粒子の運動性を高くし、その流動性・可
塑性を保持し続けるのであろうと推定される。更に、本
発明の実施の形態では、水が膜を浸透しセメント粒子と
水との水和反応による凝結反応が促進されてもゲル粒子
のゲル状態が維持されている限り、その流動性・可塑性
を保持するのであろうと推定される。
【0051】[実施例1]実験したコンクリートの配合
は,水/セメント比40%(重量比)、単位セメント量
400Kg/m3、細骨材率45%(重量比)、凝結遅延
剤/セメント比0.04%(重量比)、SiO2/Na2
Oのモル比が3.2である粉末の珪酸塩ソーダ4Kg、高
性能減水剤/セメント比0.5%(重量比)で練りあが
り温度20℃のコンクリートは、練り上げ後打設し実際
に型枠からはずせるようになった時間は、2時間であっ
た。なお、同様の配合で5℃のコンクリートは、3時間
であった。凝結遅延剤としては、通常、糖質有機系物質
が用いられる(商品名:ビンソールR、山宗化学製)。
【0052】[比較例1]粉末珪酸塩ソーダを使用しなか
った場合の上記配合での脱型可能な時間は、20℃では
24時間程度、5℃では48時間程度で脱型可能な状況
になる。従って、凝結促進剤として粉末珪酸塩ソーダを
使用した場合、初期硬化時間は、1/12〜1/16の
時間短縮となり非常な合理化につながることが判明し
た。
【0053】[実施例2]実施例1と同じ配合でのコンク
リートを打設した場合の支保材の必要量は、基礎梁・梁
および壁において1打設当たりの型枠必要面積0.03
6m2で良くなる。この面積毎の繰り返しにより利用を
考えるとこの量の型枠材があれば施工可能となる。しか
し、このままでは施工能率が悪いので、この0.036
2(これを重量に換算すると約2Kg程度である。)の
5〜10倍の資材があるとスムースに施工可能である。
【0054】[比較例2]実施例2と同様で、珪酸塩ソー
ダを使用しなかった場合の支保材の必要量は、建物1層
分の型枠面積が必要である。平均的には、各階の床面積
の約4倍の面積の堰板枚数が必要となり、それを支える
支保工も基礎梁・梁および壁1m2当たり約80Kgであ
り床面積に約4×80Kgの重量の支保材が必要となる。
この支保材は、各階毎に使い回しは出来るが、使用の度
に搬出しクリーニングした上で再度搬入し使用するので
これに要する運搬エネルギーは莫大なものとなり結果的
にコストアップになっている。
【0055】[実施例3]実験したコンクリートの配合
は、水/セメント比40%(重量比)、単位セメント量
400Kg/m3、細骨材45%(重量比)、凝結遅延剤
/セメント比0.04%(重量比)、SiO2/Na2
のモル比が3.2である粉末珪酸塩ソーダ4Kg、高性能
減水剤/セメント比0.5%(重量比)で、練りあがり
温度20℃のコンクリートは、練り上げ後、打設してか
ら実際に左官仕上げが出来るようになった時間は、1時
間であった。なお、同様の配合で5℃のコンクリート
は、1.5時間であった。
【0056】[比較例3]実施例3と同様で、粉末珪酸塩
ソーダを使用しなかった場合の上記配合での左官仕上げ
可能な時間は、20℃では5時間程度、5℃では9時間
程度で左官仕上げ可能な状況になる。従って、左官仕上
げ可能時間は、1/5〜1/6の短縮となり非常な合理
化につながることが判明した。
【0057】[実施例4]実験したコンクリートの配合
は、水/セメント比40%(重量比)、単位セメント量
400Kg/m3、細骨材率45%(重量比)、凝結遅延
剤/セメント比0.04%(重量比)、SiO2/Na2
Oのモル比が3.2である粉末珪酸塩ソーダ4Kg、高性
能減水剤セメント量の0.5%(重量比)で練りあがり
温度5℃のコンクリートは、練り上げ後、打設して直後
に−10℃の雰囲気中に置いて強制的に凍結させたが、
初期凍害の被害は受けなかった。
【0058】この理由は、コンクリート中の遊離水の凍
結温度が珪酸塩ソーダを入れたため低下したことと、5
℃のコンクリートが凍結温度まで低下する間にすでにセ
メントと水分が反応し凍結する遊離水が無くなっている
ことの二点が考えられる。
【0059】[比較例4]実施例4と同様で、粉末珪酸塩
ソーダを使用しなかった場合は、−10℃の状態から外
部に出して20℃の室内に放置しておき、凍結状態から
融解するとコンクリートはぼろぼろに分解し二度と硬化
はしなかった。
【0060】[実験データ]図1,2は、高炉B種セメン
ト(日本工業規格)のX線回折によるスペクトラムであ
り、横軸は角度、縦軸は物質の存在量を示す。角度位置
は物質に対応している。例えば、11.6度と20.7
度は、2水硫酸カルシウムに相当する。図1は高炉B種
セメントに水を添加した直後の回折結果を示し、図2は
高炉B種セメントに水を添加して24時間が経過した時
点の回折結果を示している。図中の試料BAF,BA,
BF,Bは次の通りである。 試料BAF:試料Bの水に粉末珪酸ソーダ3号1.1g
と前記減水剤0.55gを添加したもの。 試料BA:試料Bに遅延剤としてナフタスルホン酸系の
減水剤(日本国の花王((株))製マイティ21VS)
を0.55g添加したもの。 試料BF:試料Bの水に粉末珪酸ソーダ3号1.1gを
添加したもの。 試料B:高炉B種セメント110gに水44gを添加し
たもの。
【0061】図3は、普通ポルトラントセメントに水を
添加して24時間が経過した時点の回折結果を示してい
る。図中の試料PAF,PA,PF,Pは次の通りであ
る。 試料PAF:試料Pの水に粉末珪酸ソーダ3号1.1g
と前記減水剤0.55gを添加したもの。 試料PA:試料Pに遅延剤としてナフタスルホン酸系の
減水剤(日本国の花王((株))製マイティ21VS)
を0.55g添加したもの。 試料PF:試料Pの水に粉末珪酸ソーダ3号1.1gを
添加したもの。 試料P:普通ポルトランドセメント110gに水44g
を添加したもの。
【0062】これらの試料は、全て、水添加後に各添加
物を混合しその直後のスラリーをガラスセルに塗りつけ
たものである。図1に示すX線回折の結果からみれば、
粉末珪酸ソーダを添加した試料BAF,BFは、11.
6度付近と20.7度付近でそのピーク値が小さい。こ
のことは、セメント粒子の表面に緻密な水和膜を形成し
てセメント水和を遅延させると言われている硫酸カルシ
ウム2水塩(2水石膏)の生成が少ないことを意味す
る。
【0063】図2に示す24時間後のX線回折からわか
るように、24時間後には、珪酸ソーダを添加したもの
と珪酸ソーダを添加しないものとの間の差異はほとんど
なくなっている。このことは、珪酸ソーダを添加したも
のは、珪酸ソーダを添加しないものに較べて、初期に水
和による硬化が促進されることを意味している。このこ
とは、図3に示すように、普通ポルトラントセメントに
おいても示されている。
【0064】図4は、普通ポルトラントセメントそのも
のの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図5
(a)は、普通ポルトラントセメント110gに水44
gを添加して直後にガラスセル上で常温で真空乾燥した
試料P0のSEM写真である。図5(b)は、前記試料
P0の水に粉末珪酸ソーダ3号1.1gを添加した試料
PFOのSEM写真である。図6(a)は、普通ポルト
ラントセメント110gに水44gを添加して2時間後
にガラスセル上で常温で真空乾燥した試料P2のSEM
写真である。図6(b)は、前記試料P2の水に粉末珪
酸ソーダ3号1.1gを添加した試料PF2のSEM写
真である。図7(a)は、普通ポルトラントセメント1
10gに水44gを添加して24時間後にガラスセル上
で常温で真空乾燥した試料P24のSEM写真である。
図7(b)は、前記試料P24の水に粉末珪酸ソーダ3
号1.1gを添加した試料PF24のSEM写真であ
る。
【0065】図5(a)と図5(b)との比較から、粉
末珪酸ソーダを含む図5(b)の試料PFOは、水添加
の直後に既に、水和反応が開始してより進んでいること
がわかる。図6(a)と図6(b)との比較から、粉末
珪酸ソーダを含む図6(b)の試料PF2は、水添加の
2時間後に、水和反応が更により進んでいることがわか
る。図7(a)と図7(b)との比較から、24時間後
には、粉末珪酸ソーダを含む試料PF24と粉末珪酸ソ
ーダを含まない試料P24とはほぼ同じ水和反応の進行
状況にあることがわかる。このことは、X線回折と同じ
結果を示している。即ち、両実験結果は、反応初期にお
いて本発明品の水和反応が速いことを示している。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば,次のような顕著な効果
が奏される。凝結時間が短縮される。凝結開始後も可塑
性を維持する。これの結果として、副次的に、型枠材の
使い回しが可能になるだけでなく、コンクリート打設後
の側圧が低減し、支保工を減少することができ、従来、
建築現場で大量に搬入、搬出される型枠材の使用量を大
幅に減少することができる。このため更に副次的に、搬
入、搬出に必要な運搬、組立、解体などのエネルギーを
低減することができる。このことは、一般的に型枠材と
して使用されている木材のような貴重な天然資源の使用
量を減少させることができるだけでなく、廃材の量も減
少させることができるため、地球規模的な環境問題を改
善することができる。
【0067】副次的になお、減水剤を使用した場合に起
こる凝結遅延効果と組み合わせることにより、凝結時間
の制御が可能になり、作業性を大幅に改善することがで
きる。副次的に更には、寒冷状態においては、セメント
の水和促進により、初期段階での凍結融解性が大幅に向
上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、試料作成直後のX線回折図である。
【図2】図2は、試料作成後24時間経過時のX線回折
図である。
【図3】図3は、試料作成後24時間経過時の他のX線
回折図である。
【図4】図4は、水添加前の試料の走査型電子顕微鏡写
真である。
【図5】図5(a),(b)は、水添加後の試料・比較
例の走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】図6(a),(b)は、水添加後2時間経過時
の試料・比較例の走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】図7(a),(b)は、水添加後24時間経過
時の試料・比較例の走査型電子顕微鏡写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年5月26日(1999.5.2
6)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】隙間の多少は、ゲル粒子の密度分布、分散
度による。その密度分布、分散度は、ゲル状粒子生成物
の混合率による。また、それは、アルカリ珪酸塩のアル
カリ/珪酸のモル比による。モル比は、1/8〜1/
0.5であると有効であり、更に好ましくは、1/4〜
1/2であると良い。アルカリ珪酸塩としては、珪酸ソ
ーダ(又は珪酸ナトリウムともいう。Na2O・nSi
2・mH2O)、珪酸カリウム(K2O・nSiO2・m
2O)、珪酸リチウム(Li2O・nSiO2・mH
2O)、珪酸セシウム(Cs2O・nSiO2・mH
2O)、珪酸ルビジウム(Rb 2O・nSiO2・mH
2O)、第4級珪酸アンモニウム(R4N・nSiO2
mH2O、但しRはアルキル基を意味する。)の群から
選択される1種又は2種以上を含むものである。但し、
nは、モル比、Rはアルキル基を意味する。この中で珪
酸カリウムと珪酸ソーダ(ナトリウム)から選択される
1種又は2種を含むものが特に好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】JASS5(日本建築学会建築工事標準仕
様書・鉄筋コンクリート工事)では、型枠の存置期間は
基礎・梁側・柱及び壁の堰板で、「コンクリートの圧縮
強度が5N/mm2以上に達したことが確認されるまで
とする。」と規定されており、この仮設構造物である型
枠の設置期間は、例えば、高炉セメントB種(日本工業
規格)では、20℃以上で5日、20℃未満10℃以上
では8日である。これを20℃以上では、約5時間程
度、20℃未満10℃以上では約12時間程度に短縮で
きる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】[実施例1]実験したコンクリートの配合
は,水/セメント比40%(重量比)、単位セメント量
400Kg/m3、細骨材率45%(重量比)、凝結遅延
剤/セメント比0.04%(重量比)、SiO2/Na2
Oのモル比が3.2である粉末の珪酸塩ソーダ4Kg、高
性能減水剤/セメント比0.5%(重量比)で練りあが
り温度20℃のコンクリートは、練り上げ後打設し実際
に型枠からはずせるようになった時間は、2時間であっ
た。なお、同様の配合で5℃のコンクリートは、3時間
であった。凝結遅延剤としては、通常、糖質有機系物質
が用いられる(商品名:ビンソールR、山宗化学製)。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】[実施例4]実験したコンクリートの配合
は、水/セメント比40%(重量比)、単位セメント量
400Kg/m3、細骨材率45%(重量比)、凝結遅延
剤/セメント比0.04%(重量比)、SiO2/Na2
Oのモル比が3.2である粉末珪酸塩ソーダ4Kg、高性
能減水剤セメント量の0.5%(重量比)で練りあがり
温度5℃のコンクリートは、練り上げ後、打設して直後
に−10℃の雰囲気中に置いて強制的に凍結させたが、
初期凍害の被害は受けなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田畑 隆司 岐阜県中津川市茄子川字中垣外1683−1880 富士化学株式会社内 (72)発明者 小野寺 浩 岐阜県中津川市茄子川字中垣外1683−1880 富士化学株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともセメントと骨材、及び水を混合
    した硬化前のコンクリートにアルカリ珪酸塩を混合し、 前記アルカリ珪酸塩を含んだ前記コンクリートを所定の
    形状・寸法に保ち前記コンクリートが適当な強度に達す
    るまで支持する仮設構造物である型枠に打設して構築物
    を構築するコンクリート構築物の構築方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のコンクリート構築物の構
    築方法において、 前記アルカリ珪酸塩は、アルカリ/珪酸のモル比が1/
    8〜1/0.5であり、珪酸ソーダ(Na2O・nSi
    2・mH2O)、珪酸カリウム(K2O・nSiO2・m
    2O)、珪酸リチウム(Li2O・nSiO2・mH
    2O)、珪酸セシウム(Cs2O・nSiO2・mH
    2O)、珪酸ルビジウム(Rb2O・nSiO2・mH
    2O)、第4級珪酸アンモニウム(R4N・nSiO2
    mH2O、但しRはアルキル基を意味する。)の群から
    選択される1種以上であることを特徴とするコンクリー
    ト構築物の構築方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載のコンクリート構築
    物の構築方法において、 前記アルカリ珪酸塩は、前記セメントに対して固形分換
    算で重量比0.2%以上5.0%以下であることを特徴
    とするコンクリート構築物の構築方法。
  4. 【請求項4】請求項1又は2に記載のコンクリート構築
    物の構築方法において、 前記アルカリ珪酸塩は、主成分である前記セメントに対
    して固形分換算で重量比0.2%以上2.0%以下であ
    ることを特徴とするコンクリート構築物の構築方法。
  5. 【請求項5】請求項1又は2に記載のコンクリート構築
    物の構築方法において、 凝結遅延剤を前記セメントに対して固形分換算で重量比
    0.5%以上2.0%以下の量を添加したものである前
    記コンクリートの強度は、圧縮強度が5N/mm2以上
    に達する時間が20℃以上の環境温度で中央値で4ない
    し6時間であることを特徴とするコンクリート構築物の
    構築方法。
  6. 【請求項6】請求項5に記載のコンクリート構築物の構
    築方法において、 前記コンクリートに凝結遅延剤を添加した後に前記アル
    カリ珪酸塩を添加することを特徴とするコンクリート構
    築物の構築方法。
  7. 【請求項7】少なくともセメントと骨材、及び水を混合
    した硬化前のコンクリートを所定の形状・寸法に保ち前
    記コンクリートが適当な強度に達するまで支持する仮設
    構造物である型枠に打設するための構築用コンクリート
    であって、 前記コンクリートにアルカリ珪酸塩を前記セメントに対
    して固形分換算で重量比0.2%以上5.0%以下の量
    を添加したものであることを特徴とする構築物用コンク
    リート。
  8. 【請求項8】少なくともセメントと骨材、及び水を混合
    した硬化前のコンクリートを所定の形状・寸法に保ち前
    記コンクリートが適当な強度に達するまで支持する仮設
    構造物である型枠に打設するための構築用コンクリート
    であって、 前記コンクリートにアルカリ珪酸塩を前記セメントに対
    して固形分換算で重量比0.2%以上2.0%以下の量
    を添加したものであることを特徴とする構築物用コンク
    リート。
  9. 【請求項9】請求項7又は8に記載の構築物用コンクリ
    ートにおいて、 前記アルカリ珪酸塩は、珪酸ソーダ(Na2O・nSi
    2・mH2O)、珪酸カリウム(K2O・nSiO2・m
    2O)、珪酸リチウム(Li2O・nSiO2・mH
    2O)、珪酸セシウム(Cs2O・nSiO2・mH
    2O)、珪酸ルビジウム(Rb2O・nSiO2・mH
    2O)、第4級珪酸アンモニウム(R4N・nSiO2
    mH2O、但しRはアルキル基を意味する。)の群から
    選択される1種以上であることを特徴とする構築物用コ
    ンクリート。
  10. 【請求項10】請求項7又は8に記載の構築物用コンク
    リートにおいて、 前記コンクリートに凝結遅延剤を前記セメントに対して
    固形分換算で重量比0.5%以上2.0%以下の量を添
    加したものであることを特徴とする構築物用コンクリー
    ト。
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