JPH0658921A - クロマトグラフィー用吸着担体およびその製造方法 - Google Patents

クロマトグラフィー用吸着担体およびその製造方法

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JPH0658921A
JPH0658921A JP4234177A JP23417792A JPH0658921A JP H0658921 A JPH0658921 A JP H0658921A JP 4234177 A JP4234177 A JP 4234177A JP 23417792 A JP23417792 A JP 23417792A JP H0658921 A JPH0658921 A JP H0658921A
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JP
Japan
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amino acid
cyclodextrin
carrier
derivative
water
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Application number
JP4234177A
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English (en)
Inventor
Kazunori Iwata
和則 岩田
Soyao Moriguchi
征矢生 森口
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造が容易、製造収率が高く、水に不溶性の
支持体に担持されている高速液体クロマトグラフィー用
吸着担体であって、光学活性化合物の不斉識別能の高い
吸着担体及びその製造法。 【構成】 アミノ酸またはアミノ酸誘導体が直接または
カルボニル基を介してシクロデキストリンに結合してい
るシクロデキストリン誘導体のアミノ酸部分が水に不溶
性の支持体に固定化されているクロマトグラフィー用吸
着担体及びその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なクロマトグラフ
ィー用吸着担体及びその製造方法に関し、更に詳しくは
不斉識別能を有するクロマトグラフィー用吸着担体及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロデキストリン(以下CDとい
う。)はD−グルコピラノシドがα−1,4グルコシド
結合してなる円筒状の環状化合物であり、環状化合物の
円筒の外側は水酸基が多く親水性を有するが、円筒の内
側は疎水性を有する。このCDは円筒の内側が疎水性の
ため、フェニル基やナフチル基のような疎水性基を有す
る種々の有機化合物が包接されるホスト化合物として知
られている。また、CDはD−グルコピラノシド1分子
当たり5個の光学活性な炭素を有することから、不斉識
別能を有する化合物としても知られている。
【0003】近年、光学活性化合物の分離・精製の重要
性が増し、CDが有する不斉識別能をこれに利用しよう
とする傾向が強まってきた。例えば、クロマトグラフィ
ーにおける移動相にCDを添加して光学活性化合物を分
離・精製する方法、クロマトグラフィー用吸着担体とし
てCDをシリカゲルや合成高分子等に固定化させたもの
を使用して、光学活性化合物を分離・精製する方法(米
国特許第4,539,399号公報参照)、CDを膜に
含有させたCD膜を使用する方法がある。また、CDを
ポリマー化し、またポリマー化したものをビーズ状にし
てクロマトグラフィーの充填剤に利用する方法なども試
みられている。しかし、これらの方法は不斉識別能が不
十分であるという欠点がある。
【0004】一方、CDのもつ不斉識別能を更に向上す
ることを目的として、アミド結合を介してキラルなアミ
ノ酸が6位に結合することを特徴とする化学修飾β−シ
クロデキストリン(特開昭64−51402号公報参
照)が知られている。しかしこの方法により得られる化
合物は水に不溶性の支持体に化学修飾β−シクロデキス
トリンを固定化した状態での不斉識別能の評価は行われ
ておらず、クロマトグラフィー用吸着担体として使用で
きるかどうか不明な上、目的とする化合物を得るに際し
ては化学修飾法が煩雑であるばかりでなく、収率が低く
実用的ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は光学活性化合
物の分離、精製において従来方法による不斉識別不十分
な点を改善すると共に、高速液体クロマトグラフィー用
吸着担体として使用するため、水に不溶性の支持体に固
定化された高性能のクロマトグラフィー用吸着担体であ
り、かつ製造が容易であって、製造収率が高い吸着担体
及びその製造方法の開発を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によって、キラル
なアミノ酸をCDに導入することにより上記目的を達成
しうるクロマトグラフィー用吸着担体及びその製造方法
が提供される。
【0007】即ち、アミノ酸またはアミノ酸誘導体が直
接またはカルボニル基を介してシクロデキストリンに結
合しているシクロデキストリン誘導体の該アミノ酸部分
の少なくとも1つが水に不溶性の支持体に固定化されて
いることを特徴とするクロマトグラフィー用吸着担体お
よび、(1) アミノ酸等が水に不溶性の支持体に固定
化されている担体に縮合剤を反応させ、次いでこれにC
Dを反応させ、アミノ酸部分に直接またはカルボニル基
を介して結合させることによる前記クロマトグラフィー
用吸着担体の製造方法、(2) CDに縮合剤を反応さ
せ、次いでこれにアミノ酸等が水に不溶性の支持体に固
定化されている担体を反応させ、アミノ酸部分に直接ま
たはカルボニル基を介して結合させることによる前記ク
ロマトグラフィー用吸着担体の製造方法、(3) 水に
不溶性の支持体にアミノ酸等が直接またはカルボニル基
を介してCDに結合しているCD誘導体を反応させ、水
に不溶性の支持体にアミノ酸部分を結合させることによ
る前記クロマトグラフィー用吸着担体の製造方法、
(4) アミノ酸等が直接またはカルボニル基を介して
CDに結合しているCD誘導体に水に不溶性の支持体を
反応させ、アミノ酸部分を結合させることによる前記ク
ロマトグラフィー用吸着担体の製造方法、(5) CD
が水に不溶性の支持体に固定化されている担体CDにア
ミノ酸等が直接またはカルボニル基を介してCDに結合
しているCD誘導体を反応させ、水に不溶性の支持体に
アミノ酸部分を結合させることによる前記クロマトグラ
フィー用吸着担体の製造方法、(6) アミノ酸等が直
接またはカルボニル基を介してCDに結合しているCD
誘導体にCDが水に不溶性の支持体に固定化している担
体を反応させ、アミノ酸部分に水に不溶性の支持体を結
合させることによる前記クロマトグラフィー用吸着担体
の製造方法を開発することにより上記の目的を達成し
た。
【0008】以下、本発明のクロマトグラフィー用吸着
担体及びその製造方法について説明する。
【0009】本発明のクロマトグラフィー用吸着担体は
アミノ酸等が水に不溶性の支持体に固定化されている担
体の該アミノ酸部分に直接またはカルボニル基を介して
CDが結合してなるものである。
【0010】本発明における水に不溶性の支持体とは、
縮合剤と結合可能な官能基、例えば水酸基、カルボキシ
ル基、またはアミノ基のような官能基を有するもの、ま
たは導入可能なものであれば特に制限はなく、アガロー
ス、デキストラン、セルロースなどの多糖体またはポリ
アクリルアミドのようないわゆるソフトビーズ、ポリス
チレン、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール及
びこれらの共重合物などのような硬質の合成高分子ビー
ズ、またはシリカゲル、アルミナのような無機の硬質ビ
ーズなどが挙げられる。ビーズの粒径は1〜1000μ
m、好ましくは3〜120μmが適当であり、ビーズの
形状は多孔性球状が好ましい。
【0011】本発明において使用されるCDとしては、
α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ
−シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル化シクロデ
キストリンなどの他、メチル化シクロデキストリン、ア
シル化シクロデキストリンであっても水酸基を1個以上
有しているCDであれば良く、またこれらの混合物であ
ってもこれらの誘導体であっても良い。
【0012】また、アミノ酸としては、アラニン、バリ
ン及びロイシンなどのような脂肪族系アミノ酸類、フェ
ニルアラニン及びチロシンなどのような芳香族系アミノ
酸類、ヒスチジンおよびトリプトファンなどのような複
素環式系アミノ酸類、リジン、アルギニン、アスパラギ
ン酸およびグルタミン酸のような塩基性、酸性系、アミ
ノ酸類及びセリン、スレオニン、システイン、プロリン
などが例示される。
【0013】更に、アミノ酸誘導体としては、上記アミ
ノ酸のN端がベンジルオキシカルボニル基、t−ブチル
オキシカルボニル基のような保護基で置換されたもの、
あるいはC端が炭素数1〜4で低級アルキル基、フェニ
ル基、ベンジル基のような保護基で置換されたものを用
いることができる。
【0014】本発明のクロマトグラフィー用吸着担体
は、支持体に直接またはスペーサーを介してアミノ酸等
が固定化され、更にこのアミノ酸のアミノ基、カルボキ
シル基あるいは水酸基等に対して直接シクロデキストリ
ンが結合するかまたはアミノ基、水酸基等に縮合剤が作
用し、それにシクロデキストリンの水酸基が結合するな
どの形でアミノ酸等が固定化している。そしてアミノ酸
等を介して支持体に固定化されるCDは一層であって
も、また多層に積層していても良い。
【0015】またCD1分子に対し複数の分子のアミノ
酸が結合していて、そのうちのアミノ酸の1つが支持体
に結合していることであっても良い。
【0016】そして不斉識別能を高く維持するには吸着
に関与する表面層のCDがアミノ酸等を介して支持体に
結合していることが必要である。この結合がないときは
不斉識別能が著しく低下する傾向がある。
【0017】ここでスペーサーとは通常の結合において
の炭素数1〜数個のアルキレン基、エーテル酸素、ある
いは縮合剤として使用したN,N’−カルボニルジイミ
ダゾール、クロロ炭酸エステル類のカルボニル基などで
あって良い。
【0018】本発明のクロマトグラフィー用吸着担体は
次に説明する方法で製造することができる。
【0019】本発明の支持体に固定化されているアミノ
酸等のアミノ酸部分に直接またはカルボニル基を介して
シクロデキストリンが結合している担体は、水に不溶性
の支持体にアミノ酸等が固定化してなる担体に縮合剤を
反応させることにより脱離基を導入し、次いでCDを反
応させることにより製造できる。
【0020】水に不溶性の支持体にアミノ酸等が固定化
してなる担体を得るに際しては、例えば特願昭62−2
62728号などに記載されているようにして行うこと
ができるほか、アミノ酸等を固定化する支持体と反応さ
せるに際しては、前記アミノ酸等を適当な溶媒、例えば
1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドな
どに分散させた後、N,N’−カルボニルジイミダゾー
ル、ジスクシイミジルカーボネートまたはクロロ炭酸エ
ステル類のような縮合剤を、アミノ酸等1モル当たり1
〜2モル、好ましくは1〜1.1モル加え脱離基を導入
する。
【0021】この反応に際しては無水塩化カルシウム、
塩化カリウムのような脱水剤を入れた乾燥管を付し、
0.5〜4時間、好ましくは1時間反応させる。この時
の反応温度は0〜50℃、好ましくは0〜20℃に保つ
ことが望ましい。
【0022】次いで反応液に水に不溶性の支持体をアミ
ノ酸等1モル当たり20〜400g、好ましくは100
〜300g加え、反応させる。この時の反応温度は0〜
90℃、好ましくは0〜60℃に保つことが望ましい。
反応温度は1〜48時間、好ましくは3〜24時間が適
当である。反応生成物をろ過、洗浄するとアミノ酸固定
化担体が得られる。
【0023】アミノ酸固定化担体にシクロデキストリン
を反応させるに際しては、前記アミノ酸固定化担体を前
記分散溶媒に分散させ、前記縮合剤を乾燥アミノ酸固定
化担体1g当たり0.1〜40ミリモル、好ましくは
0.5〜10ミリモル加え、0.1〜4時間、好ましく
は0.5〜2時間反応させる。
【0024】この時の反応温度は0〜50℃、好ましく
は0〜20℃に保つことが望ましい。
【0025】次いでこの溶液にシクロデキストリンを乾
燥アミノ酸固定化担体1g当たり0.1〜80ミリモ
ル、好ましくは0.5〜40ミリモル加え、1〜48時
間、好ましくは3〜24時間反応させる。この時の反応
温度は0〜90℃、好ましくは30〜80℃に保つこと
が望ましい。反応生成物をろ過、洗浄など通常の方法で
後処理すると本発明のクロマトグラフィー用吸着担体が
得られる。
【0026】なお、アミノ酸等を介してCDを固定化し
た支持体を得るに際してはアミノ酸誘導体を固定化した
CD固定化担体を、例えば、泉屋信夫ら.『ペプチド合
成の基礎と実験』143〜171ページ(丸善)に記載
されているようにして行うこともできる。
【0027】また本発明の支持体に固定化されているア
ミノ酸等を介してシクロデキストリンが結合している担
体は、縮合剤を反応させることにより脱離基が導入され
たCDに水に不溶性の支持体にアミノ酸等が固定化して
なる担体を反応させることにより製造することができ
る。
【0028】即ち、CDを前記分散溶媒に分散させた
後、前記縮合剤をCD1モル当たり1〜100モル、好
ましくは1.1〜20モル加え、0.1〜4時間、好ま
しくは0.5〜2時間反応させる。この時の反応温度は
0〜50℃、好ましくは0〜20℃が望ましい。
【0029】次いでこの溶液にアミノ酸固定化担体をC
D1モル当たり10〜1000g,好ましくは100〜
700g加え反応させる。
【0030】この時の反応温度は0〜90℃、好ましく
は30〜80℃に保つことが望ましい。反応時間は1〜
48時間、好ましくは3〜24時間が適当である。反応
生成物をろ過、洗浄などの通常の方法で後処理すると本
発明のクロマトグラフィー用吸着担体が得られる。
【0031】また、例えば水に不溶性の支持体及び/ま
たはCDを固定化した水に不溶性の支持体に縮合剤を反
応させることにより脱離基を導入し、次いでアミノ酸等
が直接またはカルボニル基を介して結合したCD誘導体
を反応させ、支持体とアミノ酸等を結合させることによ
り製造することができる。
【0032】アミノ酸等が直接またはカルボニル基を介
して結合したCD誘導体を得るに際しては、アミノ酸等
を前記分散溶媒に分散させた後、前記縮合剤をアミノ酸
等1モル当たり1〜10モル、好ましくは1〜1.2モ
ル加え、0.5〜4時間、好ましくは1〜3時間反応さ
せる。この時の反応温度は0〜60℃、好ましくは0〜
30℃に保つことが望ましい。
【0033】次いで反応液にCDをアミノ酸等1モル当
たり0.01〜10モル、好ましくは0.1〜2モル加
え、1〜20時間、好ましくは3〜10時間反応させ
る。この時の反応温度は20〜80℃、好ましくは30
〜60℃に保つことが望ましい。
【0034】さらに、反応液をアセトンなどの貧溶媒を
沈殿物が析出するまで加えた後、反応液をろ過し、残渣
をアセトンでよく洗浄し乾燥させるなどしてアミノ酸等
が直接またはカルボニル基を介して結合したCD誘導体
を得ることができる。
【0035】なお、アミノ酸を結合したCD誘導体を得
るに際しては、例えばアミノ酸等のN末端を結合したC
D誘導体1g当たり、メタノール、1,4−ジオキサン
またはN,N−ジメチルホルムアミドを5〜100m
l、好ましくは10〜30ml加え、CD誘導体を分散
させる。更にこの分散液の約1モルの水酸化ナトリウム
などのアルカリ水溶液を0.01〜1ml加え、0.1
〜5時間、好ましくは0.2〜0.5時間反応させて行
うことができる。この時の反応温度は0〜40℃、好ま
しくは0〜10℃に保つことが望ましい。反応生成物を
通常の方法で後処理すると前記アミノ酸を結合したCD
誘導体を得ることができる。
【0036】また、アミノ酸誘導体のC端を結合したC
D誘導体は、例えばアミノ酸誘導体のC端に結合したC
D誘導体1g当たり約2〜4モル塩酸の1,4−ジオキ
サン水溶液を5〜50ml、好ましくは10〜20ml
加え、0.1〜5時間、好ましくは0.3〜1時間反応
させて行うことができる。この時の反応温度は0〜40
℃、好ましくは0〜10℃が望ましい。反応生成物を通
常の方法で後処理すると前記アミノ酸を結合したCD誘
導体を得ることができる。
【0037】次いで、水に不溶性の支持体、またはCD
固定化担体を前記分散溶媒に分散させた後、前記縮合剤
を乾燥担体1g当たり4〜60ミリモル、好ましくは9
〜30ミリモル加え、0.5〜4時間、好ましくは1〜
3時間反応させる。この時の反応温度は30〜70℃、
好ましくは40〜60℃に保つことが望ましい。
【0038】こうして得られた脱離基を導入させた担体
を前記分散溶媒に分散させた後、上記CD誘導体を乾燥
担体1g当たり0.01〜100ミリモル、好ましくは
0.1〜10ミリモル加え、1〜48時間、好ましくは
3〜24時間反応させる。この時の反応温度は0〜90
℃、好ましくは30〜80℃に保つことが望ましい。
【0039】反応生成物を、ろ過、洗浄などの通常の方
法で後処理すると、本発明のクロマトグラフィー用吸着
担体が得られる。なお、アミノ酸を介してCDを支持体
に固定化した担体を得るに際しては、前記と同様にして
行うこともできる。
【0040】また、本発明のクロマトグラフィー用担体
は、例えば直接またはカルボニル基を介してアミノ酸等
が固定化してなるCDに、縮合剤を反応させることによ
り脱離基が導入されたアミノ酸等に支持体またはCDと
結合した支持体を反応させることにより製造することが
できる。
【0041】縮合剤を反応させることにより脱離基が導
入されたアミノ酸等が直接またはカルボニル基を介して
結合したCD誘導体を得るに際しては、上記アミノ酸等
が直接またはカルボニル基を介して結合したCD誘導体
を前記分散溶媒に分散させた後、前記縮合剤をCD誘導
体1モル当たり1〜2モル、好ましくは1〜1.2モル
加え、0.5〜4時間、好ましくは1〜3時間反応させ
る。この時の反応温度は0〜90℃、好ましくは20〜
60℃に保つことが望ましい。
【0042】こうして得られたアミノ酸等と結合したC
D誘導体に水に不溶性の支持体、またはCDを固定化し
た支持体を20〜400g、好ましくは100〜300
g加え反応させる。この時の反応温度は0〜90℃、好
ましくは0〜60℃に保つことが望ましい。反応温度は
1〜48時間、好ましくは3〜24時間が適当である。
【0043】反応生成物をろ過、洗浄などの通常の方法
で後処理すると、本発明のクロマトグラフィー用吸着担
体が得られる。なお、アミノ酸を介してCDを支持体上
に固定化した担体を得るに際しては、前記と同様にして
行うこともできる。
【0044】
【作用】本発明のアミノ酸等を介してCDを支持体上に
固定化した担体は、非修飾CD固定化担体より高い不斉
識別能を有するクロマトグラフィー用吸着担体の性質を
有する。
【0045】この作用は明らかではないが、アミノ酸等
とCDが直接またはカルボニル基を介して結合している
ところにあるものと推定している。
【0046】水に不溶性の支持体に担持されたクロマト
グラフィー用吸着担体は、単なる液体クロマトグラフィ
ー用吸着担体から高速液体クロマトグラフィー用吸着担
体としてまでの幅広いクロマトグラフィー用吸着担体と
して利用でき、カラムに充填するなどにより光学活性化
合物の分析、または有用光学活性化合物の精製などに使
用できる。
【0047】分析、精製、分離などの対象となる光学活
性化合物としては、アミノ酸類やβ−遮断薬、バルビタ
ール誘導体、またはカテコールアミンなどの医薬品が良
く知られている。さらに、本発明クロマトグラフィー用
吸着担体を充填したカラムは光学活性化合物だけでな
く、二置換ベンゼンの構造異性をはじめ、疎水性基を有
する種々の異性体を分離することができる。
【0048】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。但し、これらは本発明のクロマトグラフィー用
吸着担体及びその製造方法の一例であって、本発明はこ
れらになんら制限されないのは言うまでもない。
【0049】(実施例1)t−ブチルオキシカルボニル
−L−バリン13gにN,N−ジメチルホルムアミド8
0mlを加え、更に塩化カルシウムを入れた乾燥管を付
し、N,N’−カルボニルジイミダゾール11gを加
え、氷冷下で1時間撹拌した。次いでこの反応液にエポ
キシ基含有ゲル状共重合体中のエポキシ基を水により開
環変性した支持体10gを加え、50℃で10時間振盪
後、担体を濾取し、N,N−ジメチルホルムアミド、
水、アセトンの順で洗浄し、乾燥させた。この担体10
gに4N塩酸を1,4−ジオキサン溶液30mlを加
え、氷冷下で30分振盪後、担体を濾取し、水及びメタ
ノールで洗浄した。
【0050】こうして得られたL−バリン固定化(L−
バリン固定化量0.10ミリモル)担体10gに、N,
N−ジメチルホルムアミド80mlを加え、更に塩化カ
ルシウムを入れた乾燥管を付し、N,N’−カルボニル
ジイミダゾール5gを加え、氷冷下で1時間振盪した。
次いでこの反応液にβ−シクロデキストリン12gを加
え、60℃で18時間振盪後、担体を濾取し、N,N−
ジメチルホルムアミドおよび水でよく洗浄した。こうし
て得られた吸着担体は、残存イオン交換基量によりL−
バリンが導入されているシクロデキストリンを0.03
ミリモル固定化していることが確かめられた。
【0051】(実施例2)β−シクロデキストリン10
gに、N,N−ジメチルホルムアミド150mlを加
え、更に塩化カルシウムを入れた乾燥管を付し、N,
N’−カルボニルジイミダゾール2gを加え、30℃で
1時間振盪させた。この反応液に実施例1で用いたL−
バリン固定化担体5gを加え60℃で24時間振盪後担
体をろ取し、N,N−ジメチルホルムアミド及び水で洗
浄した。こうして得られた吸着担体は、残存イオン交換
基量によりL−バリンが導入されたシクロデキストリン
を0.03ミリモル固定化していることが確かめられ
た。
【0052】(応用例1)実施例1で得られたL−バリ
ン修飾β−シクロデキストリン固定化担体を内径4.6
mm、長さ150mmのステンレス製カラムにスラリー
法で充填し、高速液体クロマトグラフ装置を用いて1,
1’−バイナフトールを分析したところ、表1に示した
ような結果が得られた。分析条件は次のとおりである。 溶離液 :ヘキサン:ジクロロメタン(1:1) 溶離速度:0.5ml/分 検出器 :紫外分光光度計(254nm)
【0053】表中、αはR体のキャパシティー比をS体
のキャパシティー比で除した分離係数を示す。また、比
較例として本発明の吸着担体の代りに実施例1で用いた
シクロデキストリンを含まないL−バリン固定化担体を
充填したカラムについても試験を行った。
【0054】
【表1】
【0055】表1から明らかなごとく、本発明により得
られた修飾β−シクロデキストリン固定化担体は、非修
飾β−シクロデキストリン固定化担体に比して高い分離
係数を有する。
【0056】
【発明の効果】アミノ酸等で修飾されたCDの該アミノ
酸部分が支持体に固定化されている本発明のクロマトグ
ラフィー用吸着担体は、応用例から明らかなように非修
飾シクロデキストリン固定化担体よりも高い不斉識別能
を示すものである。従って、本発明に係るクロマトグラ
フィー用吸着担体は、従来のシクロデキストリン固定化
担体で分離が不可能な化合物の分離の可能性を有するほ
か、単なる分析や分取手段にとどまらず幅広い工業用分
離精製設備への応用をはかるための有力な手段となるこ
とは明らかである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ酸またはアミノ酸誘導体が直接ま
    たはカルボニル基を介してシクロデキストリンに結合し
    ているシクロデキストリン誘導体の該アミノ酸部分の少
    なくとも1つが水に不溶性の支持体に固定化されている
    ことを特徴とするクロマトグラフィー用吸着担体。
  2. 【請求項2】 アミノ酸またはアミノ酸誘導体が水に不
    溶性の支持体に固定化されている担体に縮合剤を反応さ
    せ、次いでこれにシクロデキストリンを反応させ、アミ
    ノ酸部分に直接またはカルボニル基を介してシクロデキ
    ストリンを結合させることを特徴とする請求項1記載の
    クロマトグラフィー用吸着担体の製造方法。
  3. 【請求項3】 シクロデキストリンに縮合剤を反応さ
    せ、次いでこれにアミノ酸またはアミノ酸誘導体が水に
    不溶性の支持体に固定化されている担体を反応させ、ア
    ミノ酸部分に直接またはカルボニル基を介して結合させ
    ることを特徴とする請求項1記載のクロマトグラフィー
    用吸着担体の製造方法。
  4. 【請求項4】 水に不溶性の支持体にアミノ酸またはア
    ミノ酸誘導体が直接またはカルボニル基を介してシクロ
    デキストリンに結合しているシクロデキストリン誘導体
    を反応させ、水に不溶性の支持体にアミノ酸部分を結合
    させることを特徴とする請求項1記載のクロマトグラフ
    ィー用吸着担体の製造方法。
  5. 【請求項5】 アミノ酸またはアミノ酸誘導体が直接ま
    たはカルボニル基を介してシクロデキストリンに結合し
    ているシクロデキストリン誘導体に水に不溶性の支持体
    を反応させ、これにアミノ酸部分を結合させることを特
    徴とする請求項1記載のクロマトグラフィー用吸着担体
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 シクロデキストリンが水に不溶性の支持
    体に固定化されている担体にアミノ酸またはアミノ酸誘
    導体が直接またはカルボニル基を介してシクロデキスト
    リンに結合しているシクロデキストリン誘導体を反応さ
    せ、水は不溶性の支持体にアミノ酸部分を結合させるこ
    とを特徴とする請求項1記載のクロマトグラフィー用吸
    着担体の製造方法。
  7. 【請求項7】 アミノ酸またはアミノ酸誘導体が直接ま
    たはカルボニル基を介してシクロデキストリンに結合し
    ているシクロデキストリン誘導体にシクロデキストリン
    が水に不溶性に支持体に固定化している担体を反応さ
    せ、アミノ酸部分に水に不溶性の支持体を結合させるこ
    とを特徴とする請求項1記載のクロマトグラフィー用吸
    着担体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116251072A (zh) * 2023-03-14 2023-06-13 郑州大学第一附属医院 一种吲哚布芬片及其制备方法、用途

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116251072A (zh) * 2023-03-14 2023-06-13 郑州大学第一附属医院 一种吲哚布芬片及其制备方法、用途
CN116251072B (zh) * 2023-03-14 2023-09-15 郑州大学第一附属医院 一种吲哚布芬片及其制备方法、用途

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