JPH065893Y2 - 感熱ヘッド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ この考案は、プリンタ等の印字装置に備えられて、文字
や数字、図形等を普通紙等の記録体にドットマトリック
スによって感熱転写する感熱ヘッドに関する。

［従来技術とその問題点］ 従来一般的に使用されている上記感熱ヘッドは、ヘッド
本体が耐熱性を有したセラミックス材料によって構成さ
れ、このヘッド本体の感熱転写シートと対面する側の所
定部位に複数の電極および発熱要素を互いに所定の間隔
を置いて埋設した構造になっている。このような感熱ヘ
ッドにおいては、各電極に選択的に原画像部情報に基づ
く所定電圧を供給して、各発熱要素を選択的に発熱さ
せ、この発熱したジュール熱によって感熱転写シートの
感熱転写インク層を加熱溶融させることで、例えばプラ
テンに巻き付けられた記録体（普通紙）に原画像部情報
に基づく所定の文字、数字、図形等を転写印刷すること
ができる。

しかし、このような従来の感熱ヘッドは、加工が難しい
セラミックス材料からなるヘッド本体に複数の電極およ
び発熱要素を埋設するための多くの孔を所定の間隔で形
成しなくてはならないばかりでなく、セラミックス材料
は高価であるために製造コストが高くなる問題があっ
た。また、複数の電極および発熱要素を感熱ヘッドに形
成された孔に埋設する構造のため、各電極の間隔が制限
され微小間隔で配置することができない問題もあった。

例えば、特公昭５９−５４３６号公報には上述の如き問
題に対処し得る技術が示されている。しかし、この公報
に示されている技術の場合、２つのドットに対応する発
熱要素部分を同時に発熱させて２ドットを同時形成（転
写）する構成のため、２ドット間の間隔がバラつきやす
くて高精度に転写されず、電圧印加制御も難しく、従っ
て、解像度が劣る欠点を有していた。

［考案の目的］ この考案は、上述の如き事情に鑑みてなされもので、そ
の目的とするところは、製作が容易で製作コストの低減
が図れるとともに各電極の間隔も可及的に小さくでき、
かつ、高解像度で鮮明に転写印刷可能な感熱ヘッドを提
供することにある。

［考案の要点］ この考案に係る感熱ヘッドは上記目的を解決するため、
耐熱性絶縁シート体の折曲外表面に各選択電極パターン
の端部付近において共通電極パターンの各電極部を前記
各選択電極パターンの一端と所定の間隔を置いて対向配
置し、前記選択電極パターンのすべての端部と前記共通
電極パターンのすべての電極部上を含む前記耐熱性絶縁
シート体の折曲外表面にこれを被覆するように発熱抵抗
層を連続状に印刷形成し、前記発熱抵抗層の外表面にこ
れを被覆するように導電層の金属箔を設けたことを要点
としている。

［実施例］ 以下、この考案に係る感熱ヘッドの一実施例を第１図乃
至第３図に基づき説明する。

この感熱ヘッドは、例えばアルミニウム等の高い熱吸収
性を有した金属材料からなるヘッド本体１と、外表面側
に複数の選択電極パターン２、共通電極パターン３、発
熱抵抗層４および導電層５とがそれぞれ形成された例え
ばポリイミド樹脂等からなる耐熱絶縁シート体６とを備
えて構成されている。

耐熱絶縁シート体６は略Ｕ字状に折曲形成されていて、
カマボコ型の断面形状をなしたヘッド本体１の外表面に
接着等によって被着固定されている。

複数の選択電極パターン２および共通電極パターン３は
それぞれ銅等の良導電性材料からなり、耐熱絶縁シート
体６の折曲外表面７に印刷形成されている。各選択電極
パターン２は所定の間隔を置いて並列配置されていて原
画像部情報に基づく所定の導電電圧Ｖが選択的に印加さ
れるようになっている。共通電極パターン３はその各電
極部８が各選択電極パターン２の端部９付近において各
選択電極パターン２と所定の間隔を置いて対向配置され
ている。

発熱抵抗層４は例えば適当な電気抵抗性を有する導電性
カーボン等からなり、耐熱絶縁シート体６外表面のヘッ
ド本体１の先端部１０と対向する位置に各選択電極パタ
ーン２と共通電極パターン３の各電極部８を電気的に接
続するように塗布形成されていて、所定以上の電圧を印
加すると発熱してジュール熱を発生する。この場合、発
熱抵抗層４は各選択電極パターン２の表面１１および共
通電極パターン３の各電極部８の表面１２よりも所定寸
法突出している。そして、このような発熱抵抗層４を挾
むように耐熱絶縁シート体６の外表面には各選択電極パ
ターン２と共通電極パターン３の各電極部８とを絶縁す
るための例えばポリイミド樹脂等からなる絶縁層１３，
１４が塗布形成されている。この絶縁層１３，１４も各
選択電極パターン２の表面１１および共通電極パターン
３の各電極部８の表面１２よりも所定寸法突出してい
る。

導電層５は例えば銅等の高い導電性を有した金属材料か
らなり、絶縁層１３，１４の表面の略全面に亘って発熱
抵抗層４を被覆するように形成されている。この場合、
導電層５は銅箔等で構成され、絶縁層１３，１４の表面
に貼着される。

上記耐熱絶縁シート体６に形成された複数の選択電極パ
ターン２、共通電極パターン３、発熱抵抗層４、絶縁層
１３，１４および導電層５は耐熱絶縁シート体６が未だ
折曲形成される前の平面状態にあるときに次の手順によ
って形成される。

すなわち、まず第１工程において複数の電極パターン２
と共通電極パターン３とが第４図および第５図に示すよ
うに同時に印刷形成される。次の第２工程において各選
択電極パターン２と共通電極パターン３の各電極部８と
を絶縁する絶縁層１３，１４が第６図および第７図に示
すように塗布形成される。次の第３工程において各選択
電極パターン２と共通電極パターン３の各電極部８とを
電気的に接続する発熱抵抗層４が第８図および第９図に
示すように塗布形成される。次の第４工程において導電
層５を構成する銅箔が第１０図および第１１図に示すよ
うに絶縁層１３，１４の表面に貼着される。

そして、第４工程を終了した耐熱絶縁シート体６はカマ
ゴコ型の断面形状をなしたヘッド本体１の外面形状に合
うように略Ｕ字状に折曲形成されて、ヘッド本体１の外
表面に接着等によって被着固定される。

このようにして製作されるこの表示の感熱ヘッドは加工
が難しいセラミック材料からなるヘッド本体に複数の電
極および発熱要素の孔を形成する従来の構造に比べて製
作が頗る容易であるとともに各電極の間隔も可及的に小
さくできる。

次に上記の如く構成されたこの考案の感熱ヘッドの作用
を説明する。

第１２図は感熱ヘッドがプラテン等の基台１５上に載置
されている普通紙（記録体）１６上面に感熱転写シート
１７を介して接している状態を示している。なお、この
場合の感熱転写シート１７は、例えば合成樹脂からなる
支持シート１８の片面に感熱転写インク層１９を有した
構造となっており、支持シート１８の感熱ヘッドが接
し、熱転写インク層１９が普通紙１６上面に接してい
る。

そして、上記状態において感熱ヘッドと基台１５と感熱
転写シート１７は図示しない移動制御機構によって相対
移動制御され、この相対移動がなされる中で感熱ヘッド
の各選択電極パターン２に対して所定の文字や数字、図
形などの原画像部情報に基づく導電電圧Ｖを選択的に付
加する。これによって、導電電圧Ｖの印加がなされた選
択電極パターン２から電流が破線矢印のように発熱抵抗
層４を通って導電層５へ流れ、更にこの導電層５を通っ
て共通電極パターン３へ流れて帰還される。従って、選
択電極パターン２からの電流が通った発熱抵抗層４部分
が発熱してジュール熱を発し、これによって感熱転写シ
ート１７における熱転写インク層１９の選択電極パター
ン２と対応する破線部分がそのジュール熱によって局部
的に加熱溶融され、この結果、溶融されたインクが普通
紙１６上面に転写され、第１３図に示すように普通紙１
６上面には原画像部情報に基づく文字、数字、図形等の
記録部２０が印刷形成される。この場合、導電電圧Ｖが
印加され選択電極パターン２に対応する熱転写インク層
１９部分が加熱溶融して１ドットづつ普通紙１６上面に
転写されるので、記録部２０は高解像度で鮮明に形成さ
れる。

［考案の効果］ 以上説明したように、この考案に係る感熱ヘッドによれ
ば、製作が頗る容易で製作コストの低減が図れるととも
に各電極の間隔も可及的に小さくでき、かつ、１ドット
づつの転写がなされるので高解像度の鮮明が転写印刷が
可能となる利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による感熱ヘッドの断面図、第２図は
同感熱ヘッドを構成する耐熱性絶縁シート体の展開図、
第３図は第１図のＡ−Ａ線に沿う断面図、第４図乃至第
１１図はそれぞれ耐熱性絶縁シート体の製造工程を示
し、第４図は第１工程において複数の選択電極パターン
と共通電極パターンが形成された状態を示す平面図、第
５図は第４図のＢ−Ｂ線に沿う断面図、第６図は第２工
程において絶縁層が形成された状態を示す平面図、第７
図は第６図のＣ−Ｃ線に沿う断面図、第８図は第３工程
において発熱抵抗層が形成された状態を示す平面図、第
９図は第８図のＤ−Ｄ線に沿う断面図、第１０図は第４
工程において導電層が形成された状態を示す平面図、第
１１図は第１０図のＥ−Ｅ線に沿う断面図、第１２図は
本感熱ヘッドにて感熱転写する状態を示した断面図、第
１３図は本感熱ヘッドにて感熱転写が行なわれた記録体
を示した断面図である。 １……ヘッド本体、２……選択電極パターン、３……共
通電極パターン、４……発熱抵抗層、５……導電層、６
……耐熱性絶縁シート体、７……折曲外表面、８……各
電極部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一端側がカマボコ型の断面形状を有する支
   持体と、 前記支持体の一端側の外表面に密着して折曲形成された
   耐熱性絶縁シート体と、 前記耐熱性絶縁シート体の折曲外表面に各々の端部が所
   定の間隔を置いて並列配置された複数の選択電極パター
   ンと、 前記耐熱性絶縁シート体の折曲外表面に前記各選択電極
   パターンの端部付近において各電極部が前記各選択電極
   パターンの端部と所定の間隔を置いて対向配置された共
   通電極パターンと、 前記選択電極パターンのすべての端部と前記共通電極パ
   ターンのすべての電極部上を含む前記耐熱性絶縁シート
   体の折曲外表面にこれを被覆するように連続状に印刷形
   成された発熱抵抗層と、 前記発熱抵抗層の外表面にこれを被覆するように設けら
   れた導電層の金属箔と、 を備えたことを特徴とする感熱ヘッド。